ヘルメットのシールド取付け機構
【課題】
全閉状態にあるシールド4を上昇させる操作が比較的簡単で構造も比較的簡単であるにもかかわらず、シールド4の上昇時に、シールド4や防曇用補助シールドが頭部保護体の窓孔用縁部材などに引っ掛かる恐れのない、ヘルメットのシールド取付け機構6を提供する。
【解決手段】
頭部保護体に固定される固定側基材21と、この固定側基材21に対して前後進し得るように、固定側基材21に取付けられている可動側基材22と、可動側基材22に回動可能に支持されるシールド4とを備えている。そして、全閉状態にあるシールド4にほぼ上昇方向への力が加わったときに、シールド4または固定側基材21に設けられている少なくとも1個のカム用ならい部28が、固定側基材21またはシールド4に設けられている少なくとも1個のカム面104aに相対的にならうことによって、上記シールド4がほぼ前方に往動する。
全閉状態にあるシールド4を上昇させる操作が比較的簡単で構造も比較的簡単であるにもかかわらず、シールド4の上昇時に、シールド4や防曇用補助シールドが頭部保護体の窓孔用縁部材などに引っ掛かる恐れのない、ヘルメットのシールド取付け機構6を提供する。
【解決手段】
頭部保護体に固定される固定側基材21と、この固定側基材21に対して前後進し得るように、固定側基材21に取付けられている可動側基材22と、可動側基材22に回動可能に支持されるシールド4とを備えている。そして、全閉状態にあるシールド4にほぼ上昇方向への力が加わったときに、シールド4または固定側基材21に設けられている少なくとも1個のカム用ならい部28が、固定側基材21またはシールド4に設けられている少なくとも1個のカム面104aに相対的にならうことによって、上記シールド4がほぼ前方に往動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フルフェイス型ヘルメットなどにおいては、本来のシールドに防曇用の補助シールドが取付けられることがある。なお、このような補助シールドは、本来のシールドに対して僅かな間隙を有するように、本来のシールドの内側面に着脱自在に取付けられる。したがって、このような防曇用補助シールドが本来のシールドに取付けられているヘルメットを使用する際に、本来のシールドがヘルメットの頭部保護体の左右両側の軸支部にその左右両側端部付近をそれぞれ単に軸支されているだけでは、つぎのような不都合が生じる。すなわち、左右両側の軸支部を回動中心として本来のシールドを上方に回動させたときに、防曇用補助シールドが、頭部保護体の窓孔に取付けられている窓孔用縁部材に引っ掛かってしまうことがあるから、本来のシールドおよび防曇用補助シールドの円滑な上昇が妨げられる。また、防曇用補助シールドが取付けられていない本来のシールドを上昇させるときにも、本来のシールドが窓孔用縁部材などに大なり小なり引っ掛かるために、本来のシールドの円滑な上昇が妨げられることもある。
【0003】
一方、特許文献1には、全閉状態にあるシールド(すなわち、本来のシールド)をいったん前方に引き出してから上昇させるようにしたヘルメットのシールド取付け機構が開示されている。この場合、全閉状態にあるシールドは、頭部保護体に設けられているシールド収容用の凹み部に収容されているので、いったん前方に引き出さないと上昇させることができない。このために、特許文献1のシールド取付け機構においては、シールドをいったん前方に引き出してから上昇させるようにしているから、全閉状態にあるシールドの上昇時に、シールドは、窓孔用縁部材などに引っ掛からないで上昇することができる。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように構成された特許文献1のシールド取付け機構の場合には、シールドを上昇させるときに、ヘルメット装着者が指でシールドを掴んでから、この指を前方に動かしてこのシールドをいったん前方に引き出す操作を行った後に、この指を上方に動かしてシールドを上方に引き上げる操作を行う必要がある。これに対して、このような引用文献1のシールド取付け機構を通常の(すなわち、シールド収容用凹み部を有さない)フルフェイス型ヘルメットに適用した場合には、シールドを上昇させるときに、ヘルメット装着者が指でシールドを掴んでからこの指を上方に動かすだけで、全閉状態にあるシールドを上昇させることができる。そして、このような通常のフルフェイス型ヘルメットにおいて、本来のシールドの内側面に防曇用補助シールドを取付けた場合には、上述のように、前方に引き出す操作と上方に引き上げる操作との二段階の操作を行わなければ、補助シールドが窓孔用縁部材に引っ掛かってしまうから、誤って一段階(すなわち、上方に引き上げる)だけの操作を行ったときには、本来のシールドを円滑に上昇させることができない。また、本来のシールドを円滑に上昇させるためには、上述のような二段階の操作が必要であるから、全閉状態にあるシールドを上昇させるための操作が繁雑である。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【0005】
本発明は、特許文献1のシールド取付け機構における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構において、上記シールド取付け基材が、上記頭部保護体に固定される固定側基材と、この固定側基材に対して前後進可能に直線往復動し得るように、上記固定側基材に取付けられている可動側基材とを備え、上記シールドが、上記可動側基材に回動可能に支持され、少なくとも1個のカム面が、上記シールドまたは上記固定側基材に設けられ、少なくとも1個のカム用ならい部が、上記少なくとも1個のカム面に当接し得るように、上記固定側基材または上記シールドに設けられ、全閉状態にある上記シールドにほぼ上昇方向への力が加わったときに、上記カム用ならい部が上記カム面に相対的にならうことによって、上記シールドが上記可動側基材をともなってほぼ前方に往動するように構成されたものである。この場合、上記シールドが上記可動側基材をともなって前方に往動する距離(換言すれば、上記可動側基材が上記固定側基材に対して前方に往動する距離)は、実用性の観点から見て一般的に、1〜8mmの範囲であるのが好ましく、1.5〜6mmの範囲であるのがより好ましく、2〜4mmの範囲であるのがさらに好ましい。
【0007】
また、本発明においては、上記少なくとも1個のカム面が1個であり、上記少なくとも1個のカム用ならい部が1個であってよい。この場合、上記カム面が上記シールドに設けられ、上記カム用ならい部が上記固定側基材に設けられていてよい。また、本発明においては、上記少なくとも1個のカム面が2個であり、上記少なくとも1個のカム用ならい部が2個であってもよい。この場合、上記2個のカム面のうちの第1のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第2のカム用ならい部とが、上記シールドにそれぞれ設けられ、上記2個のカム面のうちの第2のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第1のカム用ならい部とが、上記固定側基材にそれぞれ設けられていてよい。
【0008】
また、本発明においては、上記可動側基材を上記固定側基材に対してほぼ後方に向って弾性的に附勢することができる弾性附勢手段と、上記固定側基材に設けられている少なくとも1個のストッパ部と、上記可動側基材に設けられている少なくとも1個の被ストッパ部とをさらに備え、上記可動側基材が上記弾性附勢手段によって弾性的に附勢されて復動位置に保持されているときには、上記少なくとも1個の被ストッパ部が上記少なくとも1個のストッパ部に当接しているのが好ましい。さらに、本発明においても、上記シールドを上記可動側基材から取外すために操作されるシールド着脱用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、上記シールドを全開状態まで往回動させてから上記シールド着脱用操作部材を往動させることによって、上記シールドの取外し可能状態が得られるように構成されているのが好ましい。この場合、上記シールドを全開状態まで往回動させたときには、上記被ストッパ部が上記ストッパ部に当接しているのが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、上記シールドを微開状態にすることができるとともに上記シールドを全閉位置においてロック状態にもすることができる往復動可能なシールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を中立位置から第1の往動方向に往動させたときには、上記シールドを微開状態にすることができ、上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を上記中立位置から第2の往動方向に往動させたときには、上記シールドをロック状態にすることができるように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防曇用補助シールドがその内側面に取付けられているシールドであっても、また、取付けられていないシールドであっても、全閉状態にあるシールドの上昇時に、シールドや防曇用補助シールドが頭部保護体の窓孔用縁部材などに引っ掛からないで上昇することができる。また、シールド取付け機構の構造が比較的簡単であるにもかかわらず、全閉状態にあるシールドを上方に引き上げる操作を行うだけでもって、シールドを前方に引き出してから上昇させることができるから、全閉位置にあるシールドを上昇させる操作が比較的簡単かつ比較的確実であり、また、誤操作の恐れがない。
【0011】
また、請求項2に係る発明によれば、シールド取付け機構の構造がさらに簡単である。
【0012】
また、請求項3に係る発明によれば、シールドを固定側基材によって2ヶ所で前方側に押圧することができるから、シールドの前方側への押し出しをさらに円滑に行うことができる。
【0013】
また、請求項4に係る発明によれば、比較的簡単な構造でもって、可動側基板を固定側基板に対して比較的確実に復動位置を保持することができる。
【0014】
また、請求項5に係る発明によれば、シールドの取外し操作を比較的簡単な構造でもって比較的簡単に行うことができる。
【0015】
また、請求項6に係る発明によれば、全開状態にあるシールドが走行風によってあおられるのを多少とも防止することができる。そして、この請求項6に係る発明を請求項5に係る発明と組み合せた場合には、シールドの取外し操作を比較的簡単かつ比較的確実に行うことができる。
【0016】
さらに、請求項7に係る発明によれば、比較的簡単な構造であるにもかかわらず、シールドの微開状態への操作と、シールドのロック状態への操作とを共通の操作部材によって比較的簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第1および第2の実施例を、「A、第1の実施例」および「B、第2の実施例」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
A、第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を、「1、ヘルメット全体の概略的構成」、「2、シールド取付け機構の構成」および「3、シールド取付け機構の動作」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。
【0019】
1、ヘルメット全体の概略的構成
フルフェイス型ヘルメット1は、図1に示すように、自動二輪車のライダなどのヘルメット装着者の頭部に装着されるフルフェイス型の頭部保護体2と、ヘルメット装着者の額部と顎部との間(すなわち、顔面の中央部分)に対向するように頭部保護体2の前面に形成された窓孔3を開閉し得る本来のシールド(換言すれば、メイン・シールド)4と、頭部保護体2の内側にそれぞれ取付けられた左右一対の顎掛け用バンド(図示せず)とから成っている。そして、頭部保護体2のうちのヘルメット装着者の顎部、額部などとそれぞれ対向する部分には、頭部保護体2内の換気を行うための1個または複数個のベンチレータ(図示せず)が必要に応じてそれぞれ設けられている。また、シールド4は、風防のためにヘルメット1に設けられているが、必要に応じて、透光性を特に阻害しないように着色されることにより日よけ(すなわち、バイザー)を兼用することもでき、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい。さらに、シールド4の左右両側部付近は、頭部保護体2の外周壁を構成する外側シェル5に、左右一対のシールド取付け機構6によって回動自在にそれぞれ取付けられている。
【0020】
シールド5の内側面には、図1および図2に示すように、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい防曇用の補助シールド10が、シールド4に対して僅かな間隙17を有するようにかつ着脱自在に、取付けられることができる。この取付けのために、シールド4の内側面の左右両側部分の中央部分よりも多少下方には、図2に示すように、係合用のリング状溝をそれぞれ有する左右一対の係合ピン16が、ねじ込みなどによって、それぞれ取付け固定されている。また、防曇用補助シールド10の左右両端部のそれぞれのほぼ上下方向における中央部分よりも多少下方には、左右一対の舌片部10aがそれぞれ突設されている。さらに、これら左右一対の舌片部10aには、後方に向ってそれぞれ開口している左右一対の係合用スリット18がそれぞれ形成されている。そして、左右一対の係合ピン16をこれら左右一対の係合用スリット18にそれぞれ嵌合させることによって、防曇用補助シールド10がシールド4の内側面に取付けられている。また、防曇用補助シールド10がシールド4に対して僅かな間隙17を保持するとともに、この間隙17を気密に保持するために、シリコンゴムなどの弾性材料から成るパッキン用突条部29が、補助シールド10の外側面のうちの左右一対の舌片部10aを除く領域の外周囲に沿って、ループ状に形成されている。
【0021】
外側シェル5は、周知のように、FRP、その他の合成樹脂などの強度の大きい硬質材料から成っていてよい。また、図1に示すように、頭部保護体2の窓孔3を形成するために外側シェル5に形成された窓孔7のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、周知なように断面がほぼU字状、ほぼE字状などの窓孔用縁部材8が取付けられている。そして、図1および図10に示すように、窓孔7の下端部に沿って窓孔用縁部材8の下端部にほぼ水平に連設されている突状部8aは、全閉位置にあるシールド4の下端部が当接するように構成されている。さらに、外側シェル5の下端部のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、断面がほぼU字状などの下端用縁部材9が取付けられている。なお、窓孔用縁部材8は、周知のように、合成ゴム、その他の可撓性に富んだ弾性材料から成っていてよい。また、下端用縁部材9は、周知のように、発泡塩化ビニール、合成ゴム、その他の軟質合成樹脂などの軟質材料から成っていてよい。さらに、図1において、符号11は、ヘルメット装着者がシールド4を上方および下方に往復回動させる際に指を掛けるために、シールド4のほぼ中央部分の下端部に一体的に設けられた指掛け部である。
【0022】
右側(ヘルメットの前面に向って左側)のシールド取付け機構6は、図9に示しかつ後述するようなシールド微開用の操作レバー兼用のシールドロック用の操作レバー12、この操作レバー12をガイドするための一対のガイド用の突起部13a、13bなど、シールド微開用の突起部14およびシールドロック用の突起部15が特に必要ではないために設けられていない点を除いて、左側のシールド取付け機構6とは左右対称的に構成されている。したがって、以下において、右側のシールド取付け機構6についての説明を省略して、左側のシールド取付け機構6についてのみ説明する。
【0023】
2、シールド取付け機構の構成
左側のシールド取付け機構6は、図9に示すように、
(a)固定側の基材21および可動側の基材22を含みかつシールド4を頭部保護体2に取付けるのに用いられるシールド取付け基材23、
(b)シールド4を可動側基材22から取外すときと、場合によっては可動側基材22に取付けるときとにそれぞれ操作されるシールド着脱用操作レバー19、
(c)全閉位置にあるシールド4を僅かに開放するときと、全閉位置にロックするときとにそれぞれ操作されるシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12、
(d)可動側基材22にその左側端部付近を着脱可能に取付けられることができるシールド4、
とを含んでいる。したがって、以下において、左側のシールド取付け機構6の構成を、「(1)固定側基材」、「(2)可動側基材」、「(3)シールド着脱用操作レバー」、「(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー」、「(5)シールド」および「(6)シールド取付け機構の組み立て」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。なお、固定側基材21、可動側基材22、操作レバー19、12は、ポリアセタール樹脂などの合成樹脂などからそれぞれ成っていてよい。
【0024】
(1)固定側基材
シールド取付け基材23の固定側基材21は、図9および図11に示すように、大きな中央貫通口20を有する大よそ直角三角形状の枠構造に構成されている。そして、図11においてはハーフトーンで示されている固定側基材21は、大きな中央貫通口20を有することを除いて、大よそ板状体の形状に構成されている。また、この固定側基材21は、上下2ヶ所のねじ挿通孔(図示せず)に挿通される一対の雄ねじ部材24a、24bによって、図10に示す頭部保護体2に図11に示すように取付け固定される。なお、外側シェル5の窓孔7の後方側(すなわち、図10における右側)には、図10に示すように、上下一対の雌ねじ部材25a、25bがそれぞれ埋設固定されている。そして、一対の雄ねじ部材24a、24bが、固定側基材21の上記取付け固定のために、その外側面からこれら一対の雌ねじ部材25a、25bのねじ孔30a、30bにそれぞれねじ込み固定されている。さらに、固定側基材21は、外側シェル5の外周面の湾曲形状にほぼ一致するように、その内側面が外側面に向って多少盛り上がった湾曲形状であるのが好ましい。そして、このような湾曲形状は、可動側基材22も同様に有しているのが好ましい。
【0025】
固定側基材21には、図9に示すように、上下一対の雄ねじ部材24a、24b(換言すれば、これら上下一対の雄ねじ部材24a、24bがそれぞれ挿通される前記ねじ挿通孔)のそれぞれの上下両側の箇所において、断面がそれぞれほぼU字状の上下一対のガイド溝26a、26bおよび上下一対のガイド溝27a、27bがそれぞれ形成されている。この場合、それらの上側のガイド溝26a、27aのそれぞれの深さ方向は、上方から下方にほぼ向う方向であり、それらの下側のガイド溝26b、27bのそれぞれの深さ方向は、下方から上方にほぼ向う方向である。また、固定側基材21には、上側の雄ねじ部材24aの前方側の箇所において、カム用ならい部として機能するカム用突起部28が形成されている。さらに、固定側基材21の外側面には、上下一対の雄ねじ部材24a、24bのそれぞれの後方側の箇所において、上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容するための上下一対のスプリング収容用の凹部32a、32bがそれぞれ形成されている。そして、これら上下一対の凹部32a、32bの前方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部33a、33bがそれぞれ形成されている。
【0026】
固定側基材21の外側面には、下側のスプリング収容用凹部32bの後方側の箇所において、カム用ならい部として機能する前記シールド微開用突起部14が突設されている。そして、固定側基材21には、上下一対のガイド溝26a、26bの上側附近および下側附近において、上下一対の切込み34a、34bがそれぞれ形成されている。なお、これら上下一対の切込み34a、34bは、図9に示す可動側基材22の上下一対の被ガイド用の突条部35a、35bが図12に示す復動位置に復動しているときの逃げとして機能する。
【0027】
(2)可動側基材
シールド取付け基材23の可動側基材22は、図9および図12に示すように、固定側基材21の外周囲を一回り大きくした外周囲を有していて、固定側基材21よりも大きいほぼ板状体形状に構成されている。また、図12においてはハーフトーンで示されている可動側基材22には、図9に示すように、上下一対の貫通口36a、36bがそれぞれ形成されている。そして、上側の貫通孔36aには、図12に示すように、固定側基材21のうちの上方に有る上下一対のガイド溝26a、26bが形成されている高位部分39aが挿入されることができる。また、下側の貫通孔36bには、下方にある上下一対のガイド溝27a、27bが形成されている高位部分39bが挿入されることができる。そして、上側の貫通口36aの周壁部には、その上下両側の側壁部において、前記上下一対の被ガイド用の突条部35a、35bがそれぞれ形成されるとともに、その後方側の側壁部において、前記上側の反撥用コイルスプリング31aが係合するためのスプリング係合用突起部37aが形成されている。また、下側貫通孔36bの周壁部には、その上下両側の側壁部において、上下一対の被ガイド用の突条部38a、38bがそれぞれ形成されるとともに、その後方側の側壁部において、下側の反撥用コイルスプリング31bが係合するためのスプリング係合用突起部37bが形成されている。
【0028】
可動側基材22には、図9に示すように、その前方側の端部のほぼ中央部分において、上方から下方に向って延在していて下端部が自由端部を構成しかつ弾性的に屈曲することができる係合用の腕部(すなわち、片持ち構造の係合用腕部)41が形成されている。また、可動側基材22の外側面には、係合用腕部41の自由端部付近からこの腕部41を通過して可動側基材22の上端部付近まで延在しかつこの上端部付近を前方側から後方側に向ってさらに延在しているほぼ倒立L字形状の溝42が形成されている。そして、この溝42には、係合用腕部41の強度を補強するためのほぼ倒立L字形状の金属製などの板ばね43が挿入固定されている。なお、この強度補強部材としての金属製などの板ばね43は、溝42にぴったりと嵌合し得るように、この溝42とほぼ同形(すなわち、ほぼ同一形状のほぼ倒立L字形状)であるとともに、溝42の深さよりも広幅であるのが好ましい。この場合、ほぼ水平方向に延在する第1の溝部42aとほぼ垂直方向に延在する第2の溝部42bとから、溝42を構成するとともに、ほぼ水平方向に延在する第1のばね部43aとほぼ垂直方向に延在する第2のばね部43bとから、板ばね43を構成した。そして、第1および第2のばね部43a、43bを第1および第2の溝部42a、42bにそれぞれ挿入固定した。しかし、第1の溝部42aおよび第1のばね部43aをそれぞれ省略して、第2の溝部42bおよび第2のばね部43bのみから、溝42および板ばね43をそれぞれ構成することもできる。また、強度補強部材としての板ばね43を必要に応じて金属製などのコイルスプリングに変更することもできる。そして、この場合には、溝42を上記コイルスプリングの太さに合せて太くすることができる。また、この場合には、第1の溝部42aおよび第1のばね部43aを必要に応じてそれぞれ省略して、第2の溝部42bおよび第2のばね部43bのみから、溝42およびコイルスプリング43をそれぞれ構成するのが好ましい。
【0029】
可動側基材22には、図9に示すように、係合用腕部41の後方側の箇所において、この係合用腕部41の基端部から自由端部まで延在しているスリット44が設けられている。そして、係合用腕部41の後方側の側端部(換言すれば、スリット44に臨む側端部)には、1個または複数個(図示の場合には、2個)の歯を有するクリック用歯部45が形成されている。また、可動側基材22には、係合用腕部41の図9における反時計方向への往動を規制するストッパ46が、この係合用腕部41の自由端部に対向するようにかつスリット44の基部に臨むように、形成されている。さらに、可動側基材22には、ほぼ円弧状の第1のガイド部47がスリット44の後方側の端部に沿って形成されている。なお、この第1のガイド部47は、可動側基材22の内側面をスリット44の後方側の端部に沿って凹ませることによって、スリット44の長さとほぼ同じ長さで形成されている。そして、この第1のガイド部47は、スリット44に向ってひさし構造で突出している。
【0030】
可動側基材22の外側面には、図9に示すように、ガイド部47の下端部付近の後方側の箇所において、スプリング収容用凹部48が形成されている。そして、この凹部48の前方側の側壁部には、スプリング係合用突起部49が形成されている。また、可動側基材22には、ガイド部47の上端部付近の後方側の箇所において、雌ねじ部材51を埋設固定することなどによって形成されたねじ孔52が設けられている。さらに、可動側基材22の内側面には、ねじ孔52の上方においてほぼ水平に延在するように、固定側基材21の上側腕部21aが挿入または嵌合される条溝部53が形成されている。なお、符号54は、この条溝部53を形成するために、可動側基板22の内側面にほぼ水平に延在するように形成されている突条部である。
【0031】
可動側基材22には、突条部54の上方側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド部55が形成されている。なお、このガイド部55は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、このガイド部55の下方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、ガイド部55は、可動側基板22の面方向にひさし構造で突出している。また、可動側基材22には、上側の貫通孔36aの後方側の箇所において、ほぼ円弧状の第2のガイド部56が形成されている。なお、この第2のガイド部56は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、この第2のガイド部56の上方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、第2のガイド部56は、可動側基材22の面方向にひさし構造で突出している。
【0032】
上側の貫通孔36aと下側の貫通孔36bとの間には、図9に示すように、中間の貫通孔57が形成されている。そして、この貫通孔57の側壁部には、固定側基材21のシールド微開用突起部14の逃げのための凹み部58が形成されている。また、上側の貫通孔36aと中間の貫通孔57との間には、ほぼ円弧状の第3のガイド部61が形成されている。なお、この第3のガイド部61は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、この第3のガイド部61の貫通孔36a側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、第3のガイド部61は、可動側基材22の面方向にひさし構造で突出している。なお、ほぼ円弧状の第1のガイド部47の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第2のガイド部56の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3のガイド部61の仮想の円の中心とは、図9に示すほぼ共通の中心点C1であるのが好ましい。
【0033】
図9に示す可動側基材22の外側面には、下側の貫通孔36bを取り囲むように、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12のためのほぼ円環状の軸支部62が突設されている。そして、この軸支部62の外周囲には、3個のクリック用の凹み部60a、60b、60cがそれぞれ形成されている。また、前記一対のガイド用突起部13a、13bがこの軸支部62の外周囲付近に設けられた上下一対の欠如部63a、63bにそれぞれ配設されている。なお、符号64は、凹部58の前方側に隣接している段差部であって、軸支部62の外側に隣接して位置する低位部75と、段差部64を介してこの低位部75にそれぞれ隣接している高位部76および中位部77との間に延在している。また、符号72、73のそれぞれは、固定側基材21の斜め方向に延在する傾斜腕部21bのための段差部である。そして、符号65、66、67、68、69、70、71は、可動側基材22にそれぞれ設けられている凹み部であって、上記中位部77とほぼ同程度の高さになっている。さらに、可動側基材22には、上側の貫通孔36aの前方側の側壁部を面方向に貫通するように、固定側基材21のカム用ならい部28が挿入される貫通孔74が形成されている。そして、この貫通孔74は、上側貫通孔36aと凹み部65とを連通するように、可動側基材22のほぼ面方向に沿って貫通している。
【0034】
(3)シールド着脱用操作レバー
シールド着脱用操作部材として機能するシールド着脱用操作レバー19は、図9および図13に示すように、長手状のほぼ細板形状に構成されていて、その大よそ中間部分には、ねじ挿入孔が設けられている。そして、この操作レバー19は、その外側面からこのねじ挿通孔に挿入される雄ねじ部材81を可動側基材22のねじ孔52にねじ込み固定することによって、可動側基材22に回動可能に取付け固定される。この場合、シールド着脱用操作レバー19を可動側基材22に回動可能に取付け固定するために、雄ねじ部材81、操作レバー19のねじ挿通孔および可動側基材22のねじ孔52を用いている。しかし、上記雄ねじ部材81、上記ねじ挿通孔および上記ねじ孔52に代えて、シールド着脱用操作レバー19の内側面側に突出しかつその先端部側にねじ孔を有するとともにその基端部側に抜け止め用の頭部を有する軸支部材(図示せず)を、この操作レバー19に設けてもよい。この場合、可動側基材22には、上記軸支部材を回動可能に嵌合させる貫通孔が設けられる。そして、操作レバー19の外側面側からその先端部側を上記貫通孔に挿入されて上記貫通孔に回動可能に嵌合された上記軸支部材の先端面側から、雄ねじ部材(図示せず)が抜け止め用のワッシャ(図示せず)などを介して上記軸支部材の上記ねじ孔にねじ込まれる。
【0035】
図13においてはハーフトーンで示されているシールド着脱用操作レバー19は、雄ねじ部材81よりも上方側の箇所に第1の係止用の爪部82を有するとともに、雄ねじ部材81よりも下方側の箇所に第2の係止用の爪部83を有している。なお、これら第1および第2の係止用爪部82、83は、それらの内側面を凹ませることによってそれぞれ肉薄に構成されるとともに、それらの外側面が基端側から先端側に向ってその内側面側にそれぞれ傾斜していて厚みが次第に小さくなっているのが好ましい。したがって、第1および第2の係止用爪部82、83は、操作レバー19の面方向にひさし構造でそれぞれ突出している。また、操作レバー19には、第2の係止用爪部83の下方付近において、第3の係止用爪部89が形成されている。なお、この第3の係止用爪部89は、図13に示すように、可動側基材22のほぼ円弧状のガイド部61に係止されるから、可動側基材22からの操作レバー19の浮上りが防止される。さらに、シールド着脱用操作レバー19の上端部には、図9および図13に示すように、その外側面を凹ませることによって肉薄になっているほぼ円弧状の被ガイド部84が形成されている。
【0036】
シールド着脱用操作レバー19の下端部には、図9に示すように、この操作レバー19を往回動させる際に指を掛けるためのリング状の指掛け部85が一体的に形成されている。また、シールド着脱用操作レバー19の内側面には、雄ねじ部材81と指掛け部85との間において、その内側面だけではなくて前方側にも開放されているスプリング収容用の凹部86が、可動側基材22のスプリング収容用凹部48に対向するように、形成されている。そして、このスプリング収容用凹部86の後方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部87が形成されている。さらに、可動側基材22のスプリング収容用凹部48およびシールド着脱用操作レバー19のスプリング収容用凹部86には、図13に示すように、共通の反撥用コイルスプリング88が、その両端部をスプリング係合用突起部49、87にそれぞれ係合させた状態で、収容される。
【0037】
(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー
シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材として機能するシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、図9に示すように、中央開口93を有する回動輪部91を有している。そして、この回動輪部91の内周囲には、クリック用の突起部90が形成されている。また、この回動輪部91の下端部付近には、ほぼロッド形状の指掛け部92が一体成形されている。さらに、回動輪部91の外側面には、中央開口93の内周端部において、上下一対のほぼ円弧状の被ガイド部94a、94bがそれぞれ設けられている。
【0038】
回動輪部91の上端部付近には、図9および図13に示すように、この回動輪部91に対して傾斜した方向においてその斜め後方でかつ斜め上方に突出している突出部95が形成されている。そして、回動輪部91と突出部95との間には、シールドロック用係合部96が係合用切込みとして形成されている。また、突出部95のうちのシールドロック用係合部96側とは反対側には、その係合部96側からその反対側に向って肉薄になるよに傾斜している長細い乗り越え幇助用の傾斜面97が形成されている。さらに、回動輪部91の外周囲には、指掛け部92に近接した箇所において、その外周面がカム面100として機能するカム用突起部98が形成されている。そして、このカム用突起部98のうちの指掛け部92側の端部に隣接して、クリック用の切込み99が形成されている。
【0039】
(5)シールド
シールド4の内側面の左側の端部付近には、図9に示すように、このシールド4の左側の先端部から中央部分側に向って、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部101、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部102およびほぼ円弧状の第3の被ガイド部103が順次配設されている。なお、これらほぼ円弧状の第1の被ガイド部101の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部102の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3の被ガイド部103の仮想の円の中心とは、図9に示すほぼ共通の中心点C2であるのが好ましい。そして、第1の被ガイド部101は、中心点C2とは反対側の端部がその外側面(すなわち、シールド4の外側面側の面)において凹んでいるから、中心点C2とは反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。
【0040】
第2の被ガイド部102は、図9に示すように、その中心点C2とは反対側の端部がその外側面において凹んでいるから、中心点C2とは反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。さらに、シールド4の内側面には、ほぼ円弧状のカム用の曲面部104が、第2の被ガイド部102と一体的に形成されている。そして、このほぼ円弧状のカム用曲面部104の中心点C2とは反対側の面の仮想の円の中心も、図9に示す共通の中心点C2であるのが好ましい。そして、カム用曲面部104の上端部は、カム用突起部107を構成している。また、カム用曲面部104の中心点C2側の面(カム用突起部107の外周面を含む。)には、第2の被ガイド部102にほぼ隣接しかつこの第2の被ガイド部102と背中合せになるように、カム面104aが形成されている。そして、第3の被ガイド部103は、中心点C2側の端部がその外側面において凹んでいるから、中心点C2の方向に向ってひさし構造で突出している。さらに、シールド4の内側面には、1個または複数個(図示の場合には、6個)の歯を有していてほぼ波形状でかつ全体としてほぼ円弧状のクリック用歯部105が、第3の被ガイド部103と一体的に形成されている。そして、このほぼ円弧状のクリック用歯部105の仮想の円の中心も、図9に示す中心点C2であるのが好ましい。なお、上記1個または複数個の歯は、クリック用歯部105のうちの中心点C2とは反対側の端部に沿って全体としてほぼ円弧状に形成されている。そして、第3の被ガイド部103は、これらの歯と背中合せになるように、クリック用歯部105と一体に形成されている。さらに、シールド4の内側面には、第3の被ガイド部103から中心点C2とは反対側に多少離間した位置において、前記シールドロック用突起部15が一体的に突設されている。
【0041】
(6)シールド取付け機構の組み立て
シールド取付け機構6の組み立てに際しては、
(ア)固定側基材21に可動側基材22を取付けること、
(イ)この可動側基材22にシールド着脱用操作レバー19およびシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12をそれぞれ取付けること、
(ウ)頭部保護体2の外側面の左右両側にこれら4個の部材21、22、19、12から成る組み合せ構造の左右一対をそれぞれ取付けること、
(エ)頭部保護体2の左右両側の可動側基材22にシールド4の左右両側端部付近をそれぞれ取付けること、
を順次行うのが好ましい。したがって、以下において、シールド取付け機構6の組み立て操作を上記(ア)項〜(エ)項に記載の順次で説明する。なお、右側のシールド取付け機構6は、左側のシールド取付け機構6の組み立てに準じて組み立てることができるから、以下においては、左側のシールド取付け機構6の組み立て操作のみを説明する。
【0042】
上記(ア)項に記載のように、図9に示す固定側基材21に図9に示す可動側基材22を取り付けるに際しては、図12に示すように、固定側基材21の外側面に可動側基板22の内側面を重ね合せる。そして、固定側基材21の上方側の上下一対のガイド溝26a、26bおよび下方側の上下一対のガイド溝27a、27bに、可動側基材22の上方側の上下一対の被ガイド用突条部35a、35bおよび下方側の上下一対の被ガイド用突条部38a、38bをそれぞれ相対的に嵌合させる。このとき、固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の貫通孔74に挿入させる。ついで、固定側基材21の上下一対のスプリング収容用凹部32a、32bに上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容する。このとき、上側の反撥用コイルスプリング31aの両端部をスプリング係合用突起部33a、37aにそれぞれ係合させる。また、下側の反撥用コイルスプリング31bの両端部をスプリング係合用突起部33b、37bにそれぞれ係合させる。
【0043】
この状態においては、可動側基材22は、図12に示すように、上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bによってほぼ後方(すなわち、図12におけるほぼ右側)に向って弾性的に附勢されていて、その復動位置に配されている。このために、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部としての前壁部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部としての前壁部50a、50bにそれぞれ当接している。
【0044】
また、上記(イ)項に記載のように、図9に示す可動側基材22に図9に示すシールド着脱用操作レバー19を取り付けるに際しては、図13に示すように、可動側基材22の外側面に操作レバー19の内側面を重ね合せる。そして、可動側基材22のスプリング収容用凹部48および操作レバー19のスプリング収容用凹部86に共通の反撥用コイルスプリング88を収容する。このとき、反撥用コイルスプリング88の両端部をスプリング係合用突起部49、87にそれぞれ係合させる。これとともに、操作レバー19の被ガイド部84を可動側基材22のガイド部55の内側面側に挿入する。また、操作レバー19の第3の係止用爪部89を可動側基材22のガイド部61の内側面側に挿入する。ついで、雄ねじ部材81を操作レバー19のねじ挿通孔に挿入させてから可動側基材22のねじ孔52にねじ込むことによって、操作レバー19を可動側基材22に回動可能に軸支する。
【0045】
この状態においては、シールド着脱用操作レバー19は、図13に示すように、反撥用コイルスプリング88によって雄ねじ部材81を支点として図13における反時計方向に弾性的に附勢されていて、その復回動位置に配されている。そして、操作レバー19の被ガイド部84は、可動側基材22のガイド部55の前方側の端部に当接している。なお、操作レバー19は、その被ガイド部84が可動側基材22のガイド部55の後方側の端部に当接するまで、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって往回動することができる。また、操作レバー19が上記復回動位置にあるときには、この操作レバー19の第1の係止用爪部82は、図13に示すように、可動側基材22のガイド部55の前方側の端部付近とガイド部47との間隙111をほぼ塞いでいる。また、操作レバー19の第2の係止用爪部83は、可動側基材22のガイド部61のほぼ上方に連なる間隙112をほぼ塞いでいる。
【0046】
また、上記(イ)項に記載のように、可動側基材22にシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を取付けるに際しては、図13に示すように、可動側基材22の外側面に操作レバー12の内側面を重ね合せる。そして、操作レバー12の上下一対の被ガイド部94a、94bを可動側基材22の上下一対のガイド用突起部13a、13bにそれぞれ強く押し当てることによって、これらの被ガイド部94a、94bをガイド用突起部13a、13bにそれぞれ係合させる。この状態においては、操作レバー12は、ガイド用突起部13a、13bが被ガイド部94a、94bに沿って相対的に摺動する範囲内で、可動側基材22の軸支部62に対して往復回動することができる。ついで、操作レバー12を所定の回動位置まで回動させることによって、そのクリック用突起部90を可動側基材22の3個のクリック用凹み部60a〜60cのうちの真中のクリック用凹み部(すなわち、通常使用時のための凹み部)60bに嵌合させておく。
【0047】
また、上記(ウ)項に記載のように、図9に示す4個の部材21、22、19、12から成る組み立て構造を頭部保護体2の外側面の左側に取付ける際には、図9に示す一対の雄ねじ部材24a、24bを固定側基材21の上下一対のねじ挿通孔にそれぞれ挿通させてから、これら一対の雌ねじ部材24a、24bのための図10に示す一対のねじ孔30a、30bに一対の雌ねじ部材24a、24bをそれぞれねじ込み固定する。
【0048】
さらに、上記(エ)項に記載のように、可動側基材22にシールド4の左側の端部を取付けるに際しては、予め、図13に示すシールド着脱用操作レバー19を、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって、雄ねじ部材81を支点として図13の時計方向に往回動させてもよい(図6参照)。しかし、操作レバー19をこのように操作する必要は必ずしもなくて、シールド4の第1の被ガイド部101、第2の被ガイド部102および第3の被ガイド部103を、可動側基材22の第2のガイド部56、シールド着脱用操作レバー19の第2の係止用爪部83および第1の係止用爪部82にそれぞれ当てがってから、シールド4の左側の端部付近を可動側基材22に向って強く押し付けるだけでもよい。この場合、操作レバー19の第2および第1の係止用爪部83、82がシールド4の第2および第3の被ガイド部102、103によってそれぞれ強く押し付けられるから、操作レバー19は、上述の往回動操作の場合と同様に、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって往回動する。このために、シールド4の第1の被ガイド部101は、可動側基材22の第2のガイド部56と係合する。これとともに、シールド4の第2および第3の被ガイド部102、103は、可動側基材22の間隙112、111にそれぞれ配される。このために、操作レバー19は、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力によって、雄ねじ部材81を支点として図6における反時計方向に復回動する。したがって、シールド4の第2および第3の被ガイド部102、103は、操作レバー19の第2および第1の係止用爪部83、82によって、浮き上り(すなわち、可動側基材22からの離脱)をそれぞれ防止される。
【0049】
この状態においては、シールド4は、図5に示す全開状態になっている。したがって、シールド4のカム用曲面部104は、固定側基材21のカム用ならい部28がそのカム面104aの長さ方向におけるほぼ中央部分(具体的には、凹み部106)に当接するように、上昇している。また、シールド4のクリック用歯部105は、その複数個の歯のうちの最下端の歯が可動側基材22の複数個のクリック用歯部45のうちの最上端の歯にこの最上端の歯の上側で隣接するように、上昇している。そして、この状態においては、可動側基材22における共通の中心点C1と、シールド4における共通の中心点C2とは、実質的に互いに同一である。
【0050】
上述のような上記(ア)項〜(エ)項に記載の組み立て操作によって、シールド取付け機構6を頭部保護体2に取付けることができる。
【0051】
3、シールド取付け機構の動作
シールド4は、
(a)図1および図2に示す全閉状態、
(b)図3に示す1段階開放状態、
(c)図4に示す4段階開放状態、
(d)図5に示す全開状態、
(e)図6に示す取外し可能状態、
(f)図7に示す微開状態、
(g)図8に示すロック状態、
のそれぞれを少なくとも採ることができる。したがって、以下において、「(1)全閉状態」、「(2)1段階開放状態」、「(3)4段階開放状態」、「(4)全開状態」、「(5)取外し可能状態」、「(6)微開状態」および「(7)ロック状態」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。
【0052】
(1)全閉状態
シールド4は、前記2(6)項に記載のようにして可動側基材22に取付けられた直後には、図5に示す全開状態になっている。そして、指をシールド4の指掛け部11に掛けるなどして、その左右両端部の共通の中心点C2をそれぞれ回動中心としてこのシールド4を上方から下方に回動させると、シールド4は図2に示す全閉状態になる。なお、この全閉状態においては、シールド4の下端部が、窓孔用縁部材8の突状部8aに接触する。また、シールド4の第1〜第3の被ガイド部101〜103が、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47の一方の終端に当接するか、あるいは、当接する直前の状態になる。さらに、この全開状態から全閉状態へのシールド取付け機構6の動作は、全閉状態から全開状態への動作と実質的にちょうど逆であるから、その詳細の説明は、この項では省略する。
【0053】
また、図2に示す全閉状態においては、固定側基材21のカム用ならい部28がシールド4のカム用曲面部104のカム面104aに相対的に当接しているか、あるいは、このカム面104aに相対的に近接してその上側に位置している。したがって、可動側部材22は、図12に示す場合と同様に、固定側部材21に対して復動位置にある。また、シールド4のクリック用歯部105の最上端の歯は、可動側基材22のクリック用歯部45の最下端の歯にこの最下端の歯の下方側から当接しているか、あるいは、この最下端の歯に近接してその下方に位置している。
【0054】
さらに、図2に示す全閉状態においては、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、中立位置にあるから、シールド4のシールドロック用突起部15は、この操作レバー12のシールドロック用係合部96に係合してはいない。これとともに、固定側基材21のシールド微開用突起部14は、操作レバー12のカム用突起部98のカム面100には全くまたはほとんど相対的に乗り上げておらず、また、操作レバー12のクリック用切り込み99に係合してもいない。そして、シールド着脱用操作レバー19は、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力によって、図13に示す場合と同様に復動位置に保持されている。
【0055】
(2)1段階開放状態
図2に示す全閉状態において、指掛け部11に指を掛けるなどしてシールド4を多少持ち上げると、図3に示す1段階開放状態になる。なお、この1段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図2の時計方向に多少往回動する。したがって、シールド4の第1〜第3のガイド部101〜103も、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47にそれぞれガイドされて、共通の中心点C2を回動中心として図2の時計方向にそれぞれ往回動する。そして、シールド4のクリック用歯部105の最上端の歯が図3に示すように可動側基材22のクリック用歯部45に噛み合うので、シールド4は、この1段階開放状態に正確に保持される。
【0056】
また、図2に示す全閉状態にあるシールド4が図3に示す1段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104のカム用突起部107が、固定側基材21のカム用ならい部28によって前方側(すなわち、図2の左側)に押し出されながら時計方向に回動して、このカム用ならい部28に乗り上げる。なお、この乗り上げは、可動側基材22がシールド4をともなって反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力に逆らって固定側基材21に対して前方側に向って直線的に往動することによって、行われる。このために、シールド4の1段階開放状態への上昇時には、このシールド4(ひいては、その内側面に取付けられている防曇用補助シールド10)は、前方側に例えば3mm押し出される。したがって、シールド4が1段階開放状態になるときに、シールド4および防曇用補助シールド10が、窓孔用縁部材8(特に、その上側縁部分8b)に引っ掛かって円滑に上昇できないようなことはない。
【0057】
図14には、図2に示す全閉状態または準全閉状態における固定側基材21とシールド4との相互の位置関係が示されている。なお、上記準全閉状態とは、図2に示す全閉状態においてはシールド4のカム用曲面部104が固定側基材21のカム用突起部28にまだ当接していないときに、全閉状態からシールド4を少し持ち上げることによってカム用曲面部104がカム用突起部28に当接し始める状態を意味している。そして、この図14において、符号P1は、図2に示す全閉状態または準全閉状態におけるカム用曲面部104とカム用突起部28との相互の当接箇所を示している。また、符号C2は、シールド4における共通の中心点を示している。そして、符号θ1は、共通の中心点C2を通りかつ固定側基材21に対する可動側基材22の往復動方向に沿った直線L1と、共通の中心点C2と当接箇所P1とを結ぶ直線L2との成す角度を示している。さらに、符号D1は、共通の中心点C2と当接箇所P1との間の距離を示している。
【0058】
図14においては、角度θ1は約−5°であり、距離L1は約16.5mmである。この場合、このマイナスの値は、当接箇所P1が直線L1よりも上方にある場合の値を意味している。そして、これらの角度θ1および距離D1は、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましい。なお、これらの(a)項および(b)項におけるかっこ内の数値範囲は、満足しているのがさらに好ましい数値範囲を示している。
(a)角度θ1:−20〜50°(−10〜40°)の数値範囲、および
(b)距離D1:8〜80mm(12〜60mm)の数値範囲。
【0059】
(3)4段階開放状態
図3に示す1段階開放状態において、シールド4をさらに大幅に持ち上げると、図4に示す4段階開放状態になる。なお、この4段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図3の時計方向にさらに大幅に回動する。したがって、シールド4の第1〜第3のガイド部101〜103も、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47にそれぞれガイドされて、共通の中心点C2を回動中心として図3の時計方向にそれぞれ回動する。そして、シールド4のクリック用歯部105の上から4番目の歯が、図4に示すように、可動側基材22のクリック用歯部45に噛み合うので、シールド4は、この4段階開放状態に正確に保持される。
【0060】
また、図3に示す1段階開放状態にあるシールド4が図4に示す4段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104のカム面104aは、このカム用曲面部104のカム用突起部107から多少下方において、固定側基材21のカム用ならい部28に当接する。このために、カム用曲面部104は、後方側(すなわち、図2の右側)に少しずつ後退しながら、共通の中心点C2を回動中心として図3の時計方向に往回動する。なお、この後退は、可動側基材22がシールド4をともなって反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力によって固定側基材21に対して後方側に向って直線的に復動することによって、行われる。このために、シールド4の1段階開放状態から4段階開放状態への上昇時には、このシールド4(ひいては、その内側面に取付けられている防曇用補助シールド10)が、前方側から後方側に多少引っ込められる。したがって、シールド4が1段階開放状態から4段階開放状態に持ち上げられるときには、シールド4および防曇用補助シールド10が頭部保護体2から必要以上に前方に突出するのを防止することができるから、シールド4が走行風によってあおられるのを多少とも防止することができる。この点は、次の(4)項に記載の全開状態においても、同様である。
【0061】
(4)全開状態
図4に示す4段階開放状態において、シールド4をさらに多少持ち上げると、図5に示す全開状態(すなわち、最大開放状態)になる。なお、この全開状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図4の時計方向にさらに多少往回動する。そして、この図5に示す全開状態は、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明した頭部保護体2へのシールド4の取付け直後の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。なお、この図5に示す全開状態においては、固定側基材21のカム用ならい部28は、シールド4のカム面104aの凹み部106に位置している。したがって、シールド4および防曇用補助シールド10の回動中心である共通の中心点C2は、1段階開放状態から全開状態のうちで、後方側にもっとも引っ込んだ位置に保持される。そして、この状態においては、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部50a、50bにそれぞれ当接している。
【0062】
(5)取外し可能状態
図5に示す全開状態において、シールド着脱用操作レバー19を、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって、雄ねじ部材81を支点として図5の時計方向に往回動させると、図6に示す取外し可能状態になる。なお、この取外し可能状態は、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明したシールド着脱用操作レバー19の往回動操作の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。そして、この図6に示す取外し可能状態においては、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明したのとは逆の操作を行うことによって、シールド4の左側の端部を可動側基材22から容易に取外すことができる。
【0063】
さらに、この取外し可能状態においては、前記(4)項に記載したように、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部50a、50bにそれぞれ当接しているから、可動側基材22は固定側基材21に対して完全に復動している。このために、シールド4を可動側基材22から取外す前後で、可動側基材22が反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力によって固定側基材21に対してさらに復動する恐れはない。このことは、シールド4を可動側基材22に取付ける前後でも、同様である。したがって、可動側基材22に対するシールド4の取付け操作および取外し操作のいずれもを、簡単かつ確実に行うことができる。
【0064】
(6)微開状態
図2に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を、指掛け部92に指を掛けるなどして、第1の往回動方向(すなわち、図2の反時計方向)に往回動させると、図7に示す微開状態になる。なお、操作レバー12が図2に示す復回動状態にあるときには、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60bに係合している。そして、操作レバー12の上記往回動によって、この係合は解消される。また、この微開状態においては、固定側基材21のシールド微開用突起部14が、操作レバー12のカム用突起部98に相対的に乗り上げる。このために、操作レバー12が可動側基材22とともに前方側へ往動しようとするから、可動側基材22は、操作レバー12をともなって、反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力に逆らって固定側基材21に対して前方側へ直線的に往動する。なお、この直線的往動は、可動側基板22の被ガイド突条部35a、35b、38a、38bが固定側基材21のガイド溝26a、26b、27a、27bにそれぞれガイドされることによって、行われる。また、操作レバー12を上記第1の往回動方向にさらに往回動させると、固定側基材21のシールド微開用突起部14の一端部が操作レバー12のクリック用切込み部99に相対的に入り込む。これとともに、操作レバー12のクリック用突起部90も、可動側基材22のクリック用凹み部(すなわち、微開時のための凹み部)60cに係合するから、この操作レバー12は、この状態でクリック的に確実に保持される。
【0065】
この図7に示す微開状態においては、シールド4も、可動側基材22にともなわれて、前方側に往動している。このために、シールド4は、頭部保護体2(特に、その窓孔用縁部材8)から離間しているから、頭部保護体2の窓孔3からこの頭部保護体2内に空気を取り入れることができる。なお、図6に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、操作レバー12を上記第1の往回動方向に往回動させることができる。そして、この往回動によって、シールド4は、同様に前方側に直線的に往動する。また、全閉状態にしようとしてシールド4を最下端まで下降させると、全閉状態から操作レバー12を往回動した場合と同様の微開状態が得られる。また、この微開状態から全閉状態に戻すときには、操作レバー12を上記第1の往回動方向とは逆の方向(すなわち、第1の復回動方向)に復回動させればよい。そして、この復回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60cから離脱して、クリック用凹み部60bに再び係合する。
【0066】
(7)ロック状態
図2に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を第2の往回動方向(すなわち、図2の時計方向)に往回動させると、図8に示すシールドロック状態になる。なお、操作レバー12の上記往回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60bから離脱して、クリック用凹み部(すなわち、ロック時のための凹み部)60aに係合する。また、このシールドロック状態においては、シールド4のシールドロック用被係合部としてのシールドロック用突起部15が、操作レバー12のシールドロック用係合部96に相対的に係合する。このために、シールド4は、上昇を阻止されて、この係合が解除されるまで全閉状態に強固に保持(すなわち、ロック)される。
【0067】
図5に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、操作レバー12を上記第2の往回動方向に往回動させることができる。そして、この状態において、シールド4を全閉状態にすると、シールド4のシールドロック用突起部15が、操作レバー12の乗り越え幇助用傾斜面97に当接して突出部95を相対的に乗り越える。このために、シールドロック用突起部15がシールドロック用係合部96に係合するから、上述のようなロック状態が得られる。また、このシールドロック状態からシールドロック解除状態(すなわち、図2に示す通常の全閉状態)に戻すときには、操作レバー12を上記第2の往回動方向とは逆の方向(すなわち、第2の復回動方向)に復回動させればよい。そして、この復回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60aから離脱して、クリック用凹み部60bに再び係合する。
【0068】
B、第2の実施例
つぎに、本発明の第2の実施例を、「1、ヘルメット全体の概略的構成」、「2、シールド取付け機構の構成」および「3、シールド取付け機構の動作」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。なお、図15〜図23に示す第2の実施例は、以下に記載する点を除いて、上述の第1の実施例と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図15〜図23において、図1〜図14と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。
【0069】
1、ヘルメット全体の概略的構成
この第2の実施例においては、図15および図16に示すように、防曇用補助シールド10の左右一対の舌片部10a付近には、上述の第1の実施例における左右一対の係合用スリット18に代えて、左右一対の貫通孔121がそれぞれ形成されている。そして、左右一対の係合ピン16をこれら左右一対の貫通孔121にそれぞれ嵌合させることによって、防曇用補助シールド10がシールド4の内側面に取付けられている。
【0070】
シールド4の内側面には、図16に示すように、その上端部に沿って係合用突条部122が形成されている。そして、この係合用突条部122は、シールド4の左右方向における中心から左右両方向にそれぞれ向って窓孔7の左右両端部にそれぞれ対応する箇所を超えて左右一対のシールド取付け機構6付近まで、延在している。また、シールド4の内側面には、係合用突条部122の多少下方の箇所において、ほぼ水平方向に延在している下向きの段部123が形成されている。そして、この下向きの段部123は、シールド4の左右方向における中心から左右両方向にそれぞれ向って窓孔7の左右両端部にそれぞれ対応する箇所の多少手前まで、延在している。したがって、シールド4には、係合用突条部122と下向き段部123との間において、肉厚部分125が形成され、下向き段部123の左右両端部付近では、この肉厚部分125の厚さが次第に減少する傾斜面になっている。
【0071】
窓孔用縁部材8は、図16に示すように、外側シェル5の面方向においては、上述の第1の実施例の場合よりも全体的に広幅になっている。そして、窓孔用縁部材8の上側の縁部分8bは、外側シェル5の縁部分が嵌合される断面がほぼU字状の部分と、このほぼU字状の部分の上端の外側面からほぼ水平方向外方に突出している係合用突条部124とから成っている。また、窓孔用縁部材8の下側の縁部分8cは、外側シェル5の縁部分が嵌合される断面がほぼ逆U字状の部分と、このほぼ逆U字状の部分の下端の外側面からほぼ水平方向外方に突出している既述の突条部8aとから成っている。さらに、窓孔用縁部材8の左側および右側の縁部分8dは、周知のように断面がほぼU字状、ほぼE字状などであってよく、また、上側縁部分8bと同様の断面形状であってもよい。
【0072】
この第2の実施例においては、図16に示すシールド4の全閉状態でも、防曇用補助シールド10のパッキン用突条部29の上側部分の中央部分が、前方から見て、窓孔用縁部材8の上側縁部分8bと重なっている。したがって、防曇用補助シールド10がヘルメット装着者の視野に入りにくい。それでいて、図16に示すように、係合用突条部124が窓孔用縁部材8の上側縁部分8bに設けられるとともに、下向き段部123および係合用突条部122がシールド4に設けられているから、補助シールド10は肉厚部分125の内側面からの内方への突出量を小さくすることができる。したがって、上側縁部分8bとシールド4との相互の密着性が良好であるから、シールド4の内側に走行風が入り込みにくく、また、風切り音を低減させることができるとともに、雨水などによる水漏れを防止することができる。また、シールド4を昇降させるたびに、防曇用補助シールド10の内側面が窓孔用縁部材8の上側縁部分8bにこすれてざらざらになるのを防止することができる。さらに、窓孔用縁部材8の上側縁部分8bの断面が周知のようにほぼE字状などの場合のように、シールド4または防曇用補助シールド10がシールド4を昇降させるたびに上側縁部分8bにこすれて、この上側縁部分8bの自由片部がついにはめくれ返るのを防止することができる。
【0073】
2、シールド取付け機構の構成
つぎに、左側のシールド取付け機構6の構成を、「(1)固定側基材」、「(2)可動側基材」、「(3)シールド着脱用操作レバー」、「(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー」、「(5)シールド」および「(6)シールド取付け機構の組み立て」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。
【0074】
(1)固定側基材
第2の実施例を示す図15〜図23においては、第1の実施例における雄ねじ部材24a、24bの図示を省略している。そして、これらの図15〜図23には、これらの雄ねじ部材24a、24bを挿通させるために、固定側基材21にそれぞれ設けられている一対のねじ挿通孔126a、126bだけが図示されている。なお、図22において、符号129は、これらの雄ねじ部材24a、24bの頭部がそれぞれ収容されるリング状凹み部である。また、第2の実施例においては、上下一対の切込み34a、34bは、必要がないから、固定側基材21において省略されている。さらに、固定側基材21の前方側の腕部127には、カム用の曲面部128が形成されている。なお、このカム用曲面部128は、前方側の腕部127をその前方側の側縁部に沿って内側面から外側面に向う方向に突出させることによって、構成されている。また、カム用曲面部128の前方側の側縁部は、カム面128aを構成している。
【0075】
(2)可動側基材
この第2の実施例においては、上述の第1の実施例において可動側基材22に用いられているほぼ倒立L字形状の板ばね43(第1のばね部43aおよび第2のばね部43bを含む。)の代わりに、図22に示すように、常温でゴム弾性を示すブロック状弾性体131が用いられている。したがって、この第2の実施例においては、ほぼ倒立L字形状の溝42(第1の溝部42aおよび第2の溝部42bを含む。)も可動側基材22において省略されている。なお、ブロック状弾性体131は、天然ゴム、合成ゴムなどのエラストマーから構成することができる。そして、このブロック状弾性体131は、ほぼ円柱形状、ほぼ直方体形状などの任意のブロック形状であってよい。
【0076】
可動側基材22には、図22に示すように、軸支部62の多少前方で多少上方の箇所において、弾性体収容用凹部132が形成されている。そして、この凹部132の前方側の側壁部には、弾性体係合用の突起部133が形成されている。また、係合用腕部41の先端部がほぼ水平方向前方に多少延在されることによって、水平腕部134が形成されている。そして、この水平腕部134の前端部には、弾性体係合用突起部135が形成されている。また、ブロック状弾性体131の前方側の一半部分を弾性体収容用凹部132に収容するとともに、ブロック状弾性体131の前後両端面にそれぞれ形成されている前後一対の係合穴(図示せず)に前後一対の弾性体係合用突起部133、135を嵌合させることによって、ブロック状弾性体131を可動側基材22に取付け保持している。したがって、係合用腕部41は、その基端部を支点とする前方側への回動をブロック状弾性体131によって弾性的に阻止される。なお、水平腕部134には、基端側から先端側にかけて、シールドロック用被係合部としてのシールドロック用凹み部136および逃げ用凹み部137がそれぞれ形成されている。なお、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における板ばね43の代わりに、上述のように、ブロック状弾性体131が用いられている。したがって、上述の第1の実施例におけるシールド4の開閉時などにおいては、可動側基材22の係合用腕部41(ひいては、板ばね43)が振動することによって、金属音(すなわち、板ばね43の振動にともなう金属音)が生じる可能性があったが、この第2の実施例においては、このような金属音が発生する恐れはない。そして、上述の第1の実施例におけるこのような金属音は、シールド4を開閉したときにこのシールド4のクリック用歯部105が係合用腕部41のクリック用歯部45を乗り越えて両者の係合状態が変化することにより係合用腕部41(ひいては、板ばね43)が振動することによって、生じ易い。
【0077】
この第2の実施例においては、図22に示すように、上述の第1の実施例の場合に較べて、ほぼ円弧状の第2のガイド部56が前方に多少移動した位置に設けられている。したがって、凹み部68と凹み部69との間に新たな凹み部138が設けられている。また、ほぼ円弧状のガイド部55の多少上方にも、凹み部139が設けられている。また、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における雌ねじ部材51およびねじ孔52に代えて、貫通孔141が設けられている。さらに、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における貫通孔74に代えて、欠如部142が形成されている。
【0078】
(3)シールド着脱用操作レバー
この第2の実施例においては、図22に示すように、上述の第1の実施例においてシールド着脱用操作レバー19に用いられていた雄ねじ部材81の代わりに、シールド着脱用操作レバー19の内側面側に向って突出しかつその先端部側にねじ孔を有するとともにその基端部側に抜け止め用の頭部を有する軸支部材143が用いられている。そして、この軸支部材143が、可動部材22の貫通孔141にその先端部側から挿入されて、この貫通孔141に回動可能に嵌合されている。また、軸支部材143の上記ねじ孔には、雄ねじ部材(図示せず)が抜け止め用のワッシャ(図示せず)を介してねじ込まれている。
【0079】
(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー
この第2の実施例においては、図22に示すように、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12の指掛け部92は、その長さ方向に延在する仮想の中心線よりもほぼ下方側の部分147において、回動輪部91に一体的に結合されている。そして、指掛け部92と回動輪部91との間には、上記中心線よりもほぼ上方側において、逃げ用のスリット144が形成されている。なお、この逃げ用スリット144には、図16に示す全閉状態、図20に示す微開状態および図21に示すロック状態において、シールド4の下端部分が部分的に挿入される。
【0080】
回動輪部91の上端部付近には、図22に示すように、その外周囲がカム面100として機能するカム用突起部98の前方側に隣接して、クリック用切込み部99が形成されている。そして、回動輪部91の上端部付近には、クリック用切込み部99の前方側に隣接して、シールドロック用係合部としてのシールドロック用突出部96が斜め上方でかつ斜め前方に延在するように突設されている。さらに、回動輪部91の後端部付近には、カム用突起部98に後方から対向するように、位置規制用の突出部145が設けられている。したがって、回動輪部91には、この位置規制用突出部145とカム用突起部98との間において、係合用切込み146が形成されている。
【0081】
(5)シールド
この第2の実施例においては、図22に示すように、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部101は、上述の第1の実施例の場合とは異なって、図16に示す全閉状態における共通の中心点C2のほぼ上方に配設されている。また、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例において設けられているシールドロック用突起部15の代わりに、カム用ならい部として機能するカム用突起部148が設けられている。そして、このカム用突起部148は、ほぼ半円柱状であって、その半筒形状の面が共通の中心点C2にほぼ向いている。なお、シールド4に設けられている第1のカム面104aと、固定側基材21に設けられている第1のカム用ならい部28とによって、第1のカム機構が構成されているのに対し、固定側基材21に設けられている第2のカム面128aと、シールド4に設けられている上記第2のカム用ならい部148とによって、第2のカム機構が構成されている。
【0082】
(6)シールド取付け機構の組み立て
固定側基材21に可動側基材22を取付ける際には、上述の第1の実施例においては、図22に示す固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の貫通孔74に挿入させるようにしている。しかし、この第2の実施例においては、図9に示す固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の欠如部142に挿入させるようにしている。また、上述の第1の実施例においては、シールド着脱用操作レバー19を雄ねじ部材81によって可動側基材22に回動可能に軸支するようにしている。しかし、この第2の実施例においては、軸支部材143の先端部側に設けられているねじ孔(図示せず)に抜け止め用ワッシャ(図示せず)を介して雄ねじ部材(図示せず)をねじ込むことによって、シールド着脱用操作レバー19を可動側基材22に回動可能に軸支するようにしている。したがって、この操作レバー19は、軸支部材143を支点として、図16における時計方向および反時計方向にそれぞれ往回動することができる。さらに、シールド4が可動側基材22に取付けられて全開状態になっているときには、シールド4に設けられている第2のカム用突起部148は、図19に示すように、固定側基材21に設けられている第2のカム面128aからほぼ上方に離間している。
【0083】
3、シールド取付け機構の動作
つぎに、シールド取付け機構の動作を、「(1)全閉状態」、「(2)1段階開放状態」、「(3)4段階開放状態」、「(4)全開状態」、「(5)取外し可能状態」、「(6)微開状態」および「(7)ロック状態」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。
【0084】
(1)全閉状態
この第2の実施例における図16に示す全閉状態においては、窓孔用縁部材8の係合用突条部124は、シールド4の係合用突条部122に係合するから、両者の相互の密着状態は非常に良好である。また、シールド4の第2のカム用突起部148が固定側基材21の第2のカム用曲面部128のカム面128aに当接しているか、あるいは、このカム面128aに近接してその前方側に位置している。そして、図16に示す全閉状態においては、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、中立位置にあるから、固定側基材21のシールド微開用突起部14は、この操作レバー12の係合用切込み146に係合してはいない。また、操作レバー12のシールドロック用突出部95は、可動側基材22のシールドロック用凹み部136に挿入されてはいない。そして、シールド4のカム用突起部148は、可動側基材22の逃げ用凹み部137に入り込んでいる。
【0085】
(2)1段階開放状態
この第2の実施例においても、図16に示す全閉状態にあるシールド4が図17に示する1段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104の第1のカム用突起部107が、固定側基材21の第1のカム用ならい部28によって前方側に押し出されながら時計方向に回動して、この第1のカム用ならい部28に乗り上げる。これとともに、シールド4の第2のカム用突起部(換言すれば、カム用ならい部)148が、固定側基材21の第2のカム用曲面部128によって前方側に押し出されながら時計方向に回動して、この第2のカム用ならい部148に乗り上げる。したがって、シールド4は、図23に示すように、第1のカム用突起部107が第1のカム用ならい部28に当接する箇所P1と、第2のカム用突起部148が第2のカム用曲面部128に当接する箇所P2との2ヶ所において、固定側基材21よって前方側に相対的に押圧される。よって、シールド4の前方への押し出しは、上述の第1の実施例におけるよりもさらに円滑に行われる。
【0086】
図23には、図16に示す全閉状態または準全閉状態における固定側基材21とシールド4との相互の位置関係が示されている。そして、この図23において、符号θ2は、直線L1と、共通の中心点C2と当接箇所P2とを結ぶ直線L3との成す角度を示している。さらに、符号D2は、共通の中心点C2と当接箇所P2との間の距離を示している。
【0087】
図23においては、角度θ1は約4°であり、距離L1は約15、5mmである。そして、これらの角度θ1および距離D1は、実用性の観点から見て一般的に、前記A3(2)項に記載の(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましく、同上のかっこ内の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのがさらに好ましい。また、図23においては、角度θ2は約34°であり、距離L2は約50mmである。そして、これらの角度θ2および距離D2は、実用性の観点から見て一般的に、前記A3(2)項に記載の(a)項および(d)項に記載の角度θ1および距離D1についての数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましく、同上のかっこ内の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのがさらに好ましい。また、図23において、角度(θ2−θ1)は約30°であり、距離(D2−D1)は34、5mmである。そして、これらの角度(θ2−θ1)および距離(D2−D1)のそれぞれの値または絶対値は、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましい。なお、これらの(a)項および(b)項におけるかっこ内の数値範囲は、満足しているのがさらに好ましい数値範囲を示している。
(a)角度(θ2−θ1):5〜55°(15〜45°)の数値範囲、および
(b)距離(D2−D1):5〜65mm(20〜50mm)の数値範囲。
【0088】
(3)4段階開放状態
この第2の実施例においては、図17に示す1段階開放状態にあるシールド4が図18に示す4段階開放状態になるときには、上述の第1に実施例の場合と同様に、シールド4のカム用曲面部104の第1のカム面104aが、このカム用曲面部104の第1のカム用突起部107から多少下方において、固定側基材21の第1のカム用ならい部28に当接する。これとともに、シールド4の第2のカム用突起部148は、図18に示すように、第2のカム用曲面部128のカム面128aから次第に離間する。したがって、この離間後には、上述の第1の実施例の場合と同様に、シールド4の第1のカム面104aと固定側基材21の第1のカム用突起部28との相互の接触状態に応じて、シールド4の前方側への押し出し位置が決定される。
【0089】
(4)全開状態
この第2の実施例における全開状態においては、シールド4の第2のカム用突起部148は、図19に示すように、固定側基材21の第2のカム面128aからほぼ上方に離間している。
【0090】
(5)取外し可能状態
この第2の実施例においては、シールド着脱用操作レバー19は、軸支部材143を支点として、図19における時計方向に往回動する。
【0091】
(6)微開状態
図16に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を図16の時計方向(すなわち、第1の往回動方向)に往回動させると、図20に示す微開状態になる。また、この微開状態においては、個体側基材21のシールド微開用突起部14が、操作レバー12のカム面100に沿って相対的に移動して、カム用突起部98に乗り上げる。このために、操作レバー12が、可動側基材22とともに、固定側基材21に対して前方側へ直線的に往動する。また、操作レバー12を上記第1の往回動方向にさらに往回動させると、固定側基材21のシールド微開突起部14の一端部が操作レバー12のクリック用切込み99に相対的に篏合する。
【0092】
(7)ロック状態
図16に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を図16の反時計方向(すなわち、第2の往回動方向)に往回動させると、図21に示すシールドロック状態になる。そして、操作レバー12の上記往回動によって、この操作レバー12のシールドロック用突起部95は、可動側基材22のシールドロック用凹み部136に挿入されて、両者が係合状態になる。このために、可動側部材22の係合用腕部41は、その基端部を支点とする図21の時計方向への往回動を阻止されて、図21に示す復回動位置に強固に保持される。したがって、シールド4のクリック用歯部105は、この係合用腕部41のクリック用歯部45によって、共通の中心点C2を支点とする図21の時計方向への往回動を阻止されるから、シールド4は、上記係合が解除されるまで、全閉状態に保持(すなわち、ロック)される。また、操作レバー12の上記往回動によって、固定側基材21のカム用ならい部(換言すれば、シールド微開用突起部)14が、操作レバー12の係合用切込み146に相対的に入り込んで、この係合用切込み146と係合する。このとき、操作レバー12(ひいては、可動側基材22およびシールド4)が多少前方に押し出されていても、カム用ならい部14が操作レバー12の位置規制用突出部145の傾斜面(すなわち、係合用切込み146側の傾斜面)145aに相対的に当接してから、係合用切込み146に相対的に入り込む。そして、上記当接によって、操作レバー12(ひいては、可動側基材22およびシールド4)が後方側に引き込まれるから、シールド4が窓孔用縁部材8に良好に密着する。なお、このようなシールドロック状態は、図19に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、同様に達成されることができる。
【0093】
以上において、本発明の第1および第2の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これら第1および第2の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0094】
例えば、上述の第1および第2の実施例においては、フルフェイス型ヘルメットに本発明を適用したが、顎覆い部が上昇可能なジェット型兼用のフルフェイス型ヘルメット、ジェット型ヘルメット、セミジェット型ヘルメットなどにも、本発明を適用することができる。
【0095】
また、上述の第1の実施例においては、カム面104aおよびカム用ならい部28を1個ずつ設け、上述の第2の実施例においては、カム面104a、128aおよびカム用ならい部28、148をそれぞれ2個ずつ設けた。しかし、カム面およびカム用ならい部はそれぞれ3個以上であってもよい。
【0096】
また、上述の第1の実施例においては、カム面104aをシールド4に設けるとともに、このカム面104aに対向するカム用ならい部28を固定側基材21に設けた。しかし、カム面を固定側基材21に設けるとともに、このカム面に対向するカム用ならい部をシールド4に設けてもよい。
【0097】
また、上述の第2の実施例においては、第1のカム面104aおよび第2のカム用ならい部148をシールド4にそれぞれ設けるとともに、これら第1のカム面104aおよび第2のカム用ならい部148にそれぞれ対向する第1のカム用ならい部28および第2のカム面128aを固定側基材21にそれぞれ設けた。しかし、第1および第2のカム面のいずれもをシールド4および固定側基材21のうちのいずれか一方にそれぞれ設けるとともに、これら第1および第2のカム面にそれぞれ対向する第1および第2のカム用ならい部のいずれもを固定側基材21およびシールド4のうちのいずれか他方にそれぞれ設けてもよい。
【0098】
また、上述の第1および第2の実施例においては、第1および第2のストッパ部50a、50bを固定側基材21にそれぞれ設けるとともに、上記第1および第2のストッパ部50a、50bにそれぞれ対向する第1および第2の被ストッパ部40a、40bを可動側基材22にそれぞれ設けた。しかし、1個または3個以上のストッパ部を固定側基材21に設けるとともに、これらのストッパ部にそれぞれ対向する1個または3個以上の被ストッパ部を可動側基材22に設けてもよい。
【0099】
また、上述の第1および第2の実施例においては、弾性附勢手段または弾性附勢部材として反撥用コイルスプリング31a、31b、88を用いた。しかし、これら3個の弾性附勢手段31a、31b、88のうちの1個、2個または3個全部は、牽引用コイルスプリングであってもよく、また、コイルスプリング以外のリーフスプリングなどの別のスプリングなどであってもよい。
【0100】
さらに、上述の第1および第2の実施例においては、シールド着脱用操作部材19と、シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材12とは、往復回動可能な操作レバーによってそれぞれ構成している。しかし、これらの操作部材19、12は、直線往復動可能な部材によってそれぞれ構成されることもでき、また、往復回動または直線往復動以外の往復動が可能な部材によってもそれぞれ構成されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第1の実施例におけるシールドの全閉状態でのヘルメット全体の概略的な左側面図である。(実施例1)
【図2】図1のシールド取付け機構を示すヘルメットの要部の拡大左側面図である。(実施例1)
【図3】シールドの1段階開放状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図4】シールドの4段階開放状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図5】シールドの全開状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図6】シールド着脱用操作レバーを往回動操作した状態での図5と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図7】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを微開方向に往回動操作した状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図8】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを図7の場合とは逆のロック方向に往回動操作した状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図9】図1のシールド取付け機構の分解正面図である。(実施例1)
【図10】シールド取付け機構が頭部保護体に組み込まれる以前の状態でのヘルメットの図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図11】シールド取付け機構のうちの固定側基材が頭部保護体に組み込まれた状態でのヘルメットの図10と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図12】シールド取付け機構のうちの固定側基材および可動側基材が頭部保護体に組み込まれた状態でのヘルメットの図10と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図13】シールドを取外した状態でのヘルメットの図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図14】図2に示す全閉状態における固定側基材とシールドとの相互の位置関係を示すヘルメットの要部の拡大側面図である。(実施例1)
【図15】本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第2の実施例におけるシールドの全閉状態でのヘルメット全体の概略的な左側面図である。(実施例2)
【図16】図15のシールド取付け機構を示すヘルメットの要部の拡大左側面図である。(実施例2)
【図17】シールドの1段階開放状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図18】シールドの4段階開放状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図19】シールドの全開状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図20】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを微開方向に往回動操作した状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図21】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを図20の場合とは逆のロック方向に往回動操作した状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図22】図15のシールド取付け機構の分解正面図である。(実施例2)
【図23】図16に示す全閉状態における固定側基材とシールドとの相互の位置関係を示すヘルメットの要部の拡大側面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0102】
1 フルフェイス型ヘルメット
2 フルフェイス型頭部保護体
4 シールド
6 シールド取付け機構
12 シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー(シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材)
19 シールド着脱用操作レバー(シールド着脱用操作部材)
21 固定側基材
22 可動側基材
23 シールド取付け基材
28 カム用突起部(第1のカム用ならい部)
31a 反撥用コイルスプリング(弾性附勢手段)
31b 反撥用コイルスプリング(弾性附勢手段)
40a 被ストッパ部
40b 被ストッパ部
50a ストッパ部
50b ストッパ部
104a カム面(第1のカム面)
128a カム面(第2のカム面)
148 カム用突起部(第2のカム用ならい部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フルフェイス型ヘルメットなどにおいては、本来のシールドに防曇用の補助シールドが取付けられることがある。なお、このような補助シールドは、本来のシールドに対して僅かな間隙を有するように、本来のシールドの内側面に着脱自在に取付けられる。したがって、このような防曇用補助シールドが本来のシールドに取付けられているヘルメットを使用する際に、本来のシールドがヘルメットの頭部保護体の左右両側の軸支部にその左右両側端部付近をそれぞれ単に軸支されているだけでは、つぎのような不都合が生じる。すなわち、左右両側の軸支部を回動中心として本来のシールドを上方に回動させたときに、防曇用補助シールドが、頭部保護体の窓孔に取付けられている窓孔用縁部材に引っ掛かってしまうことがあるから、本来のシールドおよび防曇用補助シールドの円滑な上昇が妨げられる。また、防曇用補助シールドが取付けられていない本来のシールドを上昇させるときにも、本来のシールドが窓孔用縁部材などに大なり小なり引っ掛かるために、本来のシールドの円滑な上昇が妨げられることもある。
【0003】
一方、特許文献1には、全閉状態にあるシールド(すなわち、本来のシールド)をいったん前方に引き出してから上昇させるようにしたヘルメットのシールド取付け機構が開示されている。この場合、全閉状態にあるシールドは、頭部保護体に設けられているシールド収容用の凹み部に収容されているので、いったん前方に引き出さないと上昇させることができない。このために、特許文献1のシールド取付け機構においては、シールドをいったん前方に引き出してから上昇させるようにしているから、全閉状態にあるシールドの上昇時に、シールドは、窓孔用縁部材などに引っ掛からないで上昇することができる。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように構成された特許文献1のシールド取付け機構の場合には、シールドを上昇させるときに、ヘルメット装着者が指でシールドを掴んでから、この指を前方に動かしてこのシールドをいったん前方に引き出す操作を行った後に、この指を上方に動かしてシールドを上方に引き上げる操作を行う必要がある。これに対して、このような引用文献1のシールド取付け機構を通常の(すなわち、シールド収容用凹み部を有さない)フルフェイス型ヘルメットに適用した場合には、シールドを上昇させるときに、ヘルメット装着者が指でシールドを掴んでからこの指を上方に動かすだけで、全閉状態にあるシールドを上昇させることができる。そして、このような通常のフルフェイス型ヘルメットにおいて、本来のシールドの内側面に防曇用補助シールドを取付けた場合には、上述のように、前方に引き出す操作と上方に引き上げる操作との二段階の操作を行わなければ、補助シールドが窓孔用縁部材に引っ掛かってしまうから、誤って一段階(すなわち、上方に引き上げる)だけの操作を行ったときには、本来のシールドを円滑に上昇させることができない。また、本来のシールドを円滑に上昇させるためには、上述のような二段階の操作が必要であるから、全閉状態にあるシールドを上昇させるための操作が繁雑である。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【0005】
本発明は、特許文献1のシールド取付け機構における上述のような欠点を、比較的簡単な構成でもって、効果的に是正し得るようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−183926号公報
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構において、上記シールド取付け基材が、上記頭部保護体に固定される固定側基材と、この固定側基材に対して前後進可能に直線往復動し得るように、上記固定側基材に取付けられている可動側基材とを備え、上記シールドが、上記可動側基材に回動可能に支持され、少なくとも1個のカム面が、上記シールドまたは上記固定側基材に設けられ、少なくとも1個のカム用ならい部が、上記少なくとも1個のカム面に当接し得るように、上記固定側基材または上記シールドに設けられ、全閉状態にある上記シールドにほぼ上昇方向への力が加わったときに、上記カム用ならい部が上記カム面に相対的にならうことによって、上記シールドが上記可動側基材をともなってほぼ前方に往動するように構成されたものである。この場合、上記シールドが上記可動側基材をともなって前方に往動する距離(換言すれば、上記可動側基材が上記固定側基材に対して前方に往動する距離)は、実用性の観点から見て一般的に、1〜8mmの範囲であるのが好ましく、1.5〜6mmの範囲であるのがより好ましく、2〜4mmの範囲であるのがさらに好ましい。
【0007】
また、本発明においては、上記少なくとも1個のカム面が1個であり、上記少なくとも1個のカム用ならい部が1個であってよい。この場合、上記カム面が上記シールドに設けられ、上記カム用ならい部が上記固定側基材に設けられていてよい。また、本発明においては、上記少なくとも1個のカム面が2個であり、上記少なくとも1個のカム用ならい部が2個であってもよい。この場合、上記2個のカム面のうちの第1のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第2のカム用ならい部とが、上記シールドにそれぞれ設けられ、上記2個のカム面のうちの第2のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第1のカム用ならい部とが、上記固定側基材にそれぞれ設けられていてよい。
【0008】
また、本発明においては、上記可動側基材を上記固定側基材に対してほぼ後方に向って弾性的に附勢することができる弾性附勢手段と、上記固定側基材に設けられている少なくとも1個のストッパ部と、上記可動側基材に設けられている少なくとも1個の被ストッパ部とをさらに備え、上記可動側基材が上記弾性附勢手段によって弾性的に附勢されて復動位置に保持されているときには、上記少なくとも1個の被ストッパ部が上記少なくとも1個のストッパ部に当接しているのが好ましい。さらに、本発明においても、上記シールドを上記可動側基材から取外すために操作されるシールド着脱用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、上記シールドを全開状態まで往回動させてから上記シールド着脱用操作部材を往動させることによって、上記シールドの取外し可能状態が得られるように構成されているのが好ましい。この場合、上記シールドを全開状態まで往回動させたときには、上記被ストッパ部が上記ストッパ部に当接しているのが好ましい。
【0009】
また、本発明においては、上記シールドを微開状態にすることができるとともに上記シールドを全閉位置においてロック状態にもすることができる往復動可能なシールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を中立位置から第1の往動方向に往動させたときには、上記シールドを微開状態にすることができ、上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を上記中立位置から第2の往動方向に往動させたときには、上記シールドをロック状態にすることができるように構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防曇用補助シールドがその内側面に取付けられているシールドであっても、また、取付けられていないシールドであっても、全閉状態にあるシールドの上昇時に、シールドや防曇用補助シールドが頭部保護体の窓孔用縁部材などに引っ掛からないで上昇することができる。また、シールド取付け機構の構造が比較的簡単であるにもかかわらず、全閉状態にあるシールドを上方に引き上げる操作を行うだけでもって、シールドを前方に引き出してから上昇させることができるから、全閉位置にあるシールドを上昇させる操作が比較的簡単かつ比較的確実であり、また、誤操作の恐れがない。
【0011】
また、請求項2に係る発明によれば、シールド取付け機構の構造がさらに簡単である。
【0012】
また、請求項3に係る発明によれば、シールドを固定側基材によって2ヶ所で前方側に押圧することができるから、シールドの前方側への押し出しをさらに円滑に行うことができる。
【0013】
また、請求項4に係る発明によれば、比較的簡単な構造でもって、可動側基板を固定側基板に対して比較的確実に復動位置を保持することができる。
【0014】
また、請求項5に係る発明によれば、シールドの取外し操作を比較的簡単な構造でもって比較的簡単に行うことができる。
【0015】
また、請求項6に係る発明によれば、全開状態にあるシールドが走行風によってあおられるのを多少とも防止することができる。そして、この請求項6に係る発明を請求項5に係る発明と組み合せた場合には、シールドの取外し操作を比較的簡単かつ比較的確実に行うことができる。
【0016】
さらに、請求項7に係る発明によれば、比較的簡単な構造であるにもかかわらず、シールドの微開状態への操作と、シールドのロック状態への操作とを共通の操作部材によって比較的簡単に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
つぎに、本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第1および第2の実施例を、「A、第1の実施例」および「B、第2の実施例」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
A、第1の実施例
まず、本発明の第1の実施例を、「1、ヘルメット全体の概略的構成」、「2、シールド取付け機構の構成」および「3、シールド取付け機構の動作」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。
【0019】
1、ヘルメット全体の概略的構成
フルフェイス型ヘルメット1は、図1に示すように、自動二輪車のライダなどのヘルメット装着者の頭部に装着されるフルフェイス型の頭部保護体2と、ヘルメット装着者の額部と顎部との間(すなわち、顔面の中央部分)に対向するように頭部保護体2の前面に形成された窓孔3を開閉し得る本来のシールド(換言すれば、メイン・シールド)4と、頭部保護体2の内側にそれぞれ取付けられた左右一対の顎掛け用バンド(図示せず)とから成っている。そして、頭部保護体2のうちのヘルメット装着者の顎部、額部などとそれぞれ対向する部分には、頭部保護体2内の換気を行うための1個または複数個のベンチレータ(図示せず)が必要に応じてそれぞれ設けられている。また、シールド4は、風防のためにヘルメット1に設けられているが、必要に応じて、透光性を特に阻害しないように着色されることにより日よけ(すなわち、バイザー)を兼用することもでき、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい。さらに、シールド4の左右両側部付近は、頭部保護体2の外周壁を構成する外側シェル5に、左右一対のシールド取付け機構6によって回動自在にそれぞれ取付けられている。
【0020】
シールド5の内側面には、図1および図2に示すように、ポリカーボネート、その他の合成樹脂などの透明または半透明の硬質材料から成っていてよい防曇用の補助シールド10が、シールド4に対して僅かな間隙17を有するようにかつ着脱自在に、取付けられることができる。この取付けのために、シールド4の内側面の左右両側部分の中央部分よりも多少下方には、図2に示すように、係合用のリング状溝をそれぞれ有する左右一対の係合ピン16が、ねじ込みなどによって、それぞれ取付け固定されている。また、防曇用補助シールド10の左右両端部のそれぞれのほぼ上下方向における中央部分よりも多少下方には、左右一対の舌片部10aがそれぞれ突設されている。さらに、これら左右一対の舌片部10aには、後方に向ってそれぞれ開口している左右一対の係合用スリット18がそれぞれ形成されている。そして、左右一対の係合ピン16をこれら左右一対の係合用スリット18にそれぞれ嵌合させることによって、防曇用補助シールド10がシールド4の内側面に取付けられている。また、防曇用補助シールド10がシールド4に対して僅かな間隙17を保持するとともに、この間隙17を気密に保持するために、シリコンゴムなどの弾性材料から成るパッキン用突条部29が、補助シールド10の外側面のうちの左右一対の舌片部10aを除く領域の外周囲に沿って、ループ状に形成されている。
【0021】
外側シェル5は、周知のように、FRP、その他の合成樹脂などの強度の大きい硬質材料から成っていてよい。また、図1に示すように、頭部保護体2の窓孔3を形成するために外側シェル5に形成された窓孔7のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、周知なように断面がほぼU字状、ほぼE字状などの窓孔用縁部材8が取付けられている。そして、図1および図10に示すように、窓孔7の下端部に沿って窓孔用縁部材8の下端部にほぼ水平に連設されている突状部8aは、全閉位置にあるシールド4の下端部が当接するように構成されている。さらに、外側シェル5の下端部のほぼ全周囲にわたって、接着剤、両面接着テープなどによる接着などによって、断面がほぼU字状などの下端用縁部材9が取付けられている。なお、窓孔用縁部材8は、周知のように、合成ゴム、その他の可撓性に富んだ弾性材料から成っていてよい。また、下端用縁部材9は、周知のように、発泡塩化ビニール、合成ゴム、その他の軟質合成樹脂などの軟質材料から成っていてよい。さらに、図1において、符号11は、ヘルメット装着者がシールド4を上方および下方に往復回動させる際に指を掛けるために、シールド4のほぼ中央部分の下端部に一体的に設けられた指掛け部である。
【0022】
右側(ヘルメットの前面に向って左側)のシールド取付け機構6は、図9に示しかつ後述するようなシールド微開用の操作レバー兼用のシールドロック用の操作レバー12、この操作レバー12をガイドするための一対のガイド用の突起部13a、13bなど、シールド微開用の突起部14およびシールドロック用の突起部15が特に必要ではないために設けられていない点を除いて、左側のシールド取付け機構6とは左右対称的に構成されている。したがって、以下において、右側のシールド取付け機構6についての説明を省略して、左側のシールド取付け機構6についてのみ説明する。
【0023】
2、シールド取付け機構の構成
左側のシールド取付け機構6は、図9に示すように、
(a)固定側の基材21および可動側の基材22を含みかつシールド4を頭部保護体2に取付けるのに用いられるシールド取付け基材23、
(b)シールド4を可動側基材22から取外すときと、場合によっては可動側基材22に取付けるときとにそれぞれ操作されるシールド着脱用操作レバー19、
(c)全閉位置にあるシールド4を僅かに開放するときと、全閉位置にロックするときとにそれぞれ操作されるシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12、
(d)可動側基材22にその左側端部付近を着脱可能に取付けられることができるシールド4、
とを含んでいる。したがって、以下において、左側のシールド取付け機構6の構成を、「(1)固定側基材」、「(2)可動側基材」、「(3)シールド着脱用操作レバー」、「(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー」、「(5)シールド」および「(6)シールド取付け機構の組み立て」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。なお、固定側基材21、可動側基材22、操作レバー19、12は、ポリアセタール樹脂などの合成樹脂などからそれぞれ成っていてよい。
【0024】
(1)固定側基材
シールド取付け基材23の固定側基材21は、図9および図11に示すように、大きな中央貫通口20を有する大よそ直角三角形状の枠構造に構成されている。そして、図11においてはハーフトーンで示されている固定側基材21は、大きな中央貫通口20を有することを除いて、大よそ板状体の形状に構成されている。また、この固定側基材21は、上下2ヶ所のねじ挿通孔(図示せず)に挿通される一対の雄ねじ部材24a、24bによって、図10に示す頭部保護体2に図11に示すように取付け固定される。なお、外側シェル5の窓孔7の後方側(すなわち、図10における右側)には、図10に示すように、上下一対の雌ねじ部材25a、25bがそれぞれ埋設固定されている。そして、一対の雄ねじ部材24a、24bが、固定側基材21の上記取付け固定のために、その外側面からこれら一対の雌ねじ部材25a、25bのねじ孔30a、30bにそれぞれねじ込み固定されている。さらに、固定側基材21は、外側シェル5の外周面の湾曲形状にほぼ一致するように、その内側面が外側面に向って多少盛り上がった湾曲形状であるのが好ましい。そして、このような湾曲形状は、可動側基材22も同様に有しているのが好ましい。
【0025】
固定側基材21には、図9に示すように、上下一対の雄ねじ部材24a、24b(換言すれば、これら上下一対の雄ねじ部材24a、24bがそれぞれ挿通される前記ねじ挿通孔)のそれぞれの上下両側の箇所において、断面がそれぞれほぼU字状の上下一対のガイド溝26a、26bおよび上下一対のガイド溝27a、27bがそれぞれ形成されている。この場合、それらの上側のガイド溝26a、27aのそれぞれの深さ方向は、上方から下方にほぼ向う方向であり、それらの下側のガイド溝26b、27bのそれぞれの深さ方向は、下方から上方にほぼ向う方向である。また、固定側基材21には、上側の雄ねじ部材24aの前方側の箇所において、カム用ならい部として機能するカム用突起部28が形成されている。さらに、固定側基材21の外側面には、上下一対の雄ねじ部材24a、24bのそれぞれの後方側の箇所において、上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容するための上下一対のスプリング収容用の凹部32a、32bがそれぞれ形成されている。そして、これら上下一対の凹部32a、32bの前方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部33a、33bがそれぞれ形成されている。
【0026】
固定側基材21の外側面には、下側のスプリング収容用凹部32bの後方側の箇所において、カム用ならい部として機能する前記シールド微開用突起部14が突設されている。そして、固定側基材21には、上下一対のガイド溝26a、26bの上側附近および下側附近において、上下一対の切込み34a、34bがそれぞれ形成されている。なお、これら上下一対の切込み34a、34bは、図9に示す可動側基材22の上下一対の被ガイド用の突条部35a、35bが図12に示す復動位置に復動しているときの逃げとして機能する。
【0027】
(2)可動側基材
シールド取付け基材23の可動側基材22は、図9および図12に示すように、固定側基材21の外周囲を一回り大きくした外周囲を有していて、固定側基材21よりも大きいほぼ板状体形状に構成されている。また、図12においてはハーフトーンで示されている可動側基材22には、図9に示すように、上下一対の貫通口36a、36bがそれぞれ形成されている。そして、上側の貫通孔36aには、図12に示すように、固定側基材21のうちの上方に有る上下一対のガイド溝26a、26bが形成されている高位部分39aが挿入されることができる。また、下側の貫通孔36bには、下方にある上下一対のガイド溝27a、27bが形成されている高位部分39bが挿入されることができる。そして、上側の貫通口36aの周壁部には、その上下両側の側壁部において、前記上下一対の被ガイド用の突条部35a、35bがそれぞれ形成されるとともに、その後方側の側壁部において、前記上側の反撥用コイルスプリング31aが係合するためのスプリング係合用突起部37aが形成されている。また、下側貫通孔36bの周壁部には、その上下両側の側壁部において、上下一対の被ガイド用の突条部38a、38bがそれぞれ形成されるとともに、その後方側の側壁部において、下側の反撥用コイルスプリング31bが係合するためのスプリング係合用突起部37bが形成されている。
【0028】
可動側基材22には、図9に示すように、その前方側の端部のほぼ中央部分において、上方から下方に向って延在していて下端部が自由端部を構成しかつ弾性的に屈曲することができる係合用の腕部(すなわち、片持ち構造の係合用腕部)41が形成されている。また、可動側基材22の外側面には、係合用腕部41の自由端部付近からこの腕部41を通過して可動側基材22の上端部付近まで延在しかつこの上端部付近を前方側から後方側に向ってさらに延在しているほぼ倒立L字形状の溝42が形成されている。そして、この溝42には、係合用腕部41の強度を補強するためのほぼ倒立L字形状の金属製などの板ばね43が挿入固定されている。なお、この強度補強部材としての金属製などの板ばね43は、溝42にぴったりと嵌合し得るように、この溝42とほぼ同形(すなわち、ほぼ同一形状のほぼ倒立L字形状)であるとともに、溝42の深さよりも広幅であるのが好ましい。この場合、ほぼ水平方向に延在する第1の溝部42aとほぼ垂直方向に延在する第2の溝部42bとから、溝42を構成するとともに、ほぼ水平方向に延在する第1のばね部43aとほぼ垂直方向に延在する第2のばね部43bとから、板ばね43を構成した。そして、第1および第2のばね部43a、43bを第1および第2の溝部42a、42bにそれぞれ挿入固定した。しかし、第1の溝部42aおよび第1のばね部43aをそれぞれ省略して、第2の溝部42bおよび第2のばね部43bのみから、溝42および板ばね43をそれぞれ構成することもできる。また、強度補強部材としての板ばね43を必要に応じて金属製などのコイルスプリングに変更することもできる。そして、この場合には、溝42を上記コイルスプリングの太さに合せて太くすることができる。また、この場合には、第1の溝部42aおよび第1のばね部43aを必要に応じてそれぞれ省略して、第2の溝部42bおよび第2のばね部43bのみから、溝42およびコイルスプリング43をそれぞれ構成するのが好ましい。
【0029】
可動側基材22には、図9に示すように、係合用腕部41の後方側の箇所において、この係合用腕部41の基端部から自由端部まで延在しているスリット44が設けられている。そして、係合用腕部41の後方側の側端部(換言すれば、スリット44に臨む側端部)には、1個または複数個(図示の場合には、2個)の歯を有するクリック用歯部45が形成されている。また、可動側基材22には、係合用腕部41の図9における反時計方向への往動を規制するストッパ46が、この係合用腕部41の自由端部に対向するようにかつスリット44の基部に臨むように、形成されている。さらに、可動側基材22には、ほぼ円弧状の第1のガイド部47がスリット44の後方側の端部に沿って形成されている。なお、この第1のガイド部47は、可動側基材22の内側面をスリット44の後方側の端部に沿って凹ませることによって、スリット44の長さとほぼ同じ長さで形成されている。そして、この第1のガイド部47は、スリット44に向ってひさし構造で突出している。
【0030】
可動側基材22の外側面には、図9に示すように、ガイド部47の下端部付近の後方側の箇所において、スプリング収容用凹部48が形成されている。そして、この凹部48の前方側の側壁部には、スプリング係合用突起部49が形成されている。また、可動側基材22には、ガイド部47の上端部付近の後方側の箇所において、雌ねじ部材51を埋設固定することなどによって形成されたねじ孔52が設けられている。さらに、可動側基材22の内側面には、ねじ孔52の上方においてほぼ水平に延在するように、固定側基材21の上側腕部21aが挿入または嵌合される条溝部53が形成されている。なお、符号54は、この条溝部53を形成するために、可動側基板22の内側面にほぼ水平に延在するように形成されている突条部である。
【0031】
可動側基材22には、突条部54の上方側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド部55が形成されている。なお、このガイド部55は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、このガイド部55の下方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、ガイド部55は、可動側基板22の面方向にひさし構造で突出している。また、可動側基材22には、上側の貫通孔36aの後方側の箇所において、ほぼ円弧状の第2のガイド部56が形成されている。なお、この第2のガイド部56は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、この第2のガイド部56の上方側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、第2のガイド部56は、可動側基材22の面方向にひさし構造で突出している。
【0032】
上側の貫通孔36aと下側の貫通孔36bとの間には、図9に示すように、中間の貫通孔57が形成されている。そして、この貫通孔57の側壁部には、固定側基材21のシールド微開用突起部14の逃げのための凹み部58が形成されている。また、上側の貫通孔36aと中間の貫通孔57との間には、ほぼ円弧状の第3のガイド部61が形成されている。なお、この第3のガイド部61は、その内側面を凹ませることによって、肉薄に形成されている。そして、可動側基材22には、この第3のガイド部61の貫通孔36a側の端部の内側面側に隣接して、ほぼ円弧状のガイド用スリット(図示せず)が形成されている。したがって、第3のガイド部61は、可動側基材22の面方向にひさし構造で突出している。なお、ほぼ円弧状の第1のガイド部47の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第2のガイド部56の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3のガイド部61の仮想の円の中心とは、図9に示すほぼ共通の中心点C1であるのが好ましい。
【0033】
図9に示す可動側基材22の外側面には、下側の貫通孔36bを取り囲むように、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12のためのほぼ円環状の軸支部62が突設されている。そして、この軸支部62の外周囲には、3個のクリック用の凹み部60a、60b、60cがそれぞれ形成されている。また、前記一対のガイド用突起部13a、13bがこの軸支部62の外周囲付近に設けられた上下一対の欠如部63a、63bにそれぞれ配設されている。なお、符号64は、凹部58の前方側に隣接している段差部であって、軸支部62の外側に隣接して位置する低位部75と、段差部64を介してこの低位部75にそれぞれ隣接している高位部76および中位部77との間に延在している。また、符号72、73のそれぞれは、固定側基材21の斜め方向に延在する傾斜腕部21bのための段差部である。そして、符号65、66、67、68、69、70、71は、可動側基材22にそれぞれ設けられている凹み部であって、上記中位部77とほぼ同程度の高さになっている。さらに、可動側基材22には、上側の貫通孔36aの前方側の側壁部を面方向に貫通するように、固定側基材21のカム用ならい部28が挿入される貫通孔74が形成されている。そして、この貫通孔74は、上側貫通孔36aと凹み部65とを連通するように、可動側基材22のほぼ面方向に沿って貫通している。
【0034】
(3)シールド着脱用操作レバー
シールド着脱用操作部材として機能するシールド着脱用操作レバー19は、図9および図13に示すように、長手状のほぼ細板形状に構成されていて、その大よそ中間部分には、ねじ挿入孔が設けられている。そして、この操作レバー19は、その外側面からこのねじ挿通孔に挿入される雄ねじ部材81を可動側基材22のねじ孔52にねじ込み固定することによって、可動側基材22に回動可能に取付け固定される。この場合、シールド着脱用操作レバー19を可動側基材22に回動可能に取付け固定するために、雄ねじ部材81、操作レバー19のねじ挿通孔および可動側基材22のねじ孔52を用いている。しかし、上記雄ねじ部材81、上記ねじ挿通孔および上記ねじ孔52に代えて、シールド着脱用操作レバー19の内側面側に突出しかつその先端部側にねじ孔を有するとともにその基端部側に抜け止め用の頭部を有する軸支部材(図示せず)を、この操作レバー19に設けてもよい。この場合、可動側基材22には、上記軸支部材を回動可能に嵌合させる貫通孔が設けられる。そして、操作レバー19の外側面側からその先端部側を上記貫通孔に挿入されて上記貫通孔に回動可能に嵌合された上記軸支部材の先端面側から、雄ねじ部材(図示せず)が抜け止め用のワッシャ(図示せず)などを介して上記軸支部材の上記ねじ孔にねじ込まれる。
【0035】
図13においてはハーフトーンで示されているシールド着脱用操作レバー19は、雄ねじ部材81よりも上方側の箇所に第1の係止用の爪部82を有するとともに、雄ねじ部材81よりも下方側の箇所に第2の係止用の爪部83を有している。なお、これら第1および第2の係止用爪部82、83は、それらの内側面を凹ませることによってそれぞれ肉薄に構成されるとともに、それらの外側面が基端側から先端側に向ってその内側面側にそれぞれ傾斜していて厚みが次第に小さくなっているのが好ましい。したがって、第1および第2の係止用爪部82、83は、操作レバー19の面方向にひさし構造でそれぞれ突出している。また、操作レバー19には、第2の係止用爪部83の下方付近において、第3の係止用爪部89が形成されている。なお、この第3の係止用爪部89は、図13に示すように、可動側基材22のほぼ円弧状のガイド部61に係止されるから、可動側基材22からの操作レバー19の浮上りが防止される。さらに、シールド着脱用操作レバー19の上端部には、図9および図13に示すように、その外側面を凹ませることによって肉薄になっているほぼ円弧状の被ガイド部84が形成されている。
【0036】
シールド着脱用操作レバー19の下端部には、図9に示すように、この操作レバー19を往回動させる際に指を掛けるためのリング状の指掛け部85が一体的に形成されている。また、シールド着脱用操作レバー19の内側面には、雄ねじ部材81と指掛け部85との間において、その内側面だけではなくて前方側にも開放されているスプリング収容用の凹部86が、可動側基材22のスプリング収容用凹部48に対向するように、形成されている。そして、このスプリング収容用凹部86の後方側の側壁部には、スプリング係合用の突起部87が形成されている。さらに、可動側基材22のスプリング収容用凹部48およびシールド着脱用操作レバー19のスプリング収容用凹部86には、図13に示すように、共通の反撥用コイルスプリング88が、その両端部をスプリング係合用突起部49、87にそれぞれ係合させた状態で、収容される。
【0037】
(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー
シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材として機能するシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、図9に示すように、中央開口93を有する回動輪部91を有している。そして、この回動輪部91の内周囲には、クリック用の突起部90が形成されている。また、この回動輪部91の下端部付近には、ほぼロッド形状の指掛け部92が一体成形されている。さらに、回動輪部91の外側面には、中央開口93の内周端部において、上下一対のほぼ円弧状の被ガイド部94a、94bがそれぞれ設けられている。
【0038】
回動輪部91の上端部付近には、図9および図13に示すように、この回動輪部91に対して傾斜した方向においてその斜め後方でかつ斜め上方に突出している突出部95が形成されている。そして、回動輪部91と突出部95との間には、シールドロック用係合部96が係合用切込みとして形成されている。また、突出部95のうちのシールドロック用係合部96側とは反対側には、その係合部96側からその反対側に向って肉薄になるよに傾斜している長細い乗り越え幇助用の傾斜面97が形成されている。さらに、回動輪部91の外周囲には、指掛け部92に近接した箇所において、その外周面がカム面100として機能するカム用突起部98が形成されている。そして、このカム用突起部98のうちの指掛け部92側の端部に隣接して、クリック用の切込み99が形成されている。
【0039】
(5)シールド
シールド4の内側面の左側の端部付近には、図9に示すように、このシールド4の左側の先端部から中央部分側に向って、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部101、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部102およびほぼ円弧状の第3の被ガイド部103が順次配設されている。なお、これらほぼ円弧状の第1の被ガイド部101の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第2の被ガイド部102の仮想の円の中心と、ほぼ円弧状の第3の被ガイド部103の仮想の円の中心とは、図9に示すほぼ共通の中心点C2であるのが好ましい。そして、第1の被ガイド部101は、中心点C2とは反対側の端部がその外側面(すなわち、シールド4の外側面側の面)において凹んでいるから、中心点C2とは反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。
【0040】
第2の被ガイド部102は、図9に示すように、その中心点C2とは反対側の端部がその外側面において凹んでいるから、中心点C2とは反対側の方向に向ってひさし構造で突出している。さらに、シールド4の内側面には、ほぼ円弧状のカム用の曲面部104が、第2の被ガイド部102と一体的に形成されている。そして、このほぼ円弧状のカム用曲面部104の中心点C2とは反対側の面の仮想の円の中心も、図9に示す共通の中心点C2であるのが好ましい。そして、カム用曲面部104の上端部は、カム用突起部107を構成している。また、カム用曲面部104の中心点C2側の面(カム用突起部107の外周面を含む。)には、第2の被ガイド部102にほぼ隣接しかつこの第2の被ガイド部102と背中合せになるように、カム面104aが形成されている。そして、第3の被ガイド部103は、中心点C2側の端部がその外側面において凹んでいるから、中心点C2の方向に向ってひさし構造で突出している。さらに、シールド4の内側面には、1個または複数個(図示の場合には、6個)の歯を有していてほぼ波形状でかつ全体としてほぼ円弧状のクリック用歯部105が、第3の被ガイド部103と一体的に形成されている。そして、このほぼ円弧状のクリック用歯部105の仮想の円の中心も、図9に示す中心点C2であるのが好ましい。なお、上記1個または複数個の歯は、クリック用歯部105のうちの中心点C2とは反対側の端部に沿って全体としてほぼ円弧状に形成されている。そして、第3の被ガイド部103は、これらの歯と背中合せになるように、クリック用歯部105と一体に形成されている。さらに、シールド4の内側面には、第3の被ガイド部103から中心点C2とは反対側に多少離間した位置において、前記シールドロック用突起部15が一体的に突設されている。
【0041】
(6)シールド取付け機構の組み立て
シールド取付け機構6の組み立てに際しては、
(ア)固定側基材21に可動側基材22を取付けること、
(イ)この可動側基材22にシールド着脱用操作レバー19およびシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12をそれぞれ取付けること、
(ウ)頭部保護体2の外側面の左右両側にこれら4個の部材21、22、19、12から成る組み合せ構造の左右一対をそれぞれ取付けること、
(エ)頭部保護体2の左右両側の可動側基材22にシールド4の左右両側端部付近をそれぞれ取付けること、
を順次行うのが好ましい。したがって、以下において、シールド取付け機構6の組み立て操作を上記(ア)項〜(エ)項に記載の順次で説明する。なお、右側のシールド取付け機構6は、左側のシールド取付け機構6の組み立てに準じて組み立てることができるから、以下においては、左側のシールド取付け機構6の組み立て操作のみを説明する。
【0042】
上記(ア)項に記載のように、図9に示す固定側基材21に図9に示す可動側基材22を取り付けるに際しては、図12に示すように、固定側基材21の外側面に可動側基板22の内側面を重ね合せる。そして、固定側基材21の上方側の上下一対のガイド溝26a、26bおよび下方側の上下一対のガイド溝27a、27bに、可動側基材22の上方側の上下一対の被ガイド用突条部35a、35bおよび下方側の上下一対の被ガイド用突条部38a、38bをそれぞれ相対的に嵌合させる。このとき、固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の貫通孔74に挿入させる。ついで、固定側基材21の上下一対のスプリング収容用凹部32a、32bに上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bをそれぞれ収容する。このとき、上側の反撥用コイルスプリング31aの両端部をスプリング係合用突起部33a、37aにそれぞれ係合させる。また、下側の反撥用コイルスプリング31bの両端部をスプリング係合用突起部33b、37bにそれぞれ係合させる。
【0043】
この状態においては、可動側基材22は、図12に示すように、上下一対の反撥用コイルスプリング31a、31bによってほぼ後方(すなわち、図12におけるほぼ右側)に向って弾性的に附勢されていて、その復動位置に配されている。このために、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部としての前壁部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部としての前壁部50a、50bにそれぞれ当接している。
【0044】
また、上記(イ)項に記載のように、図9に示す可動側基材22に図9に示すシールド着脱用操作レバー19を取り付けるに際しては、図13に示すように、可動側基材22の外側面に操作レバー19の内側面を重ね合せる。そして、可動側基材22のスプリング収容用凹部48および操作レバー19のスプリング収容用凹部86に共通の反撥用コイルスプリング88を収容する。このとき、反撥用コイルスプリング88の両端部をスプリング係合用突起部49、87にそれぞれ係合させる。これとともに、操作レバー19の被ガイド部84を可動側基材22のガイド部55の内側面側に挿入する。また、操作レバー19の第3の係止用爪部89を可動側基材22のガイド部61の内側面側に挿入する。ついで、雄ねじ部材81を操作レバー19のねじ挿通孔に挿入させてから可動側基材22のねじ孔52にねじ込むことによって、操作レバー19を可動側基材22に回動可能に軸支する。
【0045】
この状態においては、シールド着脱用操作レバー19は、図13に示すように、反撥用コイルスプリング88によって雄ねじ部材81を支点として図13における反時計方向に弾性的に附勢されていて、その復回動位置に配されている。そして、操作レバー19の被ガイド部84は、可動側基材22のガイド部55の前方側の端部に当接している。なお、操作レバー19は、その被ガイド部84が可動側基材22のガイド部55の後方側の端部に当接するまで、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって往回動することができる。また、操作レバー19が上記復回動位置にあるときには、この操作レバー19の第1の係止用爪部82は、図13に示すように、可動側基材22のガイド部55の前方側の端部付近とガイド部47との間隙111をほぼ塞いでいる。また、操作レバー19の第2の係止用爪部83は、可動側基材22のガイド部61のほぼ上方に連なる間隙112をほぼ塞いでいる。
【0046】
また、上記(イ)項に記載のように、可動側基材22にシールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を取付けるに際しては、図13に示すように、可動側基材22の外側面に操作レバー12の内側面を重ね合せる。そして、操作レバー12の上下一対の被ガイド部94a、94bを可動側基材22の上下一対のガイド用突起部13a、13bにそれぞれ強く押し当てることによって、これらの被ガイド部94a、94bをガイド用突起部13a、13bにそれぞれ係合させる。この状態においては、操作レバー12は、ガイド用突起部13a、13bが被ガイド部94a、94bに沿って相対的に摺動する範囲内で、可動側基材22の軸支部62に対して往復回動することができる。ついで、操作レバー12を所定の回動位置まで回動させることによって、そのクリック用突起部90を可動側基材22の3個のクリック用凹み部60a〜60cのうちの真中のクリック用凹み部(すなわち、通常使用時のための凹み部)60bに嵌合させておく。
【0047】
また、上記(ウ)項に記載のように、図9に示す4個の部材21、22、19、12から成る組み立て構造を頭部保護体2の外側面の左側に取付ける際には、図9に示す一対の雄ねじ部材24a、24bを固定側基材21の上下一対のねじ挿通孔にそれぞれ挿通させてから、これら一対の雌ねじ部材24a、24bのための図10に示す一対のねじ孔30a、30bに一対の雌ねじ部材24a、24bをそれぞれねじ込み固定する。
【0048】
さらに、上記(エ)項に記載のように、可動側基材22にシールド4の左側の端部を取付けるに際しては、予め、図13に示すシールド着脱用操作レバー19を、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって、雄ねじ部材81を支点として図13の時計方向に往回動させてもよい(図6参照)。しかし、操作レバー19をこのように操作する必要は必ずしもなくて、シールド4の第1の被ガイド部101、第2の被ガイド部102および第3の被ガイド部103を、可動側基材22の第2のガイド部56、シールド着脱用操作レバー19の第2の係止用爪部83および第1の係止用爪部82にそれぞれ当てがってから、シールド4の左側の端部付近を可動側基材22に向って強く押し付けるだけでもよい。この場合、操作レバー19の第2および第1の係止用爪部83、82がシールド4の第2および第3の被ガイド部102、103によってそれぞれ強く押し付けられるから、操作レバー19は、上述の往回動操作の場合と同様に、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって往回動する。このために、シールド4の第1の被ガイド部101は、可動側基材22の第2のガイド部56と係合する。これとともに、シールド4の第2および第3の被ガイド部102、103は、可動側基材22の間隙112、111にそれぞれ配される。このために、操作レバー19は、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力によって、雄ねじ部材81を支点として図6における反時計方向に復回動する。したがって、シールド4の第2および第3の被ガイド部102、103は、操作レバー19の第2および第1の係止用爪部83、82によって、浮き上り(すなわち、可動側基材22からの離脱)をそれぞれ防止される。
【0049】
この状態においては、シールド4は、図5に示す全開状態になっている。したがって、シールド4のカム用曲面部104は、固定側基材21のカム用ならい部28がそのカム面104aの長さ方向におけるほぼ中央部分(具体的には、凹み部106)に当接するように、上昇している。また、シールド4のクリック用歯部105は、その複数個の歯のうちの最下端の歯が可動側基材22の複数個のクリック用歯部45のうちの最上端の歯にこの最上端の歯の上側で隣接するように、上昇している。そして、この状態においては、可動側基材22における共通の中心点C1と、シールド4における共通の中心点C2とは、実質的に互いに同一である。
【0050】
上述のような上記(ア)項〜(エ)項に記載の組み立て操作によって、シールド取付け機構6を頭部保護体2に取付けることができる。
【0051】
3、シールド取付け機構の動作
シールド4は、
(a)図1および図2に示す全閉状態、
(b)図3に示す1段階開放状態、
(c)図4に示す4段階開放状態、
(d)図5に示す全開状態、
(e)図6に示す取外し可能状態、
(f)図7に示す微開状態、
(g)図8に示すロック状態、
のそれぞれを少なくとも採ることができる。したがって、以下において、「(1)全閉状態」、「(2)1段階開放状態」、「(3)4段階開放状態」、「(4)全開状態」、「(5)取外し可能状態」、「(6)微開状態」および「(7)ロック状態」に項分けして、図1〜図14を参照しつつ説明する。
【0052】
(1)全閉状態
シールド4は、前記2(6)項に記載のようにして可動側基材22に取付けられた直後には、図5に示す全開状態になっている。そして、指をシールド4の指掛け部11に掛けるなどして、その左右両端部の共通の中心点C2をそれぞれ回動中心としてこのシールド4を上方から下方に回動させると、シールド4は図2に示す全閉状態になる。なお、この全閉状態においては、シールド4の下端部が、窓孔用縁部材8の突状部8aに接触する。また、シールド4の第1〜第3の被ガイド部101〜103が、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47の一方の終端に当接するか、あるいは、当接する直前の状態になる。さらに、この全開状態から全閉状態へのシールド取付け機構6の動作は、全閉状態から全開状態への動作と実質的にちょうど逆であるから、その詳細の説明は、この項では省略する。
【0053】
また、図2に示す全閉状態においては、固定側基材21のカム用ならい部28がシールド4のカム用曲面部104のカム面104aに相対的に当接しているか、あるいは、このカム面104aに相対的に近接してその上側に位置している。したがって、可動側部材22は、図12に示す場合と同様に、固定側部材21に対して復動位置にある。また、シールド4のクリック用歯部105の最上端の歯は、可動側基材22のクリック用歯部45の最下端の歯にこの最下端の歯の下方側から当接しているか、あるいは、この最下端の歯に近接してその下方に位置している。
【0054】
さらに、図2に示す全閉状態においては、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、中立位置にあるから、シールド4のシールドロック用突起部15は、この操作レバー12のシールドロック用係合部96に係合してはいない。これとともに、固定側基材21のシールド微開用突起部14は、操作レバー12のカム用突起部98のカム面100には全くまたはほとんど相対的に乗り上げておらず、また、操作レバー12のクリック用切り込み99に係合してもいない。そして、シールド着脱用操作レバー19は、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力によって、図13に示す場合と同様に復動位置に保持されている。
【0055】
(2)1段階開放状態
図2に示す全閉状態において、指掛け部11に指を掛けるなどしてシールド4を多少持ち上げると、図3に示す1段階開放状態になる。なお、この1段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図2の時計方向に多少往回動する。したがって、シールド4の第1〜第3のガイド部101〜103も、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47にそれぞれガイドされて、共通の中心点C2を回動中心として図2の時計方向にそれぞれ往回動する。そして、シールド4のクリック用歯部105の最上端の歯が図3に示すように可動側基材22のクリック用歯部45に噛み合うので、シールド4は、この1段階開放状態に正確に保持される。
【0056】
また、図2に示す全閉状態にあるシールド4が図3に示す1段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104のカム用突起部107が、固定側基材21のカム用ならい部28によって前方側(すなわち、図2の左側)に押し出されながら時計方向に回動して、このカム用ならい部28に乗り上げる。なお、この乗り上げは、可動側基材22がシールド4をともなって反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力に逆らって固定側基材21に対して前方側に向って直線的に往動することによって、行われる。このために、シールド4の1段階開放状態への上昇時には、このシールド4(ひいては、その内側面に取付けられている防曇用補助シールド10)は、前方側に例えば3mm押し出される。したがって、シールド4が1段階開放状態になるときに、シールド4および防曇用補助シールド10が、窓孔用縁部材8(特に、その上側縁部分8b)に引っ掛かって円滑に上昇できないようなことはない。
【0057】
図14には、図2に示す全閉状態または準全閉状態における固定側基材21とシールド4との相互の位置関係が示されている。なお、上記準全閉状態とは、図2に示す全閉状態においてはシールド4のカム用曲面部104が固定側基材21のカム用突起部28にまだ当接していないときに、全閉状態からシールド4を少し持ち上げることによってカム用曲面部104がカム用突起部28に当接し始める状態を意味している。そして、この図14において、符号P1は、図2に示す全閉状態または準全閉状態におけるカム用曲面部104とカム用突起部28との相互の当接箇所を示している。また、符号C2は、シールド4における共通の中心点を示している。そして、符号θ1は、共通の中心点C2を通りかつ固定側基材21に対する可動側基材22の往復動方向に沿った直線L1と、共通の中心点C2と当接箇所P1とを結ぶ直線L2との成す角度を示している。さらに、符号D1は、共通の中心点C2と当接箇所P1との間の距離を示している。
【0058】
図14においては、角度θ1は約−5°であり、距離L1は約16.5mmである。この場合、このマイナスの値は、当接箇所P1が直線L1よりも上方にある場合の値を意味している。そして、これらの角度θ1および距離D1は、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましい。なお、これらの(a)項および(b)項におけるかっこ内の数値範囲は、満足しているのがさらに好ましい数値範囲を示している。
(a)角度θ1:−20〜50°(−10〜40°)の数値範囲、および
(b)距離D1:8〜80mm(12〜60mm)の数値範囲。
【0059】
(3)4段階開放状態
図3に示す1段階開放状態において、シールド4をさらに大幅に持ち上げると、図4に示す4段階開放状態になる。なお、この4段階開放状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図3の時計方向にさらに大幅に回動する。したがって、シールド4の第1〜第3のガイド部101〜103も、可動側基材22の第2、第3および第1のガイド部56、61、47にそれぞれガイドされて、共通の中心点C2を回動中心として図3の時計方向にそれぞれ回動する。そして、シールド4のクリック用歯部105の上から4番目の歯が、図4に示すように、可動側基材22のクリック用歯部45に噛み合うので、シールド4は、この4段階開放状態に正確に保持される。
【0060】
また、図3に示す1段階開放状態にあるシールド4が図4に示す4段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104のカム面104aは、このカム用曲面部104のカム用突起部107から多少下方において、固定側基材21のカム用ならい部28に当接する。このために、カム用曲面部104は、後方側(すなわち、図2の右側)に少しずつ後退しながら、共通の中心点C2を回動中心として図3の時計方向に往回動する。なお、この後退は、可動側基材22がシールド4をともなって反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力によって固定側基材21に対して後方側に向って直線的に復動することによって、行われる。このために、シールド4の1段階開放状態から4段階開放状態への上昇時には、このシールド4(ひいては、その内側面に取付けられている防曇用補助シールド10)が、前方側から後方側に多少引っ込められる。したがって、シールド4が1段階開放状態から4段階開放状態に持ち上げられるときには、シールド4および防曇用補助シールド10が頭部保護体2から必要以上に前方に突出するのを防止することができるから、シールド4が走行風によってあおられるのを多少とも防止することができる。この点は、次の(4)項に記載の全開状態においても、同様である。
【0061】
(4)全開状態
図4に示す4段階開放状態において、シールド4をさらに多少持ち上げると、図5に示す全開状態(すなわち、最大開放状態)になる。なお、この全開状態になるときには、シールド4が、共通の中心点C2を回動中心として、可動側基材22に対して図4の時計方向にさらに多少往回動する。そして、この図5に示す全開状態は、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明した頭部保護体2へのシールド4の取付け直後の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。なお、この図5に示す全開状態においては、固定側基材21のカム用ならい部28は、シールド4のカム面104aの凹み部106に位置している。したがって、シールド4および防曇用補助シールド10の回動中心である共通の中心点C2は、1段階開放状態から全開状態のうちで、後方側にもっとも引っ込んだ位置に保持される。そして、この状態においては、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部50a、50bにそれぞれ当接している。
【0062】
(5)取外し可能状態
図5に示す全開状態において、シールド着脱用操作レバー19を、反撥用コイルスプリング88の弾性附勢力に逆らって、雄ねじ部材81を支点として図5の時計方向に往回動させると、図6に示す取外し可能状態になる。なお、この取外し可能状態は、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明したシールド着脱用操作レバー19の往回動操作の状態と実質的に同一であるから、ここでは、その詳細な説明は省略する。そして、この図6に示す取外し可能状態においては、前記2(6)項において前記(エ)項に記載の操作について説明したのとは逆の操作を行うことによって、シールド4の左側の端部を可動側基材22から容易に取外すことができる。
【0063】
さらに、この取外し可能状態においては、前記(4)項に記載したように、可動側基材22の上下一対の貫通孔36a、36bの被ストッパ部40a、40bは、固定側基材21の上下一対の高位部分39a、39bのストッパ部50a、50bにそれぞれ当接しているから、可動側基材22は固定側基材21に対して完全に復動している。このために、シールド4を可動側基材22から取外す前後で、可動側基材22が反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力によって固定側基材21に対してさらに復動する恐れはない。このことは、シールド4を可動側基材22に取付ける前後でも、同様である。したがって、可動側基材22に対するシールド4の取付け操作および取外し操作のいずれもを、簡単かつ確実に行うことができる。
【0064】
(6)微開状態
図2に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を、指掛け部92に指を掛けるなどして、第1の往回動方向(すなわち、図2の反時計方向)に往回動させると、図7に示す微開状態になる。なお、操作レバー12が図2に示す復回動状態にあるときには、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60bに係合している。そして、操作レバー12の上記往回動によって、この係合は解消される。また、この微開状態においては、固定側基材21のシールド微開用突起部14が、操作レバー12のカム用突起部98に相対的に乗り上げる。このために、操作レバー12が可動側基材22とともに前方側へ往動しようとするから、可動側基材22は、操作レバー12をともなって、反撥用コイルスプリング31a、31bの弾性附勢力に逆らって固定側基材21に対して前方側へ直線的に往動する。なお、この直線的往動は、可動側基板22の被ガイド突条部35a、35b、38a、38bが固定側基材21のガイド溝26a、26b、27a、27bにそれぞれガイドされることによって、行われる。また、操作レバー12を上記第1の往回動方向にさらに往回動させると、固定側基材21のシールド微開用突起部14の一端部が操作レバー12のクリック用切込み部99に相対的に入り込む。これとともに、操作レバー12のクリック用突起部90も、可動側基材22のクリック用凹み部(すなわち、微開時のための凹み部)60cに係合するから、この操作レバー12は、この状態でクリック的に確実に保持される。
【0065】
この図7に示す微開状態においては、シールド4も、可動側基材22にともなわれて、前方側に往動している。このために、シールド4は、頭部保護体2(特に、その窓孔用縁部材8)から離間しているから、頭部保護体2の窓孔3からこの頭部保護体2内に空気を取り入れることができる。なお、図6に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、操作レバー12を上記第1の往回動方向に往回動させることができる。そして、この往回動によって、シールド4は、同様に前方側に直線的に往動する。また、全閉状態にしようとしてシールド4を最下端まで下降させると、全閉状態から操作レバー12を往回動した場合と同様の微開状態が得られる。また、この微開状態から全閉状態に戻すときには、操作レバー12を上記第1の往回動方向とは逆の方向(すなわち、第1の復回動方向)に復回動させればよい。そして、この復回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60cから離脱して、クリック用凹み部60bに再び係合する。
【0066】
(7)ロック状態
図2に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を第2の往回動方向(すなわち、図2の時計方向)に往回動させると、図8に示すシールドロック状態になる。なお、操作レバー12の上記往回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60bから離脱して、クリック用凹み部(すなわち、ロック時のための凹み部)60aに係合する。また、このシールドロック状態においては、シールド4のシールドロック用被係合部としてのシールドロック用突起部15が、操作レバー12のシールドロック用係合部96に相対的に係合する。このために、シールド4は、上昇を阻止されて、この係合が解除されるまで全閉状態に強固に保持(すなわち、ロック)される。
【0067】
図5に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、操作レバー12を上記第2の往回動方向に往回動させることができる。そして、この状態において、シールド4を全閉状態にすると、シールド4のシールドロック用突起部15が、操作レバー12の乗り越え幇助用傾斜面97に当接して突出部95を相対的に乗り越える。このために、シールドロック用突起部15がシールドロック用係合部96に係合するから、上述のようなロック状態が得られる。また、このシールドロック状態からシールドロック解除状態(すなわち、図2に示す通常の全閉状態)に戻すときには、操作レバー12を上記第2の往回動方向とは逆の方向(すなわち、第2の復回動方向)に復回動させればよい。そして、この復回動によって、この操作レバー12のクリック用突起部90は、可動側基材22のクリック用凹み部60aから離脱して、クリック用凹み部60bに再び係合する。
【0068】
B、第2の実施例
つぎに、本発明の第2の実施例を、「1、ヘルメット全体の概略的構成」、「2、シールド取付け機構の構成」および「3、シールド取付け機構の動作」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。なお、図15〜図23に示す第2の実施例は、以下に記載する点を除いて、上述の第1の実施例と実質的に同一の構成であってよい。したがって、図15〜図23において、図1〜図14と共通の部分には、同一の符号を付してその説明を必要に応じて省略する。
【0069】
1、ヘルメット全体の概略的構成
この第2の実施例においては、図15および図16に示すように、防曇用補助シールド10の左右一対の舌片部10a付近には、上述の第1の実施例における左右一対の係合用スリット18に代えて、左右一対の貫通孔121がそれぞれ形成されている。そして、左右一対の係合ピン16をこれら左右一対の貫通孔121にそれぞれ嵌合させることによって、防曇用補助シールド10がシールド4の内側面に取付けられている。
【0070】
シールド4の内側面には、図16に示すように、その上端部に沿って係合用突条部122が形成されている。そして、この係合用突条部122は、シールド4の左右方向における中心から左右両方向にそれぞれ向って窓孔7の左右両端部にそれぞれ対応する箇所を超えて左右一対のシールド取付け機構6付近まで、延在している。また、シールド4の内側面には、係合用突条部122の多少下方の箇所において、ほぼ水平方向に延在している下向きの段部123が形成されている。そして、この下向きの段部123は、シールド4の左右方向における中心から左右両方向にそれぞれ向って窓孔7の左右両端部にそれぞれ対応する箇所の多少手前まで、延在している。したがって、シールド4には、係合用突条部122と下向き段部123との間において、肉厚部分125が形成され、下向き段部123の左右両端部付近では、この肉厚部分125の厚さが次第に減少する傾斜面になっている。
【0071】
窓孔用縁部材8は、図16に示すように、外側シェル5の面方向においては、上述の第1の実施例の場合よりも全体的に広幅になっている。そして、窓孔用縁部材8の上側の縁部分8bは、外側シェル5の縁部分が嵌合される断面がほぼU字状の部分と、このほぼU字状の部分の上端の外側面からほぼ水平方向外方に突出している係合用突条部124とから成っている。また、窓孔用縁部材8の下側の縁部分8cは、外側シェル5の縁部分が嵌合される断面がほぼ逆U字状の部分と、このほぼ逆U字状の部分の下端の外側面からほぼ水平方向外方に突出している既述の突条部8aとから成っている。さらに、窓孔用縁部材8の左側および右側の縁部分8dは、周知のように断面がほぼU字状、ほぼE字状などであってよく、また、上側縁部分8bと同様の断面形状であってもよい。
【0072】
この第2の実施例においては、図16に示すシールド4の全閉状態でも、防曇用補助シールド10のパッキン用突条部29の上側部分の中央部分が、前方から見て、窓孔用縁部材8の上側縁部分8bと重なっている。したがって、防曇用補助シールド10がヘルメット装着者の視野に入りにくい。それでいて、図16に示すように、係合用突条部124が窓孔用縁部材8の上側縁部分8bに設けられるとともに、下向き段部123および係合用突条部122がシールド4に設けられているから、補助シールド10は肉厚部分125の内側面からの内方への突出量を小さくすることができる。したがって、上側縁部分8bとシールド4との相互の密着性が良好であるから、シールド4の内側に走行風が入り込みにくく、また、風切り音を低減させることができるとともに、雨水などによる水漏れを防止することができる。また、シールド4を昇降させるたびに、防曇用補助シールド10の内側面が窓孔用縁部材8の上側縁部分8bにこすれてざらざらになるのを防止することができる。さらに、窓孔用縁部材8の上側縁部分8bの断面が周知のようにほぼE字状などの場合のように、シールド4または防曇用補助シールド10がシールド4を昇降させるたびに上側縁部分8bにこすれて、この上側縁部分8bの自由片部がついにはめくれ返るのを防止することができる。
【0073】
2、シールド取付け機構の構成
つぎに、左側のシールド取付け機構6の構成を、「(1)固定側基材」、「(2)可動側基材」、「(3)シールド着脱用操作レバー」、「(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー」、「(5)シールド」および「(6)シールド取付け機構の組み立て」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。
【0074】
(1)固定側基材
第2の実施例を示す図15〜図23においては、第1の実施例における雄ねじ部材24a、24bの図示を省略している。そして、これらの図15〜図23には、これらの雄ねじ部材24a、24bを挿通させるために、固定側基材21にそれぞれ設けられている一対のねじ挿通孔126a、126bだけが図示されている。なお、図22において、符号129は、これらの雄ねじ部材24a、24bの頭部がそれぞれ収容されるリング状凹み部である。また、第2の実施例においては、上下一対の切込み34a、34bは、必要がないから、固定側基材21において省略されている。さらに、固定側基材21の前方側の腕部127には、カム用の曲面部128が形成されている。なお、このカム用曲面部128は、前方側の腕部127をその前方側の側縁部に沿って内側面から外側面に向う方向に突出させることによって、構成されている。また、カム用曲面部128の前方側の側縁部は、カム面128aを構成している。
【0075】
(2)可動側基材
この第2の実施例においては、上述の第1の実施例において可動側基材22に用いられているほぼ倒立L字形状の板ばね43(第1のばね部43aおよび第2のばね部43bを含む。)の代わりに、図22に示すように、常温でゴム弾性を示すブロック状弾性体131が用いられている。したがって、この第2の実施例においては、ほぼ倒立L字形状の溝42(第1の溝部42aおよび第2の溝部42bを含む。)も可動側基材22において省略されている。なお、ブロック状弾性体131は、天然ゴム、合成ゴムなどのエラストマーから構成することができる。そして、このブロック状弾性体131は、ほぼ円柱形状、ほぼ直方体形状などの任意のブロック形状であってよい。
【0076】
可動側基材22には、図22に示すように、軸支部62の多少前方で多少上方の箇所において、弾性体収容用凹部132が形成されている。そして、この凹部132の前方側の側壁部には、弾性体係合用の突起部133が形成されている。また、係合用腕部41の先端部がほぼ水平方向前方に多少延在されることによって、水平腕部134が形成されている。そして、この水平腕部134の前端部には、弾性体係合用突起部135が形成されている。また、ブロック状弾性体131の前方側の一半部分を弾性体収容用凹部132に収容するとともに、ブロック状弾性体131の前後両端面にそれぞれ形成されている前後一対の係合穴(図示せず)に前後一対の弾性体係合用突起部133、135を嵌合させることによって、ブロック状弾性体131を可動側基材22に取付け保持している。したがって、係合用腕部41は、その基端部を支点とする前方側への回動をブロック状弾性体131によって弾性的に阻止される。なお、水平腕部134には、基端側から先端側にかけて、シールドロック用被係合部としてのシールドロック用凹み部136および逃げ用凹み部137がそれぞれ形成されている。なお、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における板ばね43の代わりに、上述のように、ブロック状弾性体131が用いられている。したがって、上述の第1の実施例におけるシールド4の開閉時などにおいては、可動側基材22の係合用腕部41(ひいては、板ばね43)が振動することによって、金属音(すなわち、板ばね43の振動にともなう金属音)が生じる可能性があったが、この第2の実施例においては、このような金属音が発生する恐れはない。そして、上述の第1の実施例におけるこのような金属音は、シールド4を開閉したときにこのシールド4のクリック用歯部105が係合用腕部41のクリック用歯部45を乗り越えて両者の係合状態が変化することにより係合用腕部41(ひいては、板ばね43)が振動することによって、生じ易い。
【0077】
この第2の実施例においては、図22に示すように、上述の第1の実施例の場合に較べて、ほぼ円弧状の第2のガイド部56が前方に多少移動した位置に設けられている。したがって、凹み部68と凹み部69との間に新たな凹み部138が設けられている。また、ほぼ円弧状のガイド部55の多少上方にも、凹み部139が設けられている。また、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における雌ねじ部材51およびねじ孔52に代えて、貫通孔141が設けられている。さらに、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例における貫通孔74に代えて、欠如部142が形成されている。
【0078】
(3)シールド着脱用操作レバー
この第2の実施例においては、図22に示すように、上述の第1の実施例においてシールド着脱用操作レバー19に用いられていた雄ねじ部材81の代わりに、シールド着脱用操作レバー19の内側面側に向って突出しかつその先端部側にねじ孔を有するとともにその基端部側に抜け止め用の頭部を有する軸支部材143が用いられている。そして、この軸支部材143が、可動部材22の貫通孔141にその先端部側から挿入されて、この貫通孔141に回動可能に嵌合されている。また、軸支部材143の上記ねじ孔には、雄ねじ部材(図示せず)が抜け止め用のワッシャ(図示せず)を介してねじ込まれている。
【0079】
(4)シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー
この第2の実施例においては、図22に示すように、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12の指掛け部92は、その長さ方向に延在する仮想の中心線よりもほぼ下方側の部分147において、回動輪部91に一体的に結合されている。そして、指掛け部92と回動輪部91との間には、上記中心線よりもほぼ上方側において、逃げ用のスリット144が形成されている。なお、この逃げ用スリット144には、図16に示す全閉状態、図20に示す微開状態および図21に示すロック状態において、シールド4の下端部分が部分的に挿入される。
【0080】
回動輪部91の上端部付近には、図22に示すように、その外周囲がカム面100として機能するカム用突起部98の前方側に隣接して、クリック用切込み部99が形成されている。そして、回動輪部91の上端部付近には、クリック用切込み部99の前方側に隣接して、シールドロック用係合部としてのシールドロック用突出部96が斜め上方でかつ斜め前方に延在するように突設されている。さらに、回動輪部91の後端部付近には、カム用突起部98に後方から対向するように、位置規制用の突出部145が設けられている。したがって、回動輪部91には、この位置規制用突出部145とカム用突起部98との間において、係合用切込み146が形成されている。
【0081】
(5)シールド
この第2の実施例においては、図22に示すように、ほぼ円弧状の第1の被ガイド部101は、上述の第1の実施例の場合とは異なって、図16に示す全閉状態における共通の中心点C2のほぼ上方に配設されている。また、この第2の実施例においては、上述の第1の実施例において設けられているシールドロック用突起部15の代わりに、カム用ならい部として機能するカム用突起部148が設けられている。そして、このカム用突起部148は、ほぼ半円柱状であって、その半筒形状の面が共通の中心点C2にほぼ向いている。なお、シールド4に設けられている第1のカム面104aと、固定側基材21に設けられている第1のカム用ならい部28とによって、第1のカム機構が構成されているのに対し、固定側基材21に設けられている第2のカム面128aと、シールド4に設けられている上記第2のカム用ならい部148とによって、第2のカム機構が構成されている。
【0082】
(6)シールド取付け機構の組み立て
固定側基材21に可動側基材22を取付ける際には、上述の第1の実施例においては、図22に示す固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の貫通孔74に挿入させるようにしている。しかし、この第2の実施例においては、図9に示す固定側基材21のカム用ならい部28を可動側基材22の欠如部142に挿入させるようにしている。また、上述の第1の実施例においては、シールド着脱用操作レバー19を雄ねじ部材81によって可動側基材22に回動可能に軸支するようにしている。しかし、この第2の実施例においては、軸支部材143の先端部側に設けられているねじ孔(図示せず)に抜け止め用ワッシャ(図示せず)を介して雄ねじ部材(図示せず)をねじ込むことによって、シールド着脱用操作レバー19を可動側基材22に回動可能に軸支するようにしている。したがって、この操作レバー19は、軸支部材143を支点として、図16における時計方向および反時計方向にそれぞれ往回動することができる。さらに、シールド4が可動側基材22に取付けられて全開状態になっているときには、シールド4に設けられている第2のカム用突起部148は、図19に示すように、固定側基材21に設けられている第2のカム面128aからほぼ上方に離間している。
【0083】
3、シールド取付け機構の動作
つぎに、シールド取付け機構の動作を、「(1)全閉状態」、「(2)1段階開放状態」、「(3)4段階開放状態」、「(4)全開状態」、「(5)取外し可能状態」、「(6)微開状態」および「(7)ロック状態」に項分けして、図15〜図23を参照しつつ説明する。
【0084】
(1)全閉状態
この第2の実施例における図16に示す全閉状態においては、窓孔用縁部材8の係合用突条部124は、シールド4の係合用突条部122に係合するから、両者の相互の密着状態は非常に良好である。また、シールド4の第2のカム用突起部148が固定側基材21の第2のカム用曲面部128のカム面128aに当接しているか、あるいは、このカム面128aに近接してその前方側に位置している。そして、図16に示す全閉状態においては、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12は、中立位置にあるから、固定側基材21のシールド微開用突起部14は、この操作レバー12の係合用切込み146に係合してはいない。また、操作レバー12のシールドロック用突出部95は、可動側基材22のシールドロック用凹み部136に挿入されてはいない。そして、シールド4のカム用突起部148は、可動側基材22の逃げ用凹み部137に入り込んでいる。
【0085】
(2)1段階開放状態
この第2の実施例においても、図16に示す全閉状態にあるシールド4が図17に示する1段階開放状態になるときには、シールド4のカム用曲面部104の第1のカム用突起部107が、固定側基材21の第1のカム用ならい部28によって前方側に押し出されながら時計方向に回動して、この第1のカム用ならい部28に乗り上げる。これとともに、シールド4の第2のカム用突起部(換言すれば、カム用ならい部)148が、固定側基材21の第2のカム用曲面部128によって前方側に押し出されながら時計方向に回動して、この第2のカム用ならい部148に乗り上げる。したがって、シールド4は、図23に示すように、第1のカム用突起部107が第1のカム用ならい部28に当接する箇所P1と、第2のカム用突起部148が第2のカム用曲面部128に当接する箇所P2との2ヶ所において、固定側基材21よって前方側に相対的に押圧される。よって、シールド4の前方への押し出しは、上述の第1の実施例におけるよりもさらに円滑に行われる。
【0086】
図23には、図16に示す全閉状態または準全閉状態における固定側基材21とシールド4との相互の位置関係が示されている。そして、この図23において、符号θ2は、直線L1と、共通の中心点C2と当接箇所P2とを結ぶ直線L3との成す角度を示している。さらに、符号D2は、共通の中心点C2と当接箇所P2との間の距離を示している。
【0087】
図23においては、角度θ1は約4°であり、距離L1は約15、5mmである。そして、これらの角度θ1および距離D1は、実用性の観点から見て一般的に、前記A3(2)項に記載の(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましく、同上のかっこ内の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのがさらに好ましい。また、図23においては、角度θ2は約34°であり、距離L2は約50mmである。そして、これらの角度θ2および距離D2は、実用性の観点から見て一般的に、前記A3(2)項に記載の(a)項および(d)項に記載の角度θ1および距離D1についての数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましく、同上のかっこ内の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのがさらに好ましい。また、図23において、角度(θ2−θ1)は約30°であり、距離(D2−D1)は34、5mmである。そして、これらの角度(θ2−θ1)および距離(D2−D1)のそれぞれの値または絶対値は、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(a)項および(b)項に記載の数値範囲のうちの少なくとも一方を満足しているのが好ましい。なお、これらの(a)項および(b)項におけるかっこ内の数値範囲は、満足しているのがさらに好ましい数値範囲を示している。
(a)角度(θ2−θ1):5〜55°(15〜45°)の数値範囲、および
(b)距離(D2−D1):5〜65mm(20〜50mm)の数値範囲。
【0088】
(3)4段階開放状態
この第2の実施例においては、図17に示す1段階開放状態にあるシールド4が図18に示す4段階開放状態になるときには、上述の第1に実施例の場合と同様に、シールド4のカム用曲面部104の第1のカム面104aが、このカム用曲面部104の第1のカム用突起部107から多少下方において、固定側基材21の第1のカム用ならい部28に当接する。これとともに、シールド4の第2のカム用突起部148は、図18に示すように、第2のカム用曲面部128のカム面128aから次第に離間する。したがって、この離間後には、上述の第1の実施例の場合と同様に、シールド4の第1のカム面104aと固定側基材21の第1のカム用突起部28との相互の接触状態に応じて、シールド4の前方側への押し出し位置が決定される。
【0089】
(4)全開状態
この第2の実施例における全開状態においては、シールド4の第2のカム用突起部148は、図19に示すように、固定側基材21の第2のカム面128aからほぼ上方に離間している。
【0090】
(5)取外し可能状態
この第2の実施例においては、シールド着脱用操作レバー19は、軸支部材143を支点として、図19における時計方向に往回動する。
【0091】
(6)微開状態
図16に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を図16の時計方向(すなわち、第1の往回動方向)に往回動させると、図20に示す微開状態になる。また、この微開状態においては、個体側基材21のシールド微開用突起部14が、操作レバー12のカム面100に沿って相対的に移動して、カム用突起部98に乗り上げる。このために、操作レバー12が、可動側基材22とともに、固定側基材21に対して前方側へ直線的に往動する。また、操作レバー12を上記第1の往回動方向にさらに往回動させると、固定側基材21のシールド微開突起部14の一端部が操作レバー12のクリック用切込み99に相対的に篏合する。
【0092】
(7)ロック状態
図16に示す全閉状態において、シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー12を図16の反時計方向(すなわち、第2の往回動方向)に往回動させると、図21に示すシールドロック状態になる。そして、操作レバー12の上記往回動によって、この操作レバー12のシールドロック用突起部95は、可動側基材22のシールドロック用凹み部136に挿入されて、両者が係合状態になる。このために、可動側部材22の係合用腕部41は、その基端部を支点とする図21の時計方向への往回動を阻止されて、図21に示す復回動位置に強固に保持される。したがって、シールド4のクリック用歯部105は、この係合用腕部41のクリック用歯部45によって、共通の中心点C2を支点とする図21の時計方向への往回動を阻止されるから、シールド4は、上記係合が解除されるまで、全閉状態に保持(すなわち、ロック)される。また、操作レバー12の上記往回動によって、固定側基材21のカム用ならい部(換言すれば、シールド微開用突起部)14が、操作レバー12の係合用切込み146に相対的に入り込んで、この係合用切込み146と係合する。このとき、操作レバー12(ひいては、可動側基材22およびシールド4)が多少前方に押し出されていても、カム用ならい部14が操作レバー12の位置規制用突出部145の傾斜面(すなわち、係合用切込み146側の傾斜面)145aに相対的に当接してから、係合用切込み146に相対的に入り込む。そして、上記当接によって、操作レバー12(ひいては、可動側基材22およびシールド4)が後方側に引き込まれるから、シールド4が窓孔用縁部材8に良好に密着する。なお、このようなシールドロック状態は、図19に示す全開状態などの場合(すなわち、全閉状態以外の場合)にも、同様に達成されることができる。
【0093】
以上において、本発明の第1および第2の実施例について詳細に説明したが、本発明は、これら第1および第2の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
【0094】
例えば、上述の第1および第2の実施例においては、フルフェイス型ヘルメットに本発明を適用したが、顎覆い部が上昇可能なジェット型兼用のフルフェイス型ヘルメット、ジェット型ヘルメット、セミジェット型ヘルメットなどにも、本発明を適用することができる。
【0095】
また、上述の第1の実施例においては、カム面104aおよびカム用ならい部28を1個ずつ設け、上述の第2の実施例においては、カム面104a、128aおよびカム用ならい部28、148をそれぞれ2個ずつ設けた。しかし、カム面およびカム用ならい部はそれぞれ3個以上であってもよい。
【0096】
また、上述の第1の実施例においては、カム面104aをシールド4に設けるとともに、このカム面104aに対向するカム用ならい部28を固定側基材21に設けた。しかし、カム面を固定側基材21に設けるとともに、このカム面に対向するカム用ならい部をシールド4に設けてもよい。
【0097】
また、上述の第2の実施例においては、第1のカム面104aおよび第2のカム用ならい部148をシールド4にそれぞれ設けるとともに、これら第1のカム面104aおよび第2のカム用ならい部148にそれぞれ対向する第1のカム用ならい部28および第2のカム面128aを固定側基材21にそれぞれ設けた。しかし、第1および第2のカム面のいずれもをシールド4および固定側基材21のうちのいずれか一方にそれぞれ設けるとともに、これら第1および第2のカム面にそれぞれ対向する第1および第2のカム用ならい部のいずれもを固定側基材21およびシールド4のうちのいずれか他方にそれぞれ設けてもよい。
【0098】
また、上述の第1および第2の実施例においては、第1および第2のストッパ部50a、50bを固定側基材21にそれぞれ設けるとともに、上記第1および第2のストッパ部50a、50bにそれぞれ対向する第1および第2の被ストッパ部40a、40bを可動側基材22にそれぞれ設けた。しかし、1個または3個以上のストッパ部を固定側基材21に設けるとともに、これらのストッパ部にそれぞれ対向する1個または3個以上の被ストッパ部を可動側基材22に設けてもよい。
【0099】
また、上述の第1および第2の実施例においては、弾性附勢手段または弾性附勢部材として反撥用コイルスプリング31a、31b、88を用いた。しかし、これら3個の弾性附勢手段31a、31b、88のうちの1個、2個または3個全部は、牽引用コイルスプリングであってもよく、また、コイルスプリング以外のリーフスプリングなどの別のスプリングなどであってもよい。
【0100】
さらに、上述の第1および第2の実施例においては、シールド着脱用操作部材19と、シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材12とは、往復回動可能な操作レバーによってそれぞれ構成している。しかし、これらの操作部材19、12は、直線往復動可能な部材によってそれぞれ構成されることもでき、また、往復回動または直線往復動以外の往復動が可能な部材によってもそれぞれ構成されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第1の実施例におけるシールドの全閉状態でのヘルメット全体の概略的な左側面図である。(実施例1)
【図2】図1のシールド取付け機構を示すヘルメットの要部の拡大左側面図である。(実施例1)
【図3】シールドの1段階開放状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図4】シールドの4段階開放状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図5】シールドの全開状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図6】シールド着脱用操作レバーを往回動操作した状態での図5と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図7】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを微開方向に往回動操作した状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図8】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを図7の場合とは逆のロック方向に往回動操作した状態での図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図9】図1のシールド取付け機構の分解正面図である。(実施例1)
【図10】シールド取付け機構が頭部保護体に組み込まれる以前の状態でのヘルメットの図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図11】シールド取付け機構のうちの固定側基材が頭部保護体に組み込まれた状態でのヘルメットの図10と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図12】シールド取付け機構のうちの固定側基材および可動側基材が頭部保護体に組み込まれた状態でのヘルメットの図10と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図13】シールドを取外した状態でのヘルメットの図2と同様の拡大左側面図である。(実施例1)
【図14】図2に示す全閉状態における固定側基材とシールドとの相互の位置関係を示すヘルメットの要部の拡大側面図である。(実施例1)
【図15】本発明をフルフェイス型ヘルメットのシールド取付け機構に適用した第2の実施例におけるシールドの全閉状態でのヘルメット全体の概略的な左側面図である。(実施例2)
【図16】図15のシールド取付け機構を示すヘルメットの要部の拡大左側面図である。(実施例2)
【図17】シールドの1段階開放状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図18】シールドの4段階開放状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図19】シールドの全開状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図20】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを微開方向に往回動操作した状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図21】シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバーを図20の場合とは逆のロック方向に往回動操作した状態での図16と同様の拡大左側面図である。(実施例2)
【図22】図15のシールド取付け機構の分解正面図である。(実施例2)
【図23】図16に示す全閉状態における固定側基材とシールドとの相互の位置関係を示すヘルメットの要部の拡大側面図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0102】
1 フルフェイス型ヘルメット
2 フルフェイス型頭部保護体
4 シールド
6 シールド取付け機構
12 シールド微開用操作レバー兼用のシールドロック用操作レバー(シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材)
19 シールド着脱用操作レバー(シールド着脱用操作部材)
21 固定側基材
22 可動側基材
23 シールド取付け基材
28 カム用突起部(第1のカム用ならい部)
31a 反撥用コイルスプリング(弾性附勢手段)
31b 反撥用コイルスプリング(弾性附勢手段)
40a 被ストッパ部
40b 被ストッパ部
50a ストッパ部
50b ストッパ部
104a カム面(第1のカム面)
128a カム面(第2のカム面)
148 カム用突起部(第2のカム用ならい部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構において、
上記シールド取付け基材が、上記頭部保護体に固定される固定側基材と、この固定側基材に対して前後進可能に直線往復動し得るように、上記固定側基材に取付けられている可動側基材とを備え、
上記シールドが、上記可動側基材に回動可能に支持され、
少なくとも1個のカム面が、上記シールドまたは上記固定側基材に設けられ、
少なくとも1個のカム用ならい部が、上記少なくとも1個のカム面に当接し得るように、上記固定側基材または上記シールドに設けられ、
全閉状態にある上記シールドにほぼ上昇方向への力が加わったときに、上記カム用ならい部が上記カム面に相対的にならうことによって、上記シールドが上記可動側基材をともなってほぼ前方に往動するように構成されていることを特徴とするシールド取付け機構。
【請求項2】
上記少なくとも1個のカム面が1個であり、
上記少なくとも1個のカム用ならい部が1個であり、
上記カム面が上記シールドに設けられ、
上記カム用ならい部が上記固定側基材に設けられていることを特微とする請求項1に記載のシールド取付け機構。
【請求項3】
上記少なくとも1個のカム面が2個であり、
上記少なくとも1個のカム用ならい部が2個であり、
上記2個のカム面のうちの第1のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第2のカム用ならい部とが、上記シールドにそれぞれ設けられ、
上記2個のカム面のうちの第2のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第1のカム用ならい部とが、上記固定側基材にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド取付け機構。
【請求項4】
上記可動側基材を上記固定側基材に対してほぼ後方に向って弾性的に附勢することができる弾性附勢手段と、
上記固定側基材に設けられている少なくとも1個のストッパ部と、
上記可動側基材に設けられている少なくとも1個の被ストッパ部とをさらに備え、
上記可動側基材が上記弾性附勢手段によって弾性的に附勢されて復動位置に保持されているときには、上記少なくとも1個の被ストッパ部が上記少なくとも1個のストッパ部に当接していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【請求項5】
上記シールドを上記可動側基材から取外すために操作されるシールド着脱用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、
上記シールドを全開状態まで往回動させてから上記シールド着脱用操作部材を往動させることによって、上記シールドの取外し可能状態が得られるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【請求項6】
上記シールドを全開状態まで往回動させたときには、上記被ストッパ部が上記ストッパ部に当接していることを特徴とする請求項4または5に記載のシールド取付け機構。
【請求項7】
上記シールドを微開状態にすることができるとともに上記シールドを全閉位置においてロック状態にもすることができる往復動可能なシールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、
上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を中立位置から第1の往動方向に往動させたときには、上記シールドを微開状態にすることができ、
上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を上記中立位置から第2の往動方向に往動させたときには、上記シールドをロック状態にすることができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【請求項1】
頭部保護体に取付けられるシールド取付け基材と、その左側または右側の端部付近が上記シールド取付け基材に回動可能に取付けられるシールドとを備えているヘルメットのシールド取付け機構において、
上記シールド取付け基材が、上記頭部保護体に固定される固定側基材と、この固定側基材に対して前後進可能に直線往復動し得るように、上記固定側基材に取付けられている可動側基材とを備え、
上記シールドが、上記可動側基材に回動可能に支持され、
少なくとも1個のカム面が、上記シールドまたは上記固定側基材に設けられ、
少なくとも1個のカム用ならい部が、上記少なくとも1個のカム面に当接し得るように、上記固定側基材または上記シールドに設けられ、
全閉状態にある上記シールドにほぼ上昇方向への力が加わったときに、上記カム用ならい部が上記カム面に相対的にならうことによって、上記シールドが上記可動側基材をともなってほぼ前方に往動するように構成されていることを特徴とするシールド取付け機構。
【請求項2】
上記少なくとも1個のカム面が1個であり、
上記少なくとも1個のカム用ならい部が1個であり、
上記カム面が上記シールドに設けられ、
上記カム用ならい部が上記固定側基材に設けられていることを特微とする請求項1に記載のシールド取付け機構。
【請求項3】
上記少なくとも1個のカム面が2個であり、
上記少なくとも1個のカム用ならい部が2個であり、
上記2個のカム面のうちの第1のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第2のカム用ならい部とが、上記シールドにそれぞれ設けられ、
上記2個のカム面のうちの第2のカム面と、上記2個のカム用ならい部のうちの第1のカム用ならい部とが、上記固定側基材にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールド取付け機構。
【請求項4】
上記可動側基材を上記固定側基材に対してほぼ後方に向って弾性的に附勢することができる弾性附勢手段と、
上記固定側基材に設けられている少なくとも1個のストッパ部と、
上記可動側基材に設けられている少なくとも1個の被ストッパ部とをさらに備え、
上記可動側基材が上記弾性附勢手段によって弾性的に附勢されて復動位置に保持されているときには、上記少なくとも1個の被ストッパ部が上記少なくとも1個のストッパ部に当接していることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【請求項5】
上記シールドを上記可動側基材から取外すために操作されるシールド着脱用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、
上記シールドを全開状態まで往回動させてから上記シールド着脱用操作部材を往動させることによって、上記シールドの取外し可能状態が得られるように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【請求項6】
上記シールドを全開状態まで往回動させたときには、上記被ストッパ部が上記ストッパ部に当接していることを特徴とする請求項4または5に記載のシールド取付け機構。
【請求項7】
上記シールドを微開状態にすることができるとともに上記シールドを全閉位置においてロック状態にもすることができる往復動可能なシールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を、上記可動側基材に往復動可能に配設し、
上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を中立位置から第1の往動方向に往動させたときには、上記シールドを微開状態にすることができ、
上記シールド微開用操作部材兼用のシールドロック用操作部材を上記中立位置から第2の往動方向に往動させたときには、上記シールドをロック状態にすることができるように構成されていることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載のシールド取付け機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−332524(P2007−332524A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283556(P2006−283556)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(390005429)株式会社SHOEI (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(390005429)株式会社SHOEI (14)
【Fターム(参考)】
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