説明

ヘルメット用の装具固定具、ヘルメット、及びこれらに固定される装具

【課題】 複数種類の装具を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具の機能を害することなく装具を状況に応じた態様で固定することでき、作業性を改善することのできるヘルメット用の装具固定具を提供する。
【解決手段】 作業者の頭部を覆うヘルメット本体を備えたヘルメットに対して装具を固定するためのヘルメット用の装具固定具であって、ヘルメット本体の外周に緊張状態で装着される装着部を備え、装着部は、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーのうちの何れか一方が設けられ、装具に対して直接的又は間接的に取り付けられた他方の面ファスナーが係着可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業内容に応じて作業者が装着する各種装具を、状況に応じてヘルメット(ヘルメット本体)に固定できるようにしたヘルメット用の装具固定具、ヘルメット、及び、これらに固定される装具(手持ち式溶接面、防護眼鏡、防護たれ、ヘッドライト、防護服)に関する。
【背景技術】
【0002】
各種作業現場では、作業者に対して安全確保のためにヘルメットをかぶることが義務づけられるのが通常である。そして、作業者は、ヘルメットをかぶった上で、溶接面や、防護たれ、作業用防護眼鏡、ヘッドライト、防護服等の作業の種類に応じた装具を装着して作業を行う。
【0003】
具体的に説明すると、溶接作業においては、作業者は、溶接面で顔(ヘルメットの前側の領域も含む)を覆った上で溶接を行う。かかる溶接面には、種々のものがあるが、手軽で作業性が良いとして手持ち式のものが主流となっている。すなわち、手持ち式溶接面は、溶接を行うときに、作業者が片手で持って顔を覆った状態(顔を覆うように装着した状態)にすることで顔を保護することができ、不要なときに、作業者の意志によって放置できるとして、各種現場で使用されている。
【0004】
そして、溶接作業や炎天下での作業等を行う場合、作業者の首周りが高温にさらされてしまうため、作業者は、首周りを保護する防護たれを装着した上で作業を行う。かかる防護たれは、難燃性の布(繊維)で構成され、一般的にヘルメットから垂下するように、ヘルメットに予め装備した接続具(例えば、ホックボタン等)を介して取り付けられる。
【0005】
また、粉塵が発生したり、飛散物が発生したりするような作業等を行う場合、作業者は作業用防護眼鏡を装着した上で作業を行う。かかる作業用防護眼鏡には、フレームの両側に一対のテンプルが設けられた一般的な眼鏡と同様のタイプのものや、ゴーグルタイプのもの(フレームのみでテンプルを備えていないタイプのもの)等がある。
【0006】
そして、作業用防護眼鏡は、不使用時において、作業服のポケット等に収容されたり、ヘルメットに一時的に掛けられたりして、作業者が別の作業(動作)を行う。作業用防護眼鏡をヘルメットに掛ける場合には、作業用眼鏡におけるフレームの両側、又は、フレームの両側から延びる一対のテンプルとヘルメット(ヘルメットの後部)とが伸縮性のある紐体(例えば、ゴムひも)を介して予め連結される。このようにすることで、紐体の伸縮によって作業用防護眼鏡の装着を許容しつつも、ヘルメットに掛けた作業用防護眼鏡の脱落を防止することもできる。
【0007】
そして、暗室等の閉領域で作業を行う場合、作業者は照明としてのヘッドライトを装着した上で閉領域で作業を行う。かかるヘッドライトは、電球やLED等の光源の内装された照明本体に環状をなす伸縮性のあるベルト(ゴム紐等)が接続され、ベルトをヘルメット(作業者の頭部を覆うヘルメット本体)に外嵌することで装着できるようになっている。
【0008】
そして、飛散物が作業者に害を与えるアスベストの除去作業等においては、作業者は、ヘルメットをかぶった状態で防護服を着用し、該防護服で全身を覆って飛散物の付着を防止した状態で作業を行う。かかる防護服は、全身を覆うように全体が一体的に形成されたものや、上半身用と下半身用とが別個に形成され、これらを着用することで全身を覆うように構成されたものがあるが、いずれも、作業者の顔に対応する部分に透明な樹脂板が嵌め込まれた窓部が設けられている。これにより、窓部を介して外部を視認することができ、視界を遮ることなく円滑な作業を行えるようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記装具の何れも、作業内容に応じて作業者の安全を担保できるものであるが、装着容易性、装着安定性、及び作業性の何れかに対して満足できないものである。
【0010】
具体的に説明すると、手持ち式の溶接面は、溶接を行う際に作業者が片手で持たなければならず、顔を保護するのに片手が支配されてしまう。そのため、片手で何らかの補助(例えば、部材を持つ必要がある場合の補助)が必要であっても、他の人に手伝ってもらう等して対応しなければならず、作業性に対して満足できるものではない。
【0011】
また、防護たれは、ホックボタン等の接続具を介してヘルメットに固定するため、着脱が面倒であり、装着容易性に対して満足できるものではない。
【0012】
そして、作業用防護眼鏡は、不使用時において、上述の如く、作業服のポケット等に収容されたり、紐体を介してヘルメットに掛けたりされるが、ポケット等に収容すると作業の邪魔になる場合があり、ヘルメットに掛けると、紐体の収縮による後方側への引っ張りで、ヘルメットから滑脱してしまう場合があり、作業性や装着安定性に対して満足できるものではない。また、ヘッドランプにおいても、作業用防護眼鏡と同様、ベルトの収縮による後方側への引っ張りで、ヘルメットから滑脱してしまう場合があり、作業性や装着安定性に対して満足できるものではない。
【0013】
防護服は、ヘルメットをかぶった上で着用するため、作業時に防護服(繊維)がヘルメット上で滑って動いてしまう結果、窓部が作業者の顔に対応した位置で維持せず、作業者の視界が悪くなるため、作業性に対して満足できるものではない。
【0014】
これらの問題は、何れも装具とヘルメットとの相対的な位置関係から、装具を一時的又は長期的にヘルメットに固定でき、且つ、装具の着脱が自在にできれば改善できるものであるが、ヘルメットは、あくまでも作業者の頭部保護のためのもので、特定の装具すら固定できる機能を有するものではない。
【0015】
そこで、本発明は、複数種類の装具を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具の機能を害することなく装具を状況に応じた態様で固定することのできるヘルメット用の装具固定具、ヘルメット、及びこれらに取り付けられる各種装具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るヘルメット用の装具固定具は、作業者の頭部を覆うヘルメット本体を備えたヘルメットに対して装具を固定するためのヘルメット用の装具固定具であって、ヘルメット本体の外周に緊張状態で装着される装着部を備え、装着部は、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーのうちの何れか一方が設けられ、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーが係着可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
上記構成のヘルメット用の装具固定具は、装着部がヘルメット本体の外周に緊張状態で装着されるように構成されているので、装着した状態でヘルメット本体に対して締め付け力が作用する。そして、ヘルメット本体は、一般的に上方に向かうにつれて小径になるように外面が曲面で形成されているため、上述のように締め付け力が作用すると、その締め付け力の分力が装着部を上方に向けて移動させるように作用するが、装着部は、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられているので、その上方への移動が滑止手段の抵抗(摩擦抵抗)によって阻止されることになる。これにより、装着部は、ヘルメット本体に対して外嵌された状態で定位置に維持することになる。
【0018】
そして、装着部は、他方の面の少なくとも一部に一方の面ファスナーが設けられているので、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーを前記一方の面ファスナーに係着させることで、装具をヘルメットに固定することができる。また、装具を固定する手段として、互いに係着可能な一対の面ファスナーを採用しているので、装具を容易且つ迅速に着脱することもできる。
【0019】
本発明のヘルメット用の装具固定具の一態様として、前記装着部は、帯状に形成されるとともに、長手方向に伸縮性を有し、長手方向の一端側に、一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた連結部が連設されてもよい。このようにすれば、装着部を長手方向に引っ張りながらヘルメット本体に巻いた上で装着部及び連結部の面ファスナーを係着させることで、装着部をヘルメット本体の外周に緊張状態で装着することができる。従って、種々のヘルメットに容易に装着することができ、汎用性の非常に高いものにすることができる。
【0020】
そして、本発明のヘルメット用の装具固定具の他態様として、前記装着部は、無端環状に形成されるとともに、周方向に伸縮性を有してもよい。このようにすれば、装着部をヘルメット本体に外嵌するだけで、装着部をヘルメット本体の外周に緊張状態で装着することができる。
【0021】
また、ヘルメット用の装具固定具は、前記装着部に連設されてヘルメット本体の外面を全体的に覆う被覆部を更に備え、被覆部は、装着部の他方の面と連続する面に一方の面ファスナーが設けられてもよい。このようにすれば、装着部及び被覆部によってヘルメット本体の外側の略全域が覆われることになり、装着部及び被覆部の一方の面ファスナーに対して装具に取り付けられた他方の面ファスナーを係着する領域を広くすることができる。これにより、装具固定具を介してヘルメットに固定できる装具の適用範囲を広げることができる。
【0022】
そして、本発明に係るヘルメットは、作業者の頭部を覆うヘルメット本体を備えたヘルメットであって、装具をヘルメット本体に固定するための装具固定手段を備え、該装具固定手段は、ヘルメット本体の外周に装着された装着部を備え、装着部は、ヘルメット本体の外面に一方の面が固定されるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーのうちの何れか一方が設けられ、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーが係着可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、装着部がヘルメット本体に固定されているので、装着部がヘルメット本体に対してずれることがない。また、該装着部の他方の面の少なくとも一部に一方の面ファスナーが設けられているので、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーを前記一方の面ファスナーに係着させることで、装具を固定することができる。そして、装具を固定する手段として、互いに係着可能な一対の面ファスナーを採用しているので、装具を容易且つ迅速に着脱することもできる。
【0024】
本発明に係るヘルメットの一態様として、前記装着部は、帯状に形成されるとともに、長手方向に伸縮性を有し、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられ、長手方向の一端側に、一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた連結部が連設されてもよい。このようにすれば、装着部を長手方向に引っ張りながらヘルメット本体に巻いた上で装着部及び連結部の面ファスナーを係着させることで、装着部をヘルメット本体の外周に緊張状態で装着することができる。
【0025】
このように、装着部がヘルメット本体の外周に緊張状態で装着されると、へルメット本体に対して締め付け力が作用する。そして、ヘルメット本体が上方に向かうにつれて小径になるように外面が曲面で形成された場合、上述のように締め付け力が作用すると、その締め付け力の分力が装着部を上方に向けて移動させるように作用するが、装着部は、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられているので、その上方への移動が滑止手段の抵抗(摩擦抵抗)によって阻止されることになる。これにより、装着部は、ヘルメット本体に対して外嵌された状態で定位置に維持することになる。
【0026】
そして、装着部は、他方の面の少なくとも一部に一方の面ファスナーが設けられているので、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーを前記一方の面ファスナーに係着させることで、装具をヘルメットに固定することができる。また、装具を固定する手段として、互いに係着可能な一対の面ファスナーを採用しているので、装具を容易且つ迅速に着脱することもできる。
【0027】
また、面ファスナーを介して装着部と連結部を連結してヘルメット本体に装着するようにしているので、ヘルメット本体に対する装具固定手段の着脱も容易に行うことができる。これにより、装具固定手段の交換も可能である。
【0028】
そして、本発明のヘルメットの他態様として、前記装着部は、無端環状に形成されるとともに、周方向に伸縮性を有し、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられてもよい。このようにすれば、装着部をヘルメット本体に外嵌するだけで、装着部をヘルメット本体の外周に緊張状態で装着することができる。
【0029】
このように、装着部がヘルメット本体の外周に緊張状態で装着されると、へルメット本体に対して締め付け力が作用する。そして、ヘルメット本体が上方に向かうにつれて小径になるように外面が曲面で形成された場合、上述のように締め付け力が作用すると、その締め付け力の分力が装着部を上方に向けて移動させるように作用するが、装着部は、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられているので、その上方への移動が滑止手段の抵抗(摩擦抵抗)によって阻止されることになる。これにより、装着部は、ヘルメット本体に対して外嵌された状態で定位置に維持することになる。
【0030】
そして、該装着部は、他方の面の少なくとも一部に一方の面ファスナーが設けられているので、装具に対して直接的又は間接的に取り付けられた他方の面ファスナーを前記一方の面ファスナーに係着させることで、装具を固定することができる。また、装具を固定する手段として、互いに係着可能な一対の面ファスナーを採用しているので、装具を容易且つ迅速に着脱することもできる。そして、装着部を環状にしても該装着部が周方向に伸縮性を有しているので、ヘルメット本体の着脱も容易であり、また、当該装具固定手段の交換も行うことができる。
【0031】
そして、装具固定手段は、装着部の短手方向の一端に連設されてヘルメットの外面を全体的に覆う被覆部を更に備え、被覆部は、装着部の他方の面と連続する面に一方の面ファスナーが設けられてもよい。このようにすれば、装着部及び被覆部によってヘルメット本体の外側の略全域が覆われることになり、装着部及び被覆部の一方の面ファスナーに対して装具に取り付けられた他方の面ファスナーを係着する領域を広くすることができる。これにより、装具固定具を介してヘルメットに固定できる装具の適用範囲を広げることができる。
【0032】
本発明の手持ち式溶接面は、上述したヘルメット用の装具固定具、又は、上述したヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としての手持ち式溶接面であって、作業者の顔を覆う面本体と、該面本体の内側上部に設けられ、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする。
【0033】
かかる手持ち式溶接面は、面本体の内側上部に、他方の面ファスナーの設けられた固定部を備えているので、該他方の面ファスナーをヘルメット本体に装着された装具固定具又はヘルメット本体に固定された装具固定手段の装着部の一方の面ファスナーに係着させると、面本体が作業者の顔を覆った状態でヘルメットに固定されることになる。
【0034】
これにより、手持ち式溶接面を持っていた作業者の片手が自由になり、その手で必要な作業を行うことができる。そして、該手持ち式溶接面が装着部に対して面ファスナーを介して固定するようにしているので、該溶接面を装着部(ヘルメット)に対して着脱自在であり、必要に応じて溶接面をヘルメットから取り外して通常の溶接作業を行うことができる。
【0035】
本発明の防護たれは、上述したヘルメット用の装具固定具、又は、上述したヘルメットが備える装具固定手段に固定され、作業者の首周りを保護する装具としての防護たれであって、ヘルメット本体から垂下し、首周りを覆うたれ本体と、該たれ本体の上端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする。
【0036】
かかる防護たれによれば、固定部の面ファスナーを装着部の面ファスナーに係着することで、ヘルメットに固定することができる。そして、該防護たれは、固定部がたれ本体の上端部に連設されているので、上述の如く、ヘルメット(装着部)に固定すると、たれ本体がヘルメット本体から垂下した状態になり、作業者の首周りを保護することができる。そして、該防護たれは、面ファスナーを介してヘルメットに固定するように構成されているので、着脱が容易であり、交換や不使用時にも円滑且つ迅速に取り外すことができる。
【0037】
本発明の作業用防護眼鏡は、上述したヘルメット用の装具固定具、又は、上述したヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としての作業用防護眼鏡であって、フレームの両側、又はフレームの両側に設けられた一対のテンプルのそれぞれから延びる伸縮性のある紐体と、該紐体の先端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする。
【0038】
かかる作業用防護眼鏡は、紐体に引っ張り力を作用させるように固定部の面ファスナーを装着部の面ファスナーに係着させると、ヘルメットに対して固定する(取り付ける)ことができる。そして、紐体が伸縮性を有しているので、作業用防護眼鏡を着用する場合には、該紐体が固定部を介してヘルメットに固定されていても、フレームを顔の前に位置させることができ、目を保護することができる一方で、不使用時にはフレーム(又は、フレーム及びテンプル)をヘルメットにかけることができる。
【0039】
この状態で、紐体の収縮力が作用するが、ヘルメット本体の外周に装着部が装着されているので、ヘルメット本体にフレーム等を直接かけたときのような滑りが発生しにくくなるため、作業用防護眼鏡はヘルメット本体にかけられた状態で維持することになる。すなわち、紐体の縮みで作業用防護眼鏡に引っ張り作用(分力が上向きに作用)しても、作業用防護眼鏡が装着部に引っ掛かる、或いは、作業用防護眼鏡と装着部との摩擦抵抗により、ヘルメット本体から滑脱することなく、当該作業用防護眼鏡はヘルメット本体に掛止された状態で維持することになり、作業用防護眼鏡を必要としない作業や動作を行うことができる。
【0040】
本発明のヘッドライトは、上述したヘルメット用の装具固定具、又は、上述したヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としてのヘッドライトであって、光源の内装された照明本体と、該照明本体に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする。
【0041】
かかるヘッドライトは、固定部の面ファスナーを装着部の面ファスナーに係着することで、ヘルメットに対して定位置で固定することができる。そして、該ヘッドライトは、面ファスナーを介して固定されるので、着脱が容易である。従って、照明を必要とする作業を行う際に、ヘッドライトを円滑且つ容易に取り付けることができる一方、例えば、電池の交換の際や、不要な際にヘルメットから容易に取り外すことができる。
【0042】
本発明の防護服は、ヘルメットをかぶった作業者の少なくとも上半身を覆う防護服本体と、該防護服本体に外部を視認可能に設けられた窓部とを備え、上述したヘルメット用の装具固定具、又は、上述したヘルメットが備える装具固定手段に前記窓部の上方側が固定される防護服であって、前記窓部の上方で防護服本体の内面から延出する腕部と、該腕部の先端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていること特徴とする。
【0043】
上記構成の防護服は、窓部の上方で防護服本体の内面から延出する腕部と、該腕部の先端に接続され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えているので、固定部の面ファスナーを装着部の面ファスナーに係着することで、腕部を介してヘルメットに固定される。これにより、防護服とヘルメットとの相対的な位置関係が一定になり、防護服を着た作業者が何らかの動作を行っても、窓部が作業者の顔の前に位置することになり、円滑な作業を行うことができる。そして、面ファスナーを介してヘルメットに固定するようにしているので、着脱が容易であり、防護服とヘルメットとの連結を解除して円滑に防護服を着たり脱いだりすることができる。
【0044】
この場合、前記腕部は、防護服本体に対して着脱可能に構成されていることが好ましい。このようにすれば、ヘルメットと腕部との連結、及び、腕部と防護服本体との連結の何れをも解除することができ、よりいっそう円滑に防護服を着たり脱いだりすることができる。その上、腕部を防護服本体から取り外しておけば、立体的な構成(腕部及び固定部)がなくなるため、防護服本体を小さく折りたたむことができ、防護服(特に複数の防護服)を運搬する際や収納する際の効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0045】
以上のように、本発明は、複数種類の装具を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具の機能を害することなく装具を状況に応じた態様で固定することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の第一実施形態に係るヘルメット用の装具固定具について、添付図面を参照して説明する。
【0047】
まず、本実施形態に係る装具固定具を装着するヘルメットについて、概略説明すると、該ヘルメット(安全帽)は、各種工事現場や工場等でかぶられる一般的なものであり、図1に示す如く、作業者の頭部を覆って保護するヘルメット本体10や、作業者の頭部にヘルメット本体10を保持させる頭部装着体11、ヘルメット1が頭部から脱落するのを防止するためのあご紐12等を備えている。
【0048】
ヘルメット本体10は、頭部を保護する硬い殻であり、略ドーム状を呈している。このヘルメット本体10は、メーカーによってデザインがことなり、略半球状を呈するものや、ドーム状をなす部分の端縁部から前方に延出、或いは端縁部の全周に亘って外方に延出して鐔を備えたもの等がある。なお、図には、前方に延出した鐔を備えたヘルメット本体10を示している。
【0049】
前記頭部装着体11は、作業者の頭部に嵌められる環状のヘッドバンド110、ヘルメット本体10の内側の略中央に対応する位置を中心にして放射状に延び、ヘッドバンド110に連結された複数の帯体120…とを備えており、作業者の頭部に直接的にかぶせるようになっている。ヘッドバンド110は、作業者の頭部の大きさに応じて径を変更できるようになっている。前記頭部装着体11は、ヘルメット本体10に接続されており、ヘルメット本体10に衝撃が加わってもその衝撃が緩和されるようになっている。あご紐12は、ヘッドバンド110に連結されており、頭部装着体11を頭部にかぶった作業者の顎にかけられるようになっている。
【0050】
次に、上記構成のヘルメット1に装着する装具固定具について説明すると、かかる装具固定具は、図2(a)、図2(b)、図3に示す如く、前記ヘルメット本体10の外周に緊張状態で装着される装着部20を備えている。該装着部20は、ヘルメット本体10からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体10の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーA,Bのうちの何れか一方Aが設けられている。
【0051】
本実施形態に係る装着部20は、帯状に形成され、長手方向に伸縮性を有し、その長手方向の一端側に、一方の面ファスナーAに係着可能な他方の面ファスナーBの設けられた連結部21が連設されている。
【0052】
本実施形態にかかる装着部20は、ゴム材料、好ましくは、発泡ゴム(例えば、発泡ウレタンゴム)で構成されたシート状の基材200と、基材200の一方の面に取り付けられた面ファスナーAとで構成されている。このように装着部20の基材200をゴム材料とすることで、伸縮性を付与するとともに、摩擦係数を高めてヘルメット本体10に対する滑止手段として機能させるようにしている。基材200上の面ファスナーAは、基材200に貼り合わされる基布A1と、基布A1上に設けられた係着手段A2とを備える。前記基布A1は、基材200の伸縮性を阻害しないように、基材200の伸縮に追従して伸縮する布地が採用されている。係着手段A2には、複数のパイル及び複数の鉤状の突起の少なくとも何れか一方が採用される。
【0053】
すなわち、係着手段A2は、複数のパイルのみで構成される場合、複数の鉤状の突起のみで構成される場合、複数のパイル及び複数の鉤状の突起を混在させて構成される場合がある。このように、装着部20の面ファスナーAの係着手段A2がパイルのみで構成される場合には、連結部21及び装具の面ファスナーBには、係着手段が鉤状の突起のみで構成されたものが採用され、装着部20の面ファスナーAの係着手段A2が鉤状の突起のみで構成される場合には、連結部21及び装具の面ファスナーBには、係着手段がパイルのみで構成されたものが採用される。そして、装着部20の面ファスナーAの係着手段A2がパイル及び鉤状の突起を混在させて構成される場合、連結部21及び装具の面ファスナーBも同様に係着手段がパイル及び鉤状の突起を混在させて構成されたものが採用される。
【0054】
本実施形態において、前記連結部21は、他方の面ファスナーB自体で構成されており、装着部20に縫い付けられている。なお、該連結部21を構成する面ファスナーBは、装着部20と同様に、伸縮性を持たせてもよいが、本実施形態においては非伸縮性のものを採用している。
【0055】
上記構成の装具固定具2は、装着部20を長手方向に引っ張りつつヘルメット本体10に巻き付け、連結部21の面ファスナーA,Bを装着部20の面ファスナーA,Bに係着することで、図3に示すように取り付けが完了する。そうすると、装着部20の伸縮力が長手方向、すなわち、連結部21と装着部20との係着によって環状になった装具固定具2の周方向に収縮力が作用し、ヘルメット本体10に対して締め付け力が作用する。そして、基材200(滑止手段)によって、ヘルメット本体10に対する滑りが防止され、定位置で固定された状態となる。
【0056】
この状態で、別途用意された装具3,4,5,6,7(図3乃至図8参照)が備える面ファスナーBを装着部20の面ファスナーAに係着することで、装具3,4,5,6,7がヘルメット1に対して固定されることになる。ここで装具固定具2を介してヘルメット1に固定される装具3,4,5,6,7について説明する。かかる装具3,4,5,6,7には、種々のものを採用することができるが、ここでは作業現場等で頻繁に用いられる装具3,4,5,6,7の一例として、手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7について説明することとする。
【0057】
手持ち式溶接面3は、図4(a)及び図4(b)に示す如く、基本的な構成は、一般的なものと同様であり、溶接作業時に使用するもので、作業者の顔を覆う面本体30と、該面本体30に取り付けられたハンドル31とを備える。
【0058】
前記面本体30は、作業者の顔を覆うことができるように成形されており、該面本体30で覆った作業者の目と対応する位置に、作業領域を視認するための防護ガラス32が取り付けられている。そして、前記ハンドル31は、棒状に形成されており、面本体30の前面から下方に向けて延出するように設けられている。
【0059】
本実施形態に係る手持ち式溶接面3は、面本体30の内側上部(作業者の顔と対向する面側)に、ヘルメット1に装着した装具固定具2に対して固定される固定部330が設けられている。具体的には、該手持ち式溶接面3には、前記固定部330を備える取付ステー33が取り付けられている。取付ステー33は、帯状の金属材を曲げ加工したもので、面本体30の上端部の略中央部に連結された上部連結部331と、上部連結部331に連設されて垂下する前記固定部330と、該固定部330の下端を面本体30の防護ガラス32の上方側に連結した下部連結部332とを備えている。
【0060】
該手持ち式溶接面3の固定部330は、防護ガラス32と略平行になるように面本体30の上端部から下方に向けて延びており、面本体30で顔を覆った作業者の着用するヘルメット1の前部(ヘルメット本体10に装着した装具固定具2の装着部20)と対向乃至接触可能に形成されるとともに、装具固定具2(装着部20)の面ファスナーAと係着可能な面ファスナーBが設けられている。該固定部330の面ファスナーBは、一般的なもので基布(図示しない)が取付ステー33に接着剤を介して貼着されている。なお、下部連結部332は、作業者が溶接面3で顔を覆う際に、着用したヘルメット1の鐔等と干渉することのないように形成されている。
【0061】
上記構成の手持ち式溶接面3は、固定部330の面ファスナーBをヘルメット1に装着(固定)した装具固定具2(装着部20)の面ファスナーAに係着させると、面本体30が作業者の顔を覆った状態でヘルメット1に固定されることになる。
【0062】
これにより、手持ち式溶接面3を持っていた作業者の片手が自由になり、その手で必要な作業(例えば、仮付け作業)等を円滑に行うことができる。そして、手持ち式溶接面3は、面ファスナーA,Bを介して装着部20に固定するようにしているので、該溶接面3を装着部20(ヘルメット1)に対して着脱自在であり、必要に応じて溶接面3をヘルメット1から取り外すことができ、手持ち溶接面3本来の態様で使用することもできる。
【0063】
防護たれ4は、図5(a)及び図5(b)に示す如く、ヘルメット本体10から垂下して作業者の首周りを保護するたれ本体40と、該たれ本体40の上端部に連設され、装具固定具2を介してヘルメット本体10に固定される固定部41とを備えている。該防護たれ4は、たれ本体40及び固定部41が単一な布地で構成されており、前記固定部41には、装具固定具2(装着部20)の面ファスナーAと係着可能な面ファスナー(他方の面ファスナー)Bが設けられている。
【0064】
上記構成の防護たれ4も、固定部41の面ファスナーBを装着部20の面ファスナーAに係着することで、ヘルメット1に固定することができる。そして、該防護たれ4は、固定部41がたれ本体40の上端部に連設されているので、上述の如く、ヘルメット1(装着部20)に固定すると、たれ本体40がヘルメット本体10から垂下した状態になり、作業者の首周りを保護することができる。そして、該防護たれ4は、面ファスナーA,Bを介してヘルメット1に固定するように構成されているので、着脱が容易であり、交換や不使用時にも円滑且つ迅速に取り外すことができる。なお、本実施形態に係る防護たれ4は、作業者の首周りに対する冷却を促進すべく、首周りを覆う部分(たれ本体40)に保冷剤を収容するポケット42が設けられている。
【0065】
作業用防護眼鏡5は、図6(a)及び図6(b)に示す如く、フレーム50の両側に一対のテンプル51(耳に掛けられる棒状体)が設けられた一般的な形態のもので、各テンプル51から延びる伸縮性のある紐体52と、該紐体52の先端部に連設された固定部53とを備えている。紐体52は、いわゆるゴム紐であり、固定部53には、装着部20の面ファスナーAに係着される面ファスナー(他方の面ファスナー)Bが設けられている。本実施形態に係る固定部53は、面ファスナーそのもので構成されており、前記紐体52の端部が縫い付けられている。
【0066】
上記構成の作業用防護眼鏡5は、紐体52に引っ張り力を作用させるように固定部53の面ファスナーBを装着部20の面ファスナーAに係着させると、ヘルメット1に対して固定する(取り付ける)ことができる。
【0067】
そして、紐体52が伸縮性を有しているので、作業用防護眼鏡5を着用する場合には、該紐体52が固定部53を介してヘルメット1に固定されていても、フレーム50を顔の前に位置させることができ、目を保護することができる。その一方で、不使用時にはフレーム50(又は、フレーム50及びテンプル51)をヘルメット1にかけることができる。この状態で、作業用防護眼鏡5に紐体52の収縮力が作用するが、ヘルメット本体10の外周に装着部20が装着されているので、ヘルメット本体10にフレーム50等を直接掛けたときのような滑りが発生しにくくなるため、作業用防護眼鏡5はヘルメット本体10に掛けられた状態で維持することになる。
【0068】
すなわち、紐体52の縮みで作業用防護眼鏡5に引っ張り作用(分力が上向きに作用)しても、作業用防護眼鏡5が装着部20に引っ掛かる、或いは、作業用防護眼鏡5と装着部20との摩擦抵抗により、ヘルメット本体10から滑脱することなく、当該作業用防護眼鏡5はヘルメット本体10に掛止された状態で維持することになり、作業用防護眼鏡5を必要としない作業や動作を行うことができる。
【0069】
ヘッドライト6は、図7(a)及び図7(b)に示す如く、光源(図示しない)の内装された照明本体60と、該照明本体60に連設された固定部61とを備えている。前記照明本体60は、固定部61(後述するベース62)に対して傾動可能に構成されている。固定部61は、ヘルメット本体10(ヘルメット本体10に装着した装着部20の外周)に沿うように湾曲した板状に形成されたベース62と、該ベース62の一方の面(ヘルメット本体10に沿う面)に設けられ、装着部20の面ファスナーAに係着される面ファスナー(他方の面ファスナー)Bとで構成されている。
【0070】
上記構成のヘッドライト6は、固定部61(ベース62)に設けられた面ファスナーBを装着部20の面ファスナーAに係着することで、ヘルメット1に対して定位置で固定することができる。そして、該ヘッドライト6は、面ファスナーA,Bを介して固定されるので、着脱を容易に行うことができる。従って、照明を必要とする作業を行う際に、ヘッドライト6を円滑且つ容易に取り付けることができる一方、例えば、電池の交換の際や、不要な際にヘルメット1から容易に取り外しことができる。
【0071】
前記防護服7は、人体に悪影響を及ぼすアスベストの除去作業等の際に使用されるもので、図8に示す如く、ヘルメット1をかぶった作業者の体を覆う防護服本体70と、該防護服本体70に外部を視認可能に設けられた窓部71とを備える。
【0072】
前記防護服本体70は、有害な粉塵等を遮断できる繊維材等を縫製した縫製品である。防護服7には、防護服本体70が一体的に形成されて作業者の全身を覆うもの(いわゆる、ツナギタイプ)や、防護服本体70が上半身を覆う上半身用と下半身を覆おう下半身用とが分かれたもの(いわゆる、セパレートタイプ)等があるが、いずれも防護服本体70の上半身を覆う部分であって、作業者の顔の位置する領域に、透明な樹脂プレートのはめ込まれた窓部71が設けられている。そして、本実施形態に係る防護服7は、窓部71の上方で防護服本体70の内面に取り付けられたステー部材72を備えている。該ステー部材72は、防護服本体70の内面から内側に延出する腕部720と、該腕部720の先端に連設された固定部721とを備えている。
【0073】
前記腕部720の基端部には、防護服本体70と連結される連結部722が設けられており、本実施形態においては、該連結部722はホックボタン723を介して防護服本体70に対して着脱できるようになっている。なお、防護服本体70に対する連結部722の取り付け位置は、防護服本体70のみが存在する領域(繊維材のみが存在する領域)であってもよいが、ステー部材72の取り付け剛性を確実にすべく、窓部71を画定する剛性のある領域、すなわち、窓部71の樹脂プレートの外周縁部が嵌め込まれる剛性のある部分であることが好ましい。そして、ステー部材72の固定部721には、装着部20の面ファスナーAに係着される面ファスナー(他方の面ファスナー)Bが設けられている。
【0074】
これにより、上記構成の防護服7は、固定部721の面ファスナーBを装着部20の面ファスナーAに係着することで、腕部720を介してヘルメット1に固定される。これにより、防護服7とヘルメット1との相対的な位置関係が一定になり、防護服7を着た作業者が何らかの動作を行っても、窓部71が作業者の顔の前に位置することになり、円滑な作業を行うことができる。そして、該防護服7は、面ファスナーA,Bを介してヘルメット1に固定するようにしているので、着脱が容易であり、防護服7とヘルメット1との連結を解除して円滑に防護服7を着たり脱いだりすることができる。
【0075】
さらに、該防護服7は、ステー部材72が防護服本体70に対して着脱可能に構成されているので、防護服7を着るときや脱ぐとき等にステー部材72が邪魔になる場合、防護服本体70からステー部材72を取り外すこともできる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る装具固定具2は、ヘルメット本体10に対して周方向に緊張状態で装着でき、且つ、ヘルメット本体10の外面に対する滑止手段(基材)を有する装着部20を備えているので、各社メーカーから提供される各種ヘルメット1に容易に装着することができる。そして、該装具固定具2を介してヘルメット1に複数種類の装具3,4,5,6,7(上述した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具3,4,5,6,7の機能を害することなく装具3,4,5,6,7を状況に応じた態様で固定することでき、作業性を改善することができる。
【0077】
次に、本発明の第二実施形態に係る装具固定具について説明する。なお、第一実施形態で説明した構成と同一又は相当する構成については、同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0078】
本実施形態にかかる装具固定具2は、第一実施形態と同様に、一般的なヘルメット1に装着するもので、図9(a)に示す如く、無端環状に形成されるとともに、周方向に伸縮性を有する装着部20と、該装着部20に連設されてヘルメット本体10の外面を全体的に覆う被覆部22とを備えている。
【0079】
本実施形態に係る装着部20は、図9(b)に示す如く、第一実施形態に係る装着部20と同様に、ゴム材料、好ましくは、発泡ゴム(例えば、発泡ウレタンゴム)で構成された基材200と、基材200の一方の面に取り付けられた面ファスナーAとで構成されている。従って、本実施形態においても、装着部20の基材200をゴム材料とすることで、伸縮性を付与するとともに、摩擦係数を高めてヘルメット本体10に対する滑止手段として機能させるようにしている。基材200上の面ファスナーAは、第一実施形態と同様に、基材200に貼り合わされる基布A1と、基布A1上に設けられた係着手段A2とを備え、前記基布A1は、基材200の伸縮性を阻害しないように、基材200の伸縮に追従して伸縮する布地が採用されている。係着手段A2は、パイル及び鉤状の突起の少なくとも何れか一方が採用される。
【0080】
前記被覆部22は、ヘルメット本体10を覆うようにドーム状に形成され、環状をなす装着部20の一端部(短手方向の一端)に接続されている。該被覆部22は、装着部20と同一材料で構成されており、外面に装着部20と連続する面ファスナーAが設けられている。すなわち、該被覆部22は、ゴム材料からなる基材200に面ファスナーAの積層されたシートを立体裁断し、その立体裁断されたシートを面ファスナーAが外側になるように立体的(ドーム状)に縫い合わせて形成されている。
【0081】
本実施形態においては、上述の如く、装着部20及び被覆部22が同一材料で構成されているため、当該装具固定具2は、周方向に伸縮性のある装着部20と、ヘルメット本体10の外面を覆う被覆部22とを一体的に形成できるように、基材200と面ファスナーAとの積層体としてのシートを立体裁断乃至縫製して形成されている。
【0082】
上記構成の装具固定具2は、内径が大きくなるように装着部20を広げつつ装着部20をヘルメット本体10に外嵌することで図10に示すようにヘルメット1に対する装着が完了する。
【0083】
このように、装着部20をヘルメット本体10に対して外嵌すると、装着部20の周方向に収縮力が作用し、ヘルメット本体10に対して締め付け力が作用する。そして、基材200の滑止手段(基材200の摩擦係数)によって、ヘルメット本体10に対する滑りが防止され、定位置で固定された状態となる。そして、基材200の滑止手段(基材200の摩擦係数)によって、ヘルメット本体10に対する滑りが防止され、定位置で固定された状態となる。
【0084】
この状態で、装具3,4,5,6,7(第一実施形態で説明した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)に設けられた面ファスナーBを装着部20(又は被覆部22)の面ファスナーAに係着することで、第一実施形態と同様に、各種装具3,4,5,6,7がヘルメット1に対して固定されることになる(図4乃至図8参照)。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る装具固定具2によれば、第一実施形態と同様に、ヘルメット本体10に対して周方向に緊張状態で装着でき、且つ、ヘルメット本体10の外面に対する滑り止めの施された装着部20を備えているので、各社メーカーから提供される各種ヘルメット1に容易に装着することができる。そして、該装具固定具2を介してヘルメット1に複数種類の装具3,4,5,6,7(上述した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具3,4,5,6,7の機能を害することなく装具3,4,5,6,7を状況に応じた態様で固定することでき、作業性を改善することができる。
【0086】
さらに、本実施形態に係る装具固定具2は、装着部20に連設されてヘルメット本体10全体を覆う被覆部22を備え、該被覆部22の外面にも面ファスナーAを設けるようにしたので、装具3,4,5,6,7の面ファスナーBに対する係着領域が広くなり、装具3,4,5,6,7の面ファスナーBをより係着し易くすることができる上に、固定できる装具3,4,5,6,7の種類をより多くすることができる。
【0087】
次に、本発明の第三実施形態に係るヘルメットについて説明する。本実施形態に係るヘルメットは、図11(a)に示す如く、第一実施形態で説明した一般的なヘルメット1と同様に、ヘルメット本体10’、頭部装着体(図示しない)、あご紐(図示しない)等を基本構成としている。
【0088】
そして、本実施形態に係るヘルメット1’は、上記基本構成に加え、第一実施形態で説明した装具3,4,5,6,7等を固定するための装具固手段2’を備えている。
【0089】
本実施形態に係るヘルメット1’の装具固定手段2’は、ヘルメット本体10’の外周に装着された装着部20’を備えている。該装着部20’は、図11(b)に示す如く、ヘルメット本体10’の外面に一方の面が固定されるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーA,Bのうちの何れか一方Aが設けられ、装具3,4,5,6,7に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーBが係着可能に構成されている。
【0090】
具体的には、本実施形態に係る装着部20’は、帯状に形成された面ファスナーAで構成されており、ヘルメット本体10’の外周(全周)に巻かれた状態で、接着剤を介してヘルメット本体10’に貼着(固定)されている。該面ファスナーAは、ヘルメット本体10’に貼着される非伸縮性の(伸縮性のない)基布A1と、該基布A1上に設けられた係着手段A2とで構成されている。かかる係着手段A2は、第一又は第二実施形態と同様に、複数のパイル及び複数の鉤状の突起の少なくとも何れか一方により構成される。
【0091】
本実施形態に係るヘルメット1’は、装具固定手段2’(装着部20)が接着剤を介してヘルメット本体10’に固定されているが、該装着部20’がヘルメット本体10’の外周に対して全周に亘って巻かれているため、図11(a)に示す如く、外観において、第一実施形態にかかる装具固定具2をヘルメット1に装着したのと同様の態様となる(図3参照)。
【0092】
従って、本実施形態に係るヘルメット1’は、装具3,4,5,6,7(第一実施形態で説明した手持ち式溶接面3、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護たれ4、防護服7等)に設けられた面ファスナーBを装着部20’の面ファスナーAに係着することで、第一実施形態と同様に、各種装具3,4,5,6,7がヘルメット1’に対して固定されることになる(図4乃至図8参照)。
【0093】
以上のように、本実施形態に係るヘルメット1’によれば、ヘルメット本体10’に対して固定された装具固定手段2’を備えているので、該装具固定手段2’を介してヘルメット1に複数種類の装具3,4,5,6,7(上述した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具3,4,5,6,7の機能を害することなく装具3,4,5,6,7を状況に応じた態様で固定することでき、作業性を改善することができる。
【0094】
次に、本発明の第四実施形態に係るヘルメットについて説明する。なお、本実施形態に係るヘルメットの基本的な構成が第三実施形態と共通するので、第三実施形態の構成と対応する構成については、同一名称及び同一符号を付すこととする。
【0095】
本実施形態に係るヘルメットは、図12(a)に示す如く、第一実施形態で説明した一般的なヘルメット1と同様に、ヘルメット本体10’、頭部装着体(図示しない)、あご紐(図示しない)等を基本構成としている。そして、本実施形態に係るヘルメット1’は、上記基本構成に加え、装具3,4,5,6,7を固定するための装具固定手段2’を備えている。
【0096】
本実施形態に係るヘルメット1’の装具固定手段2’は、ヘルメット本体10’の外周に装着された装着部20’と、該装着部20’に連設されてヘルメット本体10’の外面を全体的に覆う被覆部22’とを備えている。
【0097】
前記装着部20’は、図12(b)に示す如く、ヘルメット本体10’の外面に一方の面が固定されるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーA,Bのうちの何れか一方Aが設けられ、装具3,4,5,6,7に対して直接的又は間接的に取り付けられた他方の面ファスナーBが係着可能に構成されている。
【0098】
本実施形態に係る装着部20’は、第三実施形態と同様に、帯状に形成された面ファスナーAで構成されており、係着手段A2’が外側に向くようにヘルメット本体10’の外周(全周)に巻かれた状態で、基布A1’が接着剤を介してヘルメット本体10’に貼着(固定)されている。なお、本実施形態に係る面ファスナーAは、基布A1に非伸縮性のものが採用されている。
【0099】
前記被覆部22’は、ヘルメット本体10’を覆うようにドーム状に形成され、環状をなす装着部20’の一端部(短手方向の一端)に接続されている。該被覆部22’は、装着部20’と同一材料(面ファスナーA)で構成されており、外面に装着部20’と連続する面ファスナーAが設けられている。すなわち、該被覆部22’は、面ファスナーAを立体裁断し、その立体裁断された面ファスナーAを係着手段A2が外側になるように立体的(ドーム状)に縫い合わせて形成されている。
【0100】
本実施形態においては、上述の如く、装着部20’及び被覆部22’が同一材料で構成されているため、当該装具固定手段2’は、装着部20’と被覆部22’とを一体的に形成できるように、面ファスナーAを立体裁断乃至縫製して形成された上で、装着部20が接着剤を介してヘルメット本体10’に固定されている。
【0101】
本実施形態に係るヘルメット1’は、装着部20’が接着剤を介してヘルメット本体10’に固定されているが、該装着部20’がヘルメット本体10’の外周に対して全周に亘って巻かれ、且つ装着部20’に連設された被覆部22によってヘルメット本体10’の外側が覆われているため、図12(a)に示す如く、外観において、第二実施形態にかかる装具固定具2をヘルメット1に装着したのと同様の態様となる(図10参照)。
【0102】
従って、本実施形態に係るヘルメット1’は、装具3,4,5,6,7(第一実施形態で説明した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)に設けられた面ファスナーBを装着部20’の面ファスナーAに係着することで、第二実施形態と同様に、各種装具3,4,5,6,7がヘルメット1’に対して固定されることになる(図4乃至図8参照)。
【0103】
以上のように、本実施形態に係るヘルメット1’によれば、ヘルメット本体10’に対して固定された装具固定手段2’を備え、該装具固定手段2’の装着部20’に、装具3,4,5,6,7に設けられた面ファスナーBと係着可能な面ファスナーAを設けたので、装具固定手段2’(装着部20’)を介してヘルメット1’に複数種類の装具3,4,5,6,7(上述した手持ち式溶接面3、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7等)を容易且つ迅速に着脱できるとともに、装具3,4,5,6,7の機能を害することなく装具3,4,5,6,7を状況に応じた態様で固定することでき、作業性を改善することができる。
【0104】
また、本実施形態においては、ヘルメット本体10’の外側を覆う被覆部22’を装着部20’に連設し、該被覆部22’にも面ファスナーAを設けるようにしたので、装具3,4,5,6,7に設けた面ファスナーBの係着領域を広くすることができる。これにより装具3,4,5,6,7の固定をより容易に行うことができる上に、固定できる装具3,4,5,6,7の種類を多くすることができる。
【0105】
尚、本発明のヘルメット用の装具固定具、ヘルメット、及び、これらに固定される装具は、上記何れの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0106】
上記第一及び第二実施形態において、装着部20の基材200に発泡ウレタンゴムを採用し、これ自体を滑止手段とするようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、基材200を伸縮性のする樹脂材料で構成し、その一方の面に面ファスナーA,Bを、他方の面に摩擦係数の高い素材からなる滑止手段を設けるようにしてもよい。この場合、滑止手段は、基材200の全面に設けることも可能であるが、例えば、ドット状に配置するようにしてもよい。
【0107】
上記第二実施形態において、装着部20を予め環状に形成し、該装着部20に対して被覆部22を連設するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、第一実施形態と同様に、帯状の装着部20の長手方向の一部に連結部を連設し、該装着部20の短手方向の一端に被覆部22を連設するようにしてもよい。この場合、被覆部22でヘルメット本体10を覆った状態にした上で、装着部20を長手方向に引っ張りつつヘルメット本体10の外周に巻き付け、連結部の面ファスナーA,Bを装着部20の面ファスナーA,Bに係着させることでヘルメット1に装着することができる。このようにしても、装着部20及び被覆部22の面ファスナーA,Bに対して装具3,4,5,6,7の面ファスナーA,Bを係着することができ、第二実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0108】
上記第三及び第四実施形態において、接着剤を介してヘルメット本体10’に対して装着部20’を固定するようにしたが、例えば、ヘルメット本体10’に対して第一実施形態に係る装具固定具2を装具固定手段2’として装着してヘルメット1として流通してもよいし、ヘルメット本体10’に対して第二実施形態にかかる装具固定具2を装具固定手段2’として装着してヘルメット1として流通するようにしてもよい。このようにしても、装具3,4,5,6,7の面ファスナーBをヘルメット1’に固定することができる上に、装具固定手段2’を着脱することができ、該装具固定手段2’が破損した場合等において交換が容易である。
【0109】
上記第一乃至第四実施形態において、装具として手持ち式溶接面3や、防護たれ4、作業用防護眼鏡5、ヘッドライト6、防護服7を一例に挙げたが、装具固定具2又は装具固定手段2’を介してヘルメット1,1’に固定される装具はこれらに限定されるものではなく、例えば、装具は現場での合図に用いられる笛や、耳栓等であってもよい。笛や耳栓は、紐体に括り付けられ、その紐体が首に掛けられたり、ヘルメット1に固定されたりして使用されるのが一般的であるので、笛や耳栓の括りつけられた紐体に面ファスナーBの取り付けられた固定部を設け、該固定部(面ファスナーB)を介して笛や耳栓等をヘルメット1,1’に固定するようにしてもよい。なお、固定部は、上述したように面ファスナーB自体であってもよいし、ベースとしてのプレートや金具に面ファスナーBを取り付けたものであってもよい。
【0110】
また、上記各実施形態において、工事現場や工場内で使用されるヘルメット1,1’、すなわち、ヘルメット本体10,10’、頭部装着体11、あご紐12を基本構成にしたヘルメット1,1’を基本に説明したが、例えば、上記構成の頭部装着体11やあご紐12,12’が設けられずに、ヘルメット本体の内側に緩衝材が設けられたゴルフ場のキャディー用のヘルメット(保護帽)等であってもよい。すなわち、キャディー用のヘルメットは、ヘルメット本体を日よけの頭巾状の帽子で覆うように構成されているので、装具としての前記帽子に面ファスナーの取り付けられた固定部を設け、帽子でヘルメット本体を覆った状態で、固定部の面ファスナーをヘルメット本体に装着した装具固定具2(装着部20’)又はヘルメット本体に固定した装具固定手段2’(装着部20’)の面ファスナーに係着させ、帽子をヘルメット本体に固定するようにしてもよい。
【0111】
上記何れの実施形態においても、装着部2,2’の全域に面ファスナーAを設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、装着部2,2’の一部であって、装具3,4,5,6,7の固定部330,41,53,61,721を固定させるのに好ましい領域に、装具3,4,5,6,7の面ファスナーBを係着させる面ファスナーAを設けるようにしてもよい。但し、適用できる装具の種類等を考慮すれば、上記実施形態と同様に、装着部2,2’の全域に面ファスナーAを設けることが好ましい。
【0112】
上記第一実施形態において、装着部20を帯状に形成するとともに、該装着部20の一端側に連結部21を連設し、装着部20及び連結部21の面ファスナーA,Bを係着することで環状になるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、連結部21を設けることなく長手方向に伸縮性のある帯状の装着部20の長手方向の両端部を接続し(例えば、縫い合わせ)、装着部20を無端環状に形成するようにしてもよい。このようにしても、ヘルメット本体10に外嵌することで、該ヘルメット本体10の外周に緊張状態で装着することができる。なお、この場合においても、第一実施形態の装着部20と同様、装着部20の一方の面に滑止手段を設け、他方の面に面ファスナーAを設けることは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具を装着するヘルメットの一例であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、概略断面図を示す。
【図2】第一実施形態に係る装具固定具の説明図であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、部分拡大断面図を示す。
【図3】第一実施形態に係る装着固定具をヘルメットに装着した状態(第三実施形態のヘルメット)の外観斜視図を示す。
【図4】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具、及び第三及び第四実施形態にかかる装具固定手段を介してヘルメット本体に固定される装具としての手持ち式溶接面の説明図であって、(a)は、ヘルメット本体に固定された状態の縦断面図を示し、(b)は、ヘルメット本体に固定された状態の斜視図を示す。
【図5】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具、及び第三及び第四実施形態にかかる装具固定手段を介してヘルメット本体に固定される装具としての防護たれの説明図であって、(a)は、平面図を示し、(b)は、ヘルメット本体に固定された状態の斜視図を示す。
【図6】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具、及び第三及び第四実施形態にかかる装具固定手段を介してヘルメット本体に固定される装具としての作業用防護眼鏡の説明図であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、ヘルメット本体に固定された状態の斜視図を示す。
【図7】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具、及び第三及び第四実施形態にかかる装具固定手段を介してヘルメット本体に固定される装具としてのヘッドライトの説明図であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、ヘルメット本体に固定された状態の斜視図を示す。
【図8】本発明の第一及び第二実施形態に係る装具固定具、及び第三及び第四実施形態にかかる装具固定手段を介してヘルメット本体に固定される装具としての防護服の説明図であって、ヘルメット本体に固定された状態の縦断面図を示す。
【図9】第二実施形態に係る装具固定具の説明図であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、部分拡大断面図を示す。
【図10】第二実施形態に係る装着固定具をヘルメットに装着した状態(第四実施形態のヘルメット)の外観斜視図を示す。
【図11】第三実施形態に係るヘルメットの説明図であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、部分拡大断面図を示す。
【図12】第四実施形態に係るヘルメットの説明図であって、(a)は、斜視図を示し、(b)は、部分拡大断面図を示す。
【符号の説明】
【0114】
1,1’…ヘルメット、10,10’…ヘルメット本体、11…頭部装着体、12…あご紐、110…ヘッドバンド、120…帯体、2…装具固定具、2’…装具固定手段、20,20’…装着部、21…連結部、22,22’…被覆部、200…基材、A,B…面ファスナー、A1…基布、A2…係着手段(パイル及び鉤状の突起の少なくとも何れか一方)、3…手持ち式溶接面(装具)、30…面本体、31…ハンドル、32…防護ガラス、33…取付ステー、330…固定部、331…上部連結部、332…下部連結部、4…防護たれ(装具)、40…たれ本体、41…固定部、5…作業用防護眼鏡、50…フレーム、51…テンプル、51…各テンプル、51…テンプル、52…紐体、53…固定部、6…ヘッドライト(装具)、60…照明本体、61…ベース、66…ヘッドライト、7…防護服(装具)、70…防護服本体、71…窓部、72…ステー部材、720…腕部、721…固定部、722…連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者の頭部を覆うヘルメット本体を備えたヘルメットに対して装具を固定するためのヘルメット用の装具固定具であって、ヘルメット本体の外周に緊張状態で装着される装着部を備え、装着部は、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーのうちの何れか一方が設けられ、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーが係着可能に構成されていることを特徴とするヘルメット用の装具固定具。
【請求項2】
前記装着部は、帯状に形成されるとともに、長手方向に伸縮性を有し、長手方向の一端側に、一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた連結部が連設されている請求項1に記載のヘルメット用の装具固定具。
【請求項3】
前記装着部は、無端環状に形成されるとともに、周方向に伸縮性を有している請求項1記載のヘルメット用の装具固定具。
【請求項4】
前記装着部に連設されてヘルメット本体の外面を全体的に覆う被覆部を更に備え、被覆部は、装着部の他方の面と連続する面に一方の面ファスナーが設けられている請求項2又は3に記載のヘルメット用の装具固定具。
【請求項5】
作業者の頭部を覆うヘルメット本体を備えたヘルメットであって、装具をヘルメット本体に固定するための装具固定手段を備え、該装具固定手段は、ヘルメット本体の外周に装着された装着部を備え、装着部は、ヘルメット本体の外面に一方の面が固定されるとともに、他方の面の少なくとも一部に互いに係着可能な一対の面ファスナーのうちの何れか一方が設けられ、装具に対して直接的又は間接的に設けられた他方の面ファスナーが係着可能に構成されていることを特徴とするヘルメット。
【請求項6】
前記装着部は、帯状に形成されるとともに、長手方向に伸縮性を有し、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられ、長手方向の一端側に、一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた連結部が連設されている請求項5に記載のヘルメット。
【請求項7】
前記装着部は、無端環状に形成されるとともに、周方向に伸縮性を有し、ヘルメット本体からの滑脱を防止すべく、ヘルメット本体の外面側になる一方の面に滑止手段が設けられている請求項5記載のヘルメット。
【請求項8】
装具固定手段は、装着部の短手方向の一端に連設されてヘルメットの外面を全体的に覆う被覆部を更に備え、被覆部は、装着部の他方の面と連続する面に一方の面ファスナーが設けられている請求項6又は7に記載のヘルメット。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘルメット用の装具固定具、又は、請求項5乃至8の何れか1項に記載のヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としての手持ち式溶接面であって、作業者の顔を覆う面本体と、該面本体の内側上部に設けられ、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする手持ち式溶接面。
【請求項10】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘルメット用の装具固定具、又は、請求項5乃至8の何れか1項に記載のヘルメットが備える装具固定手段に固定され、作業者の首周りを保護する装具としての防護たれであって、ヘルメット本体から垂下し、首周りを覆うたれ本体と、該たれ本体の上端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする防護たれ。
【請求項11】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘルメット用の装具固定具、又は、請求項5乃至8の何れか1項に記載のヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としての作業用防護眼鏡であって、フレームの両側、又はフレームの両側に設けられた一対のテンプルのそれぞれから延びる伸縮性のある紐体と、該紐体の先端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とする作業用防護眼鏡。
【請求項12】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘルメット用の装具固定具、又は、請求項5乃至8の何れか1項に記載のヘルメットが備える装具固定手段に固定される装具としてのヘッドライトであって、光源の内装された照明本体と、該照明本体に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていることを特徴とするヘッドライト。
【請求項13】
ヘルメットをかぶった作業者の少なくとも上半身を覆う防護服本体と、該防護服本体に外部を視認可能に設けられた窓部とを備え、請求項1乃至4の何れか1項に記載のヘルメット用の装具固定具、又は、請求項5乃至8の何れか1項に記載のヘルメットが備える装具固定手段に前記窓部の上方側が固定される防護服であって、前記窓部の上方で防護服本体の内面から延出する腕部と、該腕部の先端部に連設され、装着部の一方の面ファスナーに係着される他方の面ファスナーの設けられた固定部とを備えていること特徴とする防護服。
【請求項14】
前記腕部は、防護服本体に対して着脱可能に構成されている請求項13記載の防護服。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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