説明

ベアリングシェルの突出を測定する方法および装置

本発明は、ベアリングシェルの突出を求める方法であって、a)複数の支持点でベアリングシェル(1)を固定するステップと、b)ベアリングシェルが弾性変形するように、ベアリングシェルの少なくとも1つの点に1つ以上の試験力(F,x)を加えるステップと、c)ベアリングシェルの1つ以上の測定点でベアリングシェルの変形を測定するステップと、d)測定した変形から突出を求めるステップと、を有する方法に関する。さらに、本発明は、ベアリングシェル(1)の突出を求める装置であって、1つ以上の支持点でベアリングシェル(1)を固定するのに適した固定装置(30)と、1つ以上の試験力(F,x)を前記ベアリングシェル(1)の少なくとも1つの点に加えるのに適した1つ以上の変形装置(32)と、ベアリングシェルが弾性変形するように変形装置によりベアリングシェル(1)の少なくとも1つの点に1つ以上の試験力が加えられている時に、1つ以上の点でベアリングシェル(1)の変形を測定することができる1つ以上の測定装置(31)と、ベアリングシェルの測定された変形からベアリングシェルの突出を求めることができる、突出を求める装置と、を備える装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベアリングシェルの突出を測定する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、スライド面11と、ベアリング裏部12と、分離面10とが設けられているベアリングシェル1を示している。図1では、潤滑溝および潤滑開口がスライド面11に示されている。図示のベアリングシェル11は、例えば、コネクティングロッドベアリングとして用いることができる。
【0003】
ベアリングシェル1は、通常、図2に示すように広がりdを有し、すなわち、ベアリングシェル1の、分離面10間にわたって測定した直径が、ベアリングシェル(1)がハウジングの受け部にはめ込まれた際のベアリングシェルの直径dよりも大きい。この結果、組み立て時にハウジングの壁部に対して良好に据え付けられ、ベアリングシェル1が抜け落ちたり回転したりするのが防がれる。設置した状態での、すなわち、広がりが無い状態でのベアリングシェル1の半径を、Q値として示す。
【0004】
また、ベアリングシェル1は、いわゆる「突出」を有している。図3では、突出はSとして示されている。ベアリングシェルの円周の長さは、ハウジングの受け部の円周の長さよりも突出Sの値だけ大きい。ベアリングシェル1が設置されると、ベアリングの円周の長さが弾性的に縮められる。こうして生じさせられる圧縮圧により、ベアリングが正確に固定されることが保証される。図3では、ベアリングシェル11は測定用凹部20に押し込まれている。測定用凹部との関係から分かるように、ベアリングシェル1がベアリングに固有の作動力Fで測定用凹部20に押し付けられるとベアリングシェル1の円周の長さが測定用凹部20の円周の長さを超える長さを、ベアリングシェル1の主な特徴として、突出Sで示している。Dcbは、測定用凹部の試験据え付け直径を示している。技術的理由から、この主な特徴は精度良く製造できるものではないので、設計仕様に応じて試験しなければならない。典型的な突出の目標値は、50〜150μmで、公差は10〜30μmである。
【0005】
図3に示す先行技術によると、ベアリングシェル1は、規定の挿入力を規定の接近速度で加えることで、ベアリングに固有の測定用凹部20に押し付けられている。このプロセスでは、がんじょうに、硬く構成された凹部20とぴったり合わせることが求められる。ベアリングシェル1の、測定用凹部の縁を越えて突出する長さである突出Sは、接触式の、または非接触式の手段により測定される。
【0006】
上記の方法は、測定用凹部に高い精度を必要とし、また、ベアリングシェルの種類毎に異なる測定用凹部を必要とする。さらに、摩擦の影響が測定結果に悪影響を与え、ベアリングシェルの特性に影響する可能性がある。
【0007】
先行技術の他の方法や提案は、ベアリングの裏部にわたって延ばされ、または摩擦ホイールを用いて裏部に沿って移動する測定バンドを用いた円周の測定に関係している。起こり得る測定バンドの伸びや摩擦ホイールの滑りが、測定結果に悪影響を与える可能性がある。また、測定装置の摩耗もまた測定結果に悪影響を与える。
【0008】
上述の方法は、比較的長いサイクルタイムを必要とする。ベアリングに固有の測定用凹部を用いることなく、1s未満のサイクルタイムで10〜30μmの範囲の公差で、再現でき、比較でき、追跡できる突出の測定を可能にする経済的な試験手法が求められている。
【0009】
特許文献1には、ベアリングシェルの、負荷によらない突出値を求める方法が記載されている。このために、突出の弾性的な短縮が、ベアリングシェルの分離面に加えられる試験力の関数として測定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第3435245号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、効率が改善された、ベアリングシェルの突出を求める方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、請求項1に係る方法と請求項12に係る装置により解決される。
【0013】
本発明による方法を用いることにより、試験力を加えることによるベアリングシェルの弾性変形から突出が求められる。このため、ベアリングシェルは複数の支持点で固定される。この固定は、別々の点で行っても、ベアリングの複数の区域に沿って行ってもよい。後続のステップで、ベアリングシェルが径方向に弾性変形するように、ベアリングシェルの少なくとも1つの点または少なくとも1つの領域に1つ以上の試験力が加えられる。変形中または変形後に、ベアリングシェルの選択された測定点の径方向での変位が測定される。ベアリングシェルの変形から突出を求めることができる。ベアリングシェルは複数の別々の点でまたは複数の特定の領域で固定されるので、基本的に外周全体を覆う測定用凹部なしで済ませることができる。これにより、測定凹部を用いることに付随する上記の不都合が解消される。変形の測定は、非接触式の手段および/または接触式の手段により行うことができる。また、測定は、ベアリングの裏部(外面)および/またはスライド(内)面で行うことができる。そして、所定の負荷を加えた状態でのベアリングシェルにおける径方向の形状の変化が検出される。測定用凹部なしで済ませることにより、測定機器のコストが低減される。0.75秒未満の測定サイクルを達成でき、これにより測定サイクルが上述の先行技術の半分になる。よって、この試験手順を、製造中に、(成形による、約0.8sのサイクルタイムでの)突出の発生に続いて直ぐに用いることができる。測定中に必要とされる力は、測定用凹部を用いる上記の方法によるよりも2〜10倍小さい。したがって、試験装置をこれに応じて、より小さくより経済的に構成することができる。
【0014】
突出を求める精度を向上させるために、試験力を、力を時系列に順に制御して加え、および/または、変形を時系列に順に測定することが好ましい。
【0015】
突出は、形状変化のモデルに基づいて求められることが好ましい。そして、突出は、形状変化のモデルとの比較または形状変化のモデルからの計算により求めることができる。
【0016】
形状変化のモデルは、例えば、変形特性を用いて突出を算出することができる理論モデルとすることができる。ベアリングシェルの実際の形状変化のふるまいは、材料特性値とは別に、滑り軸受の形状や他のパラメータ、そして、特に、突出に左右される。このため、突出は形状変化のふるまいに基づいて算出することができる。分析モデルとは別に、形状変化のモデルは、一連のマスターシェルに基づいて経験的に求め、製品の部品の比較測定から適応的に求め、またはそれらの互いに異なるモデルの組み合わせから求めることができる。ベアリングシェルの突出を求めるのに適したモデルは、まず、所与の、または検出された力での(実際上静的な、または動的な負荷を加えた状態での)測定可能な形状変化に応じて、実際に生じるパラメータ範囲内で適切にかつ明確に突出を表すことができなければならない。分析モデルは、ベアリングシェルの形状(直径、バンドの厚み、幅、孔、溝、カム、広がり、傾斜位置、裏部の欠陥)と、ベアリングシェルの材料(裏部、スライド面)と、製造時の前処理とを考慮するものであることが好ましい。突出を最終的に求めるために、経験的なデータが考慮される場合、基本的なモデルにより、個々のベアリングシェルについての測定または一群のベアリングシェルのランダムサンプルに基づく測定によって、形状変化のみに関するものではない試験の下でベアリングシェルの、さらなるパラメータを求めることが必要となる場合がある。この種の測定変数は、広がり、傾斜位置、分離面の形状、裏部の形状、表面粗さ、弾性係数、硬度、壁厚、およびベアリングシェルの幅とすることができる。
【0017】
1つ以上の試験力を、1つ以上の支持点に直接加え、または、1つ以上の支持点を変位させることが好ましい。試験力の付与または支持点の変位の経路の制御を、ベアリングシェルの変形から突出を求めるためにベアリングシェルを変形させるのに役立てることができる。または、変位可能な取付け点を用いて、試験力が加えられるベアリングシェルに、開始時の構成を設定することができる。
【0018】
1以上の支持点をベアリングシェルの座標系における径方向に変位させることが好ましい。このようにして、試験力がベアリングシェルに加えられる前に、ベアリングシェルの広がりを取り除くことが好ましい。
【0019】
試験力の付与は、簡単で再現可能な方法を実現するために、ベアリングシェルの頂点への験試荷重の付与を含むことが好ましい。
【0020】
ベアリングシェルが弾性変形するのが保証されるように1つ以上の試験力を一定の領域にわたって加えることが好ましい。
【0021】
好ましい実施態様では、ベアリングシェルの形状変化の測定は、非接触手段を用いて、各分離面から約30度離れた点の所の、ベアリングシェルの裏部上の2つの測定点で行われる。よって、2つの測定点での平均を用いることによって、例えば、孔やカム等によるベアリングシェルの非対称な構成を補償することができ、突出を求める精度を向上させることができる。
【0022】
試験力の付与より前に行われる追加の方法のステップで、変形時の1つ以上の測定点での変位の差を求めるのに用いられる基準測定を行うことが好ましい。これによって、測定される変形が、測定されるベアリングシェルに関するものとなることが保障され、その結果、突出を求める精度が向上する。
【0023】
分離面での横方向の規制力によりベアリングシェルの広がりを打ち消すことが好ましく、これにより、突出を求める精度および再現性を向上させることができる。このために、測定されるベアリングシェルを両方の分離面で固定することが好ましい。
【0024】
上記の方法の説明は、突出を求める装置へと移行できる特徴を含んでいる。特に、上記の方法を実行するのに適した装置は、1つ以上の支持点または支持領域でベアリングシェルを固定するのに適した固定装置と、1つ以上の試験力をベアリングシェルの少なくとも1つの位置へと加える1つ以上の変形装置と、ベアリングシェルが径方向に弾性変形するように変形装置によりベアリングシェルの少なくとも1つの点に1つ以上の試験力を加えている時に、1つ以上の点、領域、または区間でベアリングシェルの径方向の変形を測定することができる1つ以上の測定装置と、ベアリングシェルの、測定された変形からベアリングシェルの突出を求めることができる、突出を求める装置と、を備えている。
【0025】
固定装置の1以上の支持点は変位可能であり、および/または試験力を加えることができることが好ましい。ベアリングシェルの断面がほぼ半円形であるため、問題としている支持点をベアリングシェルの座標系における径方向に変位させることができることが好ましい。このように、設けられた変位可能な2つの支持点により分離面でベアリングシェルを固定すると、ベアリングシェルの広がりを打ち消すことができる。
【0026】
上記の好ましい方法の一つを実現するために、変形装置は、ベアリングシェルの頂点に試験力を加えることができるように構成することが好ましい。
【0027】
また、変形装置は、制御されたやり方でかつ弾性領域で変形を行うことができるように、電気的な線形のユニットおよび/または圧電アクチュエータを有することが好ましい。
【0028】
同じ理由で、また、ベアリングシェルへの負荷をできるだけ小さくするために、1つ以上の試験力がベアリングシェルに、一定の領域にわたって加えられることが好ましい。
【0029】
測定装置は、接触することなくベアリングシェルの変形を測定できるように、また、突出を求める間、ベアリングシェルに加えられる負荷をできるたけ小さくするために、1つ以上の光学センサーを有することが好ましい。
【0030】
好ましい実施態様では、測定装置は、試験力が加えられている時に、各分離面から約30度の点の所の、ベアリングの裏部でベアリングシェルの形状変化を測定することができる非接触式の2つの距離センサーを備えている。したがって、2つの測定点で平均することによって、例えば、孔やカム等によるベアリングシェルの非対称な構成を補償することができ、突出を求める精度を向上させることができる。
【0031】
また、突出を求める装置は、上述の形状変化のモデルの1つを用いて突出を求めるコンピュータを備えることが好ましい。したがって、構成にあまり苦労することなく、この構成を、異なるベアリングシェルに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、記載の方法および記載の装置による測定に適したベアリングシェルを示している。
【図2】図2は、ベアリングシェルの「広がり」を示している。
【図3】図3は、測定用凹部を用いた先行技術による突出の測定方法を示している。
【図4】図4は、突出を求める装置の実施形態を示し、方法を明らかにしている。
【図5】図5は、ベアリングシェルの頂点に加えられる力を用いたベアリングシェルの変形のシミュレートを示している。
【図6】図6は、ベアリングシェルの最大の変形のシミュレーション結果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図4は、突出を求める測定装置の実施形態を示している。この測定装置は、2つの固定ブロック30を有する固定装置を備えている。よって、ベアリングシェル1は、複数の点または複数の部分(以下、「支持点」と呼ぶ)で固定される。試験装置の構成に応じて、個々の支持点に力を加えることができ、または、変位を制御するように、好ましくはベアリングシェルの座標系で径方向に支持点を変位させることができる。本実施形態では、ベアリングシェル1は両分離面10で固定される。
【0034】
変位可能な固定ブロック30を用いて、ベアリングシェル1の広がりが打ち消されることが好ましい。これに続いて、押し付け部32を用い、試験力Fまたは変位を制御するように規制された力xがベアリングシェル1の頂点に加えられる。力が伝達されている間の塑性変形を防ぐように、作動部材(好ましくは電気的な線形のユニットまたは圧電アクチュエータ)を介してベアリングの裏部または分離面の、一定の領域にわたって力が伝達されるようにすることができる。
【0035】
図5は、押し付け部32による力Fの影響下でのベアリングシェル1の、シミュレートした変形を示している。この変形は、変位を制御されており、頂点が10μmだけ1/2Q+10μmに変位させられている。図5では、ベアリングシェル1の径方向の変形が網掛けで示されて強調されている。
【0036】
測定装置は、試験力が加えられている間に、センサー31を用いてベアリングシェルの複数の点または区域でベアリングシェル1の中心に対して所的の方向(ベアリングシェルに対する径方向が好ましい)の絶対な距離の測定または距離の変化の測定を行う。センサー31は、測定装置にしっかりと接続することができ、または、各支持点30に可動に接続することができる。測定点は、ベアリングシェル1のスライド面(内径)またはベアリングの裏部(外径)に設けることができる。用いられるセンサー31は、接触式または非接触式の距離センサーとすることができる。区域全体の領域にわたって複数の距離を検出するために、光学センサーは三角測量の原理にしたがって用いることが好ましい。図示の好ましい実施形態では、各分離面10から30度の点で、負荷を加えた状態でのベアリングの裏部の形状の変化を検出する2つの非接触式の距離センサー31が設けらていれる。
【0037】
最も簡単な場合、分離面10への横方向に規制する力により広がりが打ち消された後、センサー31まで距離の基準測定が行われる。その後、鉛直方向の力F,xが頂点に加えられることで、頂部の距離が、Q値に所定の距離だけ加算した値に達し(変位を制御した負荷で)、センサー31への距離が新たに測定される。再度、分離面10から30度の点でベアリングシェルの径方向で距離が求められる。変位の差が、鉛直方向の(変位を制御された)負荷を加えた状態での径方向の形状の変化である。この差が、突出を自動的に計算して求めるための主要な入力変数となる。
【0038】
ベアリングシェルが、非対称に配置された孔やカム等を有することによる非対称の変形を最小にするために、両方(右側および左側)の測定点の平均値を算出することが好ましい。
【0039】
この変数および他の入力変数の算出は、プロセスコンピュータを用いて、最も簡単な場合はPCを用いて行うことが好ましい。
【0040】
測定装置は、別の測定時に、または負荷を加えた状態で形状が変化している間に、場合によっては無作為のサンプリングにより、広がり、ベアリングの裏部の形状、分離面のト形状、表面粗さ、硬度、壁厚、およびスライド面のマクロフォームなどの変数を検出するセンサーをさらに備えることができる。
【0041】
他の入力変数の情報(例えば、先行技術の処理)を、他のシステムから転送し、演算時に補正用の入力変数として用いることができる。
【0042】
上記した測定方法の可能な実現方法の1つは、有限要素法を用いてシミュレートすることである。
【0043】
シミュレートを用いた構成は、ベアリングシェルの頂部の支持部として働くブロックを有している。ベアリングシェルは、その分離面の所で横方向に支持され、両分離面に試験力で負荷が加えられる。同様に、支持ブロックを介して負荷を加えることにより鉛直方向の試験力も加えることができる。シミュレートの手順によって、まず、ベアリングシェルの実際の広がりが、分離面の近くでベアリングの裏部に水平方向に作用する力により打ち消される。両分離面は、外径(Q値)の目標寸法になるように同時に押圧される。この時点では、頂部は鉛直方向の力を解除されている。次に、分離面から30度の区域に近いベアリングの裏部の部分の距離の最初の測定が行われる。ベアリングの軸線からセンサーまでの径方向の距離が求められる(変形前の基準測定)。次に、分離面の支持平面からの距離が所定の距離になるまで、支持ブロックがベアリングシェルの分離面に向けて変位させられる。この距離は、このシミュレーションでは、Q値/2+10μmとして選択される。これによりベアリングシェルの形状が径方向に歪められる。次に、分離面から30度の区域での径方向の距離の2回目の測定が行われる。これら2つの測定値の差により、広がりを打ち消した後の径方向の形状の最大の偏差が得られる。接触式または非接触式の手段による別の、または同時の測定で広がりがわかると、差の測定への広がりの影響を計算により補正することができる。
【0044】
図6は、1/2Q+10μmに変位を制御した変形を示している。図6は、所与の突出(y軸の「突出」)の場合の、直径Q、壁厚w、およびのベアリングシェル幅bを様々な値として変位を制御した負荷を加えた状態でのベアリングシェルの最大の変形(x軸の「変形」)のシミュレーションの結果を示している。図6によって示されているように、広がりがなければ、上記の差は突出に比例する。この差の測定は、孔、溝、カムの存在に多少左右される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベアリングシェル(1)の突出を求める方法であって、
a)複数の支持点で前記ベアリングシェル(1)を固定するステップと、
b)前記ベアリングシェル(1)が径方向に弾性変形するように前記ベアリングシェル(1)の少なくとも1つの点に1つ以上の試験力(F,x)を加えるステップと、
c)前記ベアリングシェル(1)の1つ以上の測定点で前記ベアリングシェルの径方向の変形を測定するステップと、
d)測定した前記変形から前記突出(S)を求めるステップと、
を有する方法。
【請求項2】
前記ステップb)で、力を時系列に順に制御するようにして試験力(F,x)が加えられ、前記ステップc)で、前記変形が時系列に順に測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップd)で求める前記突出(S)は、形状変化のモデルを用いて求められることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記形状変化のモデルは、前記ステップa)より前に、一連のマスターシェルに基づいて材料特性および分析モデルから経験的に求められ、製品の部品の比較測定から適応的に求められ、またはそれらの組み合わせにより求められることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップc)より前に、1つ以上の支持点に試験力が加えられる、または、1つ以上の支持点が、変位を制御するように移動されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記支持点の1つまたは複数を前記ベアリングシェル(1)の座標系における径方向に変位させることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップb)で、試験力(F,x)が前記ベアリングシェル(1)の頂点に加えられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
領域全体で前記ベアリングシェル(1)に1つ以上の試験力(F,x)が与えられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記ベアリングシェルは、2つの分離面(10)とベアリングの裏部(12)とを備え、前記ステップc)での前記ベアリングシェル(1)の形状の変化の測定を、非接触式に、前記各分離面(10)から約30度の点の所の、前記ベアリングシェル(1)の前記裏部(12)上の2つの測定位置で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
ステップb)より前に行われる追加のステップで、変形時の1つ以上の測定位置についての変位の差を求めるのに用いられる基準測定を行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
ステップc)の前に、前記ベアリングシェルの前記分離面(10)での横方向の規制力により前記ベアリングシェル(1)の広がりを打ち消すことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
ベアリングシェル(1)の突出を測定する装置であって、
1つ以上の支持点でベアリングシェル(1)を固定するのに適した固定装置(30)と、
1つ以上の試験力(F,x)を前記ベアリングシェル(1)の少なくとも1つの点に加える1つ以上の変形装置と、
前記ベアリング(1)が径方向に弾性変形するように前記変形装置により前記ベアリングシェル(1)の少なくとも1つの点に1つ以上の試験力(F,x)が加えられている時に、1つ以上の点で前記ベアリングシェルの径方向の変形を測定することができる1つ以上の測定装置(31)と、
前記ベアリングシェル(1)の測定された前記変形から前記ベアリングシェルの前記突出を求めることができる前記突出を求める装置と、
を備える装置。
【請求項13】
前記固定装置(30)の1つ以上の支持点は、前記変形装置を用いて試験力(F,x)を加えること、または、変位を制御することが可能であることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記支持点の1つまたは複数が、前記ベアリングシェル(1)の座標系における径方向に変位可能であることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
試験力は、前記変形装置(32)によって前記ベアリングシェル(1)の頂点に与えることができることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
前記変形装置は、電気的な線形のユニットおよび/または圧電アクチュエータを有することを特徴とする請求項12〜15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
前記ベアリングシェル(1)に一定の領域にわたって1つ以上の試験力(F,x)を加えることができることを特徴とする請求項12〜16のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記測定装置(31)は、1つ以上の光学センサーを有することを特徴とする請求項12〜17のいずれか1つに記載の装置。
【請求項19】
前記ベアリングシェルは、2つの分離面(10)と1つのベアリングの裏部(12)とを備え、前記測定装置(31)は、試験力(F,x)が加えられてうる時に前記各分離面(10)から約30度の点の所の、前記ベアリングの裏部(12)で前記ベアリングシェル(1)の形状の変化を測定することができる非接触式の2つの距離センサーを備えることを特徴とする請求項12〜18のいずれか1つに記載の装置。
【請求項20】
前記突出(S)を求める前記装置は、形状変化のモデルを用いて前記突出(S)を求めるコンピュータユニットを備えることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1つに記載の装置。
【請求項21】
前記形状変化のモデルは、材料特性値および分析モデルからなるモデル、一連のマスターシェルから経験的に求められたモデル、製品の部品を用いた比較測定から適応的に求められたモデル、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項20に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−527605(P2012−527605A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511258(P2012−511258)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056792
【国際公開番号】WO2010/133579
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510010436)フェデラル−モーグル ヴィースバーデン ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL−MOGUL WIESBADEN GMBH
【Fターム(参考)】