説明

ベッドサイドにおける視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具

【課題】ベッドサイドに吊設されている蓄尿袋は、その上部に形設の提手を介して紐又はベルト等で吊設されていたので、尿が入ると蓄尿袋は一方に傾いて吊り下がり、見た目の悪い状態となる上に、袋内の尿は丸見えであるので、これを見えないようにする。
【解決手段】ベッドサイドへの取り付けと、蓄尿袋3の保持をなす方形な保持枠体1から成り、蓄尿袋を人目から遮断する(視認性を遮蔽する)遮蔽体4を開閉或いは取り外し自在に吊設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
病院等で、ベッド生活を送る人々の尿処理用の蓄尿袋が、剥き出しのままでベッドサイドに吊設されている姿をよく目にするが、これは同室の入院患者であれお見舞いの客であれ、目にする人に不快感を与えるものとなるだけでなく、入院患者や家族にとっては「人間の尊厳を毀損された」と感じるほどに精神的なダメージは大きいものである。
【0002】
そこで、本発明は、上記見る人への不快感と患者及び家族の精神的なダメージの解消するベッドサイドにおける視認性遮蔽蓄尿袋吊設保持器具に関するものである。さらに本発明は、それと同時に、尿の棄却や蓄尿袋の交換等の作業が煩労なく行えるようにしたベッドサイドにおける蓄尿袋の遮蔽構造を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
従来の蓄尿袋は、ベッド床面(横臥面)よりも低く位置させ、そのまま剥き出しでベッドサイドに吊設されているので、常時人目に晒され、これが見る人への不快感を伴うものとなっていた。さらには、それを常時見られている入院患者や家族にとっては、精神的に大きな負担となっていた。
【0004】
従来でも、捜瓶などの尿収容器を、他の容器(例えば箱)や布等で単に隠す(遮蔽する)手段は一部では行われていたが、至便性も考慮すると充分にその目的を達成できるものではなかった。
【0005】
その他の従来例としては、例えば、内部に採尿バッグを収納できるようにした採尿バッグ収納袋であって、前面に透明部分を設けると共にこの透明部分を隠すカバーを設け、さらに下端に開口部を設け、この開口部から採尿バッグの排尿管を取り出せるようにして採尿バッグを人目に付かないように隠し、患者が気兼ねなく携帯できるようにする採尿バッグ収納袋を提供することは、特許文献1(特開2001−87298号公報)で開示されている。
【0006】
さらに、特許文献2(特開2007−68603号公報)には、導尿バッグ本体の正面側を覆うことが可能な第1カバー部と、当該導尿バッグ本体の背面側を覆うことが可能な第2カバー部と、第1カバー部と第2カバー部とに亘って形成され、導入管と係止ベルトとを外部に延設させ得る窓部が形成された第3カバー部とを有し、第1カバー部、第2カバー部及び第3カバー部が一体的に成形されたシート状部材から成るとともに、第1カバー部及び第2カバー部を連結させて尿道バッグ本体の側面を覆う面ファスナを具備した導尿バッグ用カバーにより、導尿バッグ本体の外側を覆って当該導尿バッグ本体の目視を困難とし得るとともに、導尿バッグのベッドへの係止や導入管の外部への延設を容易とすることができ、且つ、導尿バッグへの脱着が容易な導尿バッグ用カバーを提供することが開示されている。
【0007】
また、特許文献3(特開2004−201992号公報)には、蓄尿バッグの上端部に設けられた管状部に挿入して装着される装着部と、車椅子の座面(シート状物)の上面に係合する係合部と、これらを連結する連結部とで構成され、装着部および係合部は、それぞれ、横断面が円形で、先端が丸みをおびた棒状体で構成されており、これらは間隙距離を隔ててほぼ平行に配置された医療用バッグの固定具により、簡単な操作でしかも安定的に固定することができる医療用バッグの固定具を提供することが開示されている。
【0008】
しかしながら、ベッドサイドに吊設の蓄尿袋の視認性の遮蔽に加えて、家族や看護師の作業性の向上も考慮した遮蔽器具は、これら先行の技術の中から見いだすことはできない。
【0009】
また、導尿バッグの採尿状態を外部から目視させる領域面を可撓性を有する帯体で被装させる導尿バックカバーと側面視略凹字状に形成され導尿バックカバーで被装された導尿バッグの把持部を掛止させるフック部と、そのフック部と一体的に設けられ構成杆を挟持させてフック部を支持させるバンド部とを備えて構成された導尿バッグ固定具とを備えて構成することにより、主に医療現場で使用される導尿バッグを簡単な構成でもって被装して第三者の目に付かないようにすると共に採尿量の確認を容易で、しかも、その被装された導尿バッグを既存のベッドや既存の点滴架台等の医療具を構成する構成杆に固定可能とさせて、医療従事者の負担を少なくすると同時に患者に対しても精神的な苦痛を与えることのない導尿バッグ掛止システムを提供することは、特開2006−34398号公報(特許文献4)において知られている。
【0010】
しかしながら、この特許文献4において開示されているものは、導尿バッグの表裏をカバーによって覆い隠して、点滴架台の支柱やベッド脚部の縦杆や横杆等の所望した位置に導尿バッグ固定具のバンド部を挟持させて導尿バッグ固定具を取り付けるタイプのものであるために、導尿バッグにカバーを装着するのに手間がかかり、カバーを清潔に保つために交換するとしても煩雑で時間も要するものである。
【0011】
【特許文献1】特開2001−87298号公報
【特許文献2】特開2007−68603号公報
【特許文献3】特開2004−201992号公報
【特許文献4】特開2001−87298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来、ベッドサイドにおける蓄尿袋の吊設保持では、蓄尿袋の上部に形設してある提手を介して1本の紐又はベルト等で吊設していたので、尿が入ると蓄尿袋は一方に傾いて吊り下がり、見た目の悪い状態となる上に、袋内の尿は丸見えであるので、これを見る人に不快感を与え、患者本人と家族には精神的な負担を与えるものとなっていた。
【0013】
そのために、ベッドサイドに吊設の蓄尿袋を人目から遮断(視認性の遮蔽)して、不快感を解消する遮蔽構造の確立が必要とされていた。そして、上記遮蔽構造が、蓄尿袋の交換や尿の棄却等の作業にも支障とならず、蓄尿袋の交換や遮蔽布の交換作業が効率よくスムーズにできる構造のものにすることも、本発明が目指すところである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、当該保持枠体をベッドサイドへ吊設するための吊設手段と前記蓄尿袋を当該保持枠体に保持するための保持手段とを備えており、該吊設保持した蓄尿袋の前面側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽する開閉自在な遮蔽体を備えることを特徴とする。
【0015】
つまり、本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、課題の解決のために、ベッドサイドへの取り付けと、蓄尿袋の保持をなす方形な保持枠体から成り、蓄尿袋を人目から遮断する(視認性を遮蔽する)遮蔽体を開閉或いは取り外し自在に吊設するものである。
【0016】
さらに、本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、前記蓄尿袋の視認性を遮蔽する遮蔽体は、前記保持枠体の一方の側面において回動可能に枢支されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、前記蓄尿袋の視認性を遮蔽する遮蔽体は、織布、不織布、レース等の布状物であることを特徴とする。
【0018】
本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、ベッドサイドへの前記保持枠体の吊設手段と当該保持枠体への前記蓄尿袋の保持手段とを備えており、該保持した蓄尿袋の外側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽し、織布、不織布、レース等から成る布状カーテン体を開閉可能に備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、ベッドサイドへの前記保持枠体の吊設手段と当該保持枠体への前記蓄尿袋の保持手段とを備えており、該保持した蓄尿袋の外側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽し、織布、不織布、レース等から成る布状カーテン体を取り外し自在に備えることを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具は、布状物或いは布状カーテン体には芳香を染ませたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、ベッドサイドに吊設可能な保持枠体により蓄尿袋を保持し、その前面部分には開閉可能な遮蔽手段を備えることにより、蓄尿袋の視認性を遮蔽しているので、蓄尿袋が人目に晒されることがなく不快感は解消され、また使用者及び家族の精神的な負担も軽減される。
【0022】
本発明においては、開閉可能な遮蔽手段を枢支する構成とすることにより、遮蔽手段の即座な開閉を可能とする。また、カーテンの構成を用いれば、遮蔽手段であるカーテンの定期的な交換も可能となり衛生的である。また、カーテン状の布地を弾性的な吊設手段により保持枠体に設けることにより、取り外し性が格段に改善される。カーテン状の構成を用いる場合には、ゴム等の弾性紐と係止輪により弾性的に係止することにより、容易に着脱可能にすることも可能である。
【0023】
このように本発明においては、蓄尿袋の設置、交換、尿の棄却等の場合の開閉においても、煩労なく、容易且つ即座にできる構成にしている。この遮蔽布等をリネンの交換と共に定期的に交換するようにすれば極めて衛生的で清潔である。また、その構成から美観もあり、見る人に好印象をあたえるものとなっている。さらには、布地に芳香性材を含浸させることにより、使用者や看護師等への配慮ができるものである。これらは、従来技術にはない本発明の優れた効果である。
【0024】
また、遮蔽枠体は、1本の金属線(棒)を曲折するだけで、枢軸、掛留軸、被布部の各部位を形成したシンプルな構成である。従って、遮蔽布の装着も簡単で、遮蔽布に設けた枠体通しに遮蔽枠体を通すだけでよく、煩労が少ないので、洗濯や交換の際の着脱も苦にならず、常に清潔感のあるベッドサイドにしておくことができる。また、遮蔽枠体は、合成樹脂製により成形することにより、より軽量な蓄尿袋吊設保持器具を得ることが可能である。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するために、ベッドサイドへの取り付けと、蓄尿袋の保持を成す方形な保持枠体を任意素材で構成し、且つ、該保持枠体の枠体側部には、蓄尿袋を人目からの視認性を遮蔽する遮蔽枠体を備えたものとする。この遮蔽体は遮蔽布により構成することも可能であり、また回動可能に枢設することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施例の保持枠休部分を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施例の保持枠体に枢設される遮蔽体の分解斜視図である。
【図3】本発明の第1実施例の使用形態の全体を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例の板状体を説明する斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例の板状体を説明する斜視図である。
【図6】本発明の第4実施例を説明する斜視図である。
【図7】本発明の第5実施例の使用形態の全体を示す斜視図である。
【図8】(A)(B) 本発明の第5実施例の遮蔽体を説明する図である。
【図9】本発明の第5実施例の全体構成を説明する斜視図である。
【図10】本発明の別実施例の遮蔽体を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
上記が、本発明の課題解決手段の概要であるが、次に、本発明の実施例に基づいて、個々の技術手段について詳細に説明をする。以下、本発明の実施における最良の形態を、図に基づいて説明する。
【0028】
図1は本発明の保持枠体1を説明する図である。保持枠体1を構成する素材としては、金属線(棒)、金属中空管、金属板、合成樹脂板、木材板等が考えられるが、ここでは、その径を0.5〜0.6cmとする金属線又は金属中空管を曲折・加工して実施する場合を例示する。
【0029】
このように保持枠体1は、金属線又は、金属中空管、板状の金属、合成樹脂、木材等のいずれかを用いて方形に構成し、その枠体側部の一方に(図において右側)は2個の枢軸受け9,9を上下に隔てて設け、他方の側部(図において左側)には、その上部に掛留軸受け10を1個設ける。これら枢軸受け9,9と掛留軸受け10には、後述の遮蔽枠体6における枢軸7と掛留軸8が、枢軸受け9,9に対しては枢軸7が回動可能に、掛留軸受け10に対しては掛留軸8が掛留可能に挿通される。
【0030】
図2は、保持枠体1に回動可能に枢着される遮蔽枠体6を説明する図である。遮蔽枠体6は、1本の金属線(棒)又は金属中空管を曲折して、上部に同一水平面内となるコ字状部分を形成し、その両端の内、上記保持枠体1の枢軸受け側(図において右側)となる端部は22〜25cmの長さにして下方に曲折して枢軸7とし、また、上記の掛留軸受け側(図において左側)となる端部は、2〜3cm下方に曲折して掛留軸8とする。
【0031】
保持枠体1は、縦横ともに30〜35cmの範囲である方形とし、その内部には補強と蓄尿体3の動きを防止するための桟17を形設する。桟17は、蓄尿体3の動きを防止する機能を発揮するものであれば、網状体でも縦桟のみ或いは横桟のみの構成でも良い。また、図1で示すように、保持枠体1の枠体側部2(図において右側)には、上下に18cm程度の隔たりをもたせて、断面U字形状の金属製枢軸受け9を2個溶接により形設すると共に、いま一方の枠体側部2(図において左側)の上部には、上記の枢軸受け9に準じた形状の掛留軸受け10を溶接又はカシメにより形設固定する。
【0032】
次に、図2に基づいて、遮蔽体4について説明する。遮蔽体4は方形で布状の遮蔽布5と、これをささえる遮蔽枠体6で構成される。遮蔽枠体6は、その径を0.5cm程度とする金属線(棒)又は金属中空管を用い、これを上部に同一水平面となるコ字状又は台状あるいは弧状の形状に曲折して被布部19を形成し、その両端のうち、前記保持枠体1の枢軸受け9側(図において右側)となる端部は、22〜25cmの長さにして下方に曲折して枢軸7とし、また、上記の掛留軸受け10側(図において左側)となる端部は2〜3cmを下方に曲折して掛留軸8とする。
【0033】
また、遮蔽布5は、蓄尿袋3の視認性を遮蔽するためのものであり、織布、不織布、レースを問わず布状物又は合成樹脂性のシート状物を用い、その上部には遮蔽枠体6を通す枠体通し11を縫合又は接着(粘着)により形成する。なお、上記に際し遮蔽布5の横幅は、前記遮蔽枠体の布着部より数cm大きくする。勿論、遮蔽枠体6の上部コ字状部分全体をカバーする大きさにして、蓄尿袋3を3方向から覆うように構成しても良い。これにより、蓄尿袋3の目的である蓄尿袋3の視認性の遮蔽はほぼ完全なものとなる。この視認性の遮蔽とは、遮蔽布5の奥の蓄尿袋3が完全に見えなくなる必要性はなく、遮蔽布5が存在することが使用者本人及び家族の精神的余裕及び来訪者への心配りになるものである。
【0034】
以上のように、遮蔽枠体6に取り付けられる遮蔽布5は、織布、不織布、布状又はシート状の合成樹脂、しなやかさを有する紙(和紙)等のいずれであっても視認性を遮蔽する材質であればよいが、その上部に遮蔽枠体6が挿通可能な一枠体通し11を縫合又は接着(貼着)等で形成することにより、掛留軸8等を介して容易に着脱(交換)ができる。
【0035】
なお、図2に示した遮蔽体4では、遮蔽布5と遮蔽枠体6が一体で回動し、遮蔽機能を発揮する方式のもので、遮蔽布5をカーテン様に一方の端部に寄せて開閉する方式のものではないが、勿論、カーテン様に構成することも可能である。これについては、別の実施例として説明するが、本実施例では、カーテン様でないので、従って、蓄尿袋3内の尿の量の確認作業や放棄案作業がより迅速に可能であり煩労を生じない効果がある。
【0036】
本発明の保持枠体1と遮蔽体4の構成は上記の通りであるが、次に、図3に基づいてその組み立てを説明する。これを成すときは、遮蔽体4を構成する遮蔽枠体6の枢軸7を、保持枠体1の側部(図において右側)に設けた2個の枢軸受け9に挿嵌する。これにより、遮蔽体4は枢軸7を支軸に、自在な回動が可能となる。また、掛留軸受け10には(図において左側)、遮蔽枠体6に形設の掛留軸8を挿着することによって、遮蔽体4を掛留(固定)することができる。図3に示した掛留軸受け10と掛留軸8は、挿着及び取り外し自在に構成しているが、これに代えて、保持枠体1と遮蔽体4との接合部分の双方に磁石を設けるようにしても良い。そうすれば、遮蔽体4の開閉はさらに簡便になる。
【0037】
以上が、本発明の第1の実施例における最良の形態の構成であるが、次に、その使用形態及び作用について説明する。以上のように、送尿管16を接続した蓄尿袋3は、保持枠体1に対して吊具15,15により2箇所で吊り下げ保持されて安定に保持可能であり、蓄尿袋吊設保持器具全体は吊設具14,14によってベッドサイドに吊り下げられる。
【0038】
これを用いるときは、保持枠体1をベッドサイドに取り付けた後、保持枠体1に枢設の遮蔽枠体6の掛留軸8を若干上方に持ち上げて、掛留を解除して遮蔽枠体6を開き、保持枠体1に付属の吊具15,15で蓄尿袋3を保持させた後、上記の掛留軸8を掛留軸受け10に嵌め、遮蔽枠体6をロックし、送尿管等は使用者のいるベッド床上に上げる。以上の遮蔽枠体6の操作は、蓄尿袋3の交換や尿の棄却の場合も同様である。また、看護師等が蓄尿袋3内の尿の量をチェックする際には、遮蔽体4をカーテンの様に開けてチェックしても良いし、掛留軸8を掛留軸受け10から外して、遮蔽枠体6全体を枢軸7を中心に枢軸回転させて開放してチェックしても良い。
【0039】
図4は、第2の実施例を説明する図である。ここでは保持枠体1aとして、方形の木材板(合板)或いは合成樹脂製を用いて実施する場合を示している。ここで用いる遮蔽枠体は、上述の図2,図3で示す実施例と同様に、枢軸7と掛留軸8を有するものであるが図示していない。枢軸受けと掛留軸受けは、図1,図3で示す実施例の溶接等によるものとは異なり、保持枠体1aの側部に断面をU字状の金属板をリベット又は鳩目等で取り付けた枢軸受け9aと掛留軸受け10aとし、これに遮蔽枠体6の枢軸7と掛留軸8(図2,図3で示す実施例と同様で良い)を挿嵌する。この使い方や作用効果は、第1の実施例と同様である。
【0040】
さらに、第3の実施例では、図5で示すように、軸孔12を有する木材或いは合成樹脂製による軸受駒13を保持枠体1aの側部板面に接着剤(木工用或いは合成樹脂用)でそれぞれ接着し、この軸受駒13の軸孔12に遮蔽枠体6の枢軸7と掛留軸8(図2,図3で示す実施例と同様で良い)を挿嵌し、これにより遮蔽枠体6を保持枠体1に枢著し、遮蔽体4の開閉(回動)と掛留ができるものにする。なお、合成樹脂製の場合は、保持枠体1aと軸受駒13,13,13は射出成形により一体的に形成することも可能である。また、木材により製作する場合には、比較的簡単で且つ低価格で、木目を入れることで見栄えがよく実施できる利点がある。
【0041】
図6に第4の実施例を示す。この実施例では、第1の実施例の遮蔽体である遮蔽布5に代るものとして、薄手で強靭な合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)板で、その側部周縁には枢軸受け20,20と掛留軸受け20aも一体で成形した遮蔽板8cとし、この枢軸受け20,20と掛留軸受け20aを挿入される枢軸と掛留軸は、L状軸19,19,19として、保持枠体1の両側部に溶接等により取り付けられる。この実施例においては、遮蔽板8cを合成樹脂製の成形より作ることにより、実施に際して、生産性を高めることができる利点があり、また、遮蔽布による場合と異なり、ひらつきがなく方形で美観にも優れている。さらに、保持枠体を図5で示したように、合成樹脂板により構成することも可能である。その場合は、保持枠体の駒には軸孔を形成するのではなく、軸状の棒状体を埋め込むことにより、遮蔽体の枢軸受け20,20及び掛留軸受け20aに枢支可能である。
【0042】
上記の実施例では、実施におけるコストが小さな上に、作業性が良い利点がある。なお、本発明における吊設具14と吊具15の形状は、図に示した実施例に限定されるものではなく、また、揺動止め18は必要の際に設けることで良い。
【0043】
図7において第5の実施例を示す。第5の実施例の蓄尿袋吊設保持器具は、保持枠体52が、側面から見て転倒したL字状となっており(図9により明瞭である)、その保持枠体52に布製の遮蔽体54を弾性の係止手段56,56により着脱自在に取り付けるように構成している。保持枠体52には、蓄尿袋3を吊り下げるための吊具15,15が設けられており、吊設具14,14によりベッドサイドに取り付けられる。
【0044】
遮蔽体54は、図8に示すように、カーテン状の布状シートであり(図8(B))、その上部にはゴム等の弾性紐58(図8(A))を縫い付け等の手段により取り付けられている。ゴム等の弾性紐58(図8(A))の両端には弾性でリング状の係止手段56,56が形成されている。保持枠体52の上部両側に球状突起部60,60が形成されており、夫々の球状突起部60,60に弾性リング状係止手段56,56が引っ掛けられて、カーテン状遮蔽体54が保持枠体52に取り付けられる。取り外す場合には、球状突起部60,60から弾性リング状係止手段56,56を外せば良い。弾性リング状係止手段56,56は輪ゴム状の弾性体で形成されており、着脱は極めて容易である。
【0045】
図10に、さらに別実施例の遮蔽体70を示す。遮蔽体70は、薄手の繊維質或いは不織布から形成された遮蔽部71を備えている。遮蔽体70のサイズは蓄尿袋3と実質的に同じサイズの遮蔽部71に対して、上部に少し厚手の補強片72を張り合わされている。補強片72の中心部近傍に折線部73が形成され、その両端部には両面テープ74,75を配置してあり、折線部73を折り遮蔽枠体6に対して掛けて取り付け両面テープ74,75を貼り付けて固定する。これにより、古くなった遮蔽体70の交換が極めて容易である。また、この遮蔽体70は、繊維質或いは不織布から形成されているので、香り等を
含浸させることも容易であるし、模様76を織り込んだりプリントしたりすることも容易である。
【符号の説明】
【0046】
1,1a 保持枠体
2 枠体側部
3 蓄尿袋
4 遮蔽体
5 遮蔽布
6 遮蔽枠体
7 枢軸
8 掛留軸
9,9a 枢軸受け
10,10a 掛留軸受け
11 枠体通し
13 軸受駒
19 被布部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、当該保持枠体をベッドサイドへ吊設するための吊設手段と前記蓄尿袋を当該保持枠体に保持するための保持手段とを備えており、該吊設保持した蓄尿袋の前面側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽する開閉自在な遮蔽体を備えることを特徴とする視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。
【請求項2】
前記蓄尿袋の視認性を遮蔽する遮蔽体は、前記保持枠体の一方の側面において回動可能に枢支されていることを特徴とする請求項1記載の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。
【請求項3】
前記蓄尿袋の視認性を遮蔽する遮蔽体は、織布、不織布、レース等の布状物であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。
【請求項4】
ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、ベッドサイドへの前記保持枠体の吊設手段と当該保持枠体への前記蓄尿袋の保持手段とを備えており、該保持した蓄尿袋の外側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽し、織布、不織布、レース等から成る布状カーテン体を開閉可能に備えることを特徴とする視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。
【請求項5】
ベッドサイドへ蓄尿袋を吊設保持する器具であって、該蓄尿袋を吊設するための保持枠体を備えており、該保持枠体は、ベッドサイドへの前記保持枠体の吊設手段と当該保持枠体への前記蓄尿袋の保持手段とを備えており、該保持した蓄尿袋の外側には該蓄尿袋の視認性を遮蔽し、織布、不織布、レース等から成る布状カーテン体を取り外し自在に備えることを特徴とする視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。
【請求項6】
前記請求項3の布状物或いは、請求項4又は請求項5の布状カーテン体には芳香を染ませたことを特徴とする蓄尿袋の視認性遮蔽機能を有する蓄尿袋吊設保持器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−17524(P2010−17524A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5449(P2009−5449)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(508008326)
【Fターム(参考)】