説明

ベルトコンベヤ用ローラ

【課題】ベルトコンベヤの各リターンローラのベアリングに極めてスムーズに給油することができるようにする。
【解決手段】左右に分割配置するリターンローラ5と、この両リターンローラのリターンローラ支軸6の内端に両端を気密状に接続した可撓性のチューブ7とからなり、上記リターンローラ支軸の両端面間に連通する通路8を形成し、この通路に連通して上記リターンローラの両端に組み込んである上記リターンローラ支軸の軸承ベアリング9に給油する分配通路10を設けた構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルトコンベヤのリターン側に配置するベルトコンベヤ用ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
リターンベルトを支承するリターンローラを左右に配置して、リターンベルト下面の付着物の飛散を防止する構成のいわゆる中抜きローラは、既に知られている。
【0003】
しかしながら、左右のリターンローラを直結する支軸が直線であるため、リターンベルトの両側縁間の中央部分の弛みによりベルト下面が上記の支軸に接触するので、これにより依然として付着物の飛散などが発生する以外に、上記支軸やベルトが摩耗する不都合もあった。
【0004】
そこで、左右のリターンローラの直結支軸の中間部分に下方に垂下する垂下部を形成して、この垂下部によりリターンベルトの弛みによる下方への膨出下面の接触を回避したものがある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3842728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の構成によると、定尺に寸断した金属製パイプの中間部に屈曲成形により垂下部を設けたリターンローラ支軸を用いるので、プレス機や折り曲げ機を使用した垂下部の成形に著しく手数がかかって大幅なコストアップになる問題があった。
【0006】
また、左右のリターンローラのリターンローラ軸の他端にリターンローラ支軸の両端が挿嵌固定されているので、一方のリターンローラからリターンローラ支軸をへてもう一方のリターンローラ迄の距離が長くなって、出荷時に嵩張る問題もあった。
特に、リターンローラ支軸の定尺寸法に誤差があると、左右のローラ軸支持アングルに対する左右のリターンローラの取付けがスムーズにできない。
【0007】
また、左右のリターンローラのリターンローラ支軸の両端を軸承するベアリングに給油するには、リターンローラの両端からベアリングに向け給油するので、著しく手数がかかる問題もあった。
【0008】
そこで、この発明は、上述の問題を解決したベルトコンベヤ用ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、この発明は、左右に分割配置するリターンローラと、この両リターンローラのリターンローラ支軸の内端に両端を気密状に接続した可撓性のチューブとからなり、上記リターンローラ支軸の両端面間に連通する通路を形成し、この通路に連通して上記リターンローラの両端に組み込んである上記リターンローラ支軸の軸承ベアリングに給油する分配通路を設けた構成を採用する。
【0010】
すると、ベルトコンベヤの機枠の両側支持部に左右のリターンローラのリターンローラ支軸外端を支持させたとき、チューブが弛んで、弛みによる垂下部分によりチューブとベルトの接触が回避されて付着物の飛散や落下を防止すると共に、チューブやベルトの摩耗がなく、又リターンローラ支軸の外端から通路に給油すると、チューブからリターンローラ支軸の通路にも給油され、給油された油が分配通路からベアリングに向う。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明のベルトコンベヤ用ローラによれば、ベルトコンベヤの機枠の両側支持部に左右のリターンローラのリターンローラ支軸の外端を取付けることで、左右の分割配置のリターンローラのリターンローラ支軸を連結する可撓性のチューブが自重により下方に弛む。
【0012】
このため、両リターンローラの傾斜が維持されると共に、チューブとベルトとの接触がチューブの弛みにともなう垂下部分で回避されて、付着物の飛散や落下を防止すると共に、非接触によりチューブの摩耗は勿論のこと、ベルトの摩耗をなくすることができる。
【0013】
そして、片方のリターンローラのリターンローラ支軸の外端側から通路に給油すると、チューブをへてもう片方のリターンローラのリターンローラ支軸の通路に給油され、通路内の油が分配通路から各ベアリングに給油できるため、給油作業の簡素化をはかる利点もある。
【0014】
また、チューブによって両リターンローラのリターンローラ支軸を連結してあるので、両リターンローラを並列させる荷姿にすることができるので、荷が低くなって出荷や格納の際の嵩張りをなくすることができると共に、従来のようにパイプ支軸の途中を屈曲加工して垂下部を設ける必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0016】
この発明の実施形態では、図1に示すように、機枠1内のヘッドプーリとテールプーリ(図示省略)との間に無端状のベルト2を掛け渡してベルトコンベヤAを形成し、このベルト2のキャリヤ側は、機枠1の両側及び中間のスタンド3間に架設(既知の支持手段を介し)したキャリヤローラ4で支承され、リターン側のベルト2は、この発明の後述のリターンローラ5で支承する。
【0017】
上記のリターンベルト2の支承リターンローラは、図2、3に示すように、左右に分割配置するリターンローラ5、5と、この両リターンローラ5、5のリターンローラ支軸6の対向する内端に両端を気密状に接続した可撓性のチューブ7とからなり、上記リターンローラ支軸6の両端間に連通する通路8を(軸芯に)形成してあり、又この通路8の両端部には、リターンローラ5、5の両端にリターンローラ支軸6を軸承するように組み込んであるベアリング9に給油する分配通路10が設けてある。
【0018】
上記の可撓性チューブ7としては、弛むことができる例えば合成樹脂製のものなどを使用し、上記の気密性の接続は、図2、3に示すように、チューブ7の両端に接着剤などで固定してある筒体11をリターンローラ支軸6の外端に嵌装したのち、筒体11にねじ込んであるビス12をねじ込みながら、ビス12の先端をリターンローラ支軸6の端部外周面対向位置に設けてある溝13に嵌入させて、リターンローラ支軸6に対し筒体11を取付けると共に、筒体11の内周の環状溝に嵌め込んで保持してあるOリング14をリターンローラ支軸6の外周面に圧接して、気密を保って取付けたが、その他の手段により気密性を保って接続してもよい。
【0019】
また、機枠1に対する両リターンローラ5、5のリターンローラ支軸6の支持は、既知の手段を採用するもので、例えば図示の場合、機枠1の支持部16に達磨状の貫通孔17を設けて、この貫通孔17の大径孔にリターンローラ支軸6の外端を貫通させたのち、リターンローラ支軸6の外端部分を貫通孔17の小径孔に向けて降下させながら、貫通孔17の小径孔の対向する両側縁に溝13を嵌め込むことで、取付け支持と、リターンローラ支軸6の不回転の状態を維持する。
【0020】
その際、溝13の両側縁間の幅寸法を支持部16の板厚寸法よりかなり大きくして、寸法差(図示省略)を利用して支持部16に対する両リターンローラ5、5を内端側が下り勾配になる傾斜の架設ができ、その結果チューブ7が弛んで、弛み部分の垂下にともないチューブ7とベルト2との接触が回避され、接触回避にともないチューブ7やベルト2の摩耗をなくすることができる。
【0021】
上記のように構成すると、片方のリターンローラ支軸6の外端から通路8に給油すると、給油にともなう油は、片方のリターンローラ5側の通路8からチューブ7をへてもう片方のリターンローラ5側の通路8に向い、各通路8に連通する分配通路10をへてベアリング9に向う。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の実施の形態を示す縦断正面図。
【図2】同上の要部を示す縦断拡大正面図。
【図3】同縦断拡大正面図。
【符号の説明】
【0023】
A コンベヤ
1 機枠
2 ベルト
3 スタンド
4 キャリヤローラ
5 リターンローラ
6 リターンローラ支軸
7 チューブ
8 通路
9 ベアリング
10 分配通路
11 筒体
12 ビス
13 溝
14 Oリング
16 支持部
17 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に分割配置するリターンローラと、この両リターンローラのリターンローラ支軸の内端に両端を気密状に接続した可撓性のチューブとからなり、上記リターンローラ支軸の両端面間に連通する通路を形成し、この通路に連通して上記リターンローラの両端に組み込んである上記リターンローラ支軸の軸承ベアリングに給油する分配通路を設けたことを特徴とするベルトコンベヤ用ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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