説明

ベルト巻付け装置

【課題】繰り返し使用できるベルトを用い、搬送ライン上にベルトの巻付けが可能な新規なベルト巻付け装置を提供する。
【解決手段】繰り返し使用可能な有端で可撓性のベルト100を、複数の角部C1〜C4を備えた形態の荷物200外周に巻き付けて荷崩れを防止するベルト巻付け装置であって、回転テーブル10と、ベルト100の一端を保持する枠チャック20と、ベルト100の他端を保持する軸チャック30と、ベルト100に張力を付与する張力付与機構40と、枠チャック20を回転に追従して回転移動させる第1案内機構50と、を備え、ベルト100に張力を付与し軸チャック30を静止させた状態で荷物200を回転させると共に枠チャック20を荷物200に追従させて回転させ、荷物200の各角部C1〜C4に順次ベルト100を掛け回し各角部を起点にしてベルト100に張力を加える構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばパレット上に段積みされた定形,不定形の段ボール箱,麻袋等の荷物の荷崩れを防止するために荷物外周にベルトを巻付けるベルト巻付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の段ボール箱等の荷物をまとめる装置としては、たとえば荷物にラップフィルムを巻きつけるラップ巻き装置が知られている。
ラップ巻きは簡便な方法として広く利用されているが、ラップフィルムは再利用することができず、最終的にはゴミとなって処分しなければならない。また、処分した後も環境への負荷が大きいために、リサイクル可能な簡便な方法の方法が開発が要請されている。
なお、ラップ巻き装置の例としては、たとえば、特許文献1に記載のようなものがある。
【特許文献1】特開平5−85504号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した要請に応えるべくなされたもので、その目的とするところは、繰り返し使用できるベルトを用い、搬送ライン上にベルトの巻付けが可能な新規なベルト巻付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、繰り返し使用可能な有端で可撓性のベルトを、複数の角部を備えた形態に積載された荷物外周に巻き付けるベルト巻付け装置であって、
荷物を載置したパレットを回転させる回転手段と、ベルトの一端を着脱自在に保持し、前記回転手段の回転運動に追従して回転運動をする第1ベルト保持手段と、ベルトの他端を着脱自在に保持する第2ベルト保持手段と、ベルトに張力を付与する張力付与手段と、を備え、前記第2ベルト保持手段を静止させた状態で回転手段によって荷物を回転させると共に第1ベルト保持手段を回転手段の回転に追従して回転させ、荷物の各角部に順次ベルトを掛け回し、各角部を起点にして前記張力付与手段によってベルトに張力を加えて巻付ける構成となっていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、荷物の最後の角部にベルトを巻き掛けた後、第1ベルト保持手段および第2ベルト保持手段によって保持されたベルト端部同士を締め付け固定することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、第1ベルト保持手段にはベルトの巻付け開始部分を荷物側面に密着させて固定する第1ベルト固定手段が設けられていることを特徴とする。
【0005】
請求項4に係る発明は、荷物の最後の角部に巻き掛けたベルトの巻き付け終了部分を荷物側面に密着させる第2ベルト固定手段を有し、第1ベルト固定手段と第2ベルト固定手段によって荷物に巻き付けたベルト部分の両端を押さえ、張力を保持した状態で第1ベルト保持手段と第2ベルト保持手段によって保持されたベルトの両端部を締め付け固定する構成となっている。
請求項5に係る発明は、回転手段は荷物の搬送路上に配置され、荷物を搬送するための搬送手段を備えている。
請求項6に係る発明は、ほぼ四角形の荷姿に積まれた荷物の前面が搬送方向とほぼ平行の姿勢で搬送されて回転手段に受け渡しされる構成で、ベルトは第1,第2ベルト保持手段によって保持された状態で荷物の前面側で待機し、荷物が回転手段に受け渡されると第1ベルト保持手段が荷物の前面側から回転方向の側面側に移動し、回転手段を四分の三回転させることにより4つの角すべてにベルトを掛け回す構成となっている。
【0006】
請求項7に係る発明は、第1ベルト保持手段を回転手段の回転運動に追従して回転駆動する第1駆動案内手段を有することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、搬送路と平行方向をX軸方向、搬送路の搬送面と平行でX軸と直交する方向をY軸方向、搬送面と直交する方向をZ軸方向とすると、第1駆動案内手段は、第1ベルト保持手段をX軸,Y軸の2軸方向に移動案内可能する2軸方向の直線案内機構を備え、回転手段の回転運動に追従する回転運動を、X軸,Y軸の直交座標系に置き換えて駆動制御する構成となっている。
請求項9に係る発明は、第1ベルト保持手段は回転手段に取り付けられて一体的に回転運動する構成であることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、張力付与手段は、ベルトの中間部に当接してベルトを引き伸ばす方向に移動するテンションロールを備えていることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、テンションロールのベルトを引き伸ばす方向は搬送ラインと平行方向であることを特徴とする。
請求項12に係る発明は、テンションロールは複数本配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項13に係る発明は、ベルトの一端には止め枠が設けられ、ベルトの他端を止めに通して折り返すことによりベルトを締め付ける構成で、ベルトの折り返し部を物品に巻き付いたベルト部分に着脱自在に固定する固定手段を有することを特徴とする。
請求項14に係る発明は、固定手段は面状ファスナであることを特徴とする。
請求項15に係る発明は、ベルトの折り返し部を押さえて面状ファスナを固定する押圧手段を備えていることを特徴とする。
請求項16に係る発明は、ベルトの他端には上下両端がベルトの幅より突出する止め軸が設けられていることを特徴とする。
請求項17に係る発明は、第1ベルト保持手段は止め軸を着脱自在に保持する軸チャックであり、第2ベルト保持手段は止め枠を着脱自在に保持する枠チャックであることを特徴とする。
請求項18に係る発明は、軸チャックは、止め軸を着脱時自在に保持する固定チャックと、該固定チャックと対向配置される軸抜き用移動チャックとを有し、締め付け固定時には軸チャックを枠チャック側に移動させて固定チャックと軸抜き用移動チャック間に止め枠を配置し、軸抜き用移動チャックを止め枠をくぐらせて固定チャック側に移動させて固定チャックから止め軸を受け取り、軸抜き用移動チャックを再び後退させて止め軸を止め枠をくぐらせ、軸チャックを枠チャックから離間させ、枠チャックから止め枠を離脱させ、軸抜き用移動チャックから固定チャック側に止め軸を受け渡すと共に軸抜き用移動チャックをベルトから離間させ、軸チャックを荷物の側面と平行に移動してベルトを止め枠を支点にして折り返して締め付ける構成となっている。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、第2ベルト保持手段を静止させた状態で回転手段によって荷物を回転させると共に第1ベルト保持手段を荷物に追従させて回転させ、荷物の各角部に順次ベルトを掛け回し各角部を起点にしてベルトに張力を加える構成となっているので、積み荷が乱積み状態で角部の形が定まらないものでも、角部を起点にしてテンションを付与するので、緩むことなく確実にベルトを巻き付けることができる。
荷物の角部すべてにベルトを巻き掛けないで締め付けるようにしてもよいが、請求項2に係る発明のように、荷物の最後の角部までベルトを巻き掛けた後、ベルト端部同士を締め付け固定する構成とすれば、角部すべてにほぼ均等のテンションを付与することができる。
請求項3に係る発明によれば、第1ベルト保持手段にベルトの巻付け開始部分を荷物側面に密着させる第1ベルト固定手段を設けたので、巻き付け作業時に安定してベルトを巻き付けることができる。
【0009】
請求項4に係る発明によれば、第1ベルト固定手段と第2ベルト固定手段によって巻き回されたベルトの巻付け部分両端を押さえて張力を保持した状態でベルトの両端部を締め付け固定する構成となっているので、ベルトが緩むことなくより確実にベルトの締め付けを行うことができる。
請求項5に係る発明によれば、回転手段は搬送路上に配置したので、現状の搬送ライン上のスペースで巻き付け作業を行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、巻き付け開始時に第1ベルト保持手段を荷物の前面側から側面側に移動させて、回転手段を四分の三回転させることにより4つの角部すべてにベルトを掛け回す構成となっているので、回転手段を一回転させる必要がない。
【0010】
請求項7に係る発明によれば、第1駆動案内手段によって第一ベルト保持手段を回転手段の回転に追従させるようになっているので、回転手段に対して負担がかからない。
請求項8に係る発明によれば、第1ベルト保持手段を案内する第1駆動案内手段を、X軸,Y軸の二軸方向の直線運動の組み合わせだけで回転手段に追従運動を制御することができ、制御が簡単である。
請求項9に係る発明によれば、第1ベルト保持手段を回転手段に取り付けることにより、回転手段の回転運動に対して第1ベルト保持手段を自動的に追従させることができ、制御が不要となる。
請求項10に係る発明によれば、張力付与手段は、ベルトの中間部に当接してベルトを引き伸ばす方向に移動するテンションロールを備えた構成としたので、ベルトを全長に亘って直線状に伸ばす必要がなく、テンションロールによってベルトを折り返すことによって省スペース化を図ることができる。
【0011】
特に、請求項11に係る発明に記載のように、テンションロールのベルトを引き伸ばす方向を搬送ラインと平行方向としたので、よりコンパクトな構成となる。
請求項12に係る発明によれば、テンションロールは複数本配置されているので、ベルトをジグザグ状に掛けることによってより一層の小型を図ることができる。
請求項13に係る発明によれば、ベルトの一端に止め枠を設け、ベルトの他端を止め枠に通して折り返すことによりベルトを締め付ける構成となっているので、ベルトの端末の固定が簡単にできる。
請求項14に係る発明によれば、固定手段を面状ファスナにより構成したので、簡単に固定することができ、作業性がよい。
請求項15に係る発明によれば、ベルトの折り返し部を押さえて面状ファスナを固定する押圧手段を設けたので、全自動でベルトの巻き付け作業を行うことができる。
請求項16に係る発明によれば、ベルトの他端に上下両端がベルトの幅より突出する止め軸を設けることにより、ベルトの端末の保持が容易となる。
【0012】
請求項17に係る発明によれば、第1ベルト保持手段は止め軸を着脱自在に保持する軸チャックであり、第2ベルト保持手段は止め枠を着脱自在に保持する枠チャックとしたので、ベルトの端部の保持が容易である。
請求項18に係る発明によれば、ベルト端末部の締め付け工程を自動化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るベルト巻き付け装置1を示すもので、繰り返し使用可能な有端で可撓性のベルト100を、パレット201上に複数の角部C1〜C4を備えた形態に積まれた荷物200外周に巻き付けて荷崩れを防止するようになっている。
ベルト100は、図12(A)に示すように、布製の平ベルトで、ゴム等により伸縮性を持たせることが望ましい。また、取り扱いやすくするために軽量化することが望ましい。ベルト100の一端には止め枠110が設けられ、ベルト100の他端を止め枠110に通して折り返すことによりベルト100を締め付ける構成で、ベルト100の折り返し部101を荷物に巻き付いたベルト部分には着脱自在に固定する固定手段としての面状ファスナ(図示せず)が設けられている。また、ベルト100の他端には上下両端がベルト100の幅より突出する止め軸120が設けられている。
【0014】
止め枠110は、図12(B),(C)に示すように、金属もしくはポリアセタール等の樹脂製の矩形状の枠体で、ベルト100の幅方向(ベルト100の長さ方向に対して直交する方向)に延びる互いに平行の第1,第2縦枠111,112と、ベルト100の長さ方向に延びる第1,第2縦枠111,112の両端を接続する互いに平行の第1,第2横枠113,114とによって構成され、一方の第2縦枠112にベルト100の一方の端末が固定されている。第1,第2縦枠111,112の長さはベルト100の幅よりも長い。第1,第2縦枠111,112および第1,第2横枠113,114の断面は、幅よりも厚みが小さい扁平な角丸四角形状で(図12(D)参照)、第1縦枠111と第2縦枠112の下両端部の外側縁111a,112aは所定角度αで上下両端に向かって狭まる方向に傾斜している。また、上下両端部の内側縁111b,112bも所定角度βで上下両端に向かって狭まる方向に傾斜している。傾斜角αは傾斜角βより大きく、傾斜角αを6°程度、傾斜角βを3°程度に設定することが望ましい。この傾斜によってベルト100の端末が上下にずれない。
一方、止め軸120は金属製もしくはポリアセタール等の樹脂製の軸で、図12(E),(F)に示すように、ベルト100の止め枠110と反対側の端末に固定されている。この止め軸120の長さもベルト100の幅より長く、両端部がベルト100の側縁から両側に突出しており、両端部には環状の係合溝121が設けられている。止め軸120の長さは止め枠110の第1,第2縦枠111,112より短く、第1,第2横枠113,114の間を通すことができる。
また、係合溝121に隣接して、ベルトのずれないように、ベルト装着部122の両側が大径の大径の段部123となっている。
【0015】
ベルト巻き付け装置1の構成は、図1および図2に示すように、荷物200を載置して回転させる回転手段としての回転テーブル10と、ベルト100を着脱自在に保持する第1ベルト保持手段としての枠チャック20と、ベルト100の他端を着脱自在に保持する第2ベルト保持手段としての軸チャック30と、ベルト100に張力を付与する張力付与手段としての張力付与機構40と、を備え、軸チャック30を静止させた状態で回転テーブル10によって荷物200を回転させると共に枠チャック20を回転テーブル10に追従させて回転させ、荷物200の各角部C1〜C4に順次ベルト100を掛け回し各角部C1〜C4を起点にして張力付与機構40によってベルト100に張力を加える構成となっている。
また、この実施例では、枠チャック20を回転テーブル10の回転に追従して回転移動させる第1駆動案内手段としての第1駆動案内機構50を備えている。
【0016】
回転テーブル10は搬送路300上に配置されるもので、図示例では、上流側の搬送路301と下流側の搬送路302の間に配置され、上面に荷物200を搬送するための複数の搬送ローラ11が設けられ、上流側の搬送路301から荷物200を受け取り、下流側の搬送路302に荷物200を渡すようになっている。回転テーブル10は、上下流の搬送路301,302と同一幅を有する四角形状で、回転テーブル10に送り込まれる荷物200のパレット201の中心がほぼ回転軸N10に合致するように設定されている。駆動系の構成は、特に図示しないが、モータと動力伝達機構等によって構成される。
【0017】
枠チャック20は、図7及び図8に示すように、第1案内機構50に支持される直方体形状のブロック21と、ブロック21の一側面である第1側面21aに設けられる一対のチャック部材22,22と、を備えている。このチャック部材22,22は、止め枠110の上下両端の外周縁に係合離脱するもので、ブロック21に対して上下に間隔を狭める方向と間隔を開く方向に移動自在に支持されている。各チャック部材22,22には止め枠110の上下両端部が係合する保持溝23,23が設けられている。保持溝23,23はブロック21の側面21aと平行に延びており、止め枠を第1側面21aに対して平行に保持する。
チャック部材22はコ字形状で、ブロック21に係合するスライド片22aと、このスライド片22aと所定間隔を隔てて平行に対向配置されるチャック本体22bと、スライド片22aとチャック本体22bとを連結する連結片22cとを備え、チャック本体22bに上記係合溝23が設けられている。
【0018】
この枠チャック20には、ベルト100の巻付け開始部分を荷物側面に密着させる第1ベルト固定手段としての第1固定ロール70が設けられている。この第1固定ロール70は上下方向に延び、その上下両端部が一対の空気圧シリンダ等のアクチュエータ72に作動連結される構成となっている。図示例では、第1固定ロール70は、チャック22が取り付けられる第1側面21aと直交する第2側面21bと対向する位置に配置され、アクチュエータ72は第1側面21aと反対側の第3側面21cに設けられており、第1固定ロール70の上下両端に突出するローラ軸71の両端が各アクチュエータ72,72の駆動軸74,74の先端部と連結軸部73,73を介して連結されている。連結軸部73,73は駆動軸74,74およびローラ軸71の双方に対して直角に屈曲とする構成となっている。このアクチュエータ70としては、空気圧シリンダに限定されるものではなく、ソレノイドやリニアモータ等の電気式の直線駆動機構、モータの回転をねじ送り機構等によって直線運動に変換する各種直線駆動機構等、公知の各種アクチュエータが適用可能である。
【0019】
第1駆動案内機構50は、図2および図7に示すように、回転テーブル10の上方に配置される構成で、荷物200の搬送方向と平行方向をX軸方向、搬送路300の上面と平行でX軸と直交する方向をY軸方向、搬送路300上面と直交する方向をZ軸方向とすると、回転テーブル10の上方で、ほぼ回転テーブル10の幅分だけ離間して配置されX軸方向に互いに平行に延びる一対の上部固定レール51,51と、この上部固定レール51,51間に架け渡され上部固定レール51,51に沿ってX軸方向に移動自在に支持されるY軸方向に延びる上部移動レール52と、この上部移動レール52に対してY軸方向に移動自在に支持されるZ軸方向に延びる垂直レール53と、この垂直レール53に対してZ軸方向に移動自在に支持されるスライダ54と、このスライダ54から下方に延びて枠チャック20のブロック21を回転駆動する回転軸55と、を備え、枠チャック20をX,Y,Z軸の3軸方向に直線移動可能で、かつZ軸周りの回転方向に回転自在に案内するようになっている。
上部移動レール52,垂直レール53およびスライダ54は、特に図示しないが、公知の各種直線駆動機構によって駆動制御され、ブロック21の回転駆動は公知の各種回転駆動機構によって駆動制御される。直線駆動機構としては、たとえば、リニアモータが用いられる。もちろん、リニアモータに限定されるものではなく、回転モータの回転運動を直線運動に変換する送りねじ機構、プーリに巻掛けられるワイヤ駆動機構,ベルト駆動機構等、各種直線駆動機構が適用可能である。また、回転駆動機構としては、サーボモータ等などによって駆動制御される。
【0020】
軸チャック30は、図2及び図9に示すように、回転テーブル10側方に、搬送方向と平行に配置されたメインフレーム400に対して、第2運動案内機構60を介してX,Y,Z軸方向に移動自在に支持されている。
メインフレーム400は、荷物の進行方向両端に配置される第1,第2支柱401,402と、第1,第2支柱401,402間に掛け渡される一対の第1固定レール411,411と、この第1固定レール411,411の外側に配置される一対の第2固定レール412,412とを備えている。
第2運動案内機構60は、メインフレーム400の第1固定レール411,411に沿ってX軸方向に移動自在に支持される第1スライドフレーム61と、この第1スライドフレーム61に対して上下方向(Z軸方向)に移動自在に支持される第2スライドフレーム62と、第2スライドフレーム62に固定されるY軸方向に駆動する前後駆動シリンダ63とを備え、この前後駆動シリンダ63に軸チャック30が支持されている。
【0021】
軸チャック30は、前後駆動シリンダ63の駆動軸に背面が支持される四角形状の支持プレート31と、この支持プレート31に設けられる固定チャック32と、この固定チャック32と所定間隔隔てて対向配置される軸抜き用移動チャック33と、固定チャック32に保持された止め軸120を中心にして巻かれた初期形態のベルト100のゆるみ止め用のテンションロール34とを備えている。
締め付け固定時には、軸チャック30を枠チャック20側に移動させて固定チャック32と軸抜き用移動チャック33間に止め枠110を配置し、軸抜き用移動チャック33を止め枠110をくぐらせて固定チャック32側に移動させ、固定チャック32から止め軸120を受け取り、軸抜き用移動チャック33を再び後退させて止め軸120を止め枠110をくぐらせ、軸チャック30を枠チャック20から離間させ、枠チャック20から止め枠110を離脱させ、軸抜き用移動チャック32から固定チャック32側に止め軸120を渡すと共に軸抜き用移動チャック33をベルト100から離間させ、軸チャック30を荷物200の側面と平行に移動してベルト100を止め枠110を支点にして折り返して締め付ける構成となっている。
【0022】
固定チャック32は、止め軸120の上下両端部に設けられた係合溝に着脱自在に係合する上下一対のチャック部材320,320を備えている。各チャック部材320は、止め軸120の上下両端部に設けられた係合溝121を左右から挟み付けて保持する固定爪321と可動爪322を備えている。固定爪321はブラケット323を介して支持プレート31から突出するように固定されている。固定爪321は、支持プレート31に対して直角に延びる基部321aと、基部321aに対して斜めに屈曲する中間傾斜部321bと、中間傾斜部321bからさらに屈曲して支持プレート31に対してほぼ平行に向けられた先端部321cとを備えた構成となっている。
一方、可動爪322は、固定爪321の屈曲側の側面に沿って配置され、固定爪321の基部321aに沿って直線的に延びる基部322aと、基部322aから固定爪321の中間傾斜部321bに沿って延びる中間傾斜部322bと、先端部321cの内側面と対向する先端部322cと、を備え、可動爪322の基部322aが、ブラケット323に取り付けられた直線アクチュエータ324に連結され、可動爪322の先端部322cを固定爪321の先端部321cに対して接離させることにより止め軸120の係合溝121に係合離脱させる構成となっている(図10(A)参照)。図示例では、固定爪321の先端部321cには止め軸120が嵌まり込む切り欠き321dが、可動爪322には、切り欠き321dに嵌まり込んだ止め軸121の抜け止めを図る引っ掛け部322dが設けられた構成となっている。
【0023】
軸抜き用移動チャック33は、支持プレート31に直線方向に移動自在に支持されるスライドブロック35に対して旋回プレート36を介して取り付けられている。スライドブロック35は軸抜き用移動チャック33を軸固定用チャック32に対して接触・離間する方向に移動させ、旋回プレート36は、軸抜き用移動チャック33を支持プレート31に対して90度起倒させる構成となっている。
軸抜き用移動チャック33は、上下一対のチャック爪331,331と、チャック爪331,331を連結する上下方向に延びる連結片332とを備えたコ字形状で、連結片332が旋回プレート36に固定されている。チャック爪331,331には、止め軸120の係合溝121が係合離脱自在の凹部333,333が設けられ、この凹部333,333の入口部分には弾性的に出没自在の抜け止めボール334,334が設けられ、凹部333にはまり込む止め軸120の係合溝121に係合して抜け止めを図るようになっている(図10(B)参照)。
凹部333にはまり込む止め軸の下端面は平坦面、上端面は円弧面に構成されている。
【0024】
ゆるみ止め用テンションロール34は、固定チャック32に保持された巻いた形態のベルト100に所定圧で当接するロール本体341と、ロール本体341を回転自在に支持するローラ軸342を備えた構成で、ローラ軸342の両端が支持プレート31に取り付けられた上下一対のシリンダ343の駆動軸344に連結されており、支持プレート31に対して直交する方向に伸縮自在に支持されている。シリンダ343の駆動軸344とローラ軸342は直角に屈曲する構成となっている。
【0025】
搬送路330の下方には、不図示のベルトを供給するベルトプールが設けられ、ベルト100を止め軸120を中心にして巻いた形態で供給され、セット用ホルダ90にセットされる。
セット用ホルダ90は、図2及び図11に示すように、軸チャック30の第2案内機構80と同じ回転テーブル10の側方で、回転テーブル10に対して荷物200の進行方向下流側の端部付近に配置された上昇バー420に沿って上下移動自在に支持されている。
セット用ホルダ90は、上昇バーに移動自在に支持された支持フレーム91と、この支持フレーム91に並んで設けられる軸ホルダ92と、枠ホルダ93が設けられている。
軸ホルダ92は、支持フレーム91の一方の縦枠91aに対して上下方向に互いに近接・離間する方向に移動自在に設けられた一対のチャック部材921,921を備えている。各チャック部材921,921は、止め軸120の上下両端面に設けられたセンタ穴124に係合する係合突起922を有し、係合突起922で止め軸120の上下両端面を挟んで止め軸120を保持する両センター押し構成となっている。
枠ホルダ93は、支持フレーム91の他方の縦枠91bに対して上下方向に互いに近接・離間する方区に移動自在に設けられた一対のチャック部材931,931を備えている。このチャック部材931は、ベルト100の止め枠110の上下両端部に内側から係合離脱する内開き構成となっている。
【0026】
張力付与機構40は、ベルト100の中間部に当接してベルト100を引き伸ばす方向に移動する第1,第2移動テンションロール41,42と、セット用テンションロール43とを備えている。
第1,第2移動テンションロール41,42は、メインフレーム400に移動自在に支持されている。
【0027】
第1移動テンションロール41は、メインフレーム400の上下一対の第2固定レール412,412の外側面に摺動自在に取り付けられる一対のシリンダ44,44を介して、荷物200の搬送方向に移動自在に設けられている。各シリンダ44,44は第1移動テンションロール41を回転テーブル10に向かって前後に進退させる方向(Y軸方向)に移動案内する。すなわち、第1移動テンションロール41は、上下方向に延びるロール本体41aと、このロール本体41aが支持される上下方向に延びるロール軸41bとを備え、このロール軸41bの上下両端に各シリンダ44,44の駆動軸441,441が作動連結されている。
第2移動テンションロール42は、上下一対の第2固定レール412,412の内側面に摺動自在に取り付けられる一対のシリンダ45,45を介して、荷物200の搬送方向に平行に移動自在に設けられている。このシリンダ45,45も第2移動テンションロール42を回転テーブル100に向かって前後に進退させる方向(Y軸方向)に移動案内する構成となっている。すなわち、第2移動テンションロール42も、上下方向に延びるロール本体42aと、このロール本体42aが支持される上下方向に延びるロール軸42bとを備え、このロール軸42bの上下両端に各シリンダ45,45の駆動軸451,451が作動連結されている。
【0028】
第1移動テンションロール41と第2移動テンションロール42は、第2固定レール412に沿って荷物200の搬送方向と平行に移動してベルト100の中間部分に当接するが、Y軸方向の位置、回転テーブル10に対する距離が異なり、第1移動テンションロール41よりも第2移動テンションロール42の方が回転テーブル10に近い位置にあり、互いに干渉しないようになっている。
第1移動テンションロール41は、初期位置では進行方向下流端付近に位置し、テンションをかける際には進行方向上流側に移動する。第2移動テンションロール42は、初期位置では進行方向上流端付近に位置し、テンションをかける際には進行方向下流側に移動する。
セット用テンションロール43は、第2移動テンションロール42よりもさらに回転テーブル10に近く、回転テーブル10の上流端付近に位置しており、巻き付け開始時点で枠チャック20を荷物の進行方向上流側の荷物側面にセットする際に、角部にベルト100が当たらないように案内するもので、巻付け開始時には、図4(E)に示すように、倒してベルトから開放する。
上記第1,第2移動テンションロール41,42の移動方向は荷物の進行方向と平行に限るものではなく、ベルト100を引き伸ばすことができる方向であればよい。また、テンションロールの数についても限定されない。
【0029】
また、メインフレーム400には ベルト100の止め軸120を止め枠110に通して折り返した際に、ベルト100の折り返し部を押さえて不図示の面状ファスナを固定する押圧手段としての接着ロール80が移動自在に設けられている。
接着ロール80についても、上下一対の第2固定レール412,412の外側面に摺動自在に取り付けられるシリンダ81を介して、荷物200の進行方向に移動自在に設けられている。このシリンダ81,81も接着ロール80を回転テーブル100に向かって前後に進退させる方向(Y軸方向)に移動案内する構成となっている。すなわち、接着ロール80も、上下方向に延びるロール本体80aと、このロール本体80aが支持される上下方向に延びるロール軸80bとを備え、このロール軸80bの上下両端に各シリンダ81,81の駆動軸811,811が作動連結されている。
【0030】
次に、本発明のベルト巻付け装置の巻き付け工程について、バンド巻きチャートを参照して説明する。
1)セット前
図3(A)はセット前の状態を示している。
軸チャック20,枠チャック30は、回転テーブル10の荷物200の進行方向下流端付近、図中左手前隅位置で待機している(図11(A)参照)。この状態で初期形態のベルト100がセットされたセット用ホルダ90が、上昇バー96に沿って枠チャック20,軸チャック30の待機位置まで上昇する。
【0031】
2)セット
図3(B)は、初期形態のベルト100を、セット用ホルダ90から枠チャック20,軸チャック30に渡したセット状態を示している。
すなわち、枠チャック20,軸チャック30は共に前進する。そして、セット用ホルダ90の枠ホルダ93のチャック部材95に保持された止め枠110の位置に停止し、止め枠110の上下端部の外周側を枠チャック20のチャック部材22,22によって保持し、セット用ホルダ90の枠ホルダ93から離脱させる。
一方、セット用ホルダ90の軸ホルダ92を軸チャック30の固定チャック32と軸抜き用移動チャック33の間に位置させ、図中左に移動させることにより、固定チャック32で止め軸120を挟んで保持し、セット用ホルダ90の軸ホルダ92を開いて外す。
次に、枠チャック20と軸チャック30を待機位置まで後退させ、セット用ホルダ90を下降させる。図3(F)には、このセット状態が示されている。
【0032】
3)枠チャック20,軸チャック30,第1テンションロール41移動
図3(C)は、枠チャック20,軸チャック30および第1移動テンションロール41を移動する状態を示している。
軸チャック30をさらに後退させ(図中、矢印3)−1方向)、枠チャック20を前進させて停止する(図中、矢印3)−2方向)。
第1移動テンションロール41をベルト100に接して停止する(図中、矢印3)−3方向)。
枠チャック20と第1移動テンションロール41が同時に右側に移動して停止する(図中、矢印3)−4方向)。第1移動テンションロール41はテンションを付与するので固定はしない。第1移動テンションロール41を駆動する駆動力をテンションとバランスする大きさに保持する。
【0033】
4)セット用テンションロール43,第2移動テンションロール42移動
図3(D)は、セット用テンションロール43,第2移動テンションロール42が移動する。
まず、セット用テンションロール43が90°回転して直立する(図中、矢印4)−1方向)。
第2移動テンションロール42が左側(荷物の搬送方向下流側)へ移動し、設定位置で停止する。この位置で第2移動テンションロール42を固定する(図中、矢印4)−2方向)。
次いで、第2移動テンションロール42の移動と連動して、第1移動テンションロール41がテンションと駆動力のバランスにより、第2移動テンションロール42に引かれて左へ移動し、ベルト100を張り切ってテンションをかけ続ける(図中、矢印4)−3方向)。
【0034】
5)荷物入庫及び軸チャック30移動
図3(E)は、荷物200が回転テーブル10に移動した状態を示している。すなわち、上流側搬送路301からパレット201に積まれた荷物200が回転テーブル10上に移動する(図中、矢印5)−1方向)。
次いで、軸チャック30を右側(搬送方向上流側)へ移動し、回転テーブル10のほぼ中央位置まで移動させ、同時にテンションをかけ続けるため、第1移動テンションロール41を右側へ移動する(図中、矢印5)−2方向)。
【0035】
6)ベルト巻き付け開始
図4(A)は、ベルト巻開始時点の状態を示している。
6)−1
枠チャック20を設定位置まで前方へ移動する(パレット201下端より450〜550mm程度)(図中、矢印6)−1方向)。
6)−2
枠チャック20上のベルト固定ロール71を左側へ移動し、ベルト100を箱に密着,固定する(図中、矢印6)−2方向)。
6)−1,6)−2の動作に同調してテンションを掛けるために、第1移動テンションロール41を左側へ移動させる(図中、矢印6)−3方向)。
【0036】
7)セット用テンションロール43を開放する。
図4(B)は、セット用テンションロール43開放 状態を示している。
7)−1
セット用テンションロール43を左側へ90°回転させて逃がす(図中、矢印7)−1方向、図5(H)参照)。
7)−2
7)−1の動作に同調してテンションを掛けるために、第1移動テンションロール41を右側へ移動させる(図中、矢印7)−2方向)。
【0037】
8)荷物を回転させる。
図4(C)は、荷物を回転させた状態を示している。
セット用テンションロール43の開放動作終了後、第1移動テンションロール41を固定ロールとし、第2移動テンションロール42をテンション側移動ロールにそれぞれ変更後、回転動作に移る。
8)−1
回転テーブル10の回転を開始する(図中、矢印8)−1方向)。
同調して枠チャック20が上部固定レール51,52上を円運動をし、同時にZ軸周りに回転運動をして常に荷物200との位置を保つようになっている。8)−1の動作に同調してテンションをかけるため、第2移動テンションロール42を右側へ移動させ、設定位置で停止固定となる(図中、矢印8)−2方向)。
第2移動テンションロール42の固定と同時に第1テンションロール41がテンション用移動ロールとなり、同調してテンションをかけるため左側へ移動する。
【0038】
9)3/4回転させて停止する。
図4(D)は、回転テーブルが3/4回転した状態を示している。
9)−1
回転テーブル10を3/4回転した後停止する(図中、矢印9)--1方向)。
9)−2
枠チャック20は、回転テーブル10の回転に追従して3/4回転後停止する。停止後、第2移動テンションロール42が前進して荷物200と密着する。これにより、荷物200にベルト100を固定する(図中、矢印9)−2方向)。
9)−3
上記9)−1,9)ー2の動作に同調してテンションを掛けるために、第1移動テンションロール41を左側へ移動する。
9)−4
上記9)−2,9)−3の動作完了後、第1移動テンションロール41が逃げる(図中、矢印9)ー4方向)。
【0039】
11)止め軸120の枠通し
図5(A)乃至(G)は止め軸120を止め枠110に通す工程を示している。
すなわち、軸チャック30を枠チャック20側に移動させ(図5(A)参照)、枠チャック20内に軸チャック30を移動する(図5(B)参照)。
軸抜き用移動チャック33を右へ移動させ、軸固定チャック32と重ねる(図5(C)参照)。軸抜き用移動チャック33で止め軸120の端部を掴み、後退する。この時、軸固定チャック31を開放する(図5(D)参照)。
軸チャック30全体を後退させ(図5(E)参照)、再び軸抜き用移動チャック33を右へ移動させ止め軸120を軸固定用チャック32に渡し(図5(F)方向)、止め軸120の止め枠110への枠通し動作を終了する(図5(G)方向)。
【0040】
11)止め枠開放
図6(A)は止め枠110の開放状態を示している。
軸チャック30を右へ移動し、ベルト100を張るテンションをかける。その後、枠チャック20を開放して止め枠110を外す。軸チャック30は引っ張り続ける(図中、矢印11)−1方向)。
軸チャック30上の軸抜き用移動チャック33を後方へ90°転回して逃がす(図中、矢印11)−2方向)。
【0041】
12)締め込み
図6(B)はベルトの両端の締め込み状態を示している。
枠側の第1ベルト固定ロール71を後退する(図中、矢印12)−1方向)。
枠チャック20を左側へ移動させて逃げる。同時に第2移動テンションロール42を後退させて右へ移動させて逃げる(図中、矢印12)−2方向)。
この12)−1,12)−2の動作と同時に軸チャック30を右、斜め前方へ移動する。前後移動用シリンダ63にて行う。荷物200に接近してベルト100を締め込む。
接着ロール80を止め枠110の右側まで接近して待機する(図中、矢印12)−3方向)。
【0042】
13)接着
図6(C)は、締め込んだベルトの折り返し部の接着工程を示している。
接着ロール80を止め枠110の右側よりベルト100の折り返し部101を荷物200に対して押し付け、折り返し部と重なるベルト部分の面状ファスナ102を固定して接着する。接着し続けながら右側へ移動し、軸チャック30の直前で停止する(図中、矢印13)−1方向)。
【0043】
14)完了
図6(D)は巻き付け完了状態を示している。
右側へ移動しつつ軸チャック30が開放し、止め軸120を離す(図中、矢印14)−1方向)。
接着ロール80を止め軸120を越えて押し続け、右側へ移動する(図中、矢印14)−2方向)。
【0044】
図13には、積載された荷物200の周長に応じてベルト100の折り返し部101を接着可能とする面状ファスナ130の配置構成を示している。
大きさの決まっている定形の荷物200の外周にベルト100を巻き付ける場合には、周長が決まっているので、面状ファスナ130の位置は一定でよいが、パレット上に積載する荷物の数,形態,大きさが一定ではなく、荷物によって周長が異なるので、面状ファスナ130の位置を変更しなければならない。
そこで、本発明で使用するベルトについて、周長が大きく変化しても対応できる面状ファスナの配置構成を検討した。
本実施例で使用する面状ファスナ130は、一般的な鉤針状のパイルやキノコ状の多数の引っ掛かり部を備えたテープと、引っ掛かり部が引っ掛かるループ部を備えたテープの2種類が対になって接着する構成である。
【0045】
この実施例では、ベルトの軸側端部から所定長さの固定領域について、ベルト100を幅方向に複数の領域に区分し、各領域について、それぞれ折り返した際に係合する対となるテープを、ベルトの長さ方向に交互に順番に貼り付けた構成である。図示例では、ベルト100を第1領域Aと第2領域Bが設けられている。各領域は、ベルト100の中心線に対して対称的に一対ずつ設けられ、ベルト100の左右側縁に沿って一対の第1領域A,Aが、この第1領域A,Aの内側に隣接して一対の第2領域B,Bが設けられている。
第1領域A,第2領域B共に、軸端側から順番に、互いに係合し合う対となる種類のテープを複数交互に貼り付けている。図示例では、3つのテープが貼り付けられ、軸端側から第1,第2,第3テープ131A,B,132A,B,133A,Bとすると、第1テープ131A,Bと第3テープ133A,Bが第2テープ132A,Bに対して係合する同種類のテープで、第1テープ131A,Bと第3テープ133A,B同士は係合しない関係となっている。
【0046】
ベルト100の折り返し長さが短い間は、第1テープ131A,Bと第2テープ132A,Bが重なり合って接着し、折り返し長さが長くなって、第1テープ131A,Bと第2テープ132A,Bが重ならなくなると、第2テープ132A,Bと第3テープ133A,B間が重なり合って接着し、つめ代が大きくとれるようになっている。
一つの領域だけでは、第1テープ131A,Bと第2テープ132A,Bの重なりから、第2テープ132A,Bと第3テープ133A,Bの重なりに移行する部分で接着できない部分が生じるので、複数の領域の各テープの長さ方向の位置をずらし、ベルト100の折り返し位置がどの位置でも、第1領域Aか第2領域Bのいずれかのテープ同士が重なり合って接着状態を確保できるように設定している。
この例では、第1領域Aの第1テープ131Aのベルトの軸側端部から位置である後端位置をa1、第2テープ132Aの後端位置をa2、第2領域Bの第1テープ132Bの後端位置をb1、第2テープ132Bの後端位置をb2とすると、第1テープ131Aの後端位置a1が第1テープ131Bの後端位置b1より長く、第2テープ132Bの後端位置a2が第2テープ132Aの後端位置b2より長く設定している。
【0047】
図14(B)は、折り返したベルトの止め軸120の位置と、各領域のテープ間の接着領域の関係を示したグラフである。
図に示すように、第2領域Bのテープの接着領域は、b1からb2までの接着領域B1と、b2からb3までの接着領域B2であり、第1テープ131Bと第2テープ132B間の接着領域B1から第2テープ132Bと第3テープ133B間の接着領域B2に移行するb2の付近で接着領域が小さくなる。
一方、第1領域Aのテープの接着領域は、a1からa2までの接着領域A1と、a2からa3までの接着領域A2であり、第1テープ131Aと第2テープ132A間の接着領域A1から第2テープ132Aと第3テープ133A間の接着領域A2移行するa2付近で接着領域が小さくなる。
【0048】
第2領域Bの接着領域が小さくなる第1テープ131Bの後端位置b1付近は、第1領域Aの第1テープ131Aと第2テープ132A間の接着領域A1と重なり、接着状態が確保される。一方、第1領域Aの接着領域が小さくなる第1テープ131Aの後端位置a1付近は、第2領域Bの第2テープ132Bと第3テープ133Bとの接着領域B2と重なり、接着状態が確保されることになる。
各領域A,Bのテープの長さの設定は、図14(A)に示すような、最大積載時の荷物を基準にして設定される。この例では、最大積載時の荷物200に巻き付けた際に、ベルト100の折り返し部の長さS0が400〜500mm程度となるように設定され、この最大積載時を基準にして、ベルト100を1800mm程度までつめることができるように、第1,第2領域A,Bに貼り付ける面状ファスナ130のテープ131A,B,132A,B,133A,Bの長さが設定される。
【0049】
この例では、第1領域Aでは、止め軸側端部から第1テープ131Aの長さが1000mm、第2テープ132Aの長さが1200mm、第3テープ133Aの長さが800mmに設定され、第2領域Bにおいては、止め軸側端部から第1テープ131Bの長さが400mm、第2テープ132Bの長さが1200mm、第3テープ133Bの長さが1400mm程度に設定されている。このようにすれば、最大積載時の折り返し長さに対してつめ代S1は1800mm程度となり、周長が最大積載の荷物に対して1800mm短い荷物まで締め付け固定することができる。
【0050】
したがって、図14(B)に示すように、不定形で荷物200の周長が短い場合にも対応できる。折り返し部101のうち固定領域を越えて余ったベルト部分101Aについては、ベルト100の裏側に設けたベルト100の長さ方向に離間して設けられた互いに係合可能な面状ファスナ140を構成する一対のテープ140A,140Bによってまとめることができる。
また、図14(D)に示すように、止め軸120にベルト100を巻き付けて増し締めすることもできる。
面状ファスナ130を構成するテープの数および長さは、上記構成に限定されるものではなく、荷物の形態,周長に応じて適宜設定することができる。
なお、上記実施例では、ベルトを荷物の高さ方向1箇所にのみ巻付けた例を示したが、荷物の高さ方向複数箇所に巻付けることもできる。枠チャック20および軸チャック30はZ軸方向に移動可能であり、第1,第2移動テンションローラ41,42、セット用テンションローラ43、接着ローラ80については、荷物200の高さ方向複数箇所にベルト100を巻き付けるために充分な長さを有している。
【0051】
図15は枠チャックを案内する案内機構の他の実施例を示している。
この実施例では、上記実施例のように枠チャック20を第1駆動案内機構50によって円運動させるのではなく、枠チャック20を回転テーブル10に取り付けることにより、回転テーブル10によって枠チャック20を回転運動させるようにしたものである。
枠チャック20は、テーブル上案内機構500を介して回転テーブル10に取り付けられる。テーブル上案内機構500は、上下一対のY軸方向に延びる前後スライドレール521,522を備えたフレーム520と、上下の前後スライドレール521,522に上下端が摺動自在に連結された上下スライド用支柱510とを備えた構造となっており、枠チャック20のブロック21がスライド用支柱510に上下方向に移動可能に支持されている。
このようにすれば、枠チャック20は回転テーブル10と共に一体的に回転するので、枠チャックを旋回させるための制御機構が不要となり、制御構成が簡素化できる。
ベルトのセット工程については、上記実施例とは別の工程となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明のベルト巻付装置の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】図2は本発明のベルト巻付装置の全体構成を示す概略斜視図である。
【図3】図3は図1の装置による巻き付け作業の準備工程を示す図である。
【図4】図4は図1の装置による巻き付け作業工程を示す図である。
【図5】図5(A)乃至(G)はベルトの止め枠に止め軸を通す枠通し工程の説明図、同図(H)はセット用テンションローラを示す図である。
【図6】図6は巻き付け終了後の締め付け工程を示す図である。
【図7】図7は図1の装置の枠チャックを示すもので、同図(A)は全体構成を示す斜視図、同図(B)は巻いたベルトの止め枠をチャックした状態の斜視図、同図(C)は裏側から見た斜視図である。
【図8】図8は図7の枠チャックのベルト固定ロールによるベルトセット状態を示す斜視図図である。
【図9】図9は図1の装置の軸チャックを示すもので、同図(A)は全体構成を示す斜視図、同図(B)は詳細構成を示す拡大図、同図(C)は同図(B)のC方向矢視図、同図(D)は同図(B)のD方向矢視図である。
【図10】図10(A)は軸チャックの固定チャックのチャック部材により止め軸を保持した状態の部分拡大斜視図、同図(B)は軸チャックの軸抜き用移動チャックのチャック部材の部分拡大斜視図である。
【図11】図11(A)はベルトセット治具にベルトをセットした状態を示す全体斜視図、同図(B)は同図(A)のベルトセット治具のベルト押さえを裏側から見た状態の斜視図である。
【図12】図12はベルトを示すもので、同図(A)はベルトの中間を省略して示す全体斜視図、同図(B)は止め枠の正面図、同図(C)は止め枠の要部拡大図、同図(D)は同図(C)のD−D線断面図、同図(E)は止め軸にベルトを装着した状態の部分斜視図、同図(F)は止め軸の正面図である。
【図13】図13(A)はベルトの面状ファスナの配置構成を示す平面図、同図(B)はベルトの折り返し位置と面状ファスナの接着領域との関係を示すグラフである。
【図14】図14(A)は荷物の最大積載時の梱包形態を示す斜視図、同図(B)乃至(D)は段積みされた箱が乱れた状態の梱包形態の場合のベルト余剰部分の取り扱いの説明図である。
【図15】図15は枠チャックを回転テーブルに取り付けた構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ベルト巻付け装置
10 回転テーブル(回転手段)
11 テーブル本体
12 搬送ころ
20 枠チャック(第1ベルト保持手段)
21 ブロック
21a 第1側面,21b 第2側面、21c 第3側面
22 チャック部材
22a スライド片、22b チャック本体、22c 連結片
23 保持溝
30 軸チャック(第2ベルト保持手段)
31 支持プレート
32 固定チャック
320 チャック部材
321 固定爪
321a 基部
322a 中間傾斜部
323a 先端部
321d 切り欠き
322 可動爪
322a 基部
322a 中間傾斜部
322a 先端部
322d 引っ掛け部
323 ブラケット
324 アクチュエータ
33 軸抜き用移動チャック
331 チャック爪
332 連結片
333 凹部
334 抜け止めボール
34 ゆるみ止め用のテンションロール
341 ロール本体
342 ローラ軸
343 シリンダ
344 駆動軸
35 スライドブロック
36 旋回プレート

40 張力付与機構(張力付与手段)
41 第1移動テンションロール
41a ロール本体
41b ロール軸
44 シリンダ
441 駆動軸
42 第2移動テンションロール
42a ロール本体
42b ロール軸
45 シリンダ
451 駆動軸
43 セット用テンションロール

50 第1駆動案内機構(第1駆動案内手段)
51 上部固定レール
52 上部移動レール
53 垂直レール
54 スライダ
55 回転軸(Z軸)

60 第2駆動案内機構(軸チャック)
61 第1スライドフレーム
62 第2スライドフレーム
63 アクチュエータ

70 第1ベルト固定ロール(第1ベルト固定手段)
71 ローラ軸
72 アクチュエータ
73 連結軸部
74 駆動軸部

80 接着ロール
81 シリンダ
811 駆動軸
80a ロール本体
80b ロール軸

90 セット用ホルダ
91 支持フレーム
91a,91b 縦枠
92 軸ホルダ
921 チャック部材
922 係合突起
93 枠ホルダ
931 チャック部材
100 ベルト
101 折り返し部
101A 余剰部分
110 止め枠
111,112 第1,第2縦枠
111a,112a 端部外側縁
111b,112b 端部内側縁
113,114 第1,第2横枠
120 止め軸
121 係合溝
122 ベルト装着部
123 段部
124 センタ穴

130 面状ファスナ
131A,B 第1テープ
132A,B 第2テープ
133A,B 第3テープ
A,B 第1,第2領域
A1,A2 接着領域
B1,B2 接着領域
200 荷物
201 パレット
C1〜C4 角部
300 搬送路
301 上流側搬送路
302 下流側搬送路
302 搬送路(下流側)
400 メインフレーム
401,402 第1,第2支柱
411,412 第1,第2固定レール



















【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し使用可能な有端で可撓性のベルトを、複数の角部を備えた形態に積載された荷物外周に巻き付けるベルト巻付け装置であって、
荷物を載置したパレットを回転させる回転手段と、
ベルトの一端を着脱自在に保持し、前記回転手段の回転運動に追従して回転運動をする第1ベルト保持手段と、
ベルトの他端を着脱自在に保持する第2ベルト保持手段と、
ベルトに張力を付与する張力付与手段と、を備え、
前記第2ベルト保持手段を静止させた状態で回転手段によって荷物を回転させると共に第1ベルト保持手段を回転手段の回転に追従して回転させ、荷物の各角部に順次ベルトを掛け回し、各角部を起点にして前記張力付与手段によってベルトに張力を加えて巻付ける構成となっていることを特徴とするベルト巻付け装置。
【請求項2】
荷物の最後の角部にベルトを巻き掛けた後、第1ベルト保持手段および第2ベルト保持手段によって保持されたベルト端部同士を締め付け固定することを特徴とする請求項1に記載のベルト巻付け装置。
【請求項3】
第1ベルト保持手段にはベルトの巻付け開始部分を荷物側面に密着させて固定する第1ベルト固定手段が設けられている請求項1又は2に記載のベルト巻付け装置。
【請求項4】
荷物の最後の角部に巻き掛けたベルトの巻き付け終了部分を荷物側面に密着させる第2ベルト固定手段を有し、第1ベルト固定手段と第2ベルト固定手段によって荷物に巻き付けたベルト部分の両端を押さえ、張力を保持した状態で第1ベルト保持手段と第2ベルト保持手段によって保持されたベルトの両端部を締め付け固定する構成となっている請求項1に記載のベルト巻き付け装置。
【請求項5】
回転手段は荷物の搬送路上に配置され、荷物を搬送するための搬送手段を備えている請求項1乃至4のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項6】
ほぼ四角形の荷姿に積まれた荷物の前面が搬送方向とほぼ平行の姿勢で搬送されて回転手段に受け渡しされる構成で、
ベルトは第1,第2ベルト保持手段によって保持された状態で、荷物の前面側で待機し、荷物が回転手段に受け渡されると第1ベルト保持手段が荷物の前面側から搬送路とほぼ直交する側面側に移動し、回転手段を四分の三回転させることにより4つの角部すべてにベルトを掛け回す構成となっている請求項5に記載のベルト巻付け装置。
【請求項7】
第1ベルト保持手段を回転手段の回転運動に追従して回転駆動する第1駆動案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項8】
搬送路と平行方向をX軸方向、搬送路の搬送面と平行でX軸と直交する方向をY軸方向、搬送面と直交する方向をZ軸方向とすると、第1駆動案内手段は、第1ベルト保持手段をX軸,Y軸の2軸方向に移動案内可能する2軸方向の直線案内機構を備え、回転手段の回転運動に追従する回転運動を、X軸,Y軸の直交座標系に置き換えて駆動制御する構成となっている請求項7に記載のベルト巻付け装置。
【請求項9】
第1ベルト保持手段は回転手段に取り付けられて一体的に回転運動する構成である請求項1乃至6のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項10】
張力付与手段は、ベルトの中間部に当接してベルトを引き伸ばす方向に移動するテンションロールを備えている請求項1乃至9のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項11】
テンションロールのベルトを引き伸ばす方向は搬送路と平行方向である請求項10に記載のベルト巻付け装置。
【請求項12】
テンションロールは複数本配置されている請求項9または10に記載のベルト巻付け装置。
【請求項13】
ベルトの一端には止め枠が設けられ、ベルトの他端を止め枠に通して折り返すことによりベルトを締め付ける構成で、ベルトの折り返し部を物品に巻き付いたベルト部分に着脱自在に固定する固定手段を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項14】
固定手段は面状ファスナであることを特徴とする請求項13に記載のベルト巻付け装置。
【請求項15】
ベルトの折り返し部を押さえて面状ファスナを固定する押圧手段を備えていることを特徴とする請求項14に記載のベルト巻付け装置。
【請求項16】
ベルトの他端には上下両端がベルトの幅より突出する止め軸が設けられていることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかの項に記載のベルト巻付け装置。
【請求項17】
第1ベルト保持手段は止め軸を着脱自在に保持する軸チャックであり、第2ベルト保持手段は止め枠を着脱自在に保持する枠チャックである請求項16に記載のベルト巻付け装置。
【請求項18】
軸チャックは、止め軸を着脱時自在に保持する固定チャックと、該固定チャックと対向配置される軸抜き用移動チャックとを有し、締め付け固定時には軸チャックを枠チャック側に移動させて固定チャックと軸抜き用移動チャック間に止め枠を配置し、軸抜き用移動チャックを止め枠をくぐらせて固定チャック側に移動させて固定チャックから止め軸を受け取り、軸抜き用移動チャックを再び後退させて止め軸を止め枠をくぐらせ、軸チャックを枠チャックから離間させ、枠チャックから止め枠を離脱させ、軸抜き用移動チャックから固定チャック側に止め軸を受け渡すと共に軸抜き用移動チャックをベルトから離間させ、軸チャックを荷物の側面と平行に移動してベルトを止め枠を支点にして折り返して締め付ける構成となっている請求項17に記載のベルト巻付け装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−230632(P2007−230632A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−56515(P2006−56515)
【出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(504345148)株式会社ゼロテクノス (9)
【Fターム(参考)】