説明

ベルト式昇降機における突片の構造

【課題】突片を搬送ベルトに固定する取付片の長さを可及的に短く形成し、かつ、搬送ベルトに突片を確実に廻り止めして固定できるようにする。
【解決手段】突片20を別部品で成形し、皿ネジ24を突片20の取付片21と搬送ベルト14に通し、ナット25にて突片20を搬送ベルト14に取り付ける。この際、取付片21の先端縁に屈曲形成した先尖状の爪片23を搬送ベルト14に食い込ませ、突片20を搬送ベルト14に廻り止め状態で固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀類、豆類等の粒状物のベルト式昇降機に関し、特に、穀粒選別装置等へ種籾、屑米、玄米または白米等の穀粒をベルト式昇降機に取り付けた突片で揚穀するベルト式昇降機における突片の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
穀類、豆類等の粒状農産物は産地から消費地までの物流の過程で、各種の処理工程を経るものであり、その処理工程において、粒状農産物を移送する際に種々の装置が提案されている。しかし、それらの内の多くの装置は大処理量の移送には適していても、比較的少ない処理量の粒状物の移送には大掛かり過ぎるものが多かった。
【0003】
例えば、籾摺機で籾摺りした玄米または精米機で精米した白米には、粒径の小さい未熟粒が混在していたり、また籾摺りによって穀粒の表面が摩擦や研削作用を受けるところから、穀粒の一部に破砕が生じたり、変形が生じることが避けられない。このため、従来から、玄米または精白米を粒状選別して屑粒を除去する穀物選別装置を用いることが一般的である。その際には、穀粒を揚穀する必要があった。
【0004】
このような揚穀作業は、小規模農家にとっては大きな負担となる作業であった。そのために、揚穀装置は、農業機械として種々の分野で広く用いられているものである。また、一般的には、玄米または白米を米選機により選別して屑粒として取り出されたものを再選別して、用途別に穀粒を区分けすることも行われており、そのために穀粒選別装置に付設して使用する穀粒選別機も開発されている。そして、この穀粒選別装置においては被選別穀粒を投入するための揚穀機を併設することが行われている。
【0005】
出願人は、この種の技術として、昇降機内蔵型のミニグレイダーに係る特許(特許文献1(特開2009−95732号)を出願公開し、それに関連して、昇降機自体の特許(特許文献2(特開2009−96602号))も出願公開している。また、それに関連して、「ちびメイト」(本特許出願人所有の登録商標)と称して商品を製造販売(非特許文献1)している。
【0006】
特許文献1(特開2009−95732号)には、「穀粒選別装置そのものに、穀粒選別装置の機能として本来ないしは多くの場合に必要とする昇降機能を略完全に合体させることにより、利便性及び汎用性にすぐれた穀粒選別装置」であって、「穀粒選別装置は、被選別穀粒を粒径選別する選別部と、選別部に被選別穀粒を揚送搬入する昇降部とを備え、選別部の外装体と昇降部の外装体とを、選別部と昇降部とを仕切る平面壁を有する一体壁構成とし、昇降部を構成する昇降部機構を平面壁に組み付け、選別部は、規定網目の選別網面を有する固定選別筒体と、固定選別筒体の内面に接して回転する可撓性板から成る掻き上げ回転体とで構成し、掻き上げ回転体と昇降部を構成する昇降部機構の駆動プーリとを回転軸による同一軸構造として回転駆動する構成」の穀粒選別装置が開示されている。
【0007】
特許文献2(特開2009−96602号)には、「穀粒選別装置その他各種穀粒調製装置本体の一部機能ないしはそれと渾然一体化できる穀粒昇降装置」であって、「穀粒昇降装置は、駆動プーリと従動プーリとに搬送ベルトを懸架して構成し、搬送ベルトの外周面および側面を搬送ベルトの回転にともなって被調製穀粒を揚送する揚送面とし、搬送ベルトの揚送面は、被調製穀粒を揚送する突起をベルトの回転方向に形成して成り、駆動プーリと従動プーリとに懸架した搬送ベルトを適度の緊張状態に保持するベルトテンション機構を備え、ベルトテンション機構は、駆動プーリと従動プーリ間の穀粒非搬送側に備えた」穀粒選別装置が開示されている。
【0008】
また特許文献1及び特許文献2以前の昇降機として、更に、特許文献3(特開2006−335491号公報)には、「無駄な空間となっている上部プーリと下部プーリとの間の空間に上下方向に延びるダクトを配置することにより、揚上搬送機能と排塵などの機能を併せ持ったバケット昇降機」が開示され、そのバケット昇降機は、「バケット昇降機は、搬送ケースの上下端部にそれぞれ設けた上部プーリおよび下部プーリ間に、多数のバケットを取り付けた搬送ベルトを懸架し、上部プーリと下部プーリとの間の空間に上下方向に延びるダクトを配置し、搬送ケースは、上部プーリを備えた上部ケースと、下部プーリを備えた下部ケースと、これら上部ケースと下部ケースとの間の中間ケースにより構成され、ダクトは中間ケースの内部を、上昇搬送側と下降戻り側とに仕切ってそれらの間に形成してある。」
【0009】
また、特許文献4(特開2006−321619号公報)には、「バケットにより安定して穀物を投げ出すことができる昇降機」が開示され、その「昇降機では、バケットコンベアのベルトは、上平プーリとサブプーリとの間の部位(Lで示す範囲)が、投出口の開口方向に沿った直線状に保持されている。このため、バケット内の穀物が投げ出され始める位置は、従来の昇降機と同じ位置(Sの位置)であるが、上平プーリ周りで回転したバケットが前記直線部分にさしかかると、バケット先端の速度が落ちるので、バケット内の穀物は、その大部分が前記直線部分においてバケットの移動方向(投出口の開口方向)に沿って投げ出される。これにより、Aの位置でバケット内の穀物を略全て投げ切ることが可能となり、穀物を安定して投げ出すことができる。」
【0010】
更に、特許文献5(特開2000−218233号公報)には、「米穀等の穀粒を各種の品質、等級あるいは用途に応じて所望の粒径を有する整粒とその他の屑粒とに直ちに選別でき、かつ整粒および屑粒の計量袋詰めをそれぞれ連続的に行なうことができる穀粒等の選別装置」が開示され、その選別装置は、「穀粒を整粒と屑粒とに選別し、整粒を貯留タンクに貯留するとともに屑粒を放出シュートを介して機外へ排出するようにそれぞれ構成され、選別孔の網目サイズが異なる選別網体をそれぞれ装着可能な複数の縦型選別機と、供給ホッパーに投入される穀粒を揚穀し分岐管を介して縦型選別機に穀粒を選択的に供給する揚穀機と、縦型選別機によりそれぞれ選別された整粒を計量袋詰めするための整粒用の計量袋詰め機と、縦型選別機からそれぞれ排出され屑粒移送装置を経て移送されてくる屑粒を揚穀し計量袋詰めする揚穀計量機とを具備する。」
【0011】
また、特許文献6(特開2000−202364号公報)には、「米穀等の穀粒を比較的大径の穀粒とやや小さい中径の穀粒とその他の屑粒等の三段階に連続的にかつ効率良く選別するとともに、各穀粒をスムーズに処理することができる三段選別機」が開示され、その選別機は、「下方に2個の供給ホッパーを有しかつ上方を流路切換板を有する分岐管を介して貯留タンクと排出配管に連通する揚穀筒体を備えた揚穀機を用いて、選別殻体内に同心状に配設された選別網体と揚穀螺旋体を相対回転させることにより穀粒を揚穀する間に所望の粒径以上の整粒と所望の粒径以下の屑粒等とに選別して整粒を貯留タンクに貯留するとともに屑粒等を排出口シュートを介して機外へ排出するようにそれぞれ構成された第1および第2の縦型選別機を連結し、投入される穀粒を三段階に連続的にかつ効率良く選別する。」
【0012】
また更に、選別装置本体に昇降機を併設する例としては、特許文献7(特開2007−98276号公報)、特許文献8(特開2007−21381号公報)及び特許文献9(特開2007−21382号公報)に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2009−95732号公報
【特許文献2】特開2009−96602号公報
【特許文献3】特開2006−335491号公報
【特許文献4】特開2006−321619号公報
【特許文献5】特開2000−218233号公報
【特許文献6】特開2000−202364号公報
【特許文献7】特開2007−98276号公報
【特許文献8】特開2007−21381号公報
【特許文献9】特開2007−21382号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】http://www.kudira.net/SHOP/11918.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、本出願人自身が開発した特許文献1(特開2009−95732号)で開示した穀粒選別装置の被選別穀粒を揚送搬入する昇降部に適用されているベルト式昇降装置、特許文献2(特開2009−96602号)で開示した穀粒昇降装置、或いは非特許文献1に開示されて入るような製品に適用された技術を更に改良して、粒状物を搬送する際に、従前の大型の装置のようにバケット等を用いず、本出願人自身が開発した特許文献1、特許文献2、或いは非特許文献1で用いられるベルト式昇降装置に改良を加え、生産性に優れ、比較的小規模農家にも適用可能な、小型モータを用いた小型で薄型の装置でありながら、搬送能力の高いベルト式昇降機を完成させるものである。
【0016】
すなわち、本出願人自身が開発した特許文献1、特許文献2、或いは非特許文献1で用いられるベルト式昇降装置は、図8に示すように、駆動及び従動プーリ100,101との間に無端状の搬送ベルト103を懸架し、搬送ベルト103に形成する突片104によって穀粒を揚穀するものである。
【0017】
搬送ベルトと突片104を別部品で構成し、突片104を搬送ベルト103に固定する場合、突片104の個数が少ない程、組付部品点数の削減により生産性を高めることができるとともに製造コスト削減にも有利である。また、突片104を別部品として搬送ベルト103に固定する場合、一般に、搬送ベルト103に固定する突片104は、金属性薄板をプレス加工して取付片を有するL字状に成形される。ここで、突片104を取り付ける搬送ベルト103は駆動及び従動プーリ100,101間に懸架する構造であるため、駆動及び従動プーリ100,101部分の搬送ベルトが円弧状であるのに対し、突片104の取付片は平板状となるため、駆動及び従動プーリ100,101部分において、平板状の取付片の両端が搬送ベルト103から浮き上がり易くなるため、取付片を可及的に短く形成する必要がある。しかし、搬送ベルト103への取付片の固定箇所を1箇所とした場合、突片104が固定箇所を中心として回転してしまい、揚穀能力に悪影響を与えるばかりでなく、他の構成部品と衝突して故障の原因となるため、最低でも突片104を2箇所で位置決めして搬送ベルト103に対して廻り止めする必要がある。
【0018】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、突片を搬送ベルトに固定する取付片の長さを可及的に短く形成し、かつ、搬送ベルトに突片を確実に廻り止めして固定することが可能なベルト式昇降機における突片の構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の請求項1のベルト式昇降機における突片の構造は、筐体部と外蓋部とにより形成された搬送装置筐体の一端部に駆動プーリを配置し、他端部には従動プーリを配置し、該駆動プーリと従動プーリには無端状の搬送ベルトを懸架して駆動モータにより回転駆動されるように搬送路空間内に配置し、前記搬送ベルトに粒状物を搬送する複数の突片を形成するベルト式昇降機であって、前記突片が搬送ベルトに固定する取付片と、前記粒状物を搬送する搬送片とを有するL字型に折曲形成され、前記取付片に前記搬送ベルトに固定するためのネジ止め部と、前記搬送ベルトに対する廻り止め部を形成し、このネジ止め部と廻り止め部とを前記取付片の長さ方向に間隔をおいて形成したことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項2のベルト式昇降機における突片の構造は、前記廻り止め部が前記取付片の長さ方向先端部から屈曲した先尖状の爪片で構成し、この爪片を前記搬送ベルトに食い込ませて突片の廻り止めとしたことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項3のベルト式昇降機における突片の構造は、前記取付片の幅wを前記搬送ベルトの幅w1とほぼ同幅とするとともに、前記爪片を含む取付片の長さbと取付片の幅wの関係をb≦wとしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、突片を別部品で構成すれば、搬送ベルトに突片を一体成形するといった専用ベルトを成形することなく、既存の搬送ベルトを用いることが可能となり、製造コストの削減が可能となる。さらに、別部品の突片を搬送ベルトに取り付ける場合、取付片にネジ止め部と、前記取付片の先端縁に位置する先尖状の爪片とを屈曲形成し、この爪片を前記搬送ベルトに食い込ませて廻り止め部とすることにより、搬送ベルトに対して突片が回転しない廻り止めとなり、かつ、取付片の長さを可及的に短く形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例のベルト式昇降機の分解斜視図である。
【図2】同上、実施例のベルト式昇降機を示し、図2(A)は正面、図2(B)は側面図である。
【図3】同上、突片の取付状態を示す分解斜視図である。
【図4】同上、突片の取付状態を示す断面図である。
【図5】同上、ベルト式昇降機の使用状態図である。
【図6】同上、ベルト式昇降機の別の使用状態図である。
【図7】同上、ベルト式昇降機の更に別の使用状態図である。
【図8】同上、従来例を示すベルト式昇降機の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における、粒状物搬送の装置全体構成及び搬送メカニズムを、図面を用いて説明する。以下、本発明搬送装置の全体構成及び搬送メカニズムの説明及び実施例の説明においては、搬送すべき粒状物を穀粒に限定して説明をするが、その他の粒状の農産物やそれ以外の粒状物に広く適用可能であることは勿論である。
【0025】
図1は、本発明のベルト式昇降機を、具体的実施例として具現化したものであり、搬送する対象物を粒状農産物の穀粒として実現したベルト式昇降機の分解斜視図である。この実施例によると、図面で示された装置概観からでは、一見、本願出願人が既に開示した特許文献2(特開2009−96602号)に記載された穀粒昇降装置の構成上で似ているように見えるかも知れない。しかしながら、本発明は特許文献2に記載された発明、或いは非特許文献1に記載された装置において実施された発明の装置では実現されなかった突片と揚穀能力との関係性に着目し、合理的な突片の個数を求めた結果、得られた構造である点で、両者には大きな相違点がある。以下、両者の相違点を踏まえて本発明を説明する。
【0026】
本発明の実施例のベルト式昇降機1は、図1に示すように、搬送粒状物としての穀粒を揚穀する揚穀部10と、筐体部30及び外蓋部50から形成される搬送装置筐体40と、揚穀部10を駆動する駆動モータ70と、搬送穀粒の供給部52及び送出部90とから構成されている。
【0027】
粒状物の搬送装置筐体40は、筐体部30と外蓋部50とによって扁平で縦長の直立した直方体形状を呈している。本発明の実施例のベルト式昇降機1の搬送装置筐体40は、筐体部30と外蓋部50とによって、搬送装置筐体40内に実質的に閉鎖された直方体空間を形成しており、その直方体空間内に揚穀部10を配置している。この揚穀部10は、搬送装置筐体40の下部に配置した駆動プーリ12と上部に配置した従動プーリ13とに懸架された搬送ベルト14と、この搬送ベルト14の外周面14aに所定間隔(a)で配置された複数の突片20,20,20・・・によって構成されている。
【0028】
このように、直立した扁平で縦長の直方体形状の搬送装置筐体40内に、無端状の搬送ベルト14を配置することにより、その無端状の搬送ベルト14の周りに、無端状の搬送路空間60が形成される(図2(A)の無端状搬送ベルト14周りの循環した矢印で示す)。さらに、無端状の搬送ベルト14には、その外周面14aに複数の突片20,20,20・・・を所定の間隔(a)で形成・配置することにより、無端状の搬送路空間60を複数の搬送区画に分割区画され、無端状の搬送ベルト14を高速で回転させて、その外周面14aに形成した突片20・・・の高速回転によって穀粒を叩き上げ揚穀搬送するものである。
【0029】
本発明の実施例において、搬送装置筐体40を構成している筐体部30は、揚穀部10の搬送ベルト14を囲む筐体として構成されており、無端状搬送ベルト14の揚穀路側(図1或いは図2(A)での左側)には、搬送ベルト14の内側面(ベルト裏側面)14bに沿って案内壁37を設けており、搬送装置筐体40内に構成された搬送路60の揚穀路側(図1或いは図2(A)での左側)において、搬送ベルト14の高速回転によるバタつきを抑制している。ここで揚穀路側とは、図2(A)において無端状搬送ベルト14が右回りに回転することにより、無端状搬送ベルト14の左外側が揚穀に寄与することになるための表現である。
【0030】
また、筐体部30の下部には、搬送路60に対して連通するように駆動プーリ12の外周下部を取り巻く円弧状の案内壁38を設けてあり、その案内壁38には搬送方向に細長い糠取りメッシュ39が形成され、前記案内壁38によって、駆動プーリ12に懸架された搬送ベルト14の周囲を囲む穀粒供給領域31が形成されている。なお、この搬送ベルト14の周囲を囲む形状は円弧状の案内壁38の形状に限定されるものではなく、搬送ベルト14の回転により供給された穀類が効率的に掻き揚げられれば良いものである。
【0031】
筐体部30の前面側は、外蓋部50により閉蓋されて装置筐体40を構成する。この外蓋部50の下部前面には穀粒の投入ホッパー53が備えられており、この投入ホッパー53の穀粒落下口54は、穀粒供給領域31に連通しているとともに、穀粒落下口54は、投入ホッパー53に投入された穀粒が、穀粒供給領域31から搬送路60に滞りなく流れるように、駆動プーリ12の回転方向に偏った誘導形状を呈するようにしても良い。
【0032】
装置筐体40の上部には、装置筐体40より搬送穀粒を送出するために送出部90が設けられている。この送出部90は、装置筐体40上部の開放端に被せられるカバー体32と、それに連通した蛇腹管33によって構成されている。この装置筐体40上部開放端に被せられたカバー体32は、図1に示した状態では、投入ホッパー53と反対側(図1の右側)に搬送穀粒を送出するように被せられているが、それと反対側、即ち、投入ホッパー53と同じ側(図1の左側)にカバー体32の送出側が向くように被せても良い(具体的な構造の図示はないが、その使用例は図7に示す)。
【0033】
前記突片20を別部品で成形し、この突片20を搬送ベルト14に取り付ける場合、搬送ベルト14との寸法的な制約受けるばかりでなく、揚穀搬送する際の衝撃によって搬送ベルト14に対して突片20が回転しないような強固な取付構造が必要である。すなわち、図3、図4に示すように、突片20を別部品で成形する場合、突片20は強度及び加工容易性の面から金属製薄板をプレス加工などによって搬送ベルト14に固定する取付片21と穀粒などを揚穀搬送する搬送片22と有するL字型に一体成形する。ここで、突片20を取り付ける搬送ベルト14は駆動及び従動プーリ12,13間に懸架する構造であるため、駆動及び従動プーリ12,13部分での搬送ベルト14は円弧状であるのに対し、取付片21が平板状となり、取付片21の長さbが長いと駆動及び従動プーリ12,13部分において、取付片21の両端部が搬送ベルト14から浮き上がって、その隙間に穀粒が入り込むばかりでなく、取付片21の取り付けも不安定となる。このため、図3に示すように、前記取付片21の幅wは前記搬送ベルト14の幅w1とほぼ同幅に形成されているが、前記取付片21の長さbは取付片21の幅wより狭い。つまり、前記取付片21の長さb≦取付片21の幅w≒無端ベルトの幅w1となるように突片20を成形している。しかし、搬送ベルト14への取付片21の固定箇所は、1箇所では、突片20が固定箇所を中心として回転してしまい、揚穀能力に悪影響を与えるばかりでなく、他の構成部品と衝突して故障の原因となる。このため、最低でも突片20を2箇所で位置決めして搬送ベルト14に対して廻り止めする必要がある。しかし、前記取付片21の長さb≦取付片21の幅w≒無端ベルトの幅w1であるため、狭い取付片21の幅w方向に2箇所のネジ止め部を形成することは寸法上、困難であるとともに、それ以上に狭い取付片21の長さb方向にも2箇所のネジ止め部を形成することはできない。このため、本実施例では、搬送ベルト14に対する前記取付片21にネジ止め部として皿ネジ24を通してナット25で螺着して搬送ベルト14に取付片21を固定するとともに、前記取付片21の先端縁から先尖状の爪片23を屈曲形成し、この爪片23を前記搬送ベルト14に食い込ませて突片20の廻り止め部としている。これにより、爪片23を含む取付片21の長さb≦取付片21の幅w≒無端ベルトの幅w1、具体的な寸法として、爪片23を含む取付片21の長さb≒10mm、取付片21の幅w≒無端ベルトの幅w1≒12mmという制約があっても、取付片21の長さbを可及的に短く形成し、かつ、皿ネジ24(ネジ止め部)と爪片23によって搬送ベルト14に対して前記突片20を廻り止め状態で固定することができる。なお、前記搬送片22の長さb1≒25mmである。
【0034】
次に、本発明の実施例であるベルト式昇降機1を、各種用途に応じた使用例について説明する。図5は、本発明の搬送装置を各種の穀粒処理装置の後段に設けて穀粒を袋詰めする際の使用例であり、図6は、2台の選別機を連続的に配置して再選別を行う場合への本発明の搬送装置の利用例であり、図7は籾摺り機に本発明の搬送装置を適用した使用例である。
【0035】
さらに詳細に、図5に示した使用例を説明する。図5には図示していないが、各種の穀粒処理装置が設けられ、その処理穀粒が本発明のベルト式昇降機1の穀粒投入ホッパー53にまで導かれる。本発明のベルト式昇降機1は、下方に設けられた駆動モータ70によって駆動され、筐体部30と外蓋部50とからなる搬送装置筐体40内に収納してある搬送手段により、上方に揚穀・搬送されて送出部90から送出される。送出部90の先の蛇腹管33は、適当な構成の保持部材56によって取り付けられたゲートG内に穀粒を送出するように連結されている。このゲートGの詳細構成は、本出願人が先の出願(特願2008−264197)として出願しているものであり、ゲートGは二股に分けられた先に配置された2つの籾袋80(図5には1つの籾袋のみが図示されている)に自動的に振り分けて袋詰めするものである。
【0036】
さらに詳細に、図6に示した使用例を説明する。図6には、2台の選別機81,82が、本発明のベルト式昇降機1によって連続的に配置されている。本発明は、選別機に関する発明ではないので選別機の構成を詳細に説明することはしない。第1選別機81の未熟米出口に取り付けたシュート83から本発明のベルト式昇降機1の穀粒投入ホッパー53に未熟米が投入され、本発明のベルト式昇降機1によって搬送・揚穀されて蛇腹管33から第2選別機82の供給口にまで搬送される。
【0037】
さらに詳細に、図7に示した使用例を説明する。籾摺機85のしいな米口86から本発明のベルト式昇降機1の穀粒投入ホッパー53に投入されたしいな米は、本発明のベルト式昇降機1によって搬送・揚穀されて蛇腹管33から籾摺機85のホッパー87に再度戻す。ここでの使用例では、ベルト式昇降機1の送出部90は他の使用例とは逆向き(穀粒投入ホッパー53の側と同じ側に送出するよう)に取り付けられている。
【0038】
以上、本実施例によれば、搬送ベルト14と突片20とを別部品で構成し、その突片20を搬送ベルト14に取り付けることによって、搬送ベルト14に突片20を一体成形するといった専用ベルトを成形することなく、既存の搬送ベルト14を用いることが可能となり、製造コストの削減が可能となる。また、突片20を別部品で成形し、この突片20を搬送ベルト14に取り付ける場合、搬送ベルト14に対して突片20が回転しないような強固な取付構造が必要となるとともに、取付片21の長さb≦幅w≒無端ベルトの幅w1という制約を受けるが、取付片21にネジ止め部として皿ネジ24を通してナット25で螺着するとともに、前記取付片21の先端縁に先尖状の爪片23を屈曲形成し、この爪片23を前記搬送ベルト14に食い込ませて突片20の廻り止め部とすることにより、取付片21の長さbを可及的に短く形成し、かつ、皿ネジ24(ネジ止め部)と爪片23によって搬送ベルト14に対して前記突片20を廻り止め状態で固定することができる。
【0039】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は前記一実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、筐体部30の駆動プーリ12と従動プーリ13間には、搬送ベルト14を適度の緊張状態に保持するベルトテンション機構を設けることも可能である。このテンション機構としては、従動プーリ13を駆動プーリ12から離間させる方向にバネ等で励起するか、穀粒非搬送側(図1或いは図2の右側)に別に設けたテンションプーリを配置するか、何れの方法でも良い。
【符号の説明】
【0040】
1 ベルト式昇降機
10 揚穀部
12 駆動プーリ
13 従動プーリ
14 搬送ベルト
20 突片
21 取付片
22 搬送片
23 爪片(廻り止め部)
24 皿ネジ(ネジ止め部)
25 ナット(ネジ止め部)
30 筐体部
31 穀粒供給領域
32 穀粒送出領域
50 外蓋部
40 搬送装置筐体
60 搬送路空間
70 駆動モータ
90 送出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体部と外蓋部とにより形成された搬送装置筐体の一端部に駆動プーリを配置し、他端部には従動プーリを配置し、該駆動プーリと従動プーリには無端状の搬送ベルトを懸架して駆動モータにより回転駆動されるように搬送路空間内に配置し、前記搬送ベルトに粒状物を搬送する複数の突片を形成するベルト式昇降機であって、
前記突片が搬送ベルトに固定する取付片と、前記粒状物を搬送する搬送片とを有するL字型に折曲形成され、前記取付片に前記搬送ベルトに固定するためのネジ止め部と、前記搬送ベルトに対する廻り止め部を形成し、このネジ止め部と廻り止め部とを前記取付片の長さ方向に間隔をおいて形成したことを特徴とするベルト式昇降機における突片の構造。
【請求項2】
前記廻り止め部が前記取付片の長さ方向先端部から屈曲した先尖状の爪片で構成し、この爪片を前記搬送ベルトに食い込ませて突片の廻り止めとしたことを特徴とする請求項1記載のベルト式昇降機における突片の構造。
【請求項3】
前記取付片の幅wを前記搬送ベルトの幅w1とほぼ同幅とするとともに、前記爪片を含む取付片の長さbと取付片の幅wの関係をb≦wとしたことを特徴とする請求項2記載のベルト式昇降機における突片の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−71919(P2012−71919A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216641(P2010−216641)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000132792)株式会社タイガーカワシマ (48)
【Fターム(参考)】