説明

ベローズのプライ

【課題】軽量でありながら剛性を持ち、さらに密閉性も有するようなベローズ用材料を提供する。
【解決手段】2つの車両部分や搭乗橋などを連結する場合の接続部となるベローズのプライであり、この場合、プライは、布地に圧力を加えることによって可塑的に変形されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、2つの車両や搭乗橋を連結する場合の接続部となるベローズのプライ、もしくはそのようなプライをもつベローズに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
ベローズは、とりわけ2つの車両部分を連結する接続部品としてよく知られている。ベローズは、例えばじゃばら形や波形に形成されている。じゃばら形に形成されているベローズでは、それぞれの折り目部分に、アルミニウムでできた環状のフレームが付いており、波形の場合も同様に、波形を形成する各エレメントがアルミニウムの環状フレームによって囲まれている。これらのフレームは、第一に、個々のひだや波を形成する部分をつなぐ役割を果たしているが、第二には、結果としてベローズ全体に一定の剛性を確保する働きをする。すなわち、自重のためにベローズが一定の限度以上にたわみ過ぎないようにしているのである。さらに、これらのフレームは、ベローズが伸張した後、いつでも元の長さに縮められるようにする役割も果たしている。
そのようなベローズの材料を製造するためには、多数のプライを接合する方法が主に用いられる。この時、接合は合成樹脂層によって行われるが、この合成樹脂層は個々のプライとプライとの間に挟まれているだけではなく、このようにプライを接合してできたベローズの外装および内装にも張付けられる。多数のプライを重ね合わせることによって、ベローズには比較的大きな剛性が生じる。また、合成樹脂層を重ね合わせることにより、ベローズをシーリングすることにもなる。このようなベローズ材料は、通常、カレンダを使って製造される。ベローズ材料は二層または多層構造で作られるので、ベローズの自重は大きくなる。そのため、ベローズは、どうしもたわみがちになる。つまりベローズの製造に関しては、2つの相反する条件を一致させなければならないのである。すなわち、第一に、ベローズの材料は一般にある程度の剛性をもたねばならず、そのため現行の技術では、プライを少なくとも二層以上は重ね張りしなければならない。ところがその一方で、第ニに、材料が重くなればなるほど、ベローズはそれだけますます強くたわむ傾向を示すのである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の対象は、本文の冒頭にあるようなベローズ用材料であり、軽量でありながら剛性をもち、さらに密閉性も有するようなベローズ用材料である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本件発明によるそのようなベローズ用材料の特徴は、布地に力を加えることによってプライを可塑的に変形させる点にある。
ベローズの材料に使用される通常の布地は、縦糸と横糸で構成されている。前述のとおり、ベローズに用いる材料を現行の技術で用意するには、こうした通常のプライを少なくとも二枚用いる。しかし、1枚の布地を可塑的に変形させれば、ベローズの布地に比較的大きな剛性をもたせられることが判明した。その理由は、一本一本の糸と糸との間にある空間が糸の変形によって埋められ、これによって布地全体が剛性を獲得したからと考えられる。さらに、例えば布地に対して表裏両面から圧力をかけることによって、糸を扁平な形に変形させれば、縦糸と横糸との間にあった空間が塞がれるので、そのような方法で処置された布地はすでにある程度の密閉性を示している。これが、もう1つの利点である。このことは、所期の密閉性を得るためのコーティングに必要な合成樹脂量の削減つながり、重量の低減を招く。結果として、ベローズの重量はより軽くなり、それほど強くたわまなくなる。
【0005】
このようにして変形させることのできる布地の縦糸と横糸を製造するための材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルクロリド、ポリクロリド等の合成樹脂製の糸が用いられる。このような糸を使用するための前提条件は、それらの糸が実際に可塑的に変形可能であるかということである。とりわけ、モノフィラメントの糸、すなわち単一繊維からできている糸は、本件発明による可塑的変形を経た布地の剛性という点で良好な結果を生み、さらに、このような糸で作った布地は、合成樹脂層が薄くても、密閉性に関する要求を満たしていることが判明した。
少ない重量で高い剛性が得られた結果、ベローズのサポートや安定に必要な対策を省くことができる。とりわけ、折り目や波の1つ1つに対して、アルミニウムなどで作られた環状フレームをつける必要がなくなり、例えば、2つめや、3つめ、あるいは4つめの折り目や波にフレームをつければ十分であることが判明した。これによって、ベローズに対する加重が抑制され、結果としてベローズのたわみも避けられる。
本件発明のもう1つの特徴は、布地に熱処理を施すことである。これによって、糸は収縮し、より高い強度が実現される。同時にまた、布地がより密になる結果、密閉性も高まる。このときには、布地をまず熱収縮させてから、その次に前記の方法で可塑的に変形させるか、あるいはまず変形させてから、次に熱収縮にかけるか、そのどちらの方法もとることができると考えられる。
発明の3つめの特徴として、布地の糸を外界の影響から保護し、結局はその布地の密閉性を長く維持するために、布地の少なくとも片側、しかも主としてその外側に合成樹脂のコーディングを施すことが想定されている。
【発明の効果】
【0006】
要約すると、発明によって作られた布地の利点は以下のとおりである。
発明によって製造された布地は、すでに1枚で十分な剛性と密閉性とを有し、そのため、従来のベローズ材料に比べて、重量の大幅な低減を可能とする。
この方法で製造されたベローズ材料は、現行の技術によって何層にも重ねられた既存のベローズ材料よりもはるかに低コストである。
この方法で製造されたベローズは、軽量化によってたわみが少なくなり、ベローズのサポートに必要な対策を大幅に省略することができる。とくにフレーム形成は少なくとも部分的に省略可能である。
発明の対象は、波形もしくはじゃばら形のベローズであり、このベローズには、前記のような布地が少なくとも1枚使用される。その際、すべての折り目または波のひだに、フレーム形成や枠組みを施す必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下では、図版を用いて発明を具体的に説明する。
【図1】布地の織り方
【図2】図1の織り方による布地に圧力をかけ、糸を扁平に変形した状態
【図3】2つの車両部分の間にあるベローズ
【図4】図3の車両間にあるベローズの拡大図
【図5】図4のX部分の線V〜Vにおける断面図布地は、横糸1および縦糸2から構成される。このような種類の布地はよく知られているので、詳細な説明は省く。連続する横糸と横糸との間、および縦糸と縦糸との間には、たとえ横糸にリードをあてたとしても、ある程度の隙間ができる。ここに注目したのが、本件発明である。図2では、布地に圧力をかけて糸を扁平な形につぶし、縦糸および横糸の幅が広がったため、縦糸と横糸の間にあった隙間が少なっている。このように加工された縦糸と横糸とがぴったりかみ合うようになれば、この隙間が完全に埋まることにもなる。前記のとおり、布地の可塑的変形によって、布地の剛性は一般に高められる。その主な理由は、縦糸と横糸の間の隙間が解消されることにある。このような方法で製造された布地の両面に合成樹脂のコーティングを施すことにより、布地は外界の影響から保護されるだけでなく、永続的に気密性を保った布地を作ることができる。図3は、2つの車両部分11と12の間をベローズ10でつないだ連結バスである。図4は、トンネルの形をしたベローズの断片。環状のフレーム15は、三つの折り目箇所14をはさんで1つずつ設置されているだけである(図5)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
例えば2つの車両部分や搭乗橋を連結する場合の接続部となるベローズのプライ。このプライは、布地に圧力をかけて可塑的に変形させることを特徴とする。
【請求項2】
請求項1によるプライ。横糸および / または縦糸が可塑的に変形可能であることを特徴とする。
【請求項3】
前記の1つまたは複数の請求項によるプライ。布地の表側と裏側への加圧による可塑的変形を特徴とする。
【請求項4】
前述の1つまたは複数の請求項によるプライ。縦糸と横糸との間の隙間がほぼなくなるまで、布地に可塑的変形を加えることを特徴とする。
【請求項5】
前記の1つまたは複数の請求項によるプライ。縦糸と横糸とが単一繊維でできていることを特徴とする。
【請求項6】
前記の1つまたは複数の請求項によるプライ。布地に熱処理が施されることを特徴とする。
【請求項7】
前記の1つまたは複数の請求項によるプライ。布地は、少なくともその片面に合成樹脂のコーティングが施されることを特徴とする。
【請求項8】
とくに、2つの車両部分を連結する場合の接続部となるベローズ。請求項1〜7による、少なくとも一層のプライを特徴とする。
【請求項9】
請求項8によるベローズ。ベローズがじゃばら形または波形に構成されていることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−220299(P2006−220299A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25622(P2006−25622)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(504140657)ヒュープナ ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】