説明

ベンゾオキサジン化合物およびその製造方法

【課題】より高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造するために用いられる原料となるベンゾオキサジン化合物およびその製造方法等の提供。
【解決手段】式(1)


(式中、Xはフェニレン基等を示す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。YおよびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)で示されるベンゾオキサジン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾオキサジン化合物およびその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゾオキサジン化合物、具体的には、2,2−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)プロパンを低温加熱することにより開環重合が進行し、硬化してベンゾオキサジン樹脂硬化物を生成することが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−178332
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、より高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造するために用いられる原料となるベンゾオキサジン化合物およびその製造方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
1.式(1)

(式中、Xは下記(A−1)、(A−2)または(A−3)

で示される基を表わす。
〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物(以下、本発明化合物と記すこともある);
2.式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物であって、Xが(A−1)または(A−2)であることを特徴とする前項1記載のベンゾオキサジン化合物;
3.式(2)

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物;
4.式(3)

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物;
5.前項1乃至3のいずれかの前項記載のベンゾオキサジン化合物を熱硬化させて得られるベンゾオキサジン樹脂硬化物(以下、本発明樹脂硬化物と記すこともある。);
6.式(1)

(式中、Xは下記(A−1)、(A−2)または(A−3)

で示される基を表わす。
〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物(即ち、本発明化合物)の製造方法であって、
式(4)

(式中、R〜RおよびXは前記と同じ意味を表わす。)
で示されるビスフェノール化合物、式(5)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす。)
で示される1級アミン化合物、
式(6)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす)
で示される1級アミン化合物
およびホルムアルデヒドを塩基の存在下に反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法(以下、本発明製造方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造するために用いられる原料となるベンゾオキサジン化合物およびその製造方法等を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明化合物は、式(1)

(式中、Xは下記(A−1)、(A−2)または(A−3)

で示される基を表わす。
〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物である。
【0008】
式(1)における好ましいXとしては、例えば、(A−1)または(A−2)で示される基を挙げることができる。
【0009】
式(1)におけるR〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子、シアノ基である。
ここで「炭素数1〜6のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また「炭素数1〜6のアルキルオキシ基」としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができる。また「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
【0010】
式(1)におけるYおよびYは、それぞれ独立して、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基である。
ここで「炭素数1〜6のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。また「炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基」としては、例えば、フェニル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p-トルイル基、4−イソプロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基等を挙げることができる。
【0011】
本発明化合物としては、具体的には例えば、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−イソプロピル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−t−ブチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−シクロヘキシル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−8−メチルー3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−3−エチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−エチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−イソプロピル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−t−ブチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−シクロヘキシル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−8−メチルー3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−3−エチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−エチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−エチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−イソプロピル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−t−ブチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−シクロヘキシル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1,4−ビス(3,4−ジヒドロ−8−メチルー3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(3−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(2−トルイル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−イソプロピルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−(4−t−ブチルフェニル)−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−3,8−ジメチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−3−エチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−エチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−イソプロピル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−t−ブチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン、1−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシルー8−メチル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−シクロヘキシル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0012】
本発明化合物は、例えば、式(4)

(式中、R〜RおよびXは前記と同じ意味を表わす。)
で示されるビスフェノール化合物(以下、ビスフェノール化合物(4)と記すことがある)、式(5)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす。)
で示される1級アミン化合物、
式(6)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす)
で示される1級アミン化合物
及びホルムアルデヒドを塩基の存在下に反応させる工程を含む製造方法(即ち、本発明製造方法)により製造することができる。
【0013】
本発明製造方法に用いられる「ビスフェノール化合物(4)」としては、例えば、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1−(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1−(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(3−イソプロピル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1−(3−イソプロピル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1−(3−イソプロピル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(3−t−ブチル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1−(3−t−ブチル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1−(3−t−ブチル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1−(3−シクロヘキシル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1−(3−シクロヘキシル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1−(3−シクロヘキシル4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン、1,4−ビス(3−メチルー4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0014】
上記のビスフェノール化合物(4)は、例えば、特開2002−308808号公報、特開2002−308809号公報、特開2002−363117等に記載される公知の方法およびそれに準じた方法により製造することができる。
【0015】
本発明製造方法に用いられる「式(5)で示される1級アミン化合物」および「式(6)で示される1級アミン化合物」としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、4−イソプロピルアニリン、4−t−ブチルアニリン等を挙げることができる。
1級アミン化合物の使用量としては、ビスフェノール化合物(5)1モルに対して、
例えば、1モル〜20モルの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、1.5モル〜10モルの範囲が挙げられる。より好ましくは、例えば、1.8モル〜5モルの範囲を挙げることができる。
【0016】
本発明製造方法に用いられる「ホルムアルデヒド」としては、例えば、ホルムアルデヒド水溶液、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド等を挙げることができる。
ホルムアルデヒドの使用量としては、ビスフェノール化合物(4)1モルに対して、例えば、2モル〜100モルの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、3モル〜20モルの範囲が挙げられる。より好ましくは、例えば、3.5モル〜10モルの範囲を挙げることができる。
【0017】
本発明製造方法に用いられる「塩基」としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、ジアミルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリプロピルアミン、1,8-ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセ-7-エン等の2級アミン及び3級アミン;ピリジン、イミダゾール等の塩基性含窒素複素環化合物;等を挙げることができる。
塩基の使用量としては、例えば、ビスフェノール化合物(4)1モルに対して、例えば、0.001モル〜100モルの範囲を挙げることができる。好ましくは、例えば、0.005モル〜20モルの範囲が挙げられる。より好ましくは、例えば、0.01モル〜10モルの範囲が挙げられる。尚、塩基が反応条件下で液体である場合には、当該塩基を溶媒として用いてもよく、その場合の塩基の使用量は特に制限されない。
【0018】
本発明製造方法は、通常、溶媒の存在下実施される。尚、溶媒は、反応中、還流させておいてもよい。
本発明製造方法に用いられる「溶媒」としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン等の脂肪族炭化水素溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;水;等を挙げることができる。
尚、溶媒は、複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。また、上述のとおり、塩基を溶媒として用いてもよく、その場合の溶媒の使用量としては、特に制限されない。
【0019】
本発明製造方法に含まれる工程における反応は、常圧条件下で行ってもよいし、加圧条件下で行ってもよいし、減圧条件下で行ってもよい。また、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
反応温度としては、例えば、0℃〜150℃の範囲等を挙げることができる。好ましくは、例えば、20℃〜120℃の範囲等が挙げられる。より好ましくは、例えば、40℃〜100℃の範囲等を挙げることができる。
【0020】
本発明製造方法に含まれる工程における反応は、液体クロマトグラフィー等の測定により追跡することができる。本発明化合物の増加またはビスフェノール化合物(4)の減少が認められなくなるまで反応を行うことが好ましい。反応時間としては、例えば、1時間〜100時間の範囲内等を挙げることができる。
【0021】
本発明製造方法に含まれる工程における反応の終了後、得られた反応マスを濃縮処理および/またはろ過処理することにより、本発明化合物を得ることができる。取り出された本発明化合物は、例えば、溶媒での洗浄や再結晶等の通常の精製手段より、更に精製することもできる。
【0022】
続いて、本発明樹脂硬化物について説明する。
本発明樹脂硬化物は、本発明化合物を熱硬化させて得られる。
本発明樹脂硬化物は、1種の本発明化合物を硬化させて得られる樹脂硬化物であってもよく、異なる2種以上の本発明化合物からなる混合物を硬化させて得られる樹脂硬化物であってもよい。
本発明樹脂硬化物の製造方法としては、例えば、(a)所定の温度まで加熱して硬化させる方法、(b)加熱融解させて金型等に注ぎ、金型を更に加熱して硬化成型させる方法、(c)本発明化合物の溶融物を予め加熱された金型に注入して硬化させる方法等を挙げることができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
尚、熱拡散率の測定はTWA法((株)アイフェイズ製熱拡散率測定装置アイフェイズ・モバイル)により実施した。
【0024】
実施例1
1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン5.00g、水酸化カリウム0.092g、メタノール10.0g及びアニリン3.37gを仕込み、内温5℃まで冷却し、37%ホルムアルデヒド水溶液5.88gを仕込んだ後、還流条件下23時間反応させた。反応終了後、反応液中の不溶分を濾別した後、不溶分をメタノールで洗浄し、真空乾燥することにより、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン6.99gを橙色固体として得た。見かけ収率75%。
H−NMR(CDCl,TMS標準,単位:ppm)
δ2.24(s,3H),4.70(d,J=5.3Hz,4H),5.44(d,J=6.5Hz,4H),6.85〜6.95(m,5H),7.14(d,J=8.7Hz,2H),7.27(t,J=8.1Hz,4H),7.36〜7.43(m,2H),7.48〜7.57(m,2H),7.56(d,J=5.3Hz,4H)
【0025】
実施例2
温度計、冷却管及び撹拌装置を備えた4つ口フラスコに、1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキセン40.03g、水酸化カリウム0.573g、メタノール160g及びアニリン26.6gを仕込み、内温を50℃以下に保ちながら37%ホルムアルデヒド水溶液46.3gを仕込んだ後、還流条件下9時間反応させた。反応終了後、反応液中の不溶分を濾別した。得られた不溶分を酢酸エチルに溶解し水で洗浄した後、減圧条件下で濃縮処理することにより、1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン57.2gを薄桃色固体として得た。見かけ収率78%。
H−NMR(CDCl,TMS標準,単位:ppm)
δ1.75〜1.86(m,1H),1.99〜2.10(m,1H),2.17(s,3H),2.19〜2.32(m,1H),2.36〜2.56(m,2H),2.67〜2.82(m,1H),4.62(d,J=4.9Hz,4H),5.36(d,J=10.3Hz,4H),6.05(s,1H),6.76(dd,J=8.4Hz,2.6Hz,1H),6.89(s,2H),6.94(d,J=7.3Hz,2H),7.01(dd,J=8.5Hz,2.1Hz,1H),7.05(s,1H),7.12(d,J=7.8Hz,4H),7.26(dd,J=7.1Hz,1.8Hz,4H)
【0026】
参考例1
ビスフェノールA20.00gおよびアニリン16.3gを、37%ホルムアルデヒド水溶液28.4gに懸濁したさせた後、得られた懸濁物を60℃で30分間、続いて80℃で2時間反応させた。反応終了後、反応液中の不溶分を濾別した。得られた不溶分をトルエンに溶解させて水で洗浄した後、減圧条件下で濃縮処理することにより、2,2−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)プロパン38.5gを白色固体として得た。見かけ収率95%。
【0027】
実施例3
実施例1で得られた1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)ベンゼン0.8gをアルミ板上に広げ、真空加熱装置にて170℃で1時間30分脱気した。その後、これを190℃に昇温し、更に190℃で4時間保温して加熱硬化させることにより、褐色のベンゾオキサジン樹脂硬化物を得た。得られた硬化物をサンドペーパー(#1200および#2000)で表面を研磨して109μmの薄片とした後、TWA法により熱拡散率を測定した。その結果、前記硬化物の熱拡散率は、1.21×10−7/sであった。
【0028】
実施例4
実施例2で得られた1−(3,4−ジヒドロ−8−メチル−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)−4−(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキセン1gをアルミ板上に広げ、真空加熱装置にて150℃で1時間脱気した。その後、これを2時間かけ150℃から250℃に昇温し、さらに250℃で1時間保温して加熱硬化させることにより、褐色のベンゾオキサジン樹脂硬化物を得た。得られた硬化物をサンドペーパー(#1200および#2000)で表面を研磨して100μmの薄片とした後、TWA法により熱拡散率を測定した。その結果、前記硬化物の熱拡散率は、1.26×10−7/sであった。
【0029】
比較例1
2,2−ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン)プロパン1.55gをアルミ板上に広げ、真空加熱装置にて150℃で1時間30分脱気した。その後、これを2時間かけ150℃から250℃に昇温し、更に250℃で1時間保温して加熱硬化させることにより、褐色のベンゾオキサジン樹脂硬化物を得た。得られた硬化物をサンドペーパー(#1200および#2000)で表面を研磨して131μmの薄片とした後、TWA法により熱拡散率を測定した。その結果、前記硬化物の熱拡散率は、0.99×10−7/sであった。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、より高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造提供することが可能である。
本発明によれば、より高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造するために用いられる原料となるベンゾオキサジン化合物(即ち、本発明化合物)およびその製造方法等を提供することが可能である。当該ベンゾオキサジン樹脂硬化物(即ち、本発明樹脂硬化物)は、放熱性を必要とする絶縁材料として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Xは下記(A−1)、(A−2)または(A−3)

で示される基を表わす。
〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物。
【請求項2】
式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物であって、Xが(A−1)または(A−2)であることを特徴とする請求項1記載のベンゾオキサジン化合物。
【請求項3】
式(2)

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物。
【請求項4】
式(3)

(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかの請求項記載のベンゾオキサジン化合物を熱硬化させて得られるベンゾオキサジン樹脂硬化物。
【請求項6】
式(1)

(式中、Xは下記(A−1)、(A−2)または(A−3)

で示される基を表わす。
〜R25は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基を表わす。
およびYは、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または、炭素数1〜4のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。)
で示されるベンゾオキサジン化合物の製造方法であって、
式(4)

(式中、R〜RおよびXは前記と同じ意味を表わす。)
で示されるビスフェノール化合物、式(5)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす。)
で示される1級アミン化合物、
式(6)

(式中、Yは前記と同じ意味を表わす)
で示される1級アミン化合物
およびホルムアルデヒドを塩基の存在下に反応させる工程を含むことを特徴とする製造方法。

【公開番号】特開2013−60407(P2013−60407A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201522(P2011−201522)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】