説明

ベースメタル系排ガス浄化触媒

【課題】低温(200℃程度)および高温(500℃程度)において初期および耐久後に高いNO還元活性を有する、Cuを触媒金属とするベースメタル系排ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】触媒金属がCuから成り、
触媒担体が、Al:40wt%〜60wt%と、CeO:10wt%〜25wt%と、CeO−ZrO:残部とから成る
ことを特徴とする排ガス浄化触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースメタル(卑金属)を触媒金属とする排ガス浄化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車分野等において、Pt、Rh、Pd等の貴金属(ノーブルメタル)を触媒金属とする排ガス浄化触媒が用いられている。これに対し、材料コストを低下させるために貴金属に替えてベースメタル(卑金属)を触媒金属として用いた排ガス浄化触媒の開発が行なわれている。
【0003】
特許文献1には、第4周期遷移金属(Cu等の卑金属が含まれる)や第5周期遷移金属を触媒金属とし、これを担持する無機系担体物質としてAl、CeO、ZrO等の複合酸化物を用いてもよいことが例示されている。
【0004】
しかし、最適な触媒金属としてPd−Cu粒子、Pd粒子が提示されており、具体的な実施例はこれらの粒子についてのみ示されており、Cu等のベースメタルについての具体的な実施例は示されていない。
【0005】
特許文献2には、Cuを触媒金属とし、セリア、ジルコニア、アルミナ(但しAl)の混合担体を用いた卑金属系排ガス浄化触媒のNO還元について開示されている。
【0006】
しかし、低温(200℃程度)ではNO還元活性が不十分であり、また耐久後の低温(200℃程度)および高温(500℃程度)でのNO還元活性が不十分であった。特に、Al担体上のCuは耐久時に粒成長してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−172574号公報(段落0021等)
【特許文献2】特表平9−501348号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、低温(200℃程度)および高温(500℃程度)において初期および耐久後に高いNO還元活性を有する、Cuを触媒金属とするベースメタル系排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、
触媒金属がCuから成り、
触媒担体が、Al:40wt%〜60wt%と、CeO:10wt%〜25wt%と、CeO−ZrO:残部とから成る
ことを特徴とする排ガス浄化触媒を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排ガス浄化触媒は、低温(200℃)および高温(500℃)でのNO還元性能が初期でも耐久後でも著しく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、(1)200℃および(2)500℃における排ガス浄化触媒のNO浄化性能を、初期および耐久後について、本発明と従来技術とで比較して示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の排ガス浄化触媒は、
触媒金属がCuから成り、
触媒担体が、Al:40wt%〜60wt%と、CeO:10wt%〜25wt%と、CeO−ZrO:残部とから成る
ことを特徴とする。
【0013】
すなわち、ベースメタルの触媒金属としてCuを用い、触媒担体として規定量のAlと、CeOと、CeO−ZrOとから成る複合担体を用いたことにより、Cuのメタル化を促進して低温から高温まで高いNO還元活性を発揮させることができ、また、Cu粒子の微粒子化を促進して粒成長を抑制できるので、初期状態でも耐久後でも高いNO還元活性が達成できる。
【0014】
従来のCu系排ガス浄化触媒では、低温からCuの価数変化(メタル化)が生じないため、低温でのNO還元活性が低く、また、Cu粒子が微粒子化されないため高温におけるNO還元活性が低かったと考えられる。
【実施例】
【0015】
(1)表1に示した配合比率でAl、CeO−ZrO、CeOを水に分散させ、CuNOを溶解した。Cu担持量は5wt%とした。
【0016】
【表1】

【0017】
(2)スターラで攪拌後、乾燥させ、砕いた後、120℃で1h乾燥を行い、600℃で5h焼成した。
【0018】
(3)加圧してペレットを作製した。
【0019】
(4)NO−COにおける初期NO還元性能を評価した。
【0020】
(NO:4000ppm,CO:8000ppm,H2O:3%[at500℃]、NO:4000ppm, CO:8000ppm, H2O:3% [at200℃および500℃])
(5)800℃でリッチ・リーンを切り替える耐久を行なった。
【0021】
(リッチ: CO 3%, H2O:3%、リーン: O2 5%, H2O 3%)
(リッチ・リーン切り替え時間2min毎)
(6)NO−COにおける耐久後のNO還元性能を評価した。
【0022】
(NO:4000ppm, CO:8000ppm, H2O:3% [at500℃]、NO:4000ppm, CO:8000ppm, H2O:3% [at200℃および500℃])
図1に評価結果を示す。
【0023】
本発明の規定範囲の組成を有する複合担体を用いることにより、低温(200℃)および高温(500℃)において、初期および耐久後で高いNO浄化率が得られることが分かる。
【0024】
従来のCu系排ガス浄化触媒では、低温からCuの価数変化(メタル化)が生じないため低温でのNO還元活性が低く、また、Cu粒子が微粒子化されないため高温におけるNO還元活性が低かったと考えられる。
【0025】
本発明は、規定組成の複合担体を用いたことにより、低温でもCuのメタル化が促進され、Cu粒子の微細化が促進されたため高温でも高いNO浄化率が得られたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、低温(200℃程度)および高温(500℃程度)において初期および耐久後に高いNO還元活性を有する、Cuを触媒金属とするベースメタル系排ガス浄化触媒を提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒金属がCuから成り、
触媒担体が、Al:40wt%〜60wt%と、CeO:10wt%〜25wt%と、CeO−ZrO:残部とから成る
ことを特徴とする排ガス浄化触媒。

【図1】
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【公開番号】特開2012−121006(P2012−121006A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275871(P2010−275871)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】