説明

ベーパ回収装置

【課題】本発明はタンク圧力の上昇による吸着槽の吸着効率の低下を抑制することを課題とする。
【解決手段】制御装置50の吸着制御手段60は、ベーパの導入を開始してから第1の所定時間経過後に当該ベーパの導入を停止させ、ベーパの導入を停止した後、第2の所定時間経過後に地下タンク20A〜20Cの圧力に基づいて地下タンク20A〜20Cに揮発性液体燃料が充填されているか否かを判定する。また、地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が充填されていないと判定された場合には、吸着槽30へのベーパ導入を行わず、地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が充填されていると判定された場合はベーパ導入経路40を用いて揮発性液体燃料のベーパを吸着槽30に導入して吸着処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベーパ回収装置に係り、特にタンクに揮発性燃料を充填する際に発生するベーパの回収及び分離を行うベーパ回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所等の燃料供給施設では、タンクローリ車の各ハッチから揮発性液体燃料(以下「液体燃料」と称す)が荷卸しされるタンクが設置されている。この種のタンクは、主に地下に埋設されており、タンクローリ車との高低差を利用してタンクローリ車に積載された液体燃料(ガソリンやアルコールなどの燃料となる液体)が荷卸しホースを介して荷卸しされる。
【0003】
また、給油所の地下タンクは、高所で大気に連通された通気口を有する通気管が接続されており、荷卸し時は液面の上昇と共に、タンク内のベーパがタンク外へ排出され、このベーパはタンクリーリ車へ供給、或いは大気中に放出される。
【0004】
近年、大気中における環境汚染が問題になっていることから、荷卸し時においてもタンク内のベーパに含まれる燃料成分(石油に主成分となる炭化水素:HC成分)を回収してベーパによる大気汚染を防止するベーパ回収装置の開発が要望されている。
【0005】
ベーパ回収装置としては、例えば、ベーパに含まれる燃料成分を吸着材(例えば、シリカゲルなど)で吸着することにより燃料成分を含むベーパが大気中に放出されることを防止すると共に、吸着材に吸着された燃料成分を脱着してタンクに戻すように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。吸着槽に充填された吸着材は、吸着槽内の圧力上昇によりベーパに含まれる燃料成分を吸着する性質を有しており、吸着槽内が減圧されることで吸着した燃料成分を脱着する性質を有する。
【0006】
ここで、吸着槽においては、吸着材に燃料成分を吸着させる吸着工程と、吸着材より燃料成分を脱着する脱着工程とが予め決められた所定時間のサイクルで順次行われ、吸着工程の終了後所定のタイミングで必ず脱着工程が行われる。尚、吸着槽の各工程を切り替える制御プログラムでは、例えば、吸着工程及び脱着工程の開始条件として各所定圧力が設定されており、タンク気相領域からのベーパの圧力変化に応じて吸着工程及び脱着工程の開始タイミングが調整される。
【0007】
タンクローリ車から地下タンクへの荷卸し作業が開始されると、地下タンクの気相圧力が上昇し、気相圧力が所定の圧力まで上昇した時点で、地下タンクのベーパの吸着槽への導入が開始されることにより吸着槽が吸着工程となり、吸着槽内の吸着材によりベーパより燃料成分が吸着された後の空気が吸着槽より大気中に排出される。そして、地下タンクの荷卸しが終了した後、所定のタイミングで吸着槽内の吸着材に吸着された燃料成分を当該吸着材より脱着させる脱着工程が行われ、吸着材から脱着された燃料成分が地下タンクに戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−290056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
燃料供給所に設置された地下タンクは、ベーパが大気中に放出されないように密閉構造になっているため、地下タンクへの揮発性燃料の荷卸し時(充填時)以外であっても、例えば、気温が上昇することによってタンク内圧力が上昇し、タンク内圧力が吸着工程が開始される吸着工程開始設定圧力に達してしまう場合がある。そして、この場合(荷卸し以外の原因によりタンク内圧力が上昇した場合)であっても吸着工程が行われ、その後所定のタイミングで自動的に脱着工程が行われる。即ち、気温上昇等の地下タンクへの揮発性燃料の荷卸し以外の原因によりタンク内圧力が上昇してタンク内圧力が予め設定された吸着工程開始設定圧力に達した場合であっても、荷卸し時よりもベーパが少ない状態で吸着工程が行われ、その後脱着工程が行われる。このため、タンク内より吸着槽内に供給されるベーパの量が少ない場合であっても吸着工程が行われ、更には、吸着槽内の吸着材に吸着された燃料成分が少ない状態で脱着工程が行われ、効率が悪い吸着工程及び脱着工程が行われることとなり、吸着槽における吸着・脱着の損失(例えば、吸着材の劣化など)が増大するという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、上記課題を解決したベーパ回収装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下のような手段を有する。
(1)本発明は、揮発性液体燃料をタンク内に充填する際に前記タンクから排出される前記揮発性液体燃料のベーパに含まれる燃料成分を吸着する吸着材を内部に充填された吸着槽と、
前記タンク内から前記ベーパを前記吸着槽に導入して前記吸着材に前記ベーパの燃料成分を吸着させるベーパ導入経路と、
前記吸着槽の吸着材に吸着された前記燃料成分を脱着させ、脱着させた当該燃料成分を前記タンクに戻すベーパ回収経路と、
前記タンク内の圧力を検出する圧力検出器と、
前記圧力検出器により前記タンクの圧力が第1の所定圧力に達したことが検出された場合に前記ベーパ導入経路を用いた吸着工程を行う吸着制御手段と、
前記吸着制御手段による吸着工程の終了後、所定のタイミングで前記ベーパ回収経路を用いた脱着工程を行う脱着制御手段と、
を備えたベーパ回収装置において、
前記吸着制御手段は、
前記圧力検出器により検出された前記タンクの圧力が第1の所定圧力に達したか否かを判定し、当該第1の所定圧力に達したと判定した場合に前記ベーパ導入経路を用いて前記吸着槽に前記タンク内のベーパの導入を開始させるベーパ導入判定開始制御手段と、
前記ベーパ導入判定開始制御手段によりベーパの導入を開始してから第1の所定時間経過後に当該ベーパの導入を停止させるベーパ導入停止制御手段と、
前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止した後、第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力に基づいて揮発性液体燃料が前記タンクに充填されているか否かを判定する充填判定制御手段と、
前記充填判定制御手段により前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていないと判定された場合には、前記ベーパ導入判定開始制御手段による判定を行い、また、前記充填判定制御手段により前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていると判定された場合は前記ベーパ導入経路を用いて前記揮発性液体燃料のベーパを前記吸着槽に導入することにより前記吸着工程を行わせるベーパ再導入制御手段と、
前記ベーパ再導入制御手段により前記ベーパが前記吸着槽に再導入開始させた後所定の吸着工程終了タイミングで前記ベーパの前記吸着槽への導入を停止させることにより前記吸着工程を終了させるベーパ再導入停止制御手段と、
からなり、
前記脱着制御手段は、前記ベーパ再導入停止制御手段により前記吸着工程が終了された後に所定の脱着工程開始タイミングで前記ベーパ回収経路を用いた脱着工程を行うことを特徴とする。
(2)本発明の前記充填判定制御手段は、前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止してから第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力が前記第1の所定圧力以下に低下しない場合は、前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていると判定することを特徴とする。
(3)本発明の前記充填判定制御手段は、前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止してから第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力が前記第1の所定圧力以下に低下した場合は、前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていないと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、吸着槽にタンク内のベーパを導入開始してから第1の所定時間経過後にベーパの導入を停止させ、その後、第2の所定時間経過後に圧力検出器により検出されたタンク内の圧力に基づいてタンクに揮発性液体燃料がタンクに充填されているか否かを判定し、揮発性液体燃料がタンクに充填されていると判定した場合に吸着工程が終了した後、脱着工程を行うため、タンクへ揮発性液体燃料が充填されたことによる圧力上昇なのか、あるいはタンクへの揮発性液体燃料の充填以外の原因(例えば気温の上昇)に伴う圧力上昇なのかを判定して、吸着槽における吸着・脱着効率の低下及び吸着材の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明によるベーパ回収装置の一実施例を示すシステム系統図である。
【図2】吸着工程時のタンク内圧力の変化を示すグラフである。
【図3】吸着槽の吸着・脱着制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】ベーパ回収装置の制御装置が実行する吸着工程における制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の制御処理に続いて実行される制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【実施例1】
【0015】
〔ベーパ回収装置の構成〕
図1は本発明によるベーパ回収装置の一実施例を示すシステム構成図である。図1に示されるように、ベーパ回収装置10は、複数の地下タンク20A〜20Cと、吸着槽30と、ベーパ導入経路40と、制御装置50とを有する。
【0016】
本実施例では、1基の吸着槽30に対して3基の地下タンク20A〜20Cがベーパ導入経路40を介して並列に接続されている。本実施例では、1基の吸着槽30に対して3基の地下タンク20A〜20Cがベーパ導入経路40を介して並列に接続する構成を一例として挙げたが、これに限らず、1基の吸着槽30に対して2基あるいは3基以上の地下タンクとを並列に接続する構成としてもよいのは勿論である。
【0017】
また、図1において、各地下タンク20A〜20Cに貯留された液体燃料を汲み上げて車両の燃料タンクに給油する計量機(給油装置)及び計量機による給油情報を管理する管理コンピュータの図示が省略されている。
【0018】
複数の地下タンク20A〜20Cは、本実施例では、20KL,10KL,30KLといった具合に夫々容量の異なるタンクであり、液体燃料が貯留されている。液体燃料としては、例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油、灯油などがあるが、ここでは、説明の便宜上、各地下タンク20A〜20Cには、ガソリンが貯留されているものとする。また、地下タンク20A、20Bは、同一のタンク内を隔壁で2つの室に仕切る構成であり、実質的に2つタンクである。
【0019】
各地下タンク20A〜20Cは、タンクローリ車に積込まれた液体燃料を荷卸しするための注油管90A〜90Cと、荷卸し時にタンク内圧の増大を防止するための通気管100A〜100Cとが接続されている。注油管90A〜90Cは、上端に荷卸しホースが接続される注油口92A〜92Cが設けられている。通気管100A〜100Cは、上端が地上の高所まで延在しており、タンク内圧が所定圧以上に上昇すると開弁してタンク内圧を大気圧に減圧するブリーザー弁102A〜102Cが設けられている。
【0020】
吸着槽30は、円筒形状の容器からなり、内部にベーパに含まれる燃料成分を吸着する粒状の吸着材32が充填されている。
【0021】
吸着槽30は、内部を上下方向に4ブロックに分けた場合、各ブロックの温度を測定する温度センサ(温度検出器)Te1〜Te4が取り付けられている。温度センサTe1〜Te4としては、熱電対などからなり、防爆構造とされた温度検出部が吸着槽30の内部に挿入されている。また、温度センサTe1〜Te4は、夫々高さ方向の異なる位置に充填された吸着材32の温度を測定し、その検出温度に対応する電気的な検出信号を制御装置50に出力する。尚、温度センサの数及び設置場所は、上記数及び設置場所に限らない。また、温度センサTe1〜Te4としては、測温抵抗体あるいはサーミスタ等を用いても良い。
【0022】
ベーパ導入経路40は、通気管100A〜100Cの途中から分岐されたベーパ導入管120A〜120Cと、ベーパ導入管120A〜120Cと吸着槽30の下端との間を連通するベーパ導入用共通管130とを有する。また、ベーパ導入管120A〜120Cには、各地下タンク20A〜20Cの気相領域の圧力(べーパ圧)を検出する圧力伝送器(圧力検出器)PT1〜PT3と、タンク選択用の電磁弁(開閉弁)V1〜V3とが設けられている。
【0023】
また、ベーパ導入用共通管130の吸着槽30の入口側には、ベーパ回収の際に開弁される給気用の電磁弁(入口側開閉弁)V4が設けられている。これらの電磁弁V1〜V4は、上記ベーパ導入管120A〜120C及びベーパ導入用共通管130と共に、ベーパ導入経路40を構成する。
【0024】
吸着槽30は、上端の出口側に連通された排気管140を有する。排気管140の上端は、大気弁150が設けられ、排気管140の途中には、吸着時に開弁される排気弁としての電磁弁(出口側開閉弁)V5が設けられている。排気管140には、電磁弁V5の上流側と下流側とをバイパスするパージ用分岐管160が連通されている。パージ用分岐管160には、脱着パージ時に開弁される吸着槽パージ用の電磁弁(開閉弁)V6と流路を絞るオリフィス170とが設けられている。
【0025】
さらに、吸着槽30の下端には、脱着管180の一端が接続されている。脱着管180の他端は、真空ポンプ190の吸込み側に接続されている。脱着管180は、脱着時の吸着槽30の圧力を検出する圧力伝送器PT4と、脱着用の電磁弁(開閉弁)V7と、第1フィルタ182と、第2フィルタ184とが設けられている。
【0026】
真空ポンプ190の吐出側に接続された還流管200は、地下タンク20Bの上部空間(気相領域)に接続されている。還流管200は、一端が真空ポンプ190の吐出側に接続されているので、吸着材32に吸着された燃料成分を真空により脱着する脱着工程が行なわれるとき、脱着された燃料成分を地下タンク20Bに戻してベーパに含まれた燃料成分の再利用を可能にする。上記脱着管180、還流管200及び真空ポンプ190、電磁弁V7は、ベーパ回収経路210を構成する。
【0027】
制御装置50は、メモリに記憶された各制御プログラムを読み込んで上記温度センサTe1〜Te4により検出された温度、及び各圧力伝送器PT1〜PT4により検出された圧力値に基づいて各工程(吸着、排気、脱着、パージ、還流)を行なうように各電磁弁V1〜V7を開弁または閉弁させる制御を行う。
【0028】
また、制御装置50は、吸着制御手段60と、脱着制御手段70と、経路切替制御手段80とを有する。
【0029】
吸着制御手段60は、ベーパ導入判定開始制御手段61と、ベーパ導入停止制御手段62と、充填判定制御手段63と、ベーパ再導入制御手段64と、ベーパ再導入停止制御手段65とを有する。
【0030】
吸着制御手段60は、各圧力伝送器PT1〜PT4により地下タンク20A〜20Cの圧力が第1の所定圧力P1に達したことが検出された場合にベーパ導入経路40を用いた吸着工程を行う。
【0031】
脱着制御手段70は、吸着制御手段60による吸着工程の終了後、各圧力伝送器PT1〜PT4により地下タンク20A〜20Cの圧力が第1の所定圧力P1よりも低い第2の所定圧力P2以下に低下したことが検出された場合に脱着工程の開始タイミングが到来したことを検出し、ベーパ回収経路210を用いた脱着工程を行う。なお、脱着工程を開始するタイミングとしては、本実施例では地下タンク20A〜20C内の圧力が第1の所定圧力P1よりも低い第2の所定圧力P2以下に低下したこととしているが、これに限るものではなく、例えば、下記(a)〜(e)のタイミングで脱着工程の開始タイミングを検出するようにしても良く、更には、下記(a)〜(e)を適宜組み合わせて脱着工程の開始タイミングを検出するようにしても良い。
(a)吸着工程が終了してから所定時間経過したとき、或いは、吸着工程が開始されてから所定時間(この所定時間は吸着工程が開始されてから吸着工程が終了するまでの最大時間よりも長い時間に設定する必要がある。)経過したとき。
(b)吸着工程の終了後、地下タンク20A〜20C内の圧力上昇率が所定の圧力上昇率以下に低下したとき、或いは、地下タンク20A〜20C内の圧力が低下したとき。
(c)吸着槽30内の吸着材32がベーパから揮発性液体燃料成分を吸着する際に反応熱(吸着反応熱)を生じるものであるのであれば、吸着槽30内の吸着材32の温度を検出するための温度センサを設け、この温度センサにより検出される吸着槽30内の温度上昇率が所定の温度上昇率以下に低下したとき、或いは、温度が低下してきたとき。
(d)各地下タンク20A〜20C内の揮発性液体燃料の液面レベルを計測する液面計により計測される液面レベルより得られる液面の上昇率が所定の液面上昇率よりも低下したとき、或いは、液面レベルが所定の液面レベルまで低下したとき。
(e)作業者が脱着工程をさせようとする際に操作される脱着開始指示スイッチを設け、吸着工程が終了した後、前記脱着開始指示スイッチが操作されたとき。
【0032】
ベーパ導入判定開始制御手段61は、各圧力伝送器PT1〜PT4により検出された地下タンク20A〜20Cの圧力が第1の所定圧力P1に達したか否かを判定し、当該第1の所定圧力に達したと判定した場合にベーパ導入経路40を用いて吸着槽30に地下タンク20A〜20Cのベーパの導入を開始させる。
【0033】
ベーパ導入停止制御手段62は、ベーパ導入判定開始制御手段61によりベーパの導入を開始してから第1の所定時間(図2に示すt2)経過後に当該ベーパの導入を停止させる。
【0034】
充填判定制御手段63は、ベーパ導入停止制御手段62によりベーパの導入を停止した後、第2の所定時間経過後に各圧力伝送器PT1〜PT4により検出された地下タンク20A〜20Cの圧力に基づいて各圧力伝送器PT1〜PT4により検出された地下タンク20A〜20Cに揮発性液体燃料が荷卸し(充填)されているか否かを判定する。
【0035】
ベーパ再導入制御手段64は、充填判定制御手段63により地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が荷卸し(充填)されていないと判定された場合には、ベーパ導入判定開始制御手段61による判定を行い、また、充填判定制御手段63により地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が荷卸し(充填)されていると判定された場合はベーパ導入経路40を用いて揮発性液体燃料のベーパを吸着槽30に導入する。
【0036】
ベーパ再導入停止制御手段65は、ベーパ再導入制御手段64によりベーパが吸着槽30に再導入開始されてから第3の所定時間(図2に示すt3)が経過した場合にベーパの吸着槽30への導入を停止させることにより吸着工程を終了させる。従って、地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が荷卸し(充填)されていないと判定された場合には、吸着槽30へのベーパ導入を行わず、地下タンク20A〜20C内に揮発性燃料が荷卸し(充填)されていると判定された場合はベーパ導入経路40を用いて揮発性液体燃料のベーパを吸着槽30に導入して吸着処理を行う。これにより、吸着槽30の吸着・脱着工程の効率及び吸着材32の劣化を抑制することができる。
【0037】
なお、本実施例におけるベーパ再導入停止制御手段65は、ベーパが吸着槽30に再導入開始されてから第3の所定時間が経過したことを吸着工程の終了タイミングとして検出するように構成しているが、吸着工程の終了タイミングの検出の仕方はこれに限るものではなく、例えば、下記(f)(g)のタイミングで吸着工程の開始タイミングを検出するようにしても良く、更には、下記(f)(g)を適宜組み合わせて吸着工程の開始タイミングを検出するようにしても良い。
(f)吸着槽30内の吸着材32がベーパから揮発性液体燃料成分を吸着する際に反応熱(吸着反応熱)を生じるものであるのであれば、吸着槽30内の吸着材32の温度を検出するための温度センサを設け、この温度センサにより検出される吸着槽30内の温度上昇率が所定の温度上昇率以下に低下したとき、或いは、温度が低下してきたとき。
(g)各地下タンク20A〜20C内の揮発性液体燃料の液面レベルを計測する液面計により計測される液面レベルより得られる液面の上昇率が所定の液面上昇率よりも低下したとき、或いは、液面レベルが所定の液面レベルまで低下したとき。
また、本実施例では、圧力伝送器PT1〜PT3がベーパ導入管120A〜120Cに設けられた場合について説明するが、本発明の圧力検出器としては、ベーパ導入管120A〜120C以外の場所、例えば、各地下タンク20A〜20Cの上部(気相領域)に設けても良いし、あるいは通気管100A〜100C等に設ける構成としても良いのは勿論である。
【0038】
経路切換手段80は、吸着制御手段60及び脱着制御手段70による各吸着・脱着制御処理に応じて各電磁弁V1〜V7の開閉制御を行なう。すなわち、経路切換手段80は、ベーパ導入経路40に設けられた複数の電磁弁V1〜V4と、排気管140に設けられた電磁弁V5と、パージ用分岐管160に設けられた電磁弁V6と、脱着管180に設けられた電磁弁V7とを各吸着工程、脱着工程、排気工程、パージ工程に応じて適宜開弁又は閉弁するように制御する。
【0039】
経路切替制御手段80は、タンクローリ車の荷卸し時、ベーパ導入経路40を介して荷卸し中の地下タンク20A〜20C内で発生したベーパを吸着槽30内に導入してベーパに含まれる燃料成分を吸着材32に吸着させるように各電磁弁V1〜V7の開閉制御を行なう。
【0040】
経路切替制御手段80は、各工程(吸着、排気、脱着、パージ、還流)に応じて各電磁弁V1〜V7の開閉制御を行う。吸着工程では、荷卸し中のタンク内より排出されるベーパを吸着槽30内に供給してベーパに含まれる燃料成分を吸着材32に吸着させるように各電磁弁V1〜V7を開閉制御する。排気行程では、吸着槽30でベーパに含まれる燃料成分を除去された気体を当該吸着槽30外の大気中に排出させるように各電磁弁V1〜V7を開閉制御する。脱着工程及びパージ工程では、吸着槽30内の吸着材32から燃料成分を脱着させると共に、脱着された燃料成分をパージするように各電磁弁V1〜V7を開閉制御する。還流工程では、脱着された燃料成分を同じ燃料を貯蔵する地下タンク20A〜20Cの何れかに還流させるように各電磁弁V1〜V7を開閉制御する。
〔タンク内の圧力変化について〕
図2は吸着工程時のタンク内圧力の変化を示すグラフである。図2において、グラフI(実線で示す)はタンクローリ車からの荷卸し時のタンク内圧力変化を示す。グラフII(一点鎖線で示す)は、温度上昇に伴う地下タンク20A〜20Cの気相領域での圧力変化を示す。温度上昇に伴う圧力上昇は、荷卸し時の液面上昇に伴う圧力上昇に比べて上昇率が比較的緩やかで時間の経過と共に徐々に変化することが分かっている。
【0041】
また、グラフIとIIとは、時間帯t2及びt4における圧力変化がほぼ同じであるので、互いに重なり合った状態を示している。
【0042】
先ず、グラフIでは、時間帯t1において、タンク圧力が上昇している。タンク圧力がP1に達したとき、吸着槽30は予備的な吸着工程になる。すなわち、電磁弁V4及び電磁弁V1〜V3のうち第1の所定圧力P1に達した地下タンクの電磁弁が開弁される。このとき、ベーパの導入は、圧力差によって行われるため、排気管140の電磁弁V5を開弁させて吸着槽30の上部を大気圧にする。これにより、当該地下タンク20の気相領域のベーパがベーパ導入経路40を介して吸着槽30の下部に導入される。
【0043】
従って、この予備的な吸着工程では、吸着槽30の上部圧力が大気圧であるのに対し、当該地下タンクで発生したベーパによるタンク圧力が大気圧以上に上昇しているため、ベーパ導入経路40を介して吸着槽30に導入されたベーパの燃料成分が吸着材32に吸着され、燃料成分が除去された気体が排気管140を通して大気弁150から大気中に放出される。
【0044】
時間帯t2では、上記ベーパの移動に伴って当該地下タンク20の圧力が圧力P1以下に低下する。
【0045】
次の時間帯t3では、電磁弁V4を閉弁させて一時的にベーパの導入を停止しているため、タンクローリ車による荷卸し中(地下タンクへの揮発性液体燃料の充填中)であれば、地下タンク20の液位が上昇することから、気相領域の圧力が徐々に上昇する(グラフI参照)。これに対し、タンクローリ車による荷卸しが行われていない場合は、時間帯t2でベーパが吸着槽30に導入されてタンク圧力が減圧されているので、時間帯t3において、ベーパ導入を停止させていてもタンク圧力は殆ど上昇せず、ほぼ一定圧力を推移する(グラフII参照)。従って、時間帯t3における当初の圧力変化の有無あるいは圧力上昇率により、タンクローリ車からの荷卸し(充填)による圧力上昇か、温度による圧力上昇かを判定することが可能になる。
〔制御装置50による吸着・脱着制御処理〕
図3は吸着槽30の吸着・脱着制御処理を説明するためのフローチャートである。図3に示されるように、S11では圧力伝送器PT1〜PT4により検出された圧力検出値に基づいて吸着タイミングか否かをチェックする。S11において、タンク圧力が吸着開始圧力P1(図2参照)に達した場合、S12に進み、吸着制御処理を行う。
【0046】
S12の吸着制御処理が終了すると、S13に進み、圧力伝送器PT1〜PT4により検出された圧力検出値に基づいて脱着タイミングか否かをチェックする。S13において、タンク圧力が脱着開始圧力P2(図2参照)に達した場合、S14に進み、脱着制御処理を行う。脱着制御処理では、パージ用分岐管160の吸着槽パージ用の電磁弁(開閉弁)V6を開弁させると共に、脱着管180の真空ポンプ190を起動させて吸着槽30の吸着材32に吸着された燃料成分を脱着し、還流管120を通して地下タンク20Bに戻す。
【0047】
尚、脱着タイミングとしては、地下タンク20の液面高さが所定値以下に低下した場合に脱着タイミングと判断する方法を用いても良い。また、脱着工程において、タンク圧力が上昇した場合は、脱着工程を中断し、タンク圧力が再度所定圧P2まで低下した場合に脱着工程を再開するようにしても良い。
〔制御装置50による吸着工程の制御処理〕
図4はベーパ回収装置の制御装置50が実行する吸着工程における制御処理を説明するためのフローチャートである。図4に示されるように、S21では圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1(第1の所定圧力)を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S22に進む。
【0048】
S22では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1(第1の所定圧力)を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S23に進む。
【0049】
S23では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1(第1の所定圧力)を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S21に戻る。従って、各地下タンク20A〜20Cの圧力が設定圧力P1を超えないときは、タンクローリ車による荷卸しが行われていないので、S21〜S23の処理を繰り返す。
【0050】
また、S21において、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、タンクローリ車による荷卸しが地下タンク20Aで行われている可能性があるので、S24に進み、地下タンク20Aの電磁弁V1を開弁する。また、S22において、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、タンクローリ車による荷卸しが地下タンク20Bで行われている可能性があるので、S25に進み、地下タンク20Bの電磁弁V2を開弁する。また、S23において、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、タンクローリ車による荷卸しが地下タンク20Cで行われている可能性があるので、S26に進み、地下タンク20Cの電磁弁V3を開弁する。上記S24〜S26の何れかで電磁弁V1〜V3の何れかが開弁された後は、S27に進む。
【0051】
次のS27では、ベーパ導入用共通管130の電磁弁V4と排気管140の電磁弁V5を開弁させる。これにより、吸着槽30の導入側と排気側とが連通された状態となり、地下タンク20A〜20Cの何れかで発生したベーパが吸着槽30に導入されると共に、当該地下タンクの圧力が設定圧力P1以下に低下する。そして、吸着槽30では、吸着材32によりベーパに含まれる燃料成分が吸着され、燃料成分を分離された気体が排気管140から大気中に放出される。
【0052】
続いて、S28に進み、地下タンク20A〜20Cのタンク脱圧タイマ(TM1)を起動させる(図2に示す所定時間T0)。S29では、タンク脱圧タイマ(TM1)のカウント時間が所定時間T1(図2参照、例えば、1分間)に達したか否かをチェックしており、タンク脱圧タイマ(TM1)が所定時間T1(例えば、1分間)に達しない場合(NOの場合)は所定時間T1に達するまで、タンク脱圧状態を継続する。
【0053】
S29において、タンク脱圧タイマ(TM1)が所定時間T1(例えば、1分間)に達した場合(YESの場合)、S30に進み、電磁弁V1〜V3のうちS24〜S26の何れかで開弁された当該電磁弁を閉弁させる。続いて、S31では、ベーパ導入用共通管130の電磁弁V4と排気管140の電磁弁V5を閉弁させる。これにより、吸着槽30の導入側と排気側とが遮断された状態となり、吸着槽30へのベーパ導入が停止される。
【0054】
次のS32では、地下タンク20A〜20Cのタンク圧力を検出するタンク圧力検出タイマ(TM2)を起動させる。S33では、タンク圧力検出タイマ(TM2)のカウント時間が所定時間T2(図2参照、例えば、1分間)に達したか否かをチェックしており、タンク圧力検出タイマ(TM2)が所定時間T2(例えば、1分間)に達しない場合(NOの場合)は、所定時間T2に達するまで、待機状態を継続する。
【0055】
S33において、タンク圧力検出タイマ(TM2)のカウント時間が所定時間T2(図2参照、例えば、1分間)に達した場合(YESの場合)、S34に進む。
【0056】
S34では圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S35に進む。
【0057】
S35では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S36に進む。
【0058】
S36では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、各地下タンク20A〜20Cの圧力が設定圧力P1以下であるので、S21に戻り、S21〜S36の処理を繰り返す。従って、各地下タンク20A〜20Cの各圧力が設定圧力PI以下であるときは、タンクローリ車による荷卸しが行われていないと判定し、吸着処理を行わず待機状態となる。これにより、吸着槽30へのベーパ導入を行わず、吸着槽30における吸着・脱着効率の低下及び吸着材32の劣化を抑制することができる。
【0059】
また、S34において、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、地下タンク20Aのベーパを吸着する吸着工程になったと判定し、S37に進み、地下タンク20Aの電磁弁V1を開弁する。また、S35において、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、地下タンク20Bのベーパを吸着する吸着工程になったと判定し、S38に進み、地下タンク20Bの電磁弁V2を開弁する。また、S36において、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、地下タンク20Cのベーパを吸着する吸着工程になったと判定し、S39に進み、地下タンク20Cの電磁弁V3を開弁する。このように、地下タンク20A〜20Cの何れかで吸着工程になったときは、S37〜S39で電磁弁V1〜V3の何れかが開弁された後は、S40に進む。
【0060】
また、上記S34〜S36において、タンク圧力の圧力上昇率が予め設定された所定値以上の場合、図2の時間T1〜T2での圧力上昇(グラフI参照)に基づいて荷卸し中と判定して、電磁弁V1〜V3を開弁し、ベーパ導入経路40を用いて揮発性液体燃料のベーパを吸着槽30に導入して吸着処理を行うことも可能である。
【0061】
また、S34〜S36において、地下タンク20A〜20Cのうち電磁弁が開弁されたタンク圧力の圧力上昇率が予め設定された所定値未満の場合、図2の時間T1〜T2での一定圧力(グラフII参照)に基づいて荷卸しなし(温度上昇による)と判定し、吸着槽30へのベーパ導入を行わず、吸着槽30における吸着・脱着効率の低下及び吸着材32の劣化を抑制することができる。
【0062】
次のS40では、ベーパ導入用共通管130の電磁弁V4と排気管140の電磁弁V5を開弁させる。これにより、吸着槽30の導入側と排気側とが連通された状態となり、設定圧力P1に達した地下タンクのベーパが吸着槽30に導入される。そして、吸着槽30に充填された吸着材32によりベーパに含まれる燃料成分が吸着され、燃料成分が分離された気体が排気管140から大気中に放出される。
【0063】
次のS41では、吸着工程開始時の地下タンク20A〜20Cのタンク圧力を検出する吸着時間タイマ(TM3)を起動させる。続いて、S42では、吸着時間タイマ(TM3)が所定時間T3(例えば、60分間)に達したか否かをチェックしており、吸着時間タイマ(TM3)が所定時間T3(例えば、60分間)に達しない場合(NOの場合)は、S43に進む。
【0064】
S43では圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S44に進む。
【0065】
S44では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S47に進む。
【0066】
S47では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S42に戻り、タンクローリ車による荷卸しが行われていないときはS42〜S45の処理を繰り返す。
【0067】
また、上記S43において、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S47に進み、地下タンク20Aの電磁弁V1を開弁する。また、S44において、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S48に進み、地下タンク20Bの電磁弁V2を開弁する。また、S45において、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S49に進み、地下タンク20Cの電磁弁V3を開弁する。S47〜S49の何れかで電磁弁V1〜V3の何れかが開弁された後は、S42に戻る。
【0068】
また、上記S42において、吸着時間タイマ(TM3)のカウント時間が所定時間T3(例えば、60分間)に達した場合(YESの場合)、S46に進み、電磁弁V1〜V3のうちS47〜S49の何れかで開弁された電磁弁を閉弁させる。
【0069】
図5に示されるように、次のS50では、吸着終了判定タイマ(TM4)を起動させる。続いて、S51では、吸着終了判定タイマ(TM4)が所定時間T4(図2参照、例えば、1分間)に達したか否かをチェックしており、吸着終了判定タイマ(TM4)が所定時間T4(例えば、1分間)に達しない場合(NOの場合)は、S52に進む。
【0070】
S52では圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S53に進む。
【0071】
S53では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S54に進む。
【0072】
S54では、圧力伝送器PT1により検出された地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えるか否かをチェックしており、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えない場合(NOの場合)は、S51に戻り、このようにタンクローリ車による荷卸しが行われていないときはS51〜S53の処理を繰り返す。
【0073】
また、S52において、地下タンク20Aの圧力PT11が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S55に進み、地下タンク20Aの電磁弁V1を開弁する。また、S53において、地下タンク20Bの圧力PT12が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S56に進み、地下タンク20Bの電磁弁V2を開弁する。また、S54において、地下タンク20Cの圧力PT13が設定圧P1を超えた場合(YESの場合)は、S57に進み、地下タンク20Cの電磁弁V3を開弁する。このようにS55〜S57の何れかで電磁弁V1〜V3の何れかが開弁された後は、S51に戻る。
【0074】
また、上記S51において、吸着終了判定タイマ(TM4)が所定時間T4(例えば、1分間)に達した場合(YESの場合)、当該地下タンクの吸着工程が終了しているので、S58に進む。
【0075】
S58では、地下タンク20Aの電磁弁V1が開弁状態か否かをチェックしており、電磁弁V1が閉弁している場合(NOの場合)、S59に進む。S59では、地下タンク20Bの電磁弁V2が開弁状態か否かをチェックしており、電磁弁V2が閉弁している場合(NOの場合)、S60に進む。S60では、地下タンク20Cの電磁弁V3が開弁状態か否かをチェックしており、電磁弁V3が閉弁している場合(NOの場合)、各地下タンク20A〜20Cのタンク圧力が所定圧力P1以下に低下して吸着工程が終了していると判定し、S61に進み、ベーパ導入用共通管130の電磁弁V4と排気管140の電磁弁V5を閉弁させる。これにより、吸着槽30の導入側と排気側とが遮断された状態となり、吸着槽30へのベーパ導入が停止される。
【0076】
また、上記S58、S59、S60において、吸着工程が終了しているのに電磁弁V1〜V3の何れかが開弁している場合(YESの場合)、地下タンク20A〜20Cの何れかでタンク圧力が所定圧力P1以上になってベーパの吸着工程が必要であると判定されてS62に進み、吸着延長タイマ(TM5)を起動させる。
【0077】
次のS63では、吸着延長タイマ(TM5)によるカウント時間が所定時間T5(図2に図示せず、例えば、30分間)に達したか否かをチェックしており、吸着延長タイマ(TM5)によるカウント時間が所定時間T5(例えば、30分間)に達しない場合(NOの場合)、待機状態となる。
【0078】
また、S63において、吸着延長タイマ(TM5)によるカウント時間が所定時間T5(例えば、30分間)に達した場合(YESの場合)、S64に進み、電磁弁V1〜V3を閉弁させ、上記S50の処理に戻る。
〔脱着工程の制御処理〕
各地下タンク20A〜20Cのタンク圧力が所定圧力P2以下に低下した場合、電磁弁V1〜V5が閉弁され、パージ用分岐管160の電磁弁V6、及び脱着管180の電磁弁V7が開弁されて真空ポンプ190の吸引(負圧)により吸着槽30は脱着工程に切り替わり、吸着材32に吸着された燃料成分が脱着されると共に、外気導入によるパージが行われる。また、脱着された燃料成分は、地下タンク20Bに戻される。尚、脱着制御処理の詳細な説明は、本発明との関連性が少ないので、省略する。
【産業上の利用可能性】
【0079】
尚、上記実施例では、タンクローリ車に積込まれた液体燃料を地下タンクに荷卸しする場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば、液体燃料が貯留されたタンクから地上に設置された別のタンクに供給する場合にも本発明を適用することができるのは勿論である。
【0080】
また、上記実施例では、開閉弁として電磁弁V1〜V7を設けた構成を例示して説明したが、これに限らず、電磁弁の代わりに空気圧の供給、停止により開閉する空気作動方式の開閉弁を用いても良い。また、油液が接する箇所に空気作動方式の開閉弁を配置する場合には、各開閉弁に空気圧を供給する経路に空気圧を制御する電磁弁を設けることで制御装置からの電気的な制御信号を空気信号に変換させて各開閉弁を制御することが可能になる。
【符号の説明】
【0081】
10 ベーパ回収装置
20A〜20C 地下タンク
30 吸着槽
32 吸着材
40 ベーパ導入経路
50 制御装置
60 吸着制御手段
61 ベーパ導入判定開始制御手段
62 ベーパ導入停止制御手段
63 充填判定制御手段
64 ベーパ再導入制御手段
65 ベーパ再導入停止制御手段
70 脱着制御手段
80 経路切替制御手段
90A〜90C 注油管
92A〜92C 注油口
100A〜100C 通気管
102A〜102C ブリーザー弁
120A〜120C ベーパ回収管
130 回収用共通管
140 排気管
150 大気弁
160 パージ用分岐管
180 脱着管
190 真空ポンプ
200 還流管
210 ベーパ回収経路
PT1〜PT3 圧力伝送器(圧力検出器)
Te1〜Te4 温度センサ
V1〜V7 電磁弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性液体燃料をタンク内に充填する際に前記タンクから排出される前記揮発性液体燃料のベーパに含まれる燃料成分を吸着する吸着材を内部に充填された吸着槽と、
前記タンク内から前記ベーパを前記吸着槽に導入して前記吸着材に前記ベーパの燃料成分を吸着させるベーパ導入経路と、
前記吸着槽の吸着材に吸着された前記燃料成分を脱着させ、脱着させた当該燃料成分を前記タンクに戻すベーパ回収経路と、
前記タンク内の圧力を検出する圧力検出器と、
前記圧力検出器により前記タンクの圧力が第1の所定圧力に達したことが検出された場合に前記ベーパ導入経路を用いた吸着工程を行う吸着制御手段と、
前記吸着制御手段による吸着工程の終了後、所定のタイミングで前記ベーパ回収経路を用いた脱着工程を行う脱着制御手段と、
を備えたベーパ回収装置において、
前記吸着制御手段は、
前記圧力検出器により検出された前記タンクの圧力が第1の所定圧力に達したか否かを判定し、当該第1の所定圧力に達したと判定した場合に前記ベーパ導入経路を用いて前記吸着槽に前記タンク内のベーパの導入を開始させるベーパ導入判定開始制御手段と、
前記ベーパ導入判定開始制御手段によりベーパの導入を開始してから第1の所定時間経過後に当該ベーパの導入を停止させるベーパ導入停止制御手段と、
前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止した後、第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力に基づいて揮発性液体燃料が前記タンクに充填されているか否かを判定する充填判定制御手段と、
前記充填判定制御手段により前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていないと判定された場合には、前記ベーパ導入判定開始制御手段による判定を行い、また、前記充填判定制御手段により前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていると判定された場合は前記ベーパ導入経路を用いて前記揮発性液体燃料のベーパを前記吸着槽に導入することにより前記吸着工程を行わせるベーパ再導入制御手段と、
前記ベーパ再導入制御手段により前記ベーパが前記吸着槽に再導入開始させた後所定の吸着工程終了タイミングで前記ベーパの前記吸着槽への導入を停止させることにより前記吸着工程を終了させるベーパ再導入停止制御手段と、
からなり、
前記脱着制御手段は、前記ベーパ再導入停止制御手段により前記吸着工程が終了された後に所定の脱着工程開始タイミングで前記ベーパ回収経路を用いた脱着工程を行うことを特徴とするベーパ回収装置。
【請求項2】
前記充填判定制御手段は、前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止してから第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力が前記第1の所定圧力以下に低下しない場合は、前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていると判定することを特徴とする請求項1に記載のベーパ回収装置。
【請求項3】
前記充填判定制御手段は、前記ベーパ導入停止制御手段により前記ベーパの導入を停止してから第2の所定時間経過後に前記圧力検出器により検出された前記タンク内の圧力が前記第1の所定圧力以下に低下した場合は、前記タンク内に前記揮発性燃料が充填されていないと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載のベーパ回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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