説明

ベーンポンプ

【課題】 ロータがその両側に配置した側板に接触し、高面圧状態となって焼付くことを抑制可能なベーンポンプを提供する。
【解決手段】 筐体内に、カムリング5と、該カムリング5内に配置された回転自在な積層型ロータ14と、該積層型ロータ14に放射状に配置した複数のベーン溝のそれぞれに収容され、前記積層型ロータ14の回転に伴い前記カムリング5のカム面に沿って摺動する複数のベーン4と、前記カムリング5、単一ロータ3及びベーン4の両側に配置したフロント側板1及びリヤ側板2とを備えたベーンポンプであって、前記積層型ロータ14を、スラスト方向に円盤状の第1薄板13薄板aから第4薄板13dを積層にしてリベット15で結合して形成し、これらの薄板同士の結合部を、側板と積層型ロータ14とが接触する領域よりも中心側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を加圧して供給するベーンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧を発生させるポンプには、トロコイドポンプ、ギヤポンプ、ピストンポンプ等がある。このようなポンプの一形態として知られるベーンポンプは、たとえば自動車のパワーステアリング装置への加圧流体供給用ポンプとして使用されている。このベーンポンプは、一般に楕円形状の貫通孔が形成されたカムリングを有する。そしてこのカムリング内には、駆動軸によって回転されるロータが収容されている。このロータには、放射状に形成された複数のベーン溝が設けられ、各ベーン溝にはベーンが摺動可能に収容されている。
【0003】
ロータが回転すると、ベーンは遠心力等により半径方向に付勢され、カムリング内周のカム面に接触しながらロータとともに回転する。このようにロータ及びベーンが回転すると、隣り合うベーンとカムリング内周のカム面とによって区画された作動室の容積が変化する。そのため、その容積変化を利用して流体の吸入・加圧・吐出が行える。
【0004】
またこのようなベーンポンプには、前記ロータ及びベーンの両側に作動室の一部を構成する側板が配置される場合がある。この種のベーンポンプを用いて高圧を発生させるためには、前記ロータ及びベーンとこの側板との隙間(サイドクリアランス)を縮小し、維持することが重要である。そのため、このサイドクリアランスの縮小及び維持を目的とした様々な技術が提案されている。
【0005】
たとえば特許文献1によれば、一方に可動側板を備えるベーンポンプにおいて、作動室から吐出された圧力Poutの加圧流体をポンプ吸入区間でベーン溝底に設けたベーン背圧室に流入させる。この圧力Poutの加圧流体は、ポンプ吐出区間で各ベーンがカムリング内周面に押し付けられ、その突き出し量が小さくなる方向に移動することでベーン背圧室が縮小し、さらに圧力Pvに加圧される。その後、この圧力Pvの加圧流体を可動側板の背圧室に流入させる。このベーンポンプでは、圧力Pvが圧力Poutより大きいため、可動側板は背圧室側からロータ及びベーン側へ付勢される。その結果、サイドクリアランスを縮小及び維持することができる。
【0006】
また特許文献2によれば、積層型ロータを有するベーンポンプにおいて、挟持部材と複数の薄板とを、リベット等の固定部材のカシメにより一体に結合して積層ロータを形成する。このような構成の積層型ロータは、低価格で高強度と高耐磨耗性を有する。
【0007】
【特許文献1】特開平6−207587号公報
【特許文献2】特開2002−21746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的なベーンポンプは、上記のものを含め、加工の容易さを考慮して背圧室の形状を決定することが多い。そのため、可動側板を付勢する効果が不十分となるのでサイドクリアランスが比較的広い。これは、対象を高粘度流体に特化する場合や低圧使用に特化することで、ある程度の側板の撓み及びサイドクリアランスの広さが許容可能な場合には、ポンプとして成立するからである。しかしながら、このようなベーンポンプで軽油等の低粘度の流体を加圧し、かつ高圧にしようとするとサイドクリアランスを狭くする必要があるが、自ら発生した圧力により可動側板が撓んで部分的にクリアランスが拡大し、流体が多量に漏れてしまう。そのため、ポンプにより高圧化した流体を圧送できない。また、このようなベーンポンプは、ポンプ作動時に固定側板がポンプの内圧により変形してしまうことがある。この変形によりサイドクリアランスが拡大すると、加圧流体のリーク量が増大してしまう。そのため、同様に、ポンプにより高圧にした流体を供給できない。
【0009】
また特許文献2のベーンポンプでは、積層型ロータを高強度化し、積層型ロータの高耐磨耗性を実現する技術を提案している。しかし、上記特許文献1の場合と同様、側板が変形した場合には、対称性を失った流体圧により積層型ロータの倒れが発生することがある。高強度、高耐磨耗性を有したロータであっても、積層型ロータが側板と部分的に接触し高面圧状態となった場合には、焼付きが発生する虞がある。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、高圧吐出状態であってもロータと側板との焼付きを抑制できるベーンポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るベーンポンプは、筐体内に、カムリングと、該カムリング内に配置された回転自在なロータと、該ロータに放射状に形成した複数のベーン溝のそれぞれに収容され、前記ロータの回転に伴い前記カムリングのカム面に沿って摺動する複数のベーンと、前記カムリング、ロータ及びベーンの両側に配置した側板とを備えたベーンポンプであって、前記ロータは、スラスト方向に複数の薄板を積層した積層型ロータであり、複数の前記薄板同士の結合部が、前記側板と前記積層ロータとが接触する領域よりも中心側に配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によると、積層型ロータを構成する複数の薄板同士を、側板と積層型ロータとが接触する領域よりも中心側で結合するため、積層型ロータのスラスト剛性を、積層型ロータの外周部で低減できる。そのため、側板の変形等によりこの積層型ロータと側板とが接触した場合には、積層型ロータは側板の変形に追従して変形する。このような特徴を有する積層型ロータを採用することによって、ロータと側板との接触による面圧の上昇を低減できるので、ロータの焼付きを抑制可能である。
【0013】
また、上記のベーンポンプは、前記側板と対向する薄板は、他の薄板より耐摩耗性に優れた材料を用いて形成されていてもよい。
【0014】
本発明によると、側板と接触する薄板のみを耐摩耗性に優れた材料にすればよいので、低コストで焼付きに対する信頼性を向上できる。
【0015】
また、上記のベーンポンプは、前記側板と対向する薄板は、前記側板と接触する部分に、耐摩耗性を向上させる表面処理が施されていてもよい。
【0016】
本発明によると、薄板が少なくとも側板と接触する部分に耐摩耗性を向上させる表面処理を施せばよいので、低コストで焼付きに対する信頼性を向上できる。
【0017】
また、本発明に係るベーンポンプは、前記積層型ロータと該積層型ロータを挟む前記側板との間に形成される各クリアランスと、複数の前記薄板同士の間に形成される各クリアランスとの総和であるクリアランス量を、単一型のロータの場合のクリアランス量と同等としてもよい。
【0018】
本発明によると、積層型ロータに係る上記各クリアランス全体からの加圧流体のリーク量を、単一ロータに係る上記各クリアランス全体からの加圧流体のリーク量と比較して低減可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ロータと側板との焼付きを抑制可能なベーンポンプを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0021】
図1は、ベーンポンプ100の外観図である。図1に示すように、ベーンポンプ100の筐体は、ヘッドフランジカバー20をセンターケース21に圧入またはボルト締結等で固定し、ケースリヤカバー22をセンターケース21に締結ボルト23で固定等して形成されている。
【0022】
図2は、図1のベーンポンプ100の断面図である。ベーンポンプ100は、筐体内に昇圧部を収容している。
【0023】
図3は、この昇圧部の断面図であり、図2の丸で囲んだ部分を取り出して示している。図3に示すように、カムリング5の両側にはフロント側板1とリヤ側板2とを配置する。さらにフロントカバー6をフロント側板1の側面に配置する。同様に、リヤカバー7をリヤ側板2の側面に配置する。上記の各部材それぞれは外周部に複数の同心円状に配置した貫通孔を形成し、さらにフロントカバー6の貫通孔には雌ねじを形成する。図3に示す昇圧部は、締結ボルト9をリヤカバー7側から貫通孔に挿入し、フロントカバー6に締結して一体に形成したものである。さらに、このカムリング5内にはロータ3及びベーン4を収容している。本実施例におけるロータの構造は、複数の薄板を積層に結合した積層構造であるがこの構造の詳細な説明は後述する。説明の便宜上、ここではロータ3として表している。
【0024】
図4は、図3の昇圧部のA−A断面図である。図4に示すように、カムリング5は楕円形状に形成された貫通孔を有し、カムリング5内には、ロータ3が収容されている。ロータ3には、その外周面に、径方向へ放射線状に形成された複数の溝が、周方向に等間隔で配列されている。各溝には、径方向に摺動可能なベーン4が収容され、ベーン4は、遠心力等により径方向に付勢されることで、カムリング5の内周面に常に押し付けられている。
【0025】
ロータ3は、たとえばその回転中心に形成されたスプライン孔に、対応するスプライン軸を有する駆動軸8を嵌合させることにより駆動軸8と連結されており、駆動軸8は、内燃機関等の動力で回転される。
【0026】
隣り合う2つのベーン4とカムリング5によって囲われた空間には、作動室10が形成される。図3に示すように、作動室10の軸方向の壁面は、ロータ3及びベーン4の両側に配置されたフロント側板1とリヤ側板2である。このロータ3及びベーン4とフロント側板1との間には、第1サイドクリアランス16aが形成される。同様に、このロータ3及びベーン4とリヤ側板2との間には、第2サイドクリアランス16bが形成される。作動室10は、カムリング5の楕円形状をなしている貫通孔の内周面が壁面の一部を構成するために、回転に伴って、その容積が拡大または縮小変化する。
【0027】
フロント側板1と、リヤ側板2とにはそれぞれ、図4に示すようなベーンポンプ内に流体を吸入する吸入ポート11と、加圧された流体を外部に吐出する吐出ポート12が形成されている。この吸入ポート11は、周方向には作動室10の容積が拡大することによって吸引力が発生する位置に、径方向には作動室10に対応する位置に形成されている。また吐出ポート12は、周方向には作動室10の容積が減少することによって圧力が発生する位置に形成され、径方向には作動室10に対応する位置に形成されている。
【0028】
この構成で、駆動軸8を回転させると、作動室10の容積が回転に伴い拡大または縮小変化する。そのため、作動室10の容積拡大過程においては、容積の拡大に伴って吸引力が発生し、作動室10は側板に形成された吸入ポート11を通じて外部から流体を吸入する。駆動軸8の回転が進むと、作動室10を形成しているベーン4のうち、回転方向に対して後方に配設されたベーン4が吸入ポート11を通過し、作動室10は閉空間となる。さらに駆動軸8の回転が進むと、作動室10の容積縮小過程となり、容積の縮小に伴って、流体が加圧される。作動室10を形成しているベーン4のうち、回転方向に対して先方に配設されたベーン4が吐出ポート12を通過すると、高圧になった流体が、吐出ポート12を経て外部に吐出される。
【0029】
図5は、積層型ロータ14の外観図である。積層型ロータ14は、図5のような円盤状の第1薄板13a、第2薄板13b、第3薄板13c及び第4薄板13dを積層に構成し、リベット15により結合したものである。この第1薄板13aから第4薄板13dには、放射線状かつ同位相に複数のスリットを、同形状に形成している。また、この複数の薄板13aから13dそれぞれには、互いを結合する結合部を同心円状かつ同位相に形成している。この複数の薄板13aから13dを結合する手段としては、本実施例によるリベット結合の他、ねじによる締結、溶接による結合等があり、ベーンポンプの構造に適した適宜の手段を用いてよい。
【0030】
図6は、この積層型ロータ14を有する昇圧部の断面図である。前述の薄板13aから13dを、径方向には、フロント側板1及びリヤ側板2と積層型ロータ14とが接触する領域外で、リベット15により結合して積層型ロータ14を形成している。これら薄板13aから13dのそれぞれの間には、それぞれ第1薄板間クリアランス18a、第2薄板間クリランス18b及び第3薄板間クリアランス18cを形成している。これらの薄板間クリアランスの和を、説明の便宜上第5クリアランス19とする。また、積層型ロータ14とフロント側板1との間には、第3サイドクリアランス17aを形成している。同様に、積層型ロータ14とリヤ側板2との間には、第4サイドクリアランス17bを形成している。
【0031】
このように、積層型ロータ14を上述の薄板13aから13dによる積層構造とすることで、積層型ロータ14のスラスト方向の剛性を下げることができる。図7は、図6に示す昇圧部のフロント側板1及びリヤ側板2が変形した状態を表す模式図である。図7に示すように、剛性が下がった積層型ロータ14はフロント側板1及びリヤ側板2がポンプの内圧により変形した際、これらの側板の変形に追従して変形する。すなわち、積層型ロータ14とフロント側板1及びリヤ側板2とが接触しても、高面圧状態を回避できるので、積層型ロータ14の焼付きを抑制できる。
【0032】
また、上述の薄板13aから13dのうち、フロント側板1及びリヤ側板2と対向する第1薄板13a及び第4薄板13dそれぞれに、他の薄板より耐摩耗性に優れた材料を用いてもよい。たとえば、上記第1薄板及び第4薄板のみに耐摩耗特性に優れた高強度材であるSKD材等を用いてもよい。また、上記第1薄板及び第4薄板が側板と接触する部分にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)或いはポリフッ化エチレン等のコーティングを施してもよい。これにより、フロント側板1及びリヤ側板2との接触による、積層型ロータ14の焼付きに対する信頼性を低コストで向上できる。また、高面圧状態を抑制できるので、積層型ロータ14とフロント側板1及びリヤ側板2との接触による面荒れを低減して、ポンプの機械効率を向上させることができる。
【0033】
また、図6における積層型ロータ14に係る第3サイドクリアランス17aと第4サイドクリアランス17bと第5クリアランス19の各クリアランス量の総和を、図3におけるロータ3に係る第1サイドクリアランス16a及び第2サイドクリアランス16bのクリアランス量の総和と同等にしてもよい。
【0034】
ロータと側板間のような平行二平板間を流れる流体の流量は、二平板間のクリアランス量の3乗に比例することが知られている。ここで、積層型ロータ14に係る前述したクリアランス量の総和をHとし、ロータ3に係る前述した第1サイドクリアランス16a及び第2サイドクリアランス16bのクリアランス量の総和も、同等としてHとする。図3のようなベーンポンプの場合には、クリアランス部位数は第1サイドクリアランス16aと第2サイドクリアランス16bとで2である。したがって、この2つのサイドクリアランス量を同一であるとして、各サイドクリアランス量はH/2である。流量はクリアランス量の3乗に比例することから、式((H/2))により、流量はH/8に比例する。さらにクリアランスが2箇所あるので、これらのサイドクリアランスより流出する加圧流体のリーク量は、ベーンポンプ全体としては、式(2×H/8)により、H/4に比例する。
【0035】
一方、図6のようなベーンポンプの場合には、クリアランス部位数は、第3サイドクリアランス17a、第4サイドクリアランス17b、第1薄板間クリアランス18a、第2薄板間クリアランス18b及び第3薄板間クリアランス18cで5である。したがって、これらのクリアランス量が同一であるとして、各クリアランス量はH/5である。加圧流体のリーク量は、図3のようなベーンポンプの場合と同様にして、式((H/5))により、H/125に比例する。さらにクリアランスが5箇所あるので、ベーンポンプ全体としては、加圧流体のリーク量は式(5×H/125)により、H/25に比例する。したがって、式(H/25<H/4)により、前述したクリアランス量の総和Hが同等である限り、積層型ロータ14を用いたベーンポンプのほうが、図3のようなベーンポンプより加圧流体のリーク量を低減できる。また、ロータの積層数を増加させたほうが加圧流体のリーク量を低減するのに有利である。
【0036】
以上により、積層型ロータ14を用いたベーンポンプでは、図3のようなベーンポンプの場合と比較して、前述した各クリアランスから漏れる加圧流体の全体のリーク量を低減可能である。これによってベーンポンプの容積効率が向上するので、ポンプにより流体を高圧で圧送できる。
【0037】
なお、積層型ロータ14の薄板積層枚数は2枚以上あればよく、4枚でなくてもよい。また、積層型ロータ14の代わりに、フロント側板1及びリヤ側板2と接触する領域のみが積層構造をなし、軸心付近が積層部の集合体となる一体構造のロータを使用してもよい。また、積層する複数の薄板の厚さは均等である必要はなく、材質は同一でなくてもよい。
【0038】
この実施例によれば、ロータがその両側に配置した側板と接触し、高面圧状態となって焼付くことを抑制可能なベーンポンプを提供できる。
【0039】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述してきたが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るベーンポンプの外観図である。
【図2】本発明に係るベーンポンプの断面図である。
【図3】本発明に係るベーンポンプの昇圧部の断面図である。
【図4】本発明に係るベーンポンプの昇圧部の、図3におけるA−A断面図である。
【図5】本発明に係る積層型ロータの外観図である。
【図6】本発明に係る積層型ロータを有するベーンポンプの昇圧部の断面図である。
【図7】本発明に係る積層型ロータを有するベーンポンプのフロント側板1及びリヤ側板2が変形した状態を表す模式図である
【符号の説明】
【0041】
1 フロント側板
2 リヤ側板
3 ロータ
4 ベーン
5 カムリング
6 フロントカバー
7 リヤカバー
8 駆動軸
9 締結ボルト
10 作動室
11 吸入ポート
12 吐出ポート
13a 第1薄板
13b 第2薄板
13c 第3薄板
13d 第4薄板
14 積層型ロータ
15 リベット
16a 第1サイドクリアランス
16b 第2サイドクリアランス
17a 第3サイドクリアランス
17b 第4サイドクリアランス
18a 第1薄板間クリアランス
18b 第2薄板間クリアランス
18c 第3薄板間クリアランス
19 第5クリアランス
20 ヘッドフランジカバー
21 センターケース
22 ケースリヤカバー
23 締結ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、カムリングと、該カムリング内に配置された回転自在なロータと、該ロータに放射状に形成した複数のベーン溝のそれぞれに収容され、前記ロータの回転に伴い前記カムリングのカム面に沿って摺動する複数のベーンと、前記カムリング、ロータ及びベーンの両側に配置した側板とを備えたベーンポンプであって、
前記ロータは、スラスト方向に複数の薄板を積層した積層型ロータであり、複数の前記薄板同士の結合部が、前記側板と前記積層ロータとが接触する領域よりも中心側に配置されていることを特徴とするベーンポンプ。
【請求項2】
前記側板と対向する薄板は、他の薄板より耐摩耗性に優れた材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
【請求項3】
前記側板と対向する薄板は、前記側板と接触する部分に、耐摩耗性を向上させる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載のベーンポンプ。
【請求項4】
前記積層型ロータと該積層型ロータを挟む前記側板との間に形成される各クリアランスと、複数の前記薄板同士の間に形成される各クリアランスとの総和であるクリアランス量を、単一型のロータの場合のクリアランス量と同等としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のベーンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−194119(P2006−194119A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5064(P2005−5064)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】