ペットおよびその他の動物のための咀嚼用および/または食用製品
【課題】ペットおよびその他の動物のための咀嚼用および/または食用製品を提供する。
【解決手段】本発明は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品に関する。この製品は、自然で無害であり、その水分含量は、広範囲の動物の固有の習性と嗜好に合わせた所望のテクスチャーを持つ、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプの製品として、本製品を動物に与えることができるものである。本製品は、動物の咀嚼活動を刺激し、更に、水または栄養物、予防または治療薬を動物に投与するためのビヒクルとしても機能する。本発明は更に、本製品の調製での繊維状コラーゲンの使用と、あらゆる形状または3次元デザインに成形した繊維状コラーゲンマトリックスについても言及する。
【解決手段】本発明は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品に関する。この製品は、自然で無害であり、その水分含量は、広範囲の動物の固有の習性と嗜好に合わせた所望のテクスチャーを持つ、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプの製品として、本製品を動物に与えることができるものである。本製品は、動物の咀嚼活動を刺激し、更に、水または栄養物、予防または治療薬を動物に投与するためのビヒクルとしても機能する。本発明は更に、本製品の調製での繊維状コラーゲンの使用と、あらゆる形状または3次元デザインに成形した繊維状コラーゲンマトリックスについても言及する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物の栄養および管理の分野に属する。より詳細には、本発明は、コラーゲンを基とした、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品に関する。本製品は水分含量を大きく変えることのできる、自然で無害な製品であって、所望のテクスチャー(歯触り:texture)を持つ、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプの製品の形で動物に与えることができる。テクスチャーは、水分含量が高い場合には軟らかく肉のようであり、水分含量が低い場合には弾力性があって硬く、水和−脱水によって一方からもう一方へ変えることができる。このように本製品は広範囲の動物の習性と嗜好に合わせることができる。一方、本製品は、娯楽の機能を持つ咀嚼を動物に促し、更に、水または栄養物、予防または治療薬を動物に投与するためのビヒクルともなる。
【背景技術】
【0002】
今日、ペットの概念はより広く、伝統的なイヌやネコ以外の様々な動物も含まれるようになってきている。このような動物の多くは珍しく、未だ完全に飼い慣らされておらず、あるいは決して飼い慣らされることがない。市場に出回っている種には無脊椎動物から高等脊椎動物まであらゆる動物種が含まれ、更に後者には、齧歯類、イタチ科、イヌ科、ネコ科、イノシシ科(ミニブタ)、その他多くの動物が含まれる。
【0003】
現在までのところ、ペットおよびコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用のフード製品の多くは、特にその水分含量に関して、ドライまたはセミウェット製品と考えられる。例えばペットフードまたは咀嚼用スナックとしてペット用に望まれる栄養的製品では、その製造から消費までの間の水分含量は非常に重要であるため、その水分含量は一般に50重量%以下である。水分含量は、製品の風味と栄養特性の安定と維持に影響し、更に製品の微生物学的状態を維持してその安全性を保つために重要である。水の作用が少ないほど保存性は良く、より長くなる。例えば、ワン(Wang)らによる米国特許第6,379,725号では、植物および動物タンパク質、特に、カゼインまたはゼラチンと結合した大豆タンパク質と、更に、添加剤と栄養成分を含み、水分含量を8〜15重量%に調整してカビの発生と腐敗を防いだ、熱可塑性組成物から作ったペット用の食用おもちゃについて述べている。同様に、T.F.H.パブリケーションズ社(T.F.H. Publications Inc.)による欧州特許出願公開第1018519A2号には、水分含量が20重量%以下の、デンプンを材料とする動物用の食用製品または咀嚼用おもちゃが述べられている。同様に、マーチン(Martin)らによる米国特許第4,781,939号には、層状構造を持ち、通常のカット肉と同じ肉様の外見とテクスチャーを備え、水分含量が50〜65%である、肉エマルションより得られた、ヒトまたは動物が消費するための製品が述べられている。この製品は、水分含量の高い缶詰食品用の標準製法に従って缶に詰めなくてはならず、あるいは、保存する前にばらばらな形に乾燥しなければならない。一方、Nestec S.A.による国際公開第03/024240号パンフレットには、機能性成分を混合した液状ビヒクルを保持し、水分含量が30〜60重量%である吸収体を含む動物用の食品が述べられている。この吸収体は、水とタンパク質(一般に肉タンパク質、あるいは特に、骨を除きミンチした肉、肺、または肝臓)とのゲル化可能な混合物から得られる。しかしこの水は、スポンジのように膨らんだ製品の中に保持されているため、物理変化が起こると濡れ、つまり放出されてしまう(離液)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,379,725号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1018519A2号
【特許文献3】米国特許第4,781,939号
【特許文献4】国際公開第03/024240号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経済的見地からは、水分含量が高く、更に、固体含量の高い製品により似たテクスチャーを持つが、前述の欠点を示さない咀嚼用および/または食用製品を得ることは有益であろう。このような製品は、一部の動物の咀嚼衝動を満足させ、更に、乾燥環境中の動物や、激しいトレーニングの後も過剰に水を飲ませられない動物に給水するための、経済的な媒介物となると考えられる。
【0006】
また一部のペットには容易にドライフード製品を受け付けないものがある。このため動物飼料製造業者は、肉、肉副産物、または魚を材料としてこれに他の栄養や誘引成分を組み合わせ、利便性に劣る貯蔵系(小さな包装単位)に包装したウェットフード製品を製造しなければならない。このような貯蔵系(缶、高機能包装)はドライ製品に用いるもの(紙袋)よりもしばしば高価または複雑で、その製品の価格、体裁、および市場での売れ行きに影響する。
【0007】
更に、ペットとされる一部の動物は、その特異的な習性または嗜好のために、娯楽、健康、または頬や歯の衛生を目的として与えられる食べられる褒美を受け入れにくい。このため、ネコ、フェレット、およびその他の肉食哺乳類は、彼らの通常の食餌の一部を成さない軽食を容易に受け付けず、またそのテクスチャーに関して好みが非常にうるさい。
【0008】
一方、一部の鳥類、は虫類(カメ類、ヘビ類、およびトカゲ類)、両生類、魚類、およびその他のペットは、新鮮な獲物を食餌に加えるとすぐに分かり、乾燥製品を与える場合には常に非常に選り好みをする。
【0009】
水棲生物(Aquarophilia)では、魚類へのドライフード、マイクロカプセル化した化学組成物、または生き餌(ワーム類、アルテミア甲殻類、およびそれらの幼虫など)の投与は、拒絶される場合があることに加え、更に、これらの無脊椎動物を生きたまま培養し続けることが不便で、これらの食物に添加物を加えることは困難であり、その結果、効率が悪くコスト高となる。
【0010】
これら全ての理由から、主に娯楽を目的として用いられる、様々な形状および色と香りの組み合わせで、軟らかく肉のようなもの(魚肉に似た、またはよりしっかりとした鶏または哺乳類の肉のようなテクスチャー)から、噛むのに適し、更にはなめし革のように堅く強靱なテクスチャーまで、様々なテクスチャーを持ち、そのテクスチャーと感覚刺激性が動物にとって魅力的であり、更に、ドライフードを受け付けない動物に対しても、あるいはその食餌が、基本的に軟らかく湿ったテクスチャーを持つ生きた動物であるような動物にとっても魅力的であり、更に、動物の咀嚼行動を促すような、天然素材を用いた食用製品を得ることは非常に有益であろう。更に、噛む対象のテクスチャーに対して好みのうるさい一部のペット、特に、ネコ、または一般のネコ科の動物、イタチ科の動物(フェレット類、ミンク類など)、および一般の肉食哺乳類にとって、この製品がおもちゃのような娯楽の機能を持つことができれば非常に有益であろう。
【0011】
更にもう一つの長所は、動物、特にドライ製品やテクスチャーの堅いものを受け付けない動物に、水、栄養、動物の様々な臨床的疾病の予防または治療に用いられる予防または治療薬を投与するためのビヒクルとして、この製品が使えることである。更に、この製品が、簡単な再水和方法で乾燥状態から湿潤状態へ変わり、そのテクスチャーが数分の内に変化するもので、動物に与える直前に、またはそれを噛んで唾液が出ている間に、その中に含まれている風味をより容易に放出するならば、非常に有益であろう。
【0012】
このように、当該技術においては、テクスチャーを大きく変えることができ(ドライ、ウェット、またはセミウェット)、多くの様々な形状で存在可能であり、また、栄養、治療または予防薬の他に、様々な感覚刺激性添加剤を加えることができ、そのため、それが使用できる動物の範囲が広がり、その感覚刺激性や栄養的性質を維持して、その貯蔵寿命が長くなるような、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の提示するその解決方法は、あらゆる形状またはデザインに作られた、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る繊維状コラーゲンを材料とした、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の提示から成る。
【0014】
この繊維状コラーゲンマトリックスは、水で“膨潤”する大きなポテンシャルを備え、その最大ポテンシャルは、pHが非常に酸性または非常に塩基性の場合の浸透効果によって、酸性または塩基性pH(pH2またはpH13)において達成される。吸収は、例えば、リオトロピック膨潤を起こす、カルシウムなどの数種類の塩を加えることでも大きくできるが、これはあまり重要ではない。
【0015】
固体含量の非常に低い膨潤マトリックスが得られる、つまり、少ない固体で大きな容積と重量が得られるため、これは経済的に重要な長所である。水は、繊維状マトリックス中に構造的に保持されており、これは肉タンパク質製品中で起きているようなスポンジ効果ではないため、膨潤した製品は物理的変化によって濡れたり水を放出(離液)しない。これは、これら肉タンパク質製品に比べて明らかに有利である。この性質は、肉タンパク質や他のタンパク質の膨潤容量より遙かに勝っている。更に、コラーゲンの繊維状構造のため、低い固体濃度において、“凝固または架橋”後のマトリックスは、他のタンパク質より良好な、強いコンシステンシー(consistency)と非常に良好な機械的性質とを備えている。これは、非常に低い固体濃度で非常に良好なテクスチャーが得られるため、もう一つの長所となる、一方、コラーゲンの繊維状構造は、表面に繊維状の様相を与え、それに肉様の外観を与える。これは感覚刺激の観点からは非常に重要であるが、逆説的なことに、この特徴は肉タンパク質では達成されない。
【0016】
故に、本発明の目的は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の提示である。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための本咀嚼用および/または食用製品の調製における、この繊維状コラーゲンの使用の提示である。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、あらゆる形状または3次元デザインに成形したコラーゲンマトリックスの提示である。
【0019】
最後に、本発明のもう一つの目的は、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための本咀嚼用および/または食用製品の製造方法の提示である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品(文中では“本発明の咀嚼用および/または食用製品”という)を提示する。
【0021】
驚いたことに、先に述べた長所は全て本発明の製品中に備わっている。本製品は、ペット、特に非常に気まぐれで選り好みの激しい肉食性ペットの好む製品となり、様々なテクスチャーを採用し、またペットの栄養および管理の分野において多様な機能を想定することができる。この製品は主に動物源に由来する繊維状コラーゲンから成るものである。
【0022】
本発明は、ペットおよび非常に多様な動物種を誘引する咀嚼用および/または食用製品に関する。この製品は、望ましくは肉食動物、より望ましくは、ウェットフードあるいは新鮮または生きた獲物を常食とする動物(但し、これらに限定しない)が好むような、様々な形、色、および香りのものに作ることができるため、これらの動物を誘引する。これは更に、本製品は動物コラーゲンを材料とした自然製品であるため食べることができ、また15重量%以下の固体濃度であっても新鮮な肉と同じテクスチャーを持つためである。また先の特徴に加えて、更に機能的な役割、例えば、様々な咀嚼行動に適した様々なテクスチャーであり、頬や歯の衛生に好ましいこの行動を長続きさせ、あるいは目的とする動物に治療を行うため、予防、治療、または栄養物を投与するためのビヒクルとして使用される、などの機能を果たす製品でもある。
【0023】
本明細書の文意においては、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、目的とする動物のためのフード製品としても使用できるが、更に、その多彩な機能により、娯楽のために用いられる製品としての特性を与えられて、褒美として栄養や治療用物質を伝え、あるいは本質的に給餌に関係しないこれらの機能を組み合わせた、“咀嚼用”または“スナック”といえることが注目される。
【0024】
コラーゲンは、その本来の状態では繊維状構造を持つタンパク質であり、水中に分散させたばらばらの繊維は、可塑性で3次元のフィブリル様マトリックスを成形する。これを当該技術で公知の物理化学的方法で凝固またはゲル化すると固体で不溶のものとなる。このマトリックスは常に、肉製品であるソーセージの外皮を作る際の前駆物質であり、その後、引っ張り強さの高い可撓性フィルムが得られるまでこれに複雑で精密な製造、乾燥、および硬化工程を行う。ゲル化後、この前駆物質材料は、物理化学的条件、特にpHによって引き起こされる水による繊維の膨潤の程度に応じて様々な硬さの肉様のテクスチャーを獲得する。更にこのマトリックスは最初は可塑性であるため、様々な形状またはデザインに成型し、凝固またはゲル化後にこれに固定することができる。驚いたことに、テクスチャー、形状、色、誘引物質、芳香料、調味料などを組み合わせることで、様々な種に属する異なる肉食動物に、このコラーゲンゲル製品を噛み、食べさせることができ、しばしば飼育の困難な多くのペットの娯楽、健康、および幸福のためのビヒクルとなることが分かった。
【0025】
本発明の文意において、“フィブリル様”または“繊維状”は全ての場合において明確には区別なく、実質的に天然のコラーゲンの分子構造およびサブストラクチャーを指し、これはコラーゲンのゼラチンへの転化を伴う変性の過程から生じるものとは異なり、繊維状固体構造として再構築できることを理解しなければならない。
【0026】
“ゲル化”とは、(1)例えば塩化ナトリウム溶液などの塩溶液中、または、例えばアセトンおよび/またはエタノールなどの有機溶媒中、あるいは更に、可溶ガラスなどの無機溶媒中に浸すことによる浸透、(2)例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、または水酸化アンモニウムであるアルカリ性溶液中への浸漬、あるいはアンモニアガスでの処理などによる、分散液のpHの変化、あるいは(3)コラーゲンを架橋させる製品を溶解した溶液への浸漬または溶液の添加により、コラーゲン繊維間の架橋結合の生成を促進し、結合した繊維から成る不溶な3次元マトリックスを生じさせる繊維状マトリックスの化学的再構築、のいずれかによって繊維状コラーゲンの水性分散液から水を除去する、不溶化工程と解釈すべきである。更に、記述した方法の組み合わせであっても良い。一定期間分散液を凍結、および/または熱処理する方法も用いることができる。このように理解されるゲル化は、繊維状コラーゲンの水性分散液をゲルに転化して固定することができる。ゲルは、成形された製品にコンシステンシーと凝集力を与え、またその機械的および物理化学的性質の大きな部分を与える。
【0027】
繊維状コラーゲンの水性分散液は可塑性があるため、これを、動物を誘引する様々な形状、例えば、骨、幾何学的物体、デフォルメした物体、ボールまたは球形、いろいろな円筒または細長い形、ワーム様の形、などに成形することができる。あるいは、あらゆる水棲または陸棲動物の、望ましくは一部のペットの野生での獲物として良く知られている、ワーム、頭足類軟体動物、甲殻類、魚類、両生類、は虫類、齧歯類などのリアルまたはデフォルメした模造品とすることができる。
【0028】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のペプチドの性質により、食用とする以外にも、後に示すように、本発明の製品に、そのテクスチャーを変える物質、それをより嗜好に合うものとし、動物の嗅覚またはホルモン性誘引物とする物質、あるいは、例えば、想定した機能性や標的種に従って個々に加えることのできる栄養、治療、または予防のための物質など、多くの様々な分子を結合させることができる。
【0029】
繊維状コラーゲンは、魚類、両生類、は虫類、鳥類、または哺乳類などの脊椎動物の皮、軟骨、骨、腱、または腸、あるいは、腔腸動物、海綿動物、蠕虫(ワーム)、被嚢類、棘皮動物、またはこれらを含む軟体動物などの無脊椎動物の器官から得る。
【0030】
天然コラーゲンは、動物結合組織の、更に骨や腱の基本成分である、繊維状スクレロプロテイン(schleroprotein)であることが知られている。これは、トリプトファンを含まず、グリシン(33%)、プロリン(praline)およびヒドロキシプロリン(22%)の含有量が著しく高い、19個のアミノ酸から成る。プロリン、ヒドロキシプロリン、およびグリシンの濃度がこのように高い(これらがアミノ酸の50%以上を占める)ことは、全てのタイプのコラーゲンの特徴である。第3のアミノ酸と共に反復性の配列を成形するこれらのアミノ酸は、コラーゲン前駆物質、トロポコラーゲン分子の3次元形状に重要な役割を果たす。
【0031】
この分子中では、アミノ酸鎖の長さは290nmであり、3重らせん構造を成している。トロポコラーゲンの5個の分子は縦に群となり、その長さの4分の1が重なり合って直径3.6nmのミクロフィブリルを成形している。更に、ミクロフィブリル群は四辺形構造に集まって直径約30nmのサブフィブリルを成形する。これらのサブフィブリルが集まって、結合組織の基本単位であるコラーゲンフィブリルを構成する。これらのフィブリルの直径は、組織の種類と動物の年齢に応じて50〜500nmに変わる。コラーゲンフィブリルは、コラーゲンの構造と完全性を保つ細胞外マトリックスで囲まれている(“Hierarchical Structure of Collagen Composite Systems”. E. Baer, J.J. Cassidy and A. Hiltner. Pure Appl. Chem. 1991、 63(7), 961-973)。最後に、これらのフィブリル群は共に繊維を成形し、更に、構成する組織に応じて様々な構造と配向の繊維の束および小束を成形して、必要とされる物理的機械的性質を持つ。このようなフィブリル様または繊維状構造が本出願の基本を成している。
【0032】
前述のように、本発明の咀嚼用/食用製品の繊維状マトリックスのコラーゲンは、ほぼ天然のコラーゲンまたは部分的に加水分解したコラーゲンであっても良いが、天然コラーゲンのフィブリル様構造を回復するよう再構築可能であり、いくつかの実施の形態では、ゼラチンや、コラーゲンの加水分解による他の副産物と組み合わせることもできる。
【0033】
同様に、コラーゲンは、例えば、スクシニル化、アシル化、メチル化、またはエステル化したコラーゲンなどの化学的に変性したコラーゲンであっても良い。
【0034】
このように、本発明の咀嚼用および/または食用製品の具体的な実施の形態においては、繊維状コラーゲンはどのような動物に由来するものであっても良く、また、天然物、部分加水分解物、または化学変性物であっても良い。
【0035】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、あらゆる形状またはデザインに成形した繊維状コラーゲンマトリックスと同じく、構造支持要素を含む。この支持体は、動物が噛めるマトリックスの支持に適したどのような材料から成るものでも良く、例えばプラスチックなどである。このように、例えば、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、構造支持要素としてプラスチック製の骨を備え、骨を取り巻く鶏肉の形に繊維状コラーゲンマトリックスを成形した、チキンドラムスティックの形状とすることができる。
【0036】
先に示したように、コラーゲンマトリックスは様々な水分含量にできるため、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプである。
【0037】
このため、本発明のある実施の形態において、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜98重量%の繊維状コラーゲンを含んでいる。
【0038】
ある望ましい実施の形態では、本発明の製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜30%、望ましくは2〜20%、より望ましくは4〜12重量%の繊維状コラーゲンを含む、軟らかい咀嚼用および/または食用製品である。
【0039】
もう一つの望ましい実施の形態では、本発明の製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して75〜98%、望ましくは80〜95%、より望ましくは85〜95%、更に望ましくは85〜90重量%の繊維状コラーゲンを含む、乾燥した咀嚼用および/または食用製品である。
【0040】
前述のように、化学的架橋結合の生成を促す架橋物質を用いると、分散液をゲルに固定し、その後、咀嚼用および/または食用製品としての取り扱いと使用に必要な物理的機械的性質を与える。更に、これらの架橋剤を用いると、コラーゲンマトリックスにいくつかの非コラーゲン性分子を付着させることができる。
【0041】
このように、本発明の咀嚼用および/または食用製品の具体的な実施の形態では、繊維状マトリックスは1つ以上の架橋剤を含んでいる。使用する架橋剤としては様々な物質が挙げられる。望ましい本発明の実施の形態(但し、これに限らない)では、架橋剤は、アルデヒド類、望ましくはグリオキサール、グルタルアルデヒド、またはホルムアルデヒド;糖類;加工デンプン類;脂肪族、芳香族、または水素化芳香族ジイソシアナート類、望ましくはヘキサメチレンジイソシアナート;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;金属カチオン類、望ましくはアルミニウムまたは鉄カチオン類;油類および脂肪類、望ましくはポリ不飽和脂肪酸類;タンパク質-tanifying酵素類、望ましくは、アシルトランスフェラーゼ類、トランスグルタミナーゼ類(Ajinomoto、米国特許第5,968,568号(1999);Zymogenetics、国際公開第97/40701号パンフレット(1997))、ラッカーゼ、またはビリルビンオキシダーゼ;ジエポキシド類、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;変性メラミン樹脂、およびこれらの組み合わせから成る群より選ばれる。
【0042】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態においては、マトリックスは1つ以上の感覚刺激性添加剤を含む。この物質は、動物の感覚器(化学受容器または光受容器)を活性化させ、咀嚼用および/または食用製品の嗜好性を増すなど、感覚器を刺激するものであって、例えば、天然または合成芳香料または調味料、染料、発光または反射物質などである。ゆえに望ましい実施の形態では、感覚刺激性添加剤は、天然または合成物、有機または無機物であり、着色料、調味料、芳香料、発光物質、反射物質、およびこれらの組み合わせの中から選ぶことができる。
【0043】
着色料は、有機または無機物、天然または人工物であり、望ましくは、動物に対して無害または非毒性の、アナトー(annate)、鉄およびチタンの酸化物、コチニールカルミン、イカスミ、カラメル、グリッター(glitter)、インジゴ、クロロフィル類、アントシアニン類、カロテン類、クルクミン類、炭、発光または燐光物質、およびこれらの混合物から成る群より選ぶ。故に、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、先に述べたものなど既に食品工業で用いられている、1つ以上の着色料または色を変える顔料、物質、または粒子を含むことができる。これらの着色剤は、得ることのできる様々な設計の咀嚼用および/または食用製品に、よりリアルな、または奇抜な外観を与えることができる。
【0044】
調味料または芳香料は、望ましくは、タンパク質、ペプチド、タンパク質加水分解物、より望ましくは、脊椎および無脊椎動物の血液タンパク質、L−アミノ酸類、トリメチルグリシン、ヌクレオチド類、ヌクレオシド類、アルコール類、糖類、脂肪類、あるいは、生または加熱調理の香りに似た芳香を醸し出す天然または合成分子と組み合わせることのできる、肉、魚、または他の生物のエキスに相当するものであっても良い(但し、これらに限定しない)。
【0045】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態では、架橋剤により、感覚刺激性添加剤をコラーゲン分子に化学的に架橋させる。
【0046】
栄養価を上げるため、本発明の咀嚼用および/または食用製品に更に、動物、植物、または微生物由来の、組織化した(texturised)またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を、コラーゲンと様々な組み合わせおよび割合で加えることができる。
【0047】
このように、本発明の咀嚼用/食用製品の具体的な実施の形態において、マトリックスは、動物、植物、または微生物由来の、組織化した、またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を含んでいる。望ましい実施の形態では、非コラーゲン性タンパク質は、動物由来のタンパク質類、望ましくは、ケラチン、エラスチン、乳清、カゼイン、アルブミン、フィブリン、アクチン、ミオシン、ゼラチン、または血液タンパク質、植物由来のタンパク質類、望ましくは、小麦グルテン、ゼイン、あるいは大豆またはエンドウなどのマメ科種子のタンパク質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる。
【0048】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態では、マトリックスは1つ以上の刺激物を含む。刺激物として認められる物質としては、索餌挙動を促す消化性活動を誘発するホルモン、性的活動の開始を誘発するホルモンなど、感覚の活性化では機能しない生理学的プロセスの活性化をねらいとするものが挙げられる。つまり、望ましい実施の形態において、このような刺激物は、消化性挙動のホルモン性誘導物質、索餌のホルモン性活性物質、繁殖活動のホルモン性活性物質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる。
【0049】
本発明の咀嚼用/食用製品のもう一つの具体的な実施の形態において、マトリックスは、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる、1つ以上の添加剤を含む。
【0050】
強化剤およびゲル化剤はいずれも、コラーゲンゲルのテクスチャーを変えることのできる組織化調整剤(texturising agents)である。
【0051】
望ましい実施の形態では、強化剤は、セルロース繊維;キチンから誘導した多糖類、望ましくは、n−アセチルグルコサミンのポリマーまたはキトサン;デンプン類、望ましくはジアルデヒドデンプン;合成樹脂、望ましくは様々な加水分解度の加水分解ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(vinyl polyacetate)またはポリビニルピロリドン;および、水溶性エステル化多糖類、望ましくはプロピレングリコール=アルギナート(PGA)(Higgins、米国特許第4,096,282号(1978))の中から選ばれる。更に、一部の具体的な実施の形態において、強化剤として、硬化したコラーゲンのフィラメント、硬化コラーゲンのロープまたは編んだフィラメント、硬化コラーゲンの薄織物または網、あるいは硬化コラーゲンのストリップまたは薄層を用いることが可能である。これらの強化剤を用いることで、繊維状構造を強化し、および/または、一般に、食用/咀嚼用製品の物理的−機械的性質を向上させることができる。
【0052】
もう一つの望ましい実施の形態において、ゲル化剤は、IIA族、望ましくはベリリウム、カルシウム、またはストロンチウム、IIB族、望ましくは、亜鉛またはカドミウム、あるいはIIIA族、望ましくはアルミニウム、の金属塩から成る群より選ばれるゲル化促進物質に結合した、セルロースエステル類、望ましくは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースの群より選ばれるゲル化剤;ヒドロコロイド類、望ましくは、アルギナート類(alginates)(Easton、米国特許第4,614,794号(1986))、カラギナート類(carragenates)、アガー、フルセラレン類(furceralanes)、キトサン、グアーガム、ガロフィンガム(garrofin gum)、アラビアゴム、トラガカントガム、カラヤガム、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン類、グルコマンナン類(Maynard、米国特許第5,962,053号(1999))である群のゲル化剤;または、ゼラチン、組織化したタンパク質、または蜂蜜とすることができる。これらのゲル化促進物質は、これらが結合する挙げられた一部の成分のゲル化または錯体化を誘発することができる。
【0053】
これらのゲル化化合物は親水性の化合物であり、マトリックス中に水を保持し易くして、咀嚼用および/または食用製品の水和状態を延長することで、よりその新鮮な様相を長く保つ。これらは更に、製品の弾力性やその他の機械的性質を向上させる。望ましい実施の形態では、これらのゲル化剤は、マトリックスの総乾燥重量の0.1〜25%、望ましくは2〜10%、より望ましくは1.5〜5.5%の割合で用いられる。
【0054】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、ソルビタン、マンニトール、マルチトール、プロピレングリコール、エチレングリコール、パントテノール、またはプロピレングリコール=アルギナートなどの多価アルコール類、ポリマー系の糖類、サッカロース、またはマルトースの中から選ばれる。これらの低分子量の食用可塑剤は、タンパク質を可塑性の物質の中に分散し易くし、咀嚼用および/または食用製品の可塑性を向上させる。望ましい実施の形態では、これらの可塑剤は、マトリックスの総乾燥重量の10〜25%の割合で用いられる。
【0055】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、潤滑剤は、脂肪類、食用多価アルコール類のモノ、ジ、およびトリエステル類、植物油(望ましくは水添物)、鉱油、食用脂肪酸、リン脂質(望ましくはレシチン)、シリコーンオイル、およびムコ多糖類の中から選ばれる。
【0056】
本発明の咀嚼用および/または食用製品には、咀嚼用および/または食用製品の貯蔵期間を長くし、その性質とその新鮮な様相を保つため、新たな防腐剤および酸化防止剤を加えることができる。このように、本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、防腐剤および酸化防止剤は、アスコルビン酸、アスコルビン=パルミタート(ascorbic palmitate)、重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エトキシチン(ethoxychine)、乳酸、酢酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、o−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、香辛料、および植物エキスの中から選ばれる。
【0057】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、治療および予防薬は、ワクチン、抗ウィルス剤、経口殺菌剤などの好ましくない微生物の増殖を防ぐ試剤、あるいは、あらゆる種類の栄養素欠乏症、感染性疾患、または他の病因に罹った動物を治療するための物質とすることができる。
【0058】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、栄養剤は、目標とするペットの食餌に必要な、全てのビタミン類、ミネラル類、および小数元素類、またはこれらの複合体に相当する。
【0059】
本発明のもう一つの態様は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の調製における、繊維状コラーゲンの使用を提示する。
【0060】
本発明のもう一つの態様は、前述の形状または3次元デザインのいずれかに成形された、繊維状コラーゲンマトリックスを提示する。
【0061】
本発明のもう一つの態様は、本発明のこの咀嚼用および/または食用製品の、先に示し、以下の工程を含む製造方法を提示する。
(a)酸性pHで繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する工程
(b)工程(a)で得られた分散液を成形する工程
【0062】
本方法の具体的な実施の形態では、工程(b)で成形した分散液を塩溶液中で凝固する。
【0063】
本発明のもう一つの具体的な実施の形態では、工程(b)で鋳型に入れた分散液をアルカリで中和する。
【0064】
本発明のもう一つの具体的な実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品を製造するための本方法は、工程(b)の前に、工程(a)で得られた分散液を1つ以上の架橋剤と混合する工程を含む。
【0065】
同様に、工程(a)で得られた、架橋剤を含む、または含まない繊維状コラーゲンの水溶液に、先に述べた必要に応じた他の成分を更に加えても良い。このように、もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品の本製造方法は、工程(b)の前に、工程(a)で得られた分散液を、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、刺激物、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の成分と混合する工程を含む。
【0066】
前述のように、コラーゲンは、水分含量の高い粘弾性の水性分散液とすることが可能で、約2または13のpHで最大の水分含量となり、これはタンパク質の最大膨潤点と一致することが知られている。しかし、酸性のpH値でより大きな水分含量となることから、押し出しまたは注入法には酸性分散液が望ましいと考えられる。
【0067】
コラーゲン分散液は、国際公開第92/01394号パンフレット、ドイツ国特許第642,922号、ドイツ国特許第659,490号、米国特許第2,920,000号、米国特許第3,123,481号、米国特許第3,123,653号、米国特許第3,314,861号、米国特許第3,664,844号、米国特許第4,196,223号、米国特許第4,407,829号、米国特許第4,615,889号、米国特許第5,411,887号、および、米国特許第5,940,849号に開示されているような、今まで数多くの特許に述べられている手法のいずれかで得ることができる。更に、米国特許第3,529,530号、米国特許第4,140,537号、米国特許第4,223,984号、米国特許第4,268,131号、および米国特許第5,456,745号に記載の方法のように、タンパク質分解酵素で処理した可溶性コラーゲンから生成した分散液も用いることができる。天然コラーゲンのフィブリル様構造は保持されているが、この分散液は、再構築が可能なように部分的に加水分解されていても良く、更に、記載の方法で得られた可溶性および不溶性繊維状コラーゲンの混合物から生成した分散液であっても良い。
【0068】
<繊維状コラーゲンの水性分散液の典型的な調製>
主に2つの方法で、天然材料(例えば、皮、腱、腸)からフィブリル様または繊維状コラーゲンを回収する。1)望ましくは皮または革を原材料とし、酸類(例えば、酢酸)、塩基類(例えば、NaOH)、または希釈した塩類(例えば、NaCl)でコラーゲンを溶解する。あるいは、非コラーゲナーゼタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン、トリプシン、プロナーゼ、またはプロクターゼ(proctase))で酵素的消化を行い、アテロペプティック(atelopeptic)および再構築可能なフィブリル様コラーゲンの可溶画分を得る。または、2)以下に示すように、例えば、しばしばパンクレアチンの酵素作用(エラスチンのフィブリルの束を放出するため)を伴う機械的作用因の働きによって、コラーゲンを含む組織(皮膚真皮(skin chorium)および腱)から、繊維を固体および不溶物の形で抽出する。
【0069】
一般に、繊維状コラーゲン分散液を得るには(本発明の目的を構成しない態様)、哺乳動物、鳥類、は虫類、および魚類に由来する、様々な種類の結合組織(皮、腱、靱帯など)および/または消化組織(腸、胃など)を用いることができる。更に望ましくは、ウシおよび/またはブタ皮の真皮、および羊および/またはブタの腸が用いられる。繊維状コラーゲンの分散液を得る方法は、挙げられた豊富な文献に記述の方法のいずれでも良いが、望ましくは、以下に示す工程を含む方法を用いる。
【0070】
コラーゲン組織の材料として皮を用いる場合、全皮または脱毛処理した獣皮を用いることができる。
【0071】
新鮮な、塩漬けした、または凍結した皮が使用でき、これに以下の処理を行う。但し、その全てを行う必要はなく、また以下に示す順に厳密に従わなくても良い。
a)皮を洗い、水漬けして、汚れ、非コラーゲン性タンパク質を除き、コラーゲン繊維に水を含ませる。
b)毛の加水分解および除去を目的として、硫化物類およびアルカリ類を用いて脱毛する。
c)機械的に剥いで脂肪と非コラーゲン性タンパク質を除く。
d)2つの層に剥がし、真皮と表皮とを分ける。
e)機械的に切り刻む。
f)物理的、化学的、または酵素処理によって脱脂する。
g)精製、部分加水分解、およびコラーゲン繊維の構造を開くことを目的として、望ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カルシウムを用いてアルカリ処理を行う。
h)酸またはアンモニウム塩を用いて脱灰する。
i)塩酸などの無機酸、または、酢酸、乳酸などの有機酸を加えて酸処理を行い、コラーゲン繊維の膨潤に最も適したpHとする。
j)繊維を粉砕し、機械的に除去して、成形に用いる繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する。
【0072】
コラーゲン組織の材料が腸および/または腱である場合、使用する材料は新鮮、凍結、塩漬け、または塩水に漬けたものである。この組織は、皮に関する記述と同じ処理を行う。
a)付着している脂肪を機械的に、および/または手で除く。
b)切り刻む。
c)汚れ、非コラーゲン性タンパク質を除き、コラーゲン繊維に水を含ませるため、材料を洗い、水漬けする。
d)先の場合と同様に、精製、部分加水分解、およびコラーゲン繊維構造を開くため、望ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カルシウムを用いてアルカリ処理を行う。
e)酸またはアンモニウム塩を用いて脱灰する。
f)コラーゲン繊維の膨潤に最も適したpHとするため、塩酸などの無機酸、または、酢酸、乳酸などの有機酸の作用によって酸処理を行う。
g)繊維を機械的に粉砕し、除去して、成形に用いる繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する。
【0073】
単独で、または前述のものと組み合わせて使用するための可溶性フィブリル様コラーゲンの分散液を得る場合、当該技術で公知のいずれの方法も推奨される。参照として、ミヤタによる米国特許第4,268,131号(1981)に記述の方法を用いる。
【0074】
コラーゲン混合物を作るコラーゲンの物理化学的特性に応じて、異なる構造のコラーゲン分散液の混合物と同様に、異なる動物および/または組織を材料とするコラーゲン混合物を用いることができる。
【0075】
この方法で得られた分散液の適当なコラーゲン含量は水を加えることで調節可能であり、またこの希釈工程の間にpHも調整し、望ましくは1.5〜4.0の範囲に収める。
【0076】
先に言及したもの(架橋剤、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、またはこれらの組み合わせ)などの、関連する様々な成分も添加できるが、その一部は後の工程で水性コラーゲン分散液に加えても良い。
【0077】
次に、必要であればこれに機械的均質化処理を行ってコラーゲン繊維を適当なサイズまで小さくし、成形操作を行い易くする。
【0078】
この処理は、コラーゲンの変性または分解が殆ど起こらない温度で行う。
【0079】
コラーゲン組織の材料および/または繊維状コラーゲンの水性分散液のpHが4.0以下、および/または10以上であるような処理は全て、コラーゲンのフィブリル様構造を保ちつつ、その好ましくないゼラチンへの転化を防ぐため、25℃以下の温度で行う。その理由は、この温度からフィブリル様コラーゲンの物理化学的および機械的性質が全て劣化し始めるからである。
【0080】
本発明の文中において“繊維状コラーゲンの水性分散液”とは、前述のように、望ましくは繊維状コラーゲンを基としているが、単一の水性分散液、あるいは、予めまたは同時に異なる性質または組成の2つ以上の水性分散液を生成したものを混合した結果を指すと理解しなければならないことを示す必要がある。例えば、本発明の咀嚼用および/または食用製品を斬新なデザインのものとするための着色剤、または先に言及した成分のいずれかなど、この分散液の成分の1つ以上を変えることができる。
【0081】
望ましくは酸性である繊維状コラーゲンの水性分散液に成形処理を行って様々な形状および図形とし、続いて必要に応じて定着またはゲル化処理を行うことができる。
【0082】
本発明の咀嚼用および/または食用製品の形状に関しては、ペット類を模したもの、一部のペットの自然の獲物、更にまた、抽象的、幾何学的図形、および非幾何学的図形など、数多くの形状を作ることができる。
【0083】
このように、本発明の具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は幾何学的形状に成形されている。望ましい実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は管形またはロープ形より選ばれる幾何学的形状に成形されている。より望ましい実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、円筒形ロープおよび非円筒形ロープの中から選ばれるロープの形状に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、300μm以上の壁厚を持つ管の形状に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態において、ロープまたは管の表面の部分にはすじが付けられており、および/または横方向または縦方向のセグメントに分割されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、ロープまたは管は、らせん状となるよう捻られている。もう一つのより望ましい実施の形態では、ロープまたは管は、異なる組成およびテクスチャーを備えることが可能ないくつかの同心円の層を持つ。
【0084】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、球形、長球形、多面体形、および半多面体形(subpolyhedric)の中から選ばれる幾何学的形状に成形されている。
【0085】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、物体の形または動物の形の中から選ばれる非幾何学的形状に成形されている。望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は骨の形に成形されている。もう一つの具体的な実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、ペットまたはペットの自然の獲物と考えられる動物の形に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、哺乳類、虫(ワーム)、両生類、は虫類、魚類、軟体動物、甲殻類、または棘皮動物の形に成形されている。もう一つの更に望ましい実施の形態では、食用および/または咀嚼用製品は、イヌ、ネコ、ネズミ、ミミズ、海棲多毛類、カエル、サンショウウオ、イモリ、トカゲ、ヨーロッパフナ、イカ、カニ、またはヒトデの形に成形されている。
【0086】
これらの望ましい実施の形態および図形の一部を図に示す。説明のためのこれらも本発明に含まれる。以下に示す例は本発明を説明するためのものであって、いかなる方法であってもその可能な用途を制限するものではない。
【実施例】
【0087】
望ましい実施の形態において、繊維状コラーゲンと、必要に応じて、1つ以上の挙げられた成分との水性分散液の混合物を、様々な長さのロープ(図1A)などの円筒形に成形する。もう一つの望ましい実施の形態では、前記ロープは両端に結び目を持ち、伝統的な“ノッテドハイド(knotted hides)”様である(図1B)。
【0088】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、規則的な星形断面を持つロープに成形する(図2)。
【0089】
更に、ロープの断面は、その形に関わらず、組成の異なるいくつかの同心円の層または膜を含むことも可能である(図3)。示したように、このような膜の組成物の配合は変えることができる。他の望ましいバリエーションでは、これらの同心円膜の組成は、最も外側の膜であっても、先に示したように、様々な割合で混合した1つまたはいくつかの追加の非コラーゲン性物質、より望ましくは、ゲル化剤(望ましくはヒドロコロイド類)、感覚刺激性添加剤、および強化剤に分類されるものを含んでいても良い。このような被覆物の配合には、例えば、ある異なる種類の色、異なる粒子、および感覚刺激性添加剤と考えられている物質または分子を含むことができる。図3は、組成の異なる同心円の層を濃さの異なる灰色で示している。
【0090】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、様々な長さの管状に成形する(図4)。管の内部空間は直径の幅の範囲までとすることができ、外側表面は、平滑、セグメント化、あるいは、横方向または縦方向にすじを付けることができる。
【0091】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、細長い管を直径と長さが等しいセグメントに切ったものに成形する(図5)。
【0092】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、球形、長球形、または楕円形に成形する(図6)。
【0093】
望ましい実施の形態では、混合物を、伝統的な“イヌの骨”様の想像上の骨の形に成形する(図7)。
【0094】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、リアルなまたはデフォルメしたネズミの形に成形する(図8)。
【0095】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、すじを付けた、または想像上のワームの輪のように横にセグメント化した、組成を変えることのできるいくつかの同心円の層から成る、可変長の細長い円筒形ロープの形に成形する(図9)。
【0096】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、あらゆる種類または大きさの、リアルなまたはデフォルメした魚の形に成形する(図10)。
【0097】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、あらゆる種類または大きさの海棲多毛類の蠕虫の形に成形する(図11)。
【0098】
もう一つの具体的な実施の形態では、混合物を、イカを模した形に成形する(図12)。
【0099】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、ミミズなどの土中の蠕虫を模した形に成形する(図13)。
【0100】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、カエルに似た形に成形する(図14)。
【0101】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、サンショウウオまたはイモリの形に成形する(図15)。
【0102】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、カニに似た形に成形する(図16)。
【0103】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、肉様の外見に作った繊維状コラーゲンマトリックスの構造支持要素としてプラスチック製の骨を備えた、チキンドラムスティックの形に成形する(図17)。
【0104】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、らせん形となるよう捻った管の形に成形する(図18)。
【0105】
一般に、このようにして得られた繊維状コラーゲンを材料とする本発明の咀嚼用および/または食用製品は、しっかりしたコンシステンシーと、水およびその他の添加剤の含量に応じて硬いまたは軟らかいテクスチャーと、艶やかな表面と、湿った外見を持つ。これは肉に似ており、繊維状コラーゲンの水性分散液に加えられた色とそれに与えた形状に応じて、本製品は、ここに示したように、ペット用のおもちゃや餌の良好な模造品となり、臭いに敏感な我々の動物を引きつけることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】円筒形ロープ(図1A)または両端に結び目を備えた円筒形ロープ(図1B)の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図2】規則的な星形断面を持つ非円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図3】組成の異なるいくつかの同心円の層から成る円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図4】管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図5】直径と長さが同じセグメントに切った管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図6】球の形および長球または卵の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図7】骨の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図8】ネズミの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図9】組成の異なるいくつかの同心円の層から成り、すじをつけた、または横にセグメント化した円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図10】魚の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図11】海棲多毛類の蠕虫の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図12】イカの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図13】ミミズの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図14】カエルの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図15】サンショウウオまたはイモリの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図16】カニの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図17】肉に似せて作った繊維状コラーゲンマトリックスの構造支持体としてプラスチック製の骨を備えた、チキンドラムスティックの形に作った、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図18】らせん形となるよう捻った管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は動物の栄養および管理の分野に属する。より詳細には、本発明は、コラーゲンを基とした、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品に関する。本製品は水分含量を大きく変えることのできる、自然で無害な製品であって、所望のテクスチャー(歯触り:texture)を持つ、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプの製品の形で動物に与えることができる。テクスチャーは、水分含量が高い場合には軟らかく肉のようであり、水分含量が低い場合には弾力性があって硬く、水和−脱水によって一方からもう一方へ変えることができる。このように本製品は広範囲の動物の習性と嗜好に合わせることができる。一方、本製品は、娯楽の機能を持つ咀嚼を動物に促し、更に、水または栄養物、予防または治療薬を動物に投与するためのビヒクルともなる。
【背景技術】
【0002】
今日、ペットの概念はより広く、伝統的なイヌやネコ以外の様々な動物も含まれるようになってきている。このような動物の多くは珍しく、未だ完全に飼い慣らされておらず、あるいは決して飼い慣らされることがない。市場に出回っている種には無脊椎動物から高等脊椎動物まであらゆる動物種が含まれ、更に後者には、齧歯類、イタチ科、イヌ科、ネコ科、イノシシ科(ミニブタ)、その他多くの動物が含まれる。
【0003】
現在までのところ、ペットおよびコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用のフード製品の多くは、特にその水分含量に関して、ドライまたはセミウェット製品と考えられる。例えばペットフードまたは咀嚼用スナックとしてペット用に望まれる栄養的製品では、その製造から消費までの間の水分含量は非常に重要であるため、その水分含量は一般に50重量%以下である。水分含量は、製品の風味と栄養特性の安定と維持に影響し、更に製品の微生物学的状態を維持してその安全性を保つために重要である。水の作用が少ないほど保存性は良く、より長くなる。例えば、ワン(Wang)らによる米国特許第6,379,725号では、植物および動物タンパク質、特に、カゼインまたはゼラチンと結合した大豆タンパク質と、更に、添加剤と栄養成分を含み、水分含量を8〜15重量%に調整してカビの発生と腐敗を防いだ、熱可塑性組成物から作ったペット用の食用おもちゃについて述べている。同様に、T.F.H.パブリケーションズ社(T.F.H. Publications Inc.)による欧州特許出願公開第1018519A2号には、水分含量が20重量%以下の、デンプンを材料とする動物用の食用製品または咀嚼用おもちゃが述べられている。同様に、マーチン(Martin)らによる米国特許第4,781,939号には、層状構造を持ち、通常のカット肉と同じ肉様の外見とテクスチャーを備え、水分含量が50〜65%である、肉エマルションより得られた、ヒトまたは動物が消費するための製品が述べられている。この製品は、水分含量の高い缶詰食品用の標準製法に従って缶に詰めなくてはならず、あるいは、保存する前にばらばらな形に乾燥しなければならない。一方、Nestec S.A.による国際公開第03/024240号パンフレットには、機能性成分を混合した液状ビヒクルを保持し、水分含量が30〜60重量%である吸収体を含む動物用の食品が述べられている。この吸収体は、水とタンパク質(一般に肉タンパク質、あるいは特に、骨を除きミンチした肉、肺、または肝臓)とのゲル化可能な混合物から得られる。しかしこの水は、スポンジのように膨らんだ製品の中に保持されているため、物理変化が起こると濡れ、つまり放出されてしまう(離液)。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,379,725号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1018519A2号
【特許文献3】米国特許第4,781,939号
【特許文献4】国際公開第03/024240号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
経済的見地からは、水分含量が高く、更に、固体含量の高い製品により似たテクスチャーを持つが、前述の欠点を示さない咀嚼用および/または食用製品を得ることは有益であろう。このような製品は、一部の動物の咀嚼衝動を満足させ、更に、乾燥環境中の動物や、激しいトレーニングの後も過剰に水を飲ませられない動物に給水するための、経済的な媒介物となると考えられる。
【0006】
また一部のペットには容易にドライフード製品を受け付けないものがある。このため動物飼料製造業者は、肉、肉副産物、または魚を材料としてこれに他の栄養や誘引成分を組み合わせ、利便性に劣る貯蔵系(小さな包装単位)に包装したウェットフード製品を製造しなければならない。このような貯蔵系(缶、高機能包装)はドライ製品に用いるもの(紙袋)よりもしばしば高価または複雑で、その製品の価格、体裁、および市場での売れ行きに影響する。
【0007】
更に、ペットとされる一部の動物は、その特異的な習性または嗜好のために、娯楽、健康、または頬や歯の衛生を目的として与えられる食べられる褒美を受け入れにくい。このため、ネコ、フェレット、およびその他の肉食哺乳類は、彼らの通常の食餌の一部を成さない軽食を容易に受け付けず、またそのテクスチャーに関して好みが非常にうるさい。
【0008】
一方、一部の鳥類、は虫類(カメ類、ヘビ類、およびトカゲ類)、両生類、魚類、およびその他のペットは、新鮮な獲物を食餌に加えるとすぐに分かり、乾燥製品を与える場合には常に非常に選り好みをする。
【0009】
水棲生物(Aquarophilia)では、魚類へのドライフード、マイクロカプセル化した化学組成物、または生き餌(ワーム類、アルテミア甲殻類、およびそれらの幼虫など)の投与は、拒絶される場合があることに加え、更に、これらの無脊椎動物を生きたまま培養し続けることが不便で、これらの食物に添加物を加えることは困難であり、その結果、効率が悪くコスト高となる。
【0010】
これら全ての理由から、主に娯楽を目的として用いられる、様々な形状および色と香りの組み合わせで、軟らかく肉のようなもの(魚肉に似た、またはよりしっかりとした鶏または哺乳類の肉のようなテクスチャー)から、噛むのに適し、更にはなめし革のように堅く強靱なテクスチャーまで、様々なテクスチャーを持ち、そのテクスチャーと感覚刺激性が動物にとって魅力的であり、更に、ドライフードを受け付けない動物に対しても、あるいはその食餌が、基本的に軟らかく湿ったテクスチャーを持つ生きた動物であるような動物にとっても魅力的であり、更に、動物の咀嚼行動を促すような、天然素材を用いた食用製品を得ることは非常に有益であろう。更に、噛む対象のテクスチャーに対して好みのうるさい一部のペット、特に、ネコ、または一般のネコ科の動物、イタチ科の動物(フェレット類、ミンク類など)、および一般の肉食哺乳類にとって、この製品がおもちゃのような娯楽の機能を持つことができれば非常に有益であろう。
【0011】
更にもう一つの長所は、動物、特にドライ製品やテクスチャーの堅いものを受け付けない動物に、水、栄養、動物の様々な臨床的疾病の予防または治療に用いられる予防または治療薬を投与するためのビヒクルとして、この製品が使えることである。更に、この製品が、簡単な再水和方法で乾燥状態から湿潤状態へ変わり、そのテクスチャーが数分の内に変化するもので、動物に与える直前に、またはそれを噛んで唾液が出ている間に、その中に含まれている風味をより容易に放出するならば、非常に有益であろう。
【0012】
このように、当該技術においては、テクスチャーを大きく変えることができ(ドライ、ウェット、またはセミウェット)、多くの様々な形状で存在可能であり、また、栄養、治療または予防薬の他に、様々な感覚刺激性添加剤を加えることができ、そのため、それが使用できる動物の範囲が広がり、その感覚刺激性や栄養的性質を維持して、その貯蔵寿命が長くなるような、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の提示するその解決方法は、あらゆる形状またはデザインに作られた、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る繊維状コラーゲンを材料とした、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の提示から成る。
【0014】
この繊維状コラーゲンマトリックスは、水で“膨潤”する大きなポテンシャルを備え、その最大ポテンシャルは、pHが非常に酸性または非常に塩基性の場合の浸透効果によって、酸性または塩基性pH(pH2またはpH13)において達成される。吸収は、例えば、リオトロピック膨潤を起こす、カルシウムなどの数種類の塩を加えることでも大きくできるが、これはあまり重要ではない。
【0015】
固体含量の非常に低い膨潤マトリックスが得られる、つまり、少ない固体で大きな容積と重量が得られるため、これは経済的に重要な長所である。水は、繊維状マトリックス中に構造的に保持されており、これは肉タンパク質製品中で起きているようなスポンジ効果ではないため、膨潤した製品は物理的変化によって濡れたり水を放出(離液)しない。これは、これら肉タンパク質製品に比べて明らかに有利である。この性質は、肉タンパク質や他のタンパク質の膨潤容量より遙かに勝っている。更に、コラーゲンの繊維状構造のため、低い固体濃度において、“凝固または架橋”後のマトリックスは、他のタンパク質より良好な、強いコンシステンシー(consistency)と非常に良好な機械的性質とを備えている。これは、非常に低い固体濃度で非常に良好なテクスチャーが得られるため、もう一つの長所となる、一方、コラーゲンの繊維状構造は、表面に繊維状の様相を与え、それに肉様の外観を与える。これは感覚刺激の観点からは非常に重要であるが、逆説的なことに、この特徴は肉タンパク質では達成されない。
【0016】
故に、本発明の目的は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の提示である。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための本咀嚼用および/または食用製品の調製における、この繊維状コラーゲンの使用の提示である。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、あらゆる形状または3次元デザインに成形したコラーゲンマトリックスの提示である。
【0019】
最後に、本発明のもう一つの目的は、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための本咀嚼用および/または食用製品の製造方法の提示である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品(文中では“本発明の咀嚼用および/または食用製品”という)を提示する。
【0021】
驚いたことに、先に述べた長所は全て本発明の製品中に備わっている。本製品は、ペット、特に非常に気まぐれで選り好みの激しい肉食性ペットの好む製品となり、様々なテクスチャーを採用し、またペットの栄養および管理の分野において多様な機能を想定することができる。この製品は主に動物源に由来する繊維状コラーゲンから成るものである。
【0022】
本発明は、ペットおよび非常に多様な動物種を誘引する咀嚼用および/または食用製品に関する。この製品は、望ましくは肉食動物、より望ましくは、ウェットフードあるいは新鮮または生きた獲物を常食とする動物(但し、これらに限定しない)が好むような、様々な形、色、および香りのものに作ることができるため、これらの動物を誘引する。これは更に、本製品は動物コラーゲンを材料とした自然製品であるため食べることができ、また15重量%以下の固体濃度であっても新鮮な肉と同じテクスチャーを持つためである。また先の特徴に加えて、更に機能的な役割、例えば、様々な咀嚼行動に適した様々なテクスチャーであり、頬や歯の衛生に好ましいこの行動を長続きさせ、あるいは目的とする動物に治療を行うため、予防、治療、または栄養物を投与するためのビヒクルとして使用される、などの機能を果たす製品でもある。
【0023】
本明細書の文意においては、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、目的とする動物のためのフード製品としても使用できるが、更に、その多彩な機能により、娯楽のために用いられる製品としての特性を与えられて、褒美として栄養や治療用物質を伝え、あるいは本質的に給餌に関係しないこれらの機能を組み合わせた、“咀嚼用”または“スナック”といえることが注目される。
【0024】
コラーゲンは、その本来の状態では繊維状構造を持つタンパク質であり、水中に分散させたばらばらの繊維は、可塑性で3次元のフィブリル様マトリックスを成形する。これを当該技術で公知の物理化学的方法で凝固またはゲル化すると固体で不溶のものとなる。このマトリックスは常に、肉製品であるソーセージの外皮を作る際の前駆物質であり、その後、引っ張り強さの高い可撓性フィルムが得られるまでこれに複雑で精密な製造、乾燥、および硬化工程を行う。ゲル化後、この前駆物質材料は、物理化学的条件、特にpHによって引き起こされる水による繊維の膨潤の程度に応じて様々な硬さの肉様のテクスチャーを獲得する。更にこのマトリックスは最初は可塑性であるため、様々な形状またはデザインに成型し、凝固またはゲル化後にこれに固定することができる。驚いたことに、テクスチャー、形状、色、誘引物質、芳香料、調味料などを組み合わせることで、様々な種に属する異なる肉食動物に、このコラーゲンゲル製品を噛み、食べさせることができ、しばしば飼育の困難な多くのペットの娯楽、健康、および幸福のためのビヒクルとなることが分かった。
【0025】
本発明の文意において、“フィブリル様”または“繊維状”は全ての場合において明確には区別なく、実質的に天然のコラーゲンの分子構造およびサブストラクチャーを指し、これはコラーゲンのゼラチンへの転化を伴う変性の過程から生じるものとは異なり、繊維状固体構造として再構築できることを理解しなければならない。
【0026】
“ゲル化”とは、(1)例えば塩化ナトリウム溶液などの塩溶液中、または、例えばアセトンおよび/またはエタノールなどの有機溶媒中、あるいは更に、可溶ガラスなどの無機溶媒中に浸すことによる浸透、(2)例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、または水酸化アンモニウムであるアルカリ性溶液中への浸漬、あるいはアンモニアガスでの処理などによる、分散液のpHの変化、あるいは(3)コラーゲンを架橋させる製品を溶解した溶液への浸漬または溶液の添加により、コラーゲン繊維間の架橋結合の生成を促進し、結合した繊維から成る不溶な3次元マトリックスを生じさせる繊維状マトリックスの化学的再構築、のいずれかによって繊維状コラーゲンの水性分散液から水を除去する、不溶化工程と解釈すべきである。更に、記述した方法の組み合わせであっても良い。一定期間分散液を凍結、および/または熱処理する方法も用いることができる。このように理解されるゲル化は、繊維状コラーゲンの水性分散液をゲルに転化して固定することができる。ゲルは、成形された製品にコンシステンシーと凝集力を与え、またその機械的および物理化学的性質の大きな部分を与える。
【0027】
繊維状コラーゲンの水性分散液は可塑性があるため、これを、動物を誘引する様々な形状、例えば、骨、幾何学的物体、デフォルメした物体、ボールまたは球形、いろいろな円筒または細長い形、ワーム様の形、などに成形することができる。あるいは、あらゆる水棲または陸棲動物の、望ましくは一部のペットの野生での獲物として良く知られている、ワーム、頭足類軟体動物、甲殻類、魚類、両生類、は虫類、齧歯類などのリアルまたはデフォルメした模造品とすることができる。
【0028】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のペプチドの性質により、食用とする以外にも、後に示すように、本発明の製品に、そのテクスチャーを変える物質、それをより嗜好に合うものとし、動物の嗅覚またはホルモン性誘引物とする物質、あるいは、例えば、想定した機能性や標的種に従って個々に加えることのできる栄養、治療、または予防のための物質など、多くの様々な分子を結合させることができる。
【0029】
繊維状コラーゲンは、魚類、両生類、は虫類、鳥類、または哺乳類などの脊椎動物の皮、軟骨、骨、腱、または腸、あるいは、腔腸動物、海綿動物、蠕虫(ワーム)、被嚢類、棘皮動物、またはこれらを含む軟体動物などの無脊椎動物の器官から得る。
【0030】
天然コラーゲンは、動物結合組織の、更に骨や腱の基本成分である、繊維状スクレロプロテイン(schleroprotein)であることが知られている。これは、トリプトファンを含まず、グリシン(33%)、プロリン(praline)およびヒドロキシプロリン(22%)の含有量が著しく高い、19個のアミノ酸から成る。プロリン、ヒドロキシプロリン、およびグリシンの濃度がこのように高い(これらがアミノ酸の50%以上を占める)ことは、全てのタイプのコラーゲンの特徴である。第3のアミノ酸と共に反復性の配列を成形するこれらのアミノ酸は、コラーゲン前駆物質、トロポコラーゲン分子の3次元形状に重要な役割を果たす。
【0031】
この分子中では、アミノ酸鎖の長さは290nmであり、3重らせん構造を成している。トロポコラーゲンの5個の分子は縦に群となり、その長さの4分の1が重なり合って直径3.6nmのミクロフィブリルを成形している。更に、ミクロフィブリル群は四辺形構造に集まって直径約30nmのサブフィブリルを成形する。これらのサブフィブリルが集まって、結合組織の基本単位であるコラーゲンフィブリルを構成する。これらのフィブリルの直径は、組織の種類と動物の年齢に応じて50〜500nmに変わる。コラーゲンフィブリルは、コラーゲンの構造と完全性を保つ細胞外マトリックスで囲まれている(“Hierarchical Structure of Collagen Composite Systems”. E. Baer, J.J. Cassidy and A. Hiltner. Pure Appl. Chem. 1991、 63(7), 961-973)。最後に、これらのフィブリル群は共に繊維を成形し、更に、構成する組織に応じて様々な構造と配向の繊維の束および小束を成形して、必要とされる物理的機械的性質を持つ。このようなフィブリル様または繊維状構造が本出願の基本を成している。
【0032】
前述のように、本発明の咀嚼用/食用製品の繊維状マトリックスのコラーゲンは、ほぼ天然のコラーゲンまたは部分的に加水分解したコラーゲンであっても良いが、天然コラーゲンのフィブリル様構造を回復するよう再構築可能であり、いくつかの実施の形態では、ゼラチンや、コラーゲンの加水分解による他の副産物と組み合わせることもできる。
【0033】
同様に、コラーゲンは、例えば、スクシニル化、アシル化、メチル化、またはエステル化したコラーゲンなどの化学的に変性したコラーゲンであっても良い。
【0034】
このように、本発明の咀嚼用および/または食用製品の具体的な実施の形態においては、繊維状コラーゲンはどのような動物に由来するものであっても良く、また、天然物、部分加水分解物、または化学変性物であっても良い。
【0035】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、あらゆる形状またはデザインに成形した繊維状コラーゲンマトリックスと同じく、構造支持要素を含む。この支持体は、動物が噛めるマトリックスの支持に適したどのような材料から成るものでも良く、例えばプラスチックなどである。このように、例えば、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、構造支持要素としてプラスチック製の骨を備え、骨を取り巻く鶏肉の形に繊維状コラーゲンマトリックスを成形した、チキンドラムスティックの形状とすることができる。
【0036】
先に示したように、コラーゲンマトリックスは様々な水分含量にできるため、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、ドライ、セミウェット、またはウェットタイプである。
【0037】
このため、本発明のある実施の形態において、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜98重量%の繊維状コラーゲンを含んでいる。
【0038】
ある望ましい実施の形態では、本発明の製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜30%、望ましくは2〜20%、より望ましくは4〜12重量%の繊維状コラーゲンを含む、軟らかい咀嚼用および/または食用製品である。
【0039】
もう一つの望ましい実施の形態では、本発明の製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して75〜98%、望ましくは80〜95%、より望ましくは85〜95%、更に望ましくは85〜90重量%の繊維状コラーゲンを含む、乾燥した咀嚼用および/または食用製品である。
【0040】
前述のように、化学的架橋結合の生成を促す架橋物質を用いると、分散液をゲルに固定し、その後、咀嚼用および/または食用製品としての取り扱いと使用に必要な物理的機械的性質を与える。更に、これらの架橋剤を用いると、コラーゲンマトリックスにいくつかの非コラーゲン性分子を付着させることができる。
【0041】
このように、本発明の咀嚼用および/または食用製品の具体的な実施の形態では、繊維状マトリックスは1つ以上の架橋剤を含んでいる。使用する架橋剤としては様々な物質が挙げられる。望ましい本発明の実施の形態(但し、これに限らない)では、架橋剤は、アルデヒド類、望ましくはグリオキサール、グルタルアルデヒド、またはホルムアルデヒド;糖類;加工デンプン類;脂肪族、芳香族、または水素化芳香族ジイソシアナート類、望ましくはヘキサメチレンジイソシアナート;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;金属カチオン類、望ましくはアルミニウムまたは鉄カチオン類;油類および脂肪類、望ましくはポリ不飽和脂肪酸類;タンパク質-tanifying酵素類、望ましくは、アシルトランスフェラーゼ類、トランスグルタミナーゼ類(Ajinomoto、米国特許第5,968,568号(1999);Zymogenetics、国際公開第97/40701号パンフレット(1997))、ラッカーゼ、またはビリルビンオキシダーゼ;ジエポキシド類、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;変性メラミン樹脂、およびこれらの組み合わせから成る群より選ばれる。
【0042】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態においては、マトリックスは1つ以上の感覚刺激性添加剤を含む。この物質は、動物の感覚器(化学受容器または光受容器)を活性化させ、咀嚼用および/または食用製品の嗜好性を増すなど、感覚器を刺激するものであって、例えば、天然または合成芳香料または調味料、染料、発光または反射物質などである。ゆえに望ましい実施の形態では、感覚刺激性添加剤は、天然または合成物、有機または無機物であり、着色料、調味料、芳香料、発光物質、反射物質、およびこれらの組み合わせの中から選ぶことができる。
【0043】
着色料は、有機または無機物、天然または人工物であり、望ましくは、動物に対して無害または非毒性の、アナトー(annate)、鉄およびチタンの酸化物、コチニールカルミン、イカスミ、カラメル、グリッター(glitter)、インジゴ、クロロフィル類、アントシアニン類、カロテン類、クルクミン類、炭、発光または燐光物質、およびこれらの混合物から成る群より選ぶ。故に、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、先に述べたものなど既に食品工業で用いられている、1つ以上の着色料または色を変える顔料、物質、または粒子を含むことができる。これらの着色剤は、得ることのできる様々な設計の咀嚼用および/または食用製品に、よりリアルな、または奇抜な外観を与えることができる。
【0044】
調味料または芳香料は、望ましくは、タンパク質、ペプチド、タンパク質加水分解物、より望ましくは、脊椎および無脊椎動物の血液タンパク質、L−アミノ酸類、トリメチルグリシン、ヌクレオチド類、ヌクレオシド類、アルコール類、糖類、脂肪類、あるいは、生または加熱調理の香りに似た芳香を醸し出す天然または合成分子と組み合わせることのできる、肉、魚、または他の生物のエキスに相当するものであっても良い(但し、これらに限定しない)。
【0045】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態では、架橋剤により、感覚刺激性添加剤をコラーゲン分子に化学的に架橋させる。
【0046】
栄養価を上げるため、本発明の咀嚼用および/または食用製品に更に、動物、植物、または微生物由来の、組織化した(texturised)またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を、コラーゲンと様々な組み合わせおよび割合で加えることができる。
【0047】
このように、本発明の咀嚼用/食用製品の具体的な実施の形態において、マトリックスは、動物、植物、または微生物由来の、組織化した、またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を含んでいる。望ましい実施の形態では、非コラーゲン性タンパク質は、動物由来のタンパク質類、望ましくは、ケラチン、エラスチン、乳清、カゼイン、アルブミン、フィブリン、アクチン、ミオシン、ゼラチン、または血液タンパク質、植物由来のタンパク質類、望ましくは、小麦グルテン、ゼイン、あるいは大豆またはエンドウなどのマメ科種子のタンパク質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる。
【0048】
本発明の咀嚼用および/または食用製品のもう一つの具体的な実施の形態では、マトリックスは1つ以上の刺激物を含む。刺激物として認められる物質としては、索餌挙動を促す消化性活動を誘発するホルモン、性的活動の開始を誘発するホルモンなど、感覚の活性化では機能しない生理学的プロセスの活性化をねらいとするものが挙げられる。つまり、望ましい実施の形態において、このような刺激物は、消化性挙動のホルモン性誘導物質、索餌のホルモン性活性物質、繁殖活動のホルモン性活性物質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる。
【0049】
本発明の咀嚼用/食用製品のもう一つの具体的な実施の形態において、マトリックスは、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの組み合わせの中から選ばれる、1つ以上の添加剤を含む。
【0050】
強化剤およびゲル化剤はいずれも、コラーゲンゲルのテクスチャーを変えることのできる組織化調整剤(texturising agents)である。
【0051】
望ましい実施の形態では、強化剤は、セルロース繊維;キチンから誘導した多糖類、望ましくは、n−アセチルグルコサミンのポリマーまたはキトサン;デンプン類、望ましくはジアルデヒドデンプン;合成樹脂、望ましくは様々な加水分解度の加水分解ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル(vinyl polyacetate)またはポリビニルピロリドン;および、水溶性エステル化多糖類、望ましくはプロピレングリコール=アルギナート(PGA)(Higgins、米国特許第4,096,282号(1978))の中から選ばれる。更に、一部の具体的な実施の形態において、強化剤として、硬化したコラーゲンのフィラメント、硬化コラーゲンのロープまたは編んだフィラメント、硬化コラーゲンの薄織物または網、あるいは硬化コラーゲンのストリップまたは薄層を用いることが可能である。これらの強化剤を用いることで、繊維状構造を強化し、および/または、一般に、食用/咀嚼用製品の物理的−機械的性質を向上させることができる。
【0052】
もう一つの望ましい実施の形態において、ゲル化剤は、IIA族、望ましくはベリリウム、カルシウム、またはストロンチウム、IIB族、望ましくは、亜鉛またはカドミウム、あるいはIIIA族、望ましくはアルミニウム、の金属塩から成る群より選ばれるゲル化促進物質に結合した、セルロースエステル類、望ましくは、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースの群より選ばれるゲル化剤;ヒドロコロイド類、望ましくは、アルギナート類(alginates)(Easton、米国特許第4,614,794号(1986))、カラギナート類(carragenates)、アガー、フルセラレン類(furceralanes)、キトサン、グアーガム、ガロフィンガム(garrofin gum)、アラビアゴム、トラガカントガム、カラヤガム、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン類、グルコマンナン類(Maynard、米国特許第5,962,053号(1999))である群のゲル化剤;または、ゼラチン、組織化したタンパク質、または蜂蜜とすることができる。これらのゲル化促進物質は、これらが結合する挙げられた一部の成分のゲル化または錯体化を誘発することができる。
【0053】
これらのゲル化化合物は親水性の化合物であり、マトリックス中に水を保持し易くして、咀嚼用および/または食用製品の水和状態を延長することで、よりその新鮮な様相を長く保つ。これらは更に、製品の弾力性やその他の機械的性質を向上させる。望ましい実施の形態では、これらのゲル化剤は、マトリックスの総乾燥重量の0.1〜25%、望ましくは2〜10%、より望ましくは1.5〜5.5%の割合で用いられる。
【0054】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、可塑剤は、グリセロール、ソルビトール、ソルビタン、マンニトール、マルチトール、プロピレングリコール、エチレングリコール、パントテノール、またはプロピレングリコール=アルギナートなどの多価アルコール類、ポリマー系の糖類、サッカロース、またはマルトースの中から選ばれる。これらの低分子量の食用可塑剤は、タンパク質を可塑性の物質の中に分散し易くし、咀嚼用および/または食用製品の可塑性を向上させる。望ましい実施の形態では、これらの可塑剤は、マトリックスの総乾燥重量の10〜25%の割合で用いられる。
【0055】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、潤滑剤は、脂肪類、食用多価アルコール類のモノ、ジ、およびトリエステル類、植物油(望ましくは水添物)、鉱油、食用脂肪酸、リン脂質(望ましくはレシチン)、シリコーンオイル、およびムコ多糖類の中から選ばれる。
【0056】
本発明の咀嚼用および/または食用製品には、咀嚼用および/または食用製品の貯蔵期間を長くし、その性質とその新鮮な様相を保つため、新たな防腐剤および酸化防止剤を加えることができる。このように、本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、防腐剤および酸化防止剤は、アスコルビン酸、アスコルビン=パルミタート(ascorbic palmitate)、重亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エトキシチン(ethoxychine)、乳酸、酢酸、安息香酸、安息香酸ナトリウム、o−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、香辛料、および植物エキスの中から選ばれる。
【0057】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、治療および予防薬は、ワクチン、抗ウィルス剤、経口殺菌剤などの好ましくない微生物の増殖を防ぐ試剤、あるいは、あらゆる種類の栄養素欠乏症、感染性疾患、または他の病因に罹った動物を治療するための物質とすることができる。
【0058】
本発明のもう一つの望ましい実施の形態において、栄養剤は、目標とするペットの食餌に必要な、全てのビタミン類、ミネラル類、および小数元素類、またはこれらの複合体に相当する。
【0059】
本発明のもう一つの態様は、あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品の調製における、繊維状コラーゲンの使用を提示する。
【0060】
本発明のもう一つの態様は、前述の形状または3次元デザインのいずれかに成形された、繊維状コラーゲンマトリックスを提示する。
【0061】
本発明のもう一つの態様は、本発明のこの咀嚼用および/または食用製品の、先に示し、以下の工程を含む製造方法を提示する。
(a)酸性pHで繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する工程
(b)工程(a)で得られた分散液を成形する工程
【0062】
本方法の具体的な実施の形態では、工程(b)で成形した分散液を塩溶液中で凝固する。
【0063】
本発明のもう一つの具体的な実施の形態では、工程(b)で鋳型に入れた分散液をアルカリで中和する。
【0064】
本発明のもう一つの具体的な実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品を製造するための本方法は、工程(b)の前に、工程(a)で得られた分散液を1つ以上の架橋剤と混合する工程を含む。
【0065】
同様に、工程(a)で得られた、架橋剤を含む、または含まない繊維状コラーゲンの水溶液に、先に述べた必要に応じた他の成分を更に加えても良い。このように、もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品の本製造方法は、工程(b)の前に、工程(a)で得られた分散液を、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、刺激物、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の成分と混合する工程を含む。
【0066】
前述のように、コラーゲンは、水分含量の高い粘弾性の水性分散液とすることが可能で、約2または13のpHで最大の水分含量となり、これはタンパク質の最大膨潤点と一致することが知られている。しかし、酸性のpH値でより大きな水分含量となることから、押し出しまたは注入法には酸性分散液が望ましいと考えられる。
【0067】
コラーゲン分散液は、国際公開第92/01394号パンフレット、ドイツ国特許第642,922号、ドイツ国特許第659,490号、米国特許第2,920,000号、米国特許第3,123,481号、米国特許第3,123,653号、米国特許第3,314,861号、米国特許第3,664,844号、米国特許第4,196,223号、米国特許第4,407,829号、米国特許第4,615,889号、米国特許第5,411,887号、および、米国特許第5,940,849号に開示されているような、今まで数多くの特許に述べられている手法のいずれかで得ることができる。更に、米国特許第3,529,530号、米国特許第4,140,537号、米国特許第4,223,984号、米国特許第4,268,131号、および米国特許第5,456,745号に記載の方法のように、タンパク質分解酵素で処理した可溶性コラーゲンから生成した分散液も用いることができる。天然コラーゲンのフィブリル様構造は保持されているが、この分散液は、再構築が可能なように部分的に加水分解されていても良く、更に、記載の方法で得られた可溶性および不溶性繊維状コラーゲンの混合物から生成した分散液であっても良い。
【0068】
<繊維状コラーゲンの水性分散液の典型的な調製>
主に2つの方法で、天然材料(例えば、皮、腱、腸)からフィブリル様または繊維状コラーゲンを回収する。1)望ましくは皮または革を原材料とし、酸類(例えば、酢酸)、塩基類(例えば、NaOH)、または希釈した塩類(例えば、NaCl)でコラーゲンを溶解する。あるいは、非コラーゲナーゼタンパク質分解酵素(例えば、ペプシン、トリプシン、プロナーゼ、またはプロクターゼ(proctase))で酵素的消化を行い、アテロペプティック(atelopeptic)および再構築可能なフィブリル様コラーゲンの可溶画分を得る。または、2)以下に示すように、例えば、しばしばパンクレアチンの酵素作用(エラスチンのフィブリルの束を放出するため)を伴う機械的作用因の働きによって、コラーゲンを含む組織(皮膚真皮(skin chorium)および腱)から、繊維を固体および不溶物の形で抽出する。
【0069】
一般に、繊維状コラーゲン分散液を得るには(本発明の目的を構成しない態様)、哺乳動物、鳥類、は虫類、および魚類に由来する、様々な種類の結合組織(皮、腱、靱帯など)および/または消化組織(腸、胃など)を用いることができる。更に望ましくは、ウシおよび/またはブタ皮の真皮、および羊および/またはブタの腸が用いられる。繊維状コラーゲンの分散液を得る方法は、挙げられた豊富な文献に記述の方法のいずれでも良いが、望ましくは、以下に示す工程を含む方法を用いる。
【0070】
コラーゲン組織の材料として皮を用いる場合、全皮または脱毛処理した獣皮を用いることができる。
【0071】
新鮮な、塩漬けした、または凍結した皮が使用でき、これに以下の処理を行う。但し、その全てを行う必要はなく、また以下に示す順に厳密に従わなくても良い。
a)皮を洗い、水漬けして、汚れ、非コラーゲン性タンパク質を除き、コラーゲン繊維に水を含ませる。
b)毛の加水分解および除去を目的として、硫化物類およびアルカリ類を用いて脱毛する。
c)機械的に剥いで脂肪と非コラーゲン性タンパク質を除く。
d)2つの層に剥がし、真皮と表皮とを分ける。
e)機械的に切り刻む。
f)物理的、化学的、または酵素処理によって脱脂する。
g)精製、部分加水分解、およびコラーゲン繊維の構造を開くことを目的として、望ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カルシウムを用いてアルカリ処理を行う。
h)酸またはアンモニウム塩を用いて脱灰する。
i)塩酸などの無機酸、または、酢酸、乳酸などの有機酸を加えて酸処理を行い、コラーゲン繊維の膨潤に最も適したpHとする。
j)繊維を粉砕し、機械的に除去して、成形に用いる繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する。
【0072】
コラーゲン組織の材料が腸および/または腱である場合、使用する材料は新鮮、凍結、塩漬け、または塩水に漬けたものである。この組織は、皮に関する記述と同じ処理を行う。
a)付着している脂肪を機械的に、および/または手で除く。
b)切り刻む。
c)汚れ、非コラーゲン性タンパク質を除き、コラーゲン繊維に水を含ませるため、材料を洗い、水漬けする。
d)先の場合と同様に、精製、部分加水分解、およびコラーゲン繊維構造を開くため、望ましくは水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カルシウムを用いてアルカリ処理を行う。
e)酸またはアンモニウム塩を用いて脱灰する。
f)コラーゲン繊維の膨潤に最も適したpHとするため、塩酸などの無機酸、または、酢酸、乳酸などの有機酸の作用によって酸処理を行う。
g)繊維を機械的に粉砕し、除去して、成形に用いる繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する。
【0073】
単独で、または前述のものと組み合わせて使用するための可溶性フィブリル様コラーゲンの分散液を得る場合、当該技術で公知のいずれの方法も推奨される。参照として、ミヤタによる米国特許第4,268,131号(1981)に記述の方法を用いる。
【0074】
コラーゲン混合物を作るコラーゲンの物理化学的特性に応じて、異なる構造のコラーゲン分散液の混合物と同様に、異なる動物および/または組織を材料とするコラーゲン混合物を用いることができる。
【0075】
この方法で得られた分散液の適当なコラーゲン含量は水を加えることで調節可能であり、またこの希釈工程の間にpHも調整し、望ましくは1.5〜4.0の範囲に収める。
【0076】
先に言及したもの(架橋剤、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、またはこれらの組み合わせ)などの、関連する様々な成分も添加できるが、その一部は後の工程で水性コラーゲン分散液に加えても良い。
【0077】
次に、必要であればこれに機械的均質化処理を行ってコラーゲン繊維を適当なサイズまで小さくし、成形操作を行い易くする。
【0078】
この処理は、コラーゲンの変性または分解が殆ど起こらない温度で行う。
【0079】
コラーゲン組織の材料および/または繊維状コラーゲンの水性分散液のpHが4.0以下、および/または10以上であるような処理は全て、コラーゲンのフィブリル様構造を保ちつつ、その好ましくないゼラチンへの転化を防ぐため、25℃以下の温度で行う。その理由は、この温度からフィブリル様コラーゲンの物理化学的および機械的性質が全て劣化し始めるからである。
【0080】
本発明の文中において“繊維状コラーゲンの水性分散液”とは、前述のように、望ましくは繊維状コラーゲンを基としているが、単一の水性分散液、あるいは、予めまたは同時に異なる性質または組成の2つ以上の水性分散液を生成したものを混合した結果を指すと理解しなければならないことを示す必要がある。例えば、本発明の咀嚼用および/または食用製品を斬新なデザインのものとするための着色剤、または先に言及した成分のいずれかなど、この分散液の成分の1つ以上を変えることができる。
【0081】
望ましくは酸性である繊維状コラーゲンの水性分散液に成形処理を行って様々な形状および図形とし、続いて必要に応じて定着またはゲル化処理を行うことができる。
【0082】
本発明の咀嚼用および/または食用製品の形状に関しては、ペット類を模したもの、一部のペットの自然の獲物、更にまた、抽象的、幾何学的図形、および非幾何学的図形など、数多くの形状を作ることができる。
【0083】
このように、本発明の具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は幾何学的形状に成形されている。望ましい実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は管形またはロープ形より選ばれる幾何学的形状に成形されている。より望ましい実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、円筒形ロープおよび非円筒形ロープの中から選ばれるロープの形状に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、300μm以上の壁厚を持つ管の形状に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態において、ロープまたは管の表面の部分にはすじが付けられており、および/または横方向または縦方向のセグメントに分割されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、ロープまたは管は、らせん状となるよう捻られている。もう一つのより望ましい実施の形態では、ロープまたは管は、異なる組成およびテクスチャーを備えることが可能ないくつかの同心円の層を持つ。
【0084】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、球形、長球形、多面体形、および半多面体形(subpolyhedric)の中から選ばれる幾何学的形状に成形されている。
【0085】
もう一つの具体的な実施の形態では、本発明の咀嚼用および/または食用製品は、物体の形または動物の形の中から選ばれる非幾何学的形状に成形されている。望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は骨の形に成形されている。もう一つの具体的な実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、ペットまたはペットの自然の獲物と考えられる動物の形に成形されている。もう一つのより望ましい実施の形態では、咀嚼用および/または食用製品は、哺乳類、虫(ワーム)、両生類、は虫類、魚類、軟体動物、甲殻類、または棘皮動物の形に成形されている。もう一つの更に望ましい実施の形態では、食用および/または咀嚼用製品は、イヌ、ネコ、ネズミ、ミミズ、海棲多毛類、カエル、サンショウウオ、イモリ、トカゲ、ヨーロッパフナ、イカ、カニ、またはヒトデの形に成形されている。
【0086】
これらの望ましい実施の形態および図形の一部を図に示す。説明のためのこれらも本発明に含まれる。以下に示す例は本発明を説明するためのものであって、いかなる方法であってもその可能な用途を制限するものではない。
【実施例】
【0087】
望ましい実施の形態において、繊維状コラーゲンと、必要に応じて、1つ以上の挙げられた成分との水性分散液の混合物を、様々な長さのロープ(図1A)などの円筒形に成形する。もう一つの望ましい実施の形態では、前記ロープは両端に結び目を持ち、伝統的な“ノッテドハイド(knotted hides)”様である(図1B)。
【0088】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、規則的な星形断面を持つロープに成形する(図2)。
【0089】
更に、ロープの断面は、その形に関わらず、組成の異なるいくつかの同心円の層または膜を含むことも可能である(図3)。示したように、このような膜の組成物の配合は変えることができる。他の望ましいバリエーションでは、これらの同心円膜の組成は、最も外側の膜であっても、先に示したように、様々な割合で混合した1つまたはいくつかの追加の非コラーゲン性物質、より望ましくは、ゲル化剤(望ましくはヒドロコロイド類)、感覚刺激性添加剤、および強化剤に分類されるものを含んでいても良い。このような被覆物の配合には、例えば、ある異なる種類の色、異なる粒子、および感覚刺激性添加剤と考えられている物質または分子を含むことができる。図3は、組成の異なる同心円の層を濃さの異なる灰色で示している。
【0090】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、様々な長さの管状に成形する(図4)。管の内部空間は直径の幅の範囲までとすることができ、外側表面は、平滑、セグメント化、あるいは、横方向または縦方向にすじを付けることができる。
【0091】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、細長い管を直径と長さが等しいセグメントに切ったものに成形する(図5)。
【0092】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、球形、長球形、または楕円形に成形する(図6)。
【0093】
望ましい実施の形態では、混合物を、伝統的な“イヌの骨”様の想像上の骨の形に成形する(図7)。
【0094】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、リアルなまたはデフォルメしたネズミの形に成形する(図8)。
【0095】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、すじを付けた、または想像上のワームの輪のように横にセグメント化した、組成を変えることのできるいくつかの同心円の層から成る、可変長の細長い円筒形ロープの形に成形する(図9)。
【0096】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、あらゆる種類または大きさの、リアルなまたはデフォルメした魚の形に成形する(図10)。
【0097】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、あらゆる種類または大きさの海棲多毛類の蠕虫の形に成形する(図11)。
【0098】
もう一つの具体的な実施の形態では、混合物を、イカを模した形に成形する(図12)。
【0099】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、ミミズなどの土中の蠕虫を模した形に成形する(図13)。
【0100】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、カエルに似た形に成形する(図14)。
【0101】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、サンショウウオまたはイモリの形に成形する(図15)。
【0102】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、カニに似た形に成形する(図16)。
【0103】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、肉様の外見に作った繊維状コラーゲンマトリックスの構造支持要素としてプラスチック製の骨を備えた、チキンドラムスティックの形に成形する(図17)。
【0104】
もう一つの望ましい実施の形態では、混合物を、らせん形となるよう捻った管の形に成形する(図18)。
【0105】
一般に、このようにして得られた繊維状コラーゲンを材料とする本発明の咀嚼用および/または食用製品は、しっかりしたコンシステンシーと、水およびその他の添加剤の含量に応じて硬いまたは軟らかいテクスチャーと、艶やかな表面と、湿った外見を持つ。これは肉に似ており、繊維状コラーゲンの水性分散液に加えられた色とそれに与えた形状に応じて、本製品は、ここに示したように、ペット用のおもちゃや餌の良好な模造品となり、臭いに敏感な我々の動物を引きつけることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】円筒形ロープ(図1A)または両端に結び目を備えた円筒形ロープ(図1B)の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図2】規則的な星形断面を持つ非円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図3】組成の異なるいくつかの同心円の層から成る円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図4】管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図5】直径と長さが同じセグメントに切った管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図6】球の形および長球または卵の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図7】骨の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図8】ネズミの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図9】組成の異なるいくつかの同心円の層から成り、すじをつけた、または横にセグメント化した円筒形ロープの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図10】魚の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図11】海棲多毛類の蠕虫の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図12】イカの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図13】ミミズの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図14】カエルの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図15】サンショウウオまたはイモリの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図16】カニの形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図17】肉に似せて作った繊維状コラーゲンマトリックスの構造支持体としてプラスチック製の骨を備えた、チキンドラムスティックの形に作った、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【図18】らせん形となるよう捻った管の形に成形した、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための咀嚼用および/または食用製品を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品。
【請求項2】
請求項1に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記繊維状コラーゲンは、あらゆる動物を材料源とし、更に、天然物、部分加水分解物、または化学変性物であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、あらゆる形状またはデザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックスに加えて、構造支持要素を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜98重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項5】
請求項4に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜30重量%の繊維状コラーゲンを含む、柔らかな咀嚼用および/または食用製品であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項6】
請求項5に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜20重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項7】
請求項6に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して4〜12重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項8】
請求項4に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して75〜98重量%の繊維状コラーゲンを含む、乾燥した咀嚼用および/または食用製品であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項9】
請求項8に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して80〜95重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項10】
請求項9に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して85〜95重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項11】
請求項10に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して85〜90重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは1つ以上の架橋剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項13】
請求項12に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記架橋剤は、アルデヒド類、望ましくはグリオキサール、グルタルアルデヒド、またはホルムアルデヒド;糖類、加工デンプン類;脂肪族、芳香族、または水素化芳香族ジイソシアナート類、望ましくはヘキサメチレンジイソシアナート;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;金属カチオン類、望ましくはアルミニウムまたは鉄カチオン類;油類および脂肪類、望ましくはポリ不飽和脂肪酸類;タンパク質-tanifying酵素類、望ましくは、アシルトランスフェラーゼ類、トランスグルタミナーゼ類、ラッカーゼ、またはビリルビンオキシダーゼ;ジエポキシド類、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;変性メラミン樹脂;および、これらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、1つ以上の感覚刺激性添加剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項15】
請求項14に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記感覚刺激性添加剤は、天然または合成物、有機または無機物であり、着色料、調味料、芳香料、発光物質、反射物質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記感覚刺激性添加剤は、架橋剤によりコラーゲン分子に化学的に架橋されることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、動物、植物、または微生物由来の、組織化した(texturised)またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項18】
請求項17に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記非コラーゲン性タンパク質は、動物由来のタンパク質類、望ましくは、ケラチン、エラスチン、乳清、カゼイン、アルブミン、フィブリン、アクチン、ミオシン、ゼラチン、または血液タンパク質、植物由来のタンパク質類、望ましくは、小麦グルテン、ゼイン、または大豆またはエンドウなどのマメ科種子のタンパク質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは1つ以上の刺激物を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項20】
請求項19に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記刺激物は、消化挙動のホルモン性誘導物質、索餌のホルモン性活性物質、繁殖活動のホルモン性活性物質、およびこれらの混合物の中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の添加剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項23】
請求項22に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、管およびロープの中から選ばれる幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項24】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、円筒形ロープまたは非円筒形ロープより選ばれるロープの形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項25】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、300μm以上の壁厚を持つ管の形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項26】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管の表面は、すじを付けられており、および/または横方向または縦方向にセグメント化されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項27】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管は、らせん形となるよう捻られていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項28】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管は、異なる組成およびテクスチャーを備えることが可能な、いくつかの同心円の層を持つことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項29】
請求項22に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、球形、長球形、多面体形、および半多面体形(subpolyhedric)の中から選ばれる幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項30】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、物体の形または動物の形の中から選ばれる非幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項31】
請求項30に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、骨の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項32】
請求項30に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、ペットまたはペットの自然の獲物と考えられている動物の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項33】
請求項32に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、哺乳類、虫(ワーム:worm)、両生類、は虫類、魚類、軟体動物、甲殻類、または棘皮動物の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項34】
請求項33に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、イヌ、ネコ、ネズミ、ミミズ、海棲多毛類の蠕虫、カエル、サンショウウオ、イモリ、トカゲ、ヨーロッパフナ、イカ、カニ、またはヒトデの形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項35】
主に、あらゆる形状またはデザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品の調製における繊維状コラーゲンの使用。
【請求項36】
請求項22から請求項34のいずれか1項に記載の、あらゆる形状または3次元デザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックス。
【請求項37】
ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
(a)酸性pHにおいて繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた分散液を成形する工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項38】
請求項37に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)で成形された前記分散液は、塩溶液中で凝固されることを特徴とする製造方法。
【請求項39】
請求項37に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)で成形された前記分散液は、アルカリで中和されることを特徴とする製造方法。
【請求項40】
請求項37から請求項39のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)の前に、工程(a)で得られた前記分散液を1つ以上の架橋剤と混合する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項41】
請求項37から請求項40のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)の前に、工程(a)で得られた前記分散液を、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、刺激物、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の成分と混合する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項1】
あらゆる形状またはデザインに成形された、主に繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品。
【請求項2】
請求項1に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記繊維状コラーゲンは、あらゆる動物を材料源とし、更に、天然物、部分加水分解物、または化学変性物であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、あらゆる形状またはデザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックスに加えて、構造支持要素を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜98重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項5】
請求項4に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜30重量%の繊維状コラーゲンを含む、柔らかな咀嚼用および/または食用製品であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項6】
請求項5に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して2〜20重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項7】
請求項6に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して4〜12重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項8】
請求項4に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して75〜98重量%の繊維状コラーゲンを含む、乾燥した咀嚼用および/または食用製品であることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項9】
請求項8に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して80〜95重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項10】
請求項9に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して85〜95重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項11】
請求項10に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、マトリックスの総湿潤重量に対して85〜90重量%の繊維状コラーゲンを含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは1つ以上の架橋剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項13】
請求項12に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記架橋剤は、アルデヒド類、望ましくはグリオキサール、グルタルアルデヒド、またはホルムアルデヒド;糖類、加工デンプン類;脂肪族、芳香族、または水素化芳香族ジイソシアナート類、望ましくはヘキサメチレンジイソシアナート;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル;金属カチオン類、望ましくはアルミニウムまたは鉄カチオン類;油類および脂肪類、望ましくはポリ不飽和脂肪酸類;タンパク質-tanifying酵素類、望ましくは、アシルトランスフェラーゼ類、トランスグルタミナーゼ類、ラッカーゼ、またはビリルビンオキシダーゼ;ジエポキシド類、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;変性メラミン樹脂;および、これらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、1つ以上の感覚刺激性添加剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項15】
請求項14に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記感覚刺激性添加剤は、天然または合成物、有機または無機物であり、着色料、調味料、芳香料、発光物質、反射物質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記感覚刺激性添加剤は、架橋剤によりコラーゲン分子に化学的に架橋されることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、動物、植物、または微生物由来の、組織化した(texturised)またはしていない、1つ以上の非コラーゲン性タンパク質を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項18】
請求項17に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記非コラーゲン性タンパク質は、動物由来のタンパク質類、望ましくは、ケラチン、エラスチン、乳清、カゼイン、アルブミン、フィブリン、アクチン、ミオシン、ゼラチン、または血液タンパク質、植物由来のタンパク質類、望ましくは、小麦グルテン、ゼイン、または大豆またはエンドウなどのマメ科種子のタンパク質、およびこれらの組み合わせの中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項19】
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは1つ以上の刺激物を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項20】
請求項19に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記刺激物は、消化挙動のホルモン性誘導物質、索餌のホルモン性活性物質、繁殖活動のホルモン性活性物質、およびこれらの混合物の中から選ばれることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記マトリックスは、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の添加剤を含むことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項22】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項23】
請求項22に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、管およびロープの中から選ばれる幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項24】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、円筒形ロープまたは非円筒形ロープより選ばれるロープの形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項25】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、300μm以上の壁厚を持つ管の形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項26】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管の表面は、すじを付けられており、および/または横方向または縦方向にセグメント化されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項27】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管は、らせん形となるよう捻られていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項28】
請求項23に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記ロープまたは管は、異なる組成およびテクスチャーを備えることが可能な、いくつかの同心円の層を持つことを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項29】
請求項22に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、球形、長球形、多面体形、および半多面体形(subpolyhedric)の中から選ばれる幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項30】
請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、物体の形または動物の形の中から選ばれる非幾何学的形状に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項31】
請求項30に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、骨の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項32】
請求項30に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、ペットまたはペットの自然の獲物と考えられている動物の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項33】
請求項32に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、哺乳類、虫(ワーム:worm)、両生類、は虫類、魚類、軟体動物、甲殻類、または棘皮動物の形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項34】
請求項33に記載の咀嚼用および/または食用製品であって、
前記咀嚼用および/または食用製品は、イヌ、ネコ、ネズミ、ミミズ、海棲多毛類の蠕虫、カエル、サンショウウオ、イモリ、トカゲ、ヨーロッパフナ、イカ、カニ、またはヒトデの形に成形されていることを特徴とする咀嚼用および/または食用製品。
【請求項35】
主に、あらゆる形状またはデザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックスから成る、ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品の調製における繊維状コラーゲンの使用。
【請求項36】
請求項22から請求項34のいずれか1項に記載の、あらゆる形状または3次元デザインに成形された繊維状コラーゲンマトリックス。
【請求項37】
ペットおよびその他の動物、特にコンパニオンアニマルのための、咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
(a)酸性pHにおいて繊維状コラーゲンの水性分散液を調製する工程と、
(b)工程(a)で得られた分散液を成形する工程と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項38】
請求項37に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)で成形された前記分散液は、塩溶液中で凝固されることを特徴とする製造方法。
【請求項39】
請求項37に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)で成形された前記分散液は、アルカリで中和されることを特徴とする製造方法。
【請求項40】
請求項37から請求項39のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)の前に、工程(a)で得られた前記分散液を1つ以上の架橋剤と混合する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項41】
請求項37から請求項40のいずれか1項に記載の咀嚼用および/または食用製品の製造方法であって、
工程(b)の前に、工程(a)で得られた前記分散液を、感覚刺激性添加剤、非コラーゲン性タンパク質、刺激物、強化剤、ゲル化剤、可塑剤、潤滑剤、防腐剤および酸化防止剤、治療および予防薬、栄養剤、およびこれらの混合物の中から選ばれる、1つ以上の成分と混合する工程を含むことを特徴とする製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−17841(P2008−17841A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−174288(P2007−174288)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(305060017)ビスコファン・ソシエダッド・アノニマ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174288(P2007−174288)
【出願日】平成19年7月2日(2007.7.2)
【出願人】(305060017)ビスコファン・ソシエダッド・アノニマ (3)
【Fターム(参考)】
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