説明

ペット用の自動給餌器

【課題】 第1に、人手を介することなく自動的かつ安定的に、必要な一定量の餌を、繰り返し供給できると共に、第2に、しかもこれが簡単容易に実現される、ペット用の自動給餌器を提案する。
【解決手段】 この自動給餌器は、餌Bを投入,ストック可能な収納部1と、収納部1の下部の開口8を開閉可能なローラ12等の開閉手段2と、収納部1の開口8下に位置し餌Bが落下可能な容器部3と、容器部3を揺動可能に支持する支点軸部5と、容器部3と開閉手段2との間に介装され、容器部3の上位置Hと開閉手段2の開位置Fとを同期連動させると共に、容器部3の下位置Jと開閉手段2の閉位置Gとを同期連動させる介装機構6と、を有してなる。そして容器部3は、一定量の餌Bが落下して載っている状態やペットAが前足を乗せた状態では、下位置Jを取り、それ以外の状態では、上位置Hを取るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペット用の自動給餌器に関する。すなわち、猫,犬,その他のペット用に、餌を自動的に供給する給餌器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】猫,犬,その他のペットへの給餌は、従来より一般的に、飼い主等が食事の都度、皿等に餌を載せて与えることにより行われている。又、猫,犬,その他のペット用の給餌器は、従来、すべて手動式よりなっていた。すなわち、従来の給餌器は、食事の都度、飼い主等が手動操作することにより、一定量つまり一回分の餌を、ストック用の収納部から皿等の容器へと、供給する方式よりなっていた。このように従来は、給餌器を用いると否とを問わず、人手を介したペットへの給餌作業が、食事の都度必須的に行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来例にあっては、次の問題が指摘されていた。すなわち、例えば飼い主が旅行や出張等でペットを置いて短期間留守にする場合や、飼い主が体の不自由な人や老人等の場合、更にはペットホテルや動物病院の場合、等々において、食事の都度のペットへの給餌作業が人手を要し面倒で煩わしい、という問題が指摘されていた。
【0004】本発明は、このような実情に鑑み、上記従来例の問題を解決すべく、発明者の鋭意研究努力の結果なされたものであって、所定のストック用の収納部、収納部の開口を開閉するローラ等の開閉手段、上位置と下位置に揺動可能でエプロンボード付の容器部、その支点軸部、バランスウェイト等を備え開閉手段と容器部とを連動させる介装機構、これらの全体ケース、等々を有してなることにより、第1に、自動的かつ安定的に、必要な一定量の餌を、繰り返し供給できると共に、第2に、しかもこれが簡単容易に実現される、ペット用の自動給餌器を提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。すなわち、この請求項1のペット用の自動給餌器は、猫,犬,その他のペット用に、餌を自動的に供給する給餌器に関する。そして、次の収納部,開閉手段,容器部,支点軸部,介装機構、等を有してなる。すなわち、内部に餌を投入,ストック可能で下部に開口を備えた収納部と、該収納部の開口を開位置と閉位置とに移動することにより開閉可能な開閉手段と、該収納部の開口下に位置し該餌が該開口を介し落下可能な容器部と、該容器部を上位置と下位置とに揺動可能に支持する支点軸部と、該容器部と該開閉手段とに間に介装され、該容器部の上位置と該開閉手段の開位置とを同期連動させると共に、該容器部の下位置と該開閉手段の閉位置とを同期連動させる介装機構と、を有してなる。そして該容器部は、一定量の餌が落下して載っている状態やペットが食事に際し前足を乗せた状態では、下位置を取り、それ以外の状態では上位置を取ること、を特徴とする。
【0006】次に、請求項2については次のとおり。すなわち、この請求項2のペット用の自動給餌器は、請求項1に記載したペット用の自動給餌器において、該介装機構は、該容器部を上位置へと常時付勢するバランスウェイトやスプリング等の付勢手段を備えてなる。そして、該付勢手段の付勢力は、該容器部上の一定量の該餌および該容器部の重量や、該容器部に前足を乗せたペットの自重よりは、弱く設定されると共に、該容器部の重量よりは強く設定されていること、を特徴とする。請求項3については、次のとおり。すなわち、この請求項3のペット用の自動給餌器は、請求項2に記載したペット用の自動給餌器において、該介装機構は、該支点軸部より後側の該容器部から立設された縦フレームと、該縦フレームの上部にヒンジを介し基端が取付けられた横フレームと、を備えてなる。又、該開閉手段は、該介装機構の横フレーム先端に取付けられたローラよりなる。更に、該ローラの開位置と閉位置間の移動を案内するガイドが、該ローラに付設されていること、を特徴とする。
【0007】次に、請求項4については次のとおり。すなわち、この請求項4のペット用の自動給餌器は、請求項1に記載したペット用の自動給餌器において、該容器部は、前側にエプロンボードを備えてなり、該エプロンボードは、ペットが食事に際し前足を乗せるべく位置すること、を特徴とする。請求項5については次のとおり。すなわち、この請求項5のペット用の自動給餌器は、請求項3又は請求項4に記載したペット用の自動給餌器において、この自動給餌器は、略箱状をなす全体ケースを備えてなる。そして、該全体ケース内の上部に該収納部が、中位に該ガイドがそれぞれ固定され、下部上に該支点軸部が配されている。又、該全体ケース内に、該開閉手段のローラ、該容器部、該介装機構の縦フレームや横フレーム等が、それぞれ可動に配されている。これと共に、該全体ケースの前側下部に、開口穴が形成されている。該開口穴は、ペットが頭を挿入可能な程度の大きさよりなると共に、該開口穴の下部に該容器部の前部が臨み、該容器部のエプロンボードが、該開口穴を介し外部へと延出されている。そして、該容器部が上位置を取ると、該開口穴を介してのペットの頭の挿入が不能となること、を特徴とする。
【0008】本発明に係るペット用の自動給餌器は、このようになっているので、次のようになる。
■初期状態では、容器部上に餌が載っておらず、容器部は、介装機構のバランスウェイトやスプリング等の付勢手段の付勢力により、上位置にあり、介装機構の縦フレーム,ヒンジ,横フレーム等を介し、ローラ等の開閉手段は、開位置にある。
■上部の収納部にストック用の餌が投入されると、餌が収納部の下部の開口から、下部の容器部へ落下する。
■一定量の餌が落下すると、餌と容器部の重量に基づき付勢手段の付勢力に抗し、容器部は、上位置から下位置へと支点軸部を中心に揺動,降下し、介装機構を介し開閉手段は、ガイドに案内されつつ押動されて、開位置から閉位置へと移動する。
■このようにして、容器部は一定量の餌を載せて下位置に、開閉手段は閉位置にあり、収納部の開口は閉鎖されている。
【0009】■さて事後、ペットは、容器部のエプロンボードに前足を乗せると共に、全体ケースの開口穴から頭を挿入して、容器部上の餌を食べ始める。
■食事を終了しても、前足がエプロンボード上に乗っているので、容器部は下位置、開閉手段も閉位置のままであり、ペットの頭上に餌が落下することはない。
■食事が終了したペットは、エプロンボード上から前足を外すと共に、全体ケースの開口穴から頭を外に出して、立ち去る。すると、一定量の餌が載っていない容器部は、付勢手段の付勢力に基づき下位置から上位置へと揺動,上昇し、介装機構を介し開閉手段は、引張られて閉位置から開位置へと移動する。
■もって、収納部の開口が開放され、ストックされていた餌が容器部へと落下する。
■容器部上の餌が一定量に達すると、餌と容器部の重量に基づき、容器部は、上位置から下位置へと揺動,降下し、開閉手段は、開位置から閉位置へと移動する。
【0010】以下、ステップ■へとリターンし、その後は、ステップ■,■,■,■,■を繰り返す。なお、ステップ■や■での餌の落下中において、容器部そしてエプロンボードは上位置にあり、ペットは、全体ケースの開口穴から頭を挿入不能であり、餌を食べることは出来ない。これに対し、ペットがエプロンボードに前足を乗せると、容器部は、ペットの自重に基づき上位置から下位置へ揺動,降下し、開閉手段も開位置から閉位置へ移動して、餌の落下が停止され、ステップ■にて餌を食べることが出来るようになる。さて、このような各ステップを辿ることにより、自動的かつ安定的に、必要な一定量の餌を、ペットに対して繰り返し供給できるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4,図5等は、本発明の実施の形態の説明に供する。そして、図1は要部の側断面図であり、図1の(1)図は、容器部が下位置で開閉手段が閉位置の状態を示し、図1の(2)図は、容器部が上位置で開閉手段が開位置の状態を示す。図2の(1)図は、開閉手段の側面図、図2の(2)図は、全体の外観斜視図である。図3は側面説明図であり、(1)図は、容器部上へ餌が落下中の状態を、図3の(2)図は、容器部上に一定量の餌が載っている状態を、図3の(3)図は、ペットが食事中の状態を、図3の(4)図は、ペットが食事を終えた直後の状態を、図3の(5)図は、ペットが食事を終えて離れた状態を、図3の(6)図は、容器部上へ餌の落下が開始された状態を、それぞれ示す。図4は、他の例の説明に供する要部の側断面図であり、図4の(1)図は、容器部が下位置で開閉手段が閉位置の状態を示し、図4の(2)図は、容器部が上位置で開閉手段が開位置の状態を示す。図5は、更に他の例の説明に供する要部の側断面図であり、図5の(1)図,(2)図,(3)図は、開閉手段の各種例を示し、図5の(4)図は、容器部の他の例を示す。
【0012】まず、図1を参照しつつ、この自動給餌器の構成について説明する。この自動給餌器は、猫,犬,リス,うさぎその他の各種ペットA(図3を参照)用に、餌Bを自動的に供給する。代表例としては、猫に給餌するものである。そして、次の収納部1,開閉手段2,容器部3,ガイド4,支点軸部5,介装機構6,全体ケース7、等を有してなる。これらの材質としては、金属製,プラスチック製,木製,その他各種のものが、使用可能である。
【0013】これらについて詳述すると、まず収納部1は、図1に示したように、内部に餌Bを投入,ストック可能であると共に、下部に開口8を備えてなる。このような収納部1について、更に詳述する。この収納部1は、いわゆる餌入れ・保管箱であり、ペットA一匹の1〜2週間分の餌Bを内部にストック可能な箱状をなし、自動給餌器の上部に配設されている。そして、上面に餌B投入用の開閉蓋9が取付けられると共に、下部に餌B落下用の落下口たる開口8が形成されている。又、この開口8は、前側Cが下位に後側Dが上位となるように、傾斜している。つまり、開口8を形成する収納部1の底板は、前後から中央に向け下降傾斜しているが、前側Cのものが、より下位まで下降傾斜されると共に、後側Dのものが、より上位までしか下降傾斜されておらず、両者の下端間に段差が形成されており、このような両者間が開口8となっている。
【0014】なお図中10は、乾燥剤Eの収納ケースである。この収納ケース10は、収納部1の頂板の裏面に付設されており、乾燥剤Eを入れておくことにより、収納部1にストックされた餌Bが湿気を帯びることを、長期間にわたって防止する。ところで、収納部1に投入,ストックされる餌Bとしては、図示例のように小塊状や粒状をなす固形餌が代表的であるが、更に粉状餌も使用可能であり、液状餌への適用も考えられる。収納部1等は、このようになっている。
【0015】次に、開閉手段2やガイド4について、図1R>1に加え図2の(1)図も参照しつつ説明する。開閉手段2は、収納部1の開口8を、開位置Fと閉位置Gとに移動することにより、開閉可能である。このような開閉手段2について、更に詳述する。図示例では、このような開閉手段2として、後で詳述する介装機構6の横フレーム11先端に、軸着により取付けられたローラ12が用いられており、ローラ12の開位置Fと閉位置G間の移動を案内するガイド4が、ローラ12に付設されている。すなわち、ガイド4としては、収納部1の側下に横の水平姿勢にて固定されたガイドレールが用いられている。開閉手段2たるローラ12は、肉厚が厚く・軸方向の寸法が長く、ガイド4上を転動しつつ、収納部1下において前後に移動可能となっている。そして、後側Dへの移動限が開位置Fとなって、収納部1の開口8下から退避してこれを開放し(図1の(2)図を参照)、又、前側Cへの移動限が閉位置Gとなって、収納部1の開口8下に密接してこれを閉鎖する(図1の(1)図を参照)。
【0016】なお開閉手段2は、このような図1等に示したローラ12以外にも、各種の公知方式のものを採用可能である。例えば、図5の(1)図に示したように、ガイド4上を前後に摺動可能な傾斜ブロック体を、開位置Fと閉位置Gとに移動可能な開閉手段2として、用いることも可能である。又、図5の(2)図や(3)図に示したように、収納部1内にて上下動可能な円柱,角柱状(更には、球状,円錐台状)のブロック体を、開位置Fと閉位置Gとに移動可能な開閉手段2として、用いることも可能である。図5の(2)図や(3)図に示した例は、餌Bとして粉状餌が用いられる場合に、好適である。又、この図5の(2)図や(3)図に示した例の場合は、後で詳述する介装機構6について、縦フレーム13の傾動を上下動に変換する部材が、途中に介装されることになる。開閉手段2やガイド4は、このようになっている。
【0017】次に、容器部3や支点軸部5について述べる。図1に示したように、容器部3は、収納部1の開口8下に位置し、餌Bが開口8を介し落下可能となっている。これと共に容器部3は、支点軸部5にて上位置Hと下位置Jとに揺動可能に支持されており、一定量の餌Bが落下して載っている状態や、ペットAが食事に際し前足を乗せた状態では、下位置Jを取り、それ以外の状態では、上位置Hを取る。
【0018】このような容器部3等について、更に詳述する。容器部3は、いわゆる餌容器,受け皿であり、例えば一匹のペットAの1回分に相当する食事量の餌B、つまり一定量の餌Bを載せることが可能な、上面が開放された浅い箱状・トレー状をなし、自動給餌器の下部に配設されている。この容器部3は、上部の収納部1の開口8下に、上下間隔を存しつつ位置しており、開口8から落下してきた餌Bを、受けて載せるに足る位置および大きさに設定されている。図示例の容器部3は、底板14と、底板14上に固定された前側Cと左右両側の低い側板15と、底板14上に固定されると共に介装機構6としても兼用されている後側Dの板状の縦フレーム13と、で囲まれて形成されている。底板14は、縦フレーム13の固定位置より更に後側Dへと延設されている。
【0019】支点軸部5は、支点を形成するレバーよりなり、容器部3の底板14の後側D寄りの下面に、取付け固定されている。又、容器部3について、支点軸部5より前側Cに、餌Bが落下して載せられる位置関係となっており、支点軸部5より僅かに後側Dから縦フレーム13が立設されている。そこで、容器部3の底板14は、支点軸部5を支点としたテコを形成し、力のモーメントにより、支点軸部5より前側Cに重心がある場合、容器部3は揺動,降下して下位置Jを取り、支点軸部5より後側Dに重心がある場合、容器部3は揺動,上昇して上位置Hを取る。
【0020】このように容器部3は、支点軸部5を支点として、横・水平姿勢の下位置Jと、前側Cを後側Dより上位としてた傾斜姿勢の上位置Hとに、揺動可能となっている。そして、一定量の餌Bが容器部3上に載っている状態や、ペットAが食事に際し前足を容器部3のエプロンボード16上に乗せた状態では、重心が前側Cにあり、容器部3は下位置Jを取る。これに対し、一定量の餌Bが容器部3上に載っていない状態で、ペットAが前足をエプロンボード16上に乗せていない状態では、重心が後側Dに来るように、後で詳述する付勢手段17の付勢力が設定されており、容器部3は上位置Hを取る。
【0021】ところで容器部3は、上述したように前側Cにエプロンボード16を備えてなり、エプロンボード16は、ペットAが食事に際し前足を乗せるべく位置し、(後述する図3も参照)、表面に滑り止めが付設されている。図示例のエプロンボード16は、容器部3の底板14の前側Cの端部下から、更に前側Cに向け張り出し固定された板体よりなる。又、容器部3の構成は、このような図示例に限定されるものではなく、その他各種の例も可能である。例えば、図5の(4)図にはその1例が示されており、この容器部3は、底板14上に、餌Bが落下して載せられる皿18が固定されており、底板14の前端部がエプロンボード16となっている。なお、この図5の(4)図の例において、縦フレーム13は介装機構6専用として用いられているが、その他の関連構成については、図1に示した例に準じた構成となっている。容器部3や支点軸部5は、このようになっている。
【0022】次に、介装機構6について述べる。図1に示したように、介装機構6は、容器部3と開閉手段2とに間に介装されており、容器部3の上位置Hと開閉手段2の開位置Fとを同期連動させると共に、容器部3の下位置Jと開閉手段2の閉位置Gとを同期連動させる。
【0023】このような介装機構6について、更に詳述する。図示例の介装機構6は、容器部3の支点軸部5より僅かに後側Dの底板14上から、直角に立設固定された板状の縦フレーム13と、縦フレーム13の上部に水平のヒンジ19を介し基端が取付けられた横フレーム11と、容器部3を常時上位置へと付勢するバランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17と、を備えてなる。横フレーム11の先端には、開閉手段2のローラ12が水平の軸で軸着されており、横フレーム11は、ガイド4やローラ12を介し、常時横の水平姿勢を維持する。これに対し縦フレーム13は、容器部3の下位置Jと上位置H間の姿勢変化に伴い、垂直に直立した姿勢と後側Dに下降傾斜した姿勢とを取るが(図1の(1)図と(2)図とを比較参照)、このような縦フレーム13に対し横フレーム11は、ヒンジ19を介して連結されているので、縦フレーム13の姿勢変更の影響を受けることなく、横の水平姿勢を維持する。
【0024】又、付勢手段17としては、図1に示した例ではバランスウェイト20が用いられ、図4に示した例ではスプリング21が用いられている。まず、図1のバランスウェイト20は、重りとして、容器部3の底板14の後側Dの端部上に、常時載せられている。又、図4R>4のスプリング21は、縦フレーム13の上部と、後で詳述する全体ケース7の背面との間に介装されており、常時後側Dに向けた引張力を作用せしめている。なお、図4のスプリング21を用いた例において、スプリング21の介装位置は図示例以外にも各種可能であり、例えば、容器部3の底板14の後側Dの端部と、全体ケース7の頂面との間に介装され、常時下方に向けた弾圧力を作用せしめるようにしてもよい。なお、図4に示した例において、その他の構成は図1に示した例に準じるので、同符号を付しその説明は省略する。
【0025】そして、このような付勢手段17の付勢力、つまり押圧手段の押圧力は、支点軸部5を中心とした力のモーメントを考慮して、次のように設定されている。すなわち、バランスウェイト20の重量に基づく付勢力(押圧力)や、スプリング21の引張力や弾発力に基づく付勢力(押圧力)は、まず、容器部3上に載せられる一定量の餌Bと容器部3との合計重量に基づく下方への荷重や、容器部3に前足を乗せたペットAの自重に基づく下方への荷重よりは、弱く設定されている。これと共に、この押圧手段たる付勢手段17の付勢力(押圧力)は、容器部3の重量に基づく下方への荷重よりは、はるかに強く設定されている。つまり、容器部3と一定量に未たない餌B(ペットAが食べ残した場合の餌B)との合計重量に基づく下方への荷重よりは、強く設定されている。介装機構6は、このようになっている。
【0026】次に、全体ケース7について、図2の(2)図等を参照しつつ説明する。この自動給餌器は、略箱状をなす外箱たる全体ケース7を備えてなる。そして、全体ケース7内の上部に収納部1が、中位にガイド4がそれぞれ固定され、下部上に支点軸部5が配されている。収納部1は、全体ケース7の頂面に形成された開口部22から、その頂面が外部に露出しており、支点軸部5は、全体ケース7の底板上に当接している。又、全体ケース7内の空間に、開閉手段2のローラ12、容器部3、介装機構6の縦フレーム13や横フレーム11等が、それぞれ可動に配されている。容器部3は、支点軸部5上に支持されると共に、上位置Hでは、その底板14の後側D端部が、全体ケース7の底板上に当接し、下位置Jでは、前側Cのエプロンボード16が、全体ケース7の底板上に付設された台23上に当接する。
【0027】又、全体ケース7の前側Cの下部には、開口穴24が形成されており、この開口穴24は、ペットAが頭を挿入可能な程度の大きさよりなる。そして、開口穴24の下部に容器部3の前部が内部側から臨み、容器部3のエプロンボード16が、開口穴24を介し外部へと延出されている。ところで、容器部3が上位置Hを取ると、開口穴24を介してのペットAの頭の挿入が不能となっている。つまり、容器部3が上位置Hを取ると、開口穴24は、容器部3の前端部、特にエプロンボード16で半分以上塞がれてしまい、ペットAは頭の挿入ができなくなる。全体ケース7は、このようになっている。
【0028】本発明に係るペットA用の自動給餌器は、以上説明したように構成されているので、以下のようになる。図3等に示したように、この自動給餌器は、次のステップ■,■,■,■,■,■,■,■,■を辿って、使用される。図3は、図1の例に基づく動作を示しているが、前述したその他の例の動作についても、ほぼこれに準じる。
【0029】■使用開始直後の初期状態では、全体ケース7内下部の容器部3上に餌Bが載っておらず、容器部3は、介装機構6のバランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17の付勢力により、上位置Hにあり、介装機構6の後側Dに傾斜した縦フレーム13,ヒンジ19,水平の横フレーム11等を介し、ローラ12よりなる開閉手段2は、同期連動して開位置Fにある。
【0030】■そしてまず、全体ケース7内上部の収納部1に、ストック用の多量の餌Bが投入される。すると、投入された餌Bの一部は、開放された収納部1の下部の開口8から、下部の容器部3へと落下する(図3の(1)図,図1の(2)図,図4の(2)図等を参照)。
【0031】■このようにして、一定量の餌Bつまり1回分の食事量に相当する餌Bが、容器部3上に落下すると、このようにして載せられた一定量の餌Bと容器部3との重量に基づき、バランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17の付勢力に抗し、容器部3は、上位置Hから下位置Jへと支点軸部5を中心に揺動,降下する。すると、介装機構6の直立姿勢となった縦フレーム13,ヒンジ19,横フレーム11等を介し、ローラ12よりなる開閉手段2は、ガイド4に案内されつつ押動されて、開位置Fから閉位置Gへと移動する(図3の(2)図,図1の(1)図,図4の(1)図等を参照)。
【0032】■このようにして、容器部3は一定量の餌Bを載せて下位置Jにあり、同期連動して、ローラ12よりなる開閉手段2は閉位置Gにあり、収納部1の開口8は閉鎖されており、餌Bは落下しない(図3の(2)図,図1の(1)図,図4の(1)図等を参照)。
【0033】■さて事後、ペットAが餌Bを食べる際は、次のようになる。すなわちペットAは、容器部3のエプロンボード16に前足を乗せる(猫等のペットAは、一般的にこのような習性がある)と共に、全体ケース7の開口穴24から内部へと頭を挿入して、下位置Jの容器部3上に載っている餌Bを食べ始める(図3の(3)図を参照)。
【0034】■このようにして、ペットAが食事を終了し、容器部3上の餌Bが減少したり容器部3上が空になっても、ペットAの前足がエプロンボード16上に乗っている限り、容器部3は依然として下位置Jのままであり、ローラ12よりなる開閉手段2も閉位置Gのままであり、収納部1の開口8は閉鎖されている(図3の(4)図を参照)。このように前足を乗せている限り、全体ケース7の開口穴24から頭を挿入しているペットAの頭上に、収納部1から餌Bが落下するようなことはなく、又、容器部3が不用意に下位置Jから上位置Hへとはね上がるように揺動,上昇し、特にその前側Cの側板15が、ペットAのあごを下から打つような事態も発生しない。
【0035】■食事が終了したペットAが、エプロンボード16上から前足を外すと共に、全体ケース7の開口穴24から頭を外に出して、離れて立ち去ると、次のようになる(図3の(5)図を参照)。すなわち、容器部3上には一定量の餌Bは残っておらず(一定量に未たない餌Bが残っているだけか、又は全く残っていないか)、容器部3はバランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17の付勢力に基づき、下位置Jから上位置Hへと、支点軸部5を中心に、跳ね上がるように揺動,上昇する。すると同期連動して、介装機構6の後側Dに傾斜する縦フレーム13,ヒンジ19,横フレーム11等を介し、ローラ12よりなる開閉手段2は、ガイド4に案内されつつ引張られて、それまでの閉位置Gから開位置Fへと移動する。
【0036】■もって、収納部1の下部の開口8が開放され、収納部1内部にストックされていた餌Bの一部が、開口8を介し、下部の容器部3へと落下する(図3の(6)図,図3の(1)図,図1の(2)図,図4の(2)図等も参照)。
【0037】■このようにして、容器部3上の餌Bが一定量に達すると、載せられた一定量の餌Bと容器部3との重量に基づき、バランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17の付勢力に抗し、容器部3は、上位置Hから下位置Jへと支点軸部5を中心に揺動,降下する。すると同期連動して、介装機構6の直立姿勢となった縦フレーム13,ヒンジ19,横フレーム11等を介し、ローラ12よりなる開閉手段2は、ガイド4に案内されつつ押動されて、開位置Fから閉位置Gへと移動する(図3の(2)図,図1の(1)図,図4の(1)図等を参照)。
【0038】以下、ステップは、前述したステップ■へとリターンし(図3の(2)図,図1の(1)図,図4の(1)図等を参照)、その後は、前述したステップ■,■,■,■,■を、経時的に循環して繰り返すことになる。又、容器部3内にストックされていた餌Bが、すべて落下し使い尽くされてしまった場合には、前述したステップ■へと戻り、以下のステップを繰り返すことになる。勿論、容器部3内に必要に応じ餌Bを補充すること、つまり、ストックされた餌Bが減少した場合において、減少分を補うべく容器部3内に餌Bを途中で投入することも、適宜可能であり、この場合には、前述したステップ■,■へと戻ることなく、ステップ■から■までの各ステップを繰り返すことになる。
【0039】なお第1に、前述したステップ■や■において、つまり、収納部1から容器部3へと餌Bが落下している途中において、容器部3は上位置Hにある(図3の(1)図,図3の(6)図,図1の(2)図,図4の(2)図等を参照)。そして、このような上位置Hの容器部3そしてエプロンボード16が邪魔となり、ペットAは、全体ケース7の開口穴24から頭を内部に挿入不能となる(図2の(2)図も参照)。このようにして、餌Bの落下途中において、ペットAが餌Bを食べることは出来ないようになっている。
【0040】なお第2に、これに対し、ステップ■や■の途中(図3の(1)図,図3の(6)図,図1の(2)図,図4の(2)図等を参照)、つまり、収納部1から容器部3へと餌Bが落下している途中で、ペットAがエプロンボード16に前足を乗せると、容器部3は、ペットAの自重に基づき、バランスウェイト20やスプリング21等の付勢手段17の付勢力に抗して、上位置Hから下位置Jへと揺動,降下し、ローラ12よりなる開閉手段2も、開位置Fから閉位置Gへと移動する。このようにして、餌Bの落下が停止され、ペットAは、前述したステップ■にて(図3の(3)図,図1の(1)図,図4の(1)図等を参照)、容器部3上の餌Bを(一定量には達してないが)食べることが出来るようになる。
【0041】さてそこで、このペットA用の自動給餌器にあっては、次の第1,第2のようになる。第1に、上述したステップ■,■,■,■,■,■,■,■,■を辿ることにより、自動的かつ安定的に、必要な一定量の餌Bを、ペットAに対して繰り返し供給できるようになる。すなわち、このペットA用の自動給餌器によると、人手を介することもなく自動的に、動物たるペットA相手であるにもかかわらず安定的に、ペットAの一回分の食事量に相当する一定量の餌Bを、ペットAに対し繰り返して供給することができる。
【0042】しかも、餌Bの形態にもかかわらず、必要な一定量の最後の1粒まで、スムーズに供給することができる。すなわち、餌B特に固形餌は、各種の大きさ,各種の形のものが混在しているが、開閉手段2としてローラ12を用いた場合は、収納部1の開口8から落下せんとする餌Bに伴って、ローラ12が(図面上では時計方向に)転動・回転するので、スムーズな落下と落下の終了とが実現される(特に図2の(1)図を参照)。つまり、落下の最終段階において、ローラ12は、開位置Fから閉位置Gへと(図面上では時計方向に)転動しつつ移動するので、開口8から途中まで出かかっていた餌Bを、ローラ12と開口8間に挟まり引っ掛かることなく、スムーズに落下せしめ、もって閉位置Gに到達することにより、餌Bの落下をスムーズにカット,終了せしめる。そして、このようなローラ12の働きは、前述したように収納部1の開口8について、前側Cが後側Dより上位となるように段差が形成されていることにより、一段と確実に実現される。つまり、閉位置Gに到達する際、ローラ12は、開口8内に若干食い込むような形態で転動・回転するので、上述した餌Bのスムーズな落下,カット,終了が、相乗的により一段と確実化される。
【0043】第2に、しかもこのペットA用の自動給餌器は、所定の収納部1,ローラ12等の開閉手段2,そのガイド4,エプロンボード16付の容器部3,その支点軸部5,バランスウェイト20やスプリング21を備えた介装機構6等を、全体ケース7内に設けた、構成よりなる。つまり、この自動給餌器は、簡単な構成よりなる。
【0044】
【発明の効果】本発明に係るペット用の自動給餌器は、以上説明したように、所定のストック用の収納部、収納部の開口を開閉するローラ等の開閉手段、上位置と下位置に揺動可能でエプロンボード付の容器部、その支点軸部、バランスウェイト等を備え開閉手段と容器部とを連動させる介装機構、これらの全体ケース、等を有してなることにより、次の効果を発揮する。
【0045】第1に、自動的かつ安定的に、必要な一定量の餌を、繰り返し供給できる。すなわち、このペット用の自動給餌器によると、人手を介することなく自動的に、餌の形態にかかわらずスムーズに、しかも動物相手であるにかかわらず安定的に、一回分の食事量に必要な適量・一定量の餌を、ペットに対し、繰り返し供給できるようになる。そこで、ペットの食事の都度人手を介した給餌作業が行われていたこの種従来例に比し、給餌作業の面倒さや煩わしさが一挙に解消され、家庭用更には業務用として広く使用可能である。
【0046】もって、この自動給餌器を使用すると、例えば、飼い主が旅行や出張等で、ペットを置いて短期間留守にする場合、ペットホテル等に預ける必要がなくなる。又、飼い主が体の不自由な人や老人等の場合、給餌作業の負担が解消されるようになる。勿論、一般家庭の場合も、毎日の給餌作業の拘束から解放されることになる。更に、ペットホテルや動物病院の場合は、給餌作業が省略化,合理化されるようになる。
【0047】第2に、しかもこれは簡単容易に実現される。すなわち、このペット用の自動給餌器は、所定の収納部,開閉手段,容器部,その支点軸部,介装機構等を、全体ケース内に設けただけの簡単な構成よりなる。もって、コスト面に優れると共に故障も少なく、清掃やメインテナンスも容易である。更に、電気等の動力源を要せず、完全な機械式・メカ式よりなるので、危険性がなく安全性に優れると共に、電気代等の維持費もかからない。このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るペット用の自動給餌器について、発明の実施の形態の説明に供する要部の側断面図であり、(1)図は、容器部が下位置で開閉手段が閉位置の状態を示し、(2)図は、容器部が上位置で開閉手段が開位置の状態を示す。
【図2】同発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、開閉手段の側面図、(2)図は、全体の外観斜視図である。
【図3】同発明の実施の形態の説明に供する側面説明図であり、(1)図は、容器部上へ餌が落下中の状態を、(2)図は、容器部上に一定量の餌が載っている状態を、(3)図は、ペットが食事中の状態を、(4)図は、ペットが食事を終えた直後の状態を、(5)図は、ペットが食事を終えて離れた状態を、(6)図は、容器部上へ餌が落下中の状態を、それぞれ示す。
【図4】本発明に係るペット用の自動給餌器について、発明の実施の形態の他の例の説明に供する、要部の側断面図であり、(1)図は、容器部が下位置で開閉手段が閉位置の状態を示し、(2)図は、容器部が上位置で開閉手段が開位置の状態を示す。
【図5】本発明に係るペット用の自動給餌器について、発明の実施の形態の更に他の例の説明に供する、要部の側断面図であり、(1)図,(2)図,(3)図は、開閉手段の各種例を示し、(4)図は、容器部の他の例を示す。
【符号の説明】
1 収納部
2 開閉手段
3 容器部
4 ガイド
5 支点軸部
6 介装機構
7 全体ケース
8 開口
9 開閉蓋
10 収納ケース
11 横フレーム
12 ローラ
13 縦フレーム
14 底板
15 側板
16 エプロンボード
17 付勢手段
18 皿
19 ヒンジ
20 バランスウェイト
21 スプリング
22 開口部
23 台
24 開口穴
A ペット
B 餌
C 前側
D 後側
E 乾燥剤
F 開位置
G 閉位置
H 上位置
J 下位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 猫,犬,その他のペット用に、餌を自動的に供給する給餌器であって、内部に餌を投入,ストック可能で下部に開口を備えた収納部と、該収納部の開口を開位置と閉位置とに移動することにより開閉可能な開閉手段と、該収納部の開口下に位置し該餌が該開口を介し落下可能な容器部と、該容器部を上位置と下位置とに揺動可能に支持する支点軸部と、該容器部と該開閉手段とに間に介装され、該容器部の上位置と該開閉手段の開位置とを同期連動させると共に、該容器部の下位置と該開閉手段の閉位置とを同期連動させる介装機構と、を有してなり、該容器部は、一定量の餌が落下して載っている状態やペットが食事に際し前足を乗せた状態では、下位置を取り、それ以外の状態では上位置を取ること、を特徴とするペット用の自動給餌器。
【請求項2】 請求項1に記載したペット用の自動給餌器において、該介装機構は、該容器部を上位置へと常時付勢するバランスウェイトやスプリング等の付勢手段を備えてなり、該付勢手段の付勢力は、該容器部上の一定量の該餌および該容器部の重量や、該容器部に前足を乗せたペットの自重よりは、弱く設定されると共に、該容器部の重量よりは強く設定されていること、を特徴とするペット用の自動給餌器。
【請求項3】 請求項2に記載したペット用の自動給餌器において、該介装機構は、該支点軸部より後側の該容器部から立設された縦フレームと、該縦フレームの上部にヒンジを介し基端が取付けられた横フレームと、を備えてなり、該開閉手段は、該介装機構の横フレーム先端に取付けられたローラよりなり、該ローラの開位置と閉位置間の移動を案内するガイドが、該ローラに付設されていること、を特徴とするペット用の自動給餌器。
【請求項4】 請求項1に記載したペット用の自動給餌器において、該容器部は、前側にエプロンボードを備えてなり、該エプロンボードは、ペットが食事に際し前足を乗せるべく位置すること、を特徴とするペット用の自動給餌器。
【請求項5】 請求項3又は請求項4に記載したペット用の自動給餌器において、略箱状をなす全体ケースを備えてなり、該全体ケース内の上部に該収納部が、中位に該ガイドがそれぞれ固定され、下部上に該支点軸部が配され、又、該全体ケース内に、該開閉手段のローラ、該容器部、該介装機構の縦フレームや横フレーム等が、それぞれ可動に配されると共に、該全体ケースの前側下部に開口穴が形成されており、該開口穴は、ペットが頭を挿入可能な程度の大きさよりなると共に、該開口穴の下部に該容器部の前部が臨み、該容器部のエプロンボードが該開口穴を介し外部へと延出されており、該容器部が上位置を取ると、該開口穴を介してのペットの頭の挿入が不能となること、を特徴とするペット用の自動給餌器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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