説明

ペット用サプリメントおよびその製造方法

【課題】マスキング効果が高く、嗜好性の向上を図ることができるペット用サプリメントおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】機能性素材と、香料0.5乃至1.5質量%と、矯臭剤1乃至5質量%と、増粘安定剤1.4乃至2.0質量%と、甘味料と酸味料とを含む。香料は、ミルク香料であり、矯臭剤は、脱脂粉乳である。スティックゼリー状に形成され、アルミ製の包装材により密閉されている。包装材の表面に、ペットの体重に対する給餌目安量を表す給餌表示が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット用サプリメントおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトにおける食品とサプリメント(栄養補助食品)との関係と同様に、犬や猫などの伴侶動物(ペット)においても総合栄養食であるペットフードとサプリメントとがある。ペットの飼い主は、ペットに適当と考えるペット用サプリメントを選択して給餌している。なお、2005年度時点で、ペット用サプリメントの市場は約10億円であり、ペットフード市場全体の約0.3%にすぎない。
【0003】
従来、空気との接触が少ない錠剤中の成分として健康素材を含む例が多いが、錠剤では給餌性が悪く、動物種によっては飼い主が噛まれる恐れがあり、細心の注意を払って給餌しなくてはならないという問題があった。一方、液状タイプのサプリメントは、水分含量が多いため、保存性が悪いという問題があった。これらの問題を解決するために、ペースト状のペット用サプリメント(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0004】
なお、天然に含有し、あるいは人工的に添加した色素や香気成分、ビタミン類、油脂類など、比較的化学変化を起こしやすい成分が金属や金属酸化物の接触作用によって急速に変化するものは、増粘多糖類などの保護コロイド作用を持つ物質と共存することにより、変色、変質、異臭味の発生、酸敗、有害成分の生成、栄養価の低下、その他様々な障害が抑制されることが既に知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−357508号公報
【非特許文献1】長沢信著、「初心者のための食品コロイド学」、(株)光琳(東京)、62−64(1979年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のペット用サプリメントでは、機能性素材が有する異味や異臭を十分にマスキングすることができないという課題があった。なお、猫のように好き嫌いが激しいペットでは、通常の食事に混ぜてサプリメントを与えた場合、もし採餌しなかった時は、今まで食べていた食事も口にしなくなるという恐れがある。このため、ペット用サプリメントとしては、嗜好性が良いだけでなく、マスキング効果が高くなければならない。
【0007】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、マスキング効果が高く、嗜好性の向上を図ることができるペット用サプリメントおよびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るペット用サプリメントは、機能性素材と香料と矯臭剤とを含むことを、特徴とする。また、本発明に係るペット用サプリメントで、前記機能性素材はグルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸、およびボスウェリアのうちの少なくとも一つから成り、前記香料はミルク香料から成り、前記矯臭剤は脱脂粉乳から成ることが好ましい。さらに、本発明に係るペット用サプリメントは、前記機能性素材を3乃至13質量%、前記香料を0.5乃至1.5質量%、前記矯臭剤を1乃至5質量%含むことが好ましい。
【0009】
本発明に係るペット用サプリメントは、香料と矯臭剤とを含むため、いずれか一方のみを含む場合に比べ、機能性素材が有する異味や異臭に対するマスキング効果を相乗的に高めることができる。また、香料および矯臭剤により、嗜好性の向上も図ることができる。
特に、本発明に係るペット用サプリメントは、機能性素材と香料と矯臭剤とを含み、前記機能性素材はグルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸およびボスウェリアのすべてを含み、前記香料はミルク香料から成り、前記矯臭剤は脱脂粉乳から成り、前記機能性素材を3乃至13質量%、前記香料を0.5乃至1.5質量%、前記矯臭剤を1乃至5質量%含むことが好ましい。この場合、機能性素材の機能性を相乗的に高めることができ、また、グルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸およびボスウェリアから成る機能性素材の異味や異臭に対して、マスキング効果を相乗的に高めることができる。
【0010】
なお、機能性素材は、健康を期待されるものであれば特に限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、(1)骨・関節疾患用であればグルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸、ボスウェリア等の素材、(2)癌疾患用であればアガリクス、メシマコブ、ヤマブシタケ、カバノアナタケ、ノニ(ヤエヤマアオキともいう)等の素材、(3)心臓疾患用であればコエンザイムQ10、赤ブドウ葉、オリーブ葉、タウリン、ピクノジェノール等の素材、(4)泌尿器系疾患用であればクランベリー、西洋カボチャ種子、ウラジロガシ、エキナセア等の素材、(5)皮膚疾患用であればエラスチン、赤シソ、黄杞葉、甜茶、カキエキス等の素材、(6)持久力向上であればオクタコサノール、クレアチン、ビール酵母等の素材があげられる。
【0011】
機能性素材は、1種類だけ含まれていても、2種類以上が含まれていてもよい。また、機能性素材は、60kg体重換算のヒトの1日推奨量を、ペットの体重に換算して配合されることが好ましいが、必ずしもその含有量に限定されなくてもよい。例えば、15kgの犬の体重換算での1日推奨量を、表1に示す。
【0012】
【表1】

【0013】
香料は、ミルクフレーバー、ハチミツフレーバー等の動物系香料の1種あるいは2種以上から選択されるのが好ましい。特に、ペットの嗜好性の向上や、脱脂粉乳等の矯臭剤のにおいを補うことを考慮すると、ミルクフレーバーから成ることが、より好ましい。
【0014】
矯臭剤は、脱脂粉乳、カゼイン、ホエイタンパク等の動物系エキスの1種あるいは2種以上から選択されるのが好ましい。特に、機能性素材のマスキング効果を考慮すると、脱脂粉乳から成ることが、より好ましい。
【0015】
本発明に係るペット用サプリメントは、増粘安定剤を含むことが好ましい。また、本発明に係るペット用サプリメントは、寒天製剤およびゼラチン製剤から成る増粘安定剤を1.4乃至2.0質量%含むことが好ましい。本発明に係る犬用サプリメントは、前記機能性素材を3乃至13質量%、前記香料を0.5乃至1.5質量%、前記矯臭剤を1乃至5質量%含むペット用サプリメントに、寒天製剤が0.6乃至0.8質量%、ゼラチン製剤が0.5乃至1.2質量%含まれていることを、特徴とする。また、本発明に係る猫用サプリメントは、前記機能性素材を3乃至13質量%、前記香料を0.5乃至1.5質量%、前記矯臭剤を1乃至5質量%含むペット用サプリメントに、寒天製剤が0.5乃至0.7質量%、ゼラチン製剤が1.0乃至1.4質量%含まれていることを、特徴とする。
【0016】
一般に、増粘安定剤とは、機能性素材を含む食品素材、食品香料、酸味料等のpH調整剤等を溶解保持して、ゲル化させる作用のあるものであり、主として食感および味を楽しむという作用を有している。この増粘安定剤を含む場合、機能性素材の効果を消失・低減しないよう、増粘安定剤により機能性素材を保護することができる。このため、機能性素材の安定性や保存性を向上させることができる。また、増粘安定剤により、ゲル状やゾル状、煮凝り状にすることができ、給餌性を向上させることができる。また、猫などの煮凝り状の食べ物を好むペットに対して、嗜好性を向上させることができる。
【0017】
増粘安定剤は、いかなるものであってもよく、例えば、寒天、ゼラチン、カラギナン、カロブビーンガム、キサンタンガム、グルコマンナン、ジェランガム、ペクチン、タマリンドシードガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ガッティガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カードラン、プルラン、サイリウムシードガム等の1種または2種以上から選択されるのが好ましい。特に、寒天を配合した寒天製剤と、ゼラチンを配合したゼラチン製剤とを組み合わせたものが、ペットの嗜好性の向上に関して顕著な効果を示す。
【0018】
なお、製造されたペット用サプリメントの離水を抑えるために、別途、離水止め用の増粘安定剤を加えることが好ましい。離水止め用の増粘安定剤は、例えば、ι-カラギナン、カロブビーンガム、タラガム、グアガム、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ジェランガムのうちの1種あるいは2種以上から選択されるのが好ましい。離水止め用の増粘安定剤は、0.01乃至1.0質量%加えられることが好ましい。離水止め用の増粘安定剤は、増粘剤としての効果も有し、例えば、ι-カラギナンは、粘度を上げるとともに離水止めの役割も果たす。
【0019】
本発明に係るペット用サプリメントは、甘味料と酸味料とを含むことが好ましい。この場合、酸味料により、pHを調整することができる。また、酸味料によりpHを3.8乃至4.6に調整することにより、保存性を向上させることができる。甘味料により、機能性素材や増粘安定剤、矯臭剤などの粉状の素材が継粉にならないよう、それらを分散させることができる。
【0020】
甘味料は、分散剤として機能するものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、マルチトール、トレハロース、エリスリトール、粉糖、ぶどう糖、その他の糖類の1種あるいは2種以上から選択されることが好ましい。特に、ペットへの糖類吸収を考慮すると、マルチトール、トレハロースなどの体内への吸収が低い糖アルコール類から成ることが、より好ましい。甘味料は、ペット用サプリメントが甘すぎてペットが採餌しなくならないよう、また、増粘安定剤が十分に伸びるための水分を奪わないよう、0.1乃至40質量%含まれていることが好ましく、10乃至30質量%がより好ましい。
【0021】
酸味料は、pH調整が可能なものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、クエン酸およびその塩類、グルコン酸およびその塩、コハク酸およびその塩類、酢酸およびその塩類、乳酸およびその塩類、酒石酸およびその塩類、フマル酸およびその塩類、リンゴ酸およびその塩類、グルコノデルタラクトン、リン酸塩などから成る。特に、ペットの嗜好性や、製造時の適正を考慮すると、クエン酸およびその塩類を使用することが好ましい。酸味料は、機能性素材のpHに依存するが、含有量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
【0022】
本発明に係るペット用スティック状サプリメントは、本発明に係るペット用サプリメントと包装材とを有し、前記ペット用サプリメントはスティックゼリー状に形成され、前記包装材はアルミ製で、前記ペット用サプリメントを密閉していることを、特徴とする。
【0023】
本発明に係るペット用スティック状サプリメントでは、包装材がアルミ製で、ペット用サプリメントを密閉しているため、保存性がよい。ペット用サプリメントがスティックゼリー状に形成されているため、給餌が容易である。なお、スティックゼリー状であればいかなる形態であってもよく、例えばグミのような形態であってもよい。
【0024】
本発明に係るペット用スティック状サプリメントで、前記包装材は表面に、ペットの体重に対する給餌目安量を表す給餌表示を有していることが好ましい。ペット用サプリメントは、ペットフードで摂取できない機能性素材をペットに給餌するために少量与えられるものであるが、実際にペットに給餌するとき、期待した量が含まれているかどうかは飼い主にとって非常に重要なことである。このため、給餌表示を有する場合、機能性素材の必要量を容易に与えることができるとともに、飼い主に安心感を与えることができる。給餌表示は、一日分の給餌目安量を表す目盛から成ることが好ましい。この場合、包装材を開けて、目盛に従って一日分ずつ絞り出すことにより、容易に給餌することができる。
【0025】
本発明に係るペット用サプリメントの製造方法は、1.4乃至2.0重量部の増粘安定剤と、4乃至6重量部の甘味料とを混合した後、50重量部の水に入れ、これを加熱して溶解液を作成する工程と、3乃至13重量部の機能性素材と、0.5乃至1.5重量部の香料と、1乃至5重量部の矯臭剤と、19乃至21重量部の甘味料とを、少量の水に溶かした後、前記溶解液に添加する工程と、前記溶解液のpHが3.6乃至4.8になるよう、前記溶解液に酸味料を加える工程とを、有することを特徴とする。
【0026】
本発明に係るペット用サプリメントの製造方法では、増粘安定剤を甘味料と混合するため、粉状の増粘安定剤が継粉にならないよう、ペット用サプリメントの中に分散させることができる。また、機能性素材や矯臭剤を甘味料と混合するため、粉状の機能性素材や矯臭剤が継粉にならないよう、ペット用サプリメントの中に分散させることができる。これにより、ペット用サプリメントを一日分ずつ分けたとき、機能性素材を一定量ずつペットに与えることができる。増粘安定剤により、製造中でも、機能性素材の効果を消失・低減しないよう、機能性素材を保護することができる。酸味料により、pHを3.6乃至4.8に調整するため、ペット用サプリメントの保存性を向上させることができる。本発明に係るペット用サプリメントの製造方法によれば、溶解液を作成する工程での加熱により、機能性素材の量が減少するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、マスキング効果が高く、嗜好性の向上を図ることができるペット用サプリメントおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
ペット用サプリメントについて、増粘安定剤や香料等の配合比率を検討し、香料および矯臭剤のマスキング効果等を確認するために、以下の試験を行った。
【実施例1】
【0029】
[増粘安定剤の配合比率による骨・関節疾患用サプリメントの嗜好性の検討(犬用)]
ペット用サプリメントの嗜好性を向上させる目的で、犬用サプリメントとして最適な増粘安定剤の配合比率を検討した。試験試料として、試験区1乃至5を作成して、試験を行った。
【0030】
試験区1:増粘安定剤の寒天製剤1.0gおよび甘味料のマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これに機能性素材のグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、甘味料のマルチトール20g、矯臭剤の脱脂粉乳3g、香料のミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区2:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区3:寒天製剤0.5g、ゼラチン製剤1.5gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区4:寒天製剤0.3g、ゼラチン製剤2.1gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区5:ゼラチン製剤3gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
なお、ゼラチン製剤は、商品名「クリアガーYC#8」(青葉化成株式会社製)を使用し、寒天製剤は、商品名「アガーミックスMP#27」(青葉化成株式会社製)を使用している。
【0031】
試験区1乃至5のペット用サプリメントを犬に給餌して、ペットの飼い主をモニターとして評価し、その結果を表2に示す。なお、給餌した犬の品種は、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリーなど計15匹である。
【0032】
【表2】

【0033】
表2に示すように、試験区2が最も食いつきが良く、給餌性も良い。これにより、犬用のペット用サプリメントとして、寒天製剤が0.6〜0.8質量%、ゼラチン製剤が0.5〜1.2質量%程度含むものが、嗜好性および給餌性に優れていることが確認された。なお、ゼラチン製剤が多いと、ベトついて給餌性は悪くなった。
【実施例2】
【0034】
[増粘安定剤の配合比率による骨・関節疾患用サプリメントの嗜好性の検討(猫用)]
ペット用サプリメントの嗜好性を向上させる目的で、猫用サプリメントとして最適な増粘安定剤の配合比率を検討した。試験試料として、試験区6乃至10を作成して、試験を行った。
【0035】
試験区6:寒天製剤1gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩2g、L−カルニチン酒石酸塩0.07g、コンドロイチン硫酸1.67g、ボスウェリアエキス0.17g、マルチトール20g、を少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区7:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩2g、L−カルニチン酒石酸塩0.07g、コンドロイチン硫酸1.67g、ボスウェリアエキス0.17g、マルチトール20g、脱脂粉乳5g、ミルク香料1gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区8:寒天製剤0.6g、ゼラチン製剤1.2gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩2g、L−カルニチン酒石酸塩0.07g、コンドロイチン硫酸1.67g、ボスウェリアエキス0.17g、マルチトール20g、脱脂粉乳5g、ミルク香料1gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区9:寒天製剤0.5g、ゼラチン製剤1.5gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩2g、L−カルニチン酒石酸塩0.07g、コンドロイチン硫酸1.67g、ボスウェリアエキス0.17g、マルチトール20g、脱脂粉乳5g、ミルク香料1gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区10:寒天製剤0.3g、ゼラチン製剤2.1gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩2g、L−カルニチン酒石酸塩0.07g、コンドロイチン硫酸1.67g、ボスウェリアエキス0.17g、マルチトール20g、脱脂粉乳5g、ミルク香料1gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
【0036】
試験区6乃至10のペット用サプリメントを猫に給餌して、ペットの飼い主をモニターとして評価し、その結果を表3に示す。なお、給餌した猫の品種は、チンチラなど計5匹である。
【0037】
【表3】

【0038】
表3に示すように、試験区8が最も食いつきが良く、給餌性も良い。これにより、猫用のペット用サプリメントとして、寒天製剤が0.5〜0.7質量%、ゼラチン製剤が1.0〜1.4質量%程度含むものが、嗜好性および給餌性に優れていることが確認された。なお、寒天製剤が多いと、猫はなめるだけで食いつきは悪かった。
【実施例3】
【0039】
[香料の配合比率による骨・関節疾患用サプリメントの嗜好性の検討]
ペット用サプリメントの嗜好性を向上させる目的で、犬用サプリメントとして最適な香料の配合比率を検討した。試験試料として、試験区11乃至15を作成して、試験を行った。
【0040】
試験区11:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区12:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.3gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験13:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料0.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区14:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料1.0gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区15:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料1.5gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
【0041】
試験区11乃至15のペット用サプリメントを犬に給餌して、ペットの飼い主をモニターとして評価し、その結果を表4に示す。なお、給餌した犬の品種は、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリーなど計15匹である。
【0042】
【表4】

【0043】
表4に示すように、ミルク香料を増やすと、犬の食いつきが良くなることが確認された。また、ミルク香料1.0%以上では、食いつきはあまり変わらないことも確認された。ミルク香料の他にビーフフレーバーやチキンフレーバー等を試したが、ミルク香料が最も食いつきが良かった。
【実施例4】
【0044】
[各種香料および矯臭剤によるマスキング効果およびペットの嗜好性の検討]
ペット用サプリメントに各種香料および矯臭剤を加えた時のマスキング効果およびペットの嗜好性について検討した。試験試料として、試験区16乃至24を作成して、試験を行った。なお、グルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール25g、寒天製剤0.8g、ゼラチン製剤0.7gは各々の試験区において一定量とした。
【0045】
試験区16:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.8gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20gを少量の水に溶解した後添加し、香料のミルク香料1gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
試験区17:試験区16と同様の製造工程で、香料のビーフ香料1gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区18:試験区16と同様の製造工程で、香料のチキン香料1gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区19:試験区16と同様の製造工程で、ミルク香料1gおよび矯臭剤の脱脂粉乳3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区20:試験区16と同様の製造工程で、ミルク香料1gおよび矯臭剤のカゼイン3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区21:試験区16と同様の製造工程で、ビーフ香料1gおよび脱脂粉乳3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区22:試験区16と同様の製造工程で、ビーフ香料1gおよびカゼイン3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区23:試験区16と同様の製造工程で、チキン香料1gおよび脱脂粉乳3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
試験区24:試験区16と同様の製造工程で、チキン香料1gおよびカゼイン3gをさらに加え、水で重量補正して全量を100gとしスティックゼリーに成形した。
【0046】
試験区16乃至24のペット用サプリメントのマスキング効果を、モニター10名による10点評価の平均として算出し、その結果を表5に示す。また、試験区16乃至24のペット用サプリメントを犬に給餌して、ペットの飼い主をモニターとして評価し、その結果を表5に示す。なお、給餌した犬の品種は、ゴールデンレトリバー、ボーダーコリーなど計15匹である。
【0047】
【表5】

【0048】
表5に示すように、マスキング効果は、試験区19のミルク香料と脱脂粉乳との組み合わせが最も評価が良いことが確認された。また、ペットの嗜好性は、マスキング効果とほぼ同様の傾向を示すことも確認されたが、試験区21のようにマスキング効果が高くても必ずしも嗜好性が良くなるとは限らない場合もあった。
【実施例5】
【0049】
[アルミ袋およびラミネート袋による骨・関節疾患用サプリメントの保存性の検討]
ペット用サプリメントの保存性を向上させる目的で、最適な包装材を検討した。試験試料として、試験区25を作成して、虐待試験を行った。
【0050】
試験区25:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.8gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3gを少量の水に溶解した後添加し、水で重量補正して全量を100gとした。充填機により、包装材の中に充填してスティックゼリー状に成形し、密封した。包装材として、透明なラミネート袋および遮光されたアルミ袋の2種類を使用した。
【0051】
試験区25のアルミ袋およびラミネート袋で包装された2種類のペット用サプリメントについて、製造後1日目の状態と、37℃で1ヶ月保存した後の状態とを、目視および菌検査(一般生菌数、大腸菌群)で評価し、その結果を表6に示す。
【0052】
【表6】

【0053】
表6に示すように、1ヶ月37℃で保存した結果、ラミネート袋およびアルミ袋にかかわらず、菌検査結果には異常が認められないことが確認された。一方、ラミネート袋ではペット用サプリメントの色調が薄い茶褐色から濃い茶褐色に変色したが、アルミ袋では遮光保存により色調が薄い茶褐色のまま変色しないことが確認された。これにより、アルミ製の包装材を使用することにより、ペット用サプリメントの保存性を高めることができる。なお、濃い茶褐色への変色は、グルコサミンの含有量の減少と関連していた。
【実施例6】
【0054】
[骨・関節疾患用サプリメントのグルコサミン塩酸塩の安定性試験]
増粘安定剤により、ペット用サプリメントに配合した機能性素材の保存性および安定性が向上していることを検証した。試験試料として、試験区26と増粘安定剤を含まない対照区とを作成して、試験を行った。
【0055】
対照区:グルコサミン塩酸塩1g、マルチトール1.5gを少量の水に溶解した後、水で重量補正して全量を100gとし、0.1N水酸化ナトリウム溶液でpH調整した後、透明なラミネート袋に充填した。
試験区26:寒天製剤1.5gおよびマルチトール1.5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。これにグルコサミン塩酸塩1gを加え、0.1N水酸化ナトリウム溶液でpH調整した後、全量を100gとし、透明なラミネート袋に充填した。
【0056】
pH4〜7、37℃の条件下で、対照区および試験区26のペット用サプリメントのグルコサミン含量を経時的に測定した。なお、グルコサミンの測定は、「健康補助食品規格基準集−その1−(財団法人日本健康・栄養食品協会編)」に記載された方法によっている。
【0057】
試験の結果、試験区26のグルコサミン塩酸塩の含有量が、対照区に比較して、多い傾向を示すことが確認された。このことから、増粘安定剤により、機能性素材の安定性や保存性を向上させることができる。
【実施例7】
【0058】
[骨・関節疾患用サプリメントのグルコサミン塩酸塩の含有量評価]
ペット用サプリメント製造時の加熱工程において、機能性素材の骨・関節疾患用サプリメントの主剤であるグルコサミン塩酸塩が減少していないことを確認した。試験試料として、試験区27を作成して、試験を行った。
【0059】
試験区27:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。このものにグルコサミン塩酸塩6g、L−カルニチン酒石酸塩0.2g、コンドロイチン硫酸5g、ボスウェリアエキス0.5g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料1.0gを少量の水に溶解した後添加し、クエン酸0.3gでpH調整をし、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
【0060】
試験区27のペット用サプリメントに含まれるグルコサミン塩酸塩の定量を行い、その結果を表7に示す。なお、グルコサミンの測定は、「健康補助食品規格基準集−その1−(財団法人日本健康・栄養食品協会編)」に記載された方法によっている。
【0061】
【表7】

【0062】
表7に示すように、骨・関節疾患用のサプリメントの主剤であるグルコサミン含量は、ペット用サプリメント製造時の加熱工程により、減少しないことが確認された。
【実施例8】
【0063】
[癌疾患用サプリメントのβ-グルカンの含有量評価]
ペット用サプリメント製造時の加熱工程において、機能性素材の癌疾患用の主剤であるアガリクスエキス中のβ-グルカンが減少していないことを確認した。試験試料として、試験区28を作成して、試験を行った。
【0064】
試験区28:寒天製剤0.7g、ゼラチン製剤0.9gおよびマルチトール5gを混合し、50gの水に分散させ十分に加熱溶解した。このものにアガリクスエキス粉末25g、マルチトール20g、脱脂粉乳3g、ミルク香料1.0gを少量の水に溶解した後添加し、クエン酸0.3gでpH調整をし、水で重量補正して全量を100gとした。充填機によりスティックゼリー状に成形した。
【0065】
試験区28のペット用サプリメントに含まれるβ−グルカンの定量を行い、その結果を表8に示す。なお、β−グルカンの測定は、プロスキー法(酵素−重量法)に準じている。
【0066】
【表8】

【0067】
表8に示すように、癌疾患用の主剤であるアガリクスエキス中のβ-グルカン含量は、ペット用サプリメント製造時の加熱工程により、減少しないことが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能性素材と香料と矯臭剤とを含むことを、特徴とするペット用サプリメント。
【請求項2】
前記機能性素材はグルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸、およびボスウェリアのうちの少なくとも一つから成り、前記香料はミルク香料から成り、前記矯臭剤は脱脂粉乳から成ることを、特徴とする請求項1記載のペット用サプリメント。
【請求項3】
機能性素材と香料と矯臭剤とを含み、前記機能性素材はグルコサミン塩酸塩、L−カルニチン酒石酸塩、コンドロイチン硫酸およびボスウェリアのすべてを含み、前記香料はミルク香料から成り、前記矯臭剤は脱脂粉乳から成り、前記機能性素材を3乃至13質量%、前記香料を0.5乃至1.5質量%、前記矯臭剤を1乃至5質量%含むことを、特徴とするペット用サプリメント。
【請求項4】
増粘安定剤を含むことを、特徴とする請求項1,2または3記載のペット用サプリメント。
【請求項5】
寒天製剤およびゼラチン製剤から成る増粘安定剤を1.4乃至2.0質量%含むことを、特徴とする請求項3記載のペット用サプリメント。
【請求項6】
甘味料と酸味料とを含むことを特徴とする請求項4または5記載のペット用サプリメント。
【請求項7】
請求項4乃至6記載のペット用サプリメントと包装材とを有し、
前記ペット用サプリメントはスティックゼリー状に形成され、
前記包装材はアルミ製で、前記ペット用サプリメントを密閉していることを、
特徴とするペット用スティック状サプリメント。
【請求項8】
前記包装材は表面に、ペットの体重に対する給餌目安量を表す給餌表示を有していることを、特徴とする請求項7記載のペット用スティック状サプリメント。
【請求項9】
請求項3記載のペット用サプリメントに、寒天製剤が0.6乃至0.8質量%、ゼラチン製剤が0.5乃至1.2質量%含まれていることを、特徴とする犬用サプリメント。
【請求項10】
請求項3記載のペット用サプリメントに、寒天製剤が0.5乃至0.7質量%、ゼラチン製剤が1.0乃至1.4質量%含まれていることを、特徴とする猫用サプリメント。
【請求項11】
1.4乃至2.0重量部の増粘安定剤と、4乃至6重量部の甘味料とを混合した後、50重量部の水に入れ、これを加熱して溶解液を作成する工程と、
3乃至13重量部の機能性素材と、0.5乃至1.5重量部の香料と、1乃至5重量部の矯臭剤と、19乃至21重量部の甘味料とを、少量の水に溶かした後、前記溶解液に添加する工程と、
前記溶解液のpHが3.6乃至4.8になるよう、前記溶解液に酸味料を加える工程とを、
有することを特徴とするペット用サプリメントの製造方法。

【公開番号】特開2007−306848(P2007−306848A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139163(P2006−139163)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591219566)青葉化成株式会社 (21)
【Fターム(参考)】