説明

ペット用完成飼料

少なくとも1のグアニジノ酢酸成分を栄養生理学的に有効な成分として含む、新規のペット用完成飼料が提案される。好適には8質量%より多い水分含有率を有することができる新規の完成飼料は、極めて経済的な方法で製造することができ、その際主成分は胃腸路において明らかに比較的高い安定性を有し、それゆえ生理的条件下で初めて、クレアチンへと反応する。この理由からグアニジノ酢酸もまた、とりわけ猫および犬であるターゲットグループにより高いレベルで活用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、栄養生理学的に有効な成分としてグアニジノ酢酸成分を含む、ペット用の完成飼料である。
【0002】
グアニジノ酢酸(GAA)は、動物において、また人間にも存在する生体固有の物質であり、クレアチンの生体合成において中心的な役割を果たす。クレアチンは食物によっても摂取されるし、また体内でも形成される。生体合成はグリシンとL−アルギニンから出発する。哺乳類においてはとりわけ、腎臓、また肝臓および膵臓で、アミノトランスフェラーゼ酵素によってL−アルギニンのグアニジノ基を切り離し、そしてN−C−N基をグリシン上に転移させる。L−アルギニンはこの際、L−オルニチンへと反応する。こうして形成されたグアニジノ酢酸は次の工程で、脊椎動物の場合これはもっぱら肝臓で起こるのだが、トランスメチラーゼ酵素によってクレアチンへと変換される。この際、S−アデノシルメチオニンが、メチル基ドナーとして役立つ。クレアチンは引き続き血液循環を介して目的臓器へと輸送される。細胞膜を通過しての細胞への輸送は、この場合固有のクレアチントランスポータにより行われる。
【0003】
幾つもの研究グループがすでに前世紀の五十年代に臨床調査に示すことができたように、心臓病においてはグアニジノ酢酸をベタインと組み合わせて投与することが、病気の経過に肯定的な影響をもたらす。患者は一般的な健康状態の明らかな改善を報告した。さらには肉体的負荷の際の持続時間の改善、および短い処置時間後にすでに筋力の向上が確認された。患者はまた、性衝動の改善を報告した。200人の患者に30mgGAA/kgの用量を毎日一年にわたって投与した。副作用は観察できなかった(Borsook H.、Borsook M.E.、The biochemical basis of betaine−glycocyamine therapy、 Annals of western medicine and surgery 5(10)、825ページ、1951年)。
【0004】
国際特許出願WO91/07954A1は、筋肉中のクレアチン濃度の上昇のための、メチオニンまたはS−アデノシルメチオニンと組み合わせたグアニジノ酢酸の使用を開示している。使用領域としては、筋肉中に比較的高いクレアチン濃度を要求する状態が挙げられる。この際、医学的適用、ならびにスポーツ栄養学の領域も権利主張されている。
【0005】
この際、クレアチンの投与はクレアチン濃度の上昇を生じないことが主張されている。この主張は一方、多くの研究によって否定され得た(例えばPersky、A.M.、Brazeau、G.A.、「Clinical Pharmacology of the Dietary Supplement Creatine Monohydrate.」、Pharmacol Rev、2001年、53、161〜176ページ)。クレアチンとグアニジノ酢酸の効果の直接的な比較は、WO91/07954には開示されていない。
【0006】
グアニジノ酢酸についてはさらに、抗細菌作用を有し、かつ動物実験においては細菌感染(黄色ブドウ球菌)に対して使用することができたことが公知である(Preparation for protecting mammals against infection、Stanley Drug Products Inc.、USA、Neth.Appl.(1976年)、7ページ以降、NL7411216)。
【0007】
メチオニンの過剰処方と関連して同様に公知なのは、過剰投与と結びつけられる否定的な影響を、グアニジノ酢酸の投与により緩和できることである(Interrelations of choline and methionine in growth and the action of betaine in replacing them、McKittrick、D.S.、Univ. of California、Berkeley、Archives of Biochemistry(1947年)、15、133〜55)。
【0008】
国際特許出願WO2004/000297A1は、哺乳類における食餌、または医薬的目的のための混合物を記載している。この混合物は、L−セリンを含み、かつさらなる成分としてグアニジノ酢酸を含む、タンパク質フラクションから成る。この混合物はこの際、グリシンを含んでいないか、または混合物の加水分解後、2.7:1より大きいL−セリン対グリシンの比を含む。可能な製造形態としては、溶液、エマルション、懸濁液、ゲル、スティック、菓子、および好適には粉末が挙げられている。ペット用の完成飼料としてのグアニジノ酢酸の使用への示唆は無い。
【0009】
2.7:1より大きいL−セリン対グリシンの比は、市販で得られるペット用の動物食餌には見られない。動物性原料、例えば動物性粉末は、明らかにセリンより多くのグリシンを含む(Amino acids of meals of animal origin、de Vuyst著、A.Univ.Louvain、ベルギー、Agricultura(Heverlee、ベルギー)(1964年)、12(1)、141ー51)。植物性原料においては、グリシン対セリンの比は、ほぼ均一化されている。
【0010】
クレアチンは、細胞のエネルギー代謝において重要な役割を果たし、その際クレアチンは高エネルギーのクレアチンリン酸として、アデノシン三リン酸(ATP)に次いで筋肉の基本的なエネルギー貯蔵庫である。筋肉の静止状態においてATPはクレアチンにリン酸基を転移させることができ、その際クレアチンリン酸が形成され、該クレアチンリン酸はその後ATPと直接に平衡状態で存在する。筋肉稼働の際決定的に重要なのは、ATPストックを可能な限り速く再充填することである。このために最大筋肉負荷の最初の数秒でクレアチンリン酸が利用される。クレアチンリン酸は、非常に速い反応でクレアチンキナーゼ酵素によってリン酸基をアデノシン二リン酸へと転移させることができ、こうしてATPを再形成することができる。これはLohmann反応とも名付けられている。
【0011】
クレアチンは以前より、適切な栄養補完剤、および飼料として公知である。激しい、および比較的長時間にわたる持続的な筋肉稼働においては、もともと体内に存在するクレアチンストックは急速に消費されている。とりわけ競争競技者においては適切なクレアチン投与は持久力、および競争能力に対して肯定的に作用し、この際、体内での望ましくない蓄積過程、または不利な分解生成物は知られていない。この理由は、クレアチンが過剰供給の際、クレアチンおよびクレアチニンとして体から排出されることに見られる。
【0012】
さらには、クレアチンサプリメント摂取が体重の増加につながることは公知である。これは初めは、筋肉への水の摂取の増加に起因する。しかしながら長い期間で見ると、クレアチンは間接的に、筋原繊維におけるタンパク質合成の増加、またはタンパク質異化の減少により、筋肉量の増加につながる(Int J Sports Med 21(2000年)、139〜145ページ)。結果として、こうして脂肪の無い体重の増加が得られる。
【0013】
クレアチン自体すなわちクレアチン一水和物の他に、一方また多数のクレアチン塩、例えばクレアチンアスコルビン酸塩、クレアチンクエン酸塩、クレアチンピルビン酸塩、およびその他も同様に適切な栄養補完剤として証明されている。この立場に代用可能なものは、欧州特許EP894083B1、およびドイツ公開公報DE19707694A1に挙げられている。
【0014】
様々な飼料におけるクレアチンの使用は同様に既に充分に記載されているので、人間にとって肯定的と証明された効果を、クレアチンは動物の場合にも示す。既に1923年に、BenedictとOsterbergにより犬に関する研究が実施された。この際、数週間にわたり毎日約40mg/kgの用量で経口適用されたクレアチンが、明らかな体重増加につながることが観察された。さらには、肯定的な窒素収支が観察された(The Journal of Biological Chemistry No.1(1923年)、229〜252ページ)。
【0015】
GB2300103は、犬用ビスケットの形でのクレアチンの使用を教示しており、このためにクレアチン一水和物が肉とともに押出ペーストとして提示される。
【0016】
国際特許出願WO00/67590A1より、種畜、および肥畜のための、クレアチン、またはクレアチン塩の飼料添加物としての使用、肉粉、魚粉、および/または抗生物質系の成長促進剤、成長ホルモン、ならびに蛋白同化剤の代替物としての使用が既に記載されている。
【0017】
クレアチン一水和物は、その難溶性のために不充分にしか生体利用できないので、好適には塩の形での、さらなる生理学的に活性な化合物との共用が推奨される。ドイツ公開公報DE19836450A1は、動物食餌に適している調製物における安定的な焦性ブドウ酸塩の使用、およびとりわけクレアチンピルビン酸塩の使用を対象にしている。
【0018】
クレアチンは肉食野生動物および雑食野生動物にとって、彼らの食物の天然成分である。15〜60kgの体重のオオカミは、体重1キログラムあたり、平均で一日あたり100〜130gの肉を食べる。生肉は1キログラムあたり3〜6g(23〜46mmol)のクレアチンを含む。従って35kgのオオカミは、10.5〜27gのクレアチンを含む約3.5〜4.5kgの生肉を食べる。一方家畜化された犬は、35kgの体重の場合約1.25kgの肉で生きていける。生の形で食べれば、肉は3.75〜7.5gのクレアチンを含む(Research in Veterinary Science 62(1977年)、58〜62ページ)。
【0019】
しかしながら、議論の余地無く肯定的な生理学的特性の他に、クレアチンは水溶液において、および湿性の調製物において、とりわけ高温下で際立った不安定性を有するという欠点も有しており、その際クレアチンはクレアチニンへと変換する。工業的に製造された動物飼料は、保存のために加工の際に強く加熱される。そうして例えば犬用および猫用乾燥ビスケットの製造の際、原料を押出機内で最大190℃の温度に加熱する。湿度、圧力、および熱は、含まれている澱粉をゼラチン化させ、かつ得られた材料を引き続き所望の形にする。加工の際の高温、および湿潤条件下、例えば約75〜85%の水を含む缶詰飼料での貯蔵は、含まれるクレアチンの主要量がクレアチニンに変換することにつながる。このことは、Harrisにより市販の犬用缶詰飼料、および犬用乾燥飼料についても示された。調査された8個の缶詰飼料は、クレアチンの痕跡(0.36〜1.93mmol/kg)しか含まなかった。乾燥飼料においてもまた、多数の試料で1キログラムあたり0.7mmolの値のクレアチンが測定された(Research in Veterinary Science 62 (1997年)、58〜62ページ)。これより明らかなのは、市販の動物飼料(飼料1キログラムあたり0.36〜4.25mmolのクレアチン)で養われる犬や猫は食物によって、生肉での自然の食餌(1キログラムあたり23〜46mmolのクレアチン)における場合よりも明らかにより少ないクレアチンを摂取しているということである。
【0020】
クレアチンのこの不安定性は、経口摂取の点からも重要である。1〜2の胃のpH値は、滞留時間に従ってクレアチンからクレアチニンへの明らかな分解につながり得る。そのため人間の場合には、クレアチンの経口適用後、約15〜30%しか筋肉組織により吸収され得ないことを示すことができた(Greenhaff、P.L.Factors Modifying Creatine Accumulation in Human Skeletal Muscle、Creatine.From Basic Science to Clinical Application.Medical Science Symposia Series 14巻、2000年、75〜82ページ)。
【0021】
クレアチンに関して述べられた従来技術の欠点から、工業的加工プロセスにおいても可能な限り僅少な不安定性を有する、完成飼料のための化合物を得るという、本発明のための課題が設定された。この化合物は高い加工温度に損なわれることなく耐えるのが望ましいだけではなく、また例えば缶詰飼料において湿潤な条件下でも貯蔵安定性であるのが望ましい。さらにこの化合物は、クレアチンとは異なり胃の酸性環境に損なわれることなく耐えるのが望ましく、かつ体内への摂取後初めてクレアチンへと変換されるのが望ましい。使用された飼料添加剤はそれ自身で生理学的に不利な作用を示すことなく、かつ容易に検出可能であることが望ましい。経済的な観点においても、本発明により使用されるべき物質のために、この物質を経済的に有利な方法で製造することが、重要な位置を占めた。
【0022】
前記課題は、栄養生理学的に有効な成分としてグアニジノ酢酸および/またはグアニジノ酢酸塩を含む、ペット用の完成飼料によって解決された。
【0023】
意外なことに完成飼料の場合は、容易かつ経済的な方法で製造することができるので、グアニジノ酢酸成分が実際に課題設定に従った、グアニジノ酢酸成分指向性の要求特性を満たすことが確認された。クレアチンもしくはクレアチン一水和物とは異なり、グアニジノ酢酸、およびそれらの塩はまた、酸性溶液、例えば胃の中で発生するような溶液において明らかにより高い安定性を有し、かつ生理学的条件下で初めてクレアチンへと変換される。意外なことに、本願との関連で記載するグアニジノ酢酸、およびそれらの塩はクレアチンとは異なりそうして実際に吸収後、とりわけ肝臓への吸収後に初めて、クレアチンへと変換されることが、特に有利であると判明した。こうして使用された化合物の主要な部分が、公知のクレアチンとは異なり非安定的反応により前段階で既に分解したり排出されることなく、実際に生理学的適用分野で利用される。グアニジノ酢酸、およびそれらの塩を、本発明によればこうしてクレアチンおよびその誘導体とはまったく異なり、同様の効果の際に明らかにより僅少な投与量で使用することができる。
【0024】
さらには、グアニジノ酢酸が飼料の工業的製造において発生するような条件下で、非常に高い安定性を有することを示すことができた。グアニジノ酢酸はこの際、クレアチンに対して明瞭な利点を示す。さらにグアニジノ酢酸は、クレアチンより明らかに良好な貯蔵安定性を有することを示すことができた。これらの利点を、総体においてこのように予見することはできなかった。
【0025】
本願の完成飼料におけるグアニジノ酢酸成分の意外にも有利な特性に基づいて、この完成飼料は特定の供与形態に限定されることはない。むしろ乾燥飼料、半湿性飼料、および湿性飼料の形態での変法も同様に考慮の対象となり、例えばとりわけ缶詰飼料、ペレット、顆粒、ビスケット、コロッケ、ナゲット、フレーク、およびスナックといったものが、本発明により同様に考慮される。
【0026】
完成飼料は好適には動物性および/または植物性原料に基づく。さらには、完成飼料は好適にはグリシンを含む。特に好ましくは、完成飼料は加水分解後に、グリシンをL−セリンに対する比で1:2.7より多く、好適には1:1またはそれより大きい比で含む。
【0027】
既に論じたように本発明による完成飼料は、比較的高い水分含有率をも有することができるにもかかわらず、意外にも良好に貯蔵安定性である。特に好ましくは、提案された完成飼料は8質量%より大きい水分含有率を有するのが望ましく、その際水分含有率は10質量%超であり、およびとりわけ20〜80質量%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明に不可欠なグアニジノ酢酸成分は本発明によれば、遊離した形、すなわち実際にグアニジノ酢酸として存在することができるだけではなく、塩もしくは付加化合物または錯化合物の形で存在することができる。当然ながら、これらの化合物タイプのすべての混合形態もまた、可能である。
【0029】
本発明による完成飼料には、アスパラギン酸、アスコルビン酸、焦性ブドウ酸、コハク酸、フマル酸、グルコン酸、シュウ酸、ピログルタミン酸、3−ニコチン酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、硫酸、蟻酸、塩酸、およびリン酸によって得られるグアニジノ酢酸塩が有利であると証明されており、その際グアニジノ酢酸カリウム、グアニジノ酢酸カルシウム、またはグアニジノ酢酸ナトリウムが特に適している。もちろんまたグアニジノ酢酸と1または複数の前述の塩とからなる混合物、または前述の塩から成る混合物もまた使用可能である。
【0030】
グアニジノ酢酸およびそれらの塩が比較的広い分量範囲で完成飼料に使用できることが、さらなる利点であることが判明した。全完成飼料に対してこの完成飼料は、好適には0.01〜20質量%の量で、とりわけ0.1〜1.0質量%の量で、および特に好ましくは0.2〜0.5質量%の量でグアニジノ酢酸成分を含むのが望ましい。
【0031】
当然ながらこの完成飼料は、グアニジノ酢酸成分の他にも、さらに他の含有物質、例えば同様に栄養生理学的に活性な成分および/または調製助剤もしくは充填材を含むことができる。
【0032】
その際、その都度の具体的な使用ケースによって非常に推奨価値があり得るのは、さらなる生理学的に活性な成分としてメチル基ドナー、例えばコリン、ベタイン、および/またはメチオニンを添加することである。
【0033】
総じてグアニジノ酢酸およびそれらの塩は本発明により食餌、とりわけ例えば犬や猫である肉食動物の食餌において、新規の使用目的を与えられ、その際従来公知のクレアチン化合物とは異なり、明らかで意外な利点を有する。
【0034】
以下の実施例は本発明の範囲を明確にする。
【0035】
実施例
実施例1
5,000mgのグアニジノ酢酸と5,000mgのベタインとから成る混合物を、製造の際に市販の犬用軟性飼料1kgに混合した。最終生成物中のグアニジノ酢酸の量は0.5質量%であった。
【0036】
実施例2
2,500mgのグアニジノ酢酸と5,000mgのベタインとから成る調製物を、犬用缶詰飼料のための典型的な調合物1kgに混合した。最終生成物中のグアニジノ酢酸の量は0.25質量%であった。
【0037】
実施例3
2,000mgのグアニジノ酢酸乳酸塩、750mgのカルニチン酒石酸塩、100mgのスクロースステアリン酸塩、160mgのタルク、および1,090mgの果糖を、犬用ビスケットのためのベース物質1kgに混合した。最終生成物中のグアニジノ酢酸の量は0.2質量%であった。
【0038】
実施例4
マスターバッチとして、市販の猫用缶詰飼料混合物1kgに下記の調製物を均質に混合した:1,000mgのグアニジノ酢酸、400mgのメチオニン、2,000mgのコリン、40mgのステアリン酸マグネシウム、25mgのカルボキシメチルセルロース、および135mgのラクトース。最終生成物中のグアニジノ酢酸の量は0.1質量%であった。
【0039】
実施例5:安定性
5.1
クレアチンとグアニジノ酢酸の安定性を、工業的に製造される完成飼料の製造の際に発生する条件下で比較した。このために、160℃で湿性飼料物質の押出のためのモデルシステムを使用した。グアニジノ酢酸とクレアチンは水に溶解され(pH7)、かつオートクレーブ内で30分間、160℃に加熱した。引き続きクレアチンとグアニジノ酢酸の含有量を測定した。クレアチンからクレアチニンへの、およびグアニジノ酢酸からグリコシアミジンへの環化反応の速度は、もっぱらpH価と温度に依存しているが、濃度からは完全に独立している。
【0040】
試験の結果は図1に示されている。これより、動物飼料の製造のために優位な条件においてはグアニジノ酢酸がクレアチンより非常に高い安定性を有することが明らかになる。160℃で30分後のクレアチン含有量が元来の含有量の20%未満である一方、同一の条件下ではなお80%より多いグアニジノ酢酸が存在する。
【0041】
5.2
クレアチンとグアニジノ酢酸の安定性を、pH5の水中で試験した。これらの条件は缶詰飼料(水分含有率75〜85%)における貯蔵と比較可能である。その結果が図2に示されている。グアニジノ酢酸は、クレアチンより明らかに良好な貯蔵安定性を有することが認められた。グアニジノ酢酸においては60日後、分解が全く観察されない一方、クレアチンはもはや87%しか再び得られない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】加熱に伴うグアニジノ酢酸とクレアチンの含有量の経時変化を示す図である。
【図2】グアニジノ酢酸とクレアチンの貯蔵安定性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栄養生理学的に有効な成分として、少なくとも1のグアニジノ酢酸成分を含む、ペット用の完成飼料。
【請求項2】
とりわけ缶詰飼料、ペレット、顆粒、ビスケット、コロッケ、ナゲット、フレーク、およびスナックの形態の乾燥飼料、半湿性飼料、および湿性飼料であることを特徴とする、請求項1に記載の完成飼料。
【請求項3】
8質量%より多く、好適には10質量%より多く、およびとりわけ20〜80質量%の水分含有率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の完成飼料。
【請求項4】
グアニジノ酢酸成分としてグアニジノ酢酸、および/またはグアニジノ酢酸の少なくとも1の塩、付加化合物、または錯化合物を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の完成飼料。
【請求項5】
前記グアニジノ酢酸成分が、グアニジノ酢酸と、リンゴ酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、コハク酸、焦性ブドウ酸、フマル酸、グルコン酸、α−ケトグルタル酸、シュウ酸、ピログルタミン酸、3−ニコチン酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、硫酸、酢酸、蟻酸、2−ヒドロキシ安息香酸、L−カルニチン、アセチル−L−カルニチン、タウリン、ベタイン、コリン、メチオニン、およびリポ酸、ならびにナトリウム、カリウム、またはカルシウムとの化合物であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の完成飼料。
【請求項6】
前記完成飼料が、前記グアニジノ酢酸成分を溶解された形で含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の完成飼料。
【請求項7】
前記完成飼料が、前記グアニジノ酢酸成分を0.01〜20質量%の量で、およびとりわけ0.1〜1質量%の量で、および特に好ましくは0.2〜0.5質量%の量で含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の完成飼料。
【請求項8】
前記完成飼料がさらには、メチル基ドナー、例えばコリンおよび/またはベタインを含むことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の完成飼料。
【請求項9】
前記完成飼料を、肉食動物のための、およびとりわけ猫、および犬のために使用することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の完成飼料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−528038(P2009−528038A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556719(P2008−556719)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001783
【国際公開番号】WO2007/098952
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(506390292)アルツケム トロストベルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】AlzChem Trostberg GmbH
【住所又は居所原語表記】Dr.−Albert−Frank−Str. 32, D−83308 Trostberg, Germany
【Fターム(参考)】