説明

ペット用補助食品

【課題】ドライタイプや半生タイプのえさにかけてもこぼれ落ちることなく効率的に摂取できるシャンピニオンエキス入りペット用補助食品を提供する。
【解決手段】シャンピニオンエキスの電解水溶液に所定分量のゲル化剤、金属イオン、有機酸、香料、甘味料、脂肪燃焼アミノ酸、各種サプリメントを入れて加熱、撹拌し、濾過した後、80℃以上の温度で30分程度殺菌する。その後、ポンプ付き容器や搾り出し容器などの押し出し可能な容器に充填し、この容器から押し出してペットのえさにかけ与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットの臭い消し、腎不全の進行抑制などに有効なシャンピニオンエキスを電気分解によって生成される酸性水、アルカリ水などの電解水に溶かし、ゼリー状にして毎日のペットのえさにかけ与えるペット用補助食品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のペットブームを反映してペットが大切な家族の一員として扱われるようになり、室内で飼育されるペットの数が増えている。そのため、ペットの糞尿臭、体臭、口臭などいわゆるペット臭を低減するための対策が求められている。
また、ペットには先天性・遺伝性疾患が数多くあり、特に猫の腎不全は、犬の腎不全よりも2〜3倍多く発症すると言われている。そのため、ペットが腎不全を発症して点滴や透析治療が必要になった場合、飼い主に生活面におけるさまざまな制約や多大な経済的・時間的負担を強いることになる。
【0003】
一方、マッシュルームから抽出したシャンピニオンエキスは腸内環境を整え、臭いの元となる腸内腐敗物の生成を抑えるので、胃腸病の諸症状を改善し、便臭、体臭、口臭などを低減する作用がある。
また、最近では血液浄化作用もあることが分かり、これにより免疫力を強化する働きや腎不全の進行を遅らせる働きも報告されている。
そのため、シャンピニオンエキスはペットの消臭、免疫増強、腎不全の進行抑制などに有効な機能性補助食品としてペットにも適用できる。
【0004】
ところがシャンピニオンエキスには特有の嫌な臭いと酸味があり、それだけをそのままペットに食べさせるのは難しい。そのため、錠剤やカプセルにして食べさせることもできるが、人間のように水と一緒に飲むことはないので、肉やチーズなどペットの好きなえさに隠して食べさせる必要があり、与えるのに手間がかかる。
あるいはペットのえさにかけて食べさせることもできるが、ドライタイプや半生タイプの場合、えさにかけた液体や粉末のシャンピニオンエキスがえさからこぼれ落ちるので、摂取されずに食べ残しが多くなる。
また、ドライタイプのえさは硬くて歯石をつきにくくし、あごの発達にもよく、保存性に優れ、値段も安いので半生タイプやウエットタイプに比べ、ペットの主食として最適であるが、水分が少ないため、新鮮な水と一緒に与えなければならないなど取り扱いが不便である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は以上のような点であり、本発明は、ドライタイプや半生タイプのえさにかけてもこぼれ落ちることなく効率的に摂取できるシャンピニオンエキス入りペット用補助食品を提供することを目的になされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明は、シャンピニオンエキスの電解水溶液にゲル化剤を混合・溶解してゼリー状に成し、それを押し出し可能な容器に充填し、この容器からシャンピニオンエキス入り電解質ゼリーを押し出してペットのえさにかけ与えることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、シャンピニオンエキスの電解水溶液をゼリー状にしてペットのえさにかけ与えるので、ドライタイプや半生タイプのえさにも程よく付着し、こぼれ落ちることなく効率よく摂取できるようになる。
また、ゼリー状の電解水溶液から水分が補給されるので、ドライタイプのえさでも水と一緒に与える必要がなくなり、のど越しもよくなるのでペットが食べやすくなる。
また、通常の水溶液の吸収率は約10%程度なのに対し、電解水溶液の吸収率は約95%なので、シャンピニオンエキスが効率よくペットの体内に吸収されるようになる。
また、体内に吸収された電解水は、神経や筋肉の機能を調整し、体液や血液の酸と塩基のバランスを良くする効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
本発明は、0.2〜0.3重量%程度のシャンピニオンエキスの電解水溶液に1重量%程度のゲル化剤(増粘多糖類)を添加してゲル化する。
ゲル化剤としては、例えば動物系のゼラチン、植物系の寒天、ペクチン、カラギナン、ジェランガムなどの多糖類が挙げられ、これらのゲル化剤の1種以上を添加し、その組合せや添加量により崩れやすい脆い食感から、弾力のあるこんにゃく様の食感まで、幅広い食感に調整することが可能となる。
また、カラギナンは高温殺菌(例えば115℃)を行ってもゲル形成能力が失われないので、熱安定性の面から使用が好ましい。
【0010】
上記ゲル化剤に加え、例えばグルタミン酸ナトリウム、乳酸カルシウム、炭酸カリウム、硫酸マグネシウムなどの金属イオンを0.01〜0.02重量%の範囲で添加し、ゲル強度を強化する。
特に、カラギナンにカルシウムを添加すると弾力性があり、離水性の少ないゲルとすることができる。
【0011】
この他、酸味の素である、例えばクエン酸、りんご酸、コハク酸、乳酸、リン酸などの有機酸を0.01〜0.2重量%程度添加し、シャンピニオンエキス特有の酸味を中和して飽きのこない、さっぱりした味にすることができる。これらの有機酸には疲労回復・殺菌・抗菌・下痢予防などの効果がある。
【0012】
この他、例えばレモン、グレープフルーツ、みかん、夏みかん、いよかん、はっさく、だいだい、きんかん、ゆず、かぼす、すだちなどの柑橘系の香料を0.1〜0.2重量%程度添加し、これらの芳香性成分を用いてシャンピニオンエキス特有の嫌な臭いを隠蔽・マスキングすることができる。
【0013】
この他、例えばスクラロース、サッカリン、アステルパーム、オリゴ糖、パラチノース、キシリトールなどの甘味料を0.01〜0.03重量%程度添加し、シャンピニオンエキス特有の酸味を消して食味をよくする。
【0014】
この他、例えばアラニン、プロリン、リジン、アルギニンなどの脂肪燃焼アミノ酸を0.2〜1.0重量%程度添加し、ペットの肥満を防止する。
【0015】
この他、ペット用マルチビタミンを配合してペットの体調を整える。
また、強化カルシウムを配合してペットの骨や歯を丈夫にする。
また、食物繊維を配合して整腸作用を促し、下痢、軟便、便秘を予防する。
また、ラズベリー果汁エキスを配合して脂肪燃焼と便通を活性化させる。
また、コエンザイムQ10を配合して活性酸素の増加を抑える。
【0016】
以上により、シャンピニオンエキスの電解水溶液に所定分量のゲル化剤、金属イオン、有機酸、香料、甘味料、脂肪燃焼アミノ酸、各種サプリメントを入れて加熱、撹拌し、濾過した後、80℃以上の温度で30分程度殺菌する。その後、ポンプ付き容器や搾り出し容器などの押し出し可能な容器に充填し、この容器から押し出してペットのえさにかけ与える。与える量は、ペットの体重1kgに対して1日に約2〜3gが目安である。
【0017】
図1に、本発明を実施したペット用補助食品を入れる容器の一例としてポンプ付き容器の概略断面図を示す。
ポンプ付き容器は、容器1のキャップ2と一体にシリンダ3を取り付け、シリンダ3内にプランジャ4を挿入し、プランジャ4の先にバネ5を設置する。
シリンダ3は下側逆止弁aを介して下方の吸入管6に連通し、プランジャ4は上側逆止弁bを介して上方の排出管7に連通する。排出管7は途中を水平に折り曲げ、折り曲げ部に押釦8を取り付ける。
【0018】
ポンプ付き容器は以上のような構成で、図2(a)に示すように、押釦8をプッシュするとプランジャ4が押し下げられ、下側逆止弁aが閉じ、上側逆止弁bが開いてシリンダ3内の溶液が排出管7を通って先端の開口部から吐出される。図2(b)に示すように、押釦8を離すとバネ5に付勢されてプランジャ4が押し上げられ、下側逆止弁aが開き、上側逆止弁bが閉じて容器1内の溶液が吸入管6を通ってシリンダ3内に吸引される。
【0019】
このポンプ付き容器は、プランジャ4のストロークを、例えば3段階に切換えて1回の吐出量を調節し、数回のプッシュで大型犬、中型犬、小型犬それぞれに適量が取り出せるようにする。
ストロークの切換えは、図3に示すように、例えば排出管7の外周に高さと方向の異なるストッパ7a、7bを突設し、図4に示すように、キャップ2の頂面にストッパ7a、7bに対応する通孔2a、2bをそれぞれ穿設する。
【0020】
以上のような構成で、図5(a)に示すように、排出管7を回転してストッパ7a、7bを通孔2a、2bの位置に合わせると、両方のストッパ7a、7bが通孔2a、2bを貫通してキャップ2の頂面より突出し、プランジャ4が最も高い位置にきてストロークが最長になる。
図5(b)に示すように、排出管7を回転してストッパ7aだけを通孔2bの位置に合わせると、高い方のストッパ7aが通孔2bを貫通し、低い方のストッパ7bがキャップ2の内側に係止し、プランジャ4が中間の位置にきてストロークが中長になる。
図5(c)に示すように、排出管7を回転して両方のストッパ7a、7bを通孔2a、2bの位置から外すと、高い方のストッパ7aがキャップ2の内側に係止し、プランジャ4が最も低い位置にきてストロークが最短になる。
以上により、排出管7を回転してプランジャ4のストロークを3段階に切換えることができる。なお、以上の切換え方法は一例であって本発明はこの方法に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を実施したペット用補助食品を入れる容器の概略断面図である。
【図2】ポンプ付き容器の動作説明図である。
【図3】ストッパを突設した排出管の側面の概略図である。
【図4】通孔を穿設したキャップの頂面の概略図である。
【図5】ストロークを3段階に切換える動作説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 容器
2 キャップ
2a 通孔
2b 通孔
3 シリンダ
4 プランジャ
5 バネ
6 吸入管
7 排出管
7a ストッパ
7b ストッパ
8 押釦
a 下側逆止弁
b 上側逆止弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンピニオンエキスの電解水溶液にゲル化剤を混合・溶解してゼリー状に成し、
それを押し出し可能な容器に充填し、
この容器から前記シャンピニオンエキス入り電解質ゼリーを押し出してペットのえさにかけ与えることを特徴とするペット用補助食品。
【請求項2】
前記ゲル化剤は少なくとも動物系のゼラチン、植物系の寒天、ペクチン、カラギナン、ジェランガムのいずれかであることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項3】
前記ゲル化剤に加えて少なくともナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウムのうちのいずれかの金属イオンが添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項4】
前記ゲル化剤に加えて少なくともクエン酸、りんご酸、コハク酸、乳酸、リン酸のうちのいずれかの有機酸が添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項5】
前記ゲル化剤に加えて少なくともレモン、グレープフルーツ、みかん、夏みかん、いよかん、はっさく、だいだい、きんかん、ゆず、かぼす、すだちのうちのいずれかの柑橘系香料が添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項6】
前記ゲル化剤に加えて少なくともスクラロース、サッカリン、アステルパーム、オリゴ糖、パラチノース、キシリトールのうちのいずれかの甘味料が添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項7】
前記ゲル化剤に加えて少なくともアラニン、プロリン、リジン、アルギニンのうちのいずれかの脂肪燃焼アミノ酸が添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項8】
前記ゲル化剤に加えて少なくともペット用マルチビタミン、強化カルシウム、食物繊維、ラズベリー果汁エキス、コエンザイムQ10のうちのいずれかの栄養機能成分が添加されることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項9】
前記容器はポンプ付き容器または搾り出し容器のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。
【請求項10】
前記容器には1回の吐出量を調節する調節手段が備えられていることを特徴とする請求項1記載のペット用補助食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−159403(P2007−159403A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355659(P2005−355659)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(502114238)株式会社ランセロット (1)
【出願人】(505245955)有限会社ティーオーエム (1)
【Fターム(参考)】