説明

ペプチドの薬剤適用形、その製造法及び使用

【課題】凝集傾向のあるペプチドの腸管外適用のための新規製剤形及びその製法及び使用を提供する。
【解決手段】本発明による腸管外使用のために好適な薬剤適用形は、凝集傾向のあるペプチドを、その酢酸-、グルコン酸-,グルクロン酸-、乳酸-、クエン酸-、アスコルビン酸-、安息香酸-又は燐酸-塩の形で溶解又は分散して含有し、かつ付加的に、前記の酸の1種を遊離の酸として含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集傾向のあるペプチド、殊にLHRH-類縁体又はLHRH-アンタゴニスト及び-アゴニストの腸管外適用のための新規製剤形及びその製法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
EP 0299402から、薬物学的に有効なデカペプチド、例えばSB-030、SB-075(セトロレリックス:Cetrorelix)及びSB-088は、それらの薬剤学的に認容可能な無害な酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、タンニン酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、アルギン酸塩、パモエート、アスコルビン酸塩及び酒石酸塩等の形で使用できることが公知である。
【0003】
特開平6-321800号公報から更に、安定剤としてのグルコン酸塩を含有する凍結乾燥されたペプチド-又は蛋白質製剤が公知である。1実施例中で、溶液はグルコン酸マグネシウム2.5%を含有し、ここでは、作用物質として、特にバソプレシン、LHRH及びインシュリンが記載されている。
【0004】
文献から、特に、Powell, M. F., Pharmaceutical Reseach, 1258-1263(8) 1991; Dathe M., Int. J. Peptide Protein Res. 344-439 (36) 1990 及びSzejtli, J. Pharmaceutical Technology International 16-22, 1991 から、オリゴペプチド、しかも特に末端位酸アミド官能基を有するものがゲルを形成する傾向を有することが公知である。
【0005】
EP 0611572中には、アミノ酸3〜15を有するペプチドからの凍結乾燥物の製造法が記載されており、これによれば、100〜10000質量部のペプチドが酢酸中に溶解され、かつ基質物質、例えばマンニットが添加され、並びに引き続き、凍結乾燥されて、このペプチドの滅菌濾過凍結乾燥物が得られ、かつゲル形成が回避される。
【0006】
DE OS 19542873には、マイクロカプセルの形の複雑な組成の薬剤適用形が記載されており、これによれば、ABA-トリブロック-コポリマー(そのA-ブロックは乳及びグリコール酸からのポリマーを表し、そのBポリマーは、ポリエチレングリコール連鎖を表す)が、血清蛋白質、ポリアミノ酸、シクロデキストリン、シクロデキストリン誘導体、糖類、アミノ糖、アミノ酸、界面活性剤又はカルボン酸の群及びこれら物質の混合物からの添加物質と一緒に使用される。記載のマイクロ粒子は、僅かな又は凝集敏感なポリペプチド量の封入の後にもこのポリペプチドを長時間に渡り連続的に放出すべきである。
【0007】
DD 141996には、長時間にわたり安定であり、腸管外適用可能な製剤の要件に応答する天然のLHRHの医薬品形の製造が記載されている。この場合の重点は、この製剤の持続性の改善である(2頁、19〜23行)。この溶液の濾過性に関しては何も言及されていない。更に、この持続性の改善のために、pH3.5〜6.5のpH範囲に調節するために、緩衝物質も(酢酸も)使用される。ゲル形成性ペプチド塩から無菌の凍結乾燥物を製造する問題は、ここでは解決されない。
【0008】
EP 0175506では、ペプチドの水溶液が1N酢酸で処理され、その後にこのペプチドの酢酸塩を得るために凍結乾燥される。従って、この出願の目的は、ペプチド塩の合成である。
【0009】
しかしながら、凝集する傾向のあるペプチド、例えばLHRH-アンタゴニストの公知酢酸塩の場合には、濾過を用いる非経口適用のための無菌溶液の製造が、特に高い濃度の場合には可能であるが、この凍結乾燥物の注射の直前の溶解の後に凝集物が生じうることが明らかである。この凝集物は、今や生体利用性を濃度依存的に、0.5mg/mlのペプチド-濃度まで低下させる。
【0010】
この記載の問題は、迅速な作用物質放出の目的に適用される注射溶液の場合のみならず、遅延された放出を示す注射製剤の場合にも観察される。従って、作用物質放出をコントロールすべきマトリックス中に導入されたペプチドは、その凝集する傾向に基づき、不所望に低い放出性を示すことがありうる。従って、ここでも、生体利用性は低められる。
【0011】
LHRH-アゴニスト及び-アンタゴニストのような薬物学的に有効なペプチド、例えばアンタレリックス(Antarelix)及びセトロレリックス(Cetrorelix)の有利な適用が腸管外の医薬品形である事実から出発すると、好適に製造、滅菌濾過及び調製することのできる認容可能な生体利用性を有する安定な注射製剤の提供が必要であった。このことは、殊に可溶性ペプチド塩から再構成された凍結乾燥物の形での注射用製剤及びマイクロ粒子、マイクロカプセル又は埋め込み体に当てはまる。
【0012】
このことは、益々明らかになってくるLHRH-アンタゴニストの多様な使用分野を考慮すれば、一層重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】EP 0299402
【特許文献2】特開平6-321800号公報
【特許文献3】EP 0611572
【特許文献4】DE OS 19542873
【特許文献5】DD 141996
【特許文献6】EP 0175506
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Powell, M. F., Pharmaceutical Reseach, 1258-1263(8) 1991; Dathe M., Int. J. Peptide Protein Res. 344-439 (36) 1990
【非特許文献2】Szejtli, J. Pharmaceutical Technology International 16-22, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
この物質群の急速に増大している適用分野に関して、腸管外の、殊に皮下注射可能な安定なペプチド溶液の広い選択が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ところで、凝集傾向のあるペプチドを溶解又は分散した形で含有する、腸管外使用のために好適である薬剤適用形が開発され、これは、ペプチドがその酢酸-、グルコン酸-,グルクロン酸-、乳酸-、クエン酸-、アスコルビン酸-、安息香酸-又は燐酸-塩の形で存在し、この適用形が付加的に前記の酸の1種を遊離の酸として含有し、かつ場合によっては、酸、界面活性物質、ポリマー、脂質又は糖の群からの添加-又は助剤を含有していてよいことを特徴としている。
【0017】
この薬剤学的適用形は、水中又は水性溶剤混合物中に溶解又は懸濁された形で存在することができる。
【0018】
本発明のもう一つの実施態様によれば、この薬剤学的適用形は、生理学的に認容性の油、有利に中鎖トリグリセリド(中性油、ミグリオール:Myglyol(R))又はヒマシ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、落花生油、オリーブ油又はこれらの油の混合物中に溶解又は懸濁された形で存在することができる。
【0019】
使用されるペプチドは、LHRH-アンタゴニスト アンチド(Antide)、A-75998、ガニレリックス(Ganirelix)及びNal-Glu-アンタゴニスト、殊にセトロレリックス、アンタレリックス並びにUS 5942493及びDE 19911771.3に記載のアンタゴニストである。
【0020】
助剤機能の酸として、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルカル酸、クエン酸、アスコルビン酸及びアミノ酸が使用される。
【0021】
従って、ペプチドの凝集を抑制し、良好な生体利用性を有する製剤の要件を満足させ、医薬品価値を、有効な製剤技術で富ませることが可能である。
【0022】
更に意外に、グルコン酸、グルクロン酸、クエン酸、乳酸又はアスコルビン酸の添加により、更に種々のセトロレリックス-塩の安定性が著しく改善されることが発見された。
【0023】
従って本発明によれば、滅菌濾過された安定な製剤を問題なく製造及び調製することが可能である。
【0024】
付加的に好適な助剤を添加するのが有利である。これらの助剤は、酸、界面活性物質、ポリマー、脂質又は糖であってよい。酸の例は、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルカル酸、乳酸、クエン酸、アスコルビン酸及びアミノ酸である。界面活性物質として、ポリエチレングリコール-12-(ヒドロキシ)-ステアレート(ソルトール:Solutol(R))、ポリオキシエチレンリシノレート(クレモフォール:Cremophor(R))、ポリソルベート、ポロキサマー(Poloxamere)、燐脂質、レシチン又は塩化ベンザルコニウムを使用することができる。好適なポリマーは、アルブミン、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、澱粉誘導体又はポリビニルピロリドンである。糖の例は、シクロデキストリン又はシクロデキストリン誘導体である。いわゆるカオトロピック物質、例えば尿素も添加剤又は助剤として使用することができる。
【0025】
本発明による組成物の使用分野は、殊にLHRH-類縁体、即ちLHRH-アゴニスト及びLHRH-アンタゴニストにより影響されうる全ての性ホルモン-依存性状態及び疾患の予防及び治療である。
【0026】
この場合に、次のものが顕著である:
良性前立腺肥大、前立腺癌、思春期プレコックス、多毛症、子宮内膜過増殖症及びそれらの随伴症状、子宮内膜癌、体外受精(IVF/COS/ART)、受胎調節、月経前症候群(PMS)、筋腫性子宮、乳癌、卵管閉鎖(PTO)、卵巣癌及び子宮癌。LHRH-アンタゴニストとしては、本発明による組成物のために次の物質が特に有利である:セトロレリックス、アンタレリックス、アンチド、A-75998、ガニレリックス、Nal-Glu-アンタゴニスト並びにUS特許第5942493及びDE特許第19911771.3に記載のLHRH-アンタゴニスト。
【実施例】
【0027】
例1
偏光顕微鏡検査を用いて、助剤の添加なしの又は添加された種々のセトロレリックス-塩の溶液で凝集検査を実施した。凝集したペプチド-溶液は、直交偏光子を有する偏光-光学顕微鏡中で、液晶構造に非常に類似している像を示す。これとは反対に、凝集物不含のペプチド-溶液はこのような効果を示さない。
【0028】
【表1】

【0029】
従って、グルコン酸の添加は、セトロレリックス-酢酸塩の安定性の改善に作用しており、ここでは凝集が遅延又は阻止される。
【0030】
更なる実験は、グルコン酸の添加なしの又は添加したセトロレリックス-グルコン酸塩に集中する。最も重要な結果が第2表中にまとめられている。
【0031】
【表2】

【0032】
従って、セトロレリックス-グルコン酸塩は、酢酸塩に比べて利点を提供する。グルコン酸の添加は、セトロレリックス-グルコン酸塩-溶液の持続性を高める。
【0033】
更に、セトロレリックス-酢酸塩-溶液に対するグルクロン酸の安定化の影響及び更なる塩としてセトロレリックス-グルクロン酸塩も、その凝集特性について試験した。結果は第3表中にまとめられている。
【0034】
【表3】

【0035】
グルクロン酸塩による酢酸塩の置換によっても、セトロレリックス-溶液の凝集安定性に関する著しい改善がグルコン酸塩を用いる場合と同様に得ることができる。セトロレリックス-グルクロン酸塩-溶液へのグルクロン酸の添加により、この溶液の凝集安定性はなお更に改善することができる。
【0036】
【表4】

【0037】
ヒドロキシプロピル-β−シクロデキストリン及び特にγ-シクロデキストリンの添加により、酢酸セトロレリックス-溶液の凝集安定性を著しく改善することができる。
【0038】
【表5】

【0039】
ヒドロキシプロピル-β−シクロデキストリン又はγ-シクロデキストリンの添加により、グルコン酸セトロレリックス-溶液の凝集安定性も著しく改善することができる。
【0040】
【表6】

【0041】
種々のポリビニルピロリドン-タイプの添加によっても、酢酸セトロレリックス-溶液の凝集安定性を著しく改善することができる。
【0042】
【表7】

【0043】
例2
セトロレリックス-バルク品(Bulkware)を30%酢酸中に10mg/mlの濃度で溶解させ、添加剤の水溶液を用いて3%酢酸中のペプチド1mg/mlの最終濃度まで希釈させる。次いで、この溶液を滅菌し、かつ凍結乾燥させる(1バイアル当たり5mg)。
【0044】
この凍結乾燥物の再構成の後に、この溶液(セトロレリックス2.5mg/ml)を次の試験で凝集物形成及び放出特性につき検査する。
・ 偏光顕微鏡検査(Pol.Mik.):凝集しない日数
・ 濾過性(%): セトロレリックス-溶液を標準法で製造し、0.22μm又は0.45μmフィルターを通し、遠心を用いて濾過する。濾液中のセトロレリックスの濃度をHPLCを介して測定し、濾過前の出発濃度に対する%-値として記載する(濾過性%)。
・ インビトロ-放出 短縮形(RRS、リンゲル溶液中の放出):1時間及び6時間後の放出(%)。
【0045】
このインビトロ放出特性は、媒体としてのリンゲル溶液を用い、37℃での貫流法で測定される。濃度測定をHPLCを介して行う。セトロレリックス塩基10mgに相当するセトロレリックス試料を貫流セル中に秤取し、水4mlを加え、10分間撹拌する。試料へのリンゲル溶液6mlの添加の後に、撹拌下に0.5ml/minの流量で一様にリンゲル溶液を貫流セルにポンプ送りする。
・ ラッテ-動物試験:注射後168時間の筋肉中のセトロレリックス-残留分(適用量の%)。
【0046】
第8a表中には、いくつかの製造された酢酸セトロレリックス-凍結乾燥物チャージ及びこれから製造された2.5mg/ml酢酸セトロレリックス-溶液の相応する試験結果が挙げられている。
【0047】
【表8】

【0048】
挙げられている例で、試験された種々の物質群(界面活性物質、酸、アミノ酸、ポリマー、糖、糖アルコール、シクロデキストリン、保存剤)からの多くの助剤単独を又はこれら助剤の混合物を用いて、安定化効果をインビトロで(偏光顕微鏡検査、濾過性、インビトロ-放出)及びインビボで得ることができることが明らかである。従って、この低下された凝集傾向及びこれに伴なう改善されたインビトロ作用物質放出は、ラッテ実験でも、ペプチド作用物質の改善された生体利用性及びそれに伴って低下されたラッテ筋肉中の残留含分をもたらす。
【0049】
安定化性助剤の添加なし又は添加された種々のセトロレリックス-塩を有するチャージの更なるインビトロ-及びインビボ-データが次の第8b表中に挙げられている。
【0050】
【表9】

【0051】
例3
僅かに/緩慢に凝集する傾向のある(良好な濾過性/偏光顕微鏡検査)及びリンゲル溶液中での迅速インビトロ放出を示すセトロレリックス-処方物は、ラッテ筋肉-実験で、168時間後にその僅かなセトロレリックス残留含分により優れている。このような処方物から、高い生体利用性が期待される。
【0052】
ラッテ筋肉-実験のいくつかの結果は、既に第8a表及び第8b表中に挙げられている。
【0053】
第9表中に示されている更なるラッテ筋肉-実験において、筋肉中の残留含分と並んでなお血漿中のセトロレリックス-分も測定した。このデータからも、試験された助剤の安定化影響が明白である。
【0054】
更に、酢酸塩をセトロレリックスの他の塩形によって置換することによって、改善された生体利用性及びこれに伴うラッテ筋肉実験での減少された残留量を達成することができた。
【0055】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集傾向のあるペプチドを溶解又は分散した形で含有する、腸管外使用のために好適な薬剤適用形において、このペプチドは、その酢酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩又は燐酸塩の形で存在し、この適用形は、付加的に前記の酸の1種を遊離酸として含有し、かつ場合によっては、酸、界面活性物質、ポリマー、脂質又は糖の群からの更なる添加剤又は助剤を含有することを特徴とする、腸管外使用のために好適な薬剤適用形。
【請求項2】
適用形は、水又は水性溶剤混合物中に溶解又は分散された形で存在する、請求項1に記載の腸管外使用のための薬剤適用形。
【請求項3】
適用形は、生理学的に認容性の油、有利に中鎖トリグリセリド(中性油、ミグリオール(R))又はヒマシ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、落花生油、オリーブ油又はこれらの油の混合物中に溶解又は分散された形で存在する、請求項1に記載の腸管外使用のための薬剤適用形。
【請求項4】
ペプチドは、LHRH-アンタゴニスト アンチド、A-75998、ガニレリックス及びNal-Glu-アンタゴニスト、殊にセトロレリックス、アンタレリックス並びに米国特許第5942493号及びドイツ特許第19911771.3によるアンタゴニストである、請求項1から3までのいずれかに記載の凝集傾向のあるペプチドを含有する腸管外使用のための薬剤適用形。
【請求項5】
助剤機能の酸として、グルコン酸、グルクロン酸、ガラクツロン酸、グルカル酸、クエン酸、アスコルビン酸及びアミノ酸が使用される、請求項1から4までのいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項6】
界面活性物質として、ポリエチレングリコール-12-(ヒドロキシ)-ステアレート(ソルトール(R))、ポリオキシエチレンリシノレート(クレモフォール(R))、ポリソルベート、ポロキサマー、燐脂質、レシチンが又は保存剤の形で、例えば塩化ベンザルコニウム又はフェニル水銀アセテートが使用される、請求項1から4までのいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項7】
ポリマーとして、アルブミン、ポリエチレングリコール、セルロース誘導体、澱粉誘導体又はポリビニルピロリドンが使用される、請求項1から4までのいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項8】
糖として、シクロデキストリン又はその誘導体並びに糖アルコールが使用される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の薬剤適用形。
【請求項9】
尿素又は他のカオトロピック物質が助剤として使用される、請求項1から4までのいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項10】
酢酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、クエン酸又はアスコルビン酸のペプチド塩が、溶液中に0.5mg/mlより高い濃度で存在する、請求項1、2及び4に記載の腸管外使用のための薬剤適用形。
【請求項11】
作用物質放出が、ポリマー、有利に乳酸又はグリコール酸のホモポリマー又はコポリマーの使用により遅延され、かつペプチドは、酢酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩又は燐酸塩として存在し、並びに場合により請求項5から9に記載の更なる助剤が使用される、請求項1から9までのいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項12】
ペプチドとして、セトロレリックス、アンタレリックス並びに米国特許第5942493号及びドイツ特許第19911771.3によるアンタゴニストが溶液中で0.5mg/mlより高い濃度で使用される、請求項1、2、4及び10のいずれかに記載の腸管外使用のための薬剤適用形。
【請求項13】
ポリマー、有利に、乳酸及びグリコール酸のホモポリマー又はコポリマーの使用により作用物質放出が遅延され、この際、ペプチド アンチド、A-75998、ガニレリックス及びNal-Glu-アンタゴニスト、殊にセトロレリックス、アンタレリックス並びに米国特許第5942493号及びドイツ特許第19911771.3によるアンタゴニストが、その酢酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩又は燐酸塩の形で存在し、かつ場合によっては更なる助剤を含有していてよい、請求項1から9及び11のいずれかに記載の薬剤適用形。
【請求項14】
酢酸、グルクロン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸又はアスコルビン酸でのペプチド塩の塩変換により、相応する塩を化学量論比で製造し、注射用の水中に溶かし、場合によっては請求項5から9に記載の助剤を添加し、引き続き滅菌濾過し、注射用瓶中に充填し、かつ凍結乾燥させることを特徴とする、請求項1及び4に記載の薬剤適用形を製造する方法。
【請求項15】
酢酸、グルクロン酸、グルコン酸、乳酸、クエン酸又はアスコルビン酸でのペプチド塩の塩変換により、相応する塩を化学量論比で製造し、この塩を、自体公知の方法で、乳酸及びグリコール酸からのホモポリマー又はコポリマーからの遅延放出性マイクロ粒子中に封入し、このマイクロ粒子を注射用の生理学的に認容性の媒体中に懸濁させることを特徴とする、請求項1及び4に記載の薬剤適用形を製造する方法。
【請求項16】
性ホルモン依存性の良性又は悪性疾患における腸管外使用のための、請求項1から13までのいずれか1項以上に記載の新規薬剤適用形の使用。
【請求項17】
性ホルモン依存性の良性及び悪性の疾患、殊に良性前立腺肥大、前立腺癌、思春期プレコックス、多毛症、子宮内膜過増殖症及びそれらの随伴症状、子宮内膜癌、体外受精(IVF/COS/ART)、受胎調節、月経前症候群(PMS)、筋腫性子宮、乳癌、卵管閉鎖(PTO)、卵巣癌及び子宮癌における腸管外使用ための、請求項1から13までのいずれか1項以上に記載の新規薬剤適用形の使用。

【公開番号】特開2011−213733(P2011−213733A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148199(P2011−148199)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2001−583734(P2001−583734)の分割
【原出願日】平成13年5月16日(2001.5.16)
【出願人】(503300502)エテルナ ツェンタリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (25)
【氏名又は名称原語表記】AEterna Zentaris GmbH
【住所又は居所原語表記】Weismuellerstrasse 50,D−60314 Frankfurt am Main,Germany
【Fターム(参考)】