説明

ペルゴリド療法における副作用低減のための経皮吸収型製剤および方法

本発明は、副作用を低減せしめ、かつ充分な治療効果を発揮する、ペルゴリド類含有経皮吸収型製剤の提供を目的とする。 かかる目的は、ペルゴリド類を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比を1:0.5〜1:5にする、前記経皮吸収型製剤および/またはペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)が2未満である、前記経皮吸収型製剤によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーキンソン病治療薬として知られるペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩(以下ペルゴリド類と記す)を含有し、皮膚透過性が非常に優れ、皮膚刺激性が低い経皮吸収型製剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、ペルゴリド類自体の血漿中濃度変動を低減するのみならず、ペルゴリド類の代謝物(以下ペルゴリド類代謝物と記す)の生成を抑制することにより、副作用を著しく低減した、パーキンソン病治療のための経皮吸収型ペルゴリド製剤およびペルゴリド療法における副作用を低減するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーキンソン病の薬物治療には、減少したドパミンを補うため、前駆物質であるレボドパの投与が一般に有効であるが、長期投与に伴い効果が減弱するため、作用機序の異なる薬剤との併用が行われている。メシル酸ペルゴリドはドパミンアゴニストの一種であり、レボドパと併用することにより、レボドパの減量を図れるとともに、その副作用を軽減することが可能であるため、経口剤として臨床の場において広く用いられている。
【0003】
しかしながら、現在利用可能なメシル酸ペルゴリド製剤は錠剤であり、肝臓における代謝・分解を回避することができず、投与された薬物が有効に利用されなかったり、例えば悪心、嘔吐、胃部不快感等に代表される消化器系の副作用を発現しやすいという問題点を有している。また、一般的にパーキンソン病患者は消化器系の機能が低下しているため、経口投与によるペルゴリドの生物学的利用率が一定になりにくいなどの問題点がある。とくに、前記生物学的利用率の変動および代謝の影響に起因するペルゴリド類および/またはその代謝物の血漿中濃度の急激な上昇に伴う副作用を回避するために、メシル酸ペルゴリドを経口投与する場合には、1日用量を漸増させながら投与を行う必要がある。すなわち、投与開始後2日目までは50μg/日を投与し、以後2ないし3日ごとに1日用量をとして50μgずつ増量する。そして第1週末および第2週末には、1日用量としてそれぞれ150μgおよび600μgを投与し、第3週目は1日用量をとして750μgより開始し、以後有効性および安全性を考慮しつつ増量し、維持量(標準1日750〜1250μg)を定めるという、極めて煩雑な用量設定作業を採ることを余儀なくされている(非特許文献1)。経口投与における上記のような煩雑な用量設定作業およびそれに伴う効果の不安定さを解消するべく、近年、経口剤に代わる製剤としてペルゴリド類を含有する経皮吸収型製剤がいくつか提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、ペルゴリドの医薬として許容される塩を透過促進剤と組み合わせて経皮投与するための組成物が提案されている。また、ペルゴリドの皮膚透過性を高めるための工夫として、特許文献2には層状のペルゴリド含有マトリックス組成物が、特許文献3には水を含有する多層マトリックス型の経皮吸収型製剤が開示されている。さらに、特許文献4および特許文献5には、ペルゴリドの硬膏において他の薬効成分を配合することにより作用を増強する方法、および皮膚刺激性が低く、物理的安定性に優れたペルゴリド含有貼付製剤がそれぞれ開示されている。そして、特許文献6には、ペルゴリドを包含する薬物の投与効果を充分に高水準でかつ安定的に与えるための貼付剤が開示されている。
しかしながら、上記いずれの文献に記載されている製剤においても、ペルゴリド類による前記副作用を低減することは目的とされてはおらず、該低減については記載されていない。
【0005】
特許文献7には、ペルゴリドのようなエルゴリン骨格を有する薬物の皮膚透過性を高めるとともに、薬物による副作用の低減を志向した経皮吸収型製剤が開示されている。しかし、該文献における副作用の軽減手法は、剤型を経口型から経皮吸収型に変更したことに主として依存するものである。
特許文献8には、オキシブチニンの副作用を低減するための方法および製剤が開示されている。しかし、該文献には、ペルゴリド類を含む経皮吸収型製剤についても、またパーキンソン病治療薬についても全く言及されておらず、まして同文献はペルゴリド類による副作用の低減などについては何らの具体的な知見も与えていない。
すなわち、経皮吸収型の剤型を採ることによって代謝の影響を回避し、ペルゴリドの薬効を十分に発揮せしめる試みはなされているものの、同時に副作用を抑えた経皮吸収型製剤はこれまで全く知られていない。そのため、ペルゴリド療法において用い得る経皮吸収型製剤の開発が希求されている。
【0006】
【特許文献1】特表平11−507361号公報
【特許文献2】特表2002−515424号公報
【特許文献3】WO02/078602号パンフレット
【特許文献4】特表2000−514053号公報
【特許文献5】WO02/38139号パンフレット
【特許文献6】WO02/69942号パンフレット
【特許文献7】WO03/13611号パンフレット
【特許文献8】米国公開2002/0147236号公報
【非特許文献1】「医療薬日本医薬集」、第26版、財団法人日本医薬情報センター編、2003年、p.2039
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記問題点がない、すなわち副作用を低減せしめ、かつ充分な治療効果を発揮する、ペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した従来技術における課題を解決するために鋭意検討を行う中で、驚くべきことに、ペルゴリド類代謝物の生成を抑制すること、またはペルゴリド類代謝物の血漿中濃度のピークの発現を抑制することによって上記課題が解消されること、見いだし、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ペルゴリド類を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比を1:0.5〜1:5にする、前記経皮吸収型製剤に関する。
また、本発明は、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比が1:0.5〜1:3.5である、前記経皮吸収型製剤に関する。
さらに、本発明は、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比が1:0.5〜1:2である、前記経皮吸収型製剤に関する。
また、本発明は、ペルゴリド類代謝物が、ペルゴリドスルホキシド、ペルゴリドスルホン、デスプロピルペルゴリド、デスプロピルペルゴリドスルホキシドからの1種または2種以上である、前記経皮吸収型製剤に関する。
さらに、本発明は、ペルゴリド類代謝物がペルゴリドスルホキシドである、前記経皮吸収型製剤に関する。
【0010】
また、本発明は、薬学的に許容される塩が、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩からの1種または2種以上である、前記経皮吸収型製剤に関する。
さらに、本発明は、薬学的に許容される塩がメシル酸塩である、前記経皮吸収型製剤に関する。
また、本発明は、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満である、前記経皮吸収型製剤に関する。
そして、本発明は、粘着剤層中にメタクリル酸コポリマーを含有する、前記経皮吸収型製剤に関する。
さらにまた、本発明は、粘着剤層中に、メタクリル酸コポリマー以外のアクリル系高分子をさらに含有する、前記経皮吸収型製剤に関する。
またさらに、本発明は、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満である、前記経皮吸収型製剤に関する。
そしてさらに、本発明は、貼付剤である前記いずれかの経皮吸収型製剤に関する。
【0011】
本発明の経皮吸収型製剤においては、投与後のペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比を1:0.5〜1:5とすることによって、副作用の要因となるペルゴリド類代謝物の生成量を相対的に減じることができるため、ペルゴリド療法における副作用を顕著に低減することができる。
【0012】
一方、ペルゴリド類の経口投与においては、第一回投与時のペルゴリド類および/またはそれらの主代謝物であるペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度のピークが、次回投与時に比して顕著に高く、かつ早期に現れる。すなわち、第一回投与時の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)が大きくなる、その結果、第一回投与時には副作用が生じる危険性が高いばかりでなく、次回投与時には有効血中濃度を維持することが困難となり、充分な治療効果を達成し得ない場合が少なくない。これらの知見に鑑み、本発明の経皮吸収型製剤は、ペルゴリド類および/またはペルゴリドスルホキシドのピークの発現を抑制することによって、その副作用を低減するものである。
すなわち、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を用いることにより、皮膚を介してペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を循環血中に効率よく吸収させることが可能であり、製剤を簡便に投与することができる。また、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤によれば、代謝物の生成を抑えることにより、および/またはペルゴリド類および/またはペルゴリドスルホキシドのピークの発現を抑えることによって副作用を低減させることが可能であるため、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤は、パーキンソン療法におけるペルゴリドの経皮適用を目的とする外用製剤として有用である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ペルゴリド類を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比を1:0.5〜1:5にする、ペルゴリド療法における副作用を低減するための前記経皮吸収型製剤である。したがって、本発明の経皮吸収型製剤によれば、ペルゴリド療法における副作用を顕著に低減せしめることができる。
また、本発明の経皮吸収型製剤のうち、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比が1:0.5〜1:3.5、より好ましくは1:0.5〜1:2であるものによれば、ペルゴリド類代謝物の少なくとも1種の生成量をより減じることによって、ペルゴリド療法における副作用をより顕著に低減せしめることができる。
【0014】
また、本発明の経皮吸収型製剤のうち、ペルゴリド類代謝物の少なくとも1種が、ペルゴリドスルホキシド、ペルゴリドスルホン、デスプロピルペルゴリド、デスプロピルペルゴリドスルホキシドからの1種または2種以上であるもの、好ましくはペルゴリド類代謝物の少なくとも1種がペルゴリドスルホキシドであるものによれば、ペルゴリド療法における副作用の主因と考えられるペルゴリド類代謝物の生成を抑制することができるため、副作用をより顕著に低減せしめることができる。
また、本発明の経皮吸収型製剤のうち、薬学的に許容される塩が、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩からの1種または2種以上であるものによれば、より広範なペルゴリドの塩を用いることができるため、ペルゴリド療法に用いられるペルゴリド類の選択肢を広げることができる。上記薬学的に許容される塩のうち、メシル酸塩がとくに好ましい。
さらに、本発明の経皮吸収型製剤のうち、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満であるものによれば、ペルゴリド類自体による副作用をも低減せしめることができ、および/またはペルゴリドスルホキシドによる副作用を確実に低減せしめることができるため、ペルゴリド療法をより効果的に実施することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の経皮吸収型製剤のうち、粘着剤層中にメタクリル酸コポリマーを含有するものによれば、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比のコントロールをより容易に行うことができ、結果としてペルゴリド療法における副作用の管理をより効果的に行うことができる。粘着剤層中に、メタクリル酸コポリマー以外のアクリル系高分子をさらに含有するものにおいては、副作用の管理をさらにより効果的に行うことができる。
【0016】
またさらに、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満である本発明の経皮吸収型製剤によれば、ペルゴリド類自体による副作用を低減せしめることができ、および/またはペルゴリドスルホキシドによる副作用を確実に低減せしめることができるため、ペルゴリド療法を効果的に実施することができる。
そして、本発明の経皮吸収型製剤のうち、貼付剤であるものによれば、ペルゴリド類の投与を極めて簡便かつ清潔に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明において、「AUC」とは、Area under the curveの略語であり、血漿中濃度を経時的に座標平面上の点としてプロットした場合に、プロットされた前記各点によって得られるグラフとX軸とによって囲まれた部分の面積を意味する。その算出方法は、例えばMilo Gibaldi & Donald Perrier,PharmacoKinetics,2nd ed.(1982)に記載されている。AUCには個人差があり、平均値も変異し得るが、一般的な傾向および相関には再現性がある。
本発明において、「ペルゴリド療法」とは、ペルゴリド類を用いた予防的または治療的措置を意味する。
本発明において、「副作用」とは、対象における薬物の使用に関連する、あらゆる有害な作用を意味する。
本発明において、「副作用を低減する」とは、対象または対象群における、薬物の使用に関連する1種または2種以上の副作用の頻度および/または程度を軽減することを意味する。
本発明において、「薬学的に許容される塩」とは、ある薬物の塩が対象に投与された場合に、当該塩が当該薬物から所望される薬効を発揮する場合の前記塩を意味する。
本発明において、「次回投与時の血漿中濃度」とは、ある薬物を対象に連続投与する場合に、ある投与の次の投与を行う際の、当該当該薬物の血漿中濃度を意味する。したがって、「次回投与時の血漿中濃度」には、第二回投与時における血漿中濃度を当然に含む。
【0018】
本発明の経皮吸収型製剤の一つは、前記のとおり、ペルゴリド類とペルゴリド類代謝物の少なくとも1種の血漿中AUC比を1:0.5〜1:5とすることを特徴とする。代謝物による副作用を低減する観点から、この血漿中AUC比は1:0.5〜1:3.5であることが好ましく、1:0.5〜1:2であることが特に好ましい。
また、本発明の経皮吸収型製剤の他の一つは、連続投与時の薬物血漿中濃度推移において、ペルゴリド類の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時の血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)を2未満とすることを初めて可能にしたものである。本発明の該経皮吸収型製剤においては、ペルゴリド自体による副作用の低減の点から、(A/B)および/または(A’/B’)が2未満であり、1.5未満であることが好ましい。
【0019】
なお、本発明の経皮吸収型製剤は、いずれもペルゴリド類が経皮吸収されるものであれば、軟膏剤、外用クリーム製剤等、剤型は限定されないが、投与の簡便さおよび衛生上の観点から貼付剤が好ましい。さらに貼付剤の場合には、非水系経皮吸収型製剤であることが特に好ましい。非水系の粘着剤層にペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含有させることにより、皮膚透過性が極めて良好になり、しかも皮膚刺激性が低い経皮吸収型製剤を得ることができるからである。
【0020】
以下、本発明の経皮吸収型製剤についてさらに詳しく説明する。
本発明は、ペルゴリド類を含有する経皮吸収型製剤である。本発明の経皮吸収型製剤の剤型は特に限定されないが、例えば図1に示す貼付剤の形態をとる。以下、本発明の経皮吸収型製剤における粘着層中の組成および形態に関して詳しく説明する。
【0021】
本発明の経皮吸収型製剤における薬理活性成分は、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩、すなわちペルゴリド類である。薬学的に許容される塩としては、特に限定されず、無機塩であっても有機塩であってもよく、代表的な塩であるメシル酸ペルゴリドは特に好ましい。
【0022】
本発明の経皮吸収型製剤には、ペルゴリド類を0.5〜50重量%の量で配合させることが好ましい。0.5重量%以上とすることによって経皮吸収型製剤として十分な薬物透過量を得やすくなり、50重量%以下とすることによって製剤の物性をより良好に保つことが可能になる。
なお、ペルゴリド類代謝物の少なくとも1種がペルゴリドスルホキシド、ペルゴリドスルホン、デスプロピルペルゴリド、デスプロピルペルゴリドスルホキシドからの1種または2種以上であるものは好ましく、ペルゴリドスルホキシドであるものは特に好ましい。
【0023】
本発明の剤型が貼付剤の場合、粘着剤層の基剤としては、アクリル系高分子および/またはゴム系の高分子を用いることが好ましい。
アクリル系高分子としては、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタアクリレート等に代表される(メタ)アクリル酸誘導体を少なくとも一種含有させて共重合したものであれば特にその限定は無いが、例えば、医薬品添加物事典2000(日本医薬品添加剤協会編集)に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有するアクリル系高分子等の粘着剤、DURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(ナショナルスターチアンドケミカル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会)等を使用することができる。前記オイドラギットシリーズのような、メタクリル酸コポリマーは、副作用をより効率的に低減せしめるため好ましい。メタクリル酸コポリマーに加えて、他のアクリル系高分子をさらに含むものはより好ましい。
【0024】
ゴム系の高分子としては、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、SISと略記する)、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(以下、PIBと略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合(以下、SBSと略記する。)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、SBRと略記する)、ポリシロキサン等が挙げられ、その中でも、SISとPIBが好ましく、特にSISが好ましい。このような疎水性高分子は2種以上混合して使用しても良く、これら高分子の組成全体の質量に基づく配合量は、粘着剤層の形成及び充分な透過性を考慮して、5〜90質量%であることが好ましく、さらに10〜70質量%であることが好ましく、特に10〜50質量%の量であることが好ましい。
粘着剤層中に、メタクリル酸コポリマーに加えて、アクリル系高分子をさらに含有するものは好ましい。
【0025】
本発明の製剤の粘着剤層には可塑剤を含有させてもよい。使用され得る可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル類(ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトン等が挙げられる。特に流動パラフィン、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシルが好ましい。
【0026】
これらの成分は2種以上混合して使用しても良く、このような可塑剤の粘着層の組成全体に基づく配合量は、充分な透過性及び貼付製剤としての充分な凝集力の維持を考慮して合計で、10〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%の量で配合されることができる。
【0027】
本発明が貼付剤の場合の粘着剤層には、粘着力が不足している場合には粘着付与樹脂を含有することが望ましく、使用され得る粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えばアルコンP100、荒川化学工業)、脂環族系炭化水素樹脂(例えばクイントンB170、日本ゼオン)、テルペン樹脂(例えばクリアロンP−125、ヤスハラケミカル)、マレイン酸レジン等が挙げられる。特に水添ロジンのグリセリンエステル、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、テルペン樹脂が好ましい。
このような粘着付与樹脂の粘着層の組成全体に基づく配合量は、貼付剤としての充分な粘着力及び剥離時の皮膚への刺激性を考慮して、5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%の量で配合されることができる。
【0028】
本発明が貼付剤の場合の粘着層には吸収促進剤を含有させてもよく、使用され得る吸収促進剤としては、従来皮膚での吸収促進作用が認められている化合物のいずれでも良く、例えば炭素鎖数6〜20の脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、アミド、またはエーテル類、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステルまたはエーテル(以上は飽和、不飽和のいずれでもよく、また、環状、直鎖状分枝状のいずれでもよい)、さらに、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、エイゾン(Azone)、エイゾン(Azone)誘導体、ピロチオデカン、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類(Span系)ポリソルベート系(Tween系)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系(HCO系)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油等が挙げられる。
【0029】
具体的にはカプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、クレゾール、乳酸セチル、乳酸ラウリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、l−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HCO−60、ピロチオデカン、オリーブ油が好ましく、特にラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ピロチオデカンが好ましい。
【0030】
このような吸収促進剤は2種以上混合して使用しても良く、貼付製剤としての充分な透過性及び発赤、浮腫等の皮膚への刺激性等を考慮して、粘着層の組成全体の質量に基づいて、0.01〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜10質量%、とくに好ましくは0.1〜5質量%の量で配合されることができる。
【0031】
本発明において、ペルゴリドの形態が薬学的に許容される酸付加塩の場合は、粘着剤層中にさらに有機酸を含有させることが望まれ、使用される有機酸としては、脂肪族(モノ、ジ、トリ)カルボン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、カプロン酸、カプリル酸、乳酸、マレイン酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸等)、芳香族カルボン酸(例えば、フタル酸、サリチル酸、安息香酸、アセチルサリチル酸等)、アルキルスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロピルスルホン酸、ブタンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホン酸等)、アルキルスルホン酸誘導体(例えば、N−2−ヒドロキシエチルピペリジン−N’−2−エタンスルホン酸(以下、「HEPES」と略記する)等)、コール酸誘導体(例えば、デヒドロコール酸等)を挙げることができ、その中でも酢酸、プロピオン酸、乳酸、サリチル酸が好ましく、特に酢酸が好ましい。またこれらの有機酸は、その塩または、塩との混合物を用いてもよい。
これらの有機酸は、貼付製剤としての充分な透過量及び皮膚への刺激性を考慮すると、粘着剤層の組成全体の質量に基づいて、0.01〜20質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%の量で配合されることができる。
【0032】
また、必要に応じて、抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤を用いることができ、抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒドログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等が望ましい。充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等が望ましい。架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属または金属化合物等の無機系架橋剤が望ましい。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が望ましい。紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が望ましい。
【0033】
このような抗酸化剤、充填剤、架橋剤、防腐剤、紫外線吸収剤は、合計で貼付製剤の粘着層の組成全体の質量に基づいて、好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下の量で配合されることができる。
【0034】
上記したような組成を有する薬物含有粘着層は、いずれの方法によっても製造されることができる。例えば、薬物を含む基剤組成を熱融解させ、離型紙又は支持体に塗工後、支持体又は離型紙と張り合わせて本剤を得る。また、薬物を含む基剤成分をトルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の溶媒に溶解させ、離型紙又は支持体上に伸展して溶剤を乾燥除去後、支持体あるいは離型紙と張り合わせて本剤を得る。
【0035】
本発明が貼付剤の場合の支持体層は、粘着剤層を支持するのに適したものであれば特に限定はされないが、伸縮性または非伸縮性のものを用いることができる。例えば布、不織布、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アルミニウムシート等、又はそれらの複合素材等を用いることができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。尚、実施例において、「%」は、全て質量%を意味するものとする。
【0037】
(実施例1)
SIS 10.0%
アクリル粘着剤(DURO−TAK87−2194) 8.0%
アクリル系ポリマー(オイドラギットEPO) 10.0%
脂環族飽和炭化水素樹脂(アルコンP100) 35.0%
流動パラフィン 15.0%
酢酸 6.0%
酢酸ナトリウム 2.0%
メシル酸ペルゴリド 9.0%
ソルビタンモノラウレート 2.0%
イソステアリルアルコール 3.0%
全量 100.0%
【0038】
予め、メシル酸ペルゴリド、酢酸、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、イソステアリルアルコールおよび流動パラフィンを乳鉢に取りよく混合した後、酢酸エチルおよびヘプタンに溶解した残りの成分と混合する。離型紙上に塗工後溶剤を乾燥除去し、PETフィルム支持体と張り合わせて本発明の経皮吸収型製剤を得た。
【0039】
(試験例)
(1)ヘアレスマウス皮膚透過試験
ヘアレスマウス背部皮膚を剥離し、真皮側をレセプター層側にし、37℃の温水を外周部に循環させたフロースルーセル(5cm)に装着した。角質層側に実施例1において得られた製剤を貼付し、レセプター層に生理食塩水を用い、5mL/時間の速さで2時間毎に24時間までサンプリングを行った。各時間に得られたレセプター溶液は、流量を正確に測り、高速液体クロマトグラフ法により薬物濃度を測定した。流量及び薬物濃度の測定値より1時間当たりの透過速度を算出し、各実施例の最大皮膚透過速度を求めた。結果を表1に示す。
【0040】
(2)ヒト皮膚透過試験
ヘアレスマウス皮膚透過試験と同様に測定した。実施例1において得られた製剤の最大皮膚透過速度の結果を表1に示す。
【0041】
(3)ウサギ皮膚一次刺激性試験
実施例1において得られた製剤の皮膚一次刺激性をドレーズ法で試験した。得られたそれぞれの製剤でのPII値を表1に示す。
【0042】
(4)製剤物性試験
実施例1において得られた製剤の粘着力をプローブタックテスター及びピール測定機により、凝集力をクリープ測定機により測定した。また、糸引きや溶液成分の滲みだし等は肉眼で判断した。その結果、製剤物性に問題無いものを○、問題あるものを×として評価した。その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
(5)ヒト単回投与による薬物動態試験
健康成人(n=8)に実施例1で得られた製剤を単回投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータを表2に、主代謝物であるペルゴリドスルホキシドの薬物動態パラメータを表3にそれぞれ示す。また、比較のためにペルゴリドの経口剤であるペルマックス錠の薬物動態パラメータについても同時に示す。
これらの結果の基になる血漿中濃度については、図2および図3にそれぞれ示した。
また、各処理区における副作用の程度について、表4に示す。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
表2および3より、ペルマックス錠、実施例1(投与量1.35mg、2.7mg、5.4mgおよび10.8mg。それぞれ2cm、4cm、8cmおよび16cmに対応)におけるメシル酸ペルゴリドとその主代謝物であるペルゴリドスルホキシドとのAUC比は、それぞれ1:14.1、1:1.03、1:0.91、1:0.83および1:0.89となった。すなわち、本発明の経皮吸収型製剤においては、メシルペルゴリドとその代謝物のAUC比が、ペルマックス錠の1/17〜1/14と顕著に小さかった。なお、この際の副作用(眠気、嘔気、頭痛)も、本発明の経皮吸収型製剤を投与した場合においては、ペルマックス錠を投与した場合より明らかに小さかった(表4)。とくに、上記AUC比が1:1.0以下である2.7mg、5.4mgおよび10.8mg投与区においては、上記副作用は全くみられなかった。
【0049】
(6)連続投与時のシミュレーション
(5)において用いた各薬剤のうち、本発明実施例1にかかる8cm製剤および16cm製剤ならびに経口剤であるペルマックス錠を24時間間隔で連続投与した場合の、ペルゴリドおよびペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度を以下のシミュレーションにより求めた。なお、ペルゴリドスルホキシドについては、16cm製剤のみのシミュレーションを行った。
本発明の経皮吸収型製剤においては、単回投与において測定した血漿中濃度を24時間ごとに順次加算し、連続投与時の血漿中濃度推移を計算した。計算は2時間間隔として行い、単回投与時の血漿中濃度の測定値がない点については、前後の値から内挿して求めた。96時間以降の値については血漿中濃度が実質的に0(ゼロ)pg/mlとなるまで外挿した値を用いた。
ペルマックス錠については、その標準的な投与方法に準じて、上記本発明の経皮吸収型製剤と同様なシミュレーションを行った。
【0050】
その結果、本発明の経皮製剤においては、ペルゴリドに関する初回投与における最高血漿中濃度(A)と第二回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)およびペルゴリドスルホキシドに関する初回投与における最高血漿中濃度(A’)と第二回投与時の血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)は、それぞれのTmaxが30時間を超えることにも関連し、1.0となった(図4および5)。
一方、ペルマックスにおいては、第一回投与後の最高血漿中濃度(A)は6.70pg/mlとなり、第二回投与時、すなわち第一回投与から24時間後における血漿中濃度(B)は1.35pg/mlとなった。したがって、ペルマックスにおいては、A/B=4.96(6.70/1.35)であった(図4)。
【0051】
以上の結果より、本発明の実施例において得られたペルゴリド類含有経皮吸収型製剤は、薬物皮膚透過速度に優れ、皮膚刺激性及び製剤物性も実用に十分耐えられることが明らかになった。また、本発明の経皮吸収型製剤においては、従来の経口剤に比べ代謝物の少なくとも1種の生成量が著しく低いため、代謝物に伴う副作用を顕著に減らすことができることも明らかになった。
さらに、本発明の経皮吸収型製剤においては、ペルゴリドに関する初回投与における最高血漿中濃度(A)と第二回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)およびペルゴリドスルホキシドに関する初回投与における最高血漿中濃度(A’)と第二回投与時の血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)を2未満にできるため、ペルゴリド自体およびその主代謝物による副作用を顕著に減らすことができることも明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を用いることにより、皮膚を介してペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を循環血中に効率よく吸収させることが可能であり、製剤を簡便に投与することができる。また、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤によれば、代謝物の少なくとも1種の生成を抑えることにより、副作用を低減させることが可能である。さらに、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤は、皮膚に対する付着性も良く、パーキンソン療法におけるペルゴリド経皮適用を目的とする外用製剤として有用である。
したがって、本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤は、医薬産業および医薬関連産業の発展に寄与するところ極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤の一態様を示す図である。
【図2】本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を単回投与した際の、未変化体の血漿中濃度の経時変化を示す図である。
【図3】本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を単回投与した際の、主代謝物(ペルゴリドスルホキシド)の血漿中濃度の経時変化を示す図である。
【図4】本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を連続投与した際の、ペルゴリドの血漿中濃度の経時変化のシミュレーション結果を示す図である。
【図5】本発明のペルゴリド類含有経皮吸収型製剤を連続投与した際の、ペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度の経時変化のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1・・・支持体層
2・・・薬物含有粘着剤層
3・・・ライナー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリドまたはその薬学的に許容される塩とそれらの代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比を1:0.5〜1:5にする、前記経皮吸収型製剤。
【請求項2】
ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩とそれらの代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比が1:0.5〜1:3.5である、請求項1に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項3】
ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩とそれらの代謝物の少なくとも1種との血漿中AUC比が1:0.5〜1:2である、請求項2に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項4】
代謝物が、ペルゴリドスルホキシド、ペルゴリドスルホン、デスプロピルペルゴリド、デスプロピルペルゴリドスルホキシドからの1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
【請求項5】
代謝物がペルゴリドスルホキシドである、請求項4に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項6】
薬学的に許容される塩が、塩酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩からの1種または2種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
【請求項7】
薬学的に許容される塩がメシル酸塩である、請求項6に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項8】
ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満である、請求項1〜7のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
【請求項9】
粘着剤層中にメタクリル酸コポリマーを含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。
【請求項10】
粘着剤層中に、メタクリル酸コポリマー以外のアクリル系高分子をさらに含有する、請求項9に記載の経皮吸収型製剤。
【請求項11】
ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容される塩を含む経皮吸収型製剤であって、ペルゴリドおよび/またはその薬学的に許容されるその塩の最高血漿中濃度(A)と次回投与時の血漿中濃度(B)の比(A/B)および/またはペルゴリドスルホキシドの最高血漿中濃度(A’)と次回投与時のペルゴリドスルホキシドの血漿中濃度(B’)の比(A’/B’)が2未満である、前記経皮吸収型製剤。
【請求項12】
貼付剤である、請求項1〜11のいずれかに記載の経皮吸収型製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【国際公開番号】WO2005/041967
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515164(P2005−515164)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016091
【国際出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(000160522)久光製薬株式会社 (121)
【Fターム(参考)】