説明

ペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置

【課題】本発明は、PCW入口ラインとPCW出口ラインとの間にバイパスラインを設け、水中カッター装置のドレインバルブからのPCWの排出を円滑化することを目的とする。
【解決手段】本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置は、水中カッター装置(4)の出口側(4a)のPCW出口ライン(31)と入口側(34)のPCW入口ライン(32)との間をバイパスライン(40)で接続し、押出機停止後、水中カッター装置(4)のドレインバルブ(35)を開弁した場合、前記PCW出口ライン(31)からの外部空気がバイパスライン(40)を経てPCW入口ライン(32)に入り、PCW入口ライン(32)内のPCW(14a)が排出される方法と構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置に関し、特に、PCW入口ラインとPCW出口ラインとの間にバイパスラインを設け、水中カッター装置のドレインバルブからのPCWの排出を円滑に行うための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のペレット製造装置としては、特許文献1に開示されている構成を図3及び図4として挙げることができる。
すなわち、図4においては、水中カッター装置(UWC)4、脱水スリットからなる脱水装置18、遠心脱水機19、ペレット冷却/搬送用水(PCW)タンク20、ペレット冷却/搬送用水(PCW)ポンプ21及び三方弁22が示されており、PCW14aは、PCWポンプ21により、ペレット製造装置内を循環している。
従って、前述の構成において、UWC装置4で成形されたペレット14は、PCWと共に脱水装置18まで運ばれ、脱水装置18によりPCWと分離され、遠心脱水機19で余分に付着している水分が除去された後、ペレット14として製品となる。
【0003】
尚、前記脱水装置18でペレット14と分離されたPCW14aは、PCWタンク20のPCWポンプ21で三方弁を介して循環すると共に、水中カッター装置4に供給され、加熱媒体5aで加熱されたダイス5を介して内部へ押出されたストランド(図示せず)がペレットに切断されてPCW14aによって脱水装置18に搬送されて脱水され、前述の動作が連続して繰返される。
【0004】
前記水中カッター装置4は、図3に示されるように構成され、前記ダイス5に供給された図示しない混練押出機からの溶融プラスチック9は、穴10を介してストランド(図示せず)として循環箱6内に供給され、この循環箱6内でカッター13のカッター刃13aによって切断されてペレット14化され、前記脱水装置18に供給される構成である。
また、前記カッター13は、モータ12により回転するカッター軸16に設けられており、このカッター軸16はスラスト方向に移動できるように構成されている。
【0005】
前述の図4のペレット製造装置におけるペレット冷却/搬送用水の排出方法は、概略的に説明すると、図2で示されるように構成されていた。
尚、図4と同一部分には同一符号を付して説明する。
図2において、水中カッター装置4の出口側4aには、第1大口径フレキシブルホース30を介してPCW出口ライン31が接続され、このPCW出口ライン31は大気解放の脱水装置18に接続されている。
【0006】
前記脱水装置18からのPCW14aは、三方弁22を介して、PCW入口ライン32から第2大口径フレキシブルホース33を経て水中カッター装置4の入口側34に供給されるように構成されている。
前記入口側34にはドレインバルブ35が設けられ、このドレインバルブ35によって系内からのPCW14aを排出することができるように構成されている。
従って、前述の構成において、溶融押出機が停止して水中カッター装置4の稼動を停止させた後、ドレインバルブ35を開弁すると、系内のPCW14aはドレインバルブ35から外部に排出されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−110777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のペレット製造装置におけるペレット冷却/搬送用水の排出方法は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、水中カッター装置4の循環箱6の入口側34の一番低い部分にドレインバルブ35を設置して排出していたために、PCW入口ライン32には、押出機停止時にPCW14aをバイパス又は止めるための三方弁22を設けており、そのために、三方弁22を閉じている時は、PCW入口ライン32からドレインバルブ35まではPCW14aで満たされており、大気解放されているPCW出口ライン31のPCW14aが全て排出され、大気解放からの空気がPCW入口ライン32に入り込まなければ、PCW入口ライン32のPCW14aはドレインバルブ35を経て外部に排出されなかった。
【0009】
また、近年においては、水中カッター装置4に接続された押出機の処理能力は年々増加しており、それに伴って水中カッター装置4の大きさも大型化し、必要とするPCW14aの水量も多くなり、従来はドレインバルブ35から容易にPCW14aを排出できていたが、何倍もの時間をかけなければ排出できず、このPCW14aの排出時、空気がPCW入口ライン32に入る際に、水中カッター装置4のPCW出口ライン31に接続された第1大口径フレキシブルホース30が激しく揺れ動き、この第1大口径フレキシブルホース30の揺動によって作業者の作業に支障が発生していた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法は、押出機から押出されたストランドを切断する水中カッター装置と、前記水中カッター装置にペレット冷却/搬送用水(以下、PCWと称す)を供給するためのPCW入口ラインと、前記水中カッター装置からの前記PCWを大気解放の脱水装置へ供給するためのPCW出口ラインと、前記PCW入口ラインとPCW出口ラインとを接続し、かつ、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径よりも小径のバイパスラインと、前記水中カッター装置に設けられたドレインバルブと、を用い、前記押出機が停止し前記ドレインバルブを開弁して前記PCWを排出する場合、前記PCW出口ラインからの空気が前記バイパスラインを経て前記PCW入口ラインに入り、前記PCWが前記ドレインバルブから排出される方法であり、また、前記バイパスラインの口径は、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径の50%以下で3%以上である方法であり、また、本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出装置は、押出機から押出されたストランドを切断する水中カッター装置と、前記水中カッター装置にペレット冷却/搬送用水(以下、PCWと称す)を供給するためのPCW入口ラインと、前記水中カッター装置からの前記PCWを大気解放の脱水装置へ供給するためのPCW出口ラインと、前記PCW入口ラインとPCW出口ラインとを接続し、かつ、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径よりも小径のバイパスラインと、前記水中カッター装置に設けられたドレインバルブと、を備え、前記押出機が停止し前記ドレインバルブを開弁して前記PCWを排出する場合、前記PCW出口ラインからの空気が前記バイパスラインを経て前記PCW入口ラインに入り、前記PCWが前記ドレインバルブから排出される構成であり、また、前記バイパスラインの口径は、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径の50%以下で3%以上である構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、押出機から押出されたストランドを切断する水中カッター装置と、前記水中カッター装置にペレット冷却/搬送用水(以下、PCWと称す)を供給するためのPCW入口ラインと、前記水中カッター装置からの前記PCWを大気解放の脱水装置へ供給するためのPCW出口ラインと、前記PCW入口ラインとPCW出口ラインとを接続し、かつ、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径よりも小径のバイパスラインと、前記水中カッター装置に設けられたドレインバルブと、を用い、前記押出機が停止し前記ドレインバルブを開弁して前記PCWを排出する場合、前記PCW出口ラインからの空気が前記バイパスラインを経て前記PCW入口ラインに入り、前記PCWが前記ドレインバルブから排出されることにより、PCW入口ライン側に速やかに空気が入り、PCW入口ライン及びPCW出口ラインからの排水が円滑に行われ、水中カッター装置に接続されている各大口径フレキシブルの激しい揺れを防止し、従来発生していた作業者への支障もなく、完全な操業を行うことができる。
また、前記バイパスラインの口径は、前記PCW入口ライン又はPCW出口ラインの口径の50%以下で3%以上とすることにより、円滑なPCWの排出ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置を示す概略構成図である。
【図2】従来のペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置を示す概略構成図である。
【図3】従来のペレット製造装置における水中カッティング装置を示す構成図である。
【図4】従来のペレット製造装置を示す系統構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、PCW入口ラインとPCW出口ラインとの間にバイパスラインを設け、水中カッター装置のドレインバルブからのPCWの排出を円滑に行うようにしたペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0014】
以下、図面と共に本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明すると共に、装置全体としては、後述のバイパスライン40を除き、図3及び図4の構成と同一である。
図1において、符号4で示されるものは、水中カッター装置であり、この水中カッター装置4の出口側4aには、第1大口径フレキシブルホース30を介してPCW出口ライン31が接続され、このPCW出口ライン31は大気解放の脱水装置18に接続されている。
【0015】
前記脱水装置18からのPCW14aは、周知の三方弁22を介して、PCW入口ライン32から第2大口径フレキシブルホース33を経て水中カッター装置4の入口側34に供給されるように構成されている。
前記入口側34にはドレインバルブ35が設けられ、このドレインバルブ35によって系内からのPCW14aを排出することができるように構成されている。尚、各大口径フレキシブルホース30,33の大口径寸法は、循環するPCW14aの容量によるもので、大きさの限定はなく、適宜の口径のフレキシブルホースであればよい。
【0016】
前記PCW出口ライン31とPC入口ライン32との間には、バイパスライン40が接続され、前記PCW出口ライン31からの空気がPCW入口ライン32に供給できるように構成されている。尚、このバイパスライン40は前記三方弁22の下流すなわちドレインバルブ35側に配設されている。
【0017】
次に、動作について述べる。前記水中カッター装置4に接続された押出機(図示せず)が運転中は、系全体にPCW14aが満たされた状態で水中カッター装置4におけるストランドのカッティングが行われ、ペレット14の製造が行われている。
前記押出機の運転中においては、PCW出口ライン31及びPCW入口ライン32を循環して流れているPCW14aは、バイパスライン40にも流れるが、このバイパスライン40の管径は、各ライン31,32に比べて十分小さく、このバイパスライン40を流れるPCW14aの流量は押出機及び水中カッター装置4の運転に支障をきたすような量とはならないように構成されている。従って、さらなるバルブ等の設置及び操作は不要である。
【0018】
前記押出機が停止し、PCWポンプ21が停止して、水中カッター装置4からPCW14aを排出する場合、まず、ドレインバルブ35を開弁すると、前記PCW出口ライン31は脱水装置18を介して大気解放状態であるため、PCW出口ラインからの空気がこのバイパスライン40を経てPCW入口ライン32に流入し、PCW 入口ライン32側の第2大口径フレキシブルホース33内のPCW14aもドレインバルブ35側へ抜ける状態となって円滑にドレインバルブ35から排出され、各フレキシブルホース30,33が従来のような激しい揺動を発生することもない。
【0019】
前記バイパスライン40の口径は、押出機の運転に影響を与えない口径であれば良く、かつ、最小口径としては前述の空気の導入ができる口径であれば良い訳であるが、この口径は各ライン31,32の管径よりも単に小であればよい訳ではなく、各ライン31,32の口径に近い口径ではPCW14aの循環に支障が発生し、また逆に、バイパスライン40の口径が細すぎると、空気の流通が悪くなって本発明の空気導入作用が困難となる。
【0020】
従って、本出願人の種々の実験によると、バイパスライン40の口径は、各ライン31又は32の口径の50%以下であればよく、設置上の費用等を考慮すると、好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下〜3%以上、すなわち、50%以下〜3%以上であれば、本発明のPCW14aの排出作用に必要な空気の導入を達成することができる。尚、各ライン31,32の口径は同一である。
尚、前述のバイパスライン40の口径であれば、PCW14aの循環時においては、PCW14aの各ライン31,32の水流により、バイパスライン40内の水を吸い込む(すなわち、引張る状態)作用が働くため、ペレット、切りくず等がバイパスライン40内へ流入することはない。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によるペレット冷却/搬送用水の排出方法及び装置は、ペレット用に限ることなく、食品及び薬品等の流体の製造設備の洗浄等に適用可能である。
【符号の説明】
【0022】
4 水中カッター装置
4a 出口側
5 ダイス
14 ペレット
14a PCW
18 脱水装置
22 三方弁
30 第1大口径フレキシブルホース
31 PCW出口ライン
32 PCW入口ライン
33 第2大口径フレキシブルホース
34 入口側
35 ドレインバルブ
40 バイパスライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機から押出されたストランドを切断する水中カッター装置(4)と、前記水中カッター装置(4)にペレット冷却/搬送用水(以下、PCWと称す)(14a)を供給するためのPCW入口ライン(32)と、前記水中カッター装置(4)からの前記PCW(14a)を大気解放の脱水装置(18)へ供給するためのPCW出口ライン(31)と、前記PCW入口ライン(32)とPCW出口ライン(31)とを接続し、かつ、前記PCW入口ライン(32)又はPCW出口ライン(31)の口径よりも小径のバイパスライン(40)と、前記水中カッター装置(4)に設けられたドレインバルブ(35)と、を用い、
前記押出機が停止し前記ドレインバルブ(35)を開弁して前記PCW(14a)を排出する場合、前記PCW出口ライン(31)からの空気が前記バイパスライン(40)を経て前記PCW入口ライン(32)に入り、前記PCW(14a)が前記ドレインバルブ(35)から排出されることを特徴とするペレット冷却/搬送用水の排出方法。
【請求項2】
前記バイパスライン(40)の口径は、前記PCW入口ライン(32)又はPCW出口ライン(31)の口径の50%以下で3%以上であることを特徴とする請求項1記載のペレット冷却/搬送用水の排出方法。
【請求項3】
押出機から押出されたストランドを切断する水中カッター装置(4)と、前記水中カッター装置(4)にペレット冷却/搬送用水(以下、PCWと称す)(14a)を供給するためのPCW入口ライン(32)と、前記水中カッター装置(4)からの前記PCW(14a)を大気解放の脱水装置(18)へ供給するためのPCW出口ライン(31)と、前記PCW入口ライン(32)とPCW出口ライン(31)とを接続し、かつ、前記PCW入口ライン(32)又はPCW出口ライン(31)の口径よりも小径のバイパスライン(40)と、前記水中カッター装置(4)に設けられたドレインバルブ(35)と、を備え、
前記押出機が停止し前記ドレインバルブ(35)を開弁して前記PCW(14a)を排出する場合、前記PCW出口ライン(31)からの空気が前記バイパスライン(40)を経て前記PCW入口ライン(32)に入り、前記PCW(14a)が前記ドレインバルブ(35)から排出されることを特徴とするペレット冷却/搬送用水の排出装置。
【請求項4】
前記バイパスライン(40)の口径は、前記PCW入口ライン(32)又はPCW出口ライン(31)の口径の50%以下で3%以上であることを特徴とする請求項3記載のペレット冷却/搬送用水の排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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