説明

ペレット選別機

【課題】 透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での乱反射を抑えて、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくし、精度よく選別・除去することができるペレット選別機を提供する。
【解決手段】 ペレット選別機(1)の第1バックグラウンド(19A)及び第2バックグラウンド(19B)のそれぞれを、放物線軌跡(L)に接近させるとともに、該放物線軌跡Lの流下方向に沿って凸状又は凹状に湾曲させて形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナイロン製品等の原料となる半透明な樹脂ペレットや、プラスチックペレットから、カーボン等の付着した不良ペレットを取り除くためのペレット選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂ペレット生成過程で生じる極めて微量な着色粒を除去するため、着色した不良品を高能率に除去する樹脂ペレットの着色粒除去装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この着色粒除去装置の受光部について図3を参照して詳細に説明する。図3は受光部の一部拡大図であり、該受光部はペレットの表側を検出する受光部113,114とペレットの裏側を検出する受光部115とが落下経路Lを挟んで設けられ、表側の受光部113,114はそれぞれを流れ方向の上流側と下流側とに位置をずらし、検出ラインPに向けて配置されている。これにより、検出ラインP上のペレットは3方向から検出されることになり、ある1面がカーボンで黒ずんだ不良ペレットが検出ラインPに差しかかると、この面に向いた受光部113乃至115のいずれかが、良品ペレットの光量とほぼ同じ光量に調整したバックグランド118乃至119の光量と不良ペレットとの光量差を検出する。バックグラウンド118乃至120の光量調整はあらかじめマイコン等により角度を変化させ、バックグラウンド118乃至120の光量と良品ペレットとの光量とを常に一致させてある。そして、バックグラウンド118乃至120の光量(良品ペレットの光量)と不良ペレットの光量差は電気的に変換され、あらかじめ設定されたしきい値と比較し、しきい値よりも大きい信号(電圧)の場合は当該ペレットを不良品と判別し、受光センサーに対応する位置のエジェクター124が遅延して作動し、当該ペレットを不良品排出樋(図示せず)内に噴き飛ばすものである。
【特許文献1】特許第2651867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の着色粒除去装置にあっては、受光部113乃至115近傍の複数の蛍光管121A乃至121Eにより検出ラインP上の樹脂ペレットが照明されるのであるが、樹脂ペレットに多方向から光を照射すると透明度の高いものはペレット内部で乱反射を起こし、正常ペレットのキラリと光った信号と不良ペレットの微小黒点の信号とが判別できず、正常ペレットであっても不良ペレットと判別するという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点にかんがみ、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での乱反射を抑えて、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくし、精度よく選別・除去することができるペレット選別機を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1の発明は、ホッパー(2)及びフィーダー(3)からなる供給部(4)と、該供給部(4)から供給されたペレットを無端状のベルトコンベア(5)により一定流量で、かつ、一定速度で搬送する搬送部(6)と、該搬送部(6)から横方向に放出されるペレットの放物線軌跡(L)を挟んだ位置に設けられる複数の光学検出部(7A),(7B)と、該複数の光学検出部(7A),(7B)により検出された不良ペレットの検出結果に基づいて当該不良ペレットを放物線軌跡(L)より除外する除去部(8)と、を備え、前記複数の光学検出部(7A),(7B)が、ペレット表面を照明するための第1照明手段(16A,16B)、ペレット表面を観察するための第1センサー(18A)及び前記放物線軌跡(L)を挟んで設けられる第1バックグラウンド(19A)からなる第1検出部(7A)と、ペレット裏面を照明するための第2照明手段(16C,16D)、ペレット裏面を観察するための第2センサー(18B)及び前記放物線軌跡(L)を挟んで設けられる第2バックグラウンド(19B)からなる第2検出部(7B)と、から形成されたペレット選別機(1)であって、前記第1バックグラウンド(19A)及び前記第2バックグラウンド(19B)は、それぞれを前記放物線軌跡(L)に接近させるとともに、該放物線軌跡(L)の流下方向に沿って凸状又は凹状に湾曲させて形成する、という技術的手段を講じた。
【0007】
また、前記第1バックグラウンド(19A)及び前記第2バックグラウンド(19B)と、前記放物線軌跡(L)との各間隔距離(H)は、10mm以内に接近させるとよい。
【発明の効果】
【0008】
ペレットを観察するための第1センサー(18A)又は第2センサー(18B)は、相対する第1バックグラウンド(19A)又は第2バックグラウンド(19B)からの光量を受光しているのであるが、第1バックグラウンド(19A)及び第2バックグラウンド(19B)を放物線軌跡(L)に接近させることで、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での乱反射を抑えることができ、正常ペレットのキラリと光った信号が不良ペレットとして認識されることがない。微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合は、第1センサー(18A)又は第2センサー(18B)がバックグラウンド(19A),(19B)と微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別することが可能となる。
このとき、前記第1バックグラウンド(19A)及び前記第2バックグラウンド(19B)と、前記放物線軌跡(L)との各間隔距離(H)は、10mm以内に接近させることが望ましい。間隔距離(H)が10mmを超えると、ペレット内部での乱反射が起こりやすく、間隔距離(H)が10mm以下であるとペレット内部での乱反射を抑えることができる。
【0009】
また、バックグラウンド(19A),(19B)は放物線軌跡(L)の流下方向に沿って凸状又は凹状に湾曲させて形成しているので、ペレットの表裏両方向から同時に光が照射されるのを防止し、ペレット内部での乱反射を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は本発明のペレット選別機の側面の中央縦断面図であり、図2はペレットの落下と光学検出部との関係を示す斜視図である。
【0011】
図1及び図2において、ペレット選別機1は供給ホッパー2及フィーダー3からなる供給部4と、該供給部4から供給されたペレットを無端状のベルトコンベア5により一定流量で、かつ、一定速度で搬送する搬送部6と、該搬送部6から放出されるペレットの放物線軌跡Lを挟んで設けられる複数の光学検出部7と、該複数の光学検出部7により検出された不良ペレットの検出結果に基づいて当該不良ペレットを放物線軌跡Lより除外する除去部8と、を備えている。
【0012】
前記搬送部6は横設したほぼ直方体の機枠9内に回転可能に設けたローラー10,11に無端状のベルトコンベア5を架け渡し、ローラー11をVベルト12によりモータ13と連絡して、一定速度で回転するように構成する。ベルトコンベア5の上面(搬送面)の搬送方向に直交する側には、ペレットが搬送途中に脱落するのを防止するための側壁14,14が固設される(図2参照)。
【0013】
前記搬送部6の始端側に設けられる供給部4は、適量供給装置としてのフィーダー3の樋端部3aを臨ませてあり、フィーダー3底面は加振装置15によって支持されている。一方、フィーダー3の上方には供給ホッパー2の下端を臨ませてある。
【0014】
前記搬送部6の終端部から放出されるペレットの放物線軌跡Lの中途には複数の光学検出部7が設けられる。すなわち、ペレット表面側を観察するための第1検出部7Aと、ペレット裏面側(搬送部6においてベルトコンベア5と接していた面)を観察するための第2検出部7Bとを、放物線軌跡Lを挟んで、流下方向の上流側と下流側にずらして配設する。
【0015】
第1検出部7Aは、ペレット表面を照明する蛍光管ランプ16A,16B及び該蛍光管ランプ16A,16Bをそれぞれ取り付けたランプハウジング17A,17Bからなる第1照明手段と、ペレットの表面側を観察するためのCCDラインセンサー18Aと、該CCDラインセンサー18Aに対向して前記放物線軌跡Lを挟んで設けられる第1バックグラウンド19Aとから構成されている。
【0016】
一方、第2検出部7Bは、ペレット裏面を照明する蛍光管ランプ16C,16D及び該蛍光管ランプ16C,16Dをそれぞれ取り付けたランプハウジング17C,17Dからなる第2照明手段と、ペレットの裏面側を観察するためのCCDラインセンサー18Bと、該CCDラインセンサー18Bに対向して前記放物線軌跡Lを挟んで設けられる第2バックグラウンド19Bとから構成されている。
【0017】
次に、前記第1バックグラウンド19A及び前記第2バックグラウンド19Bの形状について説明する。該第1バックグラウンド19A及び前記第2バックグラウンド19Bは、放物線軌跡Lと直交する方向で幅広に形成するとともに(図2参照)、該放物線軌跡Lに沿うよう、凸状又は凹状に湾曲させて形成する。図1を参照すれば、第2バックグラウンド19Bが放物線軌跡Lよりも上方に位置し、第1バックグラウンド19Aが放物線軌跡Lよりも下方に位置している。例えば、第1バックグラウンド19Aは放物線軌跡Lとの間隔距離H(図1参照)を10mm以内で接近させ、湾曲部19Cが放物線軌跡Lに沿うように凸状に形成されている。同様に第2バックグラウンド19Bは放物線軌跡Lとの間隔距離H(図1参照)を10mm以内で接近させ、湾曲部19Dが放物線軌跡Lに沿うように凹状に形成されている。
【0018】
前記複数の光学検出部7下方の放物線軌跡L近傍にはCCDラインセンサー18A,18Bの検査領域に対応してエジェクター20を連設する(図2参照)。エジェクター20は図外のエアコンプレッサーに接続されるとともに、各エジェクター20のそれぞれ設けた電磁弁(図示せず)によって高圧空気が噴出するよう、CCDラインセンサー18A,18Bと、これに対応するエジェクター20における電磁弁作動回路とを電気的に接続するとよい。また、エジェクター20の下方、すなわち、放物線軌跡L上には良品排出樋21を設けるとともに、良品排出樋21の一側にはエジェクター20によって噴き飛ばされる不良品を受ける不良品排出樋22を設ける。
【0019】
次に、上記実施形態における作用について説明する。原料のペレットを供給ホッパー2に投入し、加振装置15及びモータ13を起動させると、ペレットはフィーダー3によって適量ずつベルトコンベア5上に供給される。ベルトコンベア5上に供給されたペレットは、薄い層厚状態でベルトコンベア5終端部に搬送される。ベルトコンベア5は約1.5m/secで駆動しており、搬送終端部から放出されるペレットは、図中Lで示すように放物線軌跡を描き、一対のバックグラウンド19B,19Aの隙間に落下する。バックグラウンド19B,19Aの周囲には複数の光学検出部7A,7Bが設けられており、落下中のペレットの不良個所の検出が行われる。
【0020】
蛍光管ランプ16C,16Dからの光は、バックグラウンド19Bを照射しており、CCDラインセンサー18Bは、バックグラウンド19Bからの光量を受光している。そして、ベルトコンベア5終端部から放出されたペレットが放物線軌跡L上の検出位置に到達すると、蛍光管ランプ16C,16Dの光はペレットの裏面を均一に照射するとともに、CCDラインセンサー18Bはその反射光を受光することになる。このとき、バックグラウンド19Bがペレットに接近しているので、ペレットに対して多方向から光が照射されることを抑制し、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での光の乱反射を抑えることができ、正常ペレットが不良ペレットとして認識されることがない。
次に、ペレット裏面に直径1mm程度の微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合は、CCDラインセンサー18Bはバックグラウンド19Bと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別することが可能となる。また、バックグラウンド19Bは放物線軌跡Lの流下方向に沿って凹状に湾曲させて形成してあるから、バックグラウンド19Bの直下を流下中のペレットには、少なくとも蛍光管16Aからの光の照射が遮られ、ペレットに対して表裏両方向から同時に光を照射することを抑制し、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくすことが可能となる。
【0021】
放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、CCDラインセンサー18Bの検査領域に対応するエジェクター20がわずかに遅延して作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす。
【0022】
CCDラインセンサー18Bを通過したペレットはさらに放物線軌跡L上を落下して、CCDラインセンサー18Aの検査領域に至る。この検査領域において、蛍光管ランプ16A,16Bからの光は、バックグラウンド19Aを照射しており、CCDラインセンサー18Aは、バックグラウンド19Aからの光量を受光している。そして、ペレットが検出位置に到達すると、蛍光管ランプ16A,16Bの光はペレットの裏面を均一に照射するとともに、CCDラインセンサー18Aはその反射光を受光することになる。そして、上記同様、バックグラウンド19Aがペレットに接近しているので、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での乱反射を抑えることができ、正常ペレットが不良ペレットとして認識されることがない。
次に、ペレット表面に直径1mm程度の微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合、CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別することが可能となる。また、バックグラウンド19Aは放物線軌跡Lの流下方向に沿って凸状に湾曲させて形成してあるから、バックグラウンド19A直上を流下中のペレットには、少なくとも蛍光管16Dからの光の照射が遮られ、ペレットに対して表裏両方向から同時に光を照射することを抑制し、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくすことが可能となる。
【0023】
上記のペレットの裏面を観察するCCDラインセンサー18Bを通過した後に、ペレットの表面を観察するCCDラインセンサー18Aを通過させる構成により、ペレットに付着した微小黒点を見落とすことがなく、不良ペレットをほぼ100%で判別することができる。また、バックグラウンド19A,19Bが幅広で、かつ、湾曲させて形成してあるから、CCDラインセンサーの幅方向及び流下方向での検査領域が広がり、放物線軌跡L上の不良ペレットの見落としが少なくなる。
【0024】
そして、放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、CCDラインセンサー18Bの検査領域に対応するエジェクター20がわずかに遅延して作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす。
【0025】
バックグラウンド19A,19Bはその形状があらかじめ決められており、角度等の変更はできないので、蛍光管ランプ16A〜16Dによって光量調節を行うとよい。例えば、蛍光管ランプの電源電圧を変化させて光量を上下させるか、蛍光管ランプの種類を変化させて明るさを選択することが考えられる。そして、バックグラウンド19B,19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを常に一致させておくとよい。
【0026】
バックグラウンド19A,19Bは幅広で、かつ、放物線軌跡Lの流下方向に沿って凸状又は凹状に湾曲させて形成してあるから、湾曲部にほこり等が付着しやすい。このため、バックグラウンド19A,19Bに付着するほこり等を除去するためのワイパー(図示せず)を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のペレット選別機側面の中央縦断面図である。
【図2】ペレットの落下と光学検出部との関係を示す斜視図である。
【図3】従来の着色粒除去装置の一部拡大図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ペレット選別機
2 供給ホッパー
3 フィーダー
4 供給部
5 ベルトコンベア
6 搬送部
7 光学検出部
8 除去部
9 機枠
10 ローラー
11 ローラー
12 Vベルト
13 モータ
14 側壁
15 加振装置
16 蛍光管ランプ
17 ランプハウジング
18 CCDラインセンサー
19 バックグラウンド
20 エジェクター
21 良品排出樋
22 不良品排出樋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパー(2)及びフィーダー(3)からなる供給部(4)と、該供給部(4)から供給されたペレットを無端状のベルトコンベア(5)により一定流量で、かつ、一定速度で搬送する搬送部(6)と、該搬送部(6)から横方向に放出されるペレットの放物線軌跡(L)を挟んだ位置に設けられる複数の光学検出部(7A),(7B)と、該複数の光学検出部(7A),(7B)により検出された不良ペレットの検出結果に基づいて当該不良ペレットを放物線軌跡(L)より除外する除去部(8)と、を備え、
前記複数の光学検出部(7A),(7B)が、ペレット表面を照明するための第1照明手段(16A,16B)、ペレット表面を観察するための第1センサー(18A)及び前記放物線軌跡(L)を挟んで設けられる第1バックグラウンド(19A)からなる第1検出部(7A)と、ペレット裏面を照明するための第2照明手段(16C,16D)、ペレット裏面を観察するための第2センサー(18B)及び前記放物線軌跡(L)を挟んで設けられる第2バックグラウンド(19B)からなる第2検出部(7B)と、から形成されたペレット選別機(1)であって、
前記第1バックグラウンド(19A)及び前記第2バックグラウンド(19B)は、それぞれを前記放物線軌跡(L)に接近させるとともに、該放物線軌跡(L)の流下方向に沿って凸状又は凹状に湾曲させて形成したことを特徴とするペレット選別機。
【請求項2】
前記第1バックグラウンド(19A)及び前記第2バックグラウンド(19B)と、前記放物線軌跡(L)との各間隔距離(H)は、10mm以内に接近させてなる請求項1記載のペレット選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−26469(P2006−26469A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205442(P2004−205442)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000001812)株式会社サタケ (223)
【Fターム(参考)】