説明

ペン針の分離可能なハブポスト

薬剤送出器具(100)と共に用いるためのペン針(101)は、薬剤送出器具(100)を収容する雌ねじ(216)を有するハブ本体(113)を含む。ポスト(121)がハブ本体(113)に結合される。針(103)がポスト(121)に強固に固定される。ポスト(121)はハブ本体(113)から分離可能であり、針(103)がポスト(121)と共に取り外されるようになっている。針全体(103)がポスト(121)と共に取り外されるため、流体通路はこのような取り外しによって破壊されない。ポスト(121)および針(103)のみの取り外しは、廃棄処分のために必要とされる廃棄物の量を減少させ、それによって針容器の有効容量を増大させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、2009年9月18日に提出した米国仮出願第61/244001号の35U.S.C.第119条(e)による利益を請求し、その内容全体がこれを参照することによってこの明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、薬剤送出システムにて用いるためのペン注入器具に関し、ハブポストおよび針がペン針のハブ本体から分離可能であって、それにより針廃棄処分量を減少させると共に針容器の有効容量を増大させる。より詳細には、本発明は、ペン針のハブ本体に対して取り外し可能に結合され、ハブ本体からハブポストおよび針の分離を促進するハブポストに関する。本発明はまた、針およびハブポストをペン針のハブ本体から分離するための器具に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤送出ペンは、正確に計量された投与量の薬剤を自己注射するために用いられる皮下注射器である。ペンは、例えば糖尿病患者によってインシュリンを投薬するために広く用いられている。
【0004】
典型的な従来技術の薬剤送出ペンは、何回かの投与量のために十分な液体薬剤量を収容するカートリッジを含む。この投与量は、筋肉組織層や皮下組織層または皮内組織層の如き組織領域内に送出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1および図2に示すように、薬剤送出ペン100での注射に続き、ハブ20および針11を含むペン針は、下部ハウジング17から抜き外されて針容器内に処分される。家庭用の現在の針容器は、およそ1.4クォート(1.32リットル)の内容積を有し、大体300本のペン針を収容することができる。従って、廃棄しなければならない針の寸法を減少させ、それによって針容器の容量を増大させるための要求が存在する。加えて、廃棄を必要とする針の寸法を減少させることにより、針容器の容積が減少するにも拘らず、その容量を増大させることができる。
【0006】
さらに、針をペン針のハブから分離する際、薬剤流路は潜在的な生物学的有害浮遊粒子の発生を阻止するために破壊されるべきではない。従って、薬剤流路を破壊することなくペン針のハブから針を取り外すための要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態によると、ハブポストおよび針がペン針のハブから分離可能であり、それによって廃棄を必要とする針の寸法を減少させる。
【0008】
本発明の他の形態によると、針分離器具がハブポストおよび針をペン針のハブから取り外すための入口を有する。
【0009】
本発明のさらに他の形態によると、針容器がハブポストおよび針をペン針のハブから取り外すための針分離器具を有する。
【0010】
前述の目的は、薬剤送出器具と共に用いるためのペン針を提供することによって達成される。このペン針は、薬剤送出器具を受けるための雌ねじを有するハブ本体を含む。ポストはハブ本体に結合されている。針がポストに対して強固に固定されている。ポストはハブ本体から分離可能であり、針がポストと共に取り外されるようになっている。針全体がポストと共に取り外されるため、流体通路は、このような取り外しによって破壊されない。ポストおよび針のみの取り外しは、廃棄のために必要とされる廃棄物の量を減少させ、それによって針容器の有効容量を増大させる。
【0011】
前述の目的はまた、薬剤送出器具で注射するために用いられるペン針により生成する廃棄物の量を減らす方法を提供することによっても達成される。針およびポストがペン針のハブから分離され、針全体がペン針から分離されるようになっている。針およびポストは針容器内に適切に処分され、それによって使用したペン針に関連する廃棄物の量を低減させる。
【0012】
本発明のこれらおよび他の目的や、利点ならびに顕著な特徴は、添付図面と併せてなされ、本発明の典型的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】組み立てられた既存のペン注入器具の立体投影図である。
【図2】図1のペン注入器具の部品を分解した立体投影図である。
【図3】図1および図2のペン注入器具のペン針の立体投影図である。
【図4】本発明の典型的な実施形態による肉薄断面を有するペン針の立面図である。
【図5】ハブポストおよび針をハブ本体から分離する前における図4のペン針の立体投影図である。
【図6】ハブポストおよび針をハブ本体から分離した後における図4のペン針の立体投影図である。
【図7】本発明の他の典型的な実施形態による同心状保持リングを有するペン針の一部を破断した立面図である。
【図8】図7のペン針の一部を破断した立面図であり、ハブポストおよびハブ本体が分離されている。
【図9】先細りにされたハブポストを有し、本発明の他の典型的な実施形態によるハブ本体に結合されるペン針の一部を破断した立面図である。
【図10】図9のペン針の一部を破断した立面図であり、ハブポストおよびハブ本体が分離されている。
【図11】本発明の他の典型的な実施形態によるペン針の一部を破断した立面図であり、固定タブがハブポストをハブ本体に固定している。
【図12】図11のペン針の一部を破断した立面図であり、ハブポストおよびハブ本体が分離されている。
【図13】図1および図2のペン注入器具のペン針の立体投影図である。
【図14】図13のペン針の立体投影図であり、ハブポストが本発明の他の典型的な実施形態によるハブ本体から分離されている。
【図15】ハブポストおよび針をハブ本体から分離するための本発明の他の典型的な実施形態による針分離器具の立体投影図である。
【図16】ハブポストおよび針をハブ本体から分離するための本発明の他の典型的な実施形態による針分離器具の立体投影図である。
【図17】図16の針分離器具の立体投影図であり、ハブポスト針をハブ本体から分離するための一対のブレードを示している。
【図18】図16の針分離器具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の種々の実施形態の上記利益および他の利点は、以下の本発明の典型的な実施形態の詳細な説明および添付図面からより明白であろう。
【0015】
これらの図面を通して類似の参照番号が類似の部品および構成要素ならび構造を意味するように理解されよう。
【0016】
以下の本発明の典型的な実施形態の説明および詳細は、図1および図2に示すような典型的な薬剤送出ペンを概ね開示しているけれども、注射器および輸液用器具の如き他の注射器具と共に用いるか、あるいはこれに組み込んで用いるための針およびハブアセンブリーに対してより広く適用することができる。図1および図2に示すような典型的な薬剤送出ペン100の組み立ておよび操作は、2010年1月12日に付与された米国特許第7465264号明細書に記述され、これは、その全体を参照することによって、この明細書に組み入れられる。
【0017】
図1および図2に示すような典型的な薬剤送出ペン100の如きペン注入器具は、投与量つまみ/ボタン24と、外側スリーブ13と、キャップ21とを通常、具えている。投与量つまみ/ボタン24は、使用者が注射するための薬の投与量を設定することを可能にする。外側スリーブ13は、薬を注射する際に使用者によって把持される。キャップ21は、薬剤送出ペン100をシャツのポケットやパースまたは他の適当な場所に確実に保持するため、使用者によって用いられる。
【0018】
図2は、図1に示した典型的な薬剤送出ペンの分解図である。投与量つまみ/ボタン24は2つの目的を有し、注射するための薬の投与量を設定することと、設定された投与量の薬剤を薬剤カートリッジ12から送りねじ7およびストッパー15を介して注射することとの両方のために用いられ、これは下部ハウジング17を介して薬剤送出ペンに装着される。標準的な薬剤送出ペンにおいて、投与量および送出手段は、外側スリーブ13内にすべて見いだされ、これらは当業者らによって理解されるので、ここではより詳細に記述されない。薬剤カートリッジ12内のプランジャー、すなわちストッパー15の末端側への移動は、薬剤がハブ20の針11へと押し進められることをもたらす。薬剤カートリッジ12は、ハブ20内に配された隔壁穿通針カニューレ18によって突き破られる隔壁16によりシールされている。ハブ20は下部ハウジング17に好ましくはねじ止めされるけれども、カートリッジに装着する如き他の装着手段を用いることができる。使用者か、またはペン注入器具100の取り扱い者を保護するため、ハブに装着する外側シールド69は、このハブ20を覆う。内側シールド59は、外側シールド69内の患者針11を覆う。この内側シールド59は、締まり嵌めまたはスナップ嵌合の如き任意の適当な手段によって患者針11を覆うため、ハブ20に固定されることができる。外側シールド69および内側シールド59は、使用前に取り外される。キャップ21は外側スリーブ13に対して緊密に嵌合し、使用者が薬剤送出ペン100を確実に持ち運ぶことを可能にする。
【0019】
薬剤カートリッジ12は、多くの場合、一端が隔壁16でシールされると共に他端がストッパー15でシールされたガラス管である。この隔壁16は、隔壁穿通カニューレ18によって突き刺し可能であるが、薬剤カートリッジ12に対して移動しない。ストッパー15は、薬剤カートリッジ12内を軸線方向に変位可能であると同時に流体の密封を維持する。
【0020】
典型的なペン針31が図3に示されている。ハブ20は、ハブポスト33が結合されるハブ本体23を含む。ハブ本体23およびハブポスト33は、一部品として一体的に形成されている。針11がハブ20に結合され、基端がその外側に配される。図2に示すように、ハブ本体23の内側部分にはねじが設けられ、ペン針31を下部ハウジング17に対して取り外し可能に結合する。
【0021】
本発明の典型的な一実施形態によるペン針101の典型的な一実施形態が図4〜図6に示されている。ハブ111はハブポスト121が結合されるハブ本体113を含む。ハブ本体113およびハブポスト121は、1つの部品として一体的に形成されている。ハブポスト121は、ハブ本体113のほぼ平らな面115から外側に延在している。針103は、ハブ111に対して任意の適当な方法で固定されている。針の基端、すなわち患者端104は、ハブポスト121の外側に配される。ハブ本体113の内側部分は、ハブ本体をペン注入器具100の下部ハウジング17(図2)に結合することを容易にするためのねじ部が設けられている。
【0022】
ハブ本体113の表面115に近接した領域123におけるハブポスト121の断面の厚みは、図示のように減じられており、それによって図6に示すようにハブ本体113からハブポスト121および針103の分離を容易にするための切り離し領域をもたらす。ハブポスト121の減少した断面の厚みは、減少した厚み領域123でのハブポストの分離を可能にする。ハブポスト121の残りの部分の断面の厚みは、減少した断面の厚み領域123のそれよりも大きい。ハブポスト121がハブ本体113の平らな面115に交わる箇所に近接したより薄い断面領域123は、ハブポスト121を脆弱にし、ハブポストを適当な工具で把持してねじるなどの如きによって、ハブ本体からハブポストの分離を可能にする。ハブ本体113は、ペン注入器具があらゆる鋭利な部品を全く収容しないように、ペン注入器具100の下部ハウジング17(図2)に結合された状態を維持する。加えて、基端104から末端、すなわち非患者端105までの針103の全体は、流体通路が破壊されないようにハブポスト121と共に取り外される。
【0023】
図7〜図12に示す本発明の他の典型的な実施形態において、ハブポストはハブ本体に対して取り外し可能に結合され、これを壊さずに分離することができるようになっている。図7および図8において、ペン針201は、ハブ本体211に対して取り外し可能に結合されたハブポスト221を含む。ハブ本体211は、ハブポスト221を取り外し可能に収容するための突起213を有する。このハブの突起213の内側の面214は、ほぼ同心の保持溝215を有する。ハブ本体211の内側の面212は、ハブ本体を下部ハウジング17(図2)に結合するためのねじ部216を有する。
【0024】
ハブポスト221の外側の面223は、ハブの突起213の保持溝215内に収容されるようになっているほぼ同心のリング225を有する。ハブポスト221の全長に亙る開口222は針231を収容し、末端、すなわち非患者端233がハブ本体211内に配されると共に基端、すなわち患者端235がハブポスト221の外側に配されるようになっている。同心のリング225と保持溝215との間の係合は、ハブの突起213へのハブポスト221の挿入深さを制限する。フランジ227がハブポスト221の自由端228に配されている。代わりに、フランジ227を同心のリング225と自由端228との間のハブポスト221の外側の面223に配することができ、ハブポスト221が適切に挿入された場合、ハブの突起213の自由端218に当接するようにフランジを配することができる。ハブポスト221をハブ本体211の突起213にさらに固定するために接着剤を用いることができる。開口222は、接着剤結合のためのより大きな表面積を与えるため、ハブポスト221の自由端に近接する同心のリングを有することができる。
【0025】
図8に示すように、ハブポスト221および針231をハブ本体211から取り外すため、ハブポストのフランジ227が任意の適当な工具で把持され、ハブ本体から外側に引っ張られる。フランジ227は、ハブポスト221の把持および操作を容易にする。適切な力が加えられた場合、ハブポスト221のリング225が保持溝215を出てハブの突起213が外側に撓むようになり、それによってハブポスト221および針231がハブ本体211から取り外されることを可能にする。特にハブポスト221をハブ本体211にさらに固定するために接着剤を用いない場合、新たなハブポスト221および針231と共にハブ本体211を次に再利用することができる。
【0026】
図9および図10において、ペン針ハブアセンブリー301は、ハブ本体311に取り外し可能に結合されるハブポスト321を含む。ハブ本体311は、ハブポスト321を取り外し可能に収容するための突起313を有する。このハブの突起313の内側の面はテーパー部314を有する。好ましくは、ハブの突起の内側の面314の全体が内側に先細りになっている。ハブ本体311の内側の面312は、ハブ本体を下部ハウジング17(図2)に結合するためのねじ部316を有する。
【0027】
ハブポスト321の外側の面323は、ハブの突起313のテーパー部314に対応すると共にこれにより収容されるテーパー部324を有する。ハブポスト321の全長に亙る開口322は針331を収容し、末端333がハブ本体311内に配されると共に基端335がハブポスト321の外側に配されるようになっている。ハブポスト321とハブの突起313の開口322との間の対応するテーパー部は、ハブの突起313へのハブポスト321の挿入深さを制限する。フランジ327がハブポスト321の自由端に配されている。代わりに、フランジ327を自由端328の下方のハブポスト321の外側の面323に配し、ハブポスト321が適切に挿入された場合、フランジがハブの突起313の自由端318に当接するように配することができる。ハブポスト321をハブ本体311の突起313に固定するため、接着剤を用いることができ、あるいはテーパー面それら自体の間の干渉を充分にさせることができる。ハブポスト321のテーパー形態は、針331の適切な配列および位置決めを確実にする。
【0028】
図10に示すように、ハブポスト321および針331をハブ本体311から取り外すため、ハブポストのフランジ327は任意の適当な工具で把持され、そしてハブ本体から外側に引っ張られる。フランジ327は、ハブポスト221の把持および操作を容易にする。適切な力が加えられた場合、ハブポスト321がハブの突起313の自由端を引張り、それによってハブポスト321および針331がハブ本体311から取り外されることを可能にする。加えて、ハブポスト321をハブ本体311に接合するために接着剤を用いることができる。特にハブポスト321をハブ本体311に接合するために接着剤を用いない場合、新たなハブポスト321および針331と共にハブ本体311を次に再利用することができる。
【0029】
図11および図12において、ペン針とハブのアセンブリー401は、ハブ本体411に対して取り外し可能に結合されるハブポスト421を含む。ハブ本体411はハブポスト421を取り外し可能に収容するための突起413を有する。通路414がハブの突起413を通って延在する。ハブ本体411の内側の面412は、ハブ本体を下部ハウジング17(図2)に結合するためのねじ部416を有する。
【0030】
ハブポスト421の一端は可撓性のタブ423を有する。ハブポスト421の反対端は第1のフランジ427を有する。ハブポスト421の全長に亙る開口422は針431を収容し、末端、すなわち非患者端433がハブ本体411内に配されると共に基端、すなわち患者端435がハブポスト421の外側に配されるようになっている。ハブポスト421がハブの突起413の通路414に挿入されると、タブ423が圧縮される。これが通路414から自由になると、タブ423はその元の寸法まで広がる。タブ423の外径は、通路414の直径よりも大きく、ハブポスト421がハブの突起413から引き出されるのを阻止するようになっている。第2のフランジ429がハブポスト421に配され、ハブの突起413へのハブポストの移動を制限する。第2のフランジ429の外径は、通路414の直径よりも大きく、それによってハブ突起413へのハブポスト421のさらなる挿入を阻止している。ハブポスト421をハブ本体411の突起413にさらに固定するために接着剤を用いることができる。
【0031】
図12に示すように、ハブポスト421および針431をハブ本体411から取り外すため、ハブポストの第1のフランジ427は任意の適当な工具で把持され、そしてハブ本体から外側に引っ張られる。適切な力が加えられた場合、タブ423は圧縮され、ハブの突起413の通路414を通って引っ張られる。次いで、ハブポスト421および針431をハブ本体411から取り外すことができる。特にハブポスト421をハブ本体411に接合するために接着剤を用いない場合、ハブ本体411を新しいハブポスト421および針411と共に次に再利用することができる。
【0032】
ハブポストをハブ本体に対して取り外し可能に結合するため、ハブポストをハブ本体に対してねじで結合する如き他の適当な手段を用いることができる。
【0033】
図4〜図12の典型的な実施形態に示すように、ハブ本体から分離されるハブポストに関し、針容器はハブポストが挿入される入口を有することができる。この入口は、ハブポストを把持してハブポストをハブ本体から分離する手段を有することができ、それによってハブポストおよび針を針容器内に保持する。次に、ペン注入器具は、そこにまだ装着されているハブ本体と共に入口から取り外される。図7〜図12中の227,327,427に示すように、ハブポストの自由端に配されたフランジは、入口によるハブポストの把持を容易にする。
【0034】
廃物の針の大きさを低減するため、さらに他の適当な手段を用いることができる。針の患者端を把持してペン針とハブのアセンブリーから針のみを抜き取るため、歯車を用いることができる。針に電流または電弧を与えることができ、それによって針を融かす。ハブポストをハブ本体から分離するため、穴パンチを用いることができる。ハブに熱を加えることができ、それによりプラスチック製のハブを融かして針の取り外しを可能にする。
【0035】
図13〜図18に示すように、本発明の別の典型的な実施形態において、針分離器具(図15〜図18)は、ハブポスト33を一般的なペン針のハブ本体23(図13および図14)から切断するためのブレードアセンブリーを含む。
【0036】
針分離器具501(図15)は、ハブ20を入口505に挿入した時にプラスチック製のハブポスト33をハブ本体23から切断する内側に配された少なくとも1つのブレードを含むブレードアセンブリー507を有する。針11は切断されず、基端、すなわち患者端14と末端、すなわち非患者端19とを含む針11の全体が、図14に示すように、ハブポスト33と共に取り外されるようになっている。針をハブ20に固定するために用いた接着剤の影響を最小にするため、針11の末端19にできるだけ近付けてハブポスト33を切断すべきである。針分離器具501は、外したハブポスト33および針11を収容する内側キャビティを有する。内側キャビティの容積は、何百ものハブポスト33および針11を収容することができるおおよそ2立方インチであってよい。針分離器具501は、針収容規格を満たし、かつ廃棄施設に郵送するのに好適である。
【0037】
既存の注射筒カッターは針を切断し、それによって薬剤流路を破壊する。本発明の典型的な実施形態による針分離器具は針を切断せず、それによって薬剤流路を破壊せず、生物学的に有害な浮遊粒子を潜在的に発生させる危険性が実質的に排除されるようになっている。
【0038】
トリガー503は、針分離器具501の内側に配されたブレードアセンブリー507を操作する。この内側ブレードアセンブリー507は、一対のノッチ付きブレードか、針のための空間を可能にするオフセット穴を有する一対の鋼板か、機械的なストッパーと係合するように動く単一のブレードか、または針11を切断することなくハブポスト33をハブ本体23から分離する任意の他の適当なブレードアセンブリーの形態を取ることができる。
【0039】
分離されたハブポスト33および針11を回収して収容するために用いられる内側キャビティは、針分離器具と一体であってよく、あるいは取り外し可能かつ交換可能な容器であってよい。取り外し可能かつ交換可能な容器を有することにより、針分離器具を再利用することができる。
【0040】
針分離器具601の別な実施形態を図16〜図18に示す。この針分離器具601は、トリガー603と、入口605と、この入口605の内部に配されたブレードアセンブリー607とを有し、図15に示した針分離器具501とほぼ同じ方法で作動する。
【0041】
ブレードアセンブリー607は、図17および図18に示すように、第1のブレード609と第2のブレード611とを含む。第1および第2のブレード609および611のそれぞれはノッチ部613および615をそれぞれ有し、ほぼV字形状の部分617が第1および第2のブレード間に形成されるようになっている。第1および第2のノッチ部613および615のそれぞれは、切欠部621および623をそれぞれ有し、これによって針11を切断することなくハブポスト33をハブ本体23から分離する切れ刃625を形成する。ほぼV字形状の部分617は、内側、すなわち針分離器具601へと先細りになり、より小さな直径のハブポスト33をそこから分離する際に、より大きな直径のハブ本体23をそこに収容することを容易にする。トリガー603により作動した時、第1および第2のブレード609および611が合わさり、切れ刃625は針611を切断しないような所定の大きさに作られている。
【0042】
ハブポストおよび針のみを取り外すことは、処分のために必要とされる廃棄物の量を減少させ、それによって針容器の有効容積を増大させる。現在、図3に示すように、ペン針31の全体を処分しなくてはならない。既存の主要な針容器は、およそ1.4クォート(1.32リットル)の内容積を有し、大体300個のペン針を収容する。本発明の典型的な実施形態において、針容器の容積は、およそ15000個のハブポストおよび針(29G×約12.7mmの長さ)まで増大させることができる。代わりに、針容器の容積が増大したので、主要な針容器の寸法を減少させると同時に、現在の300個のペン針の容積よりもさらに収容することができる。
【0043】
前述の実施形態および利点は、単なる例示であって、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。種々の修正や代替および変更が当業者にとって明白であり、これらは添付の請求項およびそれらの均等物に規定された本発明の範囲内に含まれるように意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送出器具と共に用いるためのペン針であって、
前記薬剤送出器具を受ける雌ねじを有するハブ本体と、
前記ハブ本体に結合されたポストと、
このポストに強固に固定された針と
具え、前記ポストが前記ハブ本体から分離可能であって前記針が前記ポストと共にすべて取り外されるようになっていることを特徴とするペン針。
【請求項2】
前記ハブ本体はベースとこれから外側に延在する壁とを有し、前記ポストが前記ベースから前記壁に対して反対方向に延在していることを特徴とする請求項1に記載のペン針。
【請求項3】
前記ポストは、前記ハブのベースの基部の第1の断面の厚みと、前記ポストの残りの部分のための第2の断面の厚みとを有し、前記第1の断面の厚みが前記第2の断面の厚みよりも薄く、前記ポストを前記ハブから取り外すのを容易にすることを特徴とする請求2に記載のペン針。
【請求項4】
前記ポストが前記ハブ本体と一体的に一体部材として形成されることを特徴とする請求項3に記載のペン針。
【請求項5】
前記ハブ本体は、前記ベースから外側に延在する突起を有し、この突起は一体部材として前記ハブ本体と一体的に形成され、前記ポストは前記ハブ本体の前記突起に対して取り外し可能に結合されることを特徴とする請求項2に記載のペン針。
【請求項6】
前記突起が前記ポストを受ける開口を有することを特徴とする請求項5に記載のペン針。
【請求項7】
前記開口が先細りにされ、前記ポストが対応するテーパーを有することを特徴とする請求項6に記載のペン針。
【請求項8】
前記ポストは、その外面に環状リングを有し、前記開口はこの環状リングを受けるための凹部を有することを特徴とする請求項6に記載のペン針。
【請求項9】
前記ポストは、前記開口への挿入を制限するフランジを有することを特徴とする請求項6に記載のペン針。
【請求項10】
前記フランジが前記ポストの一端には配されないことを特徴とする請求項9に記載のペン針。
【請求項11】
フランジが前記ポストの患者端に配されることを特徴とする請求項5に記載のペン針。
【請求項12】
可撓性のタブが前記ポストの非患者端に配されて前記突起からの前記ポストの偶発的引き抜けを阻止することを特徴とする請求項9に記載のペン針。
【請求項13】
前記可撓性のタブは、前記突起の開口の幅よりも広い幅を有することを特徴とする請求項12に記載のペン針。
【請求項14】
前記ポストは、破壊するか、解放するか、またはねじ緩めの何れか1つによって前記ハブ本体から分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のペン針。
【請求項15】
薬剤送出器具のペン針から針を分離するための器具であって、前記ペン針が前記薬剤送出器具を受ける雌ねじを有するハブ本体と、このハブ本体に結合されるポストと、このポストに強固に固定される針とを含み、
前記ペン針を受けるための開口と、
前記ペン針から前記針を全部分離するための可動ブレードと
を具えたことを特徴とする器具。
【請求項16】
手動トリガーが前記可動ブレードの動きを制御することを特徴とする請求項15に記載の器具。
【請求項17】
前記可動ブレードは、前記トリガーによって操作された場合、前記ポストを切断するが、前記針を切断しないことを特徴とする請求項16に記載の器具。
【請求項18】
注射のために薬剤送出器具と共に用いられるペン針によって発生する廃棄物の量を減らすための方法であって、
針およびポストをペン針のハブから分離し、前記針の全部が前記ペン針から分離されるようにするステップと、
前記針および前記ポストを針容器に処分するステップと
を具えたことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記分離されるようにするステップが針分離器具を用いて行われることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
分離されるようにするステップは、前記ポストの全部を前記ペン針のハブの突起から取り外すステップをさらに具えたことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
分離されるようにするステップは、前記ポストをねじって前記ポストおよび前記針を前記ペン針のハブから分離するステップをさらに具えたことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
請求項18に記載の方法により作り出されることを特徴とする分離した針およびペン針のハブのポスト。
【請求項23】
請求項18に記載の方法により作り出されることを特徴とする分離したペン針のハブ。
【請求項24】
請求項18に記載の方法により作り出されることを特徴とする分離した針およびペン針のハブのポストならびに分離したペン針のハブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−505059(P2013−505059A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529738(P2012−529738)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/002505
【国際公開番号】WO2011/034576
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】