説明

ペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置及び方法

切断手段を包囲するチャネル(60)を有するペーパーログ切断機械の切断手段を冷却するための装置であって、冷却流体がチャネルに注入され、該冷却流体は前記チャネル内に封止されることを特徴とする装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ログ切断機械が、ペーパーログをさらに短い長さのロール、すなわち、販売用の標準的なペーパーロールへと細分するために紙加工業界において使用されることは知られている。ペーパーログの細分は、ペーパーログの長手方向軸に直交状態で実施される切断手段によってなされる。
【0003】
従来のログ切断機械は、一つ以上の切断されるペーパーログが配置されるガイドチャネルを備える軸受プラットフォームと、ペーパーログを前記ガイドチャネルに沿って断続的に前進させるための手段と、切断中のペーパーログを保持するための保持ユニットと、及び回転アームに取付けられた刃を有する切断手段と、を有する。実際には、ペーパーログのそれぞれは、各ガイドチャネルに沿って前進するようになされ、保持ユニットに対応して、切断を実施しやすい位置で停止するようになされている。この作動機構により稼働する切断機械の例は、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において開示されている。
【0004】
切断工程においては刃が加熱されるため、刃の不要な振動の原因となる変形が起こりやすい。そのため、ペーパーログの切断が不完全になってしまう。
【0005】
刃が加熱されることによる悪影響を最小限に軽減するために、複数の冷却システムが採用されている。
【0006】
公知の冷却方法としては、全切断ステーションを冷却する方法があり、刃の作動領域内にオペレーターの立ち入りを防止するように設けられた安全な筐体に囲まれている。この方法は、高いエネルギー消費を意味し、したがって、現在の製造要求と一致しない。なぜなら、該方法は、刃のみならず、安全キャビンによって画定される全ての空間を冷却することを含んでいるからである。
【0007】
他の公知の冷却方法としては、一連のノズルを刃の保持アーム上に設け、該ノズルが刃の表面に空気を噴射するようにして冷却する方法がある。この解決手段は、構造的な観点からすると極めて複雑なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP 982104号公報
【特許文献2】WO 2006/126226号公報
【特許文献3】US 3905260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の主な目的は、非常に簡易で、効果的であり且つ安価な冷却システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の効果は、本発明によれば、独立請求項に記載される特徴を有する装置及び方法を提供することによって得られる。本発明のさらなる特徴は、従属請求項の主題である。
【0011】
すなわち、本発明の請求項1に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置は、
切断手段を包囲するチャネル(60)を有し、前記チャネルへ冷却流体が注入され、該冷却流体が前記チャネルの内部に封止されることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置は、
前記切断手段が、軌道刃(4)を有し、前記チャネル(60)が、前記刃(4)が移動する軌道を包囲することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項3に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置は、
前記チャネル(60)が、構造体(6)によって構成され、該構造体(6)は、前記刃(4)が移動する軌道に対して平行に配向する2つの側壁体(61)と、ログが切断準備にある領域に対応して抑止される周縁エッジ部(62)と、側壁体(61)のそれぞれの内側にある付属体(63)を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置は、
前記チャネル(60)が、冷却流体のための出口部分を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置は、
該冷却流体が、空気冷却ユニット(7)からの空気であり、該冷却流体は、多数のスリーブ(70)によりチャネル(60)内へ注入され、該多数のスリーブ(70)は、該冷却ユニット(7)へそれぞれの導管(71)によって接続されることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項6に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する方法は、
切断手段が移動する軌道を包囲する封止空間に冷却流体を注入することにより、前記切断手段を冷却する工程を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項7に係るペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する方法は、
前記冷却流体が、前記切断手段が移動する方向に対向する前記封止空間に注入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、簡易で、安価、且つ信頼性のある、エネルギー消費の軽減及び動作の高い規則性を確実にする装置を用いて、より効果的に切断手段の冷却を提供することが可能になる。
【0019】
さらに、刃の表面部は、比較的瞬時に冷却される。
【0020】
本発明のこれらの及びさらなる利点並びに特徴は、本発明の実践的な例示として与えられるが、限定的な意味で捉えられるべきではない以下の説明を添付の図面と合わせて読むことで当業者に最適に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】切断ステーションに対応する、切断手段が軌道刃を有するペーパーログ切断機械の概略正面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿った概略断面図である。
【図3】図2の拡大詳細部である。
【図4】破線部が即時に冷却される刃の表面を表す図1の拡大詳細部である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による装置は、たとえば、水平な軸受基部又はプラットフォーム(2)上でログ(1)をガイドし、前進させる手段と、それぞれのログをその長手方向軸に対して直交状態で切断するために、機械(3)の各々のステーション(ST)に配置され、作用する切断手段と、を有するペーパーログ切断機械において用いることができる。
【0023】
図1に示される実施例において、前記切断手段は、アーム(5)に取付けられた軌道刃(4)を有し、該アーム(5)は、所定の半径を有する円形軌道に沿って刃(4)を移動させる。刃(4)の回転ごとに、保持機構(図示せず)により切断ステーション(ST)で保持されるログ(1)が円形軌道上に位置決めされ、したがって、ログをその長手方向軸に直交状態で切断する。切断ごとに、ログ(1)がプラットフォーム(2)に沿って進められ、これにより得られた小さなロールが前に押され、該ログが次の切断のために準備される。
【0024】
上記したタイプのペーパーログ切断機械は、紙加工業者に知られている。したがって、さらなる詳細については記載されない。本発明による装置は、構造体(6)を有し、該構造体の壁体は、刃(4)が移動する軌道を包囲し、且つ冷却流体が注入される空間(60)を画定する。
【0025】
実際には、添付図面に示される実施例によると、前記構造体(6)は、後半部でアーム(5)の軸(x)の周りに回転する際の刃(4)を包囲する、(切断位置にペーパーログを配置できるようにするための)下部抑止部材を備えた支持手段によって構成されている。したがって、アーム(5)によって駆動される刃(4)の軌道を包囲する空間を画定し、該空間に冷却流体が注入される。
【0026】
言い換えれば、該構造体(6)は、冷却流体が注入されるチャネルを画定し、該封止された冷却流体は刃(4)が移動する軌道に近接する。刃(4)の部分は常に前記チャネルの内側にある。図4において、斜線部(40)は即時に冷却される刃(4)の表面部分を表す。前記軌道を移動する刃(4)を包囲するチャネル内に封止された冷却流体の作用を受ける刃(4)の上記部分(40)が常に存在することに留意されたい。
【0027】
添付図面に示される実施形態を参照すると、前記構造体(6)は、2つの側壁体(61)と、周縁エッジ部(62)と、付属体(63)と、を有する。該2つの側壁体(61)は、刃(4)及び刃が移動する軌道に対して平行に配向されている。前記周縁エッジ部(62)は、プラットフォーム(2)に対応して抑止され、すなわち、ログが切断部分にある領域に対応して抑止されている。該付属体(63)は、側壁体(61)のそれぞれの内側に設けられ、構造体自体の内部に向かって配向され、刃のそれぞれの側面に接触することなく構造体の横幅部分を局所的に少なくしている。
【0028】
このようにして、冷却流体は、刃(4)の側面部と、前記付属体(63)との間を流れてチャネル型空間(60)から排出されることができる。図1に示すように、前記壁体(61)のそれぞれは、曲線状の内側部(64)を有し、該内側部(64)の半径は、刃(4)を支持するアーム(5)の長さと等しく、該内側部(64)はその下部においてログ(1)をプラットフォーム(2)で切断するための正しい位置になるように抑止される。該内側部(64)は、壁体(61)の外側部(65)と該内側部(64)とを接続する壁体(61)の実質的に垂直の部分(66)によって下方に延伸される。
【0029】
実際には、壁体(61)のそれぞれは、アーム(5)によって移動される刃(4)の軌道を包囲する外側部(65)と、アーム(5)が回転する範囲の領域を包括する内側凹部(64)と、前記外側部と内側部を接続する部分(66)と、を備え、前記部分(66)は、プラットフォーム(2)の側方にある。前記内側部(64)の凹面は、プラットフォーム(2)、すなわち、該プラットフォーム(2)上に配置されたログ(1)に面している。
【0030】
軸(x)周りに回転する間、アーム(5)は、壁体(61)の曲線状内側部(64)によって、且つ部分的にはプラットフォーム(2)によって周辺的に画定される領域内を移動する。
【0031】
前記刃(4)は、アーム(5)の自由端に取付けられるので、該刃(4)の一部(40)は、常に壁体(61)によって画定される冷却されたチャネル型空間(60)内を移動する。
【0032】
図1において、矢印「D」はアーム(5)の回転を示す。
【0033】
たとえば、冷却流体は冷却ユニット(7)からくる空気でもよく、それぞれの導管(71)を介して冷却ユニット(7)に接続された複数のスリーブ(70)を通って空間(60)に注入されるようにすればよい。
【0034】
冷却ユニット(7)は市販のいかなるタイプのユニットでもよい。
【0035】
図1において、矢印「F」は、構造体(6)によって画定される空間(60)に入る冷却空気の流れを示す。図1に示されるように、該冷却流体は、アーム(5)によって駆動される刃(4)に該流体を向けながら空間(60)に入ることができる。
【0036】
それぞれの導管(72)を通る冷却ユニット(70)を伴い、空間(60)に接続する流体再循環ラインを設けてもよい。
【0037】
本発明による作動方法は、刃が移動する軌道を包囲する封止空間に冷却流体を注入することによって、ペーパーログを切断するために用いられる刃を冷却する手法を提供する。
【0038】
本発明により、刃(4)は冷却空間を移動し、その空間を小さくすることによって、エネルギー消費の低減が行われる。
【0039】
実際には、全ての構成の詳細は、形状、寸法、要素の配置、使用材料の性質に関する限り、採用されている解決策の概念の範囲から逸脱せずに、それによって、本発明の特許に授与される保護の限定内にありながら任意の同等な方法に変更することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 ログ
2 プラットフォーム
3 機械
4 軌道刃
5 アーム
6 構造体
7 冷却ユニット
40 斜線部
60 空間(チャネル)
61 側壁体
62 周縁エッジ部
63 付属体
64 内側部(内側凹部)
65 外側部
66 部分
70 スリーブ(冷却ユニット)
71 導管
72 導管
ST ステーション
x 軸
矢印D アームの回転
矢印F 冷却空気の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断手段を包囲するチャネル(60)を有し、前記チャネルへ冷却流体が注入され、該冷却流体が前記チャネルの内部に封止されることを特徴とする、ペーパーログ切断機械の切断手段を冷却する装置。
【請求項2】
前記切断手段が、軌道刃(4)を有し、前記チャネル(60)が、前記刃(4)が移動する軌道を包囲することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャネル(60)が、構造体(6)によって構成され、該構造体(6)は、前記刃(4)が移動する軌道に対して平行に配向する2つの側壁体(61)と、ログが切断準備にある領域に対応して抑止される周縁エッジ部(62)と、側壁体(61)のそれぞれの内側にある付属体(63)を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記チャネル(60)が、冷却流体のための出口部分を有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
該冷却流体が、空気冷却ユニット(7)からの空気であり、該冷却流体は、多数のスリーブ(70)によりチャネル(60)内へ注入され、該多数のスリーブ(70)は、該冷却ユニット(7)へそれぞれの導管(71)によって接続されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
切断手段が移動する軌道を包囲する封止空間に冷却流体を注入することにより、前記切断手段を冷却する工程を含むことを特徴とするペーパーログの切断機械の切断手段を冷却する方法。
【請求項7】
前記冷却流体が、前記切断手段が移動する方向に対向する前記封止空間に注入されることを特徴とする請求項6に記載の方法。

【図1】
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【図2−3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−514576(P2010−514576A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543577(P2009−543577)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/IT2007/000815
【国際公開番号】WO2008/078347
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(506180062)
【Fターム(参考)】