説明

ホイップクリーム用油脂組成物

【課題】温度が変化する条件で流通を行っても、乳化安定性に優れかつ口溶けがよいホイップクリームを製造することができる、低油分ホイップクリーム用油脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)第1の油脂が、パーム核分別油高融点部からなり、(B)第2の油脂が、ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂、ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、液体油、及びパーム核油、からなる群より選択される油脂を含み、かつ(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が2質量%以下であり、かつ油脂組成物の上昇融点が31℃以下の油脂である、ホイップクリーム用油脂組成物から、乳化安定性が極めて高く、かつ口溶けの良いホイップクリームを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流通時の温度が変化する条件、特に低温流通を行っても、乳化安定性に優れており、かつ口溶けがよいホイップクリームを製造することができる、低油分ホイップクリーム用油脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製菓や料理に用いられるホイップクリームとして、植物性油脂を原料として製造される植物性クリーム(水中油型乳化物)を用いることが知られている。植物性クリームは生乳から得られる生クリームに比べて安定性に優れ、かつ比較的安価に製造されるという利点を有するためにその消費量は多い。
この植物性クリームから製造されるホイップクリームについては、起泡した状態のホイップクリームを冷凍で流通させるもの、起泡した状態のホイップクリームを常温で流通させるもの、あるいは、起泡前のクリームの状態で流通させ、起泡してから短時間のうちに消費させるものなどがあり、クリームの味、口溶け、起泡時の性能についての要求は、同じホイップクリームでありながら、その流通態様によりかなり異なっている。また、クリームの組成は、ホイップクリームの状態で流通させるか否か、更には流通させる温度によっても全く異なってくるが、これは、ホイップクリームが泡状であって長時間の保形が困難であり、更に常温で細菌が繁殖しやすいなどの問題があるからである。
例えば、常温流通型ホイップクリームでは、炭素数が高い(例えば、炭素数合計50〜62)トリグリセライドのような比較的高融点の油脂を用いることにより、あるいは常温での保形性を維持し、更に大量の水飴を用いて、保形性及び細菌の繁殖を抑制している(例えば特許文献1参照)。
起泡後、凍結して流通させる凍結用ホイップクリームを製造するための油脂組成物として、パーム核油分別高融点部を用いることにより、解凍後、良好な保形性をもつ凍結用ホイップクリームを製造できることが報告されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−282535号
【特許文献2】特開2006−304713号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水中油型乳化油脂組成物の状態で低温(5〜10℃)流通させるホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物であって、起泡性、口溶けに優れており、かつ流通時の温度変化に対しても安定性を有する組成物及びかかる水中油型乳化油脂組成物を製造するための油脂組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、低油分(30〜42%油分)であっても、流通時の温度変化に対しても安定性に優れたホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物及びかかる組成物製造のための油脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の点に鑑み研究した結果、油脂組成物において、油脂の中でも特に(A)パーム核分別油高融点部の油脂を第1の油脂として使用し、さらに他の油脂を組み合わせて(B)油脂組成物の全脂肪酸100質量%に対してステアリン酸含有量が5質量%以下であり、かつ油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC32〜C34のトリグリセライド含有量が7〜16質量%である油脂組成物を用いることにより、上記目的を達成することができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0006】
本明細書において、「ホイップクリーム」は起泡した水中油型乳化油脂組成物(起泡済クリーム状組成物)を意味する。「ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物」は起泡前のクリーム状の水中油型乳化油脂組成物を意味する。「ホイップクリーム用油脂組成物」は、ホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物を製造するために用いられる油脂組成物」を意味する。
【0007】
すなわち、本発明は、少なくとも2種類の油脂成分を含むホイップクリーム用油脂組成物であって、(A)第1の油脂が、パーム核分別油高融点部からなり、(B)第2の油脂が、ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂、ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、液体油、及びパーム核油からなる群より選択され、及び(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が5質量%以下である、上記油脂組成物を提供する。かかる油脂組成物により、5℃程度の低温で保存しても、粘度の上昇や離水などがおきず乳化安定性に優れたホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物を製造することができ、更に口溶け、造花性、起泡性、に優れたホイップクリームを製造することができる。
また、前記油脂組成物中の油脂の全構成脂肪酸質量に対するトランス脂肪酸含量は7質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、低温流通時に起こりやすい温度変化に対して乳化安定性に優れ、かつ口溶け、造花性、起泡性等に優れたホイップクリームを製造することができるホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物が提供される。
特に、本発明のホイップクリーム用水中油型乳化油脂組成物は高いヒートショック耐性を有し、流通時の温度変化に耐えて乳化安定性を示す一方で、ホイップクリームを製造した時、優れた口溶けを実現するため、従来製品に比べて、非常に優れた商品価値を与えるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<ホイップクリーム用油脂組成物>
本発明のホイップクリーム用油脂組成物は、少なくとも2種類の油脂成分を含むホイップクリーム用油脂組成物であって、(A)第1の油脂が、パーム核分別油高融点部からなり、(B)第2の油脂が、ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂、ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、液体油、及びパーム核油からなる群より選択される油脂であって、及び(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が5質量%以下であり、かつ油脂組成物の上昇融点が31℃以下の油脂であることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明のホイップクリーム用油脂組成物から水中油型乳化油脂組成物を作成する際には、後述するように油相部に乳脂肪を添加することができるが、本明細書において「ホイップクリーム用油脂組成物」あるいは「油脂組成物」という場合には、特に断らない限り、植物性油脂(すなわち、乳脂肪を除く油脂)からなる油脂組成物を意味する。
油脂全質量(植物性油脂と乳脂肪の合計質量)に対して本発明のホイップクリーム用油脂組成物(植物性油脂)の質量は30〜100質量%であり、好ましくは50〜100質量%である。乳脂肪が多すぎると造花性が悪くなり、荒れやすくなる。
【0011】
(1)第1の油脂
本発明の油脂組成物において、第1の油脂はパーム核分別油高融点部からなる。「パーム核分別高融点部」とは、パーム核油を自然分別、溶剤分別、界面活性剤分別等の分別方法により高融点部と低融点部に2分割して得られた高融点部を意味する(分別収率は30〜50%)。前記高融点部の融点範囲は、28〜35℃であることが好ましく、29〜34℃であることがより好ましく、30〜33℃であることがさらに好ましい。
第1の油脂は、油脂組成物の質量に対して、20〜80質量%の範囲で含まれることが好ましく、30〜80質量%の範囲で含まれることがより好ましく、40〜70質量%の範囲であることが更に好ましい。
第1の油脂量が少なくなると、ホイップ時の腰が弱くなり、また乳化安定性も低下する傾向にあるため好ましくない。
【0012】
(2)第2の油脂
第2の油脂は、
(i)ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂、
(ii)ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、
(iii)パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、
(iv)液体油、及び
(v)パーム核油
からなる群より選択される。第2の油脂は上記油脂群より2種類以上を選択して混合してもよい。
【0013】
更に、第2の油脂は、上昇融点が31℃以下である油脂を用いることが好ましい。これより高い上昇融点の油脂を第2の油脂として用いると、油脂組成物全体の上昇融点が高くなり、ホイップクリームの口溶けが悪くなるからである。
また、より好ましくは、第2の油脂のステアリン酸含量は9質量%以下である。そのような油脂を第1の油脂に混合することにより、ホイップクリームの口溶けが良くなるためである。
【0014】
(A)パーム核分別油高融点部からなる油脂を第1の油脂として用いて、かつ(B)これらの群より選択される油脂を第2の油脂として用い、(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が2質量%以下であり、かつ油脂組成物の上昇融点が31℃以下の油脂組成物を用いることにより、起泡性、口溶けに優れており、かつ流通時の温度変化に対しても安定性を有する水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
第2の油脂は、油脂組成物の質量に対して20〜70質量%含まれることが好ましい。
【0015】
口溶けとヒートショックの観点から、第2の油脂としてより好ましくは、ラウリン油脂のエステル交換油、中鎖脂肪酸トリグリセライドであり、最も好ましくは(i)ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂である。
ただし、(i)ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂量が多くなると、ホイップ時の腰が弱くなり、また乳化安定性も悪くなる傾向にある。
【0016】
上記(ii)ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における他の油脂は、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、パーム分別油高融点部、中鎖脂肪酸トリグリセライドからなる群より選択されることが好ましい。
上記(ii)ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における、ヤシ油と他の油脂の比率(質量比)は、50:50〜100:0であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましく、80:20〜90:10であることが更に好ましい。
また、上記(ii)ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における、他の油脂が、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、またはパーム分別油高融点部である場合には、ヤシ油と他の油脂の比率(質量比)は、80:20〜100:0であることが好ましく、85:15〜95:5であることがより好ましい。ハイエルシン菜種油の極度硬化油、またはパーム分別油高融点部の量が多くなると口溶けが悪くなるため好ましくない。
【0017】
また、上記(ii)ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における、他の油脂が、中鎖脂肪酸トリグリセライドである場合には、ヤシ油と他の油脂の比率(質量比)は、50:50〜95:5であることが好ましく、70:30〜95:5であることがより好ましい。ただし、中鎖脂肪酸トリグリセライドは比較的高コストであるため、大量に使用することは好ましくない。
【0018】
上記(iii)パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における他の油脂は、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、パーム分別油高融点部、中鎖脂肪酸トリグリセライドからなる群より選択されることが好ましい。
上記(iii)パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における、パーム核油と他の油脂の比率(質量比)は、50:50〜95:5であることが好ましく、80:20〜90:10であることがより好ましい。
【0019】
油脂のエステル交換の方法は当該技術分野で公知の方法で行うことができる。エステル交換には、例えば、ランダム(非選択的)エステル交換反応方法、選択型(指向型)エステル交換反応方法がある(参考文献:安田耕作、福永良一郎、松井宣也、渡辺正男、新版 油脂製品の知識、幸書房)、本発明では、ランダムエステル交換反応方法が好ましい。ランダムエステル交換は、例えば、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム等を触媒としてエステル交換を行う化学的な方法、非選択的リパーゼ等を触媒としてエステル交換を行う酵素的な方法に従って行うことができる。特に、化学的な方法でランダムエステル交換反応を行うことにより、簡便であるため、より好ましい。
【0020】
本明細書において(iv)液体油とは、5℃におけるSFC(固体脂含量:基準油脂分析法(2.2.9-2003 固体脂含量 NMR法)に準じて測定)が0である油脂を意味する。具体的には、コメ油、オリーブ油、サフラワー油、大豆油、コーン油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実油、ハイオレイックヒマワリ油、ハイオレイックナタネ油、ハイオレイックサフラワー油、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドが挙げられる。好ましくは、コメ油、ナタネ油、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドが挙げられ、更に好ましくはコメ油及び中鎖脂肪酸トリグリセライドが挙げられる。
本明細書において、中鎖脂肪酸トリグリセライドとは、脂肪酸とグリセリンから合成される合成油脂であり、脂肪酸組成がC−8とC−10からなる油脂をいう。C−8とC−10の割合は100:0〜50:50程度であることが好ましい。
【0021】
本明細書において、「硬化」とは、水素添加によって不飽和脂肪酸を飽和することである。また、「極度硬化」とは、水素添加によって不飽和脂肪酸を完全に飽和することである。水素添加の方法は当業者に公知の方法により適宜行うことができる。例えば「食用油製造の実際」(宮川高明著、幸書房、昭和63年7月5日 初版第1刷発行)に記載の方法に従い、行うことができる。
【0022】
(3)油脂組成物のトリグリセライド組成及び脂肪酸組成
本発明の油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量は2質量%以下である。C50のトリグリセライドが多く含まれると、ヒートショック安定性が悪くなる場合があるからである。好ましくはC50のトリグリセライドは、1質量%以下である。
また、本発明の油脂組成物の全脂肪酸100質量%に対するステアリン酸含有量は1質量%以上4質量%以下であることが好ましい。ステアリン酸量が5質量%より多くなると、ホイップクリームの口溶けが低下する。トリステアリルグリセリドなど口溶けを低下させる高融点のグリセリドが多くなることが原因の一つと考えられる。
また、本発明の油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対するC32+C34のトリグリセライド含有量は7〜16質量%程度であることが好ましい。理由は不明であるが、C32〜C34のトリグリセライド含有量が16質量%よりも多くなると、ヒートショック耐性が低下したり、ホイップ時の腰が弱くなる場合があるからである。
【0023】
本明細書において、油脂組成物の脂肪酸組成は、基準油脂分析法(暫17-2007 トランス脂肪酸含量 キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準じて測定した値を意味する。上記基準油脂分析において、ガスクロマトグラフィー装置は、例えば、島津製作所(株)製、GC-2010型、カラムは、SUPELCO社製、SP-2560、を用いることができる。
本明細書において、トリグリセライド組成は、基準油脂分析法(2.2.6.1-1996 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法))に準じて測定する。
【0024】
(4)油脂組成物の上昇融点
本発明の油脂組成物の上昇融点は31℃以下である。これより高いと口溶けが悪くなるからである。
【0025】
(5)第3の油脂
本発明の油脂組成物には、(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が2質量%以下であり、かつ油脂組成物の上昇融点が31℃以下の油脂であるという条件を満たす限り、第2の油脂とは異なる第3の油脂を更に添加してもよい。
また更に、第3の油脂を加える場合には、第1の油脂が油脂組成物質量に対して少なくとも50質量%含まれることが好ましい。
第3の油脂は、油脂組成物質量に対して、20質量%以下の範囲で含むことが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることが更に好ましい。
第3の油脂として、より具体的には、ハイエルシン菜種油の極度硬化油(上昇融点60℃)、パーム核分別油高融点部極度硬化油(上昇融点36℃)、菜種硬化油(上昇融点23℃)から選択される油脂が挙げられる。
【0026】
<水中油型乳化油脂組成物>
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、水相部と油相部からなり、上述した本発明のホイップクリーム用油脂組成物を油相部に含む。水相部と油相部の質量比はホイップクリームを製造するために適宜設定することができるが、通常、80:20〜50:50程度である。
前記油相部は、油脂として本発明のホイップクリーム用油脂組成物のみを含んでいてもよく、また乳脂肪を更に含んでいてもよい。乳脂肪としてバターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪が挙げられる。以下、上述した本発明のホイップクリーム用油脂組成物を特に乳脂肪と区別して述べる場合には、「植物性油脂組成物」とも呼ぶ。
乳脂肪と植物性油脂組成物の混合比は、質量比で乳脂肪:植物性油脂組成物が0:100〜70:30の範囲内で変えることができる。前記範囲内であれば、植物性油脂組成物の乳化安定性、口溶け、造花性、起泡性等の効果を損なうことなく、ホイップクリームを製造することができる。
【0027】
本発明の水中油型乳化油脂組成物は、一般的な製造方法により製造できるが、代表的な方法を述べると、先ず使用する乳化剤が親油性のものは原料油脂(本発明のホイップクリーム用油脂組成物)の一部または全部に添加し溶解ないし分散させて油相部を調製する。このような乳化剤としては、例えばレシチン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等従来公知の乳化剤のうちHLBの低い乳化剤が例示でき、本発明においてはこれらのいずれを適宜組み合わせて使用してもよい。
また、バターオイル、バター、生クリーム、牛乳等を由来とする乳脂肪を用いる場合には、これらを必要に応じて加熱融解して油相物を調製して用いる。乳脂肪を含む油相部と、上述した植物性油脂からなる本発明のホイップクリーム用油脂組成物を含む油相部は、水相部に混合した後添加してもよく、また各々添加してもよい。
【0028】
次に、水相部にカゼインナトリウム、脱脂粉乳、糖類や必要に応じて、蔗糖脂肪酸エステル、クエン酸ナトリウム、トリポリりん酸ナトリウム、第二りん酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ヘキサメタりん酸ナトリウム、増粘多糖類、香料などを添加し調製する。
無脂乳固形分の量は、組成物の全質量に対して、1〜10質量%であることが好ましく、更に2〜7質量%であることが好ましく、3〜6質量%であることが最も好ましい。このような範囲で添加することにより、乳化安定性が改善され、また風味が改善される場合があるからである。無脂乳固形分の含有量が約1質量%未満であると、乳化組成物を泡立てて得られるホイップクリームの風味が悪くなる。また、無脂乳固形分の含有量が約10質量%を越えると乳化組成物の粘度が高くなり、エージング中に粘度上昇が起こる恐れがある。
【0029】
これら、油相部と水相部を60℃から80℃に加温し、混合して予備乳化を行う。予備乳化後、ホモゲナイザーにて均質化し、バッチ式殺菌法、または間熱加熱方式あるいは直接加熱方式によるUHT滅菌処理法にて滅菌し、再びホモゲナイザーにて均質化し冷却しエージングする。
本発明の油脂組成物には、甘味や粘度の調節を目的として糖類を配合してもよい。糖類としては、例えば、水飴、粉飴、ショ糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール、トレハロース等が挙げられ、これは必要に応じ適宜組み合わせて配合される。
【0030】
<ホイップクリーム>
本発明において、ホイップクリームは、本発明の水中油型乳化油脂組成物を、当該技術分野において通常の方法により起泡されたものである。
以下、本発明の水中油型乳化油脂組成物を使用したホイップクリームの製造例を示すが、本発明はかかる例に限定されるものではない。
【0031】
まず、本発明の油脂組成物を融解混合等により調製する。油脂組成物に、レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤等の任意の添加剤を加え、混合して油相を調製する。
一方、水相部として、水に、メタリン酸Na、増粘多糖類、乳蛋白等の任意の添加剤を加えた後、これらを分散させて水相を調製する。
50〜85℃にて油相と水相を混合させ、予備乳化を行う。次いで20〜150kg/cm2の圧力下で均質化を行い、次いで75〜85℃にて加熱殺菌する。その後5〜10℃にまで冷却し、6〜24時間程度エージングを行なう。
このクリーム状油脂組成物をホバートミキサーにてホイップして起泡済みホイップクリームを得る。
【実施例】
【0032】
油脂調製方法
以下の実施例で使用した油脂の内容を示す。
【表1】

【0033】
上記表に記載された油脂を以下のようにして得た。
・油脂A...パーム核油を自然分別方法により高融点部と低融点部に2分割して得られた高融点部(上昇融点32℃)を脱色、脱臭を行い油脂Aを得た。
・エステル交換油脂1...ヤシ油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂1を得た。
・エステル交換油脂2...ヤシ油85%、油脂F15%の混合油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂2を得た。
・エステル交換油脂3...パーム核油90%、油脂F10%の混合油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂3を得た。
【0034】
・エステル交換油脂4...ヤシ油85%、パーム分別油高融点部15%の混合油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂4を得た。
・エステル交換油脂5...ヤシ油55%、中鎖脂肪酸トリグリセライド45%(脂肪酸組成C8=99%、C10=1%)の混合油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂5を得た。
・エステル交換油脂6...パーム核油75%、パーム極度硬化油25%の混合油を0.12%のナトリウムメチラートを触媒とし、90℃で30分間、非選択的エステル交換反応を行い、脱色、脱臭を行いエステル交換油脂6を得た。
【0035】
・油脂B...パーム核油を脱色、脱臭を行い油脂Bを得た。
・油脂C...中鎖脂肪酸トリグリセライド(脂肪酸組成C8=75%、C10=25%)脱色、脱臭を行い油脂Cを得た。
・油脂D...コメ油を脱色、脱臭を行い油脂Dを得た。
・油脂E...ヤシ油を脱色、脱臭を行い油脂Eを得た。
・油脂F...ハイエルシン菜種油の極度硬化処理を行い、脱色、脱臭を行い油脂Fを得た。
・油脂G...油脂Aの極度硬化処理を行い、脱色、脱臭を行い油脂Gを得た。
・油脂H...ナタネ油をヨウ素価83となるように硬化を行い、脱色、脱臭を行い油脂Hを得た(融点23℃)。
・油脂I...パーム分別低融点部(IV57)を脱色、脱臭を行い油脂Iを得た。
【0036】
実施例1〜15及び比較例1〜7
水中油型乳化油脂組成物の調製
表1に記載の各油脂を用いて、表2〜表4に記載の配合で油脂組成物を作成した。
【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
表2〜4に記載の各油脂36.38質量%(乳化油脂組成物全質量に対する質量%、以下同様)を加熱溶解し、そこに大豆レシチン0.23質量%、飽和酸モノグリセリド(パルミチン酸モノグリセリド)0.19質量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=1)0.15質量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.05質量%を加え融解し油相を調製した。
一方、水56.80質量%と脱脂粉乳6.00質量%、メタリン酸Na0.10質量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=11)0.10質量%を加えた後、分散させて水相を調製した。
油相と水相を混合させ、65℃で予備乳化を行い、80kg/cm2の圧力下で均質化した。次いで、75℃にて加熱殺菌を行い、20kg/cm2の圧力下で均質化を行い、冷却してクリーム状水中油型乳化油脂組成物を得た。その後、組成物を冷却し、5℃で1晩のエージングをした。
【0041】
実施例16
油脂量を31.38質量%とし、水の量を61.80質量%に変えた以外は、実施例1と同様に水中油型乳化油脂組成物を調製し、同様に評価を行った。
【0042】
実施例17
油脂量を41.38質量%とし、水の量を51.80質量%に変えた以外は、実施例1と同様に水中油型乳化油脂組成物を調製し、同様に評価を行った。
【0043】
実施例18
以下のようにして、実施例18〜20の水中油型乳化油脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価を行った。
実施例2に記載の油脂(油脂Aとエステル交換油脂1の混合油脂)25.47質量%を加熱溶解し、そこに大豆レシチン0.23質量%、飽和酸モノグリセリド(パルミチン酸モノグリセリド)0.19質量%、ソルビタン脂肪酸エステル0.05質量%を加え融解し油相−1を調製した。
無塩バター(乳脂肪分83%)13.64質量%(油脂全質量に対して乳脂肪分30%)を加熱溶解して油相−2を調製した。
一方、水54.07質量%と脱脂粉乳6.00質量%、メタリン酸Na0.10質量%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=11)0.10質量%を加えた後、分散させて水相を調製した。
水相を攪拌しながら、油相−1及び油相−2を順次投入して混合し、65℃で予備乳化を行い、60kg/cm2、40kg/cm2の圧力下で均質化した。次いで、75℃にて加熱殺菌を行い、冷却してクリーム状水中油型乳化油脂組成物を得た。その後、組成物を冷却し、5℃で1晩のエージングをした。
【0044】
実施例19及び20
実施例2に記載の油脂(油脂Aとエステル交換油脂1の混合油脂)それぞれ18.19質量%、25.47質量%を用いて実施例18と同様に油相−1を2種類調製した。
無塩バター(乳脂肪分83%)をそれぞれ22.74質量%(油脂全質量に対して乳脂肪分50%)、31.83質量%(油脂全質量に対して乳脂肪分70%)を加熱溶解して油相−2を2種類調製した。
水相を実施例18と同様に調製した。
実施例18と同様に油相−1、油相−2及び水相を混合し、実施例19及び20のクリーム状水中油型乳化油脂組成物を得た。
【0045】
粘度
水中油型乳化油脂組成物を、5℃で一晩静置してエージングを行い、500mlのビーカーに水中油型乳化油脂組成物を500g入れ、B型粘度計(BROOK FIELD社製粘度計のLVT)、スピンドル2番、スピード30にて測定した。
【0046】
ホイップ時間
水中油型乳化油脂組成物(クリーム)500gに砂糖を50g加え、5.0℃に温調し、8分立てとなるまでホバートミキサーにて速度2にてホイップした。8分立てホイップクリームを更に10分立て(硬度140〜170)まで手立てした。ホイップにかかる時間(10分立てまでの時間)を記載した。
【0047】
オーバーラン
ホイップ後(10分立て)の体積増加率(%)。ただし、体積増加率は、式:((a)(一定体積の水の重量−水と同体積のホイップ後のクリームの重量)/(b)(水と同体積のホイップ後のクリームの重量))×100、に従って計算した。
【0048】
硬度
ホイップした水中油型乳化油脂組成物(クリーム)を45.5ml容器に入れ、ミクロペネメーター:RIGOSHA製のPENETRO METER使用、円スイ(1g)を使用し、平らにしたクリームへの円スイの針入度を測定(単位は1/10mm)した。
【0049】
造花性評価
ホイップクリーム(10分立て)を三角袋に詰めて絞った時の、腰、伸び、艶、荒れを下記の5段階の基準により評価した。
5…非常に良好
4…良好
3…普通
2…やや悪い
1…悪い
【0050】
翌日戻り試験
ホイップクリーム(10分立て)を三角袋に詰めて500mlビーカーに絞り、5.0℃にて1晩置き、翌日のオーバーラン、硬度を測定し、離水を評価した。
【0051】
離水評価
ホイップクリーム(10分立て)を三角袋に詰めて500mlビーカーに絞り、5.0℃にて1晩置き、目視にて離水量を下記の5段階の基準により評価した。
5…ない
4…わずかにある
3…普通
2…やや多い
1…非常に多い
【0052】
ヒートショック試験
牛乳瓶にホイップ前の水中油型乳化油脂組成物を約150g入れ、25℃の恒温槽に1時間入れ、その後、5℃の恒温槽に6時間保存した。保存後、分離、ボテ、粘度を評価した。これらの評価は、乳化安定性の指標となる。
B型粘度計…No.3ローター スピード30にて5分後の粘度を測定した。または、5分以内で4000mPa・s以上になった場合にはその時間を示した(表1では括弧を付して時間を示した)。
リオン…No.3ローターにて5分後の粘度を測定した。または、5分以内で10dPa・s以上になった場合にはその時間を示した。
【0053】
口溶け評価
専門パネラー5名により、ホイップクリーム(10分立て)を実際に食して口溶けを下記の基準により評価した。
5…非常に良好
4…良好
3…普通
2…やや悪い
1…悪い
【0054】
油脂組成物の分析方法は以下の方法により行った。
・脂肪酸組成、トランス脂肪酸含量
基準油脂分析法(暫17-2007 トランス脂肪酸含量 キャピラリーガスクロマトグラフ法)に準じて測定した。
ガスクロマトグラフィー装置は、島津製作所(株)製、GC-2010型。カラムは、SUPELCO社製、SP-2560。
・SFC(固体脂含量)
基準油脂分析法(2.2.9-2003 固体脂含量 NMR法)に準じて測定した。
・上昇融点
基準油脂分析法(2.2.4.2-1996 融点 上昇融点)に準じて測定した。
・トリグリセライド組成
基準油脂分析法(2.2.6.1-1996 トリアシルグリセリン組成(ガスクロマトグラフ法)
【0055】
上記評価結果を表5〜8に示した。各表において「%」は質量%を意味する。
【0056】
【表5】

【0057】
【表6】

【0058】
【表7】

【0059】
【表8】

【0060】
各表の結果から明らかなように、本発明の油脂組成物から製造される水中油型乳化油脂組成物は特にヒートショック試験において良好であり、また本発明の油脂組成物から製造されたホイップクリームの造花性、口溶けも非常に良好であった(実施例1〜15)。
また、乳化油脂組成物中の全体の油脂量を変えた場合でも同様の効果を奏した。
【0061】
これに対して、第1の油脂であるパーム核分別油高融点部を単独で用いた場合には、造花性が悪く、またヒートショック試験ではB型粘度計測定時1440cpとなり、安定ではなかった(比較例1)。
第2の油脂であるヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂を単独で使用すると、造花性が悪く、また離水も見られ、乳化安定性が劣る結果であった(比較例2)。
【0062】
油脂Aの極度硬化油を単独で使用した場合には、油脂組成物の上昇融点が36℃となった。この場合には、口溶けが悪く、商品価値が低い(比較例3)。
第2の油脂として、パーム核油とパーム極度硬化油の75:25混合油のランダムエステル交換処理した油脂を用いた油脂組成物であって、上昇融点が32℃の油脂組成物を用いた場合には、造花性、乳化安定性、口溶けのいずれも悪いものであった(比較例4)。
【0063】
第2の油脂として、パーム分別低融点部(IV57)を用いた場合には、油脂組成物のトリグリセライド組成のうちC50が9質量%となり、B型粘度計測定時4000cp到達まで23sであり、ヒートショック耐性が極めて低かった(比較例5)。
第2の油脂として、エステル交換未処理のヤシ油をそのまま使用した場合には、ヒートショック試験ではB型粘度計測定時900cpとなり、安定ではなかった(比較例6)。実施例3のエステル交換処理を行ったヤシ油を用いた場合には、ヒートショック試験において非常に安定な結果を示しており、第2の油脂としてヤシ油に代わり、ヤシ油のエステル交換処理を行うた油脂を用いることでこのように優れた安定性が得られることは従来報告されておらず、本発明の効果の顕著性を裏付けるものである。
【0064】
第2の油脂として、ヤシ油のランダムエステル交換処理した油脂を用い、第3の油脂としてパーム分別低融点部(IV57)を用いた場合には、油脂組成物のトリグリセライド組成のうちC50が9質量%となり、B型粘度計測定時4000cp到達まで4m52sであり、ヒートショック耐性が無いことを示した(比較例7)。
【0065】
以上の結果から、本発明のホイップクリーム用油脂組成物から製造される水中油型乳化油脂組成物が、乳化安定性(特にヒートショック耐性)とホイップクリーム製造時の口溶け、造花性において、バランスのとれた優れた組成物であることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類の油脂成分を含むホイップクリーム用油脂組成物であって、(A)第1の油脂が、パーム核分別油高融点部からなり、(B)第2の油脂が、ヤシ油をランダムエステル交換処理した油脂、ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂、液体油、及びパーム核油からなる群より選択される油脂であって、及び(C)油脂組成物の全トリグリセライド100質量%に対してC50のトリグリセライド含有量が2質量%以下であり、かつ油脂組成物の上昇融点が31℃以下の油脂である、上記油脂組成物。
【請求項2】
第1の油脂を、油脂組成物質量に対して、20〜80質量%の範囲で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(C)油脂組成物の全脂肪酸100質量%に対するステアリン酸含有量は1質量%以上4質量%以下である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ヤシ油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における他の油脂が、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、パーム分別油高融点部、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
パーム核油と他の油脂の混合油をランダムエステル交換処理した油脂における他の油脂が、ハイエルシン菜種油の極度硬化油、パーム分別油高融点部、及び中鎖脂肪酸トリグリセライドからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
更に、第3の油脂を、油脂組成物質量に対して、20質量%以下の範囲で含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
水相部と油相部からなり、前記油相部が請求項1〜6のいずれか一項に記載の油脂組成物を含むことを特徴とする、水中油型乳化油脂組成物。
【請求項8】
水中油型乳化油脂組成物質量に対する油相部の質量が30%〜42%であることを特徴とする、請求項7記載の水中油型乳化油脂組成物。
【請求項9】
油相部が更に乳脂肪を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の水中油型乳化油脂組成物。
【請求項10】
乳脂肪と請求項1〜6のいずれか一項に記載の油脂組成物の質量比が0:100〜70:30の範囲であることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物の、ホイップクリーム製造における使用。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の水中油型乳化油脂組成物を用いて製造されたホイップクリーム。

【公開番号】特開2011−55752(P2011−55752A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207830(P2009−207830)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(591040144)太陽油脂株式会社 (17)
【Fターム(参考)】