説明

ホスホジエステルバックボーンを有する免疫刺激性一本鎖リボ核酸

ホスホジエステルバックボーンを有する免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)は、TLR7非依存性かつMyD88依存性の免疫活性化を誘発する。これらの免疫刺激性ssORNは、対象におけるTh1様免疫応答を誘発するのに、対象における抗原特異的免疫応答を誘発するのに、および癌、感染症、アレルギー状態、または喘息を有する対象を治療するのに有用である。
【図1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リボ核酸(RNA)は、治療用物質としてのその新たに認識された可能性のために、最近、強く関心のある的であった。たとえば、通常約21〜23のヌクレオチド長のある種の配列特異的二本鎖RNAは、選択的な様式で、RNA干渉(RNAi)または転写後遺伝子サイレンシングと呼ばれるプロセスで、遺伝子発現を発現停止させるために使用することができることが最近報告された。この種類のRNA干渉に使用される二本鎖RNAは、特にいわゆる低分子干渉RNA(siRNA)を含む。Hannon GJ(2002)Nature 418:244−51。対照的に、配列非特異的二本鎖RNAは、Toll様受容体3(TLR3)を介して作用して、免疫刺激効果を誘発することができることも最近報告された。Alexopoulou Lら(2001)Nature 413:732−8。さらに、通常グアノシン(G)およびウリジン(U)を含みかつある種の配列モチーフを特に含むある種の一本鎖RNAもまた免疫刺激性であることも最近報告された。Lipfordら US2003/0232074A1。免疫刺激性一本鎖RNAは、Toll様受容体7(TLR7)およびToll様受容体8(TLR8)を介して作用することが報告された。
【0002】
TLR3、TLR7、およびTLR8とのRNAの相互作用を介して起こる免疫刺激作用の他に、ある種のシトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)含有核酸分子、特にCpG含有デオキシリボ核酸(DNA)は、Toll様受容体9(TLR9)との相互作用を介してそれらの免疫刺激効果を発揮することが報告された。Hemmi Hら(2000)Nature 408:740−5。TLR7、TLR8、およびTLR9はすべてMyD88依存性の様式でシグナルを送る。
【背景技術】
【0003】
それらの糖リン酸バックボーン中に天然発生のホスホジエステルヌクレオチド間連結を有するデオキシリボ核酸分子およびましてリボ核酸分子はヌクレアーゼ媒介性の分解に感受性である。臨床的な使用のために、免疫刺激性核酸が合成オリゴヌクレオチドとして調製されることがよくあるということから、これらの免疫刺激性合成オリゴヌクレオチドは、それらの糖リン酸バックボーン中に1つまたは複数の安定したヌクレオチド間連結を含むことがよくある。一般に使用される安定したヌクレオチド間連結はホスホロチオエートである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
驚いたことに、ホスホロチオエートバックボーンではなくホスホジエステルバックボーンを有する一本鎖RNAが、TLR7またはTLR8以外のMyD88依存性Toll様受容体を介して少なくとも部分的に免疫活性化を刺激することが本発明によって今や発見された。この免疫応答を担うMyD88依存性Toll様受容体は、推定上TLR9とされる。
【0005】
CpG媒介性免疫活性化は、TLR9を介して作用して、先天性免疫の活性化を伴い、Th1免疫応答またはTh1様免疫応答への免疫応答の傾斜をもたらす。したがって、CpGオリゴヌクレオチドは、Th1免疫応答の刺激作用が所望される、たとえば癌、感染、アレルギー、および喘息といった疾患の治療での使用のためのアジュバントとしておよび活性剤として有用であることが報告された。
【0006】
それに応じて、驚いたことに、ホスホジエステルバックボーンを有し、前に記載される免疫刺激性一本鎖RNAのCpGも配列特異的特徴もどちらも有していない一本鎖RNAが、TLR9媒介性免疫系活性化を必要とする任意の用途において使用することができることが本発明によって今や発見された。上記用途は、限定を伴うことなく、癌、感染、アレルギー、または喘息を有する対象の治療を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本発明は、対象におけるTh1様免疫応答を誘発する方法である。本発明のこの態様による方法は、有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0008】
一態様では、本発明は、対象における抗原特異的応答を誘発する方法である。本発明のこの態様による方法は、対象に抗原を投与するステップおよび有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0009】
一態様では、本発明は、癌を有する対象を治療する方法である。本発明のこの態様による方法は、有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0010】
一態様では、本発明は、感染症を有する対象を治療する方法である。本発明のこの態様による方法は、有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を、備え、ただしヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0011】
一態様では、本発明は、アレルギー状態を有する対象を治療する方法である。本発明のこの態様による方法は、有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0012】
一態様では、本発明は、喘息を有する対象を治療する方法である。本発明のこの態様による方法は、有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを含み、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0013】
一実施形態では、免疫刺激性ssORNは5〜40のヌクレオチド長である。
【0014】
一実施形態では、免疫刺激性ssORNは5〜20のヌクレオチド長である。
【0015】
一実施形態では、免疫刺激性ssORNは5〜12のヌクレオチド長である。
【0016】
一実施形態では、免疫刺激性ssORNは合成ssORNである。
【0017】
一実施形態では、免疫刺激性ssORNは、ポリU、ポリG、ポリA、またはポリCからなる群から選択されるポリヌクレオチドではない。
【0018】
一実施形態では、有効量の免疫刺激性ssORNの対象への投与は、有効量の免疫刺激性ssORNの対象への全身的投与である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
免疫応答は、先天性免疫および適応免疫に概念的に分類される。先天性免疫は、感染性微生物により発現された分子または外来性巨大分子のある種のクラスにより共通して共有される病原体関連分子パターン(PAMP)の認識を伴うと考えられる。PAMPは、ある種の免疫細胞上のパターン認識受容体(PRR)により認識されると考えられる。
【0020】
Toll様受容体(TLR)は、哺乳動物における先天性免疫に決定的な役割を果たす高度に保存されたポリペプチドのファミリーである。現在、TLR1〜TLR10と命名された10個のファミリーメンバーが同定されている。様々なTLRの細胞質ドメインは、Tollインターロイキン1(IL−1)受容体(TIR)ドメインにより特徴づけられる。Medzhitov Rら(1998)Mol Cell 2:253−8。TLRによる微生物侵襲の認識は、ショウジョウバエおよび哺乳動物において進化的に保存されているシグナリングカスケードの活性化のきっかけとなる。TIRドメイン含有アダプタタンパク質MyD88は、多くのTLRと会合し、IL−1受容体関連キナーゼ(IRAK)および腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連因子6(TRAF6)をTLRに動員することが報告された。MyD88依存性シグナリング経路は、免疫活性化の決定的なステップである、NF−B転写因子およびc−Jun NH末端キナーゼ(Jnk)マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化、ならびに炎症性サイトカインの生産をもたらすと考えられる。概説については、Aderem Aら(2000)Nature 406:782−87を参照されたい。
【0021】
多くの特異的なTLRリガンドが報告されている一方、同定すべき、いくつかのTLRに対するリガンドが残っている。TLR2に対するリガンドは、ペプチドグリカンおよびリポペプチドを含む。Yoshimura Aら(1999)J Immunol 163;1−5;Aliprantis AOら(1999)Science 285:736−9。ウイルス由来二本鎖RNA(dsRNA)およびdsRNAの合成類似体であるポリI:Cは、TLR3のリガンドであることが報告された。Alexopoulou Lら(2001)Nature 413:732−8。リポ多糖(LPS)はTLR4に対するリガンドである。Poltorak Aら(1998)Science 282:2085−8;Hoshino Kら(1999)J Immunol 162:3749−52。細菌フラジェリンはTLR5に対するリガンドである。Hayashi Fら(2001)Nature 410:1099−1103。ペプチドグリカンは、TLR2だけではなくTLR6に対するリガンドであることが報告された。Ozinsky Aら(2000)Proc Natl Acad Sci USA 97:13766−71;Takeuchi Oら(2001)Int Immunol 13:933−40。グアノシンおよびウリジンを含有する一本鎖RNAはTLR7およびTLR8に対するリガンドであることが報告された。米国特許出願公開第2003/0232074A1号。ある種の低分子量合成化合物イミダゾキノロン類のイミキモッド(R−837)およびレシキモッド(R−848)もまたTLR7およびTLR8のリガンドであることが報告された。Jurk Mら(2002)Nat Immunol 3:499;Hemmi Hら(2002)Nat Immunol 3:196−200。細菌DNA(CpG DNA)はTLR9リガンドであることが報告された。Hemmi Hら(2000)Nature 408:740−5;Bauer Sら(2001)Proc Natl Acad Sci USA 98,9237−42。TLR1およびTLR10に対する天然リガンドは知られていない。
【0022】
TLR7、TLR8、およびTLR9はすべて、適切な核酸リガンドに応じて、アダプタタンパク質MyD88が参加してシグナルを送る。ネズミTLR8は、ヒトTLR8とは違って、非機能的であると思われる。したがって、マウスでは、TLR7およびTLR9は、機能的であり、適切な核酸リガンドに応じて、MyD88が参加してシグナルを送る。したがって、機能的TLR7を欠くマウスは、適切な核酸リガンドに応じてMyD88依存性経路を介してシグナルを送ることができることで知られている機能的TLRとしてTLR9のみを有する(図1を参照されたい)。
【0023】
驚いたことに、ホスホロチオエートバックボーンではなくホスホジエステルバックボーンを有するある種の一本鎖オリゴリボヌクレオチドが、機能的なTLR7またはTLR8を欠くマウスにおいてMyD88依存性の様式で免疫細胞を刺激することができることが発見された。
【0024】
本発明による有用な免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)は、5〜100のヌクレオチド長であり、ホスホジエステルバックボーンならびに
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを含むヌクレオチド配列を有し、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない。
【0025】
一実施形態における本発明による有用な免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)は、RNAの天然源に由来し、そこから単離することができる。あるいは、より典型的に、一実施形態における本発明による有用な免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)は、当技術分野でよく知られている合成方法により得ることができる。
【0026】
本発明の免疫刺激性ssORNは天然または非天然起源とすることができる。天然に存在するRNAは、ある種のリボヌクレオシド単位の線状ポリマーを通常指す、一種の核酸であり、各リボヌクレオシド単位は、プリン塩基またはピリミジン塩基およびリボース糖から構成され、ヌクレオシド間ホスホジエステル結合により連結されている。これに関しては、「線状」は、RNAの一次構造について記載することが意味される。RNAは、通常、一本鎖または二本鎖であり、部分的な二本鎖を含むことができる。
【0027】
本明細書中で使用されるように、「ヌクレオシド」は、交換可能な有機塩基に連結された単一の糖部分(たとえばリボースまたはデオキシリボース)を指し、有機塩基は、置換ピリミジン(たとえばシトシン、チミン、もしくはウラシル)または置換プリン(たとえばアデニンまたはグアニン)のいずれかである。対応するヌクレオチドは、シチジン、チミジン、ウリジン、アデノシン、およびグアノシンであり、慣習的に、C、T、U、A、およびGとしてそれぞれ示される。本明細書中に記載されるように、ヌクレオシドは、天然発生のヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、または合成(人工)ヌクレオシドであってもよい。
【0028】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、複数のヌクレオチドを意味するよう区別なく使用される。(つまり、上記に記載される、リン酸基にかつ交換可能な有機塩基に連結された糖(たとえばリボースまたはデオキシリボース)を備える分子。本明細書中に使用されるように、これらの用語は、オリゴリボヌクレオチド(ORN)およびオリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を指す。これらの用語はまた、ポリヌクレオシド(つまりリン酸を引いたポリヌクレオチド)および任意の他の有機塩基含有ポリマーも含むものとする。核酸分子は、既存の核酸源(たとえばゲノムまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは合成である(たとえば核酸合成により生産される)。
【0029】
核酸およびオリゴヌクレオチドという用語はまた、塩基および/または糖において等で置換または修飾を有する核酸またはオリゴヌクレオチドも包含する。たとえば、それらは、3’位置の水酸基以外かつ5’位置のリン酸基以外で、低分子量有機基に共有結合的に付加されたバックボーン糖を有する核酸を含む。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含んでいてもよい。さらに、修飾核酸は、リボースの代わりにアラビノース等の糖を含んでいてもよい。したがって、核酸は、バックボーン組成物中で不均一であり、それによって、ペプチド核酸(核酸の塩基を有するアミノ酸バックボーンを有する)等の、共に連結されたポリマー単位の任意の可能性として考えられる組合せを含有していてもよい。いくつかの実施形態では、核酸は、バックボーン組成物中において均一である。核酸はまた、C−5プロピン修飾塩基等の置換プリンおよび置換ピリミジンも含む。Wagner RWら(1996)Nat Biotechnol 14:840−4。プリンおよびピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および他の天然発生および非天然発生の核酸塩基といった置換および非置換の芳香族部分を含むが、これらに限定されない。他の上記の修飾は当業者によく知られている。
【0030】
天然ヌクレオシド塩基は修飾ヌクレオシド塩基と交換することができ、修飾ヌクレオシド塩基は、ヒポキサンチン、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C−C)−アルキルウラシル、5−(C−C)−アルケニルウラシル、5−(C−C)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C−C)−アルキルシトシン、5−(C−C)−アルキレンシトシン、5−(C−C)−アルケニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン(特に8−アザグアニンを含む)、7−デアザ−7−置換および/もしくは7−デアザ−8−置換プリンを含む置換7−デアザプリン(特に7−デアザグアニンを含む)、または天然ヌクレオシド塩基の他の修飾体からたとえば選択される。このリストは、例示的なものであることが意味され、限定的なものと解釈されるものではない。
【0031】
特に、免疫刺激性ssORN中に存在する少なくとも1つのグアノシンがある場合、免疫刺激性ssORNの少なくとも1つのグアニン塩基は、7−デアザグアニン、8−アザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン等)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、8−ヒドロキシグアニン等の8−置換グアニン、および6−チオグアニン等の置換または修飾グアニンとすることができる。このリストは、例示的なものであることが意味され、限定的なものと解釈されるものではない。
【0032】
さらに特に、免疫刺激性ssORN中に存在する少なくとも1つのウリジンがある場合、免疫刺激性ssORNの少なくとも1つのウラシル塩基は、シュードウラシルおよび5−メチルウラシル等の置換または修飾ウラシルとすることができる。
【0033】
本発明で使用するために、本発明の核酸は、当技術分野でよく知られている任意の多くの手順を使用してde novo合成することができる。たとえば、β−シアノエチルホスホラミダイト法(Beaucage SLら(1981)Tetrahedron Lett 22:1859)、ヌクレオシドH−ホスホネート法(Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4051−4;Froehlerら(1986)Nucl Acid Res 14:5399−407;Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4055−8;Gaffneyら(1988)Tetrahedron Lett 29:2619−22)。これらの化学反応は、市販の様々な自動核酸合成機により実行することができる。これらの核酸は合成核酸と称される。核酸は、制限酵素、エキソヌクレアーゼ、またはエンドヌクレアーゼを利用する技術等の知られている技術を使用して、既存の核酸配列(たとえばリボソームRNA、メッセンジャーRNA、または転移RNA)から調製することができる。この様式で調製された核酸は単離核酸と称される。単離核酸は、核酸が天然で常態で関連している成分から分離された核酸を通常指す。例として、単離核酸は、細胞から、核から、ミトコンドリアから、またはクロマチンから分離された核酸であってもよい。用語「核酸」は、合成核酸および単離核酸の両方を包含する。
【0034】
本発明による有用なssORNは免疫刺激性である。本明細書中に使用されるように、免疫刺激性ssORNは、免疫応答を誘発することができる、たとえば、活性化して増殖させるために、分化させるために、移動させるために、細胞溶解活性を増加させるために、免疫細胞活性化と関連する分泌産物の発現を増加させるために、免疫細胞活性化と関連する細胞表面マーカーもしくは共刺激分子の発現を増加させるために、またはそれらの任意の組合せのために免疫系の細胞を刺激することができるssORNを指す。免疫細胞活性化と関連する分泌産物は当技術分野でよく知られており、限定を伴うことなく、サイトカイン、ケモカイン、および抗体を含むことができる。
【0035】
本発明の免疫刺激性ssORNは、in vitroおよびin vivoの両方で、Th1様免疫応答を誘発するために使用することができる。本明細書中に使用されるように、Th1様免疫応答は、ある種のサイトカイン、ケモカイン、および免疫グロブリンのサブクラスを含むTh1様分泌産物を発現するための免疫細胞の活性化ならびにある種の免疫細胞の活性化を指す。Th1様分泌産物は、限定を伴うことなく、サイトカインIFN−γ、IL−2、IL−12、IL−18、TNF−α、およびケモカインIP−10(CXCL10)を含む。マウスでは、Th1免疫活性化はIgG2aの分泌を刺激する。ヒトでは、Th1免疫活性化はIgG1の分泌を刺激する。したがって、マウスにおけるTh1様免疫応答はIgG2aの分泌の増加を含み得る、そしてヒトにおけるTh1様免疫応答はIgG1の分泌の増加を含み得る。Th1およびTh1様免疫活性化はまた、NK細胞および樹状細胞、つまり細胞性免疫に関与する細胞の活性化も含んでいてもよい。Th1およびTh1様免疫活性化はTh2免疫活性化を逆調節すると考えられる。
【0036】
本発明の免疫刺激性ssORNは、in vitroおよびin vivoの両方で、抗原特異的免疫応答を誘発するために使用することができる。本明細書中に使用されるように、抗原特異的免疫応答は、免疫系の細胞および抗原の間での接触から起こる適応免疫応答である。
【0037】
用語「抗原」は、免疫応答を引き起こすことができる分子を指す。抗原という用語は、外来性であるとして宿主系により認識される任意の種類の分子を広く含む。抗原は、微生物抗原、癌抗原、およびアレルゲンを含むが、これらに限定されない。抗原は、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖類、多糖抱合体、多糖類およびその他の分子のペプチドミミックおよび非ペプチドミミック、低分子、脂質、糖脂質、ならびに炭水化物を含むが、これらに限定されない。タンパク質およびポリペプチドは炭水化物または脂肪よりも通常抗原性であるので、多くの抗原は事実上タンパク質またはポリペプチドである。
【0038】
抗原は、核酸ベクターによりコードされる抗原とすることができ、または抗原はそれ自体で抗原となり得る。前者の場合では、核酸ベクターが対象に投与され、in vivoで抗原が発現する。後者の場合では、抗原は対象に直接投与されてもよい。本明細書中で使用される核酸ベクター中にコードされていない抗原は、核酸ではない任意の種類の抗原を指す。たとえば、本発明のいくつかの態様では、核酸ベクター中にコードされていない抗原はペプチドまたはポリペプチドである。ペプチド抗原またはポリペプチド抗原の本来のアミノ酸配列のわずかな修飾により、無修飾対応物であるポリペプチドと比較して実質的に等価な抗原性活性を有するポリペプチドをもたらしてもよい。上記修飾は、部位特異的変異誘発によるような意図的なものであってもよくまたは自然発生的なものであってもよい。これらの修飾により生産されたポリペプチドはすべて、抗原性がなお存在する限り、本明細書中に含まれる。たとえば、ペプチドまたはポリペプチドはウイルス性由来であってもよい。本発明において有用な抗原は、完全長タンパク質またはポリペプチドの小ペプチド断片から完全長形態までの範囲の任意の長さであってもよい。たとえば、抗原は、抗原が特異的免疫応答を刺激するという条件で、アミノ酸残基の長さが5未満、8未満、10未満、15未満、20未満、30未満、50未満、70未満、100未満、またはそれ以上であってもよい。
【0039】
ある種の実施形態では、抗原は癌抗原である。本明細書中に使用される「癌抗原」は、腫瘍細胞表面または癌細胞表面と関連するペプチドまたはタンパク質等の化合物であり、癌抗原は、MHC分子を背景に抗原提示細胞の表面上に発現した場合、免疫応答を引き起こすことができる。癌抗原は、たとえばCohen PAら(1994)Cancer Res 54:1055−8に記載されるように癌細胞の粗抽出物を調製することにより、抗原を部分的に精製することにより、組換え技術により、または知られている抗原のde novo合成により癌細胞から調製することができる。癌抗原は、組換えで発現した抗原、腫瘍もしくは癌の免疫原性の一部、または腫瘍もしくは癌の全体を含むが、これらに限定されない。上記抗原は、組換えでまたは当技術分野で知られている任意の他の手段により単離または調製することができる。
【0040】
用語「癌抗原」および「腫瘍抗原」は、区別なく使用され、癌細胞により識別的に発現され、それによって癌細胞を標的にするために活用することができる抗原を指す。癌抗原は、明らかに腫瘍特異的な免疫反応を潜在的に刺激することができる抗原である。これらの抗原のいくつかは、必ずしも発現されないが、正常細胞によってコードされている。これらの抗原は、正常細胞では常態でサイレントである(つまり発現されない)抗原、分化のある種の段階でのみ発現される抗原、および胚性抗原および胎児性抗原等の一時的に発現する抗原として特徴づけることができる。他の癌抗原は、内部欠失または染色体転座に起因する融合タンパク質であり、癌遺伝子(たとえば活性化されたras癌遺伝子)、抑制遺伝子(たとえば突然変異p53)等の突然変異細胞性遺伝子によりコードされる。さらに他の癌抗原は、RNA腫瘍ウイルスおよびDNA腫瘍ウイルス上に保有されるウイルス遺伝子等のウイルス遺伝子によりコードされ得る。腫瘍抗原の例は、MAGE、MART−1/メラン−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、サイクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)−−C017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)およびその免疫原性エピトープCAP−1およびCAP−2、etv6、aml1、前立腺特異抗原(PSA)およびその免疫原性エピトープPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3ゼータ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(たとえばMAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(たとえばGAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、およびγ−カテニン、p120ctn、gp100Pme1117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、大腸腺腫様ポリポーシスタンパク質(APC)、ホドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2ガングリオシドおよびGD2ガングリオシド、ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質等のウイルス産物、腫瘍抗原のSmadファミリー、lmp−1、P1A、EBVコード核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−4、SSX−5、SCP−1、およびCT−7、ならびにc−erbB−2を含む。
【0041】
癌または腫瘍および上記腫瘍と関連する腫瘍抗原は、(排他的ではないが)急性リンパ芽球性白血病(etv6、aml1、サイクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−イディオタイプ)、神経膠腫(E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン、γ−カテニン、p120ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆管癌(p21ras)、乳癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、頚癌(p53、p21ras)、結腸癌(p21ras、HER2/neu、c−erbB−2、MUCファミリー)、結腸直腸癌(結腸直腸関連抗原(CRC)−−C017−1A/GA733、APC)、絨毛癌(CEA)、上皮細胞癌(サイクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、肝細胞癌(α−フェトプロテイン)、ホジキンリンパ腫(lmp−1、EBNA−1)、肺癌(CEA、MAGE−3、NY−ESO−1)、リンパ球様細胞由来白血病(サイクロフィリンb)、黒色腫(p15タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2ガングリオシド、およびGD2ガングリオシド)、骨髄腫(MUCファミリー、p21ras)、非小細胞肺癌(HER2/neu、c−erbB−2)、上咽頭癌(lmp−1、EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異抗原(PSA)ならびにその免疫原性エピトープPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、PSMA、HER2/neu、c−erbB−2)、膵癌(p21ras、MUCファミリー、HER2/neu、c−erbB−2、ga733糖タンパク質)、腎癌(HER2/neu、c−erbB−2)、頚および食道の扁平上皮癌(ヒト乳頭腫ウイルスタンパク質等のウイルス産物)、精巣癌(NY−ESO−1)、T細胞白血病(HTLV−1エピトープ)、ならびに黒色腫(メラン−A/MART−1、cdc27、MAGE−3、p21ras、gp100Pme1117)を含む。
【0042】
本発明の免疫刺激性ssORNは、通常少なくとも5かつ100以下のヌクレオチド長である。様々なある種の実施形態では、本発明の免疫刺激性ssORNは、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40のヌクレオチド長を具体的に含む40以下のヌクレオチド長である。
【0043】
ある種の実施形態では、本発明の免疫刺激性ssORNは、少なくとも4つの連続したGヌクレオチドを含むポリG配列を含むことができ、ただし、ssORNは、ポリGから完全に構成されるわけではない。一実施形態では、ポリG配列は、存在する場合、ssORNの3’末端を占める。
【0044】
一実施形態では、本発明の免疫刺激性ssORNはポリUから完全に構成されるわけではない。一実施形態では、本発明の免疫刺激性ssORNはポリAから完全に構成されるわけではない。一実施形態では、本発明の免疫刺激性ssORNはポリCから完全に構成されるわけではない。
【0045】
本発明のssORNは、癌を有する対象、感染症を有する対象、自己免疫疾患を有する対象、アレルギーを有する対象、および喘息を有する対象の治療に特に使用されてもよいが、そのように限定されない。
【0046】
本明細書中に使用される「癌」は、体の器官および系が正常に機能するのを妨害する、細胞の制御されていない成長を指す。それらの本来の位置から移動して、重要器官に種を播く癌は、冒された器官の機能的悪化を介して対象の死をついにはもたらし得る。白血病等の造血癌は、対象における正常造血コンパートメントにまさることができ、それによって、最終的に死を引き起こす造血不全(貧血、血小板減少、および好中球減少の形態で)をもたらす。
【0047】
本明細書中に使用されるように、癌を有する対象は、検出可能な癌性細胞を有する対象を指す。
【0048】
転移は、原発腫瘍から体の他の部分までの、癌細胞の播種に起因する、原発腫瘍の位置とは別の癌細胞の領域である。原発腫瘤の診断時に、対象は、転移の存在について監視されてもよい。転移は、特定の症状の監視の他に、磁気共鳴画像(MRI)スキャン、コンピュータ連動断層撮影(CT)スキャン、血液および血小板数、肝機能研究、胸部X線、ならびに骨スキャンを単独でまたは組み合わせて使用することにより検出されることが最も多い。
【0049】
癌は、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳およびCNS癌、乳癌、頚部癌、絨毛癌、大腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼癌、頭頚部の癌、胃癌、上皮内新生物、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、肺癌(たとえば小細胞および非小細胞)、ホジキンおよび非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、口腔癌(たとえば唇、舌、口、および咽頭)、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌、腎癌、呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、泌尿器系の癌、ならびに他の癌および肉腫を含むが、これらに限定されない。
【0050】
本明細書中に使用される「感染症」は、感染性微生物による外面的、局所的、または全身的な、宿主の侵襲から起こる障害を指す。感染性微生物は、細菌、ウイルス、寄生生物、および真菌を含む。
【0051】
本明細書中に使用されるように、感染症を有する対象は、感染性生物に暴露されたことがあり、体内に急性または慢性の検出可能なレベルの生物を有する対象を指す。感染性生物への暴露は、対象の外面、たとえば皮膚または粘膜の膜で通常発生するおよび/または感染性生物による対象の外面の侵入を指す。
【0052】
ヒトで発見されたウイルスの例は、レトロウイルス科(たとえばHIV−1(HDTV−III、LAVE、もしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも称される等のヒト免疫不全ウイルスおよびHIV−LP等の他の分離株)、ピコルナウイルス科(たとえばポリオウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス)、カルシウイルス科(たとえば胃腸炎の原因となる株)、ドガウイルス科(たとえばウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス)、フラビウイルス科(たとえばデング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱ウイルス)、コロナウイルス科(たとえばコロナウイルス)、ラブドウイルス科(たとえば水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス)、フィロウイルス科(たとえばエボラウイルス)、パラミクソウイルス科(たとえばパラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、呼吸器合胞体ウイルス)、オルソミクソウイルス科(たとえばインフルエンザウイルス)、ブンヤウイルス科(たとえばハンタンウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルス、およびナイロウイルス)、アレナウイルス科(出血熱ウイルス)、レオウイルス科(たとえばレオウイルス、オルビウイルス、およびロタウイルス)、ビルナウイルス科、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス)、パルボウイルス科(パルボウイルス)、パポバウイルス科(乳頭腫ウイルス、ポリオーマウイルス)、アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス)、ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス)、ならびにイリドウイルス科(たとえばアフリカ豚コレラウイルス)、ならびに未分類ウイルス(たとえばデルタ型肝炎の外的病原因子(B型肝炎ウイルスの不完全サテライトであると思われる)、非A型、非B型肝炎の外的病原因子(クラス1=内部的に伝染、クラス2=非経口的に伝染(つまりC型肝炎)、ノーウォークおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両者は脊椎動物において抗原として作用する。上記グラム陽性細菌は、パスツレラ種、ブドウ球菌種、および連鎖球菌種を含むが、これらに限定されない。グラム陰性細菌は、大腸菌、シュードモナス種、およびサルモネラ種を含むが、これらに限定されない。感染性細菌の特定の例は、ヘリコバクターピロリ、ボレリアブルグドルフェリ、レジュネラニューモフィラ菌、マイコバクテリア種(たとえば結核菌、トリ結核菌、バテー杆菌、カンサシ菌、M.ゴルドナエ)、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎菌、リステリア菌、化膿連鎖球菌(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカスアガラクティエ(B群連鎖球菌)、連鎖球菌(ビリダンス群)、糞便連鎖球菌、ストレプトコッカスボビス、連鎖球菌(嫌気性種)、肺炎連鎖球菌、病原性カンピロバクター種、エンテロコッカス種、インフルエンザ菌、炭疽菌、ジフテリア菌、コリネバクテリウム種、豚丹毒菌、ウェルチ菌、破傷風菌、エンテロバクターエロゲネス、肺炎桿菌、パスツレラマルトシダ、バクテロイデス種、フソバクテリウムヌクレアタム、ストレプトバシラスモニリフォルミス、梅毒トレポネーマ、フランベジアトレポネーマ、レプトスピラ、リケッチア、およびイスラエル放線菌を含むが、これらに限定されない。
【0054】
真菌の例は、クリプトコッカスネオフォルマンス、ヒストプラスマカプスラーツム、コクシジオイデスイミチス、ブラストミセスデルマティティディス、トラコーマクラミジア、カンジダアルビカンスを含む。
【0055】
他の感染性生物(つまり原生生物)は、熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、および三日熱マラリア原虫等のマラリア原虫種ならびにトキソプラズマ原虫を含む。血液媒介寄生生物および/または組織寄生生物は、マラリア原虫種、ネズミバベシア、バベシアディバージエンス、熱帯リーシュマニア、リーシュマニア種、ブラジルリーシュマニア、ドノバンリーシュマニア、ガンビアトリパノソーマおよびローデシアトリパノソーマ(アフリカ睡眠病)、クルーズトリパノソーマ(シャガス病)、ならびにトキソプラズマ原虫を含む。
【0056】
他の医学的に関係のある微生物は、文献に広範に記載されており、たとえば、C.G.A Thomas,Medical Microbiology,Bailliere Tindall,Great Britain 1983を参照されたく、その全内容が参照により本明細書中に組み込まれる。
【0057】
本発明のssORNはまた、自己免疫疾患を治療し、予防するのにも有用である。自己免疫疾患は、対象自体の抗体が宿主組織と反応するまたは免疫エフェクターT細胞が内因性自己ペプチドに自己反応性であり、組織の破壊の原因となる疾患の1つのクラスである。したがって、免疫応答は、自己抗原と称される対象自体の抗原に対して開始される。自己免疫疾患は、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫性脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(たとえば尋常性天疱瘡)、グレーブス病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を有する強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連性の不妊、糸球体腎炎(たとえば半月体形成性糸球体腎炎、増殖性糸球体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インスリン抵抗性、および自己免疫性真性糖尿病を含むが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中に使用されるように、アレルギーは、物質(アレルゲン)に対する後天性過敏症を指す。アレルギー状態は、湿疹、アレルギー性鼻炎または鼻感冒、枯草熱、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、じんま疹(発疹)および食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー、薬剤アレルギー、および血管性浮腫を含む他のアトピー状態を含むが、これらに限定されない。アレルギー疾患は、鼻炎(枯草熱)、喘息、じんま疹、およびアトピー性皮膚炎を含むが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書中に使用されるように、アレルギーを有する対象は、アレルゲンに応じるアレルギー反応を有する対象である。
【0060】
アレルゲンは、感受性対象においてアレルギー応答または喘息応答を誘発することができる物質(抗原)を指す。アレルゲンのリストは膨大であり、花粉、昆虫毒液、動物性ふけ粉塵、真菌胞子、および薬剤(たとえばペニシリン)を含み得る。天然、動物、および植物アレルゲンの例は、以下の属に特異的なタンパク質を含むが、これらに限定されない:イヌ属(カニスファミリアリス)、表皮ダニ属(たとえばコナヒョウヒダニ)、ネコ属(フェリスドメスティクス(Felis domesticus))、ブタクサ属(ブタクサ)、ドクムギ属(たとえばホソムギまたはネズミムギ)、スギ属(スギ)、アルテルナリア属(アルテルナリアアルテルナータ)、ハンノキ、ハンノキ属(セイヨウヤマハンノキ)、カバノキ属(セイヨウシラカンバ)、カシ属(アメリカンホワイトオーク)、オリーブ属(オリーブ)、ヨモギ属(オウシュウヨモギ)、オオバコ属(たとえばヘラオオバコ)、ヒカゲミズ属(たとえばパリエタリアオフィチナリス(Parietaria officinalis)またはパリエタリアユダイカ(Parietaria judaica))、チャバネゴキブリ属(たとえばチャバネゴキブリ)、ミツバチ属(たとえばアピスムルティフロルム(Apis multiflorum))、イトスギ属(たとえばクプレススセムペルビレンス(Cupressus sempervirens)、アリゾナイトスギ、およびモントレーイトスギ)、ビャクシン属(たとえばユニペルスサビオノイデス(Juniperus sabinoides)、エンピツビャクシン、セイヨウネズ、およびユニペルスアシェイ(Juniperus ashei))、クロベ属(たとえばツヤオリエンタリス(Thuya orientalis))、ヒノキ属(たとえばヒノキ)、ワモンゴキブリ属(たとえばワモンゴキブリ)、カモジグサ属(たとえばシバムギ)、ライムギ属(たとえばライムギ)、コムギ属(たとえばコムギ)、カモガヤ属(たとえばカモガヤ)、ウシノケグサ属(たとえばヒロハウシノケグサ)、イチゴツナギ属(たとえばナガハグサまたはコイチゴツナギ)、カラスムギ属(たとえばマカラスムギ)、シラゲガヤ属(たとえばシラゲガヤ)、ハルガヤ属(たとえばハルガヤ)、オオカニツリ属(たとえばオオカニツリ)、コヌカグサ属(たとえばコヌカグサ)、アワガエリ属(たとえばオオアワガエリ)、クサヨシ属(たとえばクサヨシ)、スズメノヒエ属(たとえばアメリカスズメノヒエ)、モロコシ属(たとえばセイバンモロコシ)、およびスズメノチャヒキ属(たとえばコスズメノチャヒキ)。
【0061】
本明細書中に使用されるように、喘息は、気道の炎症、狭窄、および吸入された外的病原因子に対する気道の反応性の増加により特徴づけられる呼吸器系の障害を指す。喘息は、排他的ではないが、しばしば、アトピー状態またはアレルギー状態と関連する。喘息の症状は、喘鳴、息切れ、および胸部絞扼感の反復性の出現ならびに咳を含み、気流閉塞に起因する。喘息と関連する気道炎症は、気道上皮の露出、基底膜直下のコラーゲン沈着、浮腫、肥満細胞活性化、好中球、イノシネオフィル(inosineophil)、およびリンパ球を含む炎症細胞の浸潤等の多くの生理学的変化の観察によって検出することができる。気道炎症の結果として、喘息患者は、気道反応性亢進、気流制限、呼吸器症状、および疾患慢性を経験することが多い。気流制限は、気管支閉塞をもたらすことが多い特徴である急性気管支収縮、気道浮腫、粘液栓形成、および気道リモデリングを含む。喘息のいくつかの症例では、基底膜下線維化が発生し、肺機能の持続性の異常をもたらす可能性がある。
【0062】
本明細書中に使用されるように、喘息を有する対象は、気道の炎症、狭窄、および吸入された外的病原因子に対する気道の反応性の増加により特徴づけられる呼吸器系の障害を有する対象である。喘息は、排他的ではないが、しばしば、アトピー症状またはアレルギー症状と関連する。喘息はさらに、排他的ではないが、初発因子との接触ともしばしば関連する。本明細書中に使用される「初発因子」は、喘息のきっかけとなる組成物または環境条件を指す。初発因子は、アレルゲン、寒い気温、運動、ウイルス感染、SOを含むが、これらに限定されない。
【0063】
本発明のssORNはまた、単独でまたは他の治療薬と組み合わせて使用することもできる。一実施形態における他の治療薬は本発明の他のssORNである。ssORNおよび他の治療薬は、同時にまたは順次に投与されてもよい。他の治療薬が同時に投与される場合、それらは、同一の製剤または個別の製剤中において投与することができるが、同時に投与される。他の治療薬およびssORNの投与が時間的に分離される場合、他の治療薬はssORNとお互いに順次に投与される。これらの化合物の投与の間の分離時間は、数分間であってもよく、それより長くてもよい。他の治療薬は、抗微生物薬、抗癌薬、抗アレルギー薬等を含むが、これらに限定されない。
【0064】
本発明のssORNは、抗微生物薬と共に対象に投与されてもよい。抗微生物薬は、本明細書中で使用されるように、感染性微生物を殺すまたは阻害することができる天然発生化合物または合成化合物を指す。本発明による有用な抗微生物薬の種類は、対象が感染しているまたは感染する危険性のある微生物の種類に依存するであろう。抗微生物薬は、抗細菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、および抗寄生生物薬を含むが、これらに限定されない。「抗感染薬」、「抗細菌薬」、「抗ウイルス薬」、「抗真菌薬」、「抗寄生生物薬」、および「殺寄生生物薬」等の語句は、当業者にとって十分に確立された意味を有し、標準的な医学教科書において定義される。手短に言えば、抗細菌薬は、細菌を殺すまたは阻害し、抗生物質および類似する機能を有する他の合成化合物または天然化合物を含む。抗生物質は、微生物等の細胞により二次代謝産物として生産される低分子量分子である。通常、抗生物質は、微生物に特異的で宿主細胞中に存在しない1つまたは複数の細菌機能または構造を妨害する。抗ウイルス薬は、天然源から単離するまたは合成することができ、ウイルスを殺すまたは阻害するのに有用である。抗真菌薬はかつては表在性真菌感染症ならびに日和見性および原発性全身性真菌感染症を治療した。抗寄生生物薬は寄生生物を殺すまたは阻害する。
【0065】
ヒト投与に有用な殺寄生生物薬とも称される抗寄生生物薬の例は、アルベンダゾール、アンホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、クロロキンHCl、リン酸クロロキン、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート、エフロールニチン、フラゾリダオン(furazolidaone)、グルココルチコイド、ハロファントリン、ヨードキノール、アイバメクチン、メベンダゾール、メフロキン、メグルミンアンチモニエート、メラルソプロール、メトリホナート、メトロニダゾール、ニクロサミド、ニフルチモックス、オキサムニキン、パロモマイシン、ペンタミジンイセチオネート、ピペラジン、プラジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル、パモ酸ピランテル、ピリメタンミン(pyrimethanmine)スルホンアミド類、ピリメタンミンスルファドキシン、キナクリンHCl、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトプリムスルファメトキサゾール、およびトリパルサミドを含むが、これらに限定されず、これらのうちのいくつかは単独でまたは他と組み合わせて使用される。
【0066】
抗細菌薬は細菌の成長または機能を殺すまたは阻害する。抗細菌薬の大きなクラスは抗生物質である。抗生物質は、広範囲の細菌を殺すまたは阻害するのに有効であり、広域抗生物質と称される。他の種類の抗生物質は、グラム陽性またはグラム陰性のクラスの細菌に対して主に有効である。これらの種類の抗生物質は狭域抗生物質と称される。他の抗生物質は、他の種類の細菌に対してではなく単一の生物または疾患に対して有効であり、限定抗生物質と称される。抗細菌薬は、それらの本来の作用機序に基づいて分類されることがある。通常、抗細菌薬は、細胞壁合成阻害薬、細胞膜阻害薬、タンパク質合成阻害薬、核酸合成または核酸機能阻害薬、および競合的阻害薬である。
【0067】
抗ウイルス薬は、ウイルスによる細胞の感染または細胞内でのウイルスの複製を予防する化合物である。ウイルス複製のプロセスが宿主細胞内でのDNA複製と非常に密接に関係し、非特異的抗ウイルス薬は宿主に有毒であることが多いであろうといった理由から、抗ウイルス薬は抗細菌薬よりもずっと少ない。ウイルス感染のプロセス内には、抗ウイルス薬によりブロックするまたは阻害することができるいくつかの段階がある。これらの段階は、宿主細胞へのウイルスの付着(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱外被(たとえばアマンタジン)、ウイルスmRNAの合成または翻訳(たとえばインターフェロン)、ウイルスRNAまたはDNAの複製(たとえばヌクレオチド類似体)、新しいウイルスタンパク質の成熟(たとえばプロテアーゼ阻害薬)、およびウイルスの発芽および放出を含む。
【0068】
ヌクレオチド類似体は、ヌクレオチドに類似するが、不完全なまたは異常なデオキシリボース基またはリボース基を有する合成化合物である。ヌクレオチド類似体が細胞中にあると、それらはリン酸化されて、ウイルスDNAまたはRNA中への取込みについて正常ヌクレオチドと競合する三リン酸形態が生産される。ヌクレオチド類似体の三リン酸形態が成長している核酸鎖中に組み込まれると、三リン酸形態は、ウイルスポリメラーゼとの不可逆的会合、そしてそれによる連鎖停止の原因となる。ヌクレオチド類似体は、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの治療に使用される)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの治療に有用)、イドクスウリジン、リバビリン(呼吸器合胞体ウイルスの治療に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジドブジン(アジドチミジン)、イミキモッド、ならびにレシキモッドを含むが、これらに限定されない。
【0069】
インターフェロンは、ウイルス感染細胞および免疫細胞により分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上の特異的な受容体に結合することにより機能し、その細胞をウイルスによる感染から保護する細胞における変化を引き起こす。αおよびβ−インターフェロンはまた、感染細胞の表面上におけるクラスIおよびクラスIIMHC分子の発現を誘発し、宿主免疫細胞認識のための抗原提示の増加をももたらす。αおよびβ−インターフェロンは、組換え形態として入手可能であり、慢性B型肝炎感染および慢性C型肝炎感染の治療に使用されている。抗ウイルス療法に有効な投与量では、インターフェロンは、発熱、倦怠感、および体重減少等の重篤な副作用を有する。
【0070】
本発明における有用な抗ウイルス薬は、免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオチド類似体、およびプロテアーゼ阻害薬を含むが、これらに限定されない。抗ウイルス薬の特定の例は、アセマンナン、アシクロビル、アシクロビルナトリウム、アデホビル、アロブジン、アルビルセプトスドトックス(Alvircept Sudotox)、塩酸アマンタジン、アラノチン、アリルドン、メシル酸アテビルジン(Atevirdine Mesylate)、アブリジン、シドホビル、シパムフィリン、塩酸シタラビン、メシル酸デラビルジン、デスシクロビル、ジダノシン、ジソキサリル、エドクスジン、エンビラデン、エンビロキシム、ファムシクロビル、塩酸ファモチン、フィアシタビン、フィアルリジン、ホサリラート、ホスカルネトナトリウム、ホスホネトナトリウム、ガンシクロビル、ガンシクロビルナトリウム、イドクスウリジン、ケトキサール、ラミブジン、ロブカビル、塩酸メモチン、メチサゾン、ネビラピン、ペンシクロビル、ピロダビル、リバビリン、塩酸リマンタジン、メシル酸サキナビル、塩酸ソマンタジン(Somantadine Hydrochloride)、ソリブジン、スタトロン、スタブジン、塩酸チロロン、トリフルリジン、塩酸バラシクロビル、ビダラビン、リン酸ビダラビン(Vidarabine Phosphate)、ビダラビンリン酸ナトリウム(Vidarabine Sodium Phosphate)、ビロキシム、ザルシタビン、ジドブジン、およびジンビロキシムを含むが、これらに限定されない。
【0071】
抗真菌薬は、伝染性真菌の治療および予防に有用である。抗真菌薬は、それらの作用メカニズムにより分類されることがある。いくつかの抗真菌薬は、グルコース合成酵素を阻害することにより細胞壁阻害薬として機能する。これらは、バシウンギン(basiungin)/ECBを含むが、これに限定されない。他の抗真菌薬は、膜の完全性を不安定化することにより機能する。これらは、クロトリマゾール、セルタコンゾール(sertaconzole)、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、およびボリコナコール(voriconacole)等のイミダゾールならびにFK463、アンホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラディマイシン、UK292、ブテナフィン、およびテルビナフィンを含むが、これらに限定されない。他の抗真菌薬は、キチンの分解(たとえばキチナーゼ)または免疫抑制(501クリーム)により機能する。
【0072】
本発明のssORNはまた抗癌療法と共に投与されてもよい。抗癌療法は、癌薬物、放射線、および外科的処置を含む。本明細書中に使用されるように、「癌薬物」は、癌を治療する目的で対象に投与される作用物質を指す。本明細書中に使用されるように、「癌を治療すること」は、癌の発症を予防すること、癌の症状を緩和すること、および/または確立された癌の成長を阻害することを含む。他の態様では、癌薬物は、癌を発症する危険性を緩和する目的で、癌を発症する危険性を有する対象に投与される。癌の治療のための様々な種類の薬物が本明細書中に記載される。本明細書のために、癌薬物は、化学療法薬、免疫療法薬、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物学的応答調節剤として分類される。
【0073】
化学療法薬は、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、非糖含有クロロエチルニトロソ尿素類(non−sugar containing chloroethylnitrosoureas)、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラギリン(fragyline)、メグラミンGLA(Meglamine GLA)、バルルビシン、カルムスタイン(carmustaine)およびポリフェルポサン(poliferposan)、MM1270、BAY12−9566、RASファルネシル転移酵素阻害薬、ファルネシル転移酵素阻害薬、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール(Lometexol)、グラモレク(Glamolec)、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、バルスポダール/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン(Mitroxantrone)、メタレット(Metaret)/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、インセル(Incel)/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット(Marmistat)、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP2202、FK317、ピシバニール/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロマイド、エバセット(Evacet)/リポソームドキソルビシン、ユータキサン(Yewtaxan)/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、ゼローダ/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス(Cyclopax)/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RAS癌遺伝子阻害薬、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフール/ウラシル)、エルガミゾール/レバミゾール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミゾール、カンプトサー/イリノテカン、ツモデックス(Tumodex)/ラルチトレキセド、ロイスタチン/クラドリビン、パキセックス(Paxex)/パクリタキセル、ドキシル/リポソームドキソルビシン、カエリックス(Caelyx)/リポソームドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン(Pharmarubicin)/エピルビシン、DepoCyt、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド(Naphtalimide)、LU103793/ドラスタチン、カエチックス(Caetyx)/リポソームドキソルビシン、ジェムザール/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメッド(Anormed)、YM116、ヨウ素シード、CDK4およびCDK2阻害薬、PARP阻害薬、D4809/デキシフォサミド(Dexifosamide)、イフェス(Ifes)/メスネックス/イフォスアミド、ブモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール(Plantinol)/シスプラチン、ベプシド/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサン類似体、ニトロソ尿素類、メルフェランおよびシクロホスファミド等のアルキル化薬、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シタラビンHCI、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、リン酸エストラムスチンナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスウリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、イホスファミド、インターフェロンアルファ−2a、アルファ−2b、酢酸ロイプロリド(LHRH放出因子類似体)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトタン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレオチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、ミトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビス−グアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、ならびに硫酸ビンデシンからなる群から選択されてもよいが、そのように限定されない。
【0074】
免疫療法薬は、リブタキシン(Ributaxin)、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス(Panorex)、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム(Oncolym)、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス、ベキサール、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット(Pretarget)、NovoMAb−G2、TNT、グリオマブ(Gliomab)−H、GNI−250、EMD−72000、LymphoCide、CMA676、モノファーム(Monopharm)−C、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10 Ab、SMART ABL 364 Ab、およびImmuRAIT−CEAからなる群から選択されてもよいが、そのように限定されない。
【0075】
癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド抱合ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLテラトープ、BLP25(MUC−1)、リポソームイディオタイプワクチン、メラシン、ペプチド抗原ワクチン、毒素/抗原ワクチン、MVAベースワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISCウイルス、ならびにImmuCyst/TheraCysからなる群から選択されてもよいが、そのように限定されない。
【0076】
本発明のssORNは、喘息/アレルギー薬物と共に対象に投与されてもよい。本明細書中に使用される「喘息/アレルギー薬物」は、喘息またはアレルギー反応の症状を緩和する、発症を予防する、または阻害するものの組成物である。喘息およびアレルギーの治療のための様々な種類の薬物は、the Guidelines For The Diagnosis and Management of Asthma,Expert Panel Report 2,NIH Publication No.97/4051,July 19,1997中に記載され、その全内容が参照により本明細書中に組み込まれる。NIH publicationに記載される薬物の概要を以下に示す。ほとんどの実施形態では、喘息/アレルギー薬物は、喘息およびアレルギーの両方に対してある程度まで有用である。
【0077】
喘息の治療のための薬品は、急速軽減薬品および長期制御薬品の2つのカテゴリーに通常分けられる。喘息患者は、持続性喘息の制御を達成し、維持するために、長期制御薬品を毎日服用する。長期制御薬品は、コルチコステロイド類、クロモリンナトリウム、およびネドクロミル等の抗炎症薬、長時間作用性β−作用薬およびメチルキサンチン類等の長時間作用性気管支拡張薬、ならびにロイコトリエン調節剤を含む。急速軽減薬品は、短時間作用性β作用薬、抗コリン作動薬、および全身性コルチコステロイド類を含む。これらの薬剤のそれぞれと関連する多くの副作用があり、薬剤のうちのどれも、単独でもまたは組み合わせても、喘息を予防するまたは完全に治療することができない。
【0078】
喘息薬物は、PDE−4阻害薬、気管支拡張薬/ベータ−2作用薬、K+チャネル開口薬、VLA−4拮抗薬、ニューロキン拮抗薬、トロンボキサンA2(TXA2)合成阻害薬、キサンチン、アラキドン酸拮抗薬、5リポキシゲナーゼ阻害薬、TXA2受容体拮抗薬、TXA2拮抗薬、5−リポックス(5−lipox)活性化タンパク質の阻害薬、およびプロテアーゼ阻害薬を含むが、これらに限定されない。
【0079】
気管支拡張薬/β作用薬は、気管支拡張または平滑筋弛緩を引き起こす化合物の1つのクラスである。気管支拡張薬/β作用薬は、サルメテロール、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、D2522/ホルモテロール、フェノテロール、ビトルテロール、ピルブエロール(pirbuerol)メチルキサンチン、およびオルシプレナリンを含むが、これらに限定されない。長時間作用性β作用薬および気管支拡張薬は、抗炎症療法に加えて症状の長期予防に使用される化合物である。長時間作用性β作用薬は、サルメテロールおよびアルブテロールを含むが、これらに限定されない。これらの化合物は、コルチコステロイド類と組み合わせて普通使用され、炎症療法が何らなければ通常使用されない。それら化合物は、頻脈、骨格筋振戦、低カリウム血症、および過量投与でのQTc間隔の延長等の副作用と関連している。
【0080】
たとえばテオフィリンを含むメチルキサンチン類は、症状の長期制御および予防に使用されてきた。これらの化合物は、ホスホジエステラーゼ阻害およびおそらくアデノシン拮抗作用に起因する気管支拡張の原因となる。用量関連の急性毒性がこれらの種類の化合物の特有の問題である。結果として、代謝クリアランスにおける個人差から起こる毒性および狭い治療域を明らかにするために、日常の血清濃度を監視しなければならない。副作用は、頻脈、頻脈性不整脈、吐き気および嘔吐、中枢神経系刺激、頭痛、発作、吐血、高血糖症、ならびに低カリウム血症を含む。短時間作用性β作用薬は、アルブテロール、ビトルテロール、ピルブテロール、およびテルブタリンを含むが、これらに限定されない。短時間作用性β作用薬の投与と関連するいくつかの有害作用は、頻脈、骨格筋振戦、低カリウム血症、乳酸の増加、頭痛、および高血糖症を含む。
【0081】
アレルギーを治療するまたは予防するための従来の方法は、抗ヒスタミン薬または脱感作療法の使用を伴った。アレルギー反応の化学伝達物質の影響をブロックする抗ヒスタミン薬および他の薬剤は、アレルギー症状の重症度を調節するのに役立つが、アレルギー反応を予防せず、続くアレルギー応答に対する効果を有していない。脱感作療法は、アレルゲンに対するIgG型応答を誘発するために、少用量のアレルゲンを、普通皮下注射により与えることにより実行される。IgG抗体の存在は、IgE抗体の誘発に起因する伝達物質の生産を中和するのに役立つと考えられる。最初、対象は、重篤な反応を誘発するのを回避するために、非常に低用量のアレルゲンで治療され、用量を徐々に増加させる。この種類の療法は、対象が、アレルギー応答を引き起こす化合物を実際に投与され、重篤なアレルギー反応が結果として生じ得るので、危険である。
【0082】
アレルギー薬物は、抗ヒスタミン薬、ステロイド類、およびプロスタグランジン誘発剤を含むが、これらに限定されない。抗ヒスタミン薬は、肥満細胞または好塩基球により放出されるヒスタミンに反作用する化合物である。これらの化合物は、当技術分野でよく知られており、アレルギーの治療に一般に使用される。抗ヒスタミン薬は、アステミゾール、アゼラスチン、ベータタスチン(betatastine)、ブクリジン、セチリジン、セチリジン類似体、CS560、デスロラタジン、エバスチン、エピナスチン、フェキソフェナジン、HSR609、レボカバスチン、ロラチジン、ミゾラスチン、ノルアステミゾール、テルフェナジン、およびトラニラストを含むが、これらに限定されない。
【0083】
プロスタグランジン誘発剤は、プロスタグランジン活性を誘発する化合物である。プロスタグランジンは、平滑筋弛緩を調節することにより機能する。プロスタグランジン誘発剤は、S−5751を含むが、これに限定されない。
【0084】
喘息/アレルギー薬物はまた、ステロイド類および免疫調節薬も含む。ステロイド類は、ベクロメタゾン、フルチカゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、コルチコステロイド類、およびブデソニドを含むが、これらに限定されない。
【0085】
コルチコステロイド類は、ジプロピオン酸ベクロメサゾン(beclomethasome dipropionate)、ブデソニド、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、およびトリアムシノロンアセトニドを含むが、これらに限定されない。デキサメタゾンは、抗炎症作用を有するコルチコステロイドであるが、デキサメタゾンは高度に吸収され、有効用量で長期抑制性の副作用を有するので、喘息/アレルギーの治療のために吸入形態で普通は使用されない。しかしながら、デキサメタゾンは、本発明の核酸と組み合わせて投与される場合、副作用を緩和するよう低用量で投与することができるので、喘息/アレルギーの治療のために本発明に従って使用することができる。コルチコステロイドと関連するいくつかの副作用は、咳、発声障害、鵞口瘡(カンジダ症)、ならびにより高用量では、副腎抑制、骨粗鬆症、成長抑制、皮膚菲薄化、および容易に紫斑を生じる等の全身作用を含む。Barnes&Peterson(1993)Am Rev Respir Dis 148:S1−S26およびKamada AKら(1996)Am J Respir Crit Care Med 153:1739−48。
【0086】
全身性コルチコステロイド類は、メチルプレドニソロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾンを含むが、これらに限定されない。コルチコステロイド類は、グルコース代謝、食欲亢進、体液貯留、体重増加、気分変動、高血圧症、消化性潰瘍、および無腐性骨壊死における可逆的な異常と関連する。これらの化合物は、不適当に制御された持続性喘息における炎症反応の短期(3〜10日)予防に有用である。これらの化合物はまた、重篤な持続性喘息における症状の長期予防において、炎症を抑制し、制御し、実際に後退させるためにも機能する。より長期の使用と関連するいくつかの副作用は、副腎軸の抑制、成長抑制、真皮の菲薄化、高血圧症、糖尿病、クッシング症候群、白内障、筋力低下、およびまれな例では免疫機能障害を含む。これらの種類の化合物はそれらの最低の有効用量で使用されることが勧められる(guidelines for the diagnosis and management of asthma;expert panel report to;NIH Publication No.97−4051;July 1997)。
【0087】
免疫調節薬は、抗炎症薬、ロイコトリエン拮抗薬、IL−4ムテイン、可溶性IL−4受容体、免疫抑制薬(寛容化するペプチドワクチン等)、抗IL−4抗体、IL−4拮抗薬、抗IL−5抗体、可溶性IL−13受容体−Fc融合タンパク質、抗IL−9抗体、CCR3拮抗薬、CCR5拮抗薬、VLA−4阻害薬、およびIgEのダウンレギュレーターからなる群を含むが、これらに限定されない。
【0088】
ロイコトリエン調節剤は、軽度の持続性喘息における症状の長期制御および予防のために使用されることが多い。ロイコトリエン調節剤は、LTD−4受容体およびLTE−4受容体と選択的に競合することにより、ロイコトリエン受容体拮抗薬として機能する。これらの化合物は、ザフィルルーカスト錠剤およびジロートン錠剤を含むが、これらに限定されない。ジロートン錠剤は、5−リポキシゲナーゼ阻害薬として機能する。これらの薬剤は、肝酵素の上昇ならびに可逆的な肝炎および高ビリルビン血症のいくつかの症例と関連する。ロイコトリエンは、肥満細胞、イノシネオフィル、および好塩基球から放出され、喘息を有する患者の気道において気道平滑筋の収縮を引き起こし、血管透過性、粘液分泌を増加させ、炎症細胞を活性化する生化学的伝達物質である。
【0089】
他の免疫調節薬は、免疫調節特性を有することが示された神経ペプチドを含む。機能的研究は、P物質が、たとえば、特異的受容体媒介性メカニズムによるリンパ球機能に影響を及ぼし得ることを示した。P物質はまた、粘膜の肥満細胞からのアラキドン酸誘導性伝達物質の産生を刺激することにより、別の即時型過敏症応答を調整することも示された。McGillies Jら(1987)Fed Proc 46:196−9(1987)。P物質は、1931年に初めて同定された神経ペプチドである。Von EulerおよびGaddum J Physiol(London)72:74−87(1931)。そのアミノ酸配列は、1971年にChangらにより報告された。Chang MMら(1971)Nature New Biol 232:86−87。P物質の断片の免疫調節活性は、Siemion IZら(1990)Molec Immunol 27:887−890(1990)により研究された。
【0090】
他のクラスの化合物は、IgEのダウンレギュレーターである。これらの化合物は、IgE受容体に結合する能力を有するペプチドまたは他の分子を含み、それによって抗原特異的IgEの結合を予防する。IgEの他の種類のダウンレギュレーターは、ヒトIgE分子のIgE受容体結合領域に対して指向性のモノクローナル抗体である。したがって、IgEのある種類のダウンレギュレーターは、抗IgE抗体または抗体断片である。抗IgEはGenentech社により開発されている。当業者は、同一の機能を有する結合ペプチドの機能的に活性な抗体断片を調製することができる。他の種類のIgEダウンレギュレーターは、細胞表面上のFc受容体に対するIgE抗体の結合をブロックするおよびIgEが既に結合している結合部位からIgEを退去させることができるポリペプチドである。
【0091】
IgEのダウンレギュレーターと関連する1つの問題は、多くの分子が、自然のままのIgE分子およびその受容体の間の非常に強い相互作用に相当する、受容体に対する結合強度を有していないということである。この強度を有する分子は受容体に不可逆的に結合する傾向がある。しかしながら、上記物質は、体内の他の構造的に類似する分子に共有結合して、ブロックすることができるので、比較的有毒である。この背景において興味があるのは、IgE受容体のα鎖が、たとえば数個の異なるIgG Fc受容体が含有される、より大きな遺伝子ファミリーに属するということである。これらの受容体は、たとえば細菌感染に対する体の防御にとって絶対的に不可欠である。共有結合のために活性化された分子は、さらに、比較的不安定であることが多く、したがって、それら分子は、肥満細胞および好塩基白血球上のIgE受容体の継続的に再生されるプールを完全にブロックすることを可能にするために、1日に数回、そのうえ比較的高濃度でたいてい投与されなければならない。
【0092】
クロモリンナトリウムおよびネドクロミルは、運動から起こる喘息症状をまたはアレルゲンから起こるアレルギー症状を主に予防するために長期制御薬品として使用される。これらの化合物は、クロライドチャネル機能を妨害することによりアレルゲンに対する早期反応および遅延反応をブロックすると考えられる。それら化合物はまた、肥満細胞膜を安定化し、イノシネオフィルおよび上皮細胞からの伝達物質の活性化および放出を阻害する。4〜6週間の投与の期間が最大の利益を達成するために通常必要とされる。
【0093】
抗コリン薬は、急性気管支痙攣の軽減に通常使用される。これらの化合物は、ムスカリン性コリン受容体の競合的阻害により機能すると考えられる。抗コリン薬は、臭化イプラトロピウムを含むが、これに限定されない。これらの化合物は、コリン媒介性の気管支痙攣のみを後退させ、抗原に対するいかなる反応をも修飾しない。副作用は、口および呼吸器の分泌物の乾燥、何人かの個人における喘鳴の増加、ならびに眼中に噴霧された場合のかすみ目を含む。
【0094】
in vitroおよびin vivoでのそれら化合物の使用のために、本発明のssORNは有効量で通常使用される。本明細書中に使用されるように、有効量は、所望の生物学的効果を達成するのに十分である任意の量を通常指す。一実施形態では、有効量は臨床的に有効な量であり、臨床的に有効な量は、疾患を有する対象を治療するのに十分である任意の量である。本明細書中に使用されるように、治療および治療することは、疾患を有するまたは有する危険性のある対象における疾患の少なくとも1つの徴候または症状を緩和する、除去する、または予防することを指す。本明細書中に使用されるように、対象は、ヒトまたは他の哺乳動物を指す。
【0095】
本明細書中に提供される教示と組み合わせて、様々な活性化合物の中から選択し、効力、相対的生物学的利用能、患者体重、有害副作用の重症度、および投与の好ましいモード等の因子を考察することにより、実質的な毒性を引き起こさず、さらに、特定の対象を治療するのに有効である、有効な予防的または治療的な治療レジメンを計画することができる。任意の特定用途に対する有効量は、治療されている疾患もしくは状態、投与されている特定のssORN、対象の大きさ、または疾患もしくは状態の重症度のような因子に依存して変動し得る。当業者は、必要以上の実験法を要することなく、特定のssORNおよび/または他の治療薬の有効量を経験的に決定することができる。最大用量、すなわちいくつかの医学的判断に従った最も高度な安全用量が使用されることが通常好ましい。1日当たり複数回の用量が、化合物の適切な全身レベルを達成するために企図されてもよい。適切な全身レベルは、たとえば患者の薬剤の最高または持続血漿レベルの測定により決定することができる。「用量」および「投与量」は、本明細書中において区別なく使用される。
【0096】
通常、活性化合物の日々の経口用量は、1日当たり約0.01ミリグラム/kgから1日当たり1000ミリグラム/kgまでであろう。0.5〜50ミリグラム/kgの範囲での経口用量は、1日当たり1回または数回の投与で所望の結果をもたらすであろうということが期待される。投与量は、局所性または全身性の所望の薬剤レベルを達成するために、投与のモードに依存して適切に調整されてもよい。たとえば、静脈内投与は、1日当たり一桁から数桁低い用量であろうということが期待される。対象における応答が上記用量で不十分な場合、さらに高度な用量(またはより局所的な異なる送達経路による有効なより高度な用量)が患者の耐性が許す程度まで利用されてもよい。1日当たり複数回の用量が、化合物の適切な全身レベルを達成するために企図される。
【0097】
本明細書中に記載される任意の化合物については、治療的有効量は、動物モデルから最初に決定することができる。治療的有効用量はまた、ヒトにおいて試験されたssORNについてのおよび他の関係する活性剤等の類似する薬理活性を示すことで知られている化合物についてのヒトデータから決定することもできる。より高度な用量は、非経口投与のために必要とされてもよい。適用用量は、投与された化合物の相対的生物学的利用能および効力に基づいて調整することができる。上記に記載される方法および当技術分野でよく知られている他の方法に基づき最大の効能を達成するために用量を調整することは、当業者の能力の範囲内に十分にある。
【0098】
細胞中へのssORNの送達を促進するために、ssORNは、任意選択により、カチオン脂質と共に提供する、製剤する、またはその他の場合では組み合わせることができる。一実施形態では、上記カチオン脂質はDOTAPである。
【0099】
療法における使用のために、有効量のssORNは、所望の表面にssORNを送達する任意の形態により対象に投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、当業者に知られている任意の手段により成し遂げられてもよい。投与の好ましい経路は、経口、非経口、筋肉内、鼻腔内、舌下、気管内、吸入、眼、膣、および直腸を含むが、これらに限定されない。
【0100】
本発明のssORNは、ベクターの支援を伴って、特定の組織、細胞型にもしくは免疫系にまたは両方に送達されてもよい。その最も広い意味では、「ベクター」は、標的細胞への組成物の移行を容易にすることができる任意の媒体である。ベクターは、ベクターの非存在において結果として生じるであろう分解の程度に比べて分解が緩和された状態で、ssORN、抗体、抗原、および/または障害特異的薬物を標的細胞に通常輸送する。
【0101】
通常、本発明において有用なベクターは、2つのクラス、生物学的ベクターおよび化学的/物理的ベクターに分類される。生物学的ベクターおよび化学的/物理的ベクターは、本発明の治療薬の送達および/または取込みに有用である。
【0102】
本明細書中に使用されるように、「化学的/物理的ベクター」は、細菌学的な源またはウイルス源に由来するもの以外の、ssORNおよび/または他の薬物を送達することができる天然分子または合成分子を指す。
【0103】
本発明の好ましい化学的/物理的ベクターはコロイド分散系である。コロイド分散系は、水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系を含む。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、in vivoまたはin vitroでの送達ベクターとして有用である人工膜器である。大型単層小胞(LUV)は、大きさが0.2〜4.0μmに及び、大きな巨大分子をカプセル化することができることが示されている。RNA、DNA、および完全ウイルス粒子は水性内部内にカプセル化され、生物学的に活性な形態で細胞に送達することができる。Fraleyら(1981)Trends Biochem Sci 6:77。
【0104】
リポソームは、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質等の特異的リガンドにリポソームをつなぐことにより、特定の組織を標的として送り込まれてよい。リポソームを免疫細胞を標的として送り込むのに有用である可能性のあるリガンドは、次のものを含むが、これらに限定されない:免疫細胞特異的受容体と相互作用する分子の完全体または断片および免疫細胞の細胞表面マーカーと相互作用する、抗体等の分子。上記リガンドは、当業者によく知られている結合アッセイにより容易に同定することができる。さらに他の実施形態では、リポソームは、前に説明した免疫療法の抗体のうちの1つにリポソームをつなぐことにより、癌を標的に送り込まれてもよい。さらに、ベクターは、核標的ペプチドにつながれてもよく、宿主細胞の核にベクターを向けるであろう。
【0105】
移入のための脂質製剤は、たとえば、EFFECTENE(商標)(特有のDNA凝縮エンハンサーを有する非リポソーム脂質)およびSUPERFECT(商標)(新規な活性型デンドリマー技術)としてQIAGEN社から市販で入手可能である。
【0106】
リポソームは、たとえばLIPOFECTIN(商標)およびLIPOFECTACE(商標)として、Gibco BRL社から市販で入手可能であり、これらは、N−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチル塩化アンモニウム(DOTMA)および臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDAB)等のカチオン脂質から形成される。リポソームを作製するための方法は、当技術分野でよく知られており、多くの刊行物中に記載されている。リポソームはまた、Gregoriadis G(1985)Trends Biotechnol 3:235−241によっても概説されている。
【0107】
一実施形態では、媒体は、哺乳動物レシピエントへの移植または投与に適した生体適合性の微小粒子または移植片である。この方法で用いるのに有用である例示的な生浸食性移植片は、「Polymeric Gene Delivery System」と題する公開国際出願WO95/24929に記載されている。WO95/24929は、適切なプロモーターの制御下の外来性遺伝子を含有するための生体適合性で、好ましくは生分解性のポリマーマトリックスを記載している。ポリマーマトリックスは、対象における治療薬の持続放出を達成するために使用することができる。
【0108】
ポリマーマトリックスは、好ましくは、微粒子等の微小粒子(核酸および/または他の治療薬は固体ポリマーマトリックスの全体にわたって分散される)またはマイクロカプセル(核酸および/または他の治療薬はポリマーシェルのコア中に貯蔵される)の形態をしている。治療薬を含有するためのポリマーマトリックスの他の形態は、フィルム、コーティング、ゲル、移植片、およびステントを含む。ポリマーマトリックス装置の大きさおよび組成は、マトリックスが導入される組織における好都合な放出動態をもたらすよう選択される。ポリマーマトリックスの大きさは、使用されることになる送達の方法、典型的には組織への注射またはエアロゾルによる鼻のおよび/もしくは肺のエリアへの懸濁剤の投与に従ってさらに選択される。好ましくは、エアロゾル経路が使用される場合、ポリマーマトリックスならびに核酸および/または他の治療薬は界面活性剤の媒体中に包含される。ポリマーマトリックス組成は、好都合な分解速度を有するのみならず、生体接着性である材料からさらに形成され、マトリックスが、傷害を負った鼻のおよび/または肺の表面に投与される場合に、移行の有効性をさらに増加させるように選択することができる。マトリックス組成はまた、分解するのではなく、長期間にわたり拡散により放出するよう選択することもできる。いくつかの好ましい実施形態では、核酸は、移植片を介して対象に投与され、一方、他の治療薬は急性的に投与される。経口送達または粘膜送達等の送達に適している生体適合性微粒子は、Chickeringら(1996)Biotech Bioeng 52:96−101およびMathiowitz Eら(1997)Nature 386:410−414およびPCT特許出願WO97/03702中に開示されている。
【0109】
非生分解性および生分解性ポリマーマトリックスは、核酸および/または他の治療薬を対象に送達するために使用することができる。生分解性マトリックスが好ましい。上記ポリマーは、天然または合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、通常数時間から1年、またはそれよりも長い、放出が所望される時間に基づいて選択される。典型的に、数時間および3〜12か月の間の範囲の期間にわたる放出が、特に核酸薬については最も望ましい。ポリマーは任意選択により、水中でその重量の約90%まで吸収することができ、かつ多原子価イオンまたは他のポリマーとさらに任意選択により架橋しているヒドロゲルの形態をしている。
【0110】
特に興味のある生体接着性ポリマーは、H.S.Sawhney、C.P.Pathak、およびJ.A.HubellによりMacromolecules、(1993)26:581−587中に記載されている生浸食性ヒドロゲルを含み、その教示は本明細書中に組み込まれている。これらは、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリアンヒドリド、ポリアクリル酸、アルギン酸、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、およびポリ(アクリル酸オクタデシル)を含む。
【0111】
コンパクション剤の使用もまた望ましい可能性がある。コンパクション剤はまた、単独でまたは生物学的もしくは化学的/物理的ベクターと組み合わせて使用することもできる。「コンパクション剤」は、本明細書中に使用されるように、ヒストン等の作用物質を指し、核酸上の負電荷を中和し、それによって、細粒中への核酸のコンパクションを可能にする。核酸のコンパクションは標的細胞による核酸の取込みを容易にする。コンパクション剤は、単独で、つまり細胞によりより効率的に取込まれる形態で核酸を送達するために使用することができ、または、より好ましくは、1つまたは複数の上記ベクターと組み合わせて使用することができる。
【0112】
核酸の取込みを容易にするために使用することができる他の例示的な組成物は、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学伝達物質、微量注射組成物、電気穿孔法および相同組換えの組成物(たとえば標的細胞染色体内の予め選択された位置に核酸を組み込むための)を含む。
【0113】
化合物は、単独で(たとえば食塩水もしくは緩衝液中で)または当技術分野で知られている任意の送達ベクターを使用して投与されてもよい。たとえば、以下の送達媒体が記載されている:蝸牛状物(cochleate)(Gould−Fogeriteら,1994,1996);エマルソーム(Emulsome)(Vancottら,1998,Lowellら,1997);ISCOM(Mowatら,1993,Carlssonら,1991,Huら,1998,Moreinら,1999);リポソーム(Childersら,1999,Michalekら,1989,1992,de Haan 1995a,1995b);生細菌ベクター(たとえばサルモネラ菌、大腸菌、カルメットゲラン桿菌、赤痢菌、乳酸桿菌)(Honeら,1996,Pouwelsら,1998,Chatfieldら,1993,Stoverら,1991,Nugentら,1998);生ウイルスベクター(たとえばワクシニア、アデノウイルス、単純ヘルペス)(Gallichanら,1993,1995,Mossら,1996,Nugentら,1998,Flexnerら,1988,Morrowら,1999);微粒子(Guptaら,1998,Jonesら,1996,Maloyら,1994,Mooreら,1995,O’Haganら,1994,Eldridgeら,1989);核酸ワクチン(Fynanら,1993,Kuklinら,1997,Sasakiら,1998,Okadaら,1997,Ishiiら,1997);ポリマー(たとえばカルボキシメチルセルロース、キトサン)(Hamajimaら,1998,Jabbal−Gillら,1998);ポリマー環(Wyattら,1998);プロテオソーム(Vancottら,1998,Lowellら,1988,1996,1997);フッ化ナトリウム(Hashiら,1998);トランスジェニック植物(Tacketら,1998,Masonら,1998,Haqら,1995);ビロソーム(Gluckら,1992,Mengiardiら,1995,Cryzら,1998);およびウイルス様粒子(Jiangら,1999,Leiblら,1998)。
【0114】
本発明の製剤は、薬学的に許容できる溶液中において投与され、この溶液は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝薬、防腐薬、適合性のある担体、アジュバント、および任意選択により他の治療的要素を慣例的に含有していてもよい。
【0115】
薬学的に許容できる担体という用語は、ヒトまたは他の脊椎動物の投与に適している1つまたは複数の適合性のある固体もしくは液体の増量剤、希釈剤、またはカプセル化物質を意味する。担体という用語は、活性要素が適用を容易にするよう組み合わせられる天然または合成の有機または無機の要素を示す。医薬組成物の成分はまた、所望の医薬品効率を実質的に損なうであろう相互作用がないような様式で、本発明の化合物とおよび互いに混ぜ合わせることもできる。
【0116】
経口投与については、化合物(つまりssORNおよび任意選択により他の治療薬)は、当技術分野でよく知られている薬学的に許容できる担体と活性化合物(複数可)を組み合わせることにより容易に製剤することができる。上記担体は、治療されることになる対象による経口摂取のために、錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ剤、スラリー、および懸濁剤等として本発明の化合物を製剤することを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固体賦形剤として得ることができ、任意選択により結果としての混合物を粉砕し、適した佐剤を追加した後に顆粒の混合物を加工して、所望の場合に、錠剤または糖剤コアを得ることができる。適した賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;たとえば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、バレイショデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)等のセルロース調製物等の増量剤である。所望の場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム等のその塩等の崩壊剤が追加されてもよい。任意選択により、経口製剤はまた、内部酸性状態の中和のために、食塩水または緩衝液、たとえばEDTA中に製剤されてもよく、またはいかなる担体もなしで投与されてもよい。
【0117】
上記の成分(複数可)の経口剤形もまた特に企図される。成分(複数可)は、誘導体の経口送達が効果的となるように、化学的に修飾されてもよい。通常、企図される化学修飾は、成分分子自体への少なくとも1つの部分の付着であり、上述の部分は、(a)タンパク質分解の阻害および(b)胃または腸からの血流中への取込みを可能にする。成分(複数可)の全体的な安定性の増加および体内の循環時間の増加もまた所望される。上記部分の例は、次のものを含む:ポリエチレングリコール、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ならびにポリプロリン。Enzymes as Drugs,HocenbergおよびRoberts編,Wiley−Interscience,New York,NY,pp.367−383中のAbuchowskiおよびDavis,1981,「Soluble Polymer−Enzyme Adducts」;Newmarkら,1982,J.Appl.Biochem.4:185−189。使用することができる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカン(tioxocane)である。ポリエチレングリコール部分は、上記に示されるように、医薬品の用法にとって好ましい。
【0118】
成分(または誘導体)については、放出の位置は、胃、小腸(十二指腸、空腸、もしくは回腸)、または大腸であってもよい。当業者は、胃で溶解しないであろうが、十二指腸または腸における他のところで材料を放出するであろう入手可能な製剤を有している。好ましくは、放出は、ssORN(もしくは誘導体)の保護によりまたは腸において等の胃環境を越えたところへの生物学的活性材料の放出により胃環境の有害性の作用を回避するであろう。
【0119】
完全な胃抵抗性を確実にするために、少なくともpH5.0に対して不浸透性のコーティングは不可欠である。腸溶コーティングとして使用されるより共通した不活性要素の例は、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、HPMCP50、HPMCP55、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、オイドラギット(Eudragit)L30D、アクアテリック(Aquateric)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、オイドラギットL、オイドラギットS、およびシェラックである。これらのコーティングは混合フィルムとして使用されてもよい。
【0120】
コーティングまたはコーティングの混合物はまた、錠剤にも使用することができ、胃からの保護を意図されない。これは、錠剤を飲み込むのを容易にする糖コーティングまたはコーティングを含むことができる。カプセル剤は、乾燥した治療用物質、つまり散剤の送達のための硬シェル(ゼラチン等)からなってもよい;液剤形態については、軟ゼラチンシェルが使用されてもよい。カシェ剤のシェル材料は、厚いデンプンまたは他の食用紙とすることができる。丸剤、ロゼンジ、湿製錠剤、または擦り込み錠剤については、湿塊技術(moist massing technique)を使用することができる。
【0121】
治療用物質は、約1mmの粒径の顆粒またはペレットの形態で細い多微粒子として製剤中に含むことができる。カプセル剤投与のための材料の製剤はまた、散剤、軽く圧縮したプラグ、または錠剤とすることもできる。治療用物質は、圧縮により調製することができる。
【0122】
着色剤および香料はすべて含まれていてもよい。たとえば、ssORN(または誘導体)は、製剤され(リポソームカプセル化または微粒子カプセル化により等)、次いで、着色剤および香料を含有する冷蔵飲料等の食用産物内にさらに含有されてもよい。
【0123】
治療用物質の容量を不活性材料で希釈するまたは増加させてもよい。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、修飾デキストラン、およびデンプンを含むことができる。ある種の無機塩類もまた、カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウム、および塩化ナトリウムを含む増量剤として使用されてもよい。いくつかの市販で入手可能な希釈剤は、Fast−Flo、エムデックス(Emdex)、STA−Rx1500、エンコンプレス(Emcompress)、およびアビセル(Avicell)である。
【0124】
崩壊剤は、固体剤形への治療用物質の製剤中に含まれてもよい。崩壊するように使用される材料は、デンプンをベースとした市販の崩壊剤であるエキスプロタブを含むデンプンを含むが、これに限定されない。グリコール酸デンプンナトリウム、アンバーライト、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然海綿、およびベントナイトはすべて使用されてもよい。崩壊剤の他の形態は不溶性カチオン交換樹脂である。粉末ガムは、崩壊剤としておよび結合剤として使用されてもよく、これらは、寒天、カラヤ、またはトラガカント等の粉末ガムを含むことができる。アルギン酸およびそのナトリウム塩もまた崩壊剤として有用である。
【0125】
結合剤は、硬錠剤を形成するよう治療薬を共に保持するよう使用されてもよく、アカシア、トラガカント、デンプン、およびゼラチン等の天然産物からの材料を含んでいてもよい。他のものは、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。ポリビニルピロリドン(PVP)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、治療用物質を顆粒化するためにアルコール溶液中に共に使用することができる。
【0126】
抗摩擦剤は、製剤プロセス中の固着を予防するために、治療用物質の製剤中に含まれていてもよい。潤滑剤は、治療用物質および型壁の間の層として使用されてもよく、これらは、次のものを含むことができるが、これらに限定されない;そのマグネシウム塩およびカルシウム塩を含むステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油、およびワックス。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、カーボワックス4000および6000等の可溶性潤滑剤もまた使用されてもよい。
【0127】
製剤中の薬剤の流動特性を改善する可能性のあるおよび圧縮中の再配列を支援するための滑剤を追加してもよい。滑剤は、デンプン、タルク、発熱性シリカ、およびアルミノケイ酸水和物を含んでいてもよい。
【0128】
水性環境中への治療用物質の溶解を支援するために、界面活性剤を湿潤剤として追加してもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルサクシネートスルホン酸ナトリウム、およびジオクチルスルホン酸ナトリウム等のアニオン洗浄剤を含んでいてもよい。カチオン洗浄剤は使用されてもよく、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムを含むことができる。界面活性剤として製剤に含むことができると考えられる非イオン洗浄剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50、および60、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート40、60、65、および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、ssORNまたは誘導体の製剤中に単独でまたは異なる比率で混合物として存在することができる。
【0129】
経口的に使用することができる医薬調製物は、ゼラチンから作製されたプッシュフィットカプセル剤ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤から作製された軟密閉カプセル剤を含む。プッシュフィットカプセル剤は、ラクトース等の増量剤、デンプン等の結合剤、および/またはタルクまたはマグネシウムステアレート等の潤滑剤、ならびに任意選択により安定剤と混合して、活性要素を含有することができる。軟カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の適した液体中に溶解または懸濁されてもよい。さらに、安定剤を追加してもよい。経口投与のために製剤された微粒子もまた使用されてもよい。上記微粒子は、当技術分野で十分に定義されている。経口投与のためのすべての製剤は上記投与に適している投与量とするべきである。
【0130】
口内投与については、組成物は、従来の様式で製剤された錠剤またはロゼンジの形態を取ってもよい。
【0131】
吸入による投与については、本発明による使用のための化合物は、適した噴射剤、たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適したガスの使用と共に、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾル噴霧で与えられる形態で好都合に送達されてもよい。加圧エアロゾルの場合には投与量単位は、計量した量を送達するためのバルブを提供することにより決定されてもよい。たとえば、吸入器または注入器中での使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、製剤されて、化合物の粉末配合物およびラクトースまたはデンプン等の適した粉末ベースを含有していてもよい。
【0132】
ssORN(またはその誘導体)の肺送達もまた本明細書中において企図される。ssORN(または誘導体)は、吸入されながら哺乳動物の肺に送達され、肺上皮内層を横切って血流へ横断する。吸入分子についての他の報告は、Adjeiら,1990,Pharmaceutical Research,7:565−569;Adjeiら,1990,International Journal of Pharmaceutics,63:135−144(酢酸ロイプロリド);Braquetら,1989,Journal of Cardiovascular Pharmacology,13(suppl.5):143−146(エンドセリン−1);Hubbardら,1989,Annals of Internal Medicine,111:206−212(アルファ1−アンチトリプシン);Smithら,1989,J.Clin.Invest.84:1145−1146(a−1−プロテイナーゼ);Osweinら,1990,「Aerosolization of Proteins」,Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II,Keystone,Colorado,March,(組換えヒト成長ホルモン);Debsら,1988,J.Immunol.140:3482−3488(インターフェロン−ガンマおよび腫瘍壊死因子アルファ)およびPlatzら,米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を含む。全身作用のための薬剤の肺送達のための方法および組成物は、1995年9月19日にWongらに発行された米国特許第5,451,569号中に記載されている。
【0133】
治療産物の肺送達のために設計された広範囲の機械的装置は本発明の実施における使用のために企図され、噴霧器、計量用量吸入器、および粉末吸入器を含むが、これらに限定されず、これらのすべてに当業者は精通している。
【0134】
本発明の実施に適している市販で入手可能な装置のいくつかの特定の例は、Mallinckrodt,Inc.、St.Louis、Missouriにより製造されたUltravent噴霧器;Marquest Medical Products、Englewood、Coloradoにより製造されたAcornII噴霧器;Glaxo Inc.、Research Triangle Park、North Carolinaにより製造されたVentolin計量用量吸入器;およびFisons Corp.、Bedford、Massachusettsにより製造されたSpinhaler粉末吸入器である。
【0135】
上記装置はすべて、ssORN(または誘導体)の分注に適した製剤の使用を必要とする。典型的に、各製剤は、利用される装置の種類に特異的であり、療法に有用な普通の希釈剤、アジュバント、および/または担体の他に、適切な噴射剤材料の使用を伴ってもよい。さらに、リポソーム、マイクロカプセルもしくは微粒子、包接複合体、または他の種類の担体の使用が企図される。化学的修飾ssORNもまた、化学修飾の種類または利用される装置の種類に依存して異なる製剤中に調製されてもよい。
【0136】
噴射または超音波のいずれかの噴霧器での使用に適した製剤は、溶液1mL当たり約0.1〜25mgの生物学的活性ssORNの濃度で水中に溶解したssORN(または誘導体)を典型的に備えるであろう。製剤はまた、緩衝液および単糖(たとえばssORN安定化および浸透圧の調節のための)も含んでいてもよい。噴霧器製剤はまた、エアロゾルの形成における溶液の噴霧化により引き起こされるssORNの表面誘発性の凝集を緩和するまたは予防するために界面活性剤も含有していてもよい。
【0137】
計量用量吸入器装置での使用のための製剤は、界面活性剤の支援により噴射剤中に懸濁されたssORN(または誘導体)を含有する細かく分割された粉末を通常備えるであろう。噴射剤は、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、または炭化水素等のこの目的のために利用される任意の従来の材料であってもよく、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン、またはそれらの組合せを含む。適した界面活性剤は、ソルビタントリオレエートおよびソーヤレシチンを含む。オレイン酸もまた界面活性剤として有用である可能性がある。
【0138】
粉末吸入器装置から分注するための製剤は、ssORN(または誘導体)を含有する細かく分割された乾燥粉末を備えるであろう、そして、製剤はまた、装置からの粉末の散布を容易にする量、たとえば製剤の重量の50〜90%で、ラクトース、ソルビトール、スクロース、またはマンニトール等の充填剤も含んでいてもよい。ssORN(または誘導体)は、遠位の肺への最も有効な送達のために、10μm(ミクロン)未満、最も好ましくは0.5〜5μmの平均粒径を有する微粒子の形態で最も有利に調製されるべきである。
【0139】
本発明の医薬組成物の鼻送達もまた企図される。鼻送達は、肺における産物の蓄積の必要性がなければ、治療産物を鼻へ投与した後、本発明の医薬組成物の血流への直接的な通過を可能にする。鼻送達のための製剤は、デキストランまたはシクロデキストランを有する製剤を含む。
【0140】
鼻投与については、有用な装置は、計量用量噴霧器が付加されている小さな硬いボトルである。一実施形態では、計量用量は、確定された容量のチャンバー中に本発明の溶液の医薬組成物を引き込むことにより送達され、チャンバーは、エアロゾル化するための寸法の口径およびチャンバー中の液体が圧縮された場合の噴霧の形成によるエアロゾル製剤を有する。チャンバーは、本発明の医薬組成物を投与するために圧縮される。特定の実施形態では、チャンバーはピストン機構である。上記装置は市販で入手可能である。
【0141】
あるいは、絞り出された場合に噴霧を形成することによりエアロゾル製剤をエアロゾル化するための寸法の口径または開口部を有するプラスチック絞り出しボトルが使用される。開口部は、ボトルの先端に普通提供され、先端は、エアロゾル製剤の効率的な投与のために鼻通路に部分的にフィットするために通常先細になっている。好ましくは、鼻吸入器は、正確に測った用量の薬剤の投与のために、計量された量のエアロゾル製剤を提供するであろう。
【0142】
化合物は、全身に送達することが望ましい場合、注射による、たとえば大量注射または継続注入による非経口投与のために製剤されてもよい。注射のための製剤は、単位剤形で、たとえばアンプル中または複数用量容器中に、追加された防腐薬と共に与えられてもよい。組成物は、油性または水性媒体中で、懸濁剤、水剤、または乳剤のような形態を取ってもよく、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散剤等の調合剤を含有していてもよい。
【0143】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態での活性化合物の水性水剤を含む。さらに、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注射懸濁剤として調製されてもよい。適した親油性の溶媒または媒体は、ゴマ油等の脂肪油またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステルまたはリポソームを含む。水性注射懸濁剤は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン等の、懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有していてもよい。懸濁剤はまた、高度に濃縮された溶液の調製を考慮に入れるために化合物の溶解性を増加させる適した安定剤または作用物質を任意選択により含有していてもよい。
【0144】
あるいは、活性化合物は、使用前に、適した媒体、たとえば発熱性物質なしの滅菌水との構成のための粉末形態であってもよい。
【0145】
化合物はまた、たとえばカカオバターまたは他のグリセリド等の従来の坐剤基剤を含有する坐剤または保持浣腸剤等の直腸組成物または膣組成物中に製剤されてもよい。
【0146】
前に記載した製剤の他に、化合物はまた、デポ調製物として製剤されてもよい。上記長期作用性製剤は、適したポリマーのもしくは疎水性の材料(たとえば許容できる油中の乳剤として)もしくはイオン交換樹脂と、またはわずかに可溶性の誘導体として、たとえばわずかに可溶性の塩として製剤されてもよい。
【0147】
医薬組成物はまた、適した固体相もしくはゲル相の担体または賦形剤を備えていてもよい。上記担体または賦形剤の例は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコール等のポリマーを含むが、これらに限定されない。
【0148】
適した液体または固体の医薬調製物形態は、たとえば、吸入のための水性または塩性の水剤、マイクロカプセル化、蝸牛状物化(encochleated)、微視的金粒子上へのコーティング、リポソーム中への含有、霧状、エアロゾル、皮膚中への移植のためのペレット、または、皮膚中に引っ掻き入れるための鋭い物体上への乾燥である。医薬組成物はまた、顆粒、散剤、錠剤、コーティング錠、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、クリーム剤、滴剤、または遅延性放出の活性化合物を有する調製物も含み、これらの調製物では、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、膨潤剤、潤滑剤、矯味剤、甘味料、または可溶化剤等の賦形剤および添加剤および/または佐剤は上記に記載されるように慣習的に使用される。医薬組成物は、様々な薬剤送達システムでの使用に適している。薬剤送達のための方法の簡単な概説については、本明細書中に参照により組み込まれるLanger,Science 249:1527−1533,1990を参照されたい。
【0149】
ssORNおよび任意選択により他の治療用物質は、それ自体で(純粋)または薬学的に許容できる塩の形態で投与されてもよい。医薬で使用される場合、塩は、薬学的に許容できるものとするべきであるが、非薬学的に許容できる塩は、それらの薬学的に許容できる塩を調製するために好都合に使用されてもよい。上記塩は、以下の酸から調製されたものを含むが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸、ナフタリン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。さらに、上記塩は、カルボン酸群のナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩等のアルカリ金属塩またはアルカリ土類塩として調製することができる。
【0150】
適した緩衝薬は次のものを含む:酢酸および塩(1〜2重量/容量%)、クエン酸および塩(1〜3重量/容量%)、ホウ酸および塩(0.5〜2.5重量/容量%)、ならびにリン酸および塩(0.8〜2重量/容量%)。適した防腐薬は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03重量/容量%)、クロロブタノール(0.3〜0.9重量/容量%)、パラベン(0.01〜0.25重量/容量%)、およびチメロサール(0.004〜0.02重量/容量%)を含む。
【0151】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる担体中に含まれる有効量のssORNおよび任意選択により1つまたは複数の追加の治療薬を含有する。
【0152】
ssORNを特に含むが、これに限定されない治療薬(複数可)は、粒子中に提供されてもよい。本明細書中に使用される粒子は、本明細書中に記載されるssORNまたは他の治療薬(複数可)から全体的にまたは部分的になり得るナノ粒子または微小粒子(またはいくつかの例ではより大きい)を意味する。粒子は、腸溶コーティングを含むが、これに限定されないコーティングに包囲されたコア中に治療薬(複数可)を含有していてもよい。治療薬(複数可)はまた、粒子の全体にわたって分散していてもよい。治療薬(複数可)はまた、粒子中に吸着されていてもよい。粒子は、ゼロ次放出、1次放出、2次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、およびそれらの任意の組合せ等を含む任意の順序の放出動態であってもよい。粒子は、治療薬(複数可)の他に、薬学および医学の当技術分野で慣例的に使用される任意のそれらの材料を含んでいてもよく、浸食性、非浸食性、生分解性、もしくは非生分解性の材料またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されない。粒子は、溶液または半固体状態中にssORNを含有するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、事実上任意の形状であってもよい。
【0153】
非生分解性および生分解性のポリマー材料の両方は、治療薬(複数可)の送達のための粒子の製造に使用することができる。上記ポリマーは、天然または合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が所望される時間に基づいて選択される。特に興味のある生体接着性ポリマーは、H.S.Sawhney、C.P.Pathak、およびJ.A.HubellによりMacromolecules、(1993)26:581−587中に記載される生浸食性ヒドロゲルを含み、その教示は本明細書中に組み込まれる。これらは、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリアンヒドリド、ポリアクリル酸、アルギン酸、キトサン、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、およびポリ(アクリル酸オクタデシル)を含む。
【0154】
治療薬(複数可)は制御放出系中に含有されていてもよい。用語「制御放出」は、製剤からの薬剤放出の様式およびプロファイルが制御される任意の薬剤含有製剤を指すことを意図する。これは、持続放出製剤および遅延放出製剤を含むが、これらに限定されない非即時放出製剤と共に、即時放出製剤および非即時放出製剤を指す。用語「持続放出」(「長期放出」とも称される)は、長期間にわたる薬剤の緩やかな放出を提供し、好ましくは、必ずではないが、長期間にわたり薬剤の実質的に一定の血中レベルをもたらす薬剤製剤を指すよう、その従来の意味で使用される。「遅延放出」という用語は、製剤の投与およびそれからの薬剤の放出の間に時間遅延がある薬剤製剤を指すようその従来の意味で使用される。「遅延放出」は、長期間にわたる薬剤の緩やかな放出を伴っていても、伴っていなくてもよく、したがって、「持続放出」であっても、なくてもよい。
【0155】
長期持続放出移植片の使用は慢性状態の治療に特に適している可能性がある。「長期」放出は、本明細書中に使用されるように、移植片が、少なくとも7日間、好ましくは30〜60日間、治療レベルの活性要素を送達するよう構築され、配置されることを意味する。長期持続放出移植片は、当業者によく知られており、上記に記載されるいくつかの放出系を含む。
【0156】
本発明は、以下の実施例によりさらに例示され、実施例は、さらに限定するものとして解釈されるべきでは決してない。本出願の全体にわたって引用されたすべての引用文の全内容(文献引用文、発行された特許、公開された特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)は参照により本明細書中に明確に組み込まれる。
【実施例】
【0157】
(実施例1)
一本鎖ホスホジエステルRNAのTLR7非依存性の認識
末梢血単核球を野性型マウスおよびTLR7−/−マウスから単離し、適した増殖培地中に移し、次いで、マルチウェル培養皿の個々のウェル中に別々に等分した。以下の作用物質を細胞の個々のウェルに追加した:RNA63 PD、5’−CAGGUCUGUGAU−3’(配列番号1)として提供されるヌクレオチド配列を有する一本鎖ORN、すべてヌクレオチド間連結は、ORNの3’末端におけるAおよびUの間のホスホロチオエート連結を除いてホスホジエステルである;RNA63 PTO、配列番号1と同一のヌクレオチド配列を有する一本鎖ORN、どのヌクレオチド間連結もホスホロチオエートである;CpG−ODN 1668、5’−TCCATGACGTTCCTGATGCT−3’(配列番号2)として提供されるヌクレオチド配列を有するオリゴデオキシヌクレオチド;DOTAPのみ;R−848;RNA63 PTOプラスDOTAP;RNA63 PDプラスDOTAP;および培地のみ。細胞を培養で24時間維持し、次いで、個々のウェルからの上清を収集し、IL−12p40に対して特異的な酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して分析した。結果を図2に示す。データを平均±SEMとして示す。
【0158】
図2に示されるように、RNA63 PDおよびRNA63 PTOの両方は、DOTAPと共に追加された場合、野性型細胞においてIL−12p40を誘発した。しかしながら、対照的に、RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、DOTAPと共に追加された場合、TLR7−/−細胞においてIL−12p40を誘発した。この後者の結果は、ホスホロチオエートバックボーンではなくホスホジエステルバックボーンを有する一本鎖ORNはTLR7非依存性の様式で免疫活性化を誘発するという見解を支持する。
【0159】
(実施例2)
RNA63 PDは、TLR7−/−マウスからのFLT3−L誘発性樹状細胞において、用量依存的な様式でIL−12p40を誘発し、IL−6およびIFN−αもまた誘発する
FLT3−L誘発性樹状細胞を野性型マウスおよびTLR7−/−マウスから調製し、種々の量のRNA63 PDまたはRNA63 PTOの存在下で、それぞれDOTAPと共に培養する。24時間の培養の後、上清を収集し、IL−12p40、IL−6、およびIFN−αについてELISAにより分析した。LPS、R−848、CpG−ODN 1668、CpG−ODN 2216(5’−GGGGGACGATCGTCGGGGG−3’、配列番号3)、DOTAPのみ、および培地のみを対照として実施した。結果を図3に示す。データを平均±SEMとして示す。
【0160】
図中に示されるように、RNA63 PDおよびRNA63 PTOの両方は、それぞれDOTAPの存在下で、著しい量のIL−12p40(図3A)、IL−6(図3B)、およびIFN−α(図3C)を野性型樹状細胞において誘発した。しかしながら、対照的に、RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、DOTAPと共に追加された場合、TLR7−/−樹状細胞において、IL−12p40を誘発し、それほど強くはなかったがIL−6およびIFN−αの両方を誘発した。TLR7−/−樹状細胞におけるRNA63 PDにより誘発されたIL−12p40の量は、RNA63 PDの濃度に比例して変動した。
【0161】
(実施例3)
RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、TLR7−/−マウスからのFLT3−L誘発性樹状細胞上にCD69を誘発する
FLT3−L誘発性樹状細胞を野性型マウスおよびTLR7−/−マウスから調製し、24時間、RNA63 PDまたはRNA63 PTOの存在下で、それぞれDOTAPと共に、実施例2におけるように培養した。24時間の培養の後、細胞を収集し、FACSによりCD69について分析した。結果を図4に示す。
【0162】
図4に示されるように、RNA63 PDおよびRNA63 PTOの両方は、それぞれDOTAPの存在下で、著しい量のCD69を野性型樹状細胞において誘発した(左2つのパネル)。しかしながら、対照的に、RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、DOTAPと共に追加された場合、TLR7−/−樹状細胞上でCD69を誘発した(右2つのパネル)。
【0163】
(実施例4)
RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、TLR7−/−マウスからのM−CSF誘導性マクロファージおよびGM−CSF誘導性樹状細胞においてIL−12p40を誘発する
M−CSF誘導性マクロファージおよびGM−CSF誘導性樹状細胞を野性型マウスおよびTLR7−/−マウスから調製し、24時間、RNA63 PDプラスDOTAP、RNA63 PTOプラスDOTAPの存在下で培養した。LPS、R−848、CpG−ODN 1668、CpG−ODN 2216、DOTAPのみ、または培地のみ。次いで、培養上清を収集し、ELISAを使用してIL−12p40について分析した。結果を図5に示す。データを平均±SEMとして示す。
【0164】
図5に示されるように、RNA63 PDおよびRNA63 PTOの両方は、それぞれDOTAPの存在下で、野性型マウスからのM−CSF誘導性マクロファージおよびGM−CSF誘導性樹状細胞の両方において著しい量のIL−12p40を誘発する。しかしながら、対照的に、RNA63 PTOではなくRNA63 PDは、DOTAPと共に追加された場合、TLR7−/−M−CSF誘導性マクロファージおよびTLR7−/−GM−CSF誘導性樹状細胞において著しい量のIL−12p40を誘発した。
【0165】
(実施例5)
一本鎖ホスホジエステルRNAのTLR7非依存性の認識はMyD88依存性である
FLT3−L誘発性樹状細胞を、野性型マウス、TLR7−/−マウス、およびMyD88−/−マウスから別々に調製し、24時間、RNA63 PDまたはRNA63 PTOの存在下で、それぞれDOTAPと共に、実施例2におけるように培養した。24時間の培養の後、細胞を収集し、IL−12p40についてはELISAによりおよびCD69についてはFACSにより分析した。結果を図6に示す。
【0166】
図6に示されるように、IL−12p40およびCD69の誘発は、MyD88−/−樹状細胞において、RNA63 PDについておよびRNA63 PTOについて同様に非存在であった。
【0167】
(実施例6)
ssRNA駆動性TLR7非依存性免疫刺激作用は、TLR9およびTLR8に依存性である
ssRNA駆動性TLR7非依存性免疫刺激作用はMyD88およびエンドソーム成熟に依存性であるので、他の細胞内TLRが関与することが仮定された。TLR3は、MyD88ではなくアダプタ分子TRIFに主に頼るので、ssRNAの認識についての候補になりそうにないように思われる(Hoebe,Duら 2003)。しかしながら、ssRNAに対する受容体としてTLR3を除外するために、TLR3欠損マウスおよびTLR7欠損マウスを交雑し、TLR3/TLR7二重欠損マウスを得、これらのマウスからの免疫細胞をssRNA刺激作用について試験した。これらの実験の結果は、TLR3/TLR7二重欠損FLT3−L誘発性DCにおけるRNA63駆動性のIL−12p40生産およびCD69アップレギュレーションはなお機能的であることを示し、TLR7非依存性の様式でのssRNAの認識におけるTLR3の関与の欠如を示唆した。TLR7/TLR9二重欠損マウスもまた、RNA63認識におけるTLR9の関与を調査するために産生した。興味深いことには、TLR7/TLR9二重欠損GM−CSF誘導性DCおよび選別されたmDCは、IL−12p40を生産せずかつCD69をアップレギュレートせず、TLR7非依存性様式でのssRNAの認識におけるTLR9の関与を示唆した。全体として、これらのデータは、TLR9が、ssRNAに交差反応性であり、ssRNAの免疫刺激作用を媒介するということを示唆する。
【0168】
(実施例7)
ホスホジエステルssRNAの認識におけるTLR9の役割
PD ssRNAの認識におけるTLR9の役割をさらに調査するために、PTOバックボーンと共に合成した場合にネズミ細胞において活性でいないとして以前に記載された(Heil,Hemmiら 2004)RNA41(5’−GCCCGACAGAAGAGAGACAC−3;配列番号4)およびRNA42(5’−ACCCAUCUAUUAUAUAACUC−3;配列番号5)等の様々なRNA配列を合成した。PTOバックボーンまたはPDバックボーンを有するORNの刺激性の性能を比較すると、RNA41 PDおよびRNA42 PDは、ネズミ細胞において、IL−12p40、IL−6、およびIFN−αをTLR7非依存的に刺激し、ヒトPBMCにおいてTNF−αを刺激する(IFN−αは刺激しない)のに対して、対応するPTO修飾ORNは不活性であることが観察された。興味深いことには、野性型mDC、TLR7欠損mDC、またはTLR9欠損mDCがRNA41 PDおよびRNA42 PDで刺激された場合、TLR9欠損細胞は、IL−12p40を生産せず、TLR7ではなくTLR9が、非G/UリッチssRNA分子の認識において関与することを示唆した。対照的に、GUリッチRNA40(5’−GCCCGUCUGUUGUGUGACUC−3;配列番号6)は、TLR7単一欠損細胞およびTLR9単一欠損細胞においていくらかのIL−12p40を誘発し、TLR7またはTLR9がssRNA受容体として機能することができることを示唆した。pDCは、GUリッチRNAをTLR7依存的に認識したが、驚いたことに、TLR7単一欠損細胞またはTLR9単一欠損細胞は反応しなかったけれども、非GUリッチORN RNA41およびRNA42もまた野性型細胞により認識され、TLR7/TLR9複合体が非GUリッチRNAの認識において関与することを示唆した。
【0169】
(実施例8)
ホスホジエステルssRNAの認識におけるTLR8の役割
mTLR8特異的siRNAを使用して、TLR8がssRNAの認識において関与していることを実証した。野性型FLT3−L誘発性DCを、TLR8特異的siRNAまたはeGFPに対する対照siRNAと共に処理し、CpG−ODN、RNA40 PD、RNA41 PD、およびRNA42 PDで刺激した。mTLR8特異的siRNA処理細胞は、RNA41およびRNA42の刺激作用の際のIL−12分泌において75%または50%の低下をそれぞれ示した。RNA40駆動性免疫刺激作用はmTLR7に極めて依存性であるので、RNA40刺激作用はmTLR8特異的siRNAにより影響を及ぼされなかった。対照eGFP特異的siRNAはIL−12生産に阻害効果を有さず、IL−12値は、非siRNA移入細胞の刺激作用と一致した。TLR7非依存性ssRNA駆動性免疫刺激作用へのTLR8の関与をさらに評価するために、TLR7欠損FLT3−L誘発性DCにmTLR8特異的siRNAまたはeGFP特異的siRNAを移入し、RNA63誘発性IL−12p40生産を定量した。mTLR8特異的siRNAで処理したDCは、IL−12p40生産における強い低下およびCD40等の活性化マーカーのダウンレギュレーションを示したのに対して、eGFP特異的siRNAは効果を有していなかった。RNA63駆動性免疫活性化の低下は、mTLR8 RNAのsiRNA駆動性ダウンレギュレーションと相互に関連した。まとめると、これらのデータは、TLR8がssRNAの認識において関与することを実証する。
【0170】
(実施例9)
TLR8/TLR9ヘテロ二量体はssRNA認識を媒介する
TLR8およびTLR9はssRNAの認識において関与するので、両方の受容体が協力し、ssRNA認識を媒介するために複合体を形成するかどうかを調査した。タグ付きTLRのHEK293細胞中への移入、続く免疫沈降およびウエスタンブロットにより、TLR8フラグはmTLR9−HAと関連することが示され、その逆も成立したのに対して、細胞内TLR3およびTLR9は相互作用しなかった。
【0171】
均等物
前述の明細書は、当業者が本発明を実施することを可能にするのに十分であると考えられる。実施例は、本発明の一態様のただ1つの例証として意図され、他の機能的に等価な実施形態は本発明の範囲内にあるので、本発明は提供された実施例による範囲中に限定されるものではない。本明細書中に記載され、示されたものの他に、本発明の様々な修飾は、前述の記載から当業者に明らかになり、添付された請求項の範囲内に入るであろう。本発明の利点および目的は、本発明の各実施形態により必ずしも包含されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0172】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるTh1様免疫応答を誘発する方法であって、方法は、
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項2】
対象における抗原特異的応答を誘発する方法であって、方法は、
対象に抗原を投与するステップおよび
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項3】
癌を有する対象を治療する方法であって、方法は、
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項4】
感染症を有する対象を治療する方法であって、方法は、
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項5】
アレルギー状態を有する対象を治療する方法であって、方法は、
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項6】
喘息を有する対象を治療する方法であって、方法は、
有効量の5〜100のヌクレオチド長の免疫刺激性一本鎖オリゴリボヌクレオチド(ssORN)を対象に投与するステップを備え、免疫刺激性ssORNは、ホスホジエステルバックボーンを有し、かつ
(1)グアノシン(G)がない、または
(2)少なくとも1つのGを備えるヌクレオチド配列を備え、ただし、ヌクレオチド配列が少なくとも1つのGを備える場合、ヌクレオチド配列は、
(a)ウリジン(U)がなく、
(b)CpGモチーフXCGXがなく、式中、X、X、X、およびXはヌクレオチドであり、CGはシトシン(C)−グアニン(G)ジヌクレオチドであり、CGジヌクレオチドのCはメチル化されておらず、
ただし、免疫刺激性ssORNは、二本鎖リボ核酸(RNA)分子の一部分として存在しない方法。
【請求項7】
免疫刺激性ssORNは5〜40のヌクレオチド長である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
免疫刺激性ssORNは5〜20のヌクレオチド長である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
免疫刺激性ssORNは5〜12のヌクレオチド長である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
免疫刺激性ssORNは合成ssORNである請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
免疫刺激性ssORNは、ポリU、ポリG、ポリA、またはポリCからなる群から選択されるポリヌクレオチドではない請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
有効量の免疫刺激性ssORNの対象への投与は、有効量の免疫刺激性ssORNの対象への全身的投与である請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。

【図1】前で理解されたように、ある種のToll様受容体、それらのリガンド、およびそれらの細胞内シグナル伝達経路の特徴を表す略図である。MyD88は、核酸反応性Toll様受容体TLR7、TLR8、およびTLR9ならびに非核酸反応性Toll様受容体TLR2、TLR4、およびTLR5のためのアダプタタンパク質として表される。
【図2】一本鎖ホスホジエステルRNAのTLR7非依存性の認識を表すグラフである。PDはホスホジエステルバックボーンであり、PTOはホスホロチオエートバックボーンであり、WTは野性型である。RNA63は、5’−CAGGUCUGUGAU−3’(配列番号1)として提供されるヌクレオチド配列を有するオリゴリボヌクレオチドである。CpG−ODN 1668は、5’−TCCATGACGTTCCTGATGCT−3’(配列番号2)として提供されるヌクレオチド配列を有するオリゴデオキシヌクレオチドである。
【図3】様々な刺激に応じたFLT3−L誘発性樹状細胞(DC)による様々な示されたサイトカインの分泌を表す3つのグラフの群である。LPSはリポ多糖である。CpG−ODN 2216は、5’−GGGGGACGATCGTCGGGGG−3’(配列番号3)として提供されるヌクレオチド配列を有するオリゴデオキシヌクレオチドである。
【図4】示されたssORNに応じたFLT3−L誘発性樹状細胞上のCD69発現についてのFACS分析を表す一連の4つのグラフである。
【図5】示された刺激に応じたM−CSF誘導性マクロファージによるおよびGM−CSF誘導性樹状細胞によるIL−12p40分泌を表す一対のグラフである。
【図6A】示された刺激に応じた、野性型(WT)マウス、TLR7ノックアウト(TLR7−/−)マウス、およびMyD88ノックアウト(MyD88−/−)マウスからのFLT3−L誘発性樹状細胞のIL−12p40分泌を表すグラフである。pI:Cはポリイノシン:シチジンである。
【図6B】示された刺激に応じた、野性型(WT)マウス、TLR7ノックアウト(TLR7−/−)マウス、およびMyD88ノックアウト(MyD88−/−)マウスからのFLT3−L誘発性樹状細胞によるCD69発現についてのFACS分析を表す一連の3つのグラフである。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−503608(P2010−503608A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530665(P2008−530665)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004169
【国際公開番号】WO2007/088423
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508092912)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】