説明

ホスホノ−ペント−2−エン−1−イルヌクレオシド及び類似体

ウィルス感染及び/又は細胞増殖に関連する様々な医学的疾患を治療、予防又は改善するための化合物及び組成物を提供する。本明細書で提供される化合物は、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びそのエステルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(助成金情報)
本発明は、米国国立アレルギー感染症研究所/国立保健研究所によって授与された授与番号第5R37AI29164の下で政府支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願データ)
本願は、2005年4月1日に出願されたHostetlerらの「ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及び類似体」という名称の米国仮出願第60/667,740号の合衆国法典第35巻第119条(e)に基づき優先権を主張するものである。該仮出願の内容は、その全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【0003】
(分野)
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びそのエステルを本明細書で提供する。一実施態様において、該化合物は、生物活性ヌクレオチド及びその類似体のモノエステルである。別の実施態様において、本明細書で提供される化合物及び組成物を使用して、ウィルス感染及び細胞増殖に関連する様々な医学的疾患を治療、予防又は改善する方法を本明細書で提供する。
【背景技術】
【0004】
(背景)
ヌクレオシドホスホン酸は、抗ウィルス性、抗増殖性、及び様々な他の治療的利点を有することが長い間知られていた。これらの中には、例えばシドフォビル、環状シドフォビル、アデフォビル及びテノフォビル等の抗ウィルス性ヌクレオシドホスホン酸、並びにアジドチミジン(azidothymidine)(AZT)の5'-ホスホン酸塩及びメチレンホスホン酸塩、ガンシクロビル及びアシクロビル等がある。これらの化合物において、糖成分の5'-ヒドロキシル、又は完全糖成分を含有しない非環状ヌクレオシド(ガンシクロビル、ペンシクロビル、アシクロビル)におけるその同等物は、亜リン酸-炭素結合に置換される。ホスホン酸メチレンの場合は、メチレン基を、5'-ヒドロキシル又はその同等物に置換し、その炭素原子を、次に、ホスホン酸塩に共有結合させる。
【0005】
当該化合物は、抗ウィルス又は抗増殖性ヌクレオチドとして活性であり得る。細胞代謝に際して、2つのさらなるリン酸化が起こり、ヌクレオシド三リン酸の同等物を表すヌクレオシドホスホン酸二リン酸を形成する。抗ウィルス性ヌクレオシドホスホン酸二リン酸は、RNA又はDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素の選択的阻害剤である。すなわち、ウィルスポリメラーゼに対するそれらの阻害作用は、それらの哺乳類細胞DNAポリメラーゼα、β及びγ又は哺乳類RNAポリメラーゼの阻害の程度よりはるかに大きい。逆に、抗増殖性ヌクレオシドホスホン酸二リン酸は、癌細胞のDNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼを阻害し、正常細胞のDNAポリメラーゼ及びRNAポリメラーゼに対してはるかに低い選択性を示すことができる。ウィルス感染及び細胞増殖に関連する様々な疾患を治療するためのより毒性が低く、より効果的な薬剤が継続的に必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ホスホノーペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及び類似体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びその親油性エステルを本明細書で提供する。様々な疾病の治療用化合物及び組成物を使用する組成物並びに方法も提供する。一実施態様において、本明細書で提供される化合物及び組成物は抗ウィルス活性を有する。別の実施態様において、細胞増殖に関連する1以上の症状の治療、予防又は改善に有用である化合物及び組成物を本明細書で提供する。
【0008】
ある実施態様において、該化合物は、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びその医薬として許容し得る誘導体である。他の実施態様において、該化合物は、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシドの親油性エステルである。
一実施態様において、本明細書で提供される組成物及び方法に使用される化合物は、式IA又はIB、又はそれらの医薬として活性な誘導体を有する:
【化1】

(式中、Rは、水素、一価陽イオン又は親油性基であり、Bは、プリン塩基若しくはピリミジン塩基、又はその類似体である。)。
【0009】
本明細書に記載されている化合物の塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、溶媒和物、水和物及びプロドラッグを含む医薬として許容し得る誘導体をも提供する。本明細書で提供される化合物、及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物をさらに提供する。一実施態様において、医薬組成物は、単一用量の投与用に製剤される。 本明細書で提供される化合物及び組成物を使用する治療方法を提供する。本明細書で提供される化合物及び組成物を使用して、ウィルス感染及び細胞増殖に関連する疾病の1種以上の症状を治療、予防又は改善する方法を提供する。該方法を実施する際に、化合物、及び治療的有効濃度の化合物を含有する、治療有効量の化合物又は組成物を投与する。
【0010】
包装材料;本明細書で提供される化合物及び組成物を使用して、ウィルス感染又は細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状を治療、予防又は改善するのに有用である化合物又は組成物、化合物又は組成物が、ウィルス感染又は細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状を治療、予防又は改善するのに有用であることを示すラベル;を含む製造品を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(詳細な説明)
(A.定義)
特に指定のない限り、本明細書に用いられているすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって広く理解されているのと同じ意味を有する。すべての特許、出願、公開出願及び他の出版物は、その全体が引用により組み込まれている。本明細書の用語に複数の定義がある場合は、特に指定のない限り、本節における定義が優先される。
【0012】
本明細書に用いられている「ヌクレオシド塩基」という用語は、アデニン、チミン、シトシン、グアニン及びウラシル、並びにそれらの類似体を含む天然型及び非天然型のプリン塩基及びピリミジン塩基をさす。
ヌクレオシド塩基が、本明細書で提供される化合物を製造するために使用する反応条件下で望ましくない生成物を形成するように反応し得る1以上の官能基、例えばシトシン及びアデニンのアミノ基、並びにグアニンの2-アミノ基及び6-オキソ基である場合は、ヌクレオシドの化学で広く採用されている保護基を使用して当該官能基を封鎖することができる。例えば、アデニン及びシトシンのアミノ基をベンゾイルで保護することができ、グアニンの6-オキソ及び2-アミノ基をトリフェニルメチル(トリチル)基で保護することができる。当該保護基を導入し、後に除去する方法の選択は、関連技術分野の当業者によく知られている。
【0013】
本明細書に用いられている「親油性」又は「長鎖」という用語は、ホスホン酸に共有結合して、ホスホン酸モノエステルを形成すると、経口の生物学的利用能を高め、親ヌクレオシドホスホン酸に比べてヌクレオシドホスホン酸の活性を向上させる環状、分枝状又は直鎖状の化学基をさす。これらの親油性基としては、アルキル、アルコキシアルキル及びアルキルグリセリルが挙げられるが、それらに限定されない。一実施態様において、アルキル基は、8〜26個の炭素原子、又は8、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24個の炭素原子を含む、直鎖状又は分枝状の化学成分であり得る。
【0014】
「ヌクレオシドホスホン酸」及び「非環状ヌクレオシドホスホン酸」という用語は、例えば抗ウィルス、抗癌又は抗寄生虫剤として生物学的に活性であるホスホノメトキシアルキル又はホスホノ置換されたヌクレオシド誘導体の基をさす。
本明細書に用いられている「ヌクレオシドホスホン酸の親油性モノエステル」という用語は、親油性基が、エステル結合を介してヌクレオシドホスホン酸に共有結合している化合物をさす。
【0015】
本明細書に使用するように、化合物の医薬として許容し得る誘導体としては、その塩、エステル、エノールエーテル、エノールエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物又はプロドラッグが挙げられる。当業者であれば、当該誘導に関して既知の方法を使用して、当該誘導体を容易に調製することができる。生成された化合物を、動物又はヒトに対して実質的な毒性効果を伴わずに投与することができ、該化合物は医薬として活性であるか、又はプロドラッグである。医薬として許容し得る塩としては、これらに限定されないが:N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、アンモニア、ジエタノールアミン及び他のヒドロキシアルキルアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、プロカイン、N-ベンジルフェンチルアミン、1-パラ-クロロベンジル-2-ピロリジン-1'-イルメチル-ベンズイミダゾール、ジエチルアミン及び他のアルキルアミン、ピペラジン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン等の(ただし、それらに限定されない)アミン塩;リチウム、カリウム及びナトリウム等の(ただし、それらに限定されない)アルカリ金属塩;バリウム、カルシウム及びマグネシウム等の(ただし、それらに限定されない)アルカリ土類金属塩;亜鉛等の(ただし、それに限定されない)遷移金属塩;リン酸水素ナトリウム及びリン酸二ナトリウム等の(ただし、それらに限定されない)他の金属塩が挙げられ;また:硝酸塩、ホウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、塩素酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩及び硫酸塩等の(ただし、それらに限定されない)鉱酸塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、酪酸塩、吉草酸塩及びフマル酸塩等の(ただし、それらに限定されない)有機酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得るエステルとしては、これらに限定されないが:カルボン酸、リン酸、ホスフィン酸、スルホン酸、硫酸及びホウ酸を含むが、これらに限定されない酸性基のアルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得るエノールエーテルとしては、式C=C(OR)(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル及びシクロアルキルである)の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得るエノールエステルは、式C=C(OC(O)R)(式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル又はシクロアルキルである)の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。医薬として許容し得る溶媒和物及び水和物は、化合物と、1個以上の溶媒分子又は水分子、又は1から約100個、又は1から約10個、又は1から約2、3又は4個の溶媒分子又は水分子との錯体である。
【0016】
本明細書で使用するように、治療は、疾病又は疾患の1以上の症状を改善又は他の有利に改変する全ての方法を意味する。治療は、ウィルス感染及び細胞増殖性疾病又は疾患を治療するための使用等の、本明細書中の組成物の全ての医薬的使用をも包括する。
本明細書で使用するように、特定の化合物又は医薬組成物の投与による特定の疾患の症状の改善は、組成物の投与に起因又は関連し得る、永久的又は一時的な、全ての持続的又は一過的軽減を意味さす。
本明細書で使用するように、EC50は、特定の試験化合物によって誘導、誘発又は増強される特定の応答の最大の発現の50%の用量依存応答を引き出す特定の試験化合物の投与量、濃度又は量を意味さす。
【0017】
本明細書で使用するように、プロドラッグは、インビボ投与すると、1以上の工程又はプロセスによって代謝されるか、或いは化合物の生物、医薬又は治療活性形態に変換される化合物である。プロドラッグを製造するために、活性化合物を、それが代謝プロセスによって再生されるように改質する。薬剤の代謝安定性又は輸送特性を改変し、副作用又は毒性を封じ、薬剤の香味を向上させ、又は薬剤の他の特徴若しくは特性を改変するようにプロドラッグを設計することができる。薬力学的プロセス及びインビボの薬剤代謝の知識により、当業者は、医薬活性化合物を把握すれば、化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady の文献(1985)『医化学:生化学的アプローチ(Medicinal Chemistry A Biochemical Approach)』, Oxford University Press, New York, 388〜392頁を参照されたい)。本明細書で使用される他のプロドラッグは、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0018】
本明細書で提供される化合物は、キラル中心を含んでよいことは理解されたい。当該キラル中心は、(R)又は(S)構成のいずれかであってもよいし、それらの混合物であってもよい。したがって、本明細書で提供される化合物は、異性体として純粋であってもよく、立体異性混合物又はジアステレオ異性混合物であってもよい。本明細書で提供される化合物は、本明細書に記載されている有用な特性を保有する、本発明の化合物の任意のラセミ形態、光学活性形態、多型形態又は立体異性形態、或いはそれらの混合物を包括し、光学活性形態を調製する方法、及び本明細書に記載されている標準的な試験を用いる抗増殖活性測定方法、又は当該技術分野でよく知られている他の同様の試験を用いる抗増殖活性測定方法は、当該技術分野でよく知られていることが理解される。本明細書で提供される化合物の光学異性体を得るのに使用することができる方法の例としては、以下の方法が挙げられる:
i)結晶の物理的分離-個々の鏡像異性体の巨視的結晶を手作業で分離する技術。この技術は、個別的な鏡像異性体の結晶が存在する場合、すなわち材料が集成体であり、結晶が視覚的に区別される場合に用いることができる。
ii)同時結晶化-個々の鏡像異性体をラセミ体の溶液から個別に結晶化する技術で、後者が固体状態の集成体である場合にのみ可能である。
iii)酵素分解-鏡像異性体と酵素との反応の速度が異なることを利用して、ラセミ体を部分的又は完全に分離する技術。
iv)酵素的非対称合成-合成工程の少なくとも1つの工程が、酵素反応を用いて、所望の鏡像異性体の異性体として純粋な前駆体又は濃縮された合成先駆体を得る合成技術。
v)化学的非対称合成-生成物において非対称性(すなわちキラリティ)をもたらす条件下でアキラル先駆体から所望の鏡像異性体を合成する合成技術で、キラル触媒又はキラル助剤を使用して達成することができる。
vi)ジアステレオ異性体分離-ラセミ化合物を、個々の鏡像異性をジアステレオ異性体に変換する異性体として純粋である試薬(キラル助剤)と反応させる技術。次いで、それらの構造的な差がより明確になることを利用して、得られたジアステレオ異性体をクロマトグラフィー又は結晶化で分離した後にキラル助剤を除去して、所望の鏡像異性体を得る。
vii)一次的及び二次的な非対称的変換-ラセミ体からのジアステレオマーが平衡して、所望の鏡像異性体からのジアステレオ異性体が溶液中で優勢になる、又は最終的には、基本的に、すべての材料が所望の鏡像異性体から結晶性ジアステレオ異性体に変換されるように、所望の鏡像異性体からのジアステレオ異性体の優先的結晶化が該平衡を乱す技術。次いで、所望の鏡像異性体をジアステレオ異性体から放出させる。
viii)動力学的分解-この技術は、動力学的条件下での鏡像異性体と、キラル、非ラセミ試薬又は触媒との反応速度が不均等であることを利用して、ラセミ体の部分分解又は完全分解(又は部分分解した化合物のさらなる分解)を達成することを指す。
ix)非ラセミ先駆体からのエナンチオ特異的合成-所望の鏡像異性体を非キラル出発材料から得る合成技術であり、該合成の過程を通じて、立体化学的保全性は全くあるいはわずかしか損なわれない。
x)キラル液体クロマトグラフィー-ラセミ体の鏡像異性体を、それらの固定相との相互作用が異なることを利用して、液体移動相で分離する技術。固定相をキラル材料で構成するか、又は移動相がさらなるキラル材料を含有することで、異なる相互作用を誘発させることができる。
xi)キラルガスクロマトグラフィー-ラセミ体を揮発させ、気体移動相での固定された非ラセミキラル吸着相を含有するカラムと該ラセミ体との相互作用が異なることを利用して、鏡像異性体を分離する技術。
xii)キラル溶媒による抽出-1種の鏡像異性体が特定のキラル溶媒に優先的に溶解することを利用して、鏡像異性体を分離する技術。
xiii)キラル膜輸送-ラセミ体を薄膜隔壁と接触させて配置する技術。典型的には、隔壁が、一方がラセミ体を含有する2つの混和性流体を分離し、濃縮又は差圧等の駆動力により、膜隔壁での優先的な輸送を引き起こさせる。ラセミ体の1つの鏡像異性体のみを通過させる膜の非ラセミキラル特性の結果として、分離が生じる。
【0019】
本明細書で使用するように、実質的に純粋とは、当業者が当該純度を測定するのに用いる薄層クロマトグラフィー(thin layer chromatography)(TLC)、ゲルクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及び質量分析(MS)等の標準的な分析方法によって測定されるほど容易に検出可能な不純物が認められない程度に十分均質であること、又はさらなる精製によって、物質の酵素活性及び生物活性等の物理特性及び化学特性が検出可能なほど改変されないように十分に純粋であることを意味する。実質的に化学的に純粋な化合物を生成する化合物の生成方法は、当業者に知られている。しかし、実質的に化学的に純粋な化合物は、立体異性体の混合物であってもよい。そのような場合は、さらなる精製によって、化合物の特定の活性を増加させてよい。
【0020】
本明細書に用いられている「アルキル」という用語は、一価の直鎖状又は分枝鎖状、又は環状ラジカルをさす。ある実施態様において、アルキル基は、1から24個の炭素原子を含み、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、18-メチル-ノナデシル、及び19-メチル-エイコシル等を含む。本明細書で使用するように、低級アルキルは、1から6個の炭素原子からなるアルキル基をさす。
【0021】
本明細書で使用するように、「置換アルキル」は、引用により本明細書に組み込まれているGreeneらの文献、「有機合成における保護基」、John Wiley and Sons, 第2版, 1991に教示されているように、必要に応じて保護されていても、又は保護されていなくてもよい、低級アルキル、ヒドロキシ、(低級アルキル基の)アルコキシ、(低級アルキル基の)メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ニトロ、ニトロン、アミノ、アミド、ホルミル、アシル、オキシアシル、カルボキシ、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド及びスルフリルから選択される置換基を含むがそれらに限定されない1以上の置換基をさらに有するアルキル基をさす。
【0022】
本明細書で使用するように、「アルケニル」は、1個以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基をさす。ある実施態様において、アルケニル基は、2から24個の炭素原子を含み、「置換アルケニル」は、上記の1以上の置換基をさらに有するアルケニル基をさす。
本明細書で使用するように、「アルキニル」は、1個以上の炭素-炭素三重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素基をさす。ある実施態様において、アルキニル基は、2から24個の炭素原子を含み、「置換アルキニル」は、上記の1以上の置換基をさらに有するアルキニル基をさす。
【0023】
本明細書で使用するように、「アリール」は、6から14個の炭素原子を有する芳香族基をさし、「置換アリール」は、上記の1以上の置換基をさらに有するアリール基を意味さす。
本明細書で使用するように、「ヘテロアリール」は、環構造の一部として1以上のヘテロ原子(例えばN、O又はS等)を含み、かつ3から14個の炭素原子を有する芳香族基をさし、「置換ヘテロアリール」は、上記の1以上の置換基をさらに有するヘテロアリール基をさす。
【0024】
本明細書で使用するように、「被検体」は、患者等のヒトを含む哺乳類等の動物である。
本明細書で使用するように、「有効量」という語句は、ウィルス感染、細胞増殖及び/又は骨代謝に関連する疾病又は疾患の1以上の症状の予防、治療又は改善に必要な量を意味する。
所定の置換基の数が特定されていない場合(例えばハロアルキル)は、1以上の置換基が存在し得る。例えば、「ハロアルキル」は、1以上の同一又は異なるハロゲンを含み得る。
【0025】
本明細書に用いられている「非経口」という用語は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内又は硝子体内注射又は注入技術を含む。
「局所的に」という用語は、肛門投与及び吸入スプレーによる投与、並びに皮膚、及び口及び鼻の粘膜のより一般的な経路による投与、及び練り歯磨き粉による投与を包括する。
本明細書で使用するように、任意の保護基、アミノ酸及び他の化合物に対する略語は、特に指定のない限り、それらの一般的な使用法、公認の略語又はIUPAC-IUB協定生化学命名法に従っている((1972) Biochem. 11:942-944参照)。
【0026】
本明細書で使用するように、いくつかの略語を以下に記載する:
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルアデニン=PPen-A
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルシトシン=PPen-C
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルグアニン=PPen-G
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルチミン=PPen-T、及び
5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルウラシル=PPen-U、
ヘキサデシルオキシプロピル=HDP
オクタデシルオキシエチル=ODE
オレイルオキシエチル=OLE、及び
オレイルオキシプロピル=OLP。
【0027】
(B.化合物)
ある実施態様において、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びその親油性エステルを本明細書で提供する。一実施態様において、本明細書で提供される組成物及び方法に使用される化合物は、式IIA又はIIB、又はその医薬として活性な誘導体を有する:
【化2】

(式中、Rは、水素、一価陽イオン又は親油性基であり、Bは、プリン塩基若しくはピリミジン塩基、又はその類似体である。)。
【0028】
ある実施態様において、Rは、水素、一価陽イオン、置換又は非置換のC8〜C24アルキル、又は1から6個の二重結合を有する置換又は非置換のC8〜C24アルケニルであり、置換基は、存在する場合は1以上、一実施態様では1から4、別の実施態様では1、2又は3のハロゲン、アルキル、-OH、-SH、シクロアルキル及びエポキシドから選択され;或いはRは、アセチル、バリル、ジピボキシル、ビス(ピバロイルオキシメチル)又はジソプロキシルである。ある実施態様において、Rは、以下の式を有する:
【化3】

(式中、R1及びR1aは、それぞれ独立に、-H、-O(C1〜C24)アルキル、-O(C1〜C24)アルケニル、-O(C1〜C24)アシル、-S(C1〜C24)アルキル、-S(C1〜C24)アルケニル、又は-S(C1〜C24)アシルであり、式中R1及びR1aの少なくとも一方は、-Hでなく、かつアルケニル又はアシル成分は、任意に1から6個の二重結合を有し、
R2及びR2aは、それぞれ独立に、-H、-O(C1〜C7)アルキル、-O(C1〜C7)アルケニル、-S(C1〜C7)アルキル、-S(C1〜C7)アルケニル、-O(C1〜C7)アシル、-S(C1〜C7)アシル、-N(C1〜C7)アシル、-NH(C1〜C7)アルキル、-N((C1〜C7)アルキル)2、オキソ、ハロゲン、-NH2、-OH、又は-SHであり;
R6は、存在する場合は、
【化4】

であり;
L1は、原子価結合、又は式-J-(CR7R7a)t-G-の二官能性結合分子であり、式中tは、1から24の整数であり、J及びGは、独立に、-O-、-S-、-C(O)O-、又は-NH-であり、R7及びR7aは、それぞれ独立に、-H、置換又は非置換のアルキル、又はアルケニルであり;
mは、0から6の整数であり;
nは、0又は1であり;及び、式中、R1、R1a、R2、R2a、R7及びR7aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、擬ハロゲン、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立に選択される1から4の置換基、一実施態様では1、2又は3の置換基で場合によって置換されている。)。
【0029】
ある実施態様において、m=0、1又は2である。ある実施態様において、m=0又は1である。ある実施態様において、m=0である。ある実施態様において、m=1である。ある実施態様において、R2及びR2aは、Hである。
一実施態様において、本明細書で提供される化合物におけるアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、擬ハロゲン、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールから選択される1以上、一実施態様では1、2、3又は4以上の置換基で置換されている。
【0030】
ある実施態様において、Rは、式:
【化5】

(式中、R1、R1a、L1及びnは、本明細書の他の箇所で定義されている通りである)を有する。
【0031】
一実施態様において、Rは、式:
【化6】

(式中、R1、R1a、L1及びnは、本明細書の他の箇所で定義されている通りである)を有する。
【0032】
ある実施態様において、Rは、式:
【化7】

(式中、R1、R1a、L1及びnは、本明細書の他の箇所で定義されている通りである)を有する。
ある実施態様において、Rは、アセチル、バリル、ジピボキシル、ビス(ピバロイルオキシメチル)又はジソプロキシルである。任意に、ホスホン酸塩の両方の-OH成分を、先述の置換基で置換してもよい。
【0033】
一実施態様において、Rは、ヘキサデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシエチル又はオレイルオキシエチルである。
ある実施態様において、R1は、式-O-(CH2)t-CH3(式中、tは、0〜24である)を有するアルコキシ基である。他の実施態様において、tは、8、10、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である。他の実施態様において、tは、13、14、15、16、17、18、19又は20である。他の実施態様において、tは、15、16、17、18、19又は20である。他の実施態様において、tは、17、18、19又は20である。他の実施態様において、tは、15又は17である。
【0034】
いくつかの実施態様において、Rは、置換又は非置換のC8〜C24アルキル、1から6個の二重結合を有する置換又は非置換のC8〜C24アルケニル、又は1から6個の三重結合を有する置換又は非置換のC8〜C24アルキニルであり、置換基は、存在する場合は、1以上、一実施態様では1から4、別の実施態様では1、2又は3のハロゲン、アルキル、-ORw、-SRw、シクロアルキル又はエポキシドから選択され、Rwは、水素又はアルキルであり、及びアルキル、アルケニル、アルキニル基は、さらに置換されていても又は非置換であってもよい。
【0035】
ある実施態様において、Rは、8、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24個の炭素原子を含み、かつ直鎖状又は分枝鎖状成分であり得るアルキル、アルケニル及びアルキニル基から選択される。ある実施態様において、R基は、C16〜C23の直鎖又は分枝鎖アルキル、又はC16〜C23の直鎖又は分枝鎖アルケニルである。他の実施態様において、Rは、C17〜C19の直鎖又は分枝鎖アルキル、又はC17〜C19の直鎖又は分枝鎖アルケニルである。他の実施態様において、Rは、C17-アルキル、C18-アルキル又はC19-アルキルである。他の実施態様において、Rは、C17-アルケニル、C18-アルケニル又はC19-アルケニルである。他の実施態様において、Rは、C17〜C22のアルキルである。他の実施態様において、Rは、C17アルキル、C18アルキル、C19アルキル、C20アルキル、C21アルキル、又はC22アルキルである。
【0036】
他の実施態様において、Rは、低級アルキル及びハロから選択される1個以上、一実施態様では1から4個、他の実施態様では1、2、又は3個の基で置換されたC16〜C23アルキルである。ある実施態様において、Rは、1個以上、一実施態様では1から4個、他の実施態様では1、2又は3個のメチル基で置換されている。ある実施態様において、Rは、1個以上、一実施態様では1から4個、他の実施態様では1、2又は3個のフルオロ基で置換されている。ある実施態様において、Rは、C16〜C23アルキルであり、該アルキルは1個以上、一実施態様では1から4個、他の実施態様では1、2又は3個のメチル基又はフルオロ基で置換されている。ある実施態様において、メチル基又はフルオロ置換基は、アルキル、アルケニル又はアルキニル鎖の末位から二番目の炭素上に存在する。ある実施態様において、Rは、7-メチル-オクチル、8-メチル-ノニル、9-メチル-デシル、10-メチル-ウンデシル、11-メチル-ドデシル、12-メチル-トリデシル、13-メチル-テトラデシル、14-メチル-ペンタデシル、15-メチル-ヘキサデシル、16-メチル-ヘパデシル、17-メチル-オクタデシル、18-メチル-ノナデシル、19-メチル-エイコシル、20-メチル-ヘネイコシル、21-メチル-ドコシル、22-メチル-トリコシル、7-フルオロ-オクチル、8-フルオロ-ノニル、9-フルオロ-デシル、10-フルオロ-ウンデシル、11-フルオロ-ドデシル、12-フルオロ-トリドデシル、13-フルオロ-テトラデシル、14-フルオロ-ペンタデシル、15-フルオロ-ヘキサデシル、16-フルオロ-ヘプタデシル、17-フルオロ-オクタデシル、18-フルオロ-ノナデシル、19-フルオロ-エイコシル、20-フルオロ-ヘネイコシル、21-フルオロ-ドコシル又は22-フルオロ-トリコシルである。
【0037】
ある実施態様において、Bは、天然型又は非天然型のプリン塩基、又はピリミジン塩基から選択される。ある実施態様において、Bは以下の式である:
【化8】

(式中、R3は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、アリール又はヘテロアリールであり;
R6は、H又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルであり;
R7は、H、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル又はNR4R5であり;
R8は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルであり;及びR9は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ハロ又はNR4R5であり、式中R4及びR5は、それぞれ独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はC3〜6シクロアルキルである。)。
【0038】
他の実施態様において、R3は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、アリール又はヘテロアリールである。いくつかの実施態様において、R3は、H又はC1〜6アルキルである。一実施態様において、R3は、Hである。別の実施態様において、R3は、メチルである。
別の実施態様において、R4及びR5は、それぞれ独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、又はC3〜6シクロアルキルである。他の実施態様において、R4は、H、C1〜6アルキル又はC3〜6シクロアルキルである。一実施態様において、R4は、H、メチル又はシクロプロピルである。他の実施態様において、R5は、H、C1〜6アルキル又はC3〜6シクロアルキルである。一実施態様において、R5は、H、メチル又はシクロプロピルである。
【0039】
いくつかの実施態様において、R6は、H又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルである。他の実施態様において、R6は、H又はC1〜6アルキルである。一実施態様において、R6は、H又はメチルである。別の実施態様において、R6は、Hである。別の実施態様において、R6は、メチルである。
いくつかの実施態様において、R7は、H、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル又はNR4R5である。他の実施態様において、R7は、H、C1〜6アルキル、又はNR4R5である。一実施態様において、R7は、メチルである。別の実施態様において、R7NR4R5。他の実施態様において、R7は、NH2である。
【0040】
いくつかの実施態様において、R8は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルである。一実施態様において、R8はHである。
いくつかの実施態様において、R9は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ハロ又はNR4R5である。他の実施態様において、R9はHである。
他の実施態様において、Bは、ピリミジン-1-イル残基、ピリミジン-3-イル残基、プリン-3-イル残基、プリン-7-イル残基及びプリン-9-イル残基から選択される。ある実施態様において、Bは、チミン-1-イル、シトシン-1-イル、アデニン-9-イル又はグアニン-9-イルである。
【0041】
一実施態様において、Bは、以下の式から選択される:
【化9】


【0042】
別の実施態様において、本明細書における化合物は、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルアデニン(PPen-A)、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルシトシン(PPen-C)、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルグアニン(PPen-G)、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルチミン(PPen-T)及び5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルウラシル(PPen-U)、及びそれらの親油性エステルから選択される。いくつかの実施態様において、親油性エステルは、ヘキサデシルオキシプロピル(HDP)エステル、オクタデシルオキシエチル(ODE)エステル及びオレイルオキシエチル(OLE)エステルである。ある実施態様において、該化合物は以下の式から選択される:
【化10】



【0043】
(C.化合物の調製)
本明細書で提供される組成物及び方法に使用するための5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びそのエステルについての例示的な方法を、以下及び実施例に記載するが、当該技術分野で知られている他の方法を使用して、本明細書で提供される5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルヌクレオシド及びそのエステルを調製することは可能である。
【0044】
スキームIは、重要中間体9の合成の概略を示す。実施例1には、化合物9の合成のための条件を提示する。この工程において、3-ブテン-1-オール1をDHP及びPPTSで処理して、化合物2を得る。化合物2のヒドロキシメチル化によって化合物3が得られ、それをTBDPSClで保護して、化合物5を得る。化合物5を臭化及びアルブゾフ反応を通じて、ホスホン酸塩化合物7に変換する。化合物7の部分的水素化の後に、TBDPS基を脱保護して、重要中間体9を得る。
【0045】
【化11】

試薬及び条件:a)DHP、PPTS、CHCl、室温、b)n-BuLi、(CHO)、-78℃、c)TBDPSCl、イミダゾール、CHCl、室温、d)MeOH、PPTS、室温、e)CBr、PPh3、CHCl、-78℃、f)P(OEt)3、還流、g)H、リンドラー触媒、MeOH、室温、h)TBAF、アセトニトリル、0℃
【0046】
スキームIaは、式IBのE異性体の合成において必要な重要中間体9aの合成の概略を示す。スキームIにおいて上述したのと同様の工程を使用して、中間体7を調製することができる。中間体7を低温の液体アンモニア又はエチルアミン中においてアルカリ金属(Li又はNa)の存在下で水素化して中間体8aを得、該中間体を脱保護し、中間体9aを得る。
【化12】

【0047】
スキームIIは、重要中間体9を使用する、本明細書で提供される化合物の合成を示す。PPen-Aの合成を実施例2に詳細に記載する。重要中間体9をアデニンとミツノブ反応させて、化合物10を得、該化合物を酸性条件下で加水分解して、PPen-A(13)を得る。実施例3には、PPen-G(15)の合成を記載している。2-アミノ-6-クロロプリンとのミツノブ反応によって、化合物11が得られ、その核酸塩基をグアニンに変換して、化合物12を得る。TMSBrを使用して、化合物12を加水分解し、PPen-G(15)を得る。実施例4において、PPen-Aをその対応するモノホスホノエステルであるHDP-PPen-Aに変換する。実施例5において、化合物11をHDP-PPen-Gに変換する。化合物11を酸性条件下で加水分解して、化合物14を得、該化合物を3-ヘキサデシルオキシ-プロパン-1-オール(HDP-OH)とDCCカップリングさせて、化合物17を得る。化合物17を還流条件下において88%HCOOHで処理して、HDP-PPen-G(18)を得る。
【0048】
【化13】

試薬及び条件:a)DIAD、PPh、核酸塩基、DMF、0℃又は室温、b)HCOOH、還流、c)TMSBr、アセトニトリル、室温、d)HDP−OH、DCC、DMAP、DMF、60℃、e)i)2,4,6−トリイソプロピルベンゼンスルホニルクロリド、TEA、DMAP、アセトニトリル、室温、ii)NHOH
【0049】
(D.医薬組成物の製剤)
本明細書で提供される医薬組成物は、ウィルス感染及び不適切な細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状の予防、治療又は改善に有用である、1以上の治療有効量の、本明細書で提供される化合物、並びに医薬として許容し得る担体を含有する。本明細書で提供される化合物の投与に好適な医薬担体としては、特定の投与形態に好適であることが当業者に知られているあらゆる当該担体が挙げられる。
加えて、該化合物を組成物における唯一の医薬活性成分として製剤してもよいし、他の活性成分と組み合わせてもよい。
【0050】
組成物は、本明細書で提供される1以上の化合物を含有する。化合物は、一実施態様において、経口投与用の溶液、懸濁液、錠剤、分散性錠剤、丸剤、カプセル、粉末、持続放出製剤又はエリキシル剤等の好適な医薬製剤、又は非経口投与用の無菌溶液若しくは懸濁液、並びに経皮貼付剤製剤及び乾燥粉末吸入剤に製剤される。一実施態様において、化合物を、当該技術分野でよく知られている技術及び手順を用いて医薬組成物に製剤する(例えば、Anselの文献『医薬剤形への手引き(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)』, 第7版 1999参照)。
【0051】
組成物において、1以上の有効濃度の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を好適な医薬担体と混合する。上述のように、化合物を、製剤前に、対応する塩、エステル、エノールエーテル若しくはエステル、アセタール、ケタール、オルトエステル、ヘミアセタール、ヘミケタール、酸、塩基、溶媒和物、水和物又はプロドラッグとして誘導体化してよい。組成物における化合物の濃度は、投与すると、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1種以上の症状を治療、予防又は改善する量を送達するのに有効な濃度である。一実施態様において、組成物を、単一用量の投与用に製剤する。組成物を製剤するために、化合物の重量フラクションを、治療される状態が軽減、予防される、又は1以上の症状が改善されるような有効濃度で、選択された担体に溶解、懸濁、分散或いは混入する。
【0052】
活性化合物は、治療される患者において望ましくない副作用が存在せずに治療有用効果を与えるのに十分な量の医薬として許容し得る担体に含められる。化合物を当業者に知られているインビトロ及びインビボ系で試験することによって治療有効濃度を実験的に求め、次いでそこからヒトに対する投与量を推定することができる。
医薬組成物における活性化合物の濃度は、活性化合物の吸収、不活性化及び排泄率、化合物の物理化学特性、投与スケジュール、及び投与される量、並びに当業者に知られている他の要因に左右されることになる。例えば、供給される量は、本明細書に記載されているウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状を改善するのに十分なものである。
【0053】
一実施態様において、治療有効投与量は、約0.1ng/mlから約50〜100μg/mlの活性成分の血清濃度をもたらす必要がある。医薬組成物は、別の実施態様において、1日当たり体重1kg当たり化合物約0.001mgから約2000mgの投与量が得られる必要がある。医薬投与単位形態を、投与単位形態毎に約0.01mg、0.1mg又は1mgから約500mg、1000mg又は2000mg、一実施態様においては、約10mgから約500mgの活性成分又は必須成分の組合せが得られるように調製する。
【0054】
活性成分を1回で投与してもよいし、いくつかのより少ない用量に分割して、時間間隔をおいて投与してもよい。厳密な投与量及び治療時間は、治療されている疾病の関数であり、知られている試験プロトコルを用いて実験的に求めるか、或いはインビボ又はインビトロ試験データから推定することができることが理解される。濃度及び用量の値は、緩和すべき状態の重度に応じても異なり得ることに留意されたい。特定の被検体について、具体的な投与措置を、個々のニーズ、及び組成物を投与する人物、又はその投与を監督する人物の専門的判断に応じて経時的に調整すべきであること、並びに本明細書に記載されている濃度範囲は、例示にすぎず、特許請求の範囲に記載の組成物の範囲及び活用を限定することを意図するものではないことをさらに理解されたい。
【0055】
化合物が不十分な溶解性を示す場合は、化合物を可溶化させる方法を用いてよい。当該方法は、当業者に既知であり、かつジメチルスルホキシド(DMSO)等の補助溶媒を使用すること、TWEEN(登録商標)等の界面活性剤を使用すること、又は重炭酸ナトリウム水溶液に溶解すること、を含むが、これらに限定されない。化合物のプロドラッグ等の化合物の誘導体も効果的な医薬組成物の製剤に使用することができる。
化合物を混合又は添加する場合、得られる混合物は、溶液、懸濁液又はエマルジョン等であってよい。得られる混合物の形態は、意図する投与形態、及び選択される担体又は媒体における化合物の溶解性を含むいくつかの要因に左右される。有効濃度は、治療される疾病、疾患又は状態の症状を改善させるのに十分な濃度であり、実験的に求めることができる。
【0056】
医薬組成物を、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒、無菌非経口溶液若しくは懸濁液、及び経口溶液若しくは懸濁液等の単位剤形、並びに化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体の好適な量を含む油-水エマルジョンで、ヒト及び動物への投与用に提供する。医薬的治療活性化合物及びその誘導体は、一実施態様において、単位剤形又は複回用剤形で製剤及び投与される。本明細書に用いられる単位剤形は、当該技術分野で知られているように、ヒト及び動物被検体に好適であり、かつ個々にパッケージされた物理的に個別的な単位をさす。各単位剤形は、必要な医薬担体、媒体又は希釈剤と共に、所望の治療効果をもたらすのに十分な所定量の治療活性化合物を含む。単位剤形の例としては、アンプル及びシリンジ、並びに個々にパッケージされた錠剤又はカプセルが挙げられる。単位剤形を画で分又は複数の画分で投与してもよい。複回用剤形は、単一容器でパッケージされて、分離された単位剤形で投与される複数の同一単位剤形である。複回用剤形の例としては、バイアル、錠剤若しくはカプセルのボトル、又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。したがって、複回用剤形は、パッケージで分離されていない複数回の単位用量である。
【0057】
医薬として投与し得る液体組成物は、例えば、先に定義したような活性化合物、及び任意的な医薬助剤を、例えば水、食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコール及びエタノール等の担体に溶解、分散或いは混入させることによって、溶液又は懸濁液を形成させることによって調製することができる。所望であれば、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤及びpH緩衝剤等の少量の無毒性補助物質、例えば酢酸塩、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリル酸ソルビタン、酢酸トリエタノールアミンナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン及び他のそのような薬剤を含有してもよい。
【0058】
当該剤形の実際の調剤方法は、当業者に既知であり、又は当業者にとって明白である。例えば、『レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences),』 Mack Publishing社, Easton, Pa., 第15版, 1975.を参照されたい。
0.005%から100%の範囲で活性成分を含み、残りは無毒性の担体から構成される剤形又は組成物を調製することができる。これらの組成物を調製するための方法は、当業者に知られている。考えられる組成物は、0.001%〜100%、一実施態様では0.1〜95%、別の実施態様では75〜85%の活性成分を含有し得る。
【0059】
ある実施態様において、組成物はラクトース不含組成物であり、該組成物は当該技術分野でよく知られており、かつ例えば米国薬局法(USP)25-NF20(2002)に掲載されている賦形剤を含有む。一般的に、ラクトース不含組成物は、医薬として適合しかつ医薬として許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤及び潤滑剤を含む。特定のラクトース不含剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0060】
水は、ある種の化合物の分解を促進し得るため、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに提供する。例えば、水(例えば5%)の添加は、保存寿命又は製剤の経時的安定性等の特性を測定する、長期間の保管をシミュレーションする手段として製薬業界で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensenらの文献、『薬剤安定性:原理及び実践(Drug Stability:Principles & Practice),』第2版, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, 379-80頁を参照されたい。実際、水及び熱は、ある種の化合物の分解を加速させる。したがって、水分及び/又は湿気は、製剤の製造、取扱い、パッケージ、保管、出荷及び使用時に広く遭遇されるので、製剤に対する水の影響は、非常に大きい。
【0061】
本明細書で提供される無水医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分含有成分及び低水分又は低湿度条件を使用して調製され得る。
無水医薬組成物は、その無水特性が維持されるように調製及び保管される必要がある。よって、無水組成物は、一般には、好適な規定のキットに含むことができるように、水への曝露を防止することが知られている材料を使用してパッケージする。好適なパッケージの例としては、気密密閉箔、プラスチック、単位用量容器(例えばバイアル)、ブリスターパック及びストリップパックが挙げられるが、それらに限定されない。
【0062】
(1.経口投与用組成物)
経口医薬剤形は、固体、ゲル又は液体である。固体剤形は、錠剤、カプセル、顆粒及び原薬粉末である。経口錠剤の種類としては圧縮咀嚼トローチ及び錠剤を含み、これらを腸溶コート化、糖コート化又は膜コート化してよい。カプセルは、硬質又は軟質のゼラチンカプセルであってよく、顆粒及び粉末は、当業者に知られている他の成分と組み合わせて非発泡性又は発泡性の形態で提供され得る。
【0063】
(a.経口投与用固体組成物)
ある実施態様において、製剤は、固体剤形であり、一実施態様ではカプセル又は錠剤である。錠剤、丸剤、カプセル及びトローチ等は、結合剤、潤滑剤、希釈剤、滑剤、崩壊剤、着色剤、甘味料、香味料、湿潤剤、腸溶剤及び被膜剤などの成分の1以上、又は同様の性質の化合物の1以上を含有することができる。結合剤の例としては、微結晶セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アラビアゴム糊、ゼラチン溶液、糖蜜、ポリビニルピロリジン、ポビドン、クロスポビドン、スクロース及びデンプン糊が挙げられる。潤滑剤としては、タルク、デンプン、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、ライカポジウム及びステアリン酸が挙げられる。希釈剤としては、例えば、ラクトース、スクロース、デンプン、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸二カルシウムが挙げられる。滑剤としては、コロイド二酸化ケイ素が挙げられるが、それに限定されない。崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、アルギン酸、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。着色剤としては、例えば、認定された水溶性FD及びC染料のいずれか、それらの混合物、及びアルミナ水和物に懸濁された水不溶性FD及びC染料が挙げられる。甘味料としては、スクロース、ラクトース、マンニトール、及びサッカリン等の人工甘味料、及び任意の数の噴霧乾燥香料が挙げられる。香味料としては、果実等の植物から抽出された天然香料、及びペパーミント及びサリチル酸メチル等の(ただし、それらに限定されない)好ましい感覚を生む化合物の合成配合物が挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリル酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。腸溶剤としては、脂肪酸、脂肪、ワックス、シェラック、アンモニアシェラック及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。被膜剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
【0064】
化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体は、それを胃の酸性環境から保護する組成物で提供され得る。例えば、組成物を、胃においてその保全性を維持し、腸において活性化合物を放出する腸溶剤で製剤することができる。組成物を制酸剤又は他の当該成分と組み合わせて製剤することもできる。
単位剤形がカプセルであるときは、上記の種類の材料に加えて、脂肪油等の液体担体を含有することができる。また、単位剤形は、用量単位の物理的形態を改変する様々な他の材料、例えば糖の被覆剤及び他の腸溶剤を含有することができる。化合物をエリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハ、分散物又はチューイングガム等の成分として投与することもできる。シロップは、活性化合物に加えて、甘味料としてのスクロース、及び特定の防腐剤、染料及び着色剤及び香料を含有することができる。
【0065】
活性材料を:所望の作用を損なわない他の活性材料;又は制酸剤、H2遮断剤及び利尿薬等の所望の作用を補う材料;と混合することもできる。活性成分は、本明細書に記載されている化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体である。活性成分重量に対して約98重量%までのより高濃度の活性成分を含むことができる。
すべての実施態様において、活性成分の溶解を修飾する又は持続させるために、錠剤及びカプセル製剤を当業者に知られているように被覆することができる。したがって、例えば、それらをフェニルサリチル酸塩、ワックス及び酢酸フタル酸セルロース等の従来の腸可消化被覆剤で被覆することができる。
【0066】
(b.経口投与用液体組成物)
液体経口剤形としては、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成される溶液及び/又は懸濁液、並びに発泡性顆粒から再構成される発泡性製剤が挙げられる。水溶液としては、例えば、エリキシル及びシロップが挙げられる。エマルジョンは、水中油又は油中水である。
エリキシルは、透明な甘味の水性アルコール製剤である。エリキシルに使用される医薬として許容し得る担体は、溶媒を含む。シロップは、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液であり、防腐剤を含有することができる。エマルジョンは、一方の液体が、他方の液体全体に液滴の形態で分散されている二相系である。エマルジョンに使用される医薬として許容し得る担体は、非水性液体、乳化剤及び防腐剤である。懸濁液は、医薬として許容し得る懸濁剤及び防腐剤を使用する。液体経口剤形に再構成される非発泡性顆粒に使用される医薬として許容し得る物質としては、希釈剤、甘味剤及び湿潤剤が挙げられる。液体経口剤形に再構成される発泡性顆粒に使用される医薬として許容し得る物質としては、有機酸及び二酸化炭素源が挙げられる。着色及び香味料は、上記剤形のすべてに使用される。
【0067】
溶媒としては、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが挙げられる。防腐剤としては、グリセリン、メチル及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。エマルジョンに使用される非水性液体の例としては、鉱油及び綿実油が挙げられる。乳化剤の例としては、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ベントナイト、及びモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等の界面活性剤が挙げられる。懸濁剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカントゴム、ビーガム(Veegum)及びアラビアゴムが挙げられる。甘味料としては、スクロース、シロップ、グリセリン、及びサッカリン等の人工甘味料が挙げられる。湿潤剤としては、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリル酸ジエチレングリコール及びポリオキシレンラウリルエーテルが挙げられる。有機酸としては、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。二酸化炭素源としては、重炭酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤としては、認定された水溶性FD及びC染料のいずれか、及びそれらの混合物が挙げられる。香味料としては、果実等の植物から抽出された天然香料、及び好ましい感覚を生む化合物の合成配合物が挙げられる。
【0068】
固体剤形では、例えば炭酸プロピレン、植物油又はトリグリセリドの溶液又は懸濁液は、一実施態様ではゼラチンカプセルに封入されている。当該溶液、及びその製剤及び封入物は、米国特許第4,328,245号、第4,409,239号及び第4,410,545号に開示されている。液体剤形では、例えばポリエチレングリコールの溶液を、投与用に容易に測定される医薬として許容し得る液体担体、例えば水の十分量で希釈することができる。
【0069】
或いは、活性化合物又は塩を、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば炭酸プロピレン)及び他の当該担体に溶解又は分散させ、これらの溶液又は懸濁液を硬質又は軟質ゼラチンカプセル殻に封入することによって、液体又は半固体経口製剤を調製することができる。他の有用な製剤としては、米国特許第RE28,819号及び第4,358,603号に記載されている製剤が挙げられる。手短に述べると、当該製剤としては、本明細書で提供される化合物、1,2-ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-350-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-550-ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール-750-ジメチルエーテル(ただし、350、550及び750は、ポリエチレングリコールのおよその平均分子量をさす)を含むが、それらに限定されないジアルキル化モノ又はポリアルキレングリコール、並びにブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ビタミンE、ヒドロキノン、ヒドロキシクマリン、エタノールアミン、レシチン、セファリン、アスコルビン酸、リンゴ酸、ソルビトール、ホスホン酸、チオジプロピオン酸及びそのエステル、及びジチオカルバマート等の1以上の抗酸化剤を含有する製剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0070】
他の製剤としては、医薬として許容し得るアセタールを含むアルコール水溶液が挙げられるが、それらに限定されない。これらの製剤に使用されるアルコールは、プロピレングリコール及びエタノールを含むが、それらに限定されない1以上のヒドロキシ基を有する任意の医薬として許容し得る水混和性溶媒である。アセタールとしては、アセトアルデヒドジエチルアセタール等の低級アルキルアルデヒドのジ(低級アルキル)アセタールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0071】
(2.注射液、溶液及びエマルジョン)
皮下、筋肉内又は静脈内注射のいずれかを特徴とする一実施態様における非経口投与も本明細書において考慮する。注射液を溶液又は懸濁液としての従来の形態、注射前の液体への溶解又は懸濁に好適な固体形態として、又はエマルジョンとして調製することができる。注射液、溶液及びエマルジョンは、1以上の賦形剤をも含有する。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。加えて、所望ならば、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解性向上剤、及び例えば酢酸ナトリウム、モノラウリル酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン及びシクロデキストリン等の他の当該薬剤等の少量の無毒性補助物質を含有することもできる。
【0072】
一定レベルの投与が維持されるような徐放又は持続放出系の移植(例えば、米国特許第3,710,795号参照)も本明細書において考慮する。手短に述べると、本明細書で提供される化合物を、体液に不溶である外部ポリマー膜:例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、テレフタル酸アイオノマーポリエチレン、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元重合体及びエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体;に囲まれた固体内部基質:例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーン-カーボネート共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル等の親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニル;内に分散させる。化合物は、放出速度制御工程において外部ポリマー膜を通って拡散する。当該非経口組成物に含有される活性化合物の割合は、その具体的な性質、並びに化合物の活性及び被検体のニーズに大きく左右される。
【0073】
組成物の非経口投与は、静脈内、皮下及び筋肉内投与を含む。非経口投与用製剤としては、使用直前に溶媒と容易に混合される凍結乾燥粉末等の無菌乾燥可溶性製品を含み、該製品は、皮下注射用錠剤、注射即応無菌溶液、使用直前に容易に混合される無菌乾燥不溶性製品、及び無菌エマルジョンを含む。溶液は、水性であってもよいし、非水性であってもよい。
【0074】
静脈投与される場合は、好適な担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、並びにグルコース、ポリエチレングリコール及びポロプロピレングリコール等の増粘剤及び可溶化剤、並びにそれらの混合物を含む溶液が挙げられる。
非経口製剤に使用される医薬として許容し得る担体としては、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、局部麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤又はキレート化剤、並びに他の医薬として許容し得る物質が挙げられる。
【0075】
水性媒体の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、等張デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロース及び乳酸加リンガー注射液が挙げられる。非水性非経口媒体としては、植物由来の不揮発性油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及びピーナツ油が挙げられる。静菌又は静真菌濃度の抗菌剤を、フェノール又はクレゾール、水銀、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含む複数回用量容器にパッケージされた非経口製剤に添加しなければならない。等張剤としては、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。緩衝剤としては、リン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。抗酸化剤としては、重硫酸ナトリウムが挙げられる。局部麻酔剤としては、塩酸プロカインが挙げられる。懸濁及び分散剤としては、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤としては、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤としては、EDTAが挙げられる。医薬担体は、水混和性媒体に対するエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール、並びにpH用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
【0076】
注射が、所望の薬理学的効果をもたらす有効量が得られるように医薬活性化合物の濃度を調整する。厳密な投与量は、当該技術分野で知られているように、患者又は動物の年齢、体重及び状態に左右される。
単位用量非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針付きシリンジ中にパッケージされる。非経口投与用のすべての製剤は、当該技術分野で知られ、かつ実施されているように、無菌でなければならない。
実例として、活性化合物を含有する無菌水溶液の静脈又は動脈内注入は、効果的な投与形態である。別の実施態様は、所望の薬理学的効果をもたらすために、必要に応じて注入される活性材料を含有する無菌の水性又は油性の溶液若しくは懸濁液である。
【0077】
注射液を、局部及び全身投与用に設計する。一実施態様において、治療有効投与物は、治療される組織に対して、少なくとも約0.1%w/wから約90%w/w以上の濃度、ある実施態様では1%w/wを上回る濃度の活性化合物を含有するように製剤される。
化合物を微粉又は他の好適な形態で懸濁してよく、又は該化合物を誘導体化し、より溶解度の高い活性生成物若しくはプロドラッグを生成してもよい。得られる混合物の形態は、意図する投与形態、及び選択された担体又は媒体への化合物の溶解性を含むいくつかの要因に左右される。効果的な濃度は、状態の症状を改善するのに十分なものであり、実験的に求めることができる。
【0078】
(3.持続放出剤形)
本明細書で提供される活性成分を、放出制御手段、又は当業者によく知られている供給デバイスによって投与することができる。例としては、それぞれ引用により本明細書に組み込まれている米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号、第6,699,500及び第6,740,634号に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。当該剤形を使用して、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマー基質、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層被膜、微粒子、リポソーム、微小球、又はそれらの組合せを使用する1以上の活性成分の徐放又は放出制御を提供することができ、様々な割合での所望の放出プロフィルを提供することができる。本明細書に記載されている製剤を含む、当業者に知られている好適な放出制御製剤を、本明細書で提供される活性成分との使用に向けて容易に選択することができる。
【0079】
すべての放出制御医薬プロドラッグは、非放出制御医薬プロドラッグによって達成される薬物療法に比べて薬物療法を向上させるという共通の目標を有する。理想的には、医学的治療において最適に設計された放出制御製剤の使用は、最小限の薬剤物質を採用して、最小限の時間で状態を治癒又は抑制することを特徴とする。放出制御製剤の利点としては、薬剤の活性の延長、投与頻度の低減、及び患者コンプライアンスの向上が挙げられる。また、放出制御製剤を使用して、作用の発生の時間、又は薬剤の血液値等の他の特徴に影響が得られることができるため、副作用(例えば悪影響)の発生に影響を与えることができる。
【0080】
たいていの放出制御製剤は、所望の治療効果を即座にもたらす量の薬剤(活性成分)を最初に放出し、及び長時間にわたってこのレベルの治療又は予防効果を維持する他の量の薬剤を徐々に且つ継続的に放出するように設計される。この一定レベルの薬剤を体内に維持するために、代謝されて体から排泄される薬剤の量を置換する速度で、該剤形から薬剤を放出しなければならない。pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件又は化合物を含むが、それらに限定されない様々な条件によって、活性成分の放出制御を刺激することができる。
【0081】
特定の実施態様において、静脈内注入、移植可能浸透圧ポンプ、経皮貼付剤、リポソーム又は他の投与形態を使用して薬剤を投与することができる。一実施態様において、ポンプを使用することができる(Seftonの論文、CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201 (1987);Buchwaldらの論文、Surgery 88:507 (1980);Saudekらの論文、N. Engl. J. Med. 321:574 (1989);を参照されたい)。別の実施態様において、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施態様において、放出制御系を治療目標の近傍に配置することができるため、全身投与量の数分の一しか必要とされない(例えば、Goodsonの文献,『放出制御の医学的用途(Medical Applications of Controlled Release),』第2巻,115-138頁 (1984)を参照されたい)。いくつかの実施態様において、放出制御デバイスを、患者の不適切な免疫活性化部位又は腫瘍の近傍に導入する。他の放出制御系は、Langerによる評論の中で論述されている(Science 249:1527-1533 (1990))。活性成分を、体液に不溶である外部ポリマー膜:例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニルと塩化ビニルとの共重合体、塩化ビニリデン、エチレン及びプロピレン、テレフタル酸アイオノマーポリエチレン、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコール共重合体、エチレン/酢酸ビニル/ビニルアルコール三元重合体及びエチレン/ビニルオキシエタノール共重合体;に囲まれた固体内部基質:例えばポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、可塑化又は非可塑化ポリ塩化ビニル、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタレート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーン-カーボネート共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルのヒドロゲル等の親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール及び架橋部分加水分解ポリ酢酸ビニル;内に分散させることができる。次いで、活性成分は、放出速度制御工程において外部ポリマー膜を通って拡散する。当該非経口組成物に含有される活性成分の割合は、その具体的な性質、並びに被検体のニーズに大きく左右される。
【0082】
(4.凍結乾燥粉末)
溶液、エマルジョン及び他の混合物としての投与用に再構成することができる凍結乾燥粉末も本明細書において対象となる。それらを固体又はゲルとして再構成及び製剤することもできる。
本明細書で提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体を好適な溶媒に溶解させることによって、無菌凍結乾燥粉末を調製する。溶媒は、安定性を向上させる賦形剤、或いは粉末又は粉末から調製される復元溶液の他の薬理学的成分を含有してよい。使用できる賦形剤としては、抗酸化剤、緩衝剤及び増量剤が挙げられるが、それらに限定されない。いくつかの実施態様において、賦形剤は、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、トウモロコシシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース及び他の好適な作用物質から選択される。溶媒は、クエン酸塩、リン酸ナトリウム又はカリウム等の緩衝剤、又は当業者に知られている他の当該緩衝剤を約中性のpHで含有することができる。続いて、溶液の無菌濾過を行った後、当業者に知られている標準的な条件下で凍結乾燥して、所望の製剤を得る。一実施態様において、得られた溶液は、凍結乾燥用バイアルに配分されることになる。各バイアルは、化合物の単回用量又は複数回用量を含有することになる。凍結乾燥粉末を約4℃から室温等の適切な条件下で保管することができる。
この凍結乾燥粉末を注射用の水で再構成して、非経口投与に使用するための製剤が得られる。再構成するには、凍結乾燥粉末を無菌水又は他の適切な担体に添加する。厳密な量は、選択された化合物に依存する。当該量を実験的に求めることができる。
【0083】
(5.局所投与)
局所混合物は、局部及び全身投与について記載されたように調製される。得られた混合物は、溶液、懸濁液又はエマルジョン等であってもよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、泡、煙霧剤、潅水、煙霧剤、坐剤、絆創膏、皮膚貼付剤、又は局所投与に好適な任意の他の製剤として製剤される。
【0084】
化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体を吸入等による局所適用のための煙霧剤として製剤することができる(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドを供給するための煙霧剤について記載している米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照されたい)。気道への投与用のこれらの製剤は、単独、又はラクトース等の不活性担体と組み合わせた、噴霧器用エアロゾル又は溶液、又は吸入用極微粉末の形態であり得る。そのような場合において、製剤の粒子は、一実施態様では50ミクロン未満の直径を有し、一実施態様では10ミクロン未満の直径を有する。
【0085】
化合物をゲル、クリーム及びローションの形態で、皮膚、及び眼等の粘膜への局所適用、及び眼への適用用に製剤してよく、及び嚢内又は脊髄内適用等の局部又は局所適用用に製剤することができる。局所投与は、経皮供給、及び眼又は粘膜への投与、又は吸入治療を意図する。単独又は他の医薬として許容し得る賦形剤と組み合わせた活性化合物の経鼻溶液を投与することもできる。
【0086】
経鼻投与について、製剤は、噴霧剤適用のための液体担体、特に水性担体に溶解又は懸濁されたエステル型ホスホン酸塩を含有することができる。担体は、プロピレングリコール等の可溶化剤、界面活性剤、レシチン若しくはシクロデキストリン等の吸収促進剤、又は防腐剤を含有することができる。
これらの溶液、特に眼科使用を目的とする溶液を、適切な塩を含有し、pHが約5〜7でかつ0.01%〜10%の等張性溶液として適切な塩で製剤することができる。
【0087】
(6.他の投与経路用の組成物)
イオン泳動及び電気泳動デバイスを含む経皮貼付剤、及び肛門投与等の他の投与経路も本明細書において考慮する。
イオン泳動及び電気泳動デバイスを含む経皮貼付剤は、当業者によく知られている、例えば、当該貼付剤は、米国特許第6,267,983号、第6,261,595号、第6,256,533号、第6,167,301号、第6,024,975号、第6,010715号、第5,985,317号、第5,983,134号、第5,948,433号及び第5,860,957号に開示されている。
【0088】
例えば、肛門投与用の医薬剤形は、全身効果に向けた肛門坐剤、カプセル及び錠剤である。本明細書に用いられている肛門坐剤は、体温で融解又は軟化して、1以上の薬理活性成分又は治療活性成分を放出する肛門挿入用固体を意味する。肛門坐剤に利用される医薬として許容し得る物質は、融点を上昇させる基質又は媒体及び薬剤である。基質の例としては、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス(ポリオキシエチレングリコール)、及び脂肪酸のモノ、ジ及びトリグリセリドの適切な混合物が挙げられる。様々な基質の組合せを使用することができる。坐剤の融点を上昇させる薬剤としては、鯨蝋及びワックスが挙げられる。肛門坐剤を圧縮法又は成型によって調製することができる。肛門坐剤の重量は、一実施態様では約2から3gである。肛門投与用の錠剤及びカプセルを、経口投与のための製剤の場合と同じ医薬として許容し得る物質を使用し、同じ方法で製造する。
【0089】
(7.標的化製剤)
本明細書で提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体を、特定の組織、受容体、又は治療すべき被検体の体の他の部分に標的化して製剤することができる。多くの当該標的化の方法は、当業者によく知られている。すべての当該標的化の方法は、本明細書において、即座的組成物における使用について考えられる。標的化の方法の非限定的な例については、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照されたい。
【0090】
一実施態様において、腫瘍標的化リポソーム等の組織標的化リポソームを含むリポソーム懸濁液も医薬として許容し得る担体として好適であり得る。これらの懸濁液を当業者に知られている方法に従って調製することができる。例えば、リポソーム製剤を米国特許第4,522,811号に記載されているようにして調製することができる。手短に述べると、卵ホスファチジルコリンと脳ホスファチジルセリン(モル比7:3)をフラスコの内側で乾燥させることによって、多層ベシクル(MLV)等のリポソームを形成することができる。本明細書で提供される化合物を、二価陽イオンが欠如したリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解させた溶液中に添加し、脂膜が分散されるまでフラスコを振る。得られたベシクルを洗浄して、未封入の化合物を除去し、遠心によりペレット状とし、次いでPBSに再懸濁させる。
【0091】
(8.製造品)
化合物、又は医薬として許容し得る誘導体を:パッケージ材料;パッケージ材料内における、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状の治療、予防又は改善に有効である、本明細書で提供される化合物、又はその医薬として許容し得る誘導体;該化合物若しくは組成物、又はその医薬として許容し得る誘導体が、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する疾病又は疾患の1以上の症状の治療、予防又は改善に使用されることを示すラベル;とを含む製造品としてパッケージしてよい。
【0092】
本明細書で提供する製造品は、パッケージ材料を含む。パッケージ医薬製品に使用されるパッケージ材料は、当業者によく知られている。例えば、米国特許第5,323,907号、第5,052,558号及び第5,033,252号を参照されたい。医薬パッケージ材料の例としては、ブリスターパック、瓶、管、吸入器、ポンプ、袋、バイアル、容器、シリンジ、瓶、選択された製剤、及び意図される投与及び治療形態に好適な任意のパッケージ材料が挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で提供される化合物及び組成物の広範な製剤を、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する任意の疾病又は疾患の様々な治療剤として意図する。
【0093】
(E.投与量)
ヒトの治療において、医師は、予防又は治療法、及び年齢、体重、疾病の段階、及び治療すべき被検体に特異的な他の要因に応じて、最も適切な投与措置を判断することになる。医薬組成物は、他の実施態様において、1日体重1kg当たり約0.001mgから約2000mgの投与量の化合物を提供する必要がある。医薬的単位剤形は、単位剤形1個当たり約0.01mg、0.1mg又は1mgから約500mg、1000mg又は2000mg、一実施態様では約10mgから約500mgの活性成分又は必須成分の組合せを提供するように調製される。
【0094】
疾患、又はその1以上の症状の予防又は治療に効果的である、本明細書で提供される製剤における活性成分の量は、疾病又は状態の性質及び重症度、及び活性成分が投与される経路によって異なる。頻度及び投与量は、投与される具体的な療法(例えば治療又は予防薬)、疾患、疾病又は状態の重症度、投与経路、並びに被検体の年齢、体重、応答及び過去の病歴に応じて、各被検体に特異的な要因によっても異なる。
【0095】
例示的な製剤の投与量は、被検体又は試料重量1キログラム当たりミリグラム又はマイクログラム量(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラムから1キログラム当たり約50ミリグラム、1キログラム当たり約10マイクログラムから1キログラム当たり約30ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラムから1キログラム当たり約10ミリグラム、又は1キログラム当たり約100マイクログラムから1キログラム当たり約5ミリグラム)の活性化合物を含む。
当業者にとって明らかなように、場合によっては、本明細書に開示されている範囲外の投与量の活性成分を使用することが必要であり得る。さらに、臨床医又は治療医は、被検体応答に関連して、治療をどのように、いつ中断、調整又は終了するかを把握するであろうことを考慮する。
【0096】
当業者であれば容易に把握するように、異なる治療有効量を異なる疾病及び状態に対して適用可能であり得る。同様に、当該疾患を予防、管理、治療又は改善するのに十分であるが、本明細書で提供される組成物に伴う悪影響を引き起こすのに不十分であるか、又は該悪影響を低減するのに十分な量も、上記投与量及び投与頻度スケジュールに包括される。さらに、被検体が、本明細書で提供される化合物の複数の投与量を投与される場合は、それらの投与量のすべてが同一である必要はない。例えば、組成物の予防又は治療効果を向上させるために、被検体に投与される投与量を増加させてもよいし、又は特定の被検体が経験している1以上の副作用を低減するために減少させてもよい。
ある実施態様において、本明細書で提供されるものと同一の製剤の投与を繰り返すことができ、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月又は6カ月の間隔をおいて投与を行うことができる。
【0097】
(F.化合物の活性の評価)
抗ウィルス剤としての化合物の活性を、当該技術分野で知られている標準的な検定法で測定することができる。例示的な検定法としては、HFF細胞のプラーク減少検定、MRC-5細胞のDNA減少検定、MT-2細胞のp24減少検定、HFF細胞のCPE検定、及びDaudi細胞のEBVエライザ検定が挙げられるが、それらに限定されない。
表1に、本明細書で提供される化合物に対するEC50を示す。
【0098】
【表1】

【0099】
表2において、さらなる例示的な化合物の活性を以下に示す。
【表2】

【0100】
表3は、3TC及びアデフォビルに抵抗性を有するB型肝炎変異体におけるHDP-PPen-A及びHDP-PPen-Gの効果についてのインビトロデータを示す。
【表3】

【0101】
PPen-Aのヘキサデシルオキシプロピルは、変異体M204V、M204I、L180M及び二重変異体L180M/M204Vにより3TC(Epivir(登録商標))に抵抗性を有するようになったB型肝炎ウィルスに対して十分な活性を有する。また、HDP-PPen-Aは、N236T変異によりアデフォビル(Hepsera(登録商標))に抵抗性を有するHBVに対して十分な活性を有する。HDP-PPen-Gは、いくつかの3TC抵抗性ウィルス、M204V及びM204Iに対して活性を有するが、L180Mに対しては活性を有さない。HDP-PPen-Gは、N236T変異を有するアデフォビル抵抗性HBVに対して十分な活性を有する。
【0102】
(G.化合物及び組成物の使用方法)
化合物及び組成物を使用して、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する疾病の1以上の症状を治療、予防又は改善する方法を提供する。該方法を実施する際に:化合物;又は治療有効濃度の該化合物を含む組成物;の有効量を投与する。ある実施態様において、本明細書で提供される方法は、インフルエンザ;B型及びC型肝炎ウィルス;サイトメガロウィルス(CMV)を含むが、これらに限定されないウィルス感染;水痘-帯状疱疹ウィルス、単純ヘルペスウィルス1型&2型、エプスタイン-バーウィルス、ヘルペス6型(HHV-6)及び8型(HHV-8)によって引き起こされる感染等のヘルペス感染;帯状ヘルペス又は水痘等の水痘-帯状疱疹ウィルス感染;感染性単核細胞症/腺症を含むが、それらに限定されないエプスタイン-バーウィルス感染;SIV、HIV-1及びHIV-2を含むが、それらに限定されないレトロウィルス感染;エボラウィルス;アデノウィルス及び乳頭腫ウィルスを含むが、それらに限定されないウィルス感染;に関連する疾病の1以上の症状を予防又は改善することに向けられる。
【0103】
さらなる実施態様において、本明細書で提供される方法は、大痘瘡及び小痘瘡、ワクシニア、天然痘、牛痘、ラクダ痘及びサル痘等のオルソポックスウィルスによって引き起こされるウィルス感染に関連する疾病の1以上の症状を治療、予防、治療又は改善することに向けられる。ある実施態様において、疾病は、薬剤抵抗性B型肝炎である。
ある実施態様において、本明細書で提供される方法は、癌を含むが、それに限定されない細胞増殖関連疾病の1以上の症状を治療、予防又は改善することに向けられる。癌の例としては、肺癌、頭及び頚部扁平上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、子宮頚癌、小児癌、小児肉腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、食道癌、ヘアリーセル白血病、腎臓癌、肝臓癌、多発性骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、脾臓癌、主中枢神経系リンパ腫及び皮膚癌が挙げられるが、それらに限定されない。
【0104】
(H.組合せ療法)
本明細書で提供される化合物及び組成物を、1以上の他の活性成分と組み合わせて使用してもよい。ある実施態様において、化合物を別の治療薬と組み合わせて、又は順次投与することができる。当該他の治療薬としては、ウィルス感染又は不適切な細胞増殖に関連する1以上の症状を治療、予防又は改善するためのものであることが知られている治療薬が挙げられる。当該治療薬としては、抗ウィルス薬及び抗腫瘍薬が挙げられるが、それらに限定されない。
【0105】
最近、主薬剤によって引き起こされる変異と異なる変異を誘発する第2、及び恐らく第3の抗ウィルス化合物と組み合わせて、又は交互に該化合物を投与することによって、HIV感染に対する薬剤の効果を長引かせ、増強させ、又は回復させることができることが証明された。或いは、当該組合せ又は交互療法によって、薬剤の薬物動態、生体内分布又は他のパラメータを改変することができる。
【0106】
ある実施態様において、HIV及び/又はHCV感染等のウィルス感染の治療又は予防に効果的な第2の薬剤の投与を包括する治療又は予防方法を本明細書で提供する。第2の薬剤は、HIV及び/又はHCV感染等のウィルス感染の治療、予防又は改善に効果的であることが当業者に知られている任意の薬剤であり得る。第2の薬剤は、当業者に現在知られている第2の薬剤であるか、或いは第2の薬剤は、ウィルス感染の治療、予防又は改善に向けての値に開発された第2の薬剤であり得る。ある実施態様において、第2の薬剤は、HIV及び/又はHCVの治療又は予防について現在承認されている。
【0107】
ある実施態様において、本明細書で提供される化合物は、1種類の第2の薬剤と組み合わせて投与される。さらなる実施態様において、第2の薬剤は、2種類の第2の薬剤と組み合わせて投与される。さらなる実施態様において、第2の薬剤は、2種類以上の第2の薬剤と組み合わせて投与される。
HIVの治療のための第2の抗ウィルス剤は、一実施態様において、合成ヌクレオシド(「NRTI」)又は非ヌクレオシド化合物(「NNRTI」)のいずれかであり得る逆転写酵素阻害剤(「RTI」)であり得る。代替的な実施態様において、HIVの場合には、第2(又は第3)の抗ウィルス剤は、プロテアーゼ阻害剤であり得る。他の実施態様において、第2(又は第3)の化合物は、ピロリン酸塩類似体又は融合結合阻害剤であり得る。
【0108】
いくつかの実施態様において、HBVの治療のための組合せ又は交互療法用の化合物としては、3TC、FTC、L-FMAU、インターフェロン、β-D-ジオキソラニル-グアニン(DXG)、β-D-ジオキソラニル-2,6-ジアミノプリン(DAPD)、及びβ-D-ジオキソラニル-6-クロロプリン(ACP)、ファミシクロビル、ペンシクロビル、BMS-200475、ビスpom PMEA(アデフォビル、ジピボキシル);ロブカビル、ガンシクロビル及びリババリンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0109】
別の実施態様において、HIV治療に向けた本明細書に開示されている化合物と組み合わせて、又は交互に使用できる抗ウィルス剤の例としては、シス-2-ヒドロキシメチル-5-(5-フルオロシトシン-1-イル)-1,3-オキサチオラン(FTC);2-ヒドロキシメチル-5-(シトシン-1-イル)-1,3-オキサチオラン(3TC)の(-;)-鏡像異性体;カルボビル、アシクロビル、フォスカーネット、インターフェロン、AZT、DDI、DDC、D4T、CS-87(3'-アジド-2',3'-ジデオキシ-ウリジン)、並びにβ-D-ジオキソラニル-グアニン(DXG)、β-D-ジオキソラニル-2,6-ジアミノプリン(DAPD)及びβ-D-ジオキソラニル-6-クロロプリン(ACP)等のβ-D-ジオキソランヌクレオシド、MKC442(6-ベンジル-1-(エトキシメチル)-5-イソプロピルウラシルが挙げられる。
プロテアーゼ阻害剤としては、クリキシバン(Merck社)、ネルフィナビル(Agouron社)、ロトナビル(Abbott社)、サキナビル(Roche社)、DMP-266(Sustiva社)及びDMP-450(DuPont Merck社)が挙げられる。
【0110】
本明細書で提供される化合物のいずれかと組み合わせて、又は交互に投与できるさらなる化合物としては、コハク酸(1S,4R)-4-[2-アミノ-6-シクロプロピル-アミノ)-9H-プリン-9-イル]-2-シクロペンテン-1-メタノール(「1592」、カルボビル類似体);3TC;-β-L-2',3'-ジデオキシ-3'-チアシチジン;a-APA R18893;ニトロ-アニリノ-フェニルアセトアミド;A-77003;C2対称系プロテアーゼ阻害剤;A-75925:C2対称系プロテアーゼ阻害剤;AAP-BHAP:ビスヘテロアリールピペラジン類似体;ABT-538:C2対称系プロテアーゼ阻害剤;AzddU:3'-アジド-2',3'-ジデオキシウリジン;AZT::3'-アジド-3'-デオキシチミジン;AZT-p-ddI:3'-アジド-3'-デオキシチミジル-(5',5')-2',3'-ジデオキシイノシン酸;BHAP:ビスヘテロアリールピペラジン;BILA 1906:N-{1S-[[[3-[2S-{(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル}-4R-]3-ピリジニルメチル]チオール]-1-ピペリジニル}-2R-ヒドロキシ-1S-(フェニルメチル)プロピル]アミノ]カルボニル]-2-メチルプロピル}-2-キノリンカルボキサミド;BILA 2185:N-(1,1-ジメチルエチル)-1-[2S-[[2-2,6-ジメチルフェノキシ)-1-オキソエチル]アミノ]-2R-ヒドロキシ-4-フェニルブチル]4R-ピリジニルチオ)-2-ピペリジン-カルボキサミド;BM+51.0836:チアゾロ-イソインドリノン誘導体;BMS 186,318:アミノジオール誘導体HIV-1プロテアーゼ阻害剤;d4API:9-[2,5-ジヒドロ-5-(ホスホノメトキシ)-2-フラニル]アデニン;d4C:2',3'-ジデヒドロ-2',3'-ジデオキシシチジン;d4T:2',3'-ジデヒドロ-3'-デオキシチミジン;ddC;2',3'-ジデオキシシチジン;ddI:2',3'-ジデオキシイノシン;DMP-266:l,4-ジヒドロ-2H-3,l-ベンゾキサジン-2-オン;DMP-450:{[4R-(4-a,5-a,6-b,7-b)]-ヘキサヒドロ-5,6-ビス(ヒドロキシ)-l,3-ビス(3-アミノ)フェニル]メチル])-4,7-ビス(フェニルメチル)-2H-l,3-ジアゼピン-2-オン}-ビスメシレート;DXG:(-;)-β-D-ジオキソラン-グアノシン;EBU-dM:5-エチル-l-エトキシメチル-6-(3,5-ジメチルベンジル)ウラシル;E-EBU:5-エチル-l-エトキシメチル-6-ベンジルウラシル;DS:硫酸デキストラン;E-EPSeU:l-(エトキシメチル)-(6-フェニルセレニル)-5-エチルウラシル;E-EPU:1-(エトキシメチル)-(6-フェニル-チオ)-5-エチルウラシル;FTC:β-2',3'-ジデオキシ-5-フルオロ-3'-チアシチジン(トライアングル);HBY097:S-4-イソプロポキシカルボニル-6-メトキシ-3-(メチルチオ-メチル)-3,4-ジヒドロキノキサリン-2(lH)-チオン;HEPT:l-[(2-ヒドロキシエトキシ)メチル]-6-(フェニルチオ)チミン;HIV-l:ヒト免疫不全ウィルス1型;JM2763:l,l'-(l,3-プロパンジイル)-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;JM3100:1,1'-[1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;KNI-272:(2S,3S)-3-アミノ-2-ヒドロキシ-4-フェニル酪酸含有トリペプチド;L-697,593;5-エチル-6-メチル-3-(2-フタルイミド-エチル)ピリジン-2(lH)-オン;L-735,524:ヒドロキシアミノペンタンアミドHIV-Iプロテアーゼ阻害剤;L-697,661:3-{[(-4,7-ジクロロ-l,3-ベンゾキサゾール-2-イル)メチル]アミノ}-5-エチル-6-メチルピリジン-2(1H)-オン;L-FDDC:(-;)-β-L-5-フルオロ-2',3'-ジデオキシシチジン;L-FDOC:(-;)-β-L-5-フルオロ-ジオキソランシトシン;MKC442:6-ベンジル-l-エトキシメチル-5-イソプロピルウラシル(I-EBU);ネビラピン:11-シクロプロピル-5,ll-ジヒドロ-4-メチル-6H-ジピリドール[3,2-b:2',3'-e]ジアゼピン-6-オン;NSC648400:1-ベンジルオキシメチル-5-エチル-6-(アルファ-ピリジルチオ)ウラシル(E-BPTU);P9941:[2-ピリジルアセチル-IlePheAla-y(CHOH)]2;PFA:ホスホノギ酸塩;PMEA:9-(2-ホスホニルメトキシエチル)アデニン;PMPA:(R)-9-(2-ホスホニル-メトキシプロピル)アデニン;Ro 31-8959:ヒドロキシエチルアミン誘導体HIV-Iプロテアーゼ阻害剤;RPI-312:ペプチジルプロテアーゼ阻害剤、l-[(3s)-3-(n-アルファ-ベンジルオキシカルボニル)-l-アスパラギニル)-アミノ-2-ヒドロキシ-4-フェニルブチリル]-n-tert-ブチル-1-プロリンアミド;2720:6-クロロ-3,3-ジメチル-4-(イソプロペニルオキシカルボニル)-3,4-ジヒドロ-キノキサリン-2(lH)チオン;SC-52151:ヒドロキシエチル尿素アイソスタープロテアーゼ阻害剤;SC-55389A:ヒドロキシエチル-尿素アイソスタープロテアーゼ阻害剤;TIBO R82150:(+)-(5S)-4,5,6,7-テトラヒドロ-5-メチル-6-(3-メチル-2-ブテニル)イミダゾール[4,5,l-jk][l,4]-ベンゾジアゼピン-2(lH)-チオン;TIBO 82913:(+)-(5S)-4,5,6,7,-テトラヒドロ-9-クロロ-5-メチル-6-(3-メチル-2-ブテニル)イミダゾール[4,5,ljk]-[1,4]ベンゾ-ジアゼピン-2(lH)-チオン;TSAO-m3T:[2',5'-ビス-O-(tert-ブチルジメチルシリル)-3'-スピロ-5'-(4'-アミノ-1',2'-オキサチオール-2',2'-ジオキシド)]-b-D-ペントフィアラノシル-N3-メチルチミン;U90152:1-[3-[(1-メチルエチル)-アミノ]-2-ピリジニル]-4-[[5-[(メチルスルホニル)-アミノ]-lH-インドール-2イル]カルボニル]-ピペラジン;UC:チオカルボキサニリド誘導体(ユニロイヤル);UC-781=N-[4-クロロ-3-(3-メチル-2-ブテニルオキシ)フェニル]-2-メチル-3-フランカルボチオアミド;UC-82=N-[4-クロロ-3-(3-メチル-2-ブテニルオキシ)フェニル]-2-メチル-3-チオフェンカルボチオアミド;VB 11,328:ヒドロキシエチル-スルホンアミドプロテアーゼ阻害剤;VX-478:ヒドロキシエチルスルホンアミドプロテアーゼ阻害剤;XM 323:環状尿素プロテアーゼ阻害剤が挙げられる。
【0111】
ある実施態様において、好適な第2の薬剤としては、HCV酵素の生物が経口利用できる小分子の阻害剤、ウィルスENAを攻撃する核酸をベースとした薬剤、宿主免疫応答を調節することができる薬剤が挙げられる。例示的な第2の薬剤としては、(i)現在承認されている治療薬(peg-インターフェロン+リバビリン)、(ii)HCV-酵素標的化化合物、(iii)ウィルス-ゲノム-標的化治療薬(例えばRNAインターフェロン又はRNAi)、及び(iv)リバビリン、インターフェロン(INF)及びToll受容体アゴニスト等の免疫調節剤が挙げられる。
【0112】
ある実施態様において、第2の薬剤は、NS3-4Aプロテアーゼのモジュレータである。NS3-4Aプロテアーゼは、NS3タンパク質のアミノ末端領域及び小さいNS4A共同因子を含むヘテロ二量体プロテアーゼである。その活性は、ウィルスRNA複製複合体の成分の生成に不可欠である。
1つの有用なNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤は、ペプチド生成物阻害剤の大環状模倣体であるBILN 2061(シルプレヴィル;Boehringer Ingelheim社)である。BILN 2061の臨床試験は、中止されたが(前臨床心臓毒性)、それは、ヒトにおいて試験された最初のNS3であった。その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているLamarreらの論文、2003, Nature 426:186-189を参照されたい。
【0113】
別の有用なNS3-4Aプロテアーゼ阻害剤は、NS3-4Aプロテアーゼのプロテアーゼ開裂生成物由来ペプチド様阻害剤であるVX-950(Vertex/Mitsubishi社)である。それは、ケトアミドを介して酵素の活性化部位に安定化されると考えられる。例えば、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているLinらの論文、2005, J Biol Chem.原稿 M506462200 (epublication);Summaの論文、2005, Citrr Opin Investig Drugs. 6:831-7を参照されたい。
ある実施態様において、第2の薬剤は、HCV NS5B、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)のモジュレータである。RdRpは、NS5Bタンパク質内に含まれ、RNA鋳型を使用してRNAを合成する。この生化学活性は、哺乳類細胞に存在しない。
【0114】
RdRpの1つの有用なモジュレータは、NM283(バロピシタビン;Idenix/Novartis社)である。NM283は、HCV感染の治療又は予防用の第2相試験におけるNM107(2-C-メチル-シチジン)の経口プロドラッグ(バリンエステル)である。例えば、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれている米国特許出願第20040077587号を参照されたい。
RdRpの他の有用なモジュレータとしては、7-デアザヌクレオシド類似体が挙げられる。例えば、7-デアザ-2'-C-メチルアデノシンは、優れた薬理学的特性を有する、C型肝炎ウィルスの強力且つ選択的な阻害剤である(その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているOlsenらの論文、2004, Antimicrob. Agents Chemother. 48:3944-3953)。
【0115】
さらなる実施態様において、第2の薬剤は、NS5Bの非ヌクレオシドモジュレータである。NS5B阻害剤の少なくとも3つの異なる種類の非ヌクレオシド阻害剤(NNI)の評価が臨床現場で行われている。
NS5Bの有用な非ヌクレオシドモジュレータとしては、JTK-003及びJTK-009が挙げられる。JTK-003は、第2相に進められた。NS5Bの有用な非ヌクレオシドモジュレータとしては、ベンゾイミダゾール又はインドール核をベースとした6,5-融合複素環状化合物が挙げられる。例えば、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているHashimotoらの文献、WO 00147883を参照されたい。
【0116】
さらに有用なポリメラーゼNNIとしては、R803(Rigel社)並びにHCV-371、HCV-086及びHCV-796(ViroPharma/Wyeth社)が挙げられる。さらなる有用なNNIとしては、NS5Bポリメラーゼの可逆アロステリック阻害剤であり、ベンズイミダゾールをベースとした阻害剤に占有された部位に近いが、それとは異なる部位に結合するチオフェン誘導体が挙げられる。例えば、Biswalらの論文、2005, J. Biol. Chem.280, 18202-18210 (2005)を参照されたい。
本明細書で提供される方法に対するさらに有用なNNIとしては、ベンゾ-1,2,4-チアジアジン等のベンゾチアジアジンが挙げられる。ベンゾ-1,2,4-チアジンは、HCV RNAポリメラーゼの高度に選択的な阻害剤であることが示された(その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているDhanakらの論文、2002, J. Biol. Chem. 277:38322-38327)。
【0117】
本明細書で提供される方法に対するさらなる有用なNNI、及びそれらの機構は、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているLaPlanteらの論文、2004 Angew Chem. Int. Ed. Engl. 43:4306-4311;Tomeiらの論文、2003, J. Virol. 77:13225-13231;Di Marcoらの論文、2005, J. Biol. Chem. 280:29765-70;Lu, H.の文献, WO 2005/000308;Chanらの論文、2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:797-800;Chanらの論文、2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:793-796;Wangらの論文、2003, J. Biol. Chem. 278:9489-9495;Loveらの論文、2003, J. Virol 77:7575-7581;Guらの論文、2003, J. Biol. Chem. 278:16602-16607;Tomeiらの論文、2004, J. Virol 78:938-946;及びNguyenらの論文、2003, Antimicrob. Agents Chemother. 47:3525-3530;に記載されている。
【0118】
さらなる実施態様において、第2の薬剤は、HCVポリヌクレオチドに向けられる小阻害性RNA(siRNA)又は短ヘアピンRNA(shRNA)等のHCV RNAに干渉することが可能な薬剤である。組織培養において、ウィルスゲノムに対して指示されるsiRNA及びベクターコード化短ヘアピンRNA shRNAは、HCVレプリコンの複製を効果的に阻止する。例えば、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているRandallらの論文、2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:235-240を参照されたい。
【0119】
さらなる実施態様において、第2の薬剤は、被検体の免疫応答を調節する薬剤である。例えば、ある実施態様において、第2の薬剤は、インターフェロン(IFN)、ペギル化IFN、IFN+リバビリン又はペギル化IFN+リバビリン等のHCV感染について現在承認されている療法であり得る。ある実施態様において、インターフェロンとしては、IFNα、IFNα2a及びIFNα2b、特にペギル化IFNα2a(PEGASYS(登録商標))又はペギル化IFNα2b(PEG-INTRON(登録商標))が挙げられる。
【0120】
さらなる実施態様において、第2の薬剤は、Toll様受容体(TLR)のモジュレータである。TLRは、先天の抗ウィルス応答を刺激するための標的であると考えられている。好適なTLRとしては、TLR3、TLR7、TLR8及びTLR9が挙げられるが、それらに限定されない。Toll様受容体は、細菌、ウィルス及び寄生虫等の侵入微生物の存在を感知すると考えられている。それらは、マクロファージ、単球、樹状細胞及びB細胞を含む免疫細胞に発現している。TLRの刺激又は活性化は、抗微生物遺伝子並びに炎症誘発性サイトカイン及びケモカインの誘導による急性炎症応答を起こし得る。
【0121】
ある実施態様において、第2の薬剤は、CpGモチーフを含むポリヌクレオチドである。非メチル化CpGモチーフを含有する合成オリゴヌクレオチドは、TLR-9の強力なアゴニストである。樹状細胞をこれらのオリゴヌクレオチドで刺激すると、腫瘍壊死因子-アルファ、インターロイキン-12及びIFN-アルファが生成する。TLR-9リガンドは、B-細胞増殖及び抗体排泄の強力な刺激物質でもある。1つの有用なCpG含有オリゴヌクレオチドは、臨床現場で評価されたCPG-10101(アクチロン;Coley Pharmaceutical Group)である。
【0122】
TLRの別の有用なモジュレータは、ANA975(Anadys社)である。ANA975は、TLR-7を通じて作用すると考えられ、IFN-アルファ等の炎症性サイトカインの誘導及び放出を介して強力な抗ウィルス応答を誘発することが知られている。
別の実施態様において、第2の薬剤は、セルゴシビルである。セルゴシビルは、アルファ-グルコシダーゼI阻害剤であり、宿主誘導グリコシル化を通じて作用する。前臨床試験において、セルゴシビルは、IFNα+リバビリンと強い相乗作用を示した。例えば、Whitbyらの論文、2004, Antivir Chem Chemother. 15(3):141-51を参照されたい。セルゴシビルは、カナダの慢性的HCV患者における第2相単独療法で現在評価されている。
【0123】
さらなる免疫調節薬剤、及びそれらの機構又は標的は、その内容が全面的に引用により本明細書に組み込まれているSchetter及びVollmerの論文、2004, Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 7:204-210;Takedaらの論文、2003, Annu. Rev. Immunol 21 :335-376;Leeらの論文、2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:6646-6651;Hosmansらの論文、2004, Hepatology 40 (Suppl. 1), 282A;及び米国特許第6,924,271号に記載されている。
【0124】
ある実施態様において、本明細書で提供される化合物を1以上の抗癌剤と組み合わせて投与することができる。即効性化合物と併用される抗癌剤としては、抗葉酸、5-フルオロピリミジン(5-フルオロウラシルを含む)、β-L-1,3-ジオキソラニルシチジン又はβ-L-1,3-ジオキソラニル5-フルオロシチジン等のシチジン類似体、抗代謝剤(プリン抗代謝剤、シタラビン、フダラビン、フロクスウリジン、6-メルカプトプリン、メトトレキセート及び6-チオグアニンを含む)、ヒドロキシ尿素、有糸分裂阻害剤(CPT-11、エトポシド(VP-21)、タキソール、及びビンクリスチン及びビンブラスチン等のビンカアルカロイドを含む)、アルキル化剤(ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イフォファミド、メクロレタミン、メルファラン及びチオテパを含むが、それらに限定されない)、非古典的アルキル化剤、白金含有化合物、ブレオマイシン、抗腫瘍抗生物質、ドキソルビシン及びダンノマイシン等のアントラシクリン、アントラセネジオン、トポイソメラーゼII阻害剤、ホルモン剤(コルチコステロイド(デキサメタソン、プレドニソン及びメチルプレドニソン)、フルオキシメステロン及びメチルテストステロン等のアンドロゲン、ジエチルスチルベステロール等のエストロゲン、タモキシフェン等の抗エストロゲン、ロイプロリド等のLHRH類似体、フルタミド等の抗アンドロゲン、アミノグルテチミド、酢酸メゲステロール、及びメドロキシプロゲステロンを含むが、それらに限定されない)、アスパラギナーゼ、カルムスチン、ロムスチン、ヘキサメチル-メラミン、デカルバジン、ミトタン、ストレプトゾシン、シスプラチン、カルボプラチン、レバマソール及びロイコボリンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物を酵素治療薬、並びにインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、マクロファージコロニー刺激因子及びコロニー刺激因子等の免疫系モジュレータと併用することもできる。
【0125】
本明細書で提供される化合物と、上記化合物の1以上、及び場合によって1以上のさらなる薬理学的に活性な物質との任意の好適な組合せも本発明の範囲に含まれるものと考えられることを理解されたい。別の実施態様において、本明細書で提供される化合物を1以上のさらなる活性成分の前又は後に投与する。
以下の実施例は、単に例示を目的として提示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0126】
実施例6、7及び8に、PPen-U 22、PPen-C 23及びPPen-T 24の合成を詳細に説明する。ウラシル及びチミンとのミツノブ反応によって、対応するジエチルホスホノエステルが得られ、それらを加水分解して、PPen-U 22及びPPen-T 24を得た。PPen-Cのジエチルホスホノエステル20をPPen-Uのジエチルホスホノエステル19から得た。TMSBrを使用することによって、化合物20をPPen-C 23に変換した。実施例9、10及び11は、PPen-U 22、PPen-C 23及びPPen-T 24のHDP誘導体の合成を示す。
【0127】
(実施例1)
((5-ヒドロキシ-ペント-3-エニル)-ホスホン酸ジエチルエステルの合成)
A.2-ブチル-3-イニルオキシ-テトラヒドロ-ピラン(2)
3-ブチン-1-オール1(1.00g、14.3mmol)及びPPTS(0.72g、2.9mmol)をCHCl(20mL)に溶解させた溶液をジヒドロピラン(1.7mL、19mmol)で滴下処理し、得られた混合物を一晩攪拌した。反応混合物をCHCl(80mL)で希釈し、0.02NのNaOH(50mL)及び塩水(100mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮し、残渣をシリカゲル上でヘキサン中3〜5%EtOAcにより精製して、1.90gの化合物2(12.3mmol、収率86%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 4.63 (t, J = 3.4 Hz, 1H), 3.92〜3.77 (m, 2H), 3.59〜3.45 (m, 2H), 2.47 (td, J = 7.1, 2.8 Hz, 2H), 1.96 (t, J = 2.5 Hz, 1H), 1.90〜1.44 (m, 6H).
【0128】
B.5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペント-2-イン-1-オール(3)
化合物2(11.0g、71.3mmol)をTHF(80mL)に溶解させた溶液を、n-BuLiをヘキサン(58mL、92.8mmol)に溶解させた1.6M溶液で、0℃で20分間にわたり滴下処理した。30分後に、パラホルムアルデヒド(6.4g)を0℃で反応混合物に添加した。5時間後に、反応混合物を0℃のNHCl水溶液で反応停止させ、EtOAc(200mL)で希釈し、NHCl水溶液及び塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中20%EtOAcで精製して、8.15gの化合物3(44.2mmol、収率62%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 4.63 (t, J = 3.4 Hz, 1H), 4.22 (t, J = 2.1 Hz, 2H), 3.91〜3.76 (m, 2H), 3.59〜3.46 (m, 2H), 2.51 (tt, J = 7.1, 2.2 Hz, 2H), 1.86〜1.46 (m, 6H).
【0129】
C.tert-ブチル-ジフェニル-[5-(テトラヒドロ-ピラン-2-イルオキシ)-ペント-2-イニルオキシ]-シラン(4)
化合物3及びイミダゾールをCHClに溶解させた溶液を0℃で2時間にわたってTBDPSCIで滴下処理した。反応混合物をCHCl(300mL)で希釈し、水(200mL)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中10%EtOAcで精製して、18.0gの化合物4(42.6mmol、収率96%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.80〜7.64 (m, 4H), 7.49〜7.34 (m, 6H), 4.63 (t, J = 3.6 Hz, 1H), 4.31 (t, J = 1.9 Hz, 2H), 3.93〜3.83 (m, 1H), 3.77 (dt, J = 9.7, 7.1 Hz, 1H), 3.55〜3.44 (m, 2H), 2.48 (tt, J = 7.1, 2.1 Hz, 2H), 1.89〜1.46 (m, 6H), 1.06 (s, 9H).
【0130】
D.5-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-ペント-3-イン-1-オール(5)
化合物4(6.12g、14.5mmol)をMeOH(100mL)に溶解させた溶液を室温にて一晩PPTS(0.36g、1.43mmol)で処理した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中20%EtOAcで精製して、3.84gの生成物5(11.3mmol、78%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.80〜7.66 (m, 4H), 7.49〜7.35 (m, 6H), 4.33 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 3.60 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.40 (tt, J = 2.2, 6.1 Hz, 2H) 1.05 (s, 9H).
【0131】
E.(5-ブロモ-ペント-2-イニルオキシ)-tert-ブチル-ジフェニル-シラン(6)
化合物5(1.09g、3.22mmol)及びCBr(1.28g、3.86mmol)をCHCl(70mL)に溶解させた溶液を、Ph3P(1.27g、4.84mmol)をCHCl(30mL)に溶解させた溶液で、-78℃にて滴下処理した。30分後、反応混合物を2時間にわたって室温まで徐々に加温し、次いで一晩攪拌した。反応混合物をシリカゲルパッドに注いだ。濾液を濃縮して乾燥状態にした。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中0〜2%EtOAcで精製して、1.28gの生成物6(3.19mmol、収率99%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.80〜7.65 (m, 4H), 7.50〜7.32 (m, 6H), 4.34 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 3.35 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 2.73 (tt, J = 2.1, 6.0 Hz, 2H) 1.08 (s, 9H).
【0132】
F.[5-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-ペント-3-イニル]-ホスホン酸ジエチルエステル(7)
化合物6(3.24g、80.7mmol)とリン酸トリエチル(40mL)の混合物を窒素雰囲気下で一晩還流させた。蒸発後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりヘキサン中50%EtOAcで精製して、3.26gの生成物7(7.90mmol、収率98%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.77〜7.64 (m, 4H), 7.46〜7.32 (m, 6H), 4.29 (t, J = 1.9 Hz, 2H), 4.16〜4.02 (m, 4H), 2.50〜2.34 (m, 2H), 1.96〜1.82 (m, 2H), 1.31 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.04 (s, 9H); 31P NMR (CDCl3) δ 30.43.
【0133】
G.[5-(tert-ブチル-ジフェニル-シラニルオキシ)-ペント-3-エニル]-ホスホン酸ジエチルエステル(8)
化合物7(5.00g、10.9mmol)とリンドラー触媒(鉛で汚染された炭酸カルシウム上5%パラジウム)をMeOHに含めた混合物を、バルーンを使用してHで処理した。一晩経過後、反応混合物を濾過し、濃縮して乾燥状態として、2.50gの生成物8(5.5mmol、収率50%)を得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.73〜7.56 (m, 4H), 7.44〜7.32 (m, 6H), 5.68〜5.57 (m, 1H), 5.45〜5.34 (m, 1H), 4.25 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.08〜3.97 (m, 4H), 2.24〜2.10 (m, 2H), 1.74〜1.61 (m, 2H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.03 (s, 9H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 32.17.
【0134】
H.(5-ヒドロキシ-ペント-3-エニル)-ホスホン酸ジエチルエステル(9)
化合物8(0.67g、1.46mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶解させた溶液を、TBAFをTHF(1.7mL)に溶解させた1.0M溶液で、0℃にて処理した。1時間後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCHCl中5%MeOHで精製して、0.32gの生成物9(1.44mmol、収率99%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 5.66〜5.47 (m, 2H), 4.16〜4.02 (m, 6H), 2.43〜2.28 (m, 2H), 1.94〜1.79 (m, 2H), 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 33.47.
【0135】
(実施例2)
(9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-アデニン(13、PPen-A)の合成)
A.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-アデニンジエチルホスホノエステル(10)
アデニン(0.49g、0.36mmol)をDMFに溶解させた溶液を、化合物9(0.32g、1.4mmol)を含むフラスコに添加した。得られた混合物を、Ph3P(0.94g、0.36mmol)及びDIAD(0.70mL、0.36mmol)で0℃にて順次処理した。一晩経過後、混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCHCl中5〜10%MeOHで精製して、0.20gの生成物10(0.589mmol、収率42%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 8.36 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 5.83 (br s, 2H), 5.82〜5.61 (m, 2H), 4.86 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 4.18〜4.02 (m, 4H), 2.63〜2.49 (m, 2H), 1.88 (dt, J = 17.9, 7.4 Hz, 2H), 1.32 (t, J = 6.9 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 31.71; MS (ESI) m/z 340 (M+H)+.
【0136】
B.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-アデニン(13、PPen-A)
化合物10(0.300g、0.884mmol)をアセトニトリルに溶解させた溶液を、TMSBr(5mL)で室温にて一晩処理した。濃縮後、残渣を水(20mL)に溶解させ、得られた混合物を1時間攪拌した。反応混合物を濃縮して乾燥状態とした。残渣を水(4mL)に溶解させ、約pH8に調整した。得られた混合物を、DOWEX-1X2樹脂を含むカラムに充填し、勾配溶出剤(0Mから0.25MのHCOH)で精製して、0.180gの生成物13(0.636mmol、収率72%)を得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 8.20 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 5.74〜5.62 (m, 1H), 5.53〜5.41 (m, 1H), 4.78 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 2.33〜2.19 (m, 2H), 1.57〜1.43 (m, 2H); 31P NMR (DMSO-d6) δ 26.31; MS (ESI) m/z 284 (M+H)+, 282 (M-H)-.
【0137】
(実施例3)
(9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-グアニン(15、PPen-G)の合成)
A.2-アミノ-6-クロロ-9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-プリンジエチルホスホノエステル(11)
実施例2Aの手順を用いて、2-アミノ-6-クロロプリン及び化合物9から調製した。1H NMR (CDCl3) δ 7.76 (s, 1H), 5.75 (br s, 2H), 5.72〜5.48 (m, 2H), 4.67 (d, J = 6.1 Hz, 2H), 4.17〜4.01 (m, 4H), 2.74〜2.56 (m, 2H), 1.94〜1.78 (m, 2H), 1.30 (t, J = 7.1 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 332.37; MS (ESI) m/z 374 (M+H)+, 372 (M-H)-.
【0138】
B.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-グアニンジエチルホスホノエステル(12)
化合物11(0.200g、0.535mmol)を30mLの88%HCOHに溶解させた溶液を100℃で8時間攪拌した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCHCl中10%MeOHで精製して、0.170gの生成物12(0.478mmol、収率89%)を得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 8.97 (s, 1H), 5.90〜5.77 (m, 1H), 5.75〜5.63 (m, 1H), 4.89 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 4.17〜4.04 (m, 4H), 2.70〜2.50 (m, 2H), 2.06〜1.87 (m, 2H), 1.33 (t, J = 6.9 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 33.48; MS (ESI) m/z 356 (M+H)+, 354 (M-H)-.
【0139】
C.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-グアニン(15、PPen-G)
化合物13を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物15を0.563mmolスケールで、収率95%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 8.71 (s, 1H), 5.84〜5.73 (m, 1H), 5.54〜5.48 (m, 1H), 4.74 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 2.44〜2.29 (m, 2H), 1.79〜1.65 (m, 2H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 29.97; MS (ESI) m/z 300 (M+H)+, 298 (M-H)-.
【0140】
(実施例4)
(9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-アデニンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(16、HDP-PPen-A)の合成)
A.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-アデニンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(16)
化合物13(0.120g、0.424mmol)、3-ヘキサデシルオキシ-プロパン-1-オール(HDPOH)(0.191g、0.64mmol)及びDMAP(0.078g、0.64mmol)をDMF(10mL)に溶解させた溶液を、室温にてDCC(0.262g、1.26mmol)で処理した。反応混合物を80℃まで加温し、一晩攪拌した。濃縮後、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、クロロホルムと、メタノールと、アンモニア水と、水との勾配混合物(80:20:1:1から100:40:3:3)で精製して、0.065gの生成物16(0.115mmol、収率27%)を得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 8.21 (s, 1H), 8.19 (s, 1H) 5.84〜5.74 (m, 1H), 5.65〜5.57 (m, 1H), 4.92 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 3.94 (q, J = 6.2 Hz, 2H), 3.52 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.37 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.58〜2.44 (m, 2H), 1.90〜1.78 (m, 2H), 1.74〜1.62 (m, 2H), 1.54〜1.43 (m, 2H), 1.36〜1.14 (m, 12H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 25.89; MS (ESI) m/z 566 (M+H)+, 564 (M-H)-.
【0141】
(実施例5)
(9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-グアニンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(18、HDP-PPen-G)の合成)
A.2-アミノ-6-クロロ-9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-プリン(14)
化合物13を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物14を、化合物11から0.576mmolスケールで得た。さらに精製することなく、化合物14を次の反応に使用した。1H NMR (MeOH-d4) δ 9.09 (s, 1H), 5.93〜5.81 (m, 1H), 5.78〜5.63 (m, 1H), 4.91 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 2.72〜2.54 (m, 2H), 1.96〜1.81 (m, 2H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 30.23.
【0142】
B.2-アミノ-6-クロロ-9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-プリンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(17)
化合物16を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物17を0.598mmolスケールで、収率56%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.79 (s, 1H) 5.76〜5.68 (m, 1H), 5.57〜5.49 (m, 1H), 4.72 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 3.95 (q, J = 6.6 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 3.39 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.62〜2.52 (m, 2H), 1.90〜1.82 (m, 2H), 1.74〜1.64 (m, 2H), 1.56〜1.46 (m, 2H), 1.36〜1.12 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 26.46.
【0143】
C.9-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-グアニンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(18、HDP-PPen-G)
化合物17(0.200g、0.333mmol)を88%HCOH(40mL)に溶解させた溶液を、100℃で一晩攪拌した。濃縮後、残渣をクロロホルムと、メタノールと、アンモニア水と、水との勾配混合物(80:20:1:1から70:58:8:8)で精製して、0.120gの生成物18(0.206mmol、収率62%)を得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.75 (s, 1H) 5.76〜5.66 (m, 1H), 5.56〜5.48 (m, 1H), 4.71 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 3.94 (q, J = 5.9 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.39 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.62〜2.52 (m, 2H), 1.90〜1.82 (m, 2H), 1.72〜1.62 (m, 2H), 1.54〜4.47 (m, 2H), 1.34〜1.22 (m, 12H), 0.89 (t, J = 7.0 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 26.14; MS (ESI) m/z 582 (M+H)+, 580 (M-H)-.
【0144】
(実施例6)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-ウラシル(22、PPen-U)の合成)
A.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-ウラシルジエチルホスホノエステル(19)
化合物9(0.20g、0.90mmol)、3-ベンゾイル-ウラシル(0.24g、1.1mmol)及びPh3P(0.29g、1.1mmol)をDMFに溶解させた溶液を、0℃にてDIAD(0.21mL、1.1mmol)で滴下処理した。2時間後、反応混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCHCl中2%MeOHで精製した。ベンゾイル保護中間体をMeOH(50mL)中2Nアンモニアに溶解させ、一晩攪拌した。得られた混合物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによりCHCl中5%MeOHで精製して、0.23gの生成物19(0.73mmol、収率81%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 8.66 (br s, 1H), 7.31 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.76〜5.66 (m, 1H), 5.69 (dd, J = 7.7, 2.0 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 4.16〜4.02 (m, 4H), 2.53〜2.42 (m, 2H), 1.89〜1.80 (m, 2H), 1.32 (t, J = 7.0 Hz, 3H); 31P NMR (CDCl3) δ 31.80; MS (ESI) m/z 317 (M+H)+, 315 (M-H)-.
【0145】
A.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-ウラシル(22、PPen-U)
化合物13を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物22を1.26mmolスケールで、収率98%で得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 11.23 (s, 1H), 7.69 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.68〜5.57 (m, 1H), 5.52 (d, J = 6.7 Hz, 1H), 5.39〜5.18 (m, 1H), 4.28 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 2.36〜2.22 (m, 2H), 1.64〜1.51 (m, 2H); 31P NMR (DMSO-d6) δ 26.38; MS (ESI) m/z 261 (M+H)+, 259 (M-H)-.
【0146】
(実施例7)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-シトシン(23、PPen-C)の合成)
A.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-シトシンジエチルホスホノエステル(20)
化合物19(0.73g、2.3mmol)、TEA(0.97mL、7.0mmol)及びDMAP(0.28g、2.3mmol)をアセトニトリルに溶解させた溶液を、室温にて3時間にわたって塩化2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニル(2.1g、6.9mmol)で処理した。反応混合物にアンモニア水(5mL)を添加した。得られた混合物を1時間攪拌した。濃縮後、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、クロロホルムと、メタノールと、アンモニア水と、水との勾配混合物(240:20:1:1)で精製して、0.55gの生成物20(1.74mmol、収率75%)を得た。1H NMR (CDCl3) δ 7.34 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 5.80 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 5.72〜5.61 (m, 1H), 5.56〜5.46 (m, 1H), 4.44 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.16〜4.02 (m, 4H), 2.54〜2.39 (m, 2H), 2.17 (br s, 2H), 1.91〜1.78 (m, 2H), 1.32 (t, J = 7.1 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 32.06; MS (ESI) m/z 316 (M+H)+, 314 (M-H)-.
【0147】
B.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-シトシン(23、PPen-C)
化合物13を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物23を1.30mmolスケールで、収率71%で得た。1H NMR (DMSO-d6) δ 7.52 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.04 (br s, 1H), 6.98 (br s, 1H), 5.62 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.66〜5.53 (m, 1H), 5.37〜5.26 (m, 1H), 4.26 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 2.37〜2.23 (m, 2H), 1.63〜1.50 (m, 2H); 31P NMR (DMSO-d6) δ 26.14; MS (ESI) m/z 260 (M+H)+, 258 (M-H)-.
【0148】
(実施例8)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-チミン(24、PPen-T)の合成)
A.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)チミンジエチルホスホノエステル(21)
化合物19を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物21を1.44mmolスケールで、収率78%で得た。1H NMR (CDCl3) δ 8.46 (br s, 1H), 7.11 (s, 1H), 5.78〜5.66 (m, 1H), 5.52〜5.41 (m, 1H), 4.38 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 4.20〜4.02 (m, 4H), 2.55〜2.41 (m, 2H), 1.91 (s, 3H), 1.91〜1.78 (m, 2H), 1.33 (t, J = 7.1 Hz, 6H); 31P NMR (CDCl3) δ 31.84; HRMS 実測値, m/z 330.1352, C1423Pの計算値, m/z 330.1339 M+.
【0149】
B.1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-チミン(24、PPen-T)
化合物13を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物24を1.12mmolスケールで、収率85%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.41 (s 1H), 5.80〜5.65 (m, 1H), 5.53〜5.41 (m, 1H), 4.39 (d, J = 5.5 Hz, 2H), 2.56〜2.40 (m, 2H), 1.85 (s, 3H), 1.85〜1.74 (m, 2H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 30.40; HRMS 実測値, m/z 274.0727, C1015Pの計算値, m/z 274.0713 M+.
【0150】
(実施例9)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-ウラシルモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(25、HDP-PPen-U)の合成)
化合物16を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物25を0.50mmolスケールで、収率44%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.62 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.82〜5.71 (m, 1H), 5.65 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.50〜5.37 (m, 1H), 4.44 (d, J = 5.8 Hz, 2H), 3.93 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.50〜2.36 (m, 2H), 1.90〜1.81 (m, 2H), 1.70〜1.48 (m, 4H), 1.40〜1.20 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.2 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 25.90; MS (ESI) m/z 543 (M+H)+, 541 (M-H)-.
【0151】
(実施例10)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-シトシンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(26、HDP-PPen-C)の合成)
化合物16を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物17を0.58mmolスケールで、収率38%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.86 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 5.96 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 5.84〜5.72 (m, 1H), 5.52〜5.51 (m, 1H), 4.50 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 3.92 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.49〜2.35 (m, 2H), 1.91〜1.80 (m, 2H), 1.70〜1.45 (m, 4H), 1.36〜1.22 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 25.93; HRMS (xx) 実測値, m/z 541.3645, C2852Pの計算値, m/z 541.3639 M+.
【0152】
(実施例11)
(1-(5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イル)-チミンモノ-(3-ヘキサデシルオキシ-1-プロピル)ホスホノエステル(27、HDP-PPen-T)の合成)
化合物16を調製するための手順を参照されたい。表題の化合物17を0.58mmolスケールで、収率15%で得た。1H NMR (MeOH-d4) δ 7.44 (d, J = 1.1 Hz, 1H), 5.80〜5.69 (m, 1H), 5.47〜5.36 (m, 1H), 4.42 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 3.92 (q, J = 6.3 Hz, 2H), 3.53 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.50〜2.36 (m, 2H), 1.91〜1.81 (m, 2H), 1.87 (d, J = 1.1 Hz, 3H), 1.70〜1.48 (m, 4H), 1.35〜1.24 (m, 12H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H); 31P NMR (MeOH-d4) δ 25.62; HRMS (xx) 実測値, m/z 556.3643, C2953Pの計算値, m/z 556, 3636 M+.
【0153】
変更は、当業者にとって明らかであるため、本発明は、添付の請求項の範囲によってのみ制限されることを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式IA又はIBの化合物、又はその医薬として活性な誘導体:
【化1】

(式中、各Rは、独立に、水素、一価陽イオン又は親油性基であり、Bは、プリン塩基若しくはピリミジン塩基、又はその類似体である。)。
【請求項2】
以下の式を有する、請求項1記載の化合物:
【化2】


【請求項3】
Rは、水素、一価陽イオン、置換又は非置換のC8〜C24アルキル、又は1から6個の二重結合を有する置換又は非置換のC8〜C24アルケニルであり、置換基は、存在する場合は、1以上のハロゲン、アルキル、-OH、-SH、シクロアルキル及びエポキシドから選択される、請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
Rが、以下の式を有する、請求項1〜4のいずれか記載の化合物:
【化3】

(式中、
R1及びR1aは、独立に、-H、-O(C1〜C24)アルキル、-O(C1〜C24)アルケニル、-O(C1〜C24)アシル、-S(C1〜C24)アルキル、-S(C1〜C24)アルケニル、又は-S(C1〜C24)アシルであり、式中R1及びR1aの少なくとも一方は-Hでなく、かつ式中アルケニル又はアシル成分は、任意に1から6個の二重結合を有し、
R2及びR2aは、独立に、-H、-O(C1〜C7)アルキル、-O(C1〜C7)アルケニル、-S(C1〜C7)アルキル、-S(C1〜C7)アルケニル、-O(C1〜C7)アシル、-S(C1〜C7)アシル、-N(C1〜C7)アシル、-NH(C1〜C7)アルキル、-N((C1〜C7)アルキル)2、オキソ、ハロゲン、-NH2、-OH、又は-SHであり;
R6は、存在する場合は、
【化4】

であり;
L1は、原子価結合、又は式-J-(CR7R7a)t-G-の二官能性結合分子であり、式中tは、1から24の整数であり、J及びGは、独立に、-O-、-S-、-C(O)O-、又は-NH-であり、かつR7及びR7aは、それぞれ独立に、-H、アルキル、又はアルケニルであり;
mは、0から6の整数であり;
nは、0又は1であり;式中R1、R1a、R2、R2a、R7及びR7aは、任意に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、擬ハロゲン、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからそれぞれ独立に選択される1から4の置換基で置換されている。)。
【請求項5】
Rが、以下の式を有する、請求項1〜4のいずれか記載の化合物:
【化5】


【請求項6】
Rが、以下の式を有する、請求項1〜4のいずれか記載の化合物:
【化6】


【請求項7】
Rが、以下の式を有する、請求項1〜4のいずれか記載の化合物:
【化7】


【請求項8】
Rが、ヘキサデシルオキシプロピル、オクタデシルオキシプロピル、又はオクタデシルオキシエチルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Rが、アセチル、バリル、ジピボキシル、ビス(ピバロイルオキシメチル)、又はジソプロキシルである、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Bが、以下の式である、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物:
【化8】

(式中、R3は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C3〜6シクロアルキル、ヒドロキシ、ハロ、アリール又はヘテロアリールであり;
R6は、H又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルであり;
R7は、H、ヒドロキシ、ハロ、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル又はNR4R5であり;
R8は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル又はシクロアルキルであり;
R9は、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、シクロアルキル、ハロ又はNR4R5であり;及び、
R4及びR5は、それぞれ独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、又はC3〜6シクロアルキルである。)。
【請求項11】
Bが、チミン-1-イル、シトシン-1-イル、ウラシル-1-イル、アデニン-9-イル、又はグアニン-9-イルである、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
Bが、以下の式から選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物:
【化9】


【請求項13】
5-ホスホノ-ペント-2-エン-イルアデニン、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルシトシン、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルグアニン、5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルチミン及び5-ホスホノ-ペント-2-エン-1-イルウラシルから選択される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
以下の式から選択される、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物:
【化10】


【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体を含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを含む、ウィルス感染の治療方法、予防方法又は改善方法。
【請求項17】
前記ウィルス感染が、インフルエンザウィルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、サイトメガロウィルス、水痘-帯状疱疹ウィルス、単純ヘルペスウィルス型及び2、エプスタイン-バーウィルス、ヘルペス6型及び8型ウィルス、水痘-帯状疱疹ウィルス、エプスタイン-バーウィルス感染、レトロウィルス感染、オルゾポックスウィルス、ワクシニア、エボラウィルス、アデノウィルス及びパピローマウィルスによって引き起こされる、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記ウィルス感染が、薬剤抵抗性B型肝炎ウィルスの感染である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを含む、増殖性腫瘍の治療方法、予防方法又は改善方法。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを含む、細胞増殖を調節する方法。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の有効量を投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項22】
前記癌が、肺癌、頭及び頚部扁平上皮癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、急性リンパ性白血病、成人急性骨髄性白血病、成人非ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、子宮頚癌、小児癌、小児肉腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、食道癌、ヘアリーセル白血病、腎臓癌、肝臓癌、多発性骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、脾臓癌、主要中枢神経系リンパ腫及び皮膚癌から選択される、請求項21記載の方法。
【請求項23】
パッケージ材料、及び前記パッケージ材料内に含まれる請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物を含む製造品であって、前記化合物は、ウィルス感染又は細胞増殖に関連する疾病の治療に有効であり、かつ前記パッケージ材料は、前記化合物が、ウィルス感染又は細胞増殖に関連する疾病の治療に使用されることを示すラベルを含む、前記製造品。
【請求項24】
ウィルス感染の治療に使用するための、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
細胞増殖性疾病の治療に使用するための、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物。
【請求項26】
ウィルス感染の治療用医薬品の製剤のための、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項27】
細胞増殖性疾病の治療用医薬品の製剤のための、請求項1〜14のいずれか1項記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−534615(P2008−534615A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504456(P2008−504456)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/012117
【国際公開番号】WO2006/137953
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(507320225)ザ レゲントス オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (2)
【Fターム(参考)】