説明

ホットメルトサイズ剤をコーティングしたガラスストランドの製造方法、及び得られた製品

本発明は、熱可塑性サイズ剤をコーティングしたガラススレッドの製造方法に関する。溶融ガラスの流れを引き、1又はいくつかの連続フィラメント束の形態で1又はいくつかのチャンネルのベースにおける開口部から排出する。次に、フィラメントを、配置してスレッドとし、1又はいくつかの移動支持体上に集める。この方法は、ガラスフィラメント上にカップリング材を含有する第一組成物を付着させ、遅くともフィラメントを配置してスレッドするときに、熱溶融ポリマーを含有する第二組成物を溶融状態で付着させることからなる。また、本発明は、前記方法により得られたガラススレッド、及び前記スレッドを含む複合体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合体の構成に使用される強化ストランドの製造に関する。より詳細には、本発明は、ホットメルトサイズ剤でコーティングしたガラスストランドの製造方法に関し、さらに前記ストランドから得られるストランド及び前記ストランドから製造される複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ブッシングの非常に多くのオリフィスから流出する溶融ガラス流から、ガラス強化ストランドを製造することが知られている。これらのストランドを引いて連続フィラメントとし、次に、場合により、別の材料のフィラメントと組み合わせてから、アセンブルしてストランドとし、通常巻きパッケージの形態で集める。
【0003】
これらをストランドの形態でアセンブルする前に、装置を通してガラスフィラメントにサイズ剤又はサイズ組成物をコーティングする。サイズ剤を付着させることが、必須である。第一に、フィラメントが種々の加工部材との接触による摩耗から保護されることができ、製造中及び場合によりそれらの使用中の破壊が防止される、ストランドを得ることができる。第二に、サイズ剤により、ストランドを、強化すべき有機及び/又は無機材料と組み合わせることができる。これは、ストランドをこれらの材料により濡らし且つこれらの材料を含浸させることをより容易にすることによりおこなうことができるようになる。
【0004】
原則として、サイズ剤により、ガラスと、強化すべき材料との間の接着が増加して、改善された機械特性が得られる。また、サイズ剤は、フィラメントの相互の粘着を促進することにより、ストランドの一体性が向上する。この性質は、ストランドが製織中に高機械応力に耐えなければならない織物用途にとりわけ望ましい。
【0005】
最も一般的に使用されるサイズ組成物は、とりわけストランドがいっしょに集まった後に実施される熱処理の影響下で、フィラメント上への付着に続いて架橋できる化合物を含有する水性組成物(水85質量%超)である。製造及び付着が容易であるこれらのサイズ組成物は、極めて安定であり且つ早期には硬化しないので、保存中であるか又はブッシングの真下であるかとは無関係に、付着させることが不可能となるようなことはない。
【0006】
しかしながら、ストランドを強化すべき材料と効果的に組み合わせるためには、水を除去することが必要であり、このことは、一般的にオーブン中で巻きストランドパッケージを乾燥することによりおこなうことができる。しかしながら、この処理は、完全に満足なものであるというわけではない。これは、一方では、高価であり(オーブン及び操業コストの面での投資コスト、特にエネルギー消費に関連するコストは、かなりのものである)、他方では、そのサイズ剤の成分がパッケージの外側に移動して、ストランドの品質が変動するからである。ガラスフィラメントを熱可塑性有機材料のフィラメントと組み合わせた複合ストランドの場合には、有機フィラメントが、100℃付近の状態変化温度(例えば、ガラス転移温度)を有することがあり、このことが、これらのストランドをそこから水を除去するのに十分な高さの温度まで加熱する際の障害となることがある。
【0007】
乾燥を避ける一つの解決法は、加熱すると液体となり、冷却すると固形化する性質を有する熱可塑性ポリマーを主成分とするホットメルトサイズを用いることにある。熱い状態(その固化温度より高い温度)で適用したこのようなサイズ剤により、これらのフィラメントを多かれ少なかれ完全に被覆することができる。ポリマーの性質の選択は、強化するマトリックス及び/又は複合ストランドにおいて組み合わせられる有機フィラメントによって決まる。ストランドの加工性、及びこれらのストランドから製造される複合材料の機械的性能レベルに直接影響する。
【0008】
ホットメルトポリマーの欠点は、正しくガラスに接合する能力が不十分であることにある。複合ストランドの場合、これによりフィラメントの粘着が悪くなり、それらの性質によって一緒にグループ化する傾向があり、したがって、偏析を生じて、ループを形成することがある。製織等の用途の場合では、このストランドは、結び目が形成して、製織機が停止することがあるので使用することができない。
【0009】
この欠点を改善するためには、少なくとも一種のカップリング剤を、ガラス上に付着させたサイズ剤に添加する必要がある。カップリング剤は、ガラスと、強化すべきマトリックスの両方、及び場合により、ストランドが複合ストランドの場合にはガラスフィラメント以外のフィラメントに親和性を有していなければならない。また、カップリング剤は、サイズ剤の成分と相溶性でなければならないが、それらと早期に反応して粘度が実質的に増加したり、完全にゲル化したりして、ガラス上への付着が不可能になったりすることがあってはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、これらの成分間の早期又は不適当な反応を防止し且つ乾燥を必要としない、少なくとも一種のカップリング剤とホットメルトポリマーを含有する組成物によりサイジングしたガラスストランドの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、一つ以上のブッシングのベースに位置する複数のオリフィスから流出する溶融ガラス流を、1枚以上の連続フィラメントシートの形態で引き、次に該フィラメントをアセンブルして1本以上のストランドとし、これを一つ以上の移動支持体上に集める方法であって、カップリング剤を含有する第一組成物を該ガラスフィラメント上に付着させた後、ホットメルトポリマーを含む第二組成物を、その溶融状態で、前記フィラメント上に、遅くとも該フィラメントをアセンブルして一本以上のストランドにする間に付着させることを含む、本発明の方法により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の方法には、いくつかの利点がある。水をほとんど含まないサイズ剤を使用するので、ストランド乾燥処理が不要となり、大きく省力化できる。また、カップリング剤のガラスへの結合が改善される。カップリング剤をまず適用するので、ホットメルトポリマーと接触させる前にそれがガラスと反応するのに十分な時間がある。同様に、カップリング剤を別に付着させるので、ストランドへの最終量を、正確に調整できる。この方法により、蒸発によるカップリング剤の損失が抑制される。これは、カップリング剤が、室温で(すなわち、追加のエネルギーを供給することなく)冷却フィラメントに適用され、その結果、オペレータが毒性物質を吸入する恐れが極めて低いレベルに保たれ、実質的な節約となる(カップリング剤が、一般的にサイズ剤のコストの実質的な部分である)からである。
【0013】
本発明の方法は、これらの利点から、全長にわたって均一な品質を有するストランドを得ることができる。
【0014】
特に、この簡単に実行される方法は、カップリング剤とホットメルトポリマーがフィラメント上に別個に導入されるので、これらを選択する際の自由度が大きい。したがって、サイジング組成物の調製が単純化される。このことは、成分の相溶性及び/又は均一化の問題があるために困難なことがある。これらの問題は、サイズの保存及び付着中に顕著となることがある。さらに、この方法は、下記の種々のガラス系サイズストランドの製造に適用しても、同じ利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明によれば、用語「ガラスストランド」は、ガラス系ストランド、すなわち、ガラスフィラメントから単独で形成されるストランドだけでなく、ガラスフィラメントと熱可塑性有機材料のフィラメントから形成されたストランドをも意味する。後者の場合、ガラスフィラメントを引きながら、有機材料製の形成されたフィラメントを、押出しヘッドから押し出し、同時に混入させ(又は有機材料のストランドを、同時に、例えばパッケージから供給する)。ガラスフィラメントと有機材料のフィラメント(又はストランド)の経路が互いに交わり、その後、前記フィラメントがアセンブルされて少なくとも一つの機械的に混入した複合ストランドとする。
【0016】
これらのガラスフィラメントは、ブッシングからシートの形態で引くか、又は一つ以上のブッシングからいくつかのシートの形態で引くことができ、一つ以上のストランドにアセンブルできる。本発明による方法におけるガラスフィラメントの引き抜き速度は、一般的に6〜50メートル/秒、好ましくは9〜20メートル/秒である。
【0017】
本発明によれば、組成物、特にカップリング剤(第一組成物)を含有する組成物を、一般的に冷却したガラスフィラメント、すなわち、90℃を超えない温度、好ましくは75℃を超えない温度を有するものに付着させて、選択的に蒸発する危険を回避し且つフィラメント上に付着した材料の量をよりよく制御する。必要に応じて、フィラメントの冷却は、適当な流体をスプレーすることにより、例えばカップリング剤を付着する前に自然に蒸発する水をスプレーすること、及び/又は空気を吹きかけることにより加速することができる。
【0018】
カップリング剤を含有する第一組成物を、ガラスフィラメントを引きながら付着させてからアセンブルしてストランドとすることにより、アセンブル装置で破壊しないようにする。好ましくは、第一組成物は、フィラメントが上記した冷却温度に到達したらすぐ付着させて、ガラスとカップリング剤とが接触する時間を最大可能時間とする。これにより、ホットメルトポリマーを含有する第二組成物を適用する前にカップリング剤の結合を高めることができる。適用は、例えば、サイジングローラー、リップ付き装置又は噴霧器を用いておこなうことができる。好ましくは、サイジングローラーを使用する。
【0019】
ホットメルトポリマーを含有する第二組成物の付着は、フィラメントに第一組成物をコーティングした後であって、且つ遅くともフィラメントをアセンブルしてストランドとしながらおこなう。付着は、第一組成物に使用されるのと同じ装置を用いて実施できる。また、これらは、ホットメルトポリマーを溶融状態に保つための手段を備える必要がある。ホットメルト組成物を適用するための温度は、一般的に200℃未満であるか又は200℃であり、好ましくは160℃未満であるか又は160℃に等しく、さらに好ましくは100℃超である。温度は、ホットメルト組成物の粘度が、ガラスフィラメント上に正確に付着させるのに十分低く、且つ残留微量水を除去できる程度に十分低い温度を選択する。これらの要件は、粘度200〜600mPa.s、好ましくは300〜500mPa.s.付近の粘度で満足できる。上記した温度条件により、妥当なエネルギー消費量及びオペレータについての十分な安全条件を維持しながら、その特性を害するポリマーの熱分解の恐れがさらに減少する。
【0020】
ガラスフィラメントに最初に適用される組成物は、ガラスに接着でき且つ続いて付着されるホットメルトポリマーの接着を促進できる一種以上のカップリング剤を含む。カップリング剤は、例えば有機官能シラン、とりわけ一種以上の加水分解性基を含有するもの、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、チタネート及びジルコネートから選択できる。好ましいカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0021】
第一組成物は、さらに希釈剤を含むことができる。希釈剤は、カップリング剤(単一種又は複数種)を溶解しやすくする。必要に応じて用いられる希釈剤は、実質的に水、及び必要に応じてフィラメント保護、ストランド可撓性等のサイズにおいて少なくとも一つの特定の機能を示す有機化合物である。好ましくは、組成物は、毒性及び揮発性有機化合物(VOC)の放出上の理由で有機溶媒を含有しない。より好ましくは、組成物は、最小量ではあるが、許容条件下での付着に十分であり、組成物が一旦付着したらさらなるエネルギーを供給しなくても自然に蒸発できる量の水を含有している。
【0022】
組成物におけるカップリング剤の濃度は、適用条件、とりわけガラスフィラメントが引かれる速度、及び付着に使用される装置によって決まる。例えば、少なくとも5質量%のカップリング剤を含有している水性組成物を、サイジングローラーにより約9〜17メートル/秒の速度で走行しているフィラメント上に付着させることにより、良好な結果が得られる。
【0023】
第二組成物は、プロセスの条件下で付着させることができ且つ耐熱分解性である一種以上のポリマーを含むことができる。ホットメルトポリマーは、50℃未満の温度で固体であり、付着温度(一般的に約100〜200℃)での粘度が200〜600mPa.s、好ましくは300〜500mPa.sであるポリマーから選択できる。
【0024】
どのポリマーを選択するかは、実質的に強化されるべき材料によって決まる。特に、ポリマーは、最終複合体が良好なレベルの機械性能を有することが望ましいときには、前記材料と適合性があることが重要である。
【0025】
ストランドが複合体ストランドである場合には、その選択は、使用される熱可塑性フィラメントの性質にもよる。特に、ホットメルトポリマーがこれらのフィラメントと確実に適合することが必要である。これにより、反発作用を防止し、それらの性質(ガラス又は熱可塑性樹脂)によりフィラメントがいっしょにバンチングし、したがって、ストランド内で不均一に分布することが防止される。
【0026】
例えば、熱可塑性フィラメントが、ポリエチレン又はポリプロピレン等の一種以上のポリオレフィンから実質的になる場合には、ホットメルトポリマーは、エチレン及び/又はプロピレンと、アクリル酸又は無水マレイン酸とのコポリマーである。
【0027】
これらの同じフィラメントが一種以上の熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)から実質的になる場合には、ホットメルトポリマーは、エポキシ、例えばDGEBA(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル)基に属するものであることができる。
【0028】
ガラスフィラメント上に付着されたホットメルトポリマーの量は、一般的にガラスの2〜15質量%、好ましくは3〜8質量%である。15%を超えると、ストランドの形態でアセンブルされる前にフィラメント上でポリマーが凝固する状態が完了せず、フィラメント間で実質的な結合が生じる。このため、得られるストランドは、可撓性を欠いているので使用することができない。
【0029】
第二組成物は、さらに粘度を付着条件に適合させるための希釈剤を含有することができる。これは、通常ホットメルトポリマーと性質が類似しているが、カップリング剤と反応できないポリマー、例えばワックス、とりわけポリオレフィンワックスである。
【0030】
ガラスフィラメント上に付着された組成物は、さらにサイズに特定の性質を付与する一種以上の化合物を含有できる。これらの化合物(以下、用語「添加剤」と称する)は、組成物のうちのどれか、好ましくはホットメルト組成物により提供できる。
【0031】
添加剤として、とりわけ以下のものがあげられる:
−滑剤、好ましくは非イオン性滑剤;
−帯電防止剤;
−酸化防止剤;
−UV安定化剤;
−核形成剤;
−顔料。
【0032】
好ましくは、上記したカテゴリーの各々の薬剤の含量は、サイズの1質量%以下であり、添加剤の総含量は5%未満が有利である。
【0033】
カップリング剤及びホットメルトポリマーの選択及びさらにはそれらの量は、特に本発明によるストランドにより強化される材料及び意図する用途によって決まる。
【0034】
原則として、ガラスフィラメント上に付着される組成物の総量は、ガラスの2〜15質量%、好ましくは3〜8質量%である。
【0035】
サイズをコーティングしたガラスフィラメントは、アセンブルして1本以上の複合ストランドとする前に、熱可塑性有機材料のフィラメントと組み合わせることができる。組み合わせ操作は、一般的に熱可塑性フィラメントをガラスフィラメントシートにスプレーしてフィラメントの混ぜ合わせ物を得ることにより実施される。スプレーは、この役割りを満たす公知の手段、例えばベンチュリ装置により実施できる。
【0036】
フィラメントを構成する熱可塑性材料は、とりわけ押出しヘッド等の装置での押出しによりフィラメントを得ることができる材料から選択できる。例えば、ポリオレフィン、例えばポリエチレン及びポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテル及びポリアミド、例えばナイロン−11及びナイロン−12があげられる。
【0037】
ストランドは、一般的に回転支持体上に巻いたパッケージの形態で集めて、例えば連続ストランドのボビンを形成する。
【0038】
また、これらは、並進移動している受け入れ支持体上に集めて、連続又は細断して混ぜ合わされたストランドのマットを形成できる。このため、例えば、スプレーされたストランドの方向に対して横方向に動いている集合表面の方向にストランドをスプレーするための装置を使用することができる。この装置は、ストランドを引き且つ必要に応じて細断することもできる。
【0039】
したがって、本発明により得られるストランドは、集合後に種々の形態であることができる:連続ストランドのボビン(ロービング又はケーキ)、細断ストランド及びアセンブリ(マット又はネットワーク)。変換後、これらは、テープ、ブレード及び布の形態でよい。
【0040】
これらのストランドを構成するガラスフィラメントの直径は、10〜30μm、好ましくは14〜23μmであり、ガラスは、強化ストランドを製造するのに知られているいずれかのガラス、例えばEガラス、AR(耐アルカリ性)ガラス、Rガラス又はSガラスであることができる。Eガラス及びARガラスが好ましい。
【0041】
ストランドがガラスのみからなる場合、その線密度は、200〜4000tex、好ましくは640〜2000texで異なることができる。
【0042】
複合ストランドの場合、ガラス含量は、ストランドの30〜85質量%、好ましくは53〜83質量%で異なることができる。
【0043】
室温で、得られるストランドに、固化サイズ剤をコーティングする。固化サイズの質量含量は、ストランドの全長にわたって一定である。
【0044】
本発明のストランドは、強化されるべき種々の材料と組み合わせ、とりわけ良好な機械的特性を有する複合成分を製造してもよい。複合体は、少なくとも本発明によるストランドを、少なくとも一種の熱可塑性有機材料、例えばポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエステルと組み合わせることにより得るのが有利である。
【0045】
複合体におけるガラス含量は、一般的に20〜80質量%、好ましくは28〜60質量%である。
【0046】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらには限定されない。
【実施例】
【0047】
例1
800のオリフィスを備えたブッシングにより出力されるガラス流から得られた直径18.5μmのEガラスフィラメントを、14m/sの速度で機械的に引いた。
【0048】
これらの経路に沿って、これらに、サイジングローラーと接触させて、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST A1100、Crompton社販売)16.10質量%含有する水溶液をコーティングした。ローラー周囲の温度は、約40℃であった。
【0049】
次に、フィラメントを、第一サイジングローラーから約30cm離れて配置した第二サイジングローラー上を通過させ、140℃に加熱し、エチレン/アクリル酸コポリマー(AC540、Honeywell社販売)70質量%及びポリエチレン(AC617、Honeywell社販売)30質量%を含有する組成物を供給した。
【0050】
600個の孔を備えた押出しヘッドから押出したポリプロピレンフィラメントを、ベンチュリ装置を通過させ、第二サイジングローラー上を通過させた後に、それらをガラスフィラメントシートにスプレーした。次に、均質混合したガラス及びポリプロピレンフィラメントを、アセンブルして単一ストランドとし、巻いてロービングの形態とした。
【0051】
得られたストランドは、強熱減量4%のガラスフィラメント60質量%を含有していた。
【0052】
このストランドは、容易に取り扱うことができ、可撓性があり、一体であり、その全長にわたって均一なコーティングがほどこされ、ストランド内のガラスフィラメントとポリプロピレンフィラメントの分布が良好、すなわち、全てのフィラメントが実質的に混合されていた。また、これは、織ることができ、得られた織物を使用して、熱可塑性有機材料、とりわけポリオレフィン(PE及びPP)を強化することができた。
【0053】
例2(比較例)
この例は、2種の組成物を予備混合して単一組成物とし、それを加熱したサイジングローラーによりフィラメント上に付着させた以外は、例1と同じ条件で実施した。
【0054】
得られた組成物は、極めて高い粘度を有し、サイジングローラーを用いてフィラメントに適用することができなかった。
【0055】
例3
800のオリフィスを備えたブッシングにより出力されるガラス流から得られた直径18.5μmのEガラスフィラメントを、14m/sの速度で機械的に引いた。
【0056】
これらの経路に沿って、これらに、サイジングローラーと接触させて、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST A1100、Crompton社販売)16.10質量%含有する水溶液をコーティングした。ローラー周囲の温度は、約40℃であった。
【0057】
次に、フィラメントを、第一サイジングローラーから約30cm離れて配置した第二サイジングローラー上を通過させ、140℃に加熱し、DGEBA型エポキシポリマー(DER671、Dow Chemical社販売)を供給した。
【0058】
600個の孔を備えた押出しヘッドから押出したポリエチレンテレフタレートフィラメントを、ベンチュリ装置を通過させ、第二サイジングローラー上を通過させた後に、それらをガラスフィラメントシートにスプレーした。次に、均質混合したガラス及びポリエチレンテレフタレートフィラメントを、アセンブルして単一ストランドとし、巻いてロービングの形態とした。
【0059】
得られたストランドは、ガラス65%からなるものであった。これは、扱いが容易であり、例1のストランドと類似の性質をしていた。
【0060】
このストランドは、とりわけ窓の断面材の製造のためのPVCにおける強化材として使用できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のブッシングのベースに位置する複数のオリフィスから流出する溶融ガラス流を、1枚以上の連続フィラメントシートの形態で引き、次に該フィラメントをアセンブルして1本以上のストランドとし、これを一つ以上の移動支持体上に集めるに際し、カップリング剤を含有する第一組成物を該ガラスフィラメント上に付着させた後、ホットメルトポリマーを含む第二組成物を、その溶融状態で、前記フィラメント上に、遅くとも該フィラメントをアセンブルして一本以上のストランドにする間に付着させることを特徴とする、サイジングされたガラスストランドの製造方法。
【請求項2】
前記第一組成物を、90℃を超えない温度に冷却したガラスフィラメント上に付着させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィラメントの冷却を、流体をスプレーすること、とりわけ水をスプレーするか又は空気をふきかけることにより加速することを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カップリング剤を、有機官能性シラン、とりわけ一つ以上の加水分解性基を有するもの、チタネート及びジルコネートから選択されたものであることを特徴とする、請求項1〜3のうちの1項に記載の方法。
【請求項5】
前記カップリング剤が、γ−アミノプロピルトリエトキシシランであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第二組成物を、200℃以下の温度で付着させることを特徴とする、請求項1〜5のうちの1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第二組成物の粘度が、100℃〜200℃の温度で約200〜600mPa.s、好ましくは約300〜500mPa.sであることを特徴とする、請求項1〜6のうちの1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ホットメルトポリマーが、50℃未満の温度で固体であることを特徴とする、請求項1〜7のうちの1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラスフィラメントを、熱可塑性有機材料のフィラメントと組み合わせてから、一本以上のストランドの形態にアセンブルすることを特徴とする、請求項1〜8のうちの1項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱可塑性有機材料が、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリエーテル及びポリアミドから選択されたものであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ストランド上に付着させた前記組成物が、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、UV安定化剤、核形成剤及び顔料から選択された少なくとも一種の添加物を含むことを特徴とする、請求項1〜10のうちの1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ガラスフィラメント上に付着した前記化合物の合計量が、前記ガラスの2〜15質量%であることを特徴とする、請求項1〜11のうちの1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のうちの1項に記載の方法により得られた、熱可塑性サイジング組成物をコーティングしたガラスストランド。
【請求項14】
少なくとも一種の熱可塑性有機材料とサイジングされたガラスストランドとを含む複合体であって、請求項13に記載のサイジングされたガラスストランドを少なくとも部分的に含むことを特徴とする、複合体。
【請求項15】
前記熱可塑性有機材料が、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル及びポリエステルから選択されたものであることを特徴とする、請求項14に記載の複合体。
【請求項16】
ガラス含量が、20〜80%であることを特徴とする、請求項14及び15のうちの1項に記載の複合体。

【公表番号】特表2006−520858(P2006−520858A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505733(P2006−505733)
【出願日】平成16年3月17日(2004.3.17)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000646
【国際公開番号】WO2004/085331
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(501399290)サン−ゴバン ベトロテックス フランス ソシエテ アノニム (33)
【Fターム(参考)】