説明

ホットメルト接着剤

N‐アルファオレフィン・ワックスを含有するホットメルト接着剤は、実質的に改善された開放時間を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホットメルト接着剤に関する。本発明の接着剤は長い開放時間および優れた低温接着、ならびに良好な耐熱性を有する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤は、溶融時に基材に適用され、次に、第2基材に接触して置かれ、その時点で接着剤は冷却されて接着剤層を固化し結合部を形成する。ホットメルト剤は工業接着用途に広く用いられ、ケース密封およびカートン閉じ作業などの製品組立および包装用途に広範に用いられている。
【0003】
市販されている接着剤は、最近まで、すべての成分の完全な融解を確保し、十分な適用粘度を達成するために350°F(177℃)以上の温度で適用されてきた。こうした高温に対する必要性は、残留揮発成分の燃焼および吸入の両方に関する操作者の危険度を増大させると共に、一層のエネルギーを必要とし、製造工場に一層の要求事項を突きつける。
【0004】
最近の進展は、低温、すなわち、300°F(149℃)未満から200°F(93℃)の温度で適用することができるホットメルト接着剤をもたらしてきた。しかし、低適用温度ホットメルト接着剤の一つの欠点は、それらの短い開放時間であって、それが、より遅い密封適用に適応するために長い開放時間を有するホットメルト接着剤を必要とする包装作業に対して、それらの使用を実用的としない。
【0005】
伸ばされた開放時間を有する接着剤を含む、改善されたホットメルト接着剤に対するニーズが存在し続けている。本発明はこのニーズを満足させるものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、350°F(177℃)未満の温度、特に約300°F(149℃)以下の温度、好ましくは約200°F(93℃)以下の温度で適用することができると共に、従来から技術上公知の低適用温度ホットメルト接着剤よりも長い開放時間を有するホットメルト接着剤を含む、ホットメルト接着剤を提供するものである。
【0007】
本発明は、接着性ポリマーおよびN‐アルファオレフィン・ワックスを含むホットメルト接着剤を提供する。エチレン・コポリマーおよびN‐アルファオレフィン・ワックスを含む接着剤が好ましい。エチレン酢酸ビニル、エチレン・アクリル酸n‐ブチルまたはそれらの混合物は、本発明の実施における使用に好ましいコポリマーである。
【0008】
本発明は、また、ケース、カートン、トレイ、ボックスまたはバッグを密封しおよび/または製造するかまたは形成する方法を提供する。本方法は、N‐アルファオレフィン・ワックスを含有するホットメルト接着剤を用いることを含む。好ましい実施形態において、接着剤は約350°F(177℃)未満の温度、好ましくは約300°F(149℃)以下の温度、および約200°F(93℃)以下の温度で適用される。
【0009】
本発明は、さらに、N‐アルファオレフィン・ワックスを含有するホットメルト接着剤を含む製品を提供する。好ましい物品には、ホットメルト接着剤を用いて形成および/または密封される包装製品用に用いられるカートン、ケース、トレイ、バッグおよび類似の包装物品が挙げられる。包装物品は、こうしたホットメルト接着剤により付着された厚紙(cardboard)または板紙(paperboard)を含むことが可能である。必要ならば、接着剤は、物品、例えば、カートン、ケース、トレイまたはバッグに対して、それらの製造の間に予備適用し、製品の包装の前に再活性化することが可能である。他の物品には、表紙貼および不織布(例えば、おむつ)用途などが挙げられるがそれらに限定されない。
【0010】
本発明は、なおさらに、カートン、ケース、トレイまたはバッグがN‐アルファオレフィン・ワックスを含有するホットメルト接着剤を含む、加工食品などのカートン、ケース、トレイまたはバッグ内に収納される包装物品を提供する。
【0011】
本発明の別の態様は、本発明のホットメルト接着剤を用いて、第1基材を類似のまたは異なる第2基材に結合するための方法を目指す。本方法は、少なくとも第1基材に溶融ホットメルト接着剤組成物を適用し、第2基材を第1基材上に存在する接着剤に接触させ、接着剤を放置して固化させ、それによって第1基材が第2基材に結合することを含む。一つの実施形態において、溶融接着剤は第1基材に適用され(すなわち、予備適用され)、放置されて固化する。次に、接着剤は、第2基材を第1基材上に存在する接着剤に接触させる段階の前か、または後のいずれかで再活性化される。一緒に結合しようとする基材は、同じものかまたは異なる(すなわち、似ていない)ものであることが可能である。一つの好ましい実施形態において、一緒に結合しようとする基材は、セルロース系基材である。
【0012】
本発明の詳細な説明
本明細書において引用されるすべての文書は、それらの全体を参考のため包含する。
低温での適用と併せてより長い開放時間を達成することができるホットメルト接着剤が見出されてきた。本発明の接着剤は、ノーマル(N)アルファオレフィン・ワックスを含む。
【0013】
開放時間(open time)は、本明細書において、接着剤が第1基材に適用される時点に始まり、それが第2基材に結合されるまでの接着剤の「作業時間」を指すように用いられる。第1基材上に存在する接着剤がこの時間帯に第2基材に接合されることが、重要である。第1基材が第2基材に接合される前に開放時間を超えてしまうと、接着剤は第2基材を結合するためのその能力を失う。
【0014】
本発明の接着剤は、低温で有利に適用することが可能である。より長い開放時間に加えて、本発明の接着剤は、熱および冷気にさらされる場合に接着力の優れたバランスを示す。本発明の接着剤は、優れた耐熱性および耐寒性を有する。
【0015】
低適用温度は、接着剤が約350°F(177℃)未満の温度、特に約300°F(149℃)以下の温度、好ましくは約200°F(93℃)以下の温度で適用することができることを意味する。
【0016】
高耐熱性は、高温で良好な結合完全性を維持するための能力を意味する。
耐寒性は、冷気にさらされる場合に高強度結合を維持するための能力である。
【0017】
本発明の接着剤は、一般的に、接着剤ポリマー、N‐アルファオレフィン・ワックスおよび粘着付与樹脂を含む。
【0018】
本発明の接着剤は、組立品生産速度が分当り数百単位に達することができる大きな大量工業融解システムから接着剤が適用される、非限定的なカートン、ケースまたはトレイ形成などの自動組立品用途において用いることが可能である。長い開放時間のせいで、それらは、基材への接着剤の適用と次のそれらの密閉および密封の間のより長い時間を必要とする用途に対して非常に適する。
【0019】
接着剤組成物
本発明に包含される接着剤は、接着剤ポリマーおよびN‐アルファオレフィン・ワックスを含む。本発明により配合することができる接着剤成分の説明、および本発明の配合物の実施例が後に続く。但し、本発明に包含される他の配合物を調製するために、熟練者が、種々の量のこれらおよび他の成分を配合し、本明細書において記載され教示される性能特性に対して、こうした配合物を試験することができると認められる。
【0020】
i.ポリマー成分
当業者に周知のホットメルト接着剤の配合での使用に適するあらゆる基本ポリマーは、本発明の実施において用いることが可能である。本発明の接着剤は、好ましくは、少なくとも一つのエチレンポリマーを含むと共に、2以上のポリマーの配合物を含むことが可能である。本明細書において用いられる用語エチレンポリマーは、エチレンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーを指す。好ましいものは、酢酸ビニル、またはモノカルボン酸、またはアクリル酸またはメタクリル酸の他のビニルエステル、またはそれらのメタノール、エタノールまたは他のアルコールとのエステルなどの、1以上の極性モノマーとのエチレンのコポリマーである。それらには、エチレン酢酸ビニル、エチレン・アクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸n‐ブチル、エチレン・アクリル酸、エチレン・メタクリル酸、エチレン・アクリル酸2‐エチルヘキシル、エチレン・オクテンおよびそれらの混合物および配合物が挙げられる。エチレン・アクリル酸n‐ブチルとエチレン酢酸ビニルの混合物は、特に好ましい。
【0021】
本発明における有用性を見出す他のポリマーには、プロピレン、オクテン、ヘキセン、ヘプテン、ブテン、およびエチレンのモノマーのホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。
【0022】
特に好ましい接着剤は、約45重量%以下、一般的に15〜35%のアクリル酸n‐ブチルを含有するエチレン・アクリル酸n‐ブチルコポリマーを含み、少なくとも約300のメルトインデックス(MI)を有する。エチレン・アクリル酸n‐ブチルコポリマーは、米国ペンシルベニア州、フィラデルフィアのエルフ・アトケム・ノース・アメリカ(Elf Atochem North America)から商品名ロットリル(Lotryl)(登録商標)で、エクソン・ケミカル(Exxon Chemical Co.)から商品名エナブル(Enable)(登録商標)(例えば、約330グラム/10分のメルトインデックスおよびコポリマー中約33重量%のアクリル酸n−ブチル含量を有するEN33330、および約900のメルトインデックスおよび約35重量%のアクリル酸n−ブチル含量を有するEN33900)で、およびミレニアム・ペトロケミカルズ(Millennium Petrochemicals)から商品名エナテン(Enathene)(登録商標)(例えば、約400グラム/10分のメルトインデックスおよびコポリマー中約35重量%のアクリル酸n‐ブチル含量を有するEA89822)で市販されている。
【0023】
本発明の実施において用いることが可能であるエチレン酢酸ビニルポリマーは、一般に、少なくとも約300グラム/10分のMIおよび約10〜約45重量%の酢酸ビニル含量、ならびにそれらの配合物を有する。エチレン酢酸ビニルコポリマーは、米国デラウエア州、ウイルミントンのデュポン・ケミカル(DuPont Chemical Co.)から商品名エルバックス(Elvax)(登録商標)(例えば、800のメルトインデックスおよびコポリマー中約28重量%の酢酸ビニル含量を有するエルバックス(登録商標)205W)で市販されている。他のエチレン酢酸ビニルコポリマーは、エクソン・ケミカルから商品名エスコレン(Escorene)(登録商標)(例えば、UL7505)で、また米国イリノイ州ローリング・メドウズのミレニウム・ペトロケミカルズから商品名ウルトラテン(Ultrathene)(登録商標)(例えば、UE64904)で市販されており、AT(登録商標)コポリマーは米国ノースカロライナ州シャーロッテのATポリマーズ&フィルム(AT Polymers & Film Co.)から市販されており(例えば、AT(登録商標)1850M)、エバタン(Evatane)(登録商標)は米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのアトフィナ・ケミカルズ(Atofina Chemicals)から市販されている。
【0024】
ポリマー成分は、通常、約10重量%〜約60重量%、さらに好ましくは約20重量%〜約40重量%、なおさらに好ましくは約25重量%〜約35重量%の量で存在する。
【0025】
ii.粘着付与成分
本発明の接着剤組成物は、好ましくは粘着付与される。粘着付与剤成分は、通常、約10重量%〜約60重量%、さらに好ましくは約25重量%〜約45重量%、なおさらに好ましくは約30重量%〜約40重量%の量で存在する。粘着付与樹脂は、一般的に、約70℃〜150℃間、さらに好ましくは約90℃〜120℃間、最も好ましくは約95℃〜110℃間のASTM規格E28−58Tにより測定されるリングおよびボール軟化点を有する。以下に記載される粘着付与樹脂の2以上の混合物が、いくつかの配合物のために必要であるかもしれない。
【0026】
有用な粘着付与樹脂には、例えば、ガム・ロジン、ウッド・ロジン、トール油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、2量化ロジン、樹脂酸塩、および重合ロジンなどを含む天然および改質ロジンなどのあらゆる適合樹脂またはそれらの混合物;例えば、色の薄いウッド・ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、およびロジンのフェノール改質ペンタエリスリトールエステルなどを含む天然および改質ロジンのグリセロールおよびペンタエリスリトールエステル;例えば、スチレン/テルペンおよびアルファメチルスチレン/テルペンを含む天然テルペンのコポリマーおよびターポリマー;約70℃〜150℃のASTM規格E28−58Tにより測定される軟化点を有するポリテルペン樹脂;例えば、2環式テルペンおよびフェノールの酸性媒体中での縮合から得られる樹脂製品を含むフェノール改質テルペン樹脂およびそれらの水素化誘導体;約70℃〜135℃のボールおよびリング軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂;芳香族石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体;および脂環式石油炭化水素樹脂およびそれらの水素化誘導体を挙げることが可能である。
【0027】
また、環式または非環式のC5樹脂および芳香族改質非環式または環式樹脂が挙げられる。本発明を実施するために用いることができるであろう、市販のロジンおよびロジン誘導体の例には、アリゾナ・ケミカル(Arizona Chemical)から市販されているシルバライト(SYLVALITE)RE110L、シルバレス(SYLVARES)RE115、およびシルバレス(SYLVARES)RE104;DRTからのダートカル(Dertocal)140;荒川化学からのライムド・ロジン(Limed Rosin)No.1、GB−120およびペンセル(Pencel)Cが挙げられる。
【0028】
好ましい粘着付与剤は合成炭化水素樹脂である。非限定例には、グッドイアー(Goodyear)から商品名ウイングタック(Wingtack)(登録商標)で市販されているもの、およびエクソンからのエスコレッツ(ESCOREZ)(登録商標)1300シリーズなどの脂肪族オレフィン誘導樹脂が挙げられる。このクラスにおける一般的なC5粘着付与樹脂は、約95℃の軟化点を有するピペリレンと2‐メチル‐2‐ブテンのジエン‐オレフィンコポリマーである。この樹脂は商品名ウイングタック95で市販されている。最も好ましいものは、C9芳香族/脂肪族オレフィン誘導体であり、スタートマー・アンド・クレイ・バレイ(Startomer and Cray Valley)から商品名ノーソレン(Norsolene)で、およびラトガース(Rutgers)からTK芳香族炭化水素樹脂シリーズで市販されている、芳香族炭化水素樹脂である。
【0029】
ノーソレンM1090は、主として95〜105℃のリングおよびボール軟化点を有するアルファ‐ピネンから誘導される低分子量熱可塑性炭化水素ポリマーであり、クレイ・バレイから市販されている。これらのC9系炭化水素樹脂は、アルファ‐ピネン、スチレン、テルペン、アルファ‐メチルスチレン、および/またはビニルトルエン、およびそれらのポリマー、コポリマーおよびターポリマー、テルペン、テルペン系フェノール、改質テルペン、およびそれらの組合せにより合成される場合に、特に有用である。これらの樹脂の芳香族構造の増大は、本発明の接着剤の望ましい適合性および性能に向けて寄与する樹脂における一層の極性を生みだす。
【0030】
iii.ワックス成分
ワックス成分は、一般的に、全体配合物重量に対して約5重量%〜約60重量%、さらに好ましくは10〜45重量%、なおさらに好ましくは25〜40重量%の量で本発明の配合物中に存在する。全体配合物の少なくとも約1重量%〜約30重量%、さらに一般的には約3〜約10重量%は、N‐アルファオレフィン・ワックスである。約175°F(79℃)未満のメットラー滴点試験(Mettler drop point test)ASTM・D−127により測定される融点を有するワックスが好ましい。ワックス成分のN‐アルファオレフィンは、好ましくは約120°F(49℃)〜約175°F(79℃)の融点を有する。
【0031】
N‐アルファオレフィン・ワックスは、シェブロン・フィリップス・ケミカル(Chevron Phillips Chemical Company)から市販されている。C20~24、C26~28、C30+などのN‐アルファオレフィン・ワックスの市販グレードが利用可能であり、本発明のホットメルト接着剤中に用いることが可能である。
【0032】
iv.他の任意のおよび/または望ましい成分
本発明の接着剤は、任意におよび好ましくは、また、機能性添加剤に限定されないがそれらを含む他の成分を含むことが可能である。機能性添加剤は、本明細書において、低温接着剤中に組み込むかまたは保持することがより容易であり、接着特性に無関係で、製造または使用における特質に影響を与える特定の物理的または化学的性質を付加する成分であるとして定義される。こうした機能性添加剤は環境に影響を及ぼすことが可能である。こうした機能性成分の例には、殺生剤、サーモクロミック材料(例えば、不正開封防止機能品(tamper evidence)または温度センサー)、偽造防止タグ、芳香剤、鮮度エンハンサー(例えば、O2スカベンジャー)、抗菌剤、害虫忌避薬、損傷検出器、および低温カプセル材料(例えば、250°Fを超える温度では安定でないであろう熱可塑性ミクロスフェア)などが挙げられる。
【0033】
また物理的性質に影響を与えることなく添加することができるであろう、他の化合物には、一対のみを例に挙げれば、色を付加する顔料または蛍光剤がある。これらなどの添加剤は、当業者には公知である。接着剤の熟慮された末端用途に応じて、ホットメルト接着剤に従来から添加されている可塑剤、顔料および染料などの他の添加剤を含むことは可能であろう。加えて、少量の追加の粘着付与剤および/またはマイクロクリスタリン・ワックス、パラフィン・ワックス、ポリエチレン・ワックス、ポリプロピレン・ワックス、副生品ポリエチレン・ワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、水素化キャスター・オイルおよび酢酸ビニル改質合成ワックスなどのワックスは、また、少量、すなわち、約10重量%以下で本発明の配合物中に組み込むことが可能である。
【0034】
本発明の接着剤は、好ましくは、安定剤または酸化防止剤を含有する。これらの化合物は、熱、光、または粘着付与樹脂などの原料からの残留触媒のようなものにより誘起される酸素との反応によって引き起こされる劣化から接着剤を保護するために添加される。
【0035】
本明細書において含まれる適応可能な安定剤または酸化防止剤の中には、高分子量ヒンダード・フェノール、および硫黄およびリン含有フェノールなどの多官能性フェノールが挙げられる。ヒンダード・フェノールは当業者に周知であり、またそれらのフェノール性ヒドロキシル基に極めて接近して立体的にかさばったラジカルを含有するフェノール化合物として特徴付けることが可能である。特に、t‐ブチル基は、一般に、フェノール性ヒドロキシ基に対して少なくとも一つのオルソ位置でベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基に近接してのこれらの立体的にかさばった置換ラジカルの存在は、その伸縮振動数、対応してその反応性を妨げるのに役立ち、この障害は、従って、その安定化特性を有するフェノール化合物を提供する。
【0036】
代表的なヒンダード・フェノールには、1,3,5‐トリメチル2,4,6‐トリス(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチル・テトラキス‐3(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート、n‐オクタデシル‐3(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート、4,4’‐メチレンビス(2,6‐t‐ブチルフェノール)、4,4’‐チオビス(6‐t‐ブチル‐o‐クレゾール)、2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノール、6‐(4‐ヒドロキシフェノキシ)‐2,4‐ビス(n‐オクチル‐チオ)‐1,3,5‐トリアジン、ジ‐(n‐オクチルチオ)エチル3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシベンゾエート、およびソルビトール・ヘキサ[3‐(3,5‐ジ‐t‐ブチル‐4‐ヒドロキシフェニル)‐プロピオネート]が挙げられる。
【0037】
それらに加えて、例えば、チオジプロピオン酸塩エステルおよび亜リン酸塩などの公知の相乗剤を用いることは、さらに、これらの酸化防止剤の性能を高めることが可能である。ジステアリルチオジプロピネートは特に有用である。これらの安定剤は、用いられる場合、一般に、約0.1〜1.5重量%、好ましくは0.25〜1.0重量%の量で存在する。
【0038】
こうした酸化防止剤は、米国ニューヨーク州ホーソンのチバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から市販されており、ヒンダード・フェノールであるイルガノックス(Irganox)(登録商標)565、1010および1076が挙げられる。これらは、ラジカル・スカベンジャーとして働く主要な酸化防止剤であり、単独で、またはチバ・ガイギーから市販されているイルガフォス(Irgafos)(登録商標)168のような亜リン酸塩酸化防止剤などの他の酸化防止剤と組み合わせて用いることが可能である。亜リン酸塩触媒は補助触媒と考えられ、一般に単独では用いられない。これらは主として過酸化物分解剤として用いられる。他の利用可能な触媒には、米国コネチカット州スタンフォードのサイテック(Cytec Industries)から市販されているサイアノックス(Cyanox)(登録商標)LTDP、およびルイジニア州バトンルージュのアルベマール(Albemarle Corp.)から市販されているエタノックス(Ethanox)(登録商標)1330が挙げられる。多くのこうした酸化防止剤は、単独かまたは他のこうした酸化防止剤と組み合わせてかのいずれかで用いることが可能である。これらの化合物は少量でホットメルト剤に添加され、他の物理的性質に全く影響を及ぼさない。
【0039】
v.予備適用接着剤の再活性化用の成分
本発明の接着剤は基材に予備適用し、後に再活性接着することが可能である。再活性接着が本発明の接着剤用により低い温度で達成することができるので、用いられる再活性接着法には無関係に、より少ないエネルギーしか再活性接着プロセスにおいて必要とされない。より少ないエネルギーを用いて再活性接着する能力は、これらの接着剤をより速い生産速度で回転させるか、または生産ライン上での再活性接着用空間をより少ないものですませることを可能とする。
【0040】
本発明の一つの実施形態において、接着剤は基材に予備適用され、放置されて固化し、次に、後に、例えば、従来型のヒートシール適用を用いて再活性接着される。好ましい実施形態において、本発明の接着剤は、予備適用/再活性接着の目的のために配合される。基材への予備適用のための好ましい再活性接着可能接着剤は、エネルギー吸収性成分を含む。顔料および染料は特に好ましいエネルギー吸収性成分であり、近赤外線吸収性染料および顔料は特に好ましい。
【0041】
本発明の実施における使用のためのエネルギー吸収性成分は、一般的に、約400nm〜約100,000nm、さらに好ましくは約700nm〜約10,000nm、なおさらに好ましくは約750nm〜約5000nmの範囲にある吸収を有する。エネルギー吸収性成分には、エネルギーを吸収することができると共に、吸収、反射、透過および伝導の最適バランスを提供するような染料、顔料、充填剤、ポリマーおよび樹脂または他の成分が挙げられる。顔料および染料は特に好ましいエネルギー吸収性成分であり、近赤外線吸収性染料および顔料は特に好ましい。
【0042】
本発明の実施における使用のための好ましいエネルギー吸収性成分には、エポライト(Epolight)1125(エポレン(Epolene,Inc))、SDA6248(H.W.サンズ(Sands Corp.))、SDA2072(H.W.サンズ)およびカーボンブラックなどの広帯域近赤外線吸収剤がある。カーボンブラックは、モナーク(Monarch)、リーガル(Regal)、ブラック・パール(Black Pearl)、およびエルフテックス(Elftex)の商品名でキャボット(Cabot)から、またはデグサ(Degussa)(FWシリーズ)、またはコロンビアン・ケミカル(Columbian Chemical Company)(ラベン(Raven)シリーズ)から購入することができる。カーボンブラックは、ファーネス・ブラック法、ガス(チャネル)ブラック法、およびランプ・ブラック法などの各種方法により製造することができる。これらの種々の方法により調製されるカーボンブラックの放射エネルギー吸収に影響を及ぼす主要パラメータは、平均一次粒径、表面の化学的性質および集合構造である。本発明の接着剤は、優れたオンライン性能を提供する放射エネルギーの短い持続時間にさらされると再活性化し、より速い生産速度を可能とする速度を設定する。
【0043】
本発明の接着剤再活性化のやり方には、熱、熱風、蒸気、超音波、e−ビーム、高周波、およびマイクロ波が挙げられるがそれらに限定されない。
【0044】
vi.芳香化
低適用温度のせいで、本発明のホットメルト剤の有効な芳香化が可能である。芳香化材料は本発明のホットメルト接着剤に添加され、芳香の有意な損失なしで使用前後において接着剤中に安定に留まることができる。有効な芳香化なる用語は、芳香が接着剤製造の間、使用前の接着剤保存の間安定した状態を保ち、なお接着剤が用いられた後も送出可能であることを意味する。送出とは、接着剤に近接する環境中に香りが接着剤から生じることを意味する。安定したとは、芳香が、接着剤製造後、接着剤保存後、接着剤を用いて形成された物品の製造後、製品保存の間および消費者による製品の使用の間顕著に残ることを意味する。芳香化および香りなる用語は、それらの通常の意味合いで用いられて、天然(すなわち、花、ハーブ、果樹の花または植物の抽出により得られる)、人工(すなわち、天然油または油構成成分の混合物)および合成製造物質および芳しい化合物を含むあらゆる芳香物質または物質の混合物を指しそれらを包含する。
【0045】
たいていの場合、芳香剤組成物は、一般に、組成物の対象使用者または接着剤により調製された物品の使用者に対して、少なくとも不快感を与えず好ましくは心地よいと考えられる芳香を有するように配合される。芳香剤組成物は、また、いいにおいが不可欠であるか、または望ましい表皮および/またはあらゆる製品に好ましいにおいを付与するために用いることが可能である。芳香剤組成物は、また、通常魅力的でないかまたは不快なにおいを有するであろう製品において、においを隠し、魅力的でないかまたは不快なものをそうでなくするにおいを生みだすために用いられる。(心地よい)芳香特性は、芳香剤組成物が組み込まれた製品の主機能であることが可能であるか、または、製品の主機能に付随的であることが可能である。
【0046】
本発明のホットメルト接着剤に添加することができる芳香剤は、好ましくは、100°F(38℃)を超える、好ましくは約200°F(93℃)を超える密閉式引火点を有するように選択される。それらの改質品および組成物を含む芳香材料、例えば改質芳香油組成物は、ASTM規格D93−00(ペンスキー・マルテンス密閉式試験機による引火点)により測定される密閉式引火点の試験を行うことが可能である。
【0047】
用途および有用性
本発明の接着剤組成物は、約90℃を超える温度、一般的に約110℃で融解状態にある成分を、通常約2時間で十分であるが、均質な配合物が得られるまで混合することにより調製される。種々の混合方法が技術上公知であり、均質配合物を製造するあらゆる方法が満足行くものである。
【0048】
本発明のホットメルト接着剤は、例えば、包装、加工、製本、バッグ/袋の結び、タバコ製造および不織布市場において用途を見出す。接着剤は、ケース、カートン、およびトレイ形成、およびヒートシール用途を含む密封接着剤としての特定用途を見出す。本発明により包含されるものには、コンテナ、例えば、カートン、ケース、ボックス、バッグおよびトレイなどが挙げられる。
【0049】
包装用のホットメルト接着剤は、一般に、ピストンポンプまたはギアポンプ押出装置を用いて基材上にビード形態で押し出される。ホットメルト剤適用装置は、ノードソン(Nordson)、ITWおよびスラウターバック(Slautterback)を含む数社から入手可能である。ホイールアプリケータも一般的にホットメルト接着剤適用用に用いられるが、しかし、押出装置に較べると頻度は少ない。あるいは、接着剤は包装業者への出荷前に包装加工業者により適用することが可能である、すなわち、コンテナは予備適用接着剤を含む。コンテナの包装後、コンテナは従来方式によりヒートシールするか、または接着剤を適正な結合温度に加熱するあらゆる代替エネルギー源にさらすことが可能である。本発明の低温接着剤は、それらが結合形成用に適正な温度に再活性化するかまたは再加熱するためにより少ないエネルギーしか必要としないという理由により、これらの用途に特に適する。好ましい実施形態において、予備適用しようとする接着剤はエネルギー吸収性成分を含む。
【0050】
結合しようとする基材には、未使用および再使用クラフト紙、高密度および低密度クラフト紙、チップボード(chipboard)および種々のタイプの処理および被覆クラフト紙およびチップボードが挙げられる。複合材料は、また、アルコール飲料の包装用などの包装用途に用いられる。これらの複合材料には、さらに、ポリエチレン、マイラー、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニルおよび種々の他タイプのフィルムなどのフィルム材料に積層される、アルミホイルに積層されたチップボードを挙げることが可能である。加えて、これらのフィルム材料は、また、チップボードまたはクラフト紙に直接結合することが可能である。包装産業において途方もなく多様な基材、特に複合材料が有用性を見出すので、前述の基材は、決して一覧表を示すものではない。
【実施例】
【0051】
説明目的のみに提供される以下の実施例において、特記のない限り、すべての部は重量により、すべての温度は°Fで表される。接着剤試料をシングルブレード・ミキサー中で調製し、成分が均質混合物を生成するまで加熱した。
【0052】
接着性
1/8〜1/4インチ(3.2〜6.4mm)幅の接着剤ビードを200°F(93℃)で横に2インチ×3インチ片の基材に適用し、すぐに第2ボード片を接触させることにより、表2に記されるように種々の温度での接着性を測定した。200グラム重量をすぐに構築物上に置いた。ボードストックは275ポンドバースト強度の段ボールであった。結合試験片を、室温(73°F)、40°F、20°Fまたは0°Fで、24時間にわたり保持した。結合部を手で引き離し、繊維引裂け度合に関して測定を行った。
【0053】
熱応力
結合部の耐熱性を、以下に記載されるように、また図1Aおよび1Bに関連して測定した。要約すれば、二つの段ボール基材を一緒に結合し、結合部に300グラム重量の応力をかけ、次に、24時間にわたりオーブン中に置き、その後結合部をそれがなお無傷であるかどうかを確認して吟味することにより、応力結合部に対する破壊温度を測定する。
【0054】
用いられる段ボール基材は二重溝付きである。図1Aに関して、溝が接着剤ビードの方向に垂直な方向に走るように、接着剤ビードを基材に適用する。接着剤ビードを、下部基材の先端から1インチ、上部基材の先端から5インチに位置付ける。基材上のビード幅は、200グラム重量による上部と下部基材間の接着剤ビードの圧縮前には8/100インチ幅である。
【0055】
図1Bに示されるように、300グラム重量が上部基材の先端に固定される。次に、接着剤ビード下に直接支点を作り出すために支柱を用いる。重量を有する支えられた結合部を、次に、接着剤の適用温度より下の100°Fでオーブンセット中に置く。結合部を24時間にわたりオーブン中に置き、次に、結合部がなお無傷であるかどうかを測定して吟味する。無傷のままで残る結合部を、試験温度に対する合格結果として記録する。この試験を合格した結合部に対して、新しい接着剤結合部を調製し、より高い温度にかける。この手順を、結合部破壊が観察されるまでなおより高い温度で繰り返す。結合部が合格する最高温度を、その接着剤の耐熱性として記録する。
【0056】
開放時間
開放時間を自動結合作製/試験計器を用いて測定した。
開放時間および圧縮時間を計器の自動タイマー中にプログラム化した。
基材の上部および下部片を結合テスター中に取り付けた。接着剤ビードを、適用温度、加熱接着剤タンクを介してのビード幅および被膜重量、ポンプ圧力、およびコンベヤライン速度に関して制御した。
【0057】
活性化する場合に、計器コンベヤは基材の下部片を接着剤流の下に移動させる。接着剤ビードが下部基材に適用されるとすぐに、開放時間タイマーが始動する。次に、それは基材の第2(上部)片の真下に移動する。ここで、それは、プログラム化された開放時間(通常数秒間)に到達するまで待機する。
【0058】
開放時間に到達するとすぐに、基材の上部片を接触がなされるまで基材の下部片上に下げる。ここで、それはプログラム化時間帯(圧縮時間、通常数秒間)にわたり接着剤ビードを圧縮する。
【0059】
圧縮時間が経過するとすぐに、基材の上部片を基材の下部片から引き離し結合部を破る。次に、操作者は、結合剥離により発生する繊維引裂け量を記録する。繊維引裂けは、剥離後圧縮ビード表面上に残っている基材繊維の量である。それは、全体圧縮ビード表面の百分率として記録される。
【0060】
繊維引裂け量が75%以上である場合には、その結果、繊維引裂けは十分であると考えられる。
繊維引裂け量が50〜74%である場合には、その結果、繊維引裂けは部分的/十分であると考えられる。
【0061】
繊維引裂け量が25〜49%である場合には、その結果、繊維引裂けは部分的であると考えられる。
25%未満の繊維引裂けの場合には、その結果、繊維引裂けは僅かであると考えられる。
これらの段階を、生じる繊維引裂けが75%未満になるまで、開放時間をだんだんと長くして繰り返す。
【0062】
以下の実施例において、接着剤の開放時間を、十分な繊維引裂け(75〜100%)が消える場合の時間(通常数秒間)、および全く繊維引裂けがない場合の時間として測定した。
【0063】
実施例1
本発明の接着剤を従来型のホットメルト技術と比較した。表1に示される配合を有する接着剤を調製し、開放時間および繊維引裂けについて試験した。接着剤を250°F(121℃)で基材に適用し、基材を引き剥がす前に25秒にわたり圧縮した。
【0064】
【表1】

【0065】
結果は、N‐アルファオレフィン・ワックスを含む接着剤が、120°Fパラフィン・ワックスよりも、EVAおよびEnBA系両方の接着剤システムにおいてより長い開放時間を有することを示す。
【0066】
実施例2
表2に示される配合を有する接着剤試料を調製した。接着剤を200°F(93℃)で基材に適用し、基材を引き剥がす前に10秒にわたり圧縮した。
【0067】
【表2】

【0068】
結果は、N‐アルファオレフィンがワックス配合物中に用いられる場合に開放時間を伸ばすことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
(原文に記載なし)
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N‐アルファオレフィン・ワックスを含むホットメルト接着剤。
【請求項2】
接着剤ポリマーおよび粘着付与剤を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
エチレン・コポリマーを含む、請求項2に記載の接着剤。
【請求項4】
エチレン酢酸ビニルコポリマーを含む、請求項3に記載の接着剤。
【請求項5】
エチレン・アクリル酸n‐ブチルコポリマーを含む、請求項3に記載の接着剤。
【請求項6】
少なくとも一つの他のワックス成分を含む、請求項2に記載の接着剤。
【請求項7】
約1重量%〜約35重量%の前記N‐アルファオレフィン・ワックスを含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項8】
NIRエネルギー吸収性成分を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項9】
NIR吸収性成分が有機染料または顔料である、請求項8に記載の接着剤。
【請求項10】
芳香剤を含む、請求項1に記載の接着剤。
【請求項11】
請求項1に記載の接着剤を含む製品。
【請求項12】
カートン、ケース、トレイ、バッグまたは本である、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
ケース、カートン、トレイ、バッグまたは本を密封するかおよび/または形成するために請求項1に記載のホットメルト接着剤を適用することを含む、ケース、カートン、トレイ、バッグまたは本を密封および/または形成する方法。
【請求項14】
前記ケース、カートン、トレイ、バッグまたは本の少なくとも一つの基材表面に前記接着剤を適用し、放置して該接着剤を固化させ、該ケース、カートン、トレイ、バッグまたは本を密封および/または形成する前に、該接着剤を再活性化することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
カートン、ケース、トレイまたはバッグ内に収納される包装物品であって、該カートン、ケース、トレイまたはバッグが請求項1に記載の接着剤を含む、包装物品。
【請求項16】
加工食品物品である、請求項15に記載の包装物品。
【請求項17】
基材を類似のまたは異なる基材に結合するための方法であって、請求項1に記載の溶融ホットメルト接着剤組成物を少なくとも一つの基材に適用し、該基材を一緒に結合することを含む、方法。

【公表番号】特表2008−500447(P2008−500447A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527460(P2007−527460)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/017663
【国際公開番号】WO2005/113698
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(502154670)ナショナル スターチ アンド ケミカル インベストメント ホールディング コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】