説明

ホモジナイザー

【課題】 流量及び圧力の変動を低減し、高い均一性を得ることができるホモジナイザーを提供すること。
【解決手段】 粒子を含んだ液体の流路1に接続され該流路1より狭い間隙に液体を流通させて該液体内の粒子の均質化を行う均質バルブ2と、該均質バルブ2に液体を加圧供給する液体供給機構3と、を備え、該液体供給機構3が、流路1に逆流を防ぐ逆止弁を介して接続された一対のシリンダ6と、一対のシリンダ6内をそれぞれ進退可能で液体を加圧供給する一対のプランジャー7と、一対のプランジャー7を交互に進退させると共に一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構8と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、牛乳やインク原料等の液体中に含有された粒子等を均一に分散、乳化等させるホモジナイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
液体中の粒子等を均一に分散、乳化、粉砕、混和、溶解又は微粒化する均質化装置として、ホモジナイザーが用いられている。このホモジナイザーは、例えば、牛乳、チーズ、ヨーグルト等の乳製品、コーヒーやジュース等の飲料品、インク原料、高分子原料、界面活性剤、グリス等の化学品、酵母や目薬等の医薬品等の製造設備や実験プラント等に、粒子等の均質化を図るために用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体供給位置から液体配給位置にかけて往復動作して液体を圧力チャンバーに超高圧で供給するレシプロプランジャーを備えた超高圧連続式ホモジナイザーが提案されている。従来、このようなプランジャーを進退させて液体を吸引及び加圧供給するホモジナイザーの場合、プランジャーに連結したクランクでプランジャーの進退動作を行うクランク方式が採用されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−532292号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
従来のホモジナイザーでは、上述したようにクランク方式を採用してプランジャーを進退させることで、液体を加圧供給しているが、クランクの動きによってプランジャーの前後の運動速度は変動するため、液体の流量や圧力(ホモ圧力)が変動してしまう脈動現象を発生させてしまう不都合があった。このような流量や圧力の変動による脈動現象が発生すると、液体含有物質の乳化、粉砕、混和等の結果に大きく影響し、粒度分布の広がりや乳化のばらつき等の不均一性を発生させる原因となってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、流量及び圧力の変動を低減し、高い均一性を得ることができるホモジナイザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明のホモジナイザーは、粒子を含んだ液体の流路に接続され該流路より狭い間隙に前記液体を流通させて該液体内の粒子の均質化を行う均質バルブと、該均質バルブに前記液体を加圧供給する液体供給機構と、を備え、該液体供給機構が、前記流路に逆止弁を介して接続された一対のシリンダと、前記一対のシリンダ内をそれぞれ進退可能で前記液体を加圧供給する一対のプランジャーと、前記一対のプランジャーを交互に進退させると共に前記一対のプランジャーによる前記液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
このホモジナイザーでは、一対のプランジャーを交互にシリンダ内で進退させると共に一対のプランジャーによる液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構を備えているので、液体の流量及び圧力の変動が抑制され、無脈動化することで高い均一性を得ることができる。すなわち、一方のプランジャーがシリンダ内を押し進められて液体を均質バルブに供給すると同時に、他方のプランジャーがシリンダ内を後退して次に加圧供給するための液体を吸引する動作において、両方のプランジャーが押し出す流量の合計が常に一定となる速度で進退駆動されることで、圧力及び流量が一定化されて無脈動状態を得ることができる。
【0009】
また、本発明のホモジナイザーは、前記プランジャー駆動機構が、前記一対のプランジャーの基端部にそれぞれ当接状態で回転可能に設けられ前記プランジャーを交互に進退させる一対のカムと、前記一対のカムを回転駆動するカム駆動部と、を備えていることを特徴とする。すなわち、このホモジナイザーでは、一対のプランジャーを交互にシリンダ内で進退させるように回転駆動される一対のカムを備えているので、カムの回転によってスムーズに両方のプランジャーを進退させることができると共に、カムの形状(プロフィール)を選定することで、容易に両プランジャーの進退動作(進退速度)を調整でき、合計流量を高精度に一定化することができる。
【0010】
また、本発明のホモジナイザーは、前記プランジャー駆動機構が、前記一対のプランジャーに接続され前記プランジャーを進退可能な一対の電動アクチュエータと、前記一対の電動アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動部と、を備えていることを特徴とする。すなわち、このホモジナイザーでは、アクチュエータ駆動部により、一対のプランジャーによる液体の合計流量が常に一定となる速度で一対のプランジャーを交互に進退させるようにプログラム制御して電動アクチュエータを駆動することで、上記カム方式と同様に、無脈動化させることができる。
【0011】
また、本発明のホモジナイザーは、前記均質バルブの直前の前記流路内に設置され前記液体の圧力を測定する圧力センサと、前記均質バルブの直後の前記流路に接続され前記圧力センサで測定した圧力に基づいて前記液体の圧力を調整する圧力調整機構と、を備えていることを特徴とする。すなわち、このホモジナイザーでは、圧力調整機構が、均質バルブの直後の流路に接続され圧力センサで測定した圧力(ホモ圧力)に基づいて液体の圧力を調整するので、均質バルブに加わる圧力を自動で調整制御することができる。
【0012】
さらに、本発明のホモジナイザーは、前記圧力調整機構が、前記均質バルブの直後の前記流路内で進退可能なロッドを有するエアシリンダと、該エアシリンダを前記圧力センサで測定した圧力に基づいて駆動制御するエアシリンダ駆動部と、を備えていることを特徴とする。すなわち、このホモジナイザーでは、エアシリンダ駆動部が、均質バルブの直後にエアシリンダを備えているので、エアシリンダ内に均質バルブの背後(下流側)に配された圧縮性の空気層を有し、いわゆるエアーダンパーの役目を果たすことから、均質バルブの間隙変動の動きを吸収することができる。したがって、エアシリンダが、ホモ圧力の自動調整機能だけでなく、無脈動化の補助的役割も発揮する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るホモジナイザーによれば、一対のプランジャーを交互にシリンダ内で進退させると共に一対のプランジャーによる液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構を備えているので、液体の流量及び圧力の変動が抑制され、無脈動化することで高い均一性を得ることができる。特に、無脈動化によって高いデータ再現性を確保でき、生産スケールである工場機(ライン機)等とのデータの整合も図ることが可能になり、いわゆるラボスケールホモジナイザーとして好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るホモジナイザーの第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
【0015】
本実施形態のホモジナイザーは、図1に示すように、粒子を含んだ液体の流路1に接続され該流路1より狭い間隙2aに液体を流通させて該液体内の粒子の均質化を行う均質バルブ2と、該均質バルブ2に液体を加圧供給する液体供給機構3と、を備えている。なお、図1中の流路1における矢印は、液体の流れる方向を示している。
【0016】
上記液体供給機構3は、液体の流路1に逆止弁のディスチャージチャッキバルブ4及びサクションチャッキバルブ5を介して接続された一対のシリンダ6と、一対のシリンダ6内をそれぞれ進退可能で液体を加圧供給する一対のプランジャー7と、一対のプランジャー7を交互に進退させると共に一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構8と、を備えている。
【0017】
上記プランジャー駆動機構8は、一対のプランジャー7の基端部にそれぞれ外周面が当接状態で回転可能に設けられプランジャー7を交互に進退させる一対のカム9と、一対のカム9を回転駆動するモータ等のカム駆動部10と、を備えている。
上記均質バルブ2は、いわゆるホモバルブであって、図2に示すように、流路1より縮径された流通孔部分及びその直後に流路1より径の狭い間隙2aを有しており、液体が加圧供給されて間隙2aから吐出される際に、吐出されようとする液体を封じ込めるように働くことで、流路1内の液体を加圧し圧力(ホモ圧力)を発生させるものである。
【0018】
上記一対のシリンダ6は、均質バルブ2に接続されたシリンダ本体11内に設けられている。このシリンダ本体11は、液体の供給源(図示略)に接続され液体が送り込まれる流入流路1aと均質バルブ2に接続された供給流路1bとの間に接続された一対の接続流路6aを備え、それぞれの接続流路6aに対応するシリンダ6が接続されている。
【0019】
一対の接続流路6aの上流端は、液体の逆流を防ぐ逆止弁としてディスチャージチャッキバルブ4を介して供給流路1bに接続されている。また、一対の接続流路6aの下流端は、液体の逆流を防ぐ逆止弁としてサクションチャッキバルブ5を介して流入流路1aに接続されている。
【0020】
上記プランジャー7の基端部には、カム9の外周面上に当接状態で回転してカム9の形状に沿ってプランジャー7を進退可能に支持するローラ部材12が設けられている。
上記一対のカム9は、一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度で各プランジャー7を進退させるように、互いにその形状(プロフィール)が選定されている。
【0021】
次に、上記ホモジナイザーによる液体の均質化方法を、図1から図4を参照して以下に説明する。
【0022】
まず、液体を供給源から流入流路1aへ送り込むと共にプランジャー駆動機構8を駆動させて一対のプランジャー7を交互に進退駆動させる。すなわち、カム駆動部10により一対のカム9を回転させ、各カム9の形状に応じて各プランジャー7を進退させる。このとき、シリンダ6内でプランジャー7が後退するときは、シリンダ6内及び接続流路6a内が減圧されてサクションチャッキバルブ5が開き、流入流路1aから液体がシリンダ6内及び接続流路6a内に吸引される。
【0023】
また、シリンダ6内でプランジャー7が押し進められたときは、シリンダ6内及び接続流路6a内が加圧され、ディスチャージチャッキバルブ4が開き、接続流路6aから液体が供給流路1bへと送り込まれ、さらに供給流路1bから均質バルブ2へと加圧供給される。
均質バルブ2では、図2に示すように、高圧で供給された液体が、内部の間隙2aを介して流通し、吐出されることで、液体内の粒子Rが均一に分散、乳化等される。
【0024】
上記一対のプランジャー7は、両方の液体の合計流量が常に一定となる速度でプランジャー駆動機構8によって交互に進退駆動される。すなわち、一方のプランジャー7によって押し出される液体の流量変化が、図3の(a)に示すように設定されているとき、他方のプランジャー7によって押し出される液体の流量変化は、図3の(b)に示すように設定される。このとき、両方のプランジャー7における流量変化を重ね合わせて図示すると、図3の(c)のようになる。
【0025】
したがって、両方のプランジャー7による流量変化を合計すると、両方の合計流量は、図3の(d)に示すように、常に一定となり、均質バルブ2におけるホモ圧力が一定化される。例えば、従来のクランク方式を採用するホモジナイザーでは、図4の(a)に示すように、大きく脈動した圧力変化が生じているのに対し、本実施形態のホモジナイザーでは、図4の(b)に示すように、圧力変化が生じず一定の圧力が保持されている。
【0026】
このように本実施形態のホモジナイザーでは、一対のプランジャー7を交互にシリンダ6内で進退させると共に一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構8を備えているので、液体の流量及び圧力の変動が抑制され、無脈動化することで高い均一性を得ることができる。すなわち、一方のプランジャー7がシリンダ6内を押し進められて液体を均質バルブ2に供給すると同時に、他方のプランジャー7がシリンダ6内を後退して次に加圧供給するための液体を吸引する動作において、両方のプランジャー7が押し出す流量の合計が常に一定となる速度で進退駆動されることで、圧力及び流量が一定化されて無脈動状態を得ることができる。
【0027】
また、一対のプランジャー7を交互にシリンダ6内で進退させるように回転駆動される一対のカム9を備えているので、カム9の回転によってスムーズに両方のプランジャー7を進退させることができると共に、カム9の形状(プロフィール)を選定することで、容易に両プランジャー7の進退動作(進退速度)を調整でき、合計流量を高精度に一定化することができる。
【0028】
次に、本発明に係るホモジナイザーの第2実施形態から第4実施形態について、図5から図8を参照して以下に説明する。なお、以下の各実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0029】
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、一対のプランジャー7を一対のカム9で進退駆動するプランジャー駆動機構8を採用しているのに対し、第2実施形態のホモジナイザーでは、図5に示すように、一対のプランジャー7を一対の電動アクチュエータ29で進退駆動するプランジャー駆動機構28を採用している点である。
【0030】
すなわち、第2実施形態では、プランジャー駆動機構28が、一対のプランジャー7に接続されプランジャー7を進退可能な一対の電動アクチュエータ29と、一対の電動アクチュエータ29を駆動制御するアクチュエータ駆動部20と、を備えている。
上記電動アクチュエータ29は、例えば内部にサーボモータやステッピングモータを内蔵し、先端に格納したロッドを伸縮可能なものである。
【0031】
上記アクチュエータ駆動部20は、電動アクチュエータ29に電力供給する電源21と、電源21から電動アクチュエータ29への電流制御を行って電動アクチュエータ29のロッドの伸縮距離、伸縮速度、押し付け圧力等をプログラムで任意に設定可能なコンピュータやプログラマブルコントローラ等の制御部22と、を備えている。
このアクチュエータ駆動部20では、一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度で一対のプランジャー7を交互に進退させるようにプログラム制御して電動アクチュエータを駆動する。すなわち、第2実施形態では、第1実施形態で採用したカム方式で実現したプランジャー7の動きをそのまま電動アクチュエータ29用にプログラムして、電動アクチュエータ29を駆動制御する。
【0032】
このように第2実施形態のホモジナイザーでは、アクチュエータ駆動部20により、一対のプランジャー7による液体の合計流量が常に一定となる速度で一対のプランジャー7を交互に進退させるようにプログラム制御して電動アクチュエータ29を駆動することで、上記カム方式と同様に、無脈動化させることができる。
【0033】
第3実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、均質バルブ2の直後が、単に外部へと液体を送る流路であるのに対し、第3実施形態のホモジナイザーでは、図6に示すように、均質バルブ2の直前の流路1内に設置され液体の圧力を測定する圧力センサSと、均質バルブ2の直後の流路1に接続され圧力センサSで測定した圧力に基づいて液体の圧力を調整する圧力調整機構35と、を備えている点である。
【0034】
上記圧力調整機構35は、均質バルブ2の直後の流路1内で進退可能なロッド36aを有するエアシリンダ36と、該エアシリンダ36を圧力センサSで測定した圧力に基づいて駆動制御するエアシリンダ駆動部30と、を備えている。
上記エアシリンダ36は、図7に示すように、エアシリンダ本体11の内部にロッド36aの基端部で仕切られた空気層36bを有している。
上記エアシリンダ駆動部30は、空気層36bの空気供給口36c及び空気排出口36dにソレノイドバルブ37を介して接続された電空レギュレータ38と、該電空レギュレータ38を制御する空気圧コントローラ39と、を備えている。
【0035】
上記電空レギュレータ38は、空気層36bに一定圧に設定された圧力空気を送り込む機能を有している。
また、ソレノイドバルブ37は、電空レギュレータ38から空気層36bへの配管に設けられ、開閉動作によって空気層36bへの空気の加圧又は排気の切り換えを行うものである。
上記空気圧コントローラ39は、圧力センサSに接続され該圧力センサSから出力された液体の圧力値に基づいて電空レギュレータ38に制御信号を送り、電空レギュレータ38を制御するものである。
【0036】
すなわち、このホモジナイザーでは、圧力センサSで測定した流路1内の圧力値に基づいて空気圧コントローラ39が電空レギュレータ38を制御し、エアシリンダ36の空気層36b内の空気圧を変化させることで、ロッド36aの伸縮距離等を制御し、流路1内のホモ圧を調整することができる。
動作を詳述すれば、均質バルブ2の前にある圧力センサSが、流路1内の流体の圧力(ホモ圧)を測定し、そして、均質バルブ2に接続するエアシリンダ36内の空気圧をエアシリンダ駆動部30でコントロールすることによって、均質バルブ2が液体の流れを妨げる力を変化させる。このとき、ホモ圧が目的値より低い場合は、エアシリンダ36の内圧を上昇させ均質バルブ2が流体を妨げる力を強くし、ホモ圧を上昇させるように働かせる。また、ホモ圧が目的値より高い場合は、その逆に作用させる。
【0037】
したがって、第3実施形態のホモジナイザーでは、圧力調整機構35が、均質バルブ2の直後の流路1に接続され圧力センサSで測定した圧力(ホモ圧力)に基づいて液体の圧力を調整するので、均質バルブ2に加わる圧力を自動で調整制御することができる。
また、エアシリンダ駆動部30が、均質バルブ2の直後にエアシリンダ36が設けられているので、エアシリンダ36が均質バルブ2の背後(下流側)に配された圧縮性の空気層36bを有し、いわゆるエアーダンパーの役目を果たすことから、均質バルブ2の間隙変動の動きを吸収することができる。したがって、エアシリンダ36が、ホモ圧力の自動調整機能だけでなく、無脈動化の補助的役割も発揮する。
【0038】
なお、ホモジナイザーを使用する場所が、企業や教育機関等の実験室などの清浄空気環境下である場合や、医薬品や食品工業に代表されるように高い清浄度の環境を必要とする場合に、機械潤滑油や圧力伝達油等の油類は使用しないことが好ましく、その点からも本実施形態のエアシリンダ方式のホモジナイザーは好適である。
【0039】
第4実施形態と第3実施形態との異なる点は、第3実施形態では、エアシリンダ36を採用した圧力調整機構35を備えているのに対し、第4実施形態のホモジナイザーでは、図8に示すように、均質バルブ2の直後の流路1内で進退可能なロッド36aを有する調整用電動アクチュエータ49と、該調整用電動アクチュエータ49を圧力センサSで測定した圧力に基づいて駆動制御する調整アクチュエータ駆動部46と、を備えている点である。
【0040】
上記調整アクチュエータ駆動部46は、調整用電動アクチュエータ49を制御するアクチュエータコントローラ48と、圧力センサSからの出力をAD変換してアクチュエータコントローラ48へ送るAD変換器47と、を備えている。なお、AD変換器47は、回路上、必要に応じて設置されるものである。
【0041】
上記アクチュエータコントローラ48は、入力された圧力センサSから送られた圧力の信号に基づいて予め設定されたプログラムによって調整用電動アクチュエータ49を制御する。すなわち、調整用電動アクチュエータ49によりロッド36aを伸縮させて、流路1内を押圧又は均質バルブ2との距離を調整することで、自動的にホモ圧力を所定値にコントロールする。
【0042】
したがって、第4実施形態のホモジナイザーでは、圧力調整機構35が調整用電動アクチュエータ49を用いているので、調整用電動アクチュエータ49による均質バルブ2の吐出口間距離調整機能や油圧による自動押圧調整機能を利用してホモ圧力の自動調整が可能になる。これにより、圧力伝達油の使用による環境への影響懸念の払拭、ホモ圧力調整の単純化、さらにホモ圧力コントロール設定値や調整手間の省力化等の利点を得ることができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記各実施形態では、一対のプランジャー7を備えているが、少なくとも一対あればよく、複数対のプランジャー7を搭載しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る第1実施形態のホモジナイザーの構造を簡易的に示す斜視図である。
【図2】第1実施形態において、均質バルブにおける液体中の粒子等の均質化を示す説明図である。
【図3】第1実施形態において、一方及び他方のプランジャーによる流量変化を示したグラフ(a)(b)、これらプランジャーの流量変化を両方示したグラフ(c)、及びこれらプランジャーの合計した流量を示したグラフ(d)である。
【図4】従来のクランク方式のプランジャーによる流量変化を示したグラフ(a)、及び第1実施形態のプランジャーによる流量変化を示したグラフ(b)である。
【図5】本発明に係る第2実施形態のホモジナイザーにおいて、プランジャー及びプランジャー駆動機構を示す簡易的な構成図である。
【図6】本発明に係る第3実施形態のホモジナイザーにおいて、圧力調整機構を示す簡易的な構成図である。
【図7】第3実施形態において、圧力調整機構による圧力調整を示す説明図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態のホモジナイザーにおいて、圧力調整機構を示す簡易的な構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1…液体の流路、2…均質バルブ、2a…均質バルブの間隙、3…液体供給機構、4…ディスチャージチャッキバルブ(逆止弁)、5…サクションチャッキバルブ(逆止弁)、6…シリンダ、7…プランジャー、8,28…プランジャー駆動機構、9…カム、10…カム駆動部、20…アクチュエータ駆動部、29…電動アクチュエータ、30…エアシリンダ駆動部、35…圧力調整機構、36…エアシリンダ、36a…ロッド、S…圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を含んだ液体の流路に接続され該流路より狭い間隙に前記液体を流通させて該液体内の粒子の均質化を行う均質バルブと、
該均質バルブに前記液体を加圧供給する液体供給機構と、を備え、
該液体供給機構が、前記流路に逆止弁を介して接続された一対のシリンダと、
前記一対のシリンダ内をそれぞれ進退可能で前記液体を加圧供給する一対のプランジャーと、
前記一対のプランジャーを交互に進退させると共に前記一対のプランジャーによる前記液体の合計流量が常に一定となる速度でそれぞれを進退駆動するプランジャー駆動機構と、を備えていることを特徴とするホモジナイザー。
【請求項2】
請求項1に記載のホモジナイザーにおいて、
前記プランジャー駆動機構が、前記一対のプランジャーの基端部にそれぞれ当接状態で回転可能に設けられ前記プランジャーを交互に進退させる一対のカムと、
前記一対のカムを回転駆動するカム駆動部と、を備えていることを特徴とするホモジナイザー。
【請求項3】
請求項1に記載のホモジナイザーにおいて、
前記プランジャー駆動機構が、前記一対のプランジャーに接続され前記プランジャーを進退可能な一対の電動アクチュエータと、
前記一対の電動アクチュエータを駆動制御するアクチュエータ駆動部と、を備えていることを特徴とするホモジナイザー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のホモジナイザーにおいて、
前記均質バルブの直前の前記流路内に設置され前記液体の圧力を測定する圧力センサと、
前記均質バルブの直後の前記流路に接続され前記圧力センサで測定した圧力に基づいて前記液体の圧力を調整する圧力調整機構と、を備えていることを特徴とするホモジナイザー。
【請求項5】
請求項4に記載のホモジナイザーにおいて、
前記圧力調整機構が、前記均質バルブの直後の前記流路内で進退可能なロッドを有するエアシリンダと、
該エアシリンダを前記圧力センサで測定した圧力に基づいて駆動制御するエアシリンダ駆動部と、を備えていることを特徴とするホモジナイザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−17623(P2010−17623A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178648(P2008−178648)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【出願人】(501496360)三丸機械工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】