説明

ホルダ

【課題】加工対象を、固定点又は他の加工対象に対して位置決めをするとともに位置決めした状態で固定するための、高強度、高精度、及び軽量なホルダを提供すること。
【解決手段】加工対象を、位置決めをするとともに位置決めした状態で固定するためのホルダ(1)であって、加工対象の固定具又は装置を搭載するための、又は該ホルダをロボットに固定するための1以上の固定手段(2、3)を含む。該ホルダ(1)は内側用の、互いに結合された、平板状で薄い、いくつかの内側材料部品(7、13、14)と、外側用の、互いに結合されかつ内側材料部品とも結合された、平板状で薄い、いくつかの外側材料部品(8)とから構成され、これらは互いに閉じた空間を形成し、そして材料部品同士の結合は機械的結合具(9、10、11)及び/又は接着結合により結合されている。ホルダの製造方法は、1以上の固定板(2、3)を備える工程を含む。この方法はさらに、薄い平板状の材料から平板状の内側用(12、13、14)及び外側用(8)の材料部品を切り出す工程と、ホルダ(1)を組み立てる工程と、を含み、該内側材料部品(7、13、14)は互いに結合されるとともに外側材料部品とも結合され、該外側材料部品により取り囲まれ、これらは閉じた空間を形成するように配列され、材料部品間の結合は機械的結合具(9,10,11)及び/又は接着結合によりなされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工対象(workpiece、完成に至るまでの製造工程中にある加工材料ないし製造過程品)を、固定点又は他の加工対象に対して位置決めをするとともに位置決めした状態で固定するためのホルダであって、固定具又は固定装置を搭載し、又は加工対象を位置決めした状態で固定し、又はホルダを例えば動的装置に固定するための、1以上の固定手段、を含むホルダに関する。
【0002】
本発明はまた、固定点又は他の加工対象に対する位置決めをするためのホルダの製造方法に関する。このホルダは、1以上の固定手段を有し、この固定手段の上には固定装置又は固定装置が搭載され、この固定手段によって加工対象が位置決めした状態で固定され、又はこの固定手段によってホルダが例えば動的装置(ないし可動装置)に固定される。
【背景技術】
【0003】
典型的な例として自動車産業が挙げられるように、多くの産業分野において、加工対象を、基準点又は他の加工対象に対して正確に位置決めできることが求められる。
【0004】
このような場合、個々の加工対象と協働するためのグリッパをその上に備えるホルダがよく用いられる。このようなホルダはしばしばマニピュレータと呼ばれる。マニピュレータは、よく幾何学的制御(geometrical)マニピュレータと非幾何学的制御マニピュレータとに区分される。要求される精密さに関して、幾何学的制御マニピュレータはかなり厳しい精度が要求され、公差はしばしば1ないし数十分の1mm程度であるのに対し、非幾何学的制御マニピュレータに関してはより緩い公差が認められている。
【0005】
例えば自動車の車体部材を製造するプレスラインにおいては、第1のプレスラインに含まれるプレス機に材料を供給するためのマニピュレータとグリッパを備えたある種のフィーダ(供給装置)により、平板状の金属材料が供給される。この工程が終了すると、一部加工された加工対象は第2のフィーダにより移送される。第2のフィーダは、専用に設計されたフィーダ又は汎用産業ロボットでありうる。このフィーダ又はロボットもまた、加工対象をプレスラインの第1のプレス機から第2のプレス機へ移送するグリッパを備えたマニピュレータを有している。もしも第2のプレス機のプレス装置が、一部加工された加工対象を正しい加工位置に正確にガイドする手段を有している場合には、フィーダ又はロボットのマニピュレータは非幾何学的制御マニピュレータでも良い。しかし第2のプレス機のプレス装置にそのようなガイド手段を有しない場合には、フィーダ又はロボットとそのマニピュレータは、非常に正確に、第2のプレス機のプレス装置に加工対象を配置する必要がある。
【0006】
同様の要求が生じる他の状況として、例えば、複数の車体部材を溶接組み立てするワークステーションが挙げられる。ここでは、異なる加工対象が配置される不動のホルダが存在しうる。このような不動ホルダもまたマニピュレータでありうる。この不動ホルダに異なる加工対象を供給するため、このような場合には、マニピュレータとグリッパを有する汎用ロボットが用いられうる。
【0007】
従来、ここで考慮するタイプのホルダは、しばしばスチール又はアルミニウムからなるフレーム構造(枠組構造)システムとして構成されてきた。そのような場合、管状材料及びプロフィル構造材料(ないし異形材料、profile material)の両方が用いられてきたが、平板と梁を組み合わせた構造もまた存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】SE518227C2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
スチールで構成されたホルダは、十分な強度ないし剛性を有するが、寸法に関しては重すぎるという問題がある。質量が大きいということは、ホルダを操作する可動装置やロボットの仕事率を十分に上げることができないということである。加速や減速のために多大な力が必要になるからである。
【0010】
スチールに対してアルミニウムでは、密度が小さいかわりに非常に脆弱であるため、荷重がかかると大きくたわむ可能性がある。高速で操作されるフィーダやロボットでは、これは許容されない。たわみは振動現象を生じるリスクがあり、加工対象を正確に位置決めすることが困難になるからである。
【0011】
また、ここで考慮するタイプのホルダを、管状材料又はプロフィル構造材料で作ることも公知である。管状材料又はプロフィル構造材料は、複合材料、主に炭素繊維の複合材料で構成される。このような材料はアルミニウムよりもかなり大きな強度を有し、そして密度も十分小さく、約半分という小ささである。このようなホルダは例えばSE518227C2に開示されている。
【0012】
本発明の目的は、冒頭に説明したタイプのホルダであって、非常に大きな強度ないし剛性を有し、精度がよく、軽量なホルダを提供することである。
【0013】
また方法に関する本発明の目的は、そのようなホルダを製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は次のようなホルダであれば達成される。即ち、内側用の、互いに結合された、平板状で薄い、いくつかの内側材料部品(複数)と、外側用の、互いに結合されかつ内側材料部品とも結合された、平板状で薄い、いくつか(a number of)の外側材料部品(複数)とから構成され、これらは互いに実質的に閉じた空間を形成し、そして複数の材料部品同士の結合は機械的結合具及び/又は接着結合により結合されている、ホルダである。
【0015】
方法に関する目的は、次のような方法であれば達成される。即ち、該方法は、薄い平板状の材料から出発し(を用意し)、平板状の内側用及び外側用の部品(複数)を切り出し、切り出した部品からホルダを組み立てること、そして内側材料部品は互いに結合されるとともに外側材料部品とも結合され、外側材料部品により取り囲まれてこれらは実質的に閉じた空間を形成するように配列されること、材料部品間の結合は機械的結合具及び/又は接着結合によりなされていること、を特徴とする方法である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を、以下の添付図を参照して詳細に説明する。
【図1】本発明の第1の実施例に係るホルダの斜視図とその部分拡大図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係るホルダである。
【図3】本発明の第3の実施例に係るホルダとそのアクセサリである。
【図4】図1を多少変形した、本発明の一実施例に係るホルダの分解図とその部分拡大図である。
【図5】図4に示すホルダの部材を示す図である。
【図6】図1に示す実施例の未完成状態の図とその部分拡大図である。
【図7】図6に示すホルダの外側材料部品の1つを取り除いた斜視図とその部分拡大図である。
【図8】図6に示すホルダとその2つの部分拡大図である。
【図9】図1、4、6、7、8に示すホルダの、固定具ないし固定装置を搭載するためのユニットである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述のように、本発明に係るホルダ又はマニピュレータは、一方では、不動に配置されて例えば2つの加工対象を結合するための治具ないしアタッチメント(付属具)として用いることができる。しかしまた、それは可動式にして、例えば産業用ロボットのような動的装置によってあるワークステーションから他のワークステーションへ移動される加工対象を、固定しつつ保持するように設計することもできる。上記の説明は、本明細書の記載において、方向的又は位置的記載は、単に図に示す配置又は状態のみを示すことを意味している。なぜなら、本発明に係るマニピュレータは、実際の使用に際しては3次元空間を任意の方向に動きうるからである。
【0018】
以下の記載又は特許請求の範囲において、「固定手段」(fixing means)という表現を用いる。このような固定手段は、その位置や方向が、ホルダの中の他の固定手段との関係で十分に規定されたものであることを意味している。しかし、「固定手段」なる表現はまた、それ自体で、その固定手段に対して加工対象を位置的に固定又は保持する、固定具や固定装置等を固定するための手段の意味をも包含する。
【0019】
また、ここで考慮されるマニピュレータの形状と大きさは広い範囲で変わりうるものであり、それらは通例、取り扱う加工対象(1つ又は複数)の外形により決まるものであるということを強調しておく。
【実施例】
【0020】
図1に示すホルダ又はマニピュレータは、全体として符号1で示され、角度が直角の平行六面体の細長いビーム(梁)状の形状をしている。ホルダ又はマニピュレータ1は、図1に示す実施形態においては、固定具や固定装置等を固定するための3つの固定手段2を有する。固定具や固定装置等は、例えば加工対象を位置決め配向(alignment)する、又は保持することにより加工対象と協働するものである。これらは互いの位置及び配置(ないし配向)関係が正確に決められている。ホルダ1には、図に示すように、別の固定手段3があり、3つの他の固定手段2との関係において正確に規定された位置に配置されている。固定手段3は、ホルダ又はマニピュレータ1を、例えば産業用ロボットのような動的装置に固定するように設計されており、そのためロボット固定具とも呼ばれる。固定手段3はまた、ホルダ又はマニピュレータ1を不動的に固定するためにも用いられる。
【0021】
図1には、直交座標系x、y、zを示している。同様な座標系が他の図面においても方向的、位置的内容の理解を助けるために記載されてもよいが、図1にのみ概略図示している。固定手段2の正確な位置や配置(配向)は、それらは座標系のすべての軸回りの旋回又は回転について周知の配置(配向アライメント)と公差を有するものとして記載されている。さらにすべての軸方向に関する位置や公差も周知である。
【0022】
図2に示す実施例において、ホルダ1は概略H型の形状であり、加工対象を位置決め(配向)及び/又は保持するための位置決め具、固定具あるいは固定装置等を固定(確保)するための固定手段2を多数有している。ホルダ1は、ロボット取付具(anchorage)として形成された固定手段3をさらに有している。
【0023】
図3に示す実施例においては、ホルダ1は角度が直角の平行六面体の細長いビーム(梁)状の形状をしており、多数の固定手段を有していて、そのうち固定手段3はロボット取付具として構成されている。ビームのある固定手段の上には、細長い形状材料で、好ましくは薄いカーボンファイバ積層体製の管状形状のプロフィル構造材料であるアクセサリ5を固定するためのカップリング4を有する。アクセサリ5を保持するためのカップリング4は、上述のように固定手段に固定されているが、固定手段はカップリング4に隠れて図では示されていない。これは、カップリング4(複数)の相互の位置関係と、これらのカップリング4のロボット取付具との位置関係は正確に規定されていることを意味している。さらに、カップリング(複数)4は、アクセサリ5を固定するための表面に対して、主に固定具(fixing devices)に固定するための表面に関し、周知の位置と公差を有している。
【0024】
本発明によれば、アクセサリ5はさらなる(別な)固定手段(図示せず)を固定するためにも用いることができる。この別の固定手段は選択的に備えられるものではあるが、アクセサリの長さ方向に沿ってきちんと測定され、校正された位置に固定(確保)される。その場合、図3のカップリング4と同じ又は同様のカップリングが用いられる。このような手段により、非常に軽量で剛性の高いマニピュレータが多くの小さな部品から組み立てることができる。ここでは、ロボット取付具3からカップリング4で固定保持される部材まで、周知の距離、旋回軸又は回転、及び公差を有する切れ目のない連鎖となっている。
【0025】
図3に示すホルダ1は、カップリング4の大部分が外側に取り付けられている。しかし本発明によれば、例えばアクセサリ6のためのカップリングに対応して、ビームの内部に配置することも可能である。位置決め(配向)、距離、公差に関しても対応した状況が適用される。
【0026】
本発明に係るホルダ又はマニピュレータ1は、図4〜7で明らかなように、実質的に平板状でディスク形状の多数の内側材料部品(ないし片)7と、実質的に平板状でディスク形状の多数の外側材料部品(ないし片)8とから構成される。内側材料部品7は、箱型で実質的に閉じられた構造の3次元構造からなる菱形パターンを形成するように互いに結合される。これらの構造の仕切り(区画壁)は、配線のための開口あるいは穴、又は他の目的のための開口を有する。さらに、内側材料部品の端部表面又は端部領域は、外側材料部品8に接続されている。内側材料部品7は、長さ方向と幅方向の両方に、場合によっては直交して配置される。これらはまた放射状あるいはジグザグ状に配置したり、それらを組み合わせて配置することができる。
【0027】
ディスク形状の部品は、1つの好ましい実施例において、カーボンファイバと接着剤からなる積層体(薄板)である。このような積層板は、それを硬化させるときに必要な圧縮力を与えるための半真空を用いた作業台で製造することができる。このような製造方法では、完成した積層板のうちの作業台側の面は、作業台の表面性状によって決まる平坦さと公差を有するが、反対側の面は欠陥を生じる恐れがある。
【0028】
平板状材料部品(片)7、8や、材料部品(片)13、14、15のような、本構造に含まれる部品(片)は、いずれも外部形状に関し非常に精度良く切り出される。そしてこのような、突起ピンの形状のガイド手段10、11や、対応する切り欠き部、あるいは他の開口部は、(例えば以下に説明する機械的結合具9のための)ホルダ1の部品の相互の位置決めに用いられる。
【0029】
内側材料部品7は、機械的結合具9又は接着結合、或いはその両方を用いて互いに結合される。機械的結合具9に関しては、リベットあるいはネジ結合手段、場合によっては接着結合をも用いて内側材料部品7の内側に固定された、小さな金属ブロックを用いることができる(図4及び9)。これらの金属ブロックは、ネジに対応したネジ孔を有する。また、この文脈(目的)においてリベットを用いることもできる。この結合具9は特に高い精度は与えない。
【0030】
隣接する部品を互いに精度良く位置決めするためのガイド手段としての機能をも満たす機械的結合具の例として、突起又はピンと対応する切り欠き又は孔も挙げられる。ここでピンは、その形状にかかわらず包括的に符合10で示し、切り欠きは、その形状にかかわらず包括的に符合11で示した(図1、5、4及び6)。このような機械的結合具は、本発明において固定手段2及び3と、隣接する材料部品(片)7又は8との間を結合するためにも用いられる。これらのガイド手段は、寸法的精度、表面仕上げ、配列(配向ないしアライメント)及び配置に関する高精度加工によって製造される。
【0031】
結合具9に関して、これらは基本的には、本発明の主題を組み立てる最中に、部品が「はずれて落ちる」ことなく取り扱うことができるように、部品を繋ぎ止める役割を果たす。それとは別に、接着結合する際に、圧縮力を生じさせる効果もある。結合具9は、精度については厳しい要求はない。結合具9はまた、例えば、接着結合で結合された隣接する部品の間に微小な隙間ないし空間があった場合に、接着結合で用いる接着剤架橋収縮による構造体中の応力発生を防止する役割も果たす。
【0032】
切り欠き(recess)11又は孔(開口)に対応する突起10又はピンを有する形式の結合具は、ガイド手段を構成し、ホルダ1の材料部品7、8、13、14及び15と、固定手段2及びロボット取付具3とを非常に小さな公差で正確に結合することを保証する役割を果たす。
【0033】
図4,5から明らかなように、ロボット(への)取付具として機能する固定手段3は、予組み込みされたユニット18を構成するように結合され、それがビーム内部に組み込まれる。このようなユニット18の一部が図5に示されている。図4の拡大図には、組み込まれたユニットが最もよく示されている。このユニットは、2つの金属リング12からなり、2つのリングは直立した内側材料部品13で結合されている。チューブ、ロッド、又はリングによっても金属リング12を結合することができる。隣接する材料部品13の間には、放射状に配置された内側材料部品14の突起(複数)10が挿入され、対向する端部には別の突起(複数)10があり、補強プレート15には対応する切り欠き11があって、機械的な結合ができるようになっている。このため、補強プレート15には、正確に位置決めされ、計測された切り欠き又は孔11が、ユニット18の対応する突起10と結合するために設けられている。これらの部材同士の機械的結合具は、接着結合によって最終的に位置決めされて固定される。ユニット18は、ロボット取付具3の領域にある、対向する外側の、少なくとも上下の、材料部品8の間に延在し、両者を結合する。
【0034】
図5で明らかなとおり、2つの金属リング12は、その上下の端部に沿って、ガイドビード又はガイド帯19があり、これによって金属リングとそれらを結合する内側材料部品13とを相互にガイドする役目を果たす。機械的強度のため、内側材料部品13は2重になっており、外側の部品(片)はガイドビード又はガイド帯19をも覆うように高く(図1のz方向に)なっている。
【0035】
上述の補強プレート15は、図4から明らかなように上下に各1つ設けられており、放射状に配置されたスロット11があって、放射状に配置された内側材料部品14のピン(突起)が位置決めするように噛み合うようになっている。さらに、補強プレート15には、それぞれホルダの長辺方向の側端部8の突起10と、切り欠き又はスロット11と協働する、スロット11と突起10とが、対向する長辺側に沿って存在する。(図6)
【0036】
先に、ホルダ1を構成する積層板材料(片)には、良好な平面度に加工された面が片方しかないことを説明した。また、ホルダを構成するすべての薄板材料部品(片)は高い精度で切り出されるため、すべての端面は対応して良好な精度を有している。この積層板材料の「最高の」面をできるだけ有効に利用するため、ホルダの外側材料部品8のこの面を内側に向け、内側材料部品7、13、14の機械切り出しされた端面と協働(連携係合)させる。
【0037】
図9は、例えば、ホルダ1で取り扱う加工対象をつかんで位置決めするように設計されたある種の装置を搭載するための、適切な位置決め・固定手段を有する金属プレートを含む固定手段2を示す。金属プレートの垂直方向端部に沿って、支持プレート20が固定されており、角度が直角の立方体ないし平行六面体構造の、剛性のある独立したユニット16が形成されている。このとき、金属プレートと支持プレートの下端部21は同じ平面内にあることに注意すべきである。
【0038】
金属プレートの上辺に沿って、対向陥凹部22があり、その両端部には上方へ突き出た突起部10がある。対向陥凹部22と支持プレート20の上端部は同じ平面内にあり、その平面は下端部(複数)21が形成する平面と平行である。さらに支持プレートには多数のカップリング具(機構)9があり、これは金属プレートを結合させるためのものでもあり、またホルダ1の上部(蓋部)及び下部(底部)の外側材料部品8を結合させるためのものでもある。
【0039】
本発明に係るホルダ1を組み立てるにあたっては、分かりやすくするために図1の実施例を参照するが、他の図に示す実施例も同様に組み立てられること、図9に示す独立したユニット16やホルダのロボット取付具3をそれ自体に含むユニット18を最初に組み立てることは、当業者には明らかであろう。これらの部材を組み立てる工程は、これらの部材が完全に平坦な裏面を形成するために組み立て作業台の上で行われる。
【0040】
固定手段2、3は作業台に置かれ、それらの縦方向(z方向)位置が作業台により規定される。作業台はまた、x軸周り及びy軸周りの回転位置を規定する。この状態では、z軸周りの回転とともに、x方向、y方向位置もまだ決まっていない。
【0041】
内側材料部品7は、長さ方向、幅方向あるいは他の方向のものも含めて、作業台の上で互いに結合される。このとき、形成された箱型構造体が完全に平坦な裏面を構成するように、作業台のほうに向けて置かれる。
【0042】
作業台に置かれた構造体を組み立てるにあたっては、固定手段2及び3を、図1に示すホルダの上部(外側)材料部品8によってx方向及びy方向に位置決めする。この蓋部には、固定手段2の金属プレートの突起(複数)10が嵌合して、固定手段を正確に位置決めするための切り欠き(複数)11を備える。
【0043】
図のホルダ1の、上部及び下部の外側材料部品8を位置決めするため、外側の長手材料部品(図6)は、ユニット18の補強プレート15と上部の外側材料部品8である蓋部の両方にある切り欠き11と嵌合する、上方に突き出たピン10を有する。同様に、ロボット取付具3を含むユニット18は、外側材料部品8と嵌合する突起を有する。
【0044】
ホルダ1の組み立てに関して、外側材料部品と固定手段の取り付けは説明したが、底面がまだ開いている。また、機械的結合具9が上部の上面より突き出ているため、ホルダの上部8がまだ平坦ではない。さらに、蓋部の外部表面は高い精度を有していない。
【0045】
1つの実施例において、ホルダ1の外側部品8の長手方向に配置されたこれらの突起10は十分高いので、上面をひっくり返して作業台のほうへ下向きにすると、ビーム全体の位置合わせに役立てることができる。また突起10は、ロボット取付具の外部リング又は外部プレート17を、一連の組立作業を妨害することなく搭載できるほどの高さを有する。
【0046】
他の実施例において、固定手段2の上に、持ち上げ(elevation)プレートを載せることができる。これは、ホルダを作業台の上にひっくり返して底面8を所定の場所に配置したとき、上述の機能を持たせるのに十分な高さを持つ突起を下向きに有するようにするものである。
【0047】
上述の組み立て作業は、固定手段2及び蓋部8に含まれる組み立て板(複数)は互いに関連して配置されている、ということを示している。もしも底面もまた固定手段2の金属プレートに関して小さな公差で配置されなければならないとすると、少なくとも1つの点、1つの線、及び1つの平面を必要とする。これらの線は、4つの点で規定され、固定手段2に含まれる金属プレートをつなげるとともに、底面のx方向及びy方向に関する配置を誘導する。
【0048】
高さ方向位置、即ちz方向は、上記の持ち上げプレートにより調整される。持ち上げプレートは、固定手段2に含まれる金属プレートの高さ方向の作業台からの位置を調整する。
【0049】
本発明に係るホルダが上面に固定手段を有すべき場合、これは図3に示す実施例になるが、それらは固定手段2に含まれる金属プレートに適用され、蓋部に配置されるものとされる。蓋部には、金属プレートの外表面に通じる孔を有する。蓋部のこれらの孔は、z軸周りの回転位置とともに、x方向、y方向の位置をガイドする。固定手段2に含まれる金属プレートを、作業台方向又は作業台と平行な面の方向へ降ろすことにより、垂直方向、即ちz方向の位置が決まるため、すべての軸の回転が同時にロックされる。必要な強度(剛性)を得るため、固定手段2に含まれる金属プレートは通常、ホルダ1の底部に接続された裏打ち構造(retrojacent structure)で補強されなければならない。裏打ち構造は、十分に位置決め及び配置できるように、底部にある穴又はスロットに嵌合するピンを有する。
【符号の説明】
【0050】
1 ホルダ
2 固定手段
3 固定手段(ロボット取付具)
4 カップリング
5 アクセサリ
6 アクセサリ
7 内側材料部品(片)
8 外側材料部品(片)
9 機械的結合具(カップリング具(機構))
10 ガイド手段(突起、ピン)
11 ガイド手段(切り欠き、スロット)
12 金属リング(金属プレート)
13 材料部品
14 材料部品
15 材料部品(補強プレート)
16 ユニット
17 外部プレート(金属プレート)
18 ユニット
19 ガイドビード(ガイド帯)
20 支持プレート
21 (金属プレート及び支持プレートの)下端部
22 (金属プレートの)対向陥凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象を、固定点又は他の加工対象に対して位置決めをするとともに位置決めした状態で固定するためのホルダ(1)であって、
固定具又は固定装置を搭載し、又は加工対象を位置決めした状態で固定する、又は該ホルダを例えば動的装置に固定するための、1以上の固定手段(2、3)を含み、
該ホルダは内側用の、互いに結合された、平板状で薄い、いくつかの内側材料部品(7、13、14)と、外側用の、互いに結合されかつ内側材料部品とも結合された、平板状で薄い、いくつかの外側材料部品(8)とから構成され、
これらは互いに実質的に閉じた空間を形成し、そして材料部品同士の結合は機械的結合具(9、10、11)及び/又は接着結合により結合されており、
該機械的結合具の少なくともいくつかは、該ホルダ(1)に含まれる部材(2、3、7、8、13、14)を正確に位置決めし、配置するためのガイド手段(10、11)として構成されていること、
を特徴とするホルダ。
【請求項2】
前記内側材料部品(7、13、14)が集まって、実質的に閉構造の、多数の箱型構造による3次元構造を形成していることを特徴とする、請求項1に記載のホルダ。
【請求項3】
前記外側材料部品(8、15)は、前記接着接合により、前記内側材料部品(7、13、14)の端部表面又は端部領域と結合されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のホルダ。
【請求項4】
前記固定手段(2、3)はそれぞれユニット(16、18)上に配置されており、
該ユニットの上と前記外側材料部品のうちの1つにある前記機械的結合具(10、11)は、該外側材料部品の平面内において該固定手段を位置的に確定するために、互いに結合していることを特徴とする、請求項2又は3に記載のホルダ。
【請求項5】
前記固定手段(2、3)は、前記薄い材料部品(7、8、13、14)の材料厚さよりも厚さの大きな金属プレート(12、17)を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のホルダ。
【請求項6】
前記機械的結合具は、対応する切り欠き又は孔(11)に嵌合する突起又はピン(10)を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のホルダ。
【請求項7】
前記機械的結合具(9)は、リベット及び/又はねじ結合構造を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載のホルダ。
【請求項8】
前記固定手段(3)の少なくとも1つは、例えば産業用ロボットのような、動的装置に前記ホルダ(1)を固定するための固定具であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載のホルダ。
【請求項9】
少なくともある固定手段(2)に、管状又はプロフィル構造材料からなる長いアーム(5)を固定するためのカップリング(4)が固定され、
該管状又はプロフィル構造材料の上にカップリングが配置され、
該カップリングが(別の固定手段を)支持するか、又はそれ自体が固定手段として形成されている、
ことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載のホルダ。
【請求項10】
加工対象を、固定点又は他の加工対象に対して位置決めをするためのホルダであって、加工対象を位置決めした状態で固定する、又は該ホルダを例えば動的装置に固定するための固定具又は固定装置を搭載した1以上の固定手段(2、3)を有するホルダ(1)の製造方法であって、
薄い平板状の材料から平板状の内側用(12、13、14)及び外側用(8)の材料部品を切り出す工程と、ホルダ(1)を組み立てる工程と、を含み、
該内側材料部品(7、13、14)は互いに結合されるとともに外側材料部品とも結合され、該外側材料部品により取り囲まれ、これらは実質的に閉じた空間を形成するように配列され、材料部品間の結合は機械的結合具(9,10,11)及び/又は接着結合によりなされており、
該機械的結合具(10、11)の少なくともいくつかは、該ホルダ(1)に含まれる部材(2、3、7、8、13、14)を正確に位置決めし、配置するためのガイド手段として用いられる、
ことを特徴とする、ホルダの製造方法。
【請求項11】
前記内側材料部品(7、13、14)は、実質的に閉構造の、多数の箱型構造による3次元構造を形成するように組み立てられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外側材料部品(8)は、前記接着接合により、前記内側材料部品(7、13、14)の端部表面又は端部領域と結合されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記固定手段(2、3)は、前記内側材料部品(7、13、14)と結合されてそれぞれユニット(16、18)を形成し、
該ユニットと前記外側材料部品(8)のうちの1つに配された前記機械的結合具(10、11)は、該外側材料部品の平面内において該ユニットを位置的に確定するために用いられていることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的結合具の少なくともいずれかは、対応する切り欠き又は孔(11)に嵌合する突起又はピン(10)として形成されていることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
前記固定手段の少なくとも1つは、例えば産業用ロボットのような、動的装置に前記ホルダ(1)を固定するための固定具(3)として形成されていることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−510821(P2011−510821A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543075(P2010−543075)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000721
【国際公開番号】WO2009/091298
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510197597)フレックスプロップ アーベー (1)
【Fターム(参考)】