説明

ホルダ

【課題】貫通孔を備えた固定部材の当該貫通孔の所定位置に被固定部材を確実に固定することが可能且つ取り外し容易な絶縁性ホルダを提供する。
【解決手段】絶縁性ホルダは、ストッパーと第1の被拘束部とを備えた第1のブロック5aと、第2の被拘束部を備えた第2のブロック5bと、拘束部材とを有し、前記第1のブロックと前記第2のブロックとを用いて被固定部材3を挟み且つ取り囲んで、前記ストッパーが固定部材に接触して進入が阻止されるまで、前記固定部材の貫通孔へ前記第1及び第2のブロックが挿入され、前記貫通孔から突出した前記第1の被拘束部と前記第2の被拘束部とを前記拘束部材で拘束することで、前記被固定部材を前記固定部材へ固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダ、特に貫通孔を備えた固定部材の当該貫通孔を通して配置される被固定部材を当該固定部材へ固定する絶縁性ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
貫通孔を備えた部材(固定部材)としては、例えば、図7に示すように、寸法「H1」×寸法「H2」の略矩形の貫通孔1を厚みの寸法「H3」の鉄鋼に設けたH型鉄鋼(「H鋼」または「H型鋼」とも言われる)2が挙げられる。図7では、当該H型の両端の鉄鋼ではなく、この両端の鉄鋼を繋ぐ中間に位置する鉄鋼に貫通孔1が形成されている。当該両端の鉄鋼間の間隔は寸法「H4」としている。
図7では、貨物コンテナ内部に電気機器を設置するため、同様の複数のH型鉄鋼2を貨物コンテナの床(図示せず)に所定間隔で適宜配置及び固定し、さらに、複数のH型鉄鋼2の各々の貫通孔1を介して、上記電気機器に電力供給をするための板状配線3(被固定部材に相当)を配置している。
板状配線3は、例えば、その断面が寸法「M1」×寸法「M2」の略矩形の銅板である(ただし、「M1」<「H1」、「M2」<「H2」<「H4」)。このため、板状配線1とH型鉄鋼2とが電気的に絶縁状態となるように、すなわち互いに接触しないように適切に配置した上で、碍子4で板状配線3を上記床に固定する。
そして、板状配線1とH型鉄鋼2との上記絶縁状態を良好とするために、板状配線1を適宜配置する際、板状配線1を絶縁樹脂等で形成されたホルダ(特許文献1参照)に挟んだ後、貫通孔1の内部へ当該ホルダを配置することも検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭63−127235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図7の構成においては、貨物コンテナの移動の際の揺れや振動により、単に板状配線3を挟んで貫通孔1内部に置いただけの上記ホルダが貫通孔1の外部にズレ出て、上記ホルダが板上配線3から外れてしまう場合がありうる。この場合には、碍子4によって板状配線3が上記床に固定されていても、板状配線3が上記揺れや振動により撓んで、板状配線1とH型鉄鋼2とが電気的に接続してしまう恐れがある。
また、H型鉄鋼2の貫通孔1を通した状態で配置される1本の板状配線3を上記床に複数の碍子4で支持且つ固定することは、作業量及びコストの増大を招く恐れがある。
そこで、本発明は、板状配線1等の被固定部材を、貫通孔を備えた固定部材の当該貫通孔の所定位置に確実に固定することで、碍子4等の支持部材の数を減少させることが可能で、且つ、取り外し容易な絶縁性ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の絶縁性ホルダは、ストッパーと第1の被拘束部とを備えた第1のブロックと、第2の被拘束部を備えた第2のブロックと、拘束部材と、を有し、前記第1のブロックと前記第2のブロックとを用いて被固定部材を挟み且つ取り囲んで、前記ストッパーが固定部材に接触して進入が阻止されるまで、前記固定部材の貫通孔へ前記第1及び第2のブロックが挿入され、前記貫通孔から突出した前記第1の被拘束部と前記第2の被拘束部とを前記拘束部材で拘束することで、前記被固定部材を前記固定部材へ固定することを特徴とする。
【0006】
すなわち、本発明の絶縁性ホルダは、少なくとも第1のブロックと第2のブロックとを用いて被固定部材を挟み込んで取り囲み、ストッパーで止まるまで第1ブロック及び第2ブロックを固定部材の貫通孔へ挿入し、当該貫通孔を通って突出した第1ブロック及び第2ブロックを拘束部材で拘束する。
従って、被固定部材を挟み且つ取り囲んだ状態で固定部材に確実に固定できるので、固定部材と被固定部材との絶縁を図りたい場合に確実に絶縁することができ、且つ、絶縁性ホルダ自体が被固定部材を支持する支持部材となるので、他の支持部材の数を減少させることが可能となる。さらに、拘束部材の拘束を解けば直ちに解体可能となるので取り外しが容易となり、メンテナンスの観点から作業性の向上及びコスト低減を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、貫通孔を備えた固定部材の当該貫通孔の所定位置に被固定部材を確実に固定することが可能且つ取り外し容易な絶縁性ホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態のホルダ(少なくとも2つのブロック及び拘束部材でホルダが構成される)の概要図である。図1(a)は、2つのブロックで板状配線3を挟み且つ取り囲んだ状態の正面概要図(XY平面図)である。図1(b)は、1つのブロックの正面概要図(XY平面図)である。
【図2】図1のブロックの概要図である。図2(a)は、図1(b)に相当する正面概要図(XY平面図)である。図2(b)は、図2(a)のA−A´線における側面図(XZ平面図)である。図2(c)は、図2(a)のB−B´線における断面図(XZ平面図)である。図2(d)は、図2(a)のC−C´線における側面図(XZ平面図)である。
【図3】図1のブロックの別の視点からの概要図である。図3(a)は、図1(b)に相当する正面概要図(XY平面図)である。図3(b)は、図3(a)のD−D´線における側面図(YZ平面図)である。図3(c)は、図3(a)のE−E´線における断面図(YZ平面図)である。図3(d)は、図3(a)のF−F´線における断面図(YZ平面図)である。
【図4】図1及至図3で示したブロックの斜視図である。
【図5】図1及至図4で示したブロックを3つ組み合わせて貫通孔1に板状配線3を固定する手順を説明する図である(ブロックの1つは拘束部材となる)。
【図6】図1及至図5で示したブロックで板状配線3以外の形状の被固定部材を固定部材へ固定する場合を説明する概要図である。
【図7】背景技術の一例として、貫通孔1を設けたH型鉄鋼2(固定部材に相当)の当該貫通孔に、板状配線3(被固定部材に相当)を配置した構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る絶縁性ホルダは、少なくとも2つのブロックで板状配線3等の「被固定部材」を挟んで取り囲み、当該2つのブロックをH型鉄鋼2等の「固定部材」の貫通孔へ挿入し、さらに当該貫通孔を通して突出した当該2つのブロックの被拘束部に、当該2つの被拘束部のいずれにも接してこれら2つのブロックを拘束する拘束部材を配置すること特徴の1つとしている。以下、図面を参照しながら、詳述する。図面中、XYZ軸による直交座標系の記載がある場合には、いずれの図の直交座標系も同一のものとする。また、図中に示す寸法「H1」、「H2」、「H3」、「H4」、「M1」、「M2」、「L」、および「N」は、いずれも0より大きい実数である。
なお、ここでは、貫通孔を備えたH型鉄鋼に板状配線を固定する絶縁性ホルダを一例として説明するが、H型鉄鋼に限らず、貫通孔を備えた固定部材であればいかようなものに対しても本発明の絶縁性ホルダは適用可能であり、また、板状配線に限らず、上記貫通孔を通して固定される被固定部材であればいかようなものに対しても本発明の絶縁性ホルダは適用可能である。
【0010】
以下、本実施形態の絶縁性ホルダにつき図1及至図4を参照して説明する。本実施形態の絶縁性ホルダは、少なくとも同一形状の2つのブロック5a、5b、及び拘束部材(ここでは、後述のブロック5aと同一形状のブロック5cにおける拘束部6を拘束部材の一例として説明する)を含んで構成される。本実施形態では、一例としてブロック5a、5b、5cはいずれも同一形状且つ同一寸法としているので、代表的にブロック5aを用いて、1つのブロック5の形状を詳述する。
【0011】
まず、ブロック5aの外形を説明する。図1(b)に示すように、XY平面の正面からブロック5aを見ると、この形状は略コの字型となっている。すなわち、当該略コの字型を構成する3つの部位、具体的には、X方向へ延びる1つの部位(第一部位)と、第一部位の端にそれぞれ接続し且つ+Y方向へ延びる2つの部位(第二部位)とから構成されている。第一部位は、X方向に寸法「L」、Y方向に寸法「L÷4」(すなわち、「L/4」)の略矩形である。また、第二部位は、図1(b)及び図2(a)に示すように、X方向に寸法「L/4」、Y方向に寸法「L/4」の略矩形である。この第一部位と2つの第2部位とからなる当該コの字型の形状によってブロック5aには開口が形成されることになる。当該開口は、ブロック5aの+Z方向に進むにつれて、その大きさは変化するものの、図4に示すように、Z方向におけるブロック5aの端から端まで途切れることなく存在する。
一方、XZ平面からブロック5aを見ると、図2および図4に示すように、その外形は略凸型となっている。すなわち、上記正面から+Z方向の末端までの寸法「N」を用いると、X方向に寸法「L」且つZ方向に寸法「N÷2」(すなわち、「N/2」)の略矩形の部位(第三部位)と、第三部位のX方向の端からそれぞれ寸法「L÷12」(すなわち、「L/12」)だけ第三部位のX方向の内側に入り込んで且つ第三部位のY方向の二つの端のうちより+Y方向にある端から第三部位に接続し、且つX方向に寸法「L×(10÷12)」且つZ方向に寸法「N/2」の略矩形の部位(第四部位)とから構成されている。
また、YZ平面からブロック5aを見ると、図3および図4に示すように、その外形は上述の略凸型とは異なる略凸型となっている。すなわち、Y方向に寸法「L/2」且つZ方向に寸法「N×(4÷6)」の略矩形の部位(第五部位)と、第五部位のY方向の二つの端のうちより+Y方向にある端から接続し、且つY方向に寸法「L×(4÷12)」且つZ方向に寸法「N×(2÷6)」の略矩形の部位(第六部位)とから構成されている。
【0012】
では、ブロック5aの第一至及第六部位の構造および機能につき、詳述する。
図2(a)のA−A´線における側面図(XZ平面図)である図2(b)、図2(a)のB−B´線における断面図(XZ平面図)である図2(c)、図3(a)のE−E´線における断面図(YZ平面図)である図3(c)、および図3(a)のF−F´線における断面図(YZ平面図)である図3(d)に示すように、上記正面から+Z方向へ寸法「N÷6」(すなわち、「N/6」)進んだ位置から、XZ平面で見て幅寸法「N/6」且つX方向への深さが寸法「L/12」、YZ平面で見て幅寸法「N/6」且つY方向への深さが寸法「L×(2÷12)」の溝(以下、「第一溝」という)が形成されている。図4(a)により、この溝の立体的形状が容易に理解される。
この第一溝が、第一至及第三部位及び第五部位から構成されるブロック5aの内側の表面に略コの字型に形成されることにより、上記正面から+Z方向へ寸法「N/6」までの部分が相対的にかぎ状に突出した形状となる。この突出した形状の部分(以下、「第一突出部」ともいう)が、拘束部6となる。拘束部6の機能等については後述する図5にて説明する。
【0013】
図2(a)のA−A´線における側面図(XZ平面図)である図2(b)、図2(a)のB−B´線における断面図(XZ平面図)である図2(c)、図3(a)のE−E´線における断面図(YZ平面図)である図3(c)、および図3(a)のF−F´線における断面図(YZ平面図)である図3(d)に示すように、上記正面とはZ方向で反対側に存在する面(以下、「裏面」という)から-Z方向へ寸法「N/6」進んだ位置からZ方向の幅寸法「N/6」の溝(以下、「第二溝」という)が形成されている。この溝の深さは、図2の第三部位の外形を基準とすると、当該外形からX方向へブロック5aの内側に向かって寸法「L×(3÷12)」の深さの溝であり、且つ、図3の第五部位の外形を基準とすると、当該外形から+Y方向へ寸法「L×(3÷12)」の深さの溝である。図4により、この溝の立体的形状が容易に理解される。
この第二溝が、第一部位、第二部位、第四部位及び第六部位から構成されるブロック5aの外側の表面に略コの字型に形成されることにより、上記裏面から−Z方向へ寸法「N/6」までの部分が相対的にかぎ状に突出した形状となる。この突出した形状の部分(以下、「第二突出部」ともいう)又は第二溝が、被拘束部7となる。被拘束部7の機能等については後述する図5にて説明する。
【0014】
ブロック5aの拘束部6と被拘束部7は、図2(c)及び図3(c)に示すように、ブロック5aの内部で互いに接続されている。図2(a)の上記正面から見ると、上記正面から+Z方向へ寸法「N×(2÷6)」だけ進んだ位置から、X方向へ寸法「L÷6」(すなわち、「L/6」)且つY方向へ寸法「L÷8」(すなわち、「L/8」)の略矩形の形状に見える2つの部分(図2(a)において、点のハッチングがなされている2つの部分)を介して上記接続がなされている。これら2つの部分の間隔は、X方向で寸法「L/6」である。
【0015】
以上の形状のブロック5aの各部位等は、絶縁性のプラスチック樹脂やゴム等で型成形により一体に形成されるのが望ましい。もちろん、強度が設計仕様に耐えられるのであれば、当初から一体に形成されずとも、部分的に張り合わせる等して最終的にブロック5aの形状としてもよい。
【0016】
では、図1及び図5を用いて、上述したブロック5aと、ブロック5aと同素材、同寸法、且つ同形状のブロック5bおよびブロック5cを用いて、図7で示した被固定部材としての板状配線3を固定部材としてのH型鉄鋼2に固定する手順につき、説明する。
ここで、寸法「M1」は寸法「L/2」と実質的に同一、寸法「M2」は寸法「L/6」と実質的に同一、寸法「H2」は寸法「L×(10÷12)」と実質的に同一、寸法「H3」は寸法「N/6」と実質的に同一としている。また、寸法「H1」は寸法「L」と同じ又は寸法「L」より大きい。ただし、寸法「L」を2倍した値が、寸法「H4」より小さくなるよう設計される。
【0017】
まず、H型鉄鋼2の貫通孔1に、板状配線3を通した状態とする。そして、ブロック5aと、ブロック5aを上記正面から見て、それをXY平面上で180°回転した状態と同一の状態のブロック5bとを、貫通孔1の近辺に配置する。そして、図5の順序1で示されるように、板状配線3をブロック5aとブロック5bのそれぞれの開口に配置した状態で、互いの拘束部6及び被拘束部7を密着させる。これにより、図1(a)に示すように、2つのブロック5a及び5bのそれぞれの上記2つの部分の間に板状配線3をきっちりと挟み込んで且つ取り囲んだ状態となる。
そして、当該状態でこれら2つのブロック5a及び5bを貫通孔1へ挿入し、ブロック5a及び5bのそれぞれの第三部位がH型鉄鋼2に接触して止まるまで押し込む。このとき、これら第三部位は、ブロック5a及び5bが貫通孔1を通り抜けてしまわないよう、H型鉄鋼2に引っかかってブロック5a及び5bの貫通孔1への進入を止めるストッパーとして機能する。
その後、ブロック5aを上記正面から見て、それをXY平面上で90°回転した状態と同一の状態のブロック5cの拘束部6を、図5の順序2で示されるように、貫通孔1から突出した2つのブロック5a及び5bのそれぞれの被拘束部7へ挿入して押し込む。
これにより、ブロック5cの上記正面とブロック5a及び5bのそれぞれの第三部位とでH型鉄鋼2を挟み込み、さらに、ブロック5a及び5bの被拘束部7にブロック5cの拘束部6がきれいに嵌め合わされるので、ブロック5a及び5bが貫通孔1から抜け落ちることが防止される。すなわち、ブロック5a、5bおよび拘束部材により、貫通孔を備えた固定部材の当該貫通孔の所定位置に被固定部材を確実に固定する機能が達成される。
また、絶縁性ホルダを組み合わせた後、このブロック5cの拘束部6をスライドして取り外すことは容易である。従って、拘束を解いて絶縁性ホルダを解体することが容易であるので、被固定部材等のメンテナンスを容易とする機能も達成される。
【0018】
なお、ブロック5a及び5bの被拘束部7に小さな凹部又は凸部を形成し、ブロック5cの拘束部6の対応する位置に、当該小さな凹部又は凸部に嵌め合わされる小さな凸部又は凹部を形成し、ブロック5a及び5bの被拘束部7をブロック5cの拘束部6で拘束する際の拘束力を強化してもよい。この場合であっても、ブロック5cの拘束部6をブロック5a及び5bの被拘束部7から取り外すことは容易である。
【0019】
以上の説明では、同一寸法及び同一形状の3つのブロック5a、5b及び5cを1組として用いた絶縁性ホルダの例を説明した。かようにいずれのブロック5も同一寸法および同一形状とすると、型を1つのみ形成すれば低コストで大量生産することが可能となる。
ところで、少なくとも2つのブロック5a、5bが用いられれば、これらの被拘束部7を拘束する部材は、ブロック5cでなくともよい。すなわち、ブロック5の拘束部6と同様の形状をした拘束部材を別途作成してブロック5a及び5bの被拘束部7を同時に拘束してもよいし、取り外し容易な紐などでブロック5a及び5bの被拘束部7を同時に拘束してもよい。
【0020】
なお、H型鉄鋼2の貫通孔1に板状配線3ではなく、例えば、ケーブル等の断面が円状の配線を配置する場合もありうる。このように板状配線3とは別形状の被固定部材をH型鉄鋼2に固定する場合には、例えば、X方向の寸法「L×(2÷3)」且つY方向の寸法「L×(5÷12)」の略矩形の補助板8を用いるとよい。この補助板8に所定の形状を穴あけ又は切り取り加工等した後、ブロック5a及び5bのそれぞれの第一溝へ嵌め込むことで、本実施形態の変形例として図6に示すように、板状配線3の場合と同様に、断面が円状や三角形状等の配線も、補助板8aと8bによって挟み込まれた状態でH型鉄鋼2へ固定することができる。補助板8の材質は、プラスチック樹脂、ゴム、木など、加工容易な材質且つ絶縁性の材質が望ましいが、ブロック5が絶縁性の素材であるので、設計によっては金属等の導電性の素材としてもよい。
【0021】
本発明の絶縁性ホルダは、上述した実施形態またはその変形例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りで種々の変形が可能である。例えば、固定部材としてH型鉄鋼2を、被固定部材として板状配線3を用いて説明したが、これに限らず、貫通孔のある固定部材の貫通孔に被固定部材を通した状態で、被固定部材を固定部材に確実に固定できればよいので、車や船の構成部材やキッチンの構成部材、さらには机の構成部材なども固定部材となりうる。また、金属性の部材に限らず、紐などの非金属性の部材も被固定部材となりうる。固定部材の貫通孔も、矩形に限らず、円形、三角形等、様々な形状が可能であり、これに対応する形状の絶縁性ホルダとすることも可能である。
また、少なくとも2つ使用されるブロック5の形状も、必ずしも同一である必要はなく、例えば、一方にストッパーとしての機能を果たす部位が形成されていても、他方にストッパーとしての機能を果たす部位が必ずしも形成されていなくてもよい。かような組み合わせであっても、絶縁性ホルダとして組んだ際には、上述した効果を奏する構造とすることが可能である。
さらに、各ブロック5の素材も、絶縁性であれば互いに異なる素材であってもよい。
その上、被固定部材を挟んで取り囲むブロックの数も2つに限るものではなく、少なくとも2つ、すなわち2つ以上のブロックとしてよい。
【符号の説明】
【0022】
1…貫通孔、2…H型鉄鋼、3…板状配線、4…碍子、
5(5a、5b、5c)…ブロック、
6…拘束部、7…被拘束部、8(8a、8b)…補助板、9…配線(断面が円状)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストッパーと第1の被拘束部とを備えた第1のブロックと、
第2の被拘束部を備えた第2のブロックと、
拘束部材と、
を有し、
前記第1のブロックと前記第2のブロックとを用いて被固定部材を挟み且つ取り囲んで、前記ストッパーが固定部材に接触して進入が阻止されるまで、前記固定部材の貫通孔へ前記第1及び第2のブロックが挿入され、前記貫通孔から突出した前記第1の被拘束部と前記第2の被拘束部とを前記拘束部材で拘束することで、前記被固定部材を前記固定部材へ固定することを特徴とする絶縁性ホルダ。
【請求項2】
前記第1のブロックと前記第2のブロックは開口のある略コの字型の外形を備え且つ同一寸法且つ同一形状であり、前記第1のブロックと前記第2のブロックの互いの前記開口に前記被固定部材を挟み込むことを特徴とする請求項1に記載の絶縁性ホルダ。
【請求項3】
前記拘束部材は、第3のブロックが備えた拘束部であり、
前記第1のブロック、前記第2のブロック、及び前記第3のブロックは、同一寸法且つ同一形状であることを特徴とする請求項2に記載の絶縁性ホルダ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−16276(P2013−16276A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146527(P2011−146527)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】