説明

ホルミル−ポルフィリンへの新規ルート

5−ホルミルポルフィリンを製造する方法であって、この製法は、5−アセタールジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを縮合させて、5位がアセタール基で置換されたポルフィリンを生じるステップと、次いで、前記ポルフィリンを加水分解して、前記5−ホルミルポルフィリンを生じるステップとを含む。生成物とそのような方法で有用な中間体、そのような中間体を製造する方法も一緒に記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国立衛生研究所の助成金番号GM36238の政府支援によって行われた。米国政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0002】
[発明分野]
本発明はポルフィリン化合物の製造方法及び製造に有用である中間体に関する。
【背景技術】
【0003】
ホルミル−置換ポルフィリン系大環状分子は、生物有機化学及び物質化学において多用途の中間体及び標的分子を提供する。ポルフィリン系ホルミル基の注目に値する反応は、アルデヒドの代表的反応(例えば、ウィッティッヒ反応13、グリニヤール反応2,4、マクマリー反応5、シッフ塩基反応68、クネベナーゲル反応7,910及びまたマルチポルフィリン系構造を生じるピロール又はジピロメタンとの反応を含む11。ホルミル基は、超分子化学でも利用されてきており、その場合、ホルミル基の酸素は、隣接する金属ポルフィリン上の先端部位に結合している12。ホルミル−ポルフィリン系化合物は天然に少しは生じるが(例えばクロロフィルb)、大半は新規に合成せねばならない。ホルミル基をポルフィリン系大環状分子に導入する一般的方法は、フィルスマイヤーのホルミル化反応を要する10。従来はDMF/POCl3を用い6,13、又はつい最近ではHC(OMe)3/TFA又はSnCl4を用いる3が、そのどちらかを用いるフィルスマイヤーのホルミル化反応は、強酸に対して安定な金属ポルフィリン(例えば、銅又はニッケルキレート)を用いて実施することができる。従って、ホルミル化は、通常は、以下の3段階を必要とする:(1)銅を遊離塩基のポルフィリンへ挿入、(2)銅キレートのホルミル化、(3)ホルミル基を有する遊離塩基のポルフィリンを得るために銅の脱金属化。銅の除去は、一般に、例えばH2SO4中のTFAなどの強い酸性条件を要する。フィルスマイヤーのホルミル化反応の収率は、通常、極めて高い(もっとも、ポリホルミル化金属ポルフィリンの混合物が公知であるが10,14,15)。しかしながら、3段階手順、強酸の使用及びホルミル化の部位への限定的制御により、明白な限界がある。
【0004】
ホルミルポルフィリンの製造に関しては、より穏やかでより直接的な手順の必要性がある。メソ置換基の明確なパターンを有するポルフィリンへの2ルートは、(1)trans−A22−ポルフィリンを提供するジピロメタン−1−カルビノールの自己縮合16及び(2)異なるメソ置換基4つまでを有するポルフィリン(ABCD−ポルフィリン)を提供するジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとの反応17を含む。
【発明の開示】
【0005】
本発明の第1の態様は、5−ホルミルポルフィリンを製造する方法であって、この製法は、
(a)5−アセタールジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを縮合させて、5位がアセタール基で置換されたポルフィリンを生じるステップと、次いで
(b)前記ポルフィリンを加水分解して、5−ホルミルポルフィリンを生じるステップと
を含む。
【0006】
本発明の第2の態様は、5−アセタールジピロメタン化合物である。
【0007】
本発明の第3の態様は、5−アセタールポルフィリン化合物であり、これは、一部の実施形態では、10又は15位に置換された表面結合基(surface attachment group)を有する。
【0008】
本発明の第4の態様は、表面結合基で10又は15位が置換された5−ホルミルポルフィリンである。
【0009】
本発明の第5の態様は、5,15−ジホルミルポルフィリンを製造する方法であり、この方法は、5,15−ジアセタールポルフィリンを加水分解して、5,15−ジホルミルポルフィリンを生じるステップを含む。5−アセタール−1−アシルジピロメタンを還元して、対応するカルビノールを生じ、次いで、カルビノールを自己縮合させ、5,15−ジアセタールプロフィリンを生じることにより、5,15−ジアセタールポルフィリンを製造することができる。5−アセタール−1−アシルジピロメタンは、5−アセタール−ジピロメタンをピリジルチオエステルでアシル化して5−アセタール−1−アシルジピロメタンを生じることにより、順に製造することができる。一部の有利な実施形態では、アシル基は、表面結合基を含む。
【0010】
本発明の第6の態様は、5−アセタール−1−アシルジピロメタンである。
【0011】
本発明の第7の態様は、5,15−ジアセタールポルフィリン化合物であり、これは、一部の実施形態では、10及び20位のどちらかまたは両方の位置に置換された表面結合基を有する。
【0012】
本発明の第8の態様は、10及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された5,15−ジホルミルポルフィリンである。
【0013】
本発明の第9の態様は、5,15−ジアセタールポルフィリンを製造する方法であって、この方法は、式:
【化1】

[式中、R1は2−ピリジルであり、R2はアセタールである]のピリジルチオエステルでジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを生じるステップと、
この1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを還元して、1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを生じるステップと、
次いで、1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを自己縮合させて、5,15−ジアセタールポルフィリンを生じるステップとを含む。
【0014】
本発明の第10の態様は、式:
【化2】

[式中、R1は2−ピリジルであり、R2はアセタールである]のピリジルチオエステルである。
【0015】
本発明の第11の態様は、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンであり、これは、一部の実施形態では、更に5位が表面結合基で置換されていてよい。
【0016】
本発明の第12の態様は、1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンであり、これは、一部の実施形態では、更に5位が表面結合基で置換されていてよい。
【0017】
本発明の更なる態様は、5,10−ジアセタールポルフィリンを製造する方法であり、この方法は、
1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを生じるステップと、
前記1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを還元して、対応するジカルビノールを生じるステップと、
前記ジカルビノールをジピロメタンと縮合させて、中間体を生じるステップと、
前記中間体を酸化して、5,10−ジアセタールポルフィリンを生じるステップと
を含む。一部の実施形態では、アシル基は、表面結合基を含む。
【0018】
本発明の更なる態様は、更に9位がアシル基で置換されている1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンであり、これは、一部の実施形態では、更に5位が表面結合基で置換されていてよい。
【0019】
本発明の更なる態様は、5,10−ジアセタールポルフィリンであり、これは、一部の実施形態で、更に15及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換されている。
【0020】
本発明の更なる態様は、15及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された5,10−ジホルミルポルフィリンである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書中で使用される「アセタール」は、式:
【化3】

[式中、R及びR’は、それぞれ好適な基、例えば、アルキル、アリール、アルキルアリールからなる群から独立して選択された基であるか又は、R及びR’は、一緒に基−R”を形成し、ここでR”はアルキレン(即ちシクロアルキル)である]の基を示す。アセタールは、有利には、適度に堅固であり、従って、R及びR’の少なくとも1つ、更に有利にはその両方がメチルではないのが好ましく、特に好ましくは、RもR’もHではないことである。
【0022】
本明細書中で使用される用語「アルキル」は、炭素原子1〜10個を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素を示す。アルキルの代表例は、置換又は非置換であってもよい、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等を含むが、これらに限定はされない。
【0023】
本明細書中で使用される用語「アリール」は、単環式環状炭素系又は芳香環1つ以上を有する二環式縮合炭素環系を示す。アリールの代表例は、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル等を含むが、これらはまた、置換又は非置換であってよい。
【0024】
本明細書中で使用される「カルビノール」は、式:−CH(−OH)−の基を示す。
【0025】
本明細書中で使用される「カルボニル」は、式:−C(=O)−の基を示す。
【0026】
本明細書中で使用される「ジピロメタン」は、非置換及び置換のジピロメタンの両方を含み、1、2、3、5、7、8又は9位が、任意の好適な置換基、例えばハロ、カルボニル、アルキル、ペルフルオロアルキルを含むフルオロアルキル、アリール(例えば5位にアリール、1及び/又は9位にアルキル)、ペルフルオロアリールを含むフルオロアリール等で1つ以上置換されていて良い。ジピロメタンは、ジピロメタン上の1、2、3、5、7、8又は9位を含む任意の好適な位置でポルフィリン系大環状分子と結合していてよい。
【0027】
本明細書中で使用される「ホルミル」は、式:−CHOの基を示す。
【0028】
本明細書中で使用される「ルイス酸」は、電子対受容体であり、そのためルイス塩基と反応して、ルイス塩基により供給された電子対を共有することによりルイス付加物を形成できる分子化合物(及び相当する化学種)を示す。任意の好適なルイス酸は、触媒として使用でき、その例は、一般式LnX3[式中、Lnはランタノイドであり、Xは、例えばCl、Br、I等のハロ、トリフラート又はOTf等である]の化合物を含むが、これに限定はされない。本発明を実施する際に使用できるルイス酸の具体例は、Yb(OTf)3、InCl3、Sc(OTf)3、MgBr2及びCeCl3を含むが、これらに限定はされない。
【0029】
本明細書中で使用される「ポルフィリン」は、通常、窒素原子4個と置換可能な水素2個と共に4個のピロール環から構成されている環状構造物を示し、この水素は、種々の金属原子で容易く置換され得る。代表的ポルフィリンはヘミンである。
【0030】
本明細書中で使用される「表面結合基」は、基上に保護又は非保護反応部位又は基を有する官能基を示し、例えばカルボン酸、アルコール、チオール、セレノール又はテルロール基、又はホスホノ(例えばジヒドロキシホスホリル)、アルケニル(例えばエテニル)及びアルキニル(例えばエチニル)基である。(保護されていない形の反応部位又は基を有する)表面結合基の例は、4−カルボキシフェニル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、2−(4−カルボキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−カルボキシフェニル)エチニル)フェニル、4−カルボキシメチルフェニル、4−(3−カルボキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−カルボキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;4−ヒドロキシフェニル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル、4−(2−(4−ヒドロキシフェニル)エチニル)フェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(3−ヒドロキシプロピル)フェニル、4−(2−(4−ヒドロキシメチルフェニル)エチニル)フェニル;4−メルカプトフェニル、メルカプトメチル、2−メルカプトエチル、3−メルカプトプロピル、2−(4−メルカプトフェニル)エチニル、4−(2−(4−メルカプトフェニル)エチニル)フェニル、4−メルカプトメチルフェニル、4−(2−メルカプトエチル)フェニル、4−(3−メルカプトプロピル)フェニル、4−(2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチニル)フェニル;4−セレニルフェニル、セレニルメチル、2−セレニルエチル、3−セレニルプロピル、2−(4−セレニルフェニル)エチニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−セレニルエチル)フェニル、4−(3−セレニルプロピル)フェニル、4−セレニルメチルフェニル、4−(2−(4−セレニルフェニル)エチニル)フェニル;4−テルリルフェニル、テルリルメチル、2−テルリルエチル、3−テルリルプロピル、2−(4−テルリルフェニル)エチニル、4−(2−(4−テルリルフェニル)エチニル)フェニル、4−テルリルメチルフェニル、4−(2−テルリルエチル)フェニル、4−(3−テルリルプロピル)フェニル、4−(2−(4−テルリルメチルフェニル)エチニル)フェニル;4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル、(ジヒドロキシホスホリル)メチル、2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル、3−(ジヒドロキシホスホリル)プロピル、2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ジヒドロキシホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ジヒドロキシホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ジヒドロキシホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル、(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル、2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル、3−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)プロピル、2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)フェニル]エチニル]フェニル、4−[(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチル]フェニル、4−[2−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)エチル]フェニル、4−[2−[4−(ヒドロキシ(メルカプト)ホスホリル)メチルフェニル]エチニル]フェニル;4−シアノフェニル、シアノメチル、2−シアノエチル、3−シアノプロピル、2−(4−シアノフェニル)エチニル、4−[2−(4−シアノフェニル)エチニル]フェニル、4−(シアノメチル)フェニル、4−(2−シアノエチル)フェニル、4−[ 2−[4−(シアノメチル)フェニル]エチニル]フェニル;4−シアノビフェニル;4−アミノフェニル、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピル、2−(4−アミノフェニル)エチニル、4−[2−(4−アミノフェニル)エチニル]フェニル、4−アミノビフェニル;4−ホルミルフェニル、4−ブロモフェニル、4−ヨードフェニル、4−ビニルフェニル、4−エチニルフェニル、4−アリルフェニル、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]フェニル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]フェニル、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル;ホルミル、ブロモ、ヨード、ブロモメチル、クロロメチル、エチニル、ビニル、アリル;4−(エチニル)ビフェニ−4’−イル、4−[2−(トリイソプロピルシリル)エチニル]ビフェニ−4’−イル、3,5−ジエチニルフェニル;4−(ブロモメチル)フェニル、2−ブロモエチルを含むが、これらに限定はされない。
【0031】
前記の単座リンカー−表面結合基の他に、多座リンカーを使用することができる[Nikitin,K.Chem Commun.2003,282-283;Hu,J.;Mattern,D.L.J.Org.Chem.2000,65,2277-2281;Yao,Y.;Tour,J.M.J.Org.Chem.1999,64,1968-1971;Fox,M.A.et al.Langmuir,1998,14,816-820;Galoppini,E.;Guo,W.J.Am.Chem.Soc.2001,123,4342-4343;Deng,X.et al.J.Org.Chem.2002,67,5279-5283;Hector Jr.,L.G.et al.Surface Science,2001,494,1-20;Whitesell,J.K.;Chang,H.K.Science,1993,261,73-76;Galoppini,E.et al.J.Am.Chem.Soc.2002,67,7801-7811;Siiman,O.et al.Bioconjugate Chem.2000,11,549-556]。チオール、カルボン酸、アルコール又は燐酸単位を有するトリポッド型リンカー(tripodal linker)は、平面上に上向きの形態で分子素子をしっかりと固定するために特に魅力あるものである。そのようなリンカーの具体例は、トリフェニルメタン又はテトラフェニルメタン単位を中心に構築され、以下:1,1,1−tris[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−tris[4−(S−アセチルチオメチル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−tris[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−tris[4−(ジヒドロキシホスホリル)フェニル]メチル}フェニル、1,1,1−tris[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル、4−{1,1,1−tris[4−(ジヒドロキシホスホリルメチル)フェニル]メチル}フェニルを含む。
【0032】
出願者は、本明細書中で引用した全ての米国特許の引例の開示全体が参照によって本明細書の一部を構成するものと特に意図する。
【0033】
(A)5−ホルミルポルフィリンの合成及びその製造のための中間体の合成
本明細書の以下に記載の縮合ステップは、公知技術により実施することができる。本発明の反応条件は、クリティカル(critical)ではない。一般に、反応は、例えば、室温と周囲圧力というような、任意の好適な温度と圧力で実施することができる。一般に反応は迅速であり(例えば1〜10分の時間実施され)、反応が極度に長い時間(例えば、特定の条件によっては、1〜2日)実施されるならば、何らかのスクランブリングが最終的に起こりうるので、有利には1〜2時間以内に実施される。一部の実施形態では、本発明を実施するのに使用できる溶媒は、有利には、室温で(即ち25℃)約20、15、又は10以下の誘電率を有する。溶媒は、単独の化合物又はその混合物であってよい。有利には、溶媒は非水系である。好適な溶媒の詳細な例は、塩素化脂肪族炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、cis−1,2−ジクロロエチレン、trans−1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン等)、塩素化芳香族炭化水素(例えば、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1−クロロナフタレン等)、炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、ジュレン、ナフタレン)、エーテル(例えば、エチルエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、アニソール、フェニルエーテル等)、エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、安息香酸エチル、フタル酸ブチル等)、グリム類(例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール)及び他の溶媒、例えば二硫化炭素、ホウ酸トリブチル等並びに前記溶媒の混合物を含むが、これらに限定はされない。留意すべきは、あまり好まれない溶媒もあることである。例えば、ジエチルエーテル中の酸素は、ルイス酸と配位結合し、ルイス酸を固定するので、あまり好ましくない。一部の実施形態では、ルイス酸触媒を利用する。任意の好適な電子対受容体は、本発明でルイス酸触媒として使用でき、これは、CsCl、SmCl3・6H2O、InCl3、CrF3、AlF3、Sc(OTf)3、TiF4、BEt3、GeI4、EuCl3・nH2O、LaCl3、Ln(OTf)3(式中、Ln=ランタノイド)等を含むが、これらに限定はされない。濃度は、例えば、0.001又は0.01mmol/Lから100又は500mmol/L以上までの範囲であってよい。ルイス酸の具体例及びその好適な濃度は、InCl3(0.32mmol/L)、Sc(OTf)3(0.32mmol/L)、Yb(OTf)3(1.0mmol/L)及びDy(OTf)3(0.32mmol/L)を含む。例えば、Lindsey et al.,米国特許出願2003/0096978(2003年5月22日)参照。
【0034】
前に記載のように、本発明は、5−ホルミルポルフィリンの製法を提供し(その1例は以下の図式1に示される)、この製法は、5−アセタールジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを縮合させて、5位がアセタール基で置換されたポルフィリンを生じるステップと、ポルフィリンを加水分解して5−ホルミルポルフィリンを生じるステップとを含む。縮合ステップは、ルイス酸の存在下で極性又は無極性溶媒中で実施し、その後、公知技術によりDDQのような酸化剤で酸化を行う。加水分解ステップは、任意の好適な方法で、例えばCH2Cl2、TFA及び水の2相混合物を用いて室温で実施することができる。
【0035】
ジピロメタン−1,9−ジカルビノールは、1,9−ジアシルジピロメタンを還元してジピロメタン−1,9−ジカルビノールを形成することにより生産できる。5−アセタールジピロメタンは、グリオキサールとネオペンチルグリコールとを反応させて、モノアセタール及びビス−アセタールの混合物を生じ、次いでこの混合物を過剰のピロールと反応させて5−アセタールジピロメタンを生成することにより製造できる。この両方の製法は公知技術による。前に記載のように、一部の有利な実施形態では、ジピロメタン−1,9−ジカルビノールは、5位に置換された表面結合基を有する。
【0036】
このように、本明細書に記載の中間体は、5−アセタールジピロメタン化合物及び5−アセタールポルフィリン化合物を含み、これは、10又は15位が表面結合基で置換された5−アセタールポルフィリンを含む。
【0037】
この方法により製造される生成物は、10又は15位が表面結合基で置換された5−ホルミルポルフィリンを含む。
【0038】
(B)5,15−ジホルミルポルフィリンの合成及びこれを製造するための中間体の合成
本発明は、更に、5,15−ジホルミルポルフィリンの製法を提供し、その1例は以下の図式2により例示される。一般に、この製法は、5,15−ジアセタールポルフィリンを加水分解して、5,15−ジホルミルポルフィリンを生成するステップを含む。
【0039】
5−アセタール−1−アシルジピロメタンを還元して対応するカルビノールを生じ、次いで前記カルビノールを自己縮合させて、5,15−ジアセタールポルフィリンを生じることにより、5,15−ジアセタールポルフィリンを製造することができる。
【0040】
5−アセタール−1−アシルジピロメタンは、5−アセタール−ジピロメタンをピリジルチオエステルでアシル化して5−アセタール−1−アシルジピロメタンを生じることにより順に製造することができる(又、一部の有利な実施形態においては、アシル基が表面結合基を含む)。
【0041】
そのような工程で使用される中間体は、5−アセタール−1−アシルジピロメタン及び5,15−ジアセタールポルフィリン化合物を含み、特に、10及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換されたものを含む。そのような中間体及び方法は、10及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された、5,15−ジホルミルポルフィリンを提供する。
【0042】
本発明の他の態様は、5,15−ジアセタールポルフィリンを製造する方法であって、この製法は、以下の図式3〜4により、1実施形態で例示される。そのような方法は、一般に、式:
【化4】

[式中、R1は2−ピリジルであり、R2はアセタールである]のピリジルチオエステルでジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを生じるステップと、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを還元して、1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを生じるステップと、次いで、この1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを自己縮合させて、5,15−ジアセタールポルフィリンを生じるステップとを含む。この方法は、有利には、更に、5,15−ジアセタールポルフィリンを加水分解して、5,15−ジホルミルポルフィリンを生じるステップを含む。
【0043】
ピリジルチオエステルは、公知技術により、アセタール−酸を2,2’−ジピリジルジスルフィド及びPh3Pと反応させて、ピリジルチオエステルを生じることにより製造することができる。
【0044】
そのような方法は、有用な中間体として、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン(例えば、化合物13で以下に例示される)を提供し、これは、更に5位が表面結合基で置換されていてよく、同様に、相当する1−(アセタールカルビノール)ジピロメタン(例えば、化合物13−OHで以下に例示される)も提供し、これも、更に5位が表面結合基で置換されていてよい。
【0045】
これらの方法は、中間体として、5,15−ジアセタールポルフィリンを提供し、10及び20位のどちらかまたは両方の位置が、表面結合基で更に置換されたものを含む。
【0046】
(C)5,10−ジホルミルポルフィリンの合成及びそれに有用な中間体の合成
5,10−ジアセタールポルフィリンを製造する方法(その1例が以下の図式5により例示される)は、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを生じるステップと、この1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを還元して対応するジカルビノールを生じるステップと、ジカルビノールをジピロメタンと縮合させて、中間体を生じるステップと、中間体を酸化して、5,10−ジアセタールポルフィリンを生じるステップとを含む。一部の実施形態では、アシル基は、有利には表面結合基を含む。またその上にこの方法は、5,10−ジアセタールポルフィリンを加水分解して、5,10−ジホルミルポルフィリンを製造するステップを更に含む。
【0047】
そのような方法は、有用な中間体として、更に9位がアシル基で置換されている、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン(その1例は以下の化合物16である)を提供し、これは、有利な実施形態では、更に5位が表面結合基で置換されていてよい。
【0048】
そのような方法は、有用な中間体として5,10−ジアセタールポルフィリンを更に提供し、有利な実施形態では、更に、15及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換されたものを含む。
【0049】
そのような方法は、生成物として、15及び20位のどちらかまたは両方の位置が、表面結合基で置換された5,10−ジホルミルポルフィリンを提供する。
【0050】
(D)有用性
例えば、Lindsey et al.への米国特許No.6407330又はLindseyへの米国特許No.6420648に記載されているように、ポルフィリン環化合物又はポルフィリン系大環状化合物は有用であり、特に、基質に固定又は結合でき、かつ光収穫ロッド(light harvesting rods)、光収穫アレイ(light harvesting arrays)及び太陽電池として使用できるポリマーの製造のために有用である。ポルフィリン系大環状化合物は、基質へ固定されて、電荷蓄積分子を製造し、さらにこれを含む情報記憶装置を製造するのにも有用である。そのような電荷蓄積分子及び情報記憶装置は公知であり、例えば、Gryko et al.への米国特許No.6208553、Bocian et al.への同No.6381169及びGryko et al.への同No.6324091に記載されている。ポルフィリン系大環状分子は、例えば、Li et al.への米国特許No.6212093又はLi et al.への米国特許No.6451942に記載されるように、情報記憶分子中のサンドイッチ配位化合物のメンバーを構成することもある。
【0051】
本発明を、以下の非限定的な実施例でより詳細に説明する。
【実施例】
【0052】
結果と考察
5−ホルミルポルフィリン
潜在ホルミル基(latent formyl group)を有するポルフィリンへの前駆体として、5−(ジチオラニ−2−イル)ジピロメタンを使用することを最初に検討したが、ポルフィリンの形成時にメソ−ジチオラン基が一部失われて、ポルフィリンの混合物を生じた(支援情報参照)。フラグメント化反応の原因は不明であるが、アセタール保護基を使用することに転じた。グリオキサールとネオペンチルグリコールとの酸触媒反応により、モノアセタール119とビス−アセタールとの混合物が得られた。蒸留によりモノアセタールを粗反応混合物から単離することを試み、報告された収率である50%19よりほんの4%多い収率でグリオキサールモノアセタール1が得られた。標準手順20に従い、InCl3の存在下に過剰のピロールで1を処理して、アセタール−ジピロメタン2が収率70%で得られた。混じりけの無い1の単離の困難さと2の単離の容易さとを考えて、粗製物1をジピロメタン−形成反応に直接に使用した。この方法で、2が、グリオキサールから総収率32%で得られた。
【0053】
ジピロメタン2と3−ジオール(1,9−ジアシルジピロメタン3のNaBH4還元により製造;Ar=p−tert−ブチルフェニル)との縮合は、InCl3の存在下に標準的手法17,21で実施し、その後、DDQにより酸化した。アセタール−ポルフィリン4は、収率13%でクリーンに得られた。ポルフィリン4のアセタールの加水分解は、CH2Cl2、TFA及び水(10:1:1)22の2相混合物を使用して室温で実施し、メソ−ホルミルポルフィリン5を収率92%で得た。Zn(OAc)2・2H2Oで5を金属化して、亜鉛ポルフィリンZn−5が収率92%で得られた(図式1a〜1b)。
【0054】
【化5】

【0055】
【化6】

【0056】
5,15−ジホルミルポルフィリン
5,15−ジホルミルポルフィリンの合成に関しては2つのルートが研究された。各ルートは、1−アシルジピロメタンから誘導されたカルビノールの自己縮合を使用する。これらのルートは、アセタール基が5位に位置するか又は1−アシルジピロメタンの1−アシル基に結合しているかどうかの点でのみ異なる。
【0057】
アセタールを5位に有するジピロメタン−モノカルビノールを使用するルートは、ジピロメタン2から始まる。1−アシル化16のための標準条件下で、ピリジルチオエステル6で2を処理して、1−アシルジピロメタン7が収率72%で得られた。7をNaBH4で還元し、生じたジピロメタンモノカルビノール7−OHは、InCl3の存在下に自己縮合16,21させ、その後DDQで酸化して、ポルフィリン8が収率14%で得られた。ポルフィリン8の2つのアセタール基をCH2Cl2/TFA/H2O(10:1:1)で加水分解し、5,15−ジホルミルポルフィリン9が収率90%で得られた(図式2)。
【0058】
【化7】

【0059】
1−カルビノール位置にアセタールを有するジピロメタン−モノカルビノールを使用するルートは、適切なアセタール含有向山(Mukaiyama)試薬の合成を必要とする。アンバーリスト(Amberlyst)−15イオン交換樹脂(同族化合物について記載されている)23の存在下にグリオキシル酸一水和物とネオペンチルグリコールとを反応させて、所望のアセタール−酸10とアセタール−エステル副産物との混合物が得られた。この混合物を20%NaOH水溶液で加水分解して、10が収率73%で得られた。10と2,2’−ジピリジルジスルフィド及びPH3Pとの向山反応24により、ピリジルチオエステル11が得られ、これは、精製が難しいことが判明した。11を含有する粗反応混合物を次の段階で使用した。このようにして、5−フェニルジピロメタン(12)を標準的手法16により粗11でアシル化して、1−アシルジピロメタン13が収率64%で得られた(図式3)。
【0060】
【化8】

【0061】
13をNaBH4で還元し、ジピロメタン−モノカルビノール(13−OH)が生じた。これは、InCl3の存在下に自己縮合させ16,21、その後DDQで酸化して、ポルフィリン14が収率21%で得られた。ポルフィリン14の2つのアセタール基をCH2Cl2/TFA/H2O(5:1:1)中で加水分解し、5,15−ジホルミルポルフィリン15が収率83%で得られた(図式4)。
【0062】
【化9】

【0063】
5,10−ジホルミルポルフィリン
標準手順17により1−アシルジピロメタン13を塩化ベンゾイルでアシル化して、1,9−ジアシルジピロメタン16が収率57%で得られた。16をNaBH4で還元し、ジピロメタン−ジカルビノール(16−ジオール)が得られ、これは、InCl3の存在下にジピロメタン2と縮合させ、その後DDQにより酸化して、ポルフィリン17が収率17%で得られた。ポルフィリン17の2つのアセタール基をCH2Cl2/TFA/H2O(5:1:1)中で加水分解し、5,10−ジホルミルポルフィリン18が収率88%で得られた(図式5)。
【0064】
【化10】

【0065】
分光学的同定
各ポルフィリンを、吸光光度法、1HNMR分光法、13CNMR分光法(低い溶解度のため9と15は除く)、レーザー脱離質量分析(LD−MS)25及びFAB−MSにより同定した。アセタール置換ポルフィリン(4、8、14、17)は、416〜419nm領域に特徴的なソーレー帯(Soret band)を有する、典型的な吸収スペクトルを示した。相当するホルミル−ポルフィリンは、レッドシフトしたソーレー帯を示した。シフトの大きさは、9nm(ホルミル1つ、5)から、〜12nmまで(5,15−ジホルミル、9、15)、23nm(5,10−ジホルミル、18)まで変化した。IRスペクトルは、1672cm-1〜1674cm-1(ホルミル1つ、5;5,15−ジホルミル、15;5,10−ジホルミル、18)及び1666cm-1(5,15−ジホルミル、9)にバンドを示した。各ホルミルポルフィリンにおいて、ホルミルプロトンは、12.3〜12.5ppmで明確なシングレットとして共鳴した。ホルミル炭素は、195.13ppm(ホルミル1つ、5)及び194.77ppm(5,10−ジホルミル、18)でレゾナンスを生じた。各ポルフィリンは、LD−MS分析時に予期された分子イオンピークを生じた。
【0066】
結論
アセタール置換ジピロメタン、ジピロメタン−1−カルビノール及びジピロメタン−1,9−ジカルビノール成分は、ポルフィリンを形成するための合理的なルートで使用することができる。生じたメソ−アセタールポルフィリンの緩慢な酸加水分解により、相当するメソ−ホルミルポルフィリンが得られる。アセタール置換ジピロメタン種の遊離塩基ポルフィリンへの転換は、金属ポルフィリンの従来のフィルスマイヤーのホルミル化反応を補完するものである。
【0067】
実験セクション
非市販化合物
化合物317、616及び1220は、文献に記載のようにして製造した。
【0068】
2−ホルミル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン(1)
グリオキサール(40wt.%水溶液10.0g、0.070mol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(7.28g、0.070mol)及びベンゼン(140mL)中のp−トルエンスルホン酸(0.260g、1.36mmol)の混合物をNa2SO4の入ったソックスレー抽出器付きフラスコ中で4時間還流させた。次いで、反応混合物を固体NaHCO3(0.250g、2.90mmol)で処理し、濾過した。濾液を濃縮し、真空蒸留して(Kugelrohr:クーゲルロール)、無色液体が得られた(413mg、4%)。1HNMRスペクトルは、特許19に報告されたデータと一致した。この反応化合物は直ちに次の反応に使用した。
【0069】
5−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ジピロメタン(2)
標準手順20に従って、InCl3(61mg、0.27mmol)含有ピロール(19mL、0.27mol)中で試料1(0.40g、2.7mmol)をアルゴン下に室温で1.5時間縮合させた。反応混合物にNaOH(0.33g、8.3mmol)を添加し、濾過し、濾液から余分のピロールを回収し、生じた残分をヘキサンで粉砕して、微量のピロールを除去し、かつ晶出させ[エタノール/水(4:1)]ることにより後処理して、淡黄色固体が得られた(504mg、70%)。mp 112〜114℃。1HNMR δ 0.74(s,3H),1.15(s,3H),3.51(d,J=11Hz,2H),3.572(d,J=11Hz,2H),4.42(d,J=2Hz,1H),4.85(d,J=2Hz,1H),5.92(m,2H),6.13(m,2H),6.73(m,2H),8.75(s,2H)。13CNMR δ 129.3,117.3,107.9,107.6,103.8,77.6,42.0,30.5,23.4,21.9。C152022の解析計算値:C,69.20;H,7.74;N,10.76。測定値:C,69.23;H,7.71;N,10.73。
【0070】
5−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ジピロメタン(2)の合理化合成
グリオキサール(40wt.%水溶液10.0g、0.070mol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(7.28g、0.070mol)及びベンゼン(140mL)中のp−トルエンスルホン酸(0.260g、1.36mmol)の混合物をNa2SO4の入ったソックスレー抽出器付きフラスコ中で4時間還流させた。次いで、反応混合物を固体NaHCO3(0.250g、2.90mmol)で処理して濾過した。濾液を濃縮し、粗2−ホルミル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン(1)が得られた。粗1をピロール(223mL、3.45mol;グリオキサールモノアセタールについて50%の仮定収率に相当する量)で処理し、ジピロメタン形成20のための標準的反応を実施した。InCl3(0.762g、3.45mmol)を添加し、混合物をアルゴン下に室温で1.5時間攪拌した。反応混合物にNaOH(4.13g、103mmol)を添加し、濾過し、濾液から余分のピロールを回収し、生じた残分をヘキサンで粉砕して、微量のピロールを除去し、クロマトグラフ[シリカ、ヘキサン/CH2Cl2/酢酸エチル(7:2:1)]にかけて後処理し、淡黄色固体が得られた(2.84g、32%)。mp 112〜114℃。1HNMR δ 0.74(s,3H),1.15(s,3H),3.51(d,J=11Hz,2H),3.57(d,J=11Hz,2H),4.42(d,J=2Hz,1H),4.85(d,J=2Hz,1H),5.92(m,2H),6.13(m,2H),6.73(m,2H),8.75(s,2H)。C152022の解析計算値:C,69.20;H,7.74;N,10.76。測定値:C,69.18;H,7.77;N,10.71。
【0071】
5,15−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−10−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−20−メシチルポルフィリン(4)
一般的手順17,21に従って、ジアシルジピロメタン3(0.584g、1.00mmol)をTHF/メタノール(44mL、10:1)中でNaBH4(0.756g、20.0mmol)により還元し、相当するジカルビノール(3−ジオール)が得られた。3−ジオールと2(0.260g、1.00mmol)との縮合をInCl3(88.4mg、0.400mmol)含有CH2Cl2(400mL)中で1時間実施し、その後、DDQ(340mg、1.50mmol)での酸化を1時間行った。メタノール(40mL)及びTEA(4mL)を添加した。反応混合物を濾過した(アルミナパッド、CH2Cl2)。濾液を濃縮し、クロマトグラフ(シリカ、CH2Cl2/ヘキサン)にかけて、紫色固体が得られた(104.6mg、13%)。1HNMR δ −2.78(s,2H),1.12(s,3H),1.62(s,18H),1.83(s,6H),1.92(s,3H),2.62(s,3H),4.33(m,4H),7.26(s,4H),7.75(d,J=8.0Hz,4H),7.95(s,1H),8.12(d,J=8.0Hz,4H),8.79(d,J=4.0Hz,2H),8.98(d,J=4.0Hz,2H),9.91(s,2H)。13CNMR δ 151.2,150.7,139.6,139.5,139.2,138.7,138.3,137.9,134.6,134.4,128.0,127.9,124.0,123.8,120.2,119.7,111.7,106.6,80.4,35.2,35.1,31.9,31.9,31.2,25.2,22.8,21.9,21.8,21.7。LD−MS測定値 809.18;FAB−MS測定値 806.4580;計算値 806.4560(C555842);λabs 419,514,547,591,648nm。
【0072】
5,15−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−10−ホルミル−20−メシチルポルフィリン(5)
一般的手順22に従って、4(43mg、0.05mmol)のCH2Cl2(5mL)溶液をTFA/水(0.5mL、1:1)で処理して、2相溶液を得た。室温で2.5時間攪拌後、CH2Cl2を添加した。有機層を洗浄し(NaHCO3飽和水溶液及び塩水)、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮し、クロマトグラフ(シリカ、CH2Cl2/ヘキサン)にかけて、紫色固体が得られた(34.8mg、92%)。IR(neat) 1674,1557,1110cm-11HNMR δ −1.90(s,2H),1.61(s,18H),1.84(s,6H),2.61(s,3H),7.26(s,2H),7.75−7.78(m,4H),8.08−8.11(m,4H),8.59(d,J=4.4Hz,2H),8.69(d,J=4.4Hz,2H),9.01(d,J=5.2Hz,2H),10.03(br s,2H),12.50(s,1H)。13CNMR δ 195.1,151.2,139.2,138.7,138.3,137.7,134.2,128.0,124.4,124.0,122.6,107.7,35.2,31.9,29.9,21.8,21.7。LD−MS測定値 721.86;FAB−MS測定値 721.3931;計算値 720.3828(C50484O);λabs428,528,567,600,657nm。
【0073】
Zn(II)−5,15−ビス(4−tert−ブチルフェニル)−10−ホルミル−20−メシチルポルフィリン(Zn−5)
CHCl3/MeOH(10:1)中のポルフィリン5(0.080g、0.11mmol)の溶液をZn(OAc)2・2H2O(0.12g、0.55mmol)で処理した。クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2)を含む標準後処理をして、緑がかった紫色固体が得られた(80mg、92%)。IR(neat) 2918,1615,1549cm-11HNMR δ 1.62(s,18H),1.82(s,6H),2.61(s,3H),7.25(s,4H),7.76(d,J=8.0Hz,4H),8.69(d,J=8.0Hz,4H),8.78(d,J=4.8Hz,2H),9.05(d,J=4.8Hz,2H),9.94(d,J=4.8Hz,2H),12.30(s,1H)。13CNMR δ 195.7,153.3,152.1,150.8,149.3,149.2,139.3,139.1,138.6,137.9,135.1,134.3,132.4,131.8,129.1,127.9,123.8,35.1,31.9,21.8,21.7。LD−MS測定値 780.81;FAB−MS測定値 782.2985;計算値 782.2963(C50464OZn);λabs431,561,602nm。
【0074】
5−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−1−(p−トルオイル)ジピロメタン(7)
一般的手順16に従って、2(1.30g、5.00mmol)のTHF(5mL)溶液を、アルゴン下に室温で、EtMgBr(12.5mL、12.5mmol、1.0M THF溶液)で液滴(dropwise)処理し、次いで−78℃まで冷却した。6(1.15g、5.00mmol)のTHF(5mL)溶液を、1分間にわたり添加した。溶液を−78℃で10分間保持し、ついで室温まで暖めておいた。クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/酢酸エチル)を含む標準後処理をして、淡黄色無定形固体が得られた(1.362g、72%)。mp60〜62℃。1HNMR δ 0.72(s,3H),1.16(s,3H),2.41(s,3H),3.46−3.48(m,2H),3.69−3.77(m,2H),4.47(d,J=2.8Hz,1H),4.89(d,J=3.2Hz,1H),5.97−5.98(m,1H),6.03−6.04(m,1H),6.12−6.15(m,1H),6.72−6.77(m,2H),7.26(d,J=8.0Hz,2H),7.79(d,J=8.0Hz,2H),8.94(s,1H),10.16(s,1H)。13CNMR δ 184.3,142.3,137.7,136.1,130.9,129.2,129.1,127.6,119.3,118.0,110.9,108.1,103.1,77.7,77.6,42.3,30.5,23.3,22.0,21.8。C232623の解析計算値:C,72.99;H,6.92;N,7.40。測定値:C,72.55;H,6.92;N,7.45。
【0075】
5,15−ビス(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−10,20−ビス(p−トリル)ポルフィリン(8)
一般的手順16,21に従って、7(0.567g、1.50mmol)をTHF/メタノール(30mL、3:1)中でNaBH4(1.41g、37.3mmol)で還元し、相当するジピロメタン−モノカルビノール(7−OH)が暗黄色油状物として得られた。7−OHの自己縮合をInCl3(20.0mg、90.4μmol)含有CH2Cl2(283mL)中で、室温で5分間実施し、その後、DDQ(510mg、2.25mmol)による酸化を1時間行った。メタノール(10mL)及びTEA(1mL)を添加した。反応混合物を濾過した(アルミナパッド、CH2Cl2)。濾液を濃縮し、クロマトグラフ(シリカ、CH2Cl2/ヘキサン)にかけて、紫色固体が得られた(149.8mg、14%)。1HNMR δ −2.97(s,2H),1.11(s,6H),1.90(s,6H),2.72(s,6H),4.30−4.31(m,8H),7.55(d,J=8.0Hz,4H),7.90(s,2H),8.05(d,J=8.0Hz,4H),8.93(d,J=4.8Hz,4H),9.89(d,J=5.2Hz,4H)。13CNMR δ 139.9,137.5,134.7,132.3,129.0,127.5,120.4,113.0,106.2,80.3,31.2,25.1,22.8,21.8。LD−MS測定値 719.82;FAB−MS測定値 718.3549;計算値 718.3519(C464644);λabs 416,512,544,590,643nm。
【0076】
5,15−ジホルミル−10,20−ビス(p−トルオイル)ポルフィリン(9)
5について記載したように、8(72mg、1.0mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液を、室温で3日間、TFA/水(1.0mL、1:1)で処理した。クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/ヘキサン)を含む標準後処理をして、緑紫色固体が得られた(48.6mg、90%)。IR(neat) 1666,1551,1122cm-11HNMR δ −2.31(s,2H),2.74(s,6H),7.61(d,J=8.0Hz,4H),8.05(d,J=8.0Hz,4H),9.00(d,J=5.2Hz,4H),10.00(d,J=5.2Hz,4H),12.53(s,2H)。LD−MS測定値 547.09;FAB−MS測定値 547.2131;計算値 547.2134(C362642);λabs429,584,684nm。
【0077】
2−カルボキシ−5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン(10)
一般的手順23に従って、グリオキシル酸一水和物(5.0g、54mmol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(8.5g、81mmol)及びベンゼン(140mL)中のアンバーリスト−15イオン交換樹脂(100mg)の混合物をディーン・スターク(Dean-Stark)装置を備えたフラスコ中で15時間還流させた。反応混合物は濾過した。濾液を濃縮し、次いで20%NaOH水溶液(50mL)と共に30分間還流させた。生じたアルカリ性溶液をエーテルで抽出し、冷中に希HClで中和させた。H3PO4を使用して、最終的にpHは〜1.0までにした。酸性水性層をエーテルで抽出した。抽出物を一緒にして、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、白色固体を得た(6.349g、73%)。mp 58〜60℃。1HNMR δ 0.80(s,3H),1.22(s,3H),3.57(d,J=12.0Hz,2H),3.79(d,J=12.0Hz,2H),4.97(s,1H)。13CNMR δ 169.1,124.7,95.8,77.5,30.6,23.0,21.9。FAB−MS測定値 161.0806;計算値 161.0814(C7124)。
【0078】
1−[(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)カルボニル]−5−フェニルジピロメタン(13)
一般的手順16、24に従って、THF(10mL)中の、10(0.50g、3.1mmol)、2,2’−ジピリジルジスルフィド(1.0g、4.6mmol)及びトリフェニルホスフィン(1.2g、4.6mmol)の溶液を、アルゴン下に室温で24時間攪拌した。生じた混合物を、−78℃で、THF(10mL)中の12(2.1g、9.4mmol)及びEtMgBr(24mL、24mmol、1.0M THF溶液)の溶液に滴加し、次いで室温で1時間反応させた。クロマトグラフィー[シリカ、CH2Cl2/酢酸エチル(7:3)]を含む標準後処理をして、淡黄色固体が得られた(732mg、64%)。mp154〜156℃。1HNMR δ 0.78(s,3H),1.21(s,3H),3.56(d,J=12.0Hz,2H),3.75(d,J=12.0Hz,2H),5.10(s,1H),5.52(s、1H),5.95(d,J=0.8Hz,1H),6.07(d,J=2.4Hz,1H),6.14(d,J=2.0Hz,1H),6.67−6.68(m,1H),7.15−7.31(m,6H),8.39(s,1H),9.78(s,1H)。13CNMR δ 181.2,140.7,130.9,128.9,128.6,127.5,120.7,118.0,111.0,108.6,107.8,100.5,77.7,77.7,44.2,30.8,23.3,22.0。C222423の解析計算値:C,72.50;H,6.64;N,7.69。測定値:C,72.52;H,6.69;N,7.63。
【0079】
5,15−ビス(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−10,20−ジフェニルポルフィリン(14)
8に記載のようにして、13(300mg、0.824mmol)の試料をTHF/メタノール(16mL、3:1)中でNaBH4(780mg、21.0mmol)により15分間還元した。生じた13−OH(淡黄色油状物)は、InCl3(11.0mg、49.7μmol)含有CH2Cl2(164mL)中で、室温で30分間、自己縮合させ、その後、DDQ(280mg、1.23mmol)による酸化を1時間行った。クロマトグラフィー[シリカ、CH2Cl2/酢酸エチル(98:2)]を含む標準後処理をして、紫色固体が得られた(60.3mg、21%)。1HNMR δ −2.96(s,2H),1.10(s,6H),1.90(s,6H),4.30−4.31(m,8H),7.75−7.78(m,6H),7.91(s,2H),8.16−8.18(m,4H),8.90(d,J=4.0Hz,4H),9.90(d,J=4.0Hz,4H)。13CNMR δ 142.8,134.7,132.3,129.2,127.9,126.7,120.3,113.1,106.2,80.4,31.2,25.1,22.8。LD−MS測定値 691.93;FAB−MS測定値 691.3318;計算値 691.3284(C444244);λabs 416,512,541,589,641nm。
【0080】
5,15−ジホルミル−10,20−ジフェニルポルフィリン(15)
5について記載したように、14(30mg、44μmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を、攪拌しながら、室温で3日間、TFA/水(2.0mL、1:1)で処理した。クロマトグラフィー(シリカ、CH2Cl2/酢酸エチル)を含む標準後処理をして、緑紫色固体が得られた(18.7mg、83%)。IR(neat) 1673,1550,1120cm-11HNMR δ −2.30(s,2H),7.80−7.82(m,6H),8.17−8.19(m,4H),8.59(d,J=4.8Hz,4H),10.02(s,4H),12.55(s,2H)。LD−MS測定値 518.90;計算値 518.1743(C342242);λabs428,538,584,622,684nm。
【0081】
1−ベンゾイル−9−[(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)カルボニル]−5−フェニルジピロメタン(16)
一般的手順17に従って、13(500mg、1.37mmol)のTHF(10mL)溶液を、アルゴン下に室温で、10分間EtMgBr(2.75mL、2.75mmol、1.0M THF溶液)で液滴処理した。塩化ベンゾイル(160μL、2.75mmol)を添加した。10分後、追加のEtMgBr(1.37mL、1.37mmol、1.0M THF溶液)及び塩化ベンゾイル(80.0μL、137mmol)を添加した。30分後、クロマトグラフィー[シリカ、CH2Cl2/酢酸エチル(7:3)]を含む標準後処理をして、暗黄色固体が得られた(364.7mg、57%)。mp112〜114℃。1HNMR δ 0.80(s,3H),1.23(s,3H),3.60(d,J=11.2Hz,2H),3.79(d,J=11.2Hz,2H),5.15(s,1H),5.57(s、1H),6.06−6.11(m、2H),6.78−6.80(m、1H),7.17−7.55(m、9H),7.82−7.84(m、2H),9.57(s,2H)。13CNMR δ 184.7,139.5,139.3,138.4,132.0,131.2,129.4,129.1,128.6,128.5,128.1,120.4,111.3,111.0,100.6,77.7,44.6,30.8,23.3,22.1。C292824の解析計算値:C,74.34;H,6.02;N,5.98。測定値:C,73.45;H,6.14;N,5.73。
【0082】
5,10−ビス(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−15,20−ジフェニルポルフィリン(17)
4に記載のようにして、16(200mg、0.420mmol)をTHF/メタノール(32mL、3:1)中でNaBH4(800mg、21.0mmol)により15分間還元して、16−ジオールが暗黄色油状物として得られた。16−ジオールと2(111mg、0.420mmol)との縮合を、InCl3(37.5mg、177μmol)含有CH2Cl2(170mL)中で、15分間、実施し、その後、DDQ(143mg、0.634mmol)による酸化を1時間行った。標準後処理をして、紫色固体が得られた(49.8mg、17%)。1HNMR δ −2.93(s,2H),1.13(s,6H),1.95(s,6H),4.30−4.37(m,8H),7.71−7.77(m,6H),7.95(s,2H),8.15−8.18(m,4H),8.73(s,2H),8.94(d,J=4.4Hz,2H),9.96(s,2H),10.01(s,2H)。13CNMR δ 142.3,134.7,128.0,126.9,121.6,112.0,106.6,80.5,31.2,25.3,22.9。LD−MS測定値 691.86;FAB−MS測定値 691.3291;計算値 691.3284(C444244);λabs 417,511,586nm。
【0083】
5,10−ジホルミル−15,20−ジフェニルポルフィリン(18)
5に記載のようにして、17(30mg、0.44μmol)のCH2Cl2(5.0mL)溶液を、TFA/水(2.0mL、1:1)を用いて、室温で3日間処理した。クロマトグラフィー(シリカ、CHCl3/ヘキサン)を用いる標準後処理をして、紫色固体が得られた(19.8mg、88%)。IR(neat) 1672,1548,1166cm-11HNMR δ −2.19(s,2H),7.76−7.83(m,6H),8.15−8.17(m,4H),8.66(s,2H),8.93(d,J=4.8Hz,2H),9.79(s,2H),9.89(s,2H),12.28(s,2H)。13CNMR δ 194.8,141.0,134.5,128.7,127.2,109.7,100.1。LD−MS測定値 519.18;FAB−MS測定値 519.1839;計算値 519.1821(C342242);λabs440,535,607,655nm。
【0084】
5−(ジチオラン−2−イル)ジピロメタンは、標準的技術により合成した。
【0085】
(1) (a) Callot, H. 3. Tetrahedron 1973, 29, 899-901. (b) Arnold, D. P.; Gaete-Hohmes, R.; Johnson, A. W.; Smith, A. R. P.; Williams, G. A. 」 Chem. Soc. Perkin. Trans. 1 1978, 1660-1670. (c) Burrell, A. K.; Officer, D. L. Synlett 1998, 1297-1307.
(2) Arnold, D. P.; Johnson, A. W..; Mahendran, M. J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 1 1978, 366-370.
(3) (a) Montforts, F.-P.; Scheurich, G.; Meier, A..; Haake, G.; Hoeper, F. Tetrahedron Lett. 1991, 32, 3477-3480. (b) Ando, A.; Yamazaki, M.; Komura, M.; Sano, Y.; Hattori, N.; Omote, M.; Kumadaki, I. Heterocycles 1999, 50, 913-918.
(4) Runge, S.; Senge, M. 0. Tetrahedron 1999, 55, 10375-10390.
(5) (a) Vicente, M. G. H.; Smith, K. M. .1. Org. Chem. 1991, 56, ~07-4418. (b) Jaquinod, L.; Nurco, D. J.; Medforth, C. J.; Pandey, R. K.; Forsyth, T. P.; Olmstead, M. M.; Smith, K. M. Angew. Chem. mt. Ed. Engl. 1996, 35, 1013-1016.
(6) Johnson, A. W.; Oldfield, D. J. Chem. Soc. (C) 1966, 794-798.
(7) Witte, L.; Fuhrhop, J.-H.. Angew. Chem, mt. Ed. 1975, 14, 361-363..
(8) (a) Ponomarev, G. V. Chem. Heterocyclic Compounds 1996, 32, 1263--1280. (b) Ponomarev, G. V.; Morozova, Y. V.; Yashunsky, D. V. Chem. Heterocyclic Compounds 2001, 37, 253-255.
(9) Schloezer, R.; Fuhrhop, J.-H. Angew. Chem. mt. Ed. 1975, 14, 363.
(10) Ponomarev, G. V. Chem. Heterocyclic Compounds 1994, 30, 1444-1465.
(11) (a) Wasielewski, M.. R.; Johnson, D. G.; Niemczyk, M. P.; Gaines, G. L., III; O'Neil, M. P.; Svec, W. A. J Am. Chem. Soc. 1990, 112, 6482-6488,, (b) Johnson, D. 0.; Niemczyk, M. P.; Minsek, D. W.; Wiederrecht, G. P.; Svec, W. A.; Gaines, G. L., III; Wasielewski, M. R. J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 5692-5701.
(12) Balaban, T. S..; Bhise, A. D.; Fischer, M.; Linke-Schaetzel, M.; Roussel, C.; Vanthuyne, N. Angew.. Chem. mt. Ed. 2003, 42, 2140-2144.
(13) Inhoffen, H. H..; Fuhrhop, J.H.; Voigt, H.; Brockmann H., Jr. Justus Liebigs Annalen Chem. 1966, 695, 133-143.
(14) (a) Ponomarev.. G. V.; Kirillova, G. V.; Maravin, G. B.; Babushkina, T. A.; Suboch, V.. P. Chem. Heterocyclic Compounds 1979, 15, 622-629. (b) Ponomarev. G. V.; Kirillova, G. V.; Maravin, G. B.; Babushkina, T. A.; Suboch, V. P. Ibid. 630-633.
(15) (a) Smith, K. M., Bisset, G. M. F., Tabba, H. D. J. Chem. Soc., Per/cm. Trans. 11982, 581-585. (b) Smith, K. M.; Bisset, G. M. F.; Case, J. J.; Tabba, H. D. Tetrahedron Lett. 1980, 21, 3747-3750.
(16) Rao, P. D.; Littler, B. J.; Geier, G. R., III; Lindsey, J. S. J. Org. Chem. 2000, 65, 1084-1092.
(17) Rao, P. D.; Dhanalekshnii, S.; Littler, B. J..; Lindsey, J. S. J Org. Chem. 2000, 65, 7323-7344.
(18) Trova, M. P.; Gauuan, P. J. F.; Pechulis, A. D.; Bubb, S. M.; Bocckino, S. B.; Crapo, J. D.; Day, B. J. Bioorg. Med. Chem. 2003, 11, 2695-2707.
(19) Blanc, A; Hamedi-Sangsari, F.; Chastrette, F. J. US 4,835,320.
(20) Laha, J. K.; Dhanalekshmi, S.; Taniguchi, M.; Ambroise, A.; Lindsey, J. S. Org. Process .Res. Dev. 2003, 7, 799-812.
(21) Geier, G. R., III; Callinan, J. B.; Rao, P. D.; Lindsey, J. S. J. Porphyrins Phthalocyanines 2001, 5, 810-823.
(22) Lindsey, J. S.; Brown, P. A.; Siesel, D. A. Tetrahedron 1989, 45, 4845-4866.
(23) Newman, M. S.; Chen, C. H. J. Org Chem. 1973, 38, 1173-1177.
上記は本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物も本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5−ホルミルポルフィリンを製造する方法であって、
5−アセタールジピロメタンとジピロメタン−1,9−ジカルビノールとを縮合させて、5位がアセタール基で置換されたポルフィリンを製造するステップと、
前記アセタール基で置換されたポルフィリンを加水分解して、前記5−ホルミルポルフィリンを製造するステップと
を含む、製法。
【請求項2】
前記縮合ステップが、ルイス酸の存在下で極性又は無極性溶媒中で実施され、その後DDQによる酸化が行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加水分解ステップが、CH2Cl2、TFA及び水の2相混合物を用いて室温で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールが、1,9−ジアシルジピロメタンを還元して前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールを形成することにより製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記5−アセタールジピロメタンが、
グリオキサールとネオペンチルグリコールとを反応させて、モノアセタール及びビス−アセタールの混合物を提供するステップと、
次いで前記混合物を過剰のピロールと反応させて、前記5−アセタールジピロメタンを製造するステップと
により製造される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ジピロメタン−1,9−ジカルビノールが、5位に置換された表面結合基を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
5−アセタールジピロメタン化合物。
【請求項9】
5−アセタールポルフィリン化合物。
【請求項10】
10又は15位が表面結合基で置換された、請求項9に記載の5−アセタールポルフィリン。
【請求項11】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項10に記載の5−アセタールポルフィリン。
【請求項12】
10又は15位が表面結合基で置換された、5−ホルミルポルフィリン。
【請求項13】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項12に記載の5−ホルミルポルフィリン。
【請求項14】
5,15−ジホルミルポルフィリンを製造する方法であって、5,15−ジアセタールポルフィリンを加水分解して前記5,15−ジホルミルポルフィリンを生成するステップを含む、製法。
【請求項15】
前記5,15−ジアセタールポルフィリンが、5−アセタール−1−アシルジピロメタンを還元して対応するカルビノールを生じ、次いで前記カルビノールを自己縮合させて、前記5,15−ジアセタールポルフィリンを生じることにより製造される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記5−アセタール−1−アシルジピロメタンが、5−アセタール−ジピロメタンをピリジルチオエステルでアシル化して前記5−アセタール−1−アシルジピロメタンを生じることにより製造される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記アシル基が、表面結合基を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記化合物が、5−アセタール−1−アシルジピロメタンである、請求項8に記載の5−アセタールジピロメタン化合物。
【請求項19】
5,15−ジアセタールポルフィリン化合物。
【請求項20】
10及び20位のどちらかまたは両方の位置に置換された表面結合基を有する、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
10及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された、5,15−ジホルミルポルフィリン。
【請求項23】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項22に記載の5,15−ジホルミルポルフィリン。
【請求項24】
5,15−ジアセタールポルフィリンを製造する方法であって、前記方法は、
式:
【化1】

[式中、R1は2−ピリジルであり、R2はアセタールである]のピリジルチオエステルでジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを生じるステップと、
前記1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンを還元して、1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを生じるステップと、
次いで、前記1−(アセタールカルビノール)ジピロメタンを自己縮合させて、5,15−ジアセタールポルフィリンを生じるステップと
を含む、製法。
【請求項25】
前記5,15−ジアセタールポルフィリンを加水分解して、5,15−ジホルミルポルフィリンを生じるステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ピリジルチオエステルが、アセタール−酸を2,2’−ジピリジルジスルフィド及びPh3Pと反応させて、前記ピリジルチオエステルを生じることにより製造される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
式:
【化2】

[式中、R1は2−ピリジルであり、R2はアセタールである]のピリジルチオエステル。
【請求項28】
1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン。
【請求項29】
更に、5位が表面結合基で置換された、請求項28に記載の1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン。
【請求項30】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
1−(アセタールカルビノール)ジピロメタン。
【請求項32】
更に、5位が表面結合基で置換された、請求項31に記載の1−(アセタールカルビノール)ジピロメタン。
【請求項33】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
更に、10及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された、請求項19に記載の5,15−ジアセタールポルフィリン。
【請求項35】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
5,10−ジアセタールポルフィリンを製造する方法であって、前記方法が、
1−(アセタールカルボニル)ジピロメタンをアシル化して、1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを生じるステップと、
前記1−(アセタールカルボニル)−9−アシルジピロメタンを還元して、対応するジカルビノールを生じるステップと、
前記ジカルビノールをジピロメタンと縮合させて、中間体を生じるステップと、
前記中間体を酸化して、5,10−ジアセタールポルフィリンを生じるステップと
を含む、製法。
【請求項37】
前記アシル基が、表面結合基を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記5,10−ジアセタールポルフィリンを加水分解して5,10−ジホルミルポルフィリンを生じるステップを更に含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
更に、9位がアシル基で置換された、請求項28に記載の1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン。
【請求項41】
更に、5位が表面結合基で置換された、請求項40に記載の1−(アセタールカルボニル)ジピロメタン。
【請求項42】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
5,10−ジアセタールポルフィリン。
【請求項44】
更に、15及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された、請求項43に記載の5,10−ジアセタールポルフィリン。
【請求項45】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
15及び20位のどちらかまたは両方の位置が表面結合基で置換された、5,10−ジホルミルポルフィリン。
【請求項47】
前記表面結合基が、カルボン酸、アルコール、チオール、セレノール、テルロール、ホスホノ、アルケニル及びアルキニル表面結合基からなる群より選択される、請求項46に記載の化合物。

【公表番号】特表2008−502682(P2008−502682A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516517(P2007−516517)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/018755
【国際公開番号】WO2005/123742
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(598139601)ノース・キャロライナ・ステイト・ユニヴァーシティ (11)
【Fターム(参考)】