説明

ホログムメモリ再生装置、およびホログラムメモリの再生方法

【課題】ホログラムメモリにおいて、記録密度が高くなると、符号間干渉の影響で、再生時の誤りが多くなる問題があった。
【解決手段】参照光をホログラム媒体に照射することで得られた再生信号に対し所定の補正処理を行いピクセル単位の補正信号を生成する補正手段と、補正信号を二値化する手段を有し、補正手段は、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと所定の位相パターンに依存して、補正対象ピクセルの補正量を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の干渉縞を記録することで、二次元に符号化したデータを記録するホログラムメモリに関するもので、特に、ホログムメモリ再生装置、およびホログラムメモリの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DVD等の記録媒体よりさらに圧倒的な大容量を実現する光記録媒体として、フォトリフラクティブ材料等に、信号光(あるいは物体光)と参照光による干渉縞を記録することでデータを記録する、ホログラムメモリが注目されている。
【0003】
ホログラムメモリでは、データは二次元的に符号化し、液晶パネル等の二次元空間変調器によって光源からの出射光を二次元のオン/オフパターンに変調し、さらに、ピクセル単位に所定の位相パターンで位相変位を透過光に与える拡散板を透過させて媒体に照射することで記録される。
【0004】
再生時には、レーザー光等を再生光として照射し、その回折光をCCD等の二次元光検出器で受光することで、光検出器上で、二次元の再生像が得られ、得られた再生像のビットパターンのオン/オフ判定を行うことで、データが再生される。
【0005】
ホログラムメモリ用の二次元符号として、例えば、2×2の4個のピクセルで小ブロックを構成し、1ピクセルのみをオン(光を通過)にし、他の3ピクセルをオフ(光を遮断)にすることで、2ビットの情報を4ビットのパターンで符号化する2−4符号が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、拡散板の所定の位相パターンとしては、例えば、(0、π/2、π、3π/2)の擬似ランダム位相パターンが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−197947号公報
【特許文献2】特開平1−302376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大容量を実現するために高密度にデータが記録されるホログラフィックメモリでは、二次元再生像のビットパターンのオン/オフ判定を行うことで、データが再生される。
【0008】
オン/オフを判定する際、記録密度が高くなると、いわゆる符号間干渉の影響で、再生時の誤りが多くなる問題があった。すなわち、隣接ピクセルからの影響により、オン/オフ判定を誤る場合があった。
【0009】
また、拡散板によって、ピクセル単位に位相変位を与えて記録した場合、隣接ピクセルからの影響は、隣接のオンピクセルの配置やそれらの位相パターンによって影響度合いが変化し、その結果、再生時の誤りが多くなる問題があった。
【0010】
本発明は上記の問題を鑑み、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することで、再生時の誤りを少なくすることを可能にするホログラムメモリ再生装置、およびホログラムメモリの再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明のホログラムメモリ再生装置では、参照光を前記ホログラム媒体に照射することによって得られた再生信号に対し所定の補正処理を行いピクセル単位の補正信号を生成する補正手段と、前記補正信号を二値化する手段とを有し、前記補正手段は、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと所定の位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴に備えたものである。
【0012】
また、本発明の二次元符号化方法では、参照光を前記ホログラム媒体に照射することによって得られたピクセル単位の再生信号に対し所定の補正処理を行いピクセル単位の補正信号を生成する補正ステップと、前記補正信号を二値化するステップとを有し、前記補正ステップは、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと所定の位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴に備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のホログラムメモリ再生装置、およびホログラムメモリの再生方法によれば、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することで、再生時の誤りを少なくすることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるホログラムメモリ記録再生装置の記録部の構成を主に説明するブロック図である。
【0016】
図1において、101はレーザ光源、102はビームエキスパンダ、103はハーフミラー、104は集光レンズ、105はホログラムメモリ媒体、106はフーリエ変換レンズ、107は光検出器、110はミラー、111は空間変調器、112はフーリエ変換レンズ、114は二次元符号化装置、115は誤り訂正符号化装置、117は拡散板である。
【0017】
以上のように構成されたホログラムメモリ記録再生装置では、レーザ光源101からの光は,ビームエキスパンダ102でビーム径を拡大された後ハーフミラー103で2つに分割される。
【0018】
分割された一方のビームは、ミラー110により進行方向を変更されて空間光変調器111を通過する。空間光変調器111を通過したビームは、拡散板117によって、ピクセル単位に所定の位相パターンで位相変位が与えられ、フーリエ変換レンズ112により集光され、集光されたビームはホログラムメモリ媒体105上に信号光113として照射される。
【0019】
他方のビームは、集光レンズ104により集光され、参照光108となって、ホログラフィックメモリ媒体105上の信号光113の照射位置と同一位置に照射される。
【0020】
ホログラムメモリ媒体105は、フォトポリマーなどのホログラム媒質から構成され、信号光113と参照光108の干渉縞を記録することで、二次元に符号化されたデータが記録される。
【0021】
ここで、データ116は、媒体上で生起する誤りを検出および訂正するために、例えばリードソロモン符号やLDPC(Low Density Parity Chech Code)などの誤り訂正符号化が誤り訂正符号化装置115によって行われ、記録データ117として送出される。
【0022】
記録データ117は、二次元符号化装置114で所定の二次元符号化データ112が生成され、空間変調器111に送出される。二次元符号化装置115は、例えば、4ピクセル中の1ピクセルをオンする1−4符号を用いて、2bitのデータを4ピクセルに符号化する。
【0023】
空間光変調器111は、液晶等で構成され、二次元符号化データ112に従って、ピクセル単位に、光の透過(オン)、と遮断(オフ)を行う。
【0024】
拡散板117は、表面の凹凸、あるいは屈折率の変化等で、所定の位相パターンで光の位相を変化させる。
【0025】
また、記録された信号を再生する際には、ホログラフィックメモリ媒体105に、参照光108のみを照射すると、ホログラフィックメモリ媒体105からの回折光は、フーリエ変換レンズ106を通過することにより、二次元の光ビーム列に変換され、この光ビーム列がCCD等で構成される光検出器107上に二次元的に復元され、これを光電変換することで再生信号109が得られる。
【0026】
図2は、図1に示す拡散板117の構成例である。
【0027】
拡散板117は、ピクセル単位に(0、π/2、π、3π/2)の位相を擬似ランダムな所定のパターンで、光の位相を変化させる。図2に示す拡散板では、斜め方向のピクセル間の位相差が、0あるいはπになるように構成されている。また上下左右に隣接ピクセル間の位相差は、π/2あるいは3π/2になるように構成されている。以上のような擬似ランダムな所定のパターンで、光の位相を変化させて、記録時に、ホログラム記録媒体に信号光として照射することで、スペックルノイズを低減することが可能となっている。
【0028】
以上のように、各ピクセルに所定のパターンで位相変化を与えて記録するため、これを再生した場合、与えられた位相関係によって、隣接ピクセルへの符号干渉の度合いが変化することがわかった。
【0029】
図3は、隣接ピクセルのオン位置とその位相関係に依存して発生する干渉の大きさを、シミュレーションで求めた結果である。ここでは、隣接ピクセルを、上下左右の計4ピクセルと定義して干渉の大きさを求めている。隣接ピクセル間の位相の関係は、それぞれが斜め方向に限定されるために、位相差は、0あるいはπになる。図3では、位相差0を○、位相差πを△で示しており、干渉の大きさを数値で表している。
【0030】
図3の(a)は、隣接1/4個がオン、すなわち上下左右の計4個の隣接ピクセルの内1個がオンである場合の干渉の大きさを示している。オンが1個のため、オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせは、301に示すように1種類になり、干渉の大きさは、0.103となっている。
【0031】
尚、ここでは、隣接ピクセルにオンピクセルが全く無い状態の、孤立ピクセルのオンの再生信号レベルを1として、干渉の大きさを正規化している。301では、上下左右の隣接ピクセルの内、1ピクセルのみがオンであった場合、符号間干渉により、再生信号レベルが、0.103大きくなることを意味している。該ピクセルがオンであった場合には、1+0.103=1.103、あるいはオフであった場合、0+0.103=0.103になることを意味している。
【0032】
図3の(b)は、隣接2/4個がオン、すなわち上下左右の計4個の隣接ピクセルの内2個がオンである場合の干渉の大きさを示している。オンが2個のため、オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせは、302から305に示すように4種類になる。
【0033】
302では、オンピクセルの配置が斜め方向で、その位相差が0の場合、干渉の大きさが、0.265になることを意味している。
【0034】
303では、オンピクセルの配置が斜め方向で、その位相差がπの場合、干渉の大きさが、0.268になることを意味している。302と比較して、オンピクセルの配置は同じであるが、干渉の大きさは異なる。
【0035】
304では、オンピクセルの配置が対面方向、すなわち上下あるいは左右であり、その位相差が0の場合、干渉の大きさが、0.110になることを意味している。302と比較して、オンピクセルの配置が異なることで、干渉の大きさが異なっている。
【0036】
305では、オンピクセルの配置が対面方向、すなわち上下あるいは左右であり、その位相差がπの場合、干渉の大きさが、0.316になることを意味している。
【0037】
以下同様に、図3の(c)は、隣接3/4個がオン、すなわち上下左右の計4個の隣接ピクセルの内3個がオンである場合の干渉の大きさを示している。オンが3個のため、オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせは、306から308に示すように4種類になる。
【0038】
同様に、図3の(d)は、隣接4/4個がオン、すなわち上下左右の計4個の隣接ピクセルの内4個がオンである場合の干渉の大きさを示している。オンが4個のため、オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせは、309から312に示すように4種類になる。
【0039】
以上のような、隣接ピクセルのオン位置とその位相関係に依存して発生する干渉の大きさは、光学的なパラメータ等のシステムの構成に依存して値は異なるものになる。ここでは、シミュレーションで求めた結果を示したが、上記のようにオン位置を変化させたパターンを実際に記録してデータ測定することでも容易に求めることができる。
【0040】
本発明の実施の形態1におけるホログラムメモリ記録再生装置では、以上のオンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせによって定まる干渉の大きさを予めテーブルとして保持し、再生時に、これを所定の補正量として用いて補正することを特徴としている。
【0041】
例えば、図2に示す201に対応するピクセルを補正対象のピクセルとする場合、上下左右の隣接ピクセルは、それぞれ202、203、204、205に対応する。これらの内、202と203に対応したピクセルのみがオンであった場合の符号間干渉の大きさは、図3における305に示される、0.316となる。従って、201に対応するピクセルの再生信号レベルから、0.316を引くことで、符号間干渉の影響を補正することが可能になる。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態1におけるホログラムメモリ記録再生装置の再生部の主な構成を説明するブロック図である。
【0043】
図4において、401は隣接ピクセルのオン/オフ判定手段、402は拡散板の位相パターンテーブル、403はオンピクセルの位相関係の判別手段、404は補正値テーブル、405は補正手段、406は2値化手段である。407は再生信号であり、図1に示す109と同じものである。
【0044】
以上のように構成されたホログラムメモリ記録再生装置では、データを再生する場合、再生信号407の信号レベルに応じて、補正対象ピクセルの上下左右のピクセルのオン/オフの判定が、隣接ピクセルのオン/オフ判定手段401によって行われる。例えば、固定レベルでスライスすることで実行される。
【0045】
拡散板の位相パターンテーブル402には、記録時に用いた拡散板の位相パターンが、予めテーブルとして保持されている。
【0046】
オンピクセルの位相関係の判別手段403は、オンピクセルの位置情報408と、拡散板の位相パターン409から、オンピクセルの位相関係を判別する。
【0047】
補正値テーブル404は、オンピクセルの位置情報408とオンピクセルの位相関係410に依存して、予め定められた所定の補正値411を出力する。所定の補正値411は先に説明したように、シミュレーション結果や測定値を元にして予め定めておくことができる。
【0048】
補正手段405は、補正対象ピクセルの再生信号407の信号レベルから、補正値を引くことで、補正を行う。
【0049】
補正された再生信号412は、2値化手段405で、2値化される。2値化は、所定レベルでスライスしても良い。あるいは、二次元符号に合わせた可変レベルスライスを行っても良い。例えば、mピクセル中nピクセルがオンとなる二次元符号化されて記録されている場合、信号レベルの高いものからn個をオンとして判定しても良い。
【0050】
2値化された再生信号413は、2次元符号の復号回路や誤り訂正回路に送出されて、復号処理や誤り訂正処理が行われ、再生データとして再生される。ここでは、詳細は省略する。
【0051】
以上の補正処理は、1ページの全てのピクセルに対して、1ピクセルずつ繰り返して補正を行われる。図4では、このための制御回路等は、省略している。また、以上の処理は、例えばマイクロプロセッサやデジタルシグナルプロセッサ等を用いて、ソフトウェアとして実現することも可能である。
【0052】
また、ここでは、拡散板の位相パターンを位相パターンテーブル402に、予めテーブルとして保持したが、記録時に用いる拡散板の位相パターンを、例えば、数値計算による擬似乱数を元に生成しておき、再生時には、その都度、同じ計算を行うことで、位相パターンを再現することもできる。
【0053】
尚、ここでは上下左右の4個のピクセルを周辺ピクセルとしたが、より多くの周辺ピクセルを用いても良い。例えば、上下左右および斜めの計8ピクセルを周辺ピクセルとし、これらの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することもできる。この場合、周辺ピクセルのオン位置とその位相パターンの組合せ数が多くなり、補正値として保持するテーブルサイズが大きくなるというデメリットはあるが、より精度の高い補正処理を行うことができ、再生時の誤りをより少なくすることが可能になる。
【0054】
また、ここでは、拡散板の位相パターンを(0、π/2、π、3π/2)としたが、その他の位相パターンであっても良いことは明らかである。
【0055】
尚ここでは、記録再生装置の例で説明したが、再生専用装置であっても構わないことは明らかである。
【0056】
以上説明した、本実施の形態1のホログラムメモリ記録再生装置では、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することで、再生時の誤りを少なくすることを可能にしている。
【0057】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2におけるホログラムメモリ再生方法の再生プロセスを説明する図であり、図1から図3で説明したホログラムメモリ記録再生装置で記録されたホログラムの再生方法である。
【0058】
図5において、501は隣接ピクセルのオン/オフ判定ステップ、502は拡散板の位相パターンテーブル、503はオンピクセルの位相関係の判別ステップ、504は補正値テーブル、505は補正ステップ、506は2値化ステップである。507は再生信号であり、図1に示す109と同じものである。
【0059】
以上のように構成されたホログラムメモリの再生方法では、データを再生する場合、再生信号507の信号レベルに応じて、補正対象ピクセルの上下左右のピクセルのオン/オフの判定が、隣接ピクセルのオン/オフ判定ステップ501によって行われる。例えば、固定レベルでスライスすることで実行される。
【0060】
拡散板の位相パターンテーブル502には、記録時に用いた拡散板の位相パターンが、予めテーブルとして保持されている。
【0061】
オンピクセルの位相関係の判別ステップ503は、オンピクセルの位置情報508と、拡散板の位相パターン509から、オンピクセルの位相関係を判別する。
【0062】
補正値テーブル504は、オンピクセルの位置情報508とオンピクセルの位相関係510に依存して、予め定められた所定の補正値511を出力する。所定の補正値511は先に説明したように、シミュレーション結果や測定値を元にして予め定めておくことができる。
【0063】
補正ステップ505は、補正対象ピクセルの再生信号507の信号レベルから、補正値を引くことで、補正を行う。
【0064】
補正された再生信号512は、2値化ステップ505で、2値化される。2値化は、所定レベルでスライスしても良い、あるいは、二次元符号に合わせた可変レベルスライスを行っても良い。例えば、mピクセル中nピクセルがオンとなる二次元符号化されて記録されている場合、信号レベルの高いものからn個をオンとして判定しても良い。
【0065】
2値化された再生信号513は、2次元符号の復号回路や誤り訂正回路に送出されて、復号処理や誤り訂正処理が行われ、データとして再生される。ここでは、詳細は省略する。
【0066】
以上の処理は、例えばハードウェアで実現しても良いし、マイクロプロセッサやデジタルシグナルプロセッサ等を用いて、ソフトウェアとして実現することも可能である。
【0067】
また、ここでは、拡散板の位相パターンを位相パターンテーブル502に、予めテーブルとして保持したが、記録時に用いる拡散板の位相パターンを、例えば、数値計算による擬似乱数を元に生成しておき、再生時には、その都度、同じ計算を行うことで、位相パターンを再現することもできる。
【0068】
尚、ここでは上下左右の4個のピクセルを周辺ピクセルとしたが、より多くの周辺ピクセルを用いても良い。例えば、上下左右および斜めの計8ピクセルを周辺ピクセルとし、これらの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することもできる。この場合、周辺ピクセルのオン位置とその位相パターンの組合せ数が多くなり、補正値として保持するテーブルサイズが大きくなるというデメリットはあるが、より精度の高い補正処理を行うことができ、再生時の誤りをより少なくすることが可能になる。
【0069】
また、ここでは、拡散板の位相パターンを(0、π/2、π、3π/2)としたが、その他の位相パターンであっても良いことは明らかである。
【0070】
以上説明した、本実施の形態2のホログラムメモリの再生方法では、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルを補正することで、再生時の誤りを少なくすることを可能にしている。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のホログムメモリ再生装置、およびホログラムメモリの再生方法は、大容量の記録媒体の再生装置あるいは再生方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1におけるホログラムメモリ記録再生装置の記録部の構成を主に説明するブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における拡散板117の構成例を示す図
【図3】隣接ピクセルのオン位置とその位相関係に依存して発生する干渉の大きさ説明する図
【図4】本発明の実施の形態1におけるホログラムメモリ記録再生装置の再生部の主な構成を説明するブロック図
【図5】本発明の実施の形態2におけるホログラムメモリ再生方法の再生プロセスを説明する図
【符号の説明】
【0073】
101 レーザ光源
105 ホログラムメモリ媒体
109,407,507 再生信号
111 空間変調器
114 二次元符号化装置
117 拡散板
401 隣接ピクセルのオン/オフ判定手段
402,502 拡散板の位相パターンテーブル
403 オンピクセルの位相関係の判別手段
404,504 補正値テーブル
405 補正手段
406 2値化手段
501 隣接ピクセルのオン/オフ判定ステップ
503 オンピクセルの位相関係の判別ステップ
505 補正ステップ
506 2値化ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの出射光の一部を、二次元に符号化された記録データに従って空間変調器で変調し、ピクセル単位に所定の位相パターンで位相変位を透過光に与える拡散板を透過させて生成された信号光と、前記光源から出射された参照光の干渉縞をホログラム媒体に記録する、ホログラムメモリの再生装置であって、参照光を前記ホログラム媒体に照射することによって得られた再生信号に対し所定の補正処理を行いピクセル単位の補正信号を生成する補正手段と、前記補正信号を二値化する手段とを有し、前記補正手段は、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと前記所定の位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、ホログラムメモリ再生装置。
【請求項2】
補正手段は、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項1に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項3】
補正対象ピクセルの補正量は、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存したテーブルとして、予め所定の値が保持されていることを特徴とする請求項2に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項4】
補正手段は、補正対象ピクセルの上下左右の4ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項2に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項5】
補正手段は、補正対象ピクセルの上下左右および斜め隣接の8ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項2に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項6】
所定の位相パターンは、ピクセル単位に擬似ランダムな位相となっていることを特徴とする請求項1に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項7】
所定の位相パターンは、(0、π/2、π、3π/2)のいずれかの位相をピクセル単位に擬似ランダムに配列したことを特徴とする請求項6に記載のホログラムメモリ再生装置。
【請求項8】
光源からの出射光の一部を、二次元に符号化された記録データに従って空間変調器で変調し、ピクセル単位に所定の位相パターンで位相変位を透過光に与える拡散板を透過させて生成された信号光と、前記光源から出射された参照光の干渉縞をホログラム媒体に記録する、ホログラムメモリの再生方法であって、参照光を前記ホログラム媒体に照射することによって得られたピクセル単位の再生信号に対し所定の補正処理を行いピクセル単位の補正信号を生成する補正ステップと、前記補正信号を二値化するステップとを有し、前記補正ステップは、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルと前記所定の位相パターンに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、ホログラムメモリの再生方法。
【請求項9】
補正ステップは、補正対象ピクセルの周辺ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項8に記載のホログラムメモリの再生方法。
【請求項10】
補正対象ピクセルの補正量は、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存したテーブルとして、予め所定の値が保持されていることを特徴とする請求項9に記載のホログラムメモリの再生方法。
【請求項11】
補正ステップは、補正対象ピクセルの上下左右の4ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項9に記載のホログラムメモリの再生方法。
【請求項12】
補正ステップは、補正対象ピクセルの上下左右および斜め隣接の8ピクセルの各再生信号レベルに応じて各ピクセルのオン/オフを判定し、各オンピクセルの配置と該オンピクセルの位相パターンの組み合わせに依存して、該補正対象ピクセルの補正量を決定することを特徴とする、請求項9に記載のホログラムメモリの再生方法。
【請求項13】
所定の位相パターンは、ピクセル単位に擬似ランダムな位相となっていることを特徴とする請求項8に記載のホログラムメモリの再生方法。
【請求項14】
所定の位相パターンは、(0、π/2、π、3π/2)のいずれかの位相をピクセル単位に擬似ランダムに配列したことを特徴とする請求項13に記載のホログラムメモリの再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−140606(P2009−140606A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−319181(P2007−319181)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】