説明

ホログラムスレッドと偽造防止用紙

【課題】 偽造防止用紙に抄き込みするためのホログラムスレッドと当該スレッドによる偽造防止用紙を提供する。本スレッドは基材フィルムとの密着性が強く、着色したホログラム形成層を有し、抄き込みにより白濁が生じることがない。
【解決手段】 本発明のホログラムスレッド1は、基材フィルム11面に、着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12cを設け、当該ホログラム形成層12c面に、金属薄膜層13を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有することを特徴とする。基材フィルム11と着色ホログラム形成層12cの間に、オーバープリント層を設けてもよく、着色ホログラム形成層12cの代りに印刷した着色オーバープリント層や着色絵柄層を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の光硬化性樹脂組成物を使用してなるホログラムスレッド並びに偽造防止用紙に関する。さらに詳しくは耐熱性と柔軟性等を同時に有する被膜形成が可能な光硬化性樹脂組成物を使用してなるホログラム形成層を有するホログラムスレッドと、当該スレッドを紙に抄き込んでなる偽造防止用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より偽造防止用紙として、例えば、表面に細かい点や線の印刷により偽造防止用印刷図柄(地模様)を表わし、薄くコピーした場合には点や線がはっきりと写らず、濃くコピーした場合には点がつぶれて線や字になったり、線がつぶれて太くなったりするようにしたものがある。しかし、カラー複写機の性能向上に伴い、このような方法では偽造防止は困難になってきている。
【0003】
そこで、この問題を解決するために、例えば、光輝性スレッドを基紙の一方の面に抄き込んだもの(特開平7−56377号公報)が偽造防止用紙として提案されている。これは、カラーコピーした場合でも、光輝性スレツドに対応する箇所で金属色が再現できないことを利用して偽造を防止しようとしたものである。
【0004】
さらに回折格子やレリーフホログラムは従来、各種のカードや証券等の装飾や偽造防止の目的に使用されているが、その用途の拡大とともに紙への抄き込みも行われることが出来、さらに優れた強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性が要求されるとともに、被貼着物の屈曲性や伸縮に対する追随性が要求されるようになってきた。特に従来の光硬化性塗料からなる回折格子やレリーフホログラムでは、使用している樹脂が光硬化によって柔軟性を失い、その結果としてスレッドの屈曲や伸縮によって回折格子やレリーフホログラムとしての機能を喪失するものであった。
【0005】
本出願人は、これらの問題点を解決するために、特公平6−85104号公報や特公平5−54502号公報に開示したような材料系を用いて、優れた強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性を有する被膜が形成可能で、且つ被貼着物の屈曲性や伸縮に対する追随性をも有する回折格子やレリーフホログラム等を形成することができる光硬化性樹脂組成物を提供することに成功した。
【0006】
しかしながら、上記特公平6−85104号公報に記載の反応性樹脂は、主鎖にヒドロキシエチルメタクリレート単位を有する樹脂に、ジイソシアネートを介して、再度ヒドロキシエチルメタクリレートを付加結合させて、樹脂に2重結合を導入する方式であるため、樹脂に2重結合を設計通りに導入することは困難であり、また、系中の微量な水分に影響されて樹脂がゲル化し易い等の問題点があった。また、特公平5−54502号公報に記載の反応性樹脂は、メラミン骨格を有するため、耐水性という点で若干劣り、また、メチロール基がある場合は加水分解によりホルムアルデヒドが発生する等の問題点を有していた。これらの問題を解決するホログラム用脂組成物として、本願出願人により、特許第3355308号公報(特許文献1)や特開2001−31730号公報(特許文献2)、特開2001−40023号公報(特許文献3)等に記載する光硬化性樹脂組成物が提案されている。
【0007】
上記特許文献1〜特許文献3の光硬化性樹脂組成物は、いずれも特定構造式のウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とするものであり、補助的成分として離型剤を必須の成分としている。離型剤は、例えば、ホログラムや回折格子等をエンボス加工で作製する場合に、ホログラム、回折格子のプレススタンパーと光硬化した樹脂層の剥離性を良好にし、プレススタンパーの汚染を防止し、プレススタンパーを長期間連続して使用することができるようにする(これを反復エンボス性という。)ためのものである。
【0008】
特許文献4(特開2000−284674号公報)には、アクリレート系紫外線硬化性樹脂を使用した光回折素子転写シートが記載されている(同公報段落[0030])。
また、本願発明に使用する光硬化性樹脂組成物の基本内容は前記特許文献3に記載されるものと同様である。しかし、前記特許文献1〜3に使用する光硬化性樹脂組成物は、着色した当該組成物の層を例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布することが困難であり、着色したホログラム形成層を設けるためには、別途に着色したオーバープリント(OP)層を透明ホログラム形成層と基材フィルムの間に設ける必要があって、工程が煩雑になる問題があった。特許文献3は偽造防止用紙についても記載しているが、着色したホログラムスレッドの具体的構成については記載していない。
【0009】
また、ホログラムスレッドを紙に抄き込みする際は、パルプを120°C程度の高温の熱水に溶解して吐き出しており、かつ当該パルプ中に張力をかけた状態でスレッドが供給されるので、熱水がスレッドに触れた際に、従来のホログラムスレッドでは輝度の低下やクラックの発生が認められ、偽造防止用紙の商品価値を低下させる問題が発生していた。ホログラムの輝度の低下も、結局はクラックに起因するもので、ホログラム形成層、金属薄膜層、あるいはオーバープリント層に、微小なクラックが生じることによるものと考えられる。この現象は、一般の光硬化性樹脂をホログラム層に使用した場合に顕著である。
【0010】
【特許文献1】特許第3355308号公報
【特許文献2】特開2001−31730号公報
【特許文献3】特開2001−40023号公報
【特許文献4】特開2000−284674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明はホログラム形成層に使用する樹脂に既存の樹脂よりは、伸びに対して耐クラック性を有する光硬化性樹脂を使用するとともに、光硬化性樹脂に直接着色可能であって、かつ基材フィルムに対して塗工可能であり、密着性のよいホログラム形成層を検討し、本発明の完成に至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する手段の第1は、基材フィルム面に、着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド、にある。
【0013】
上記課題を解決する手段の第2は、基材フィルム面に、オーバープリント層を設け、当該オーバープリント層面に着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド、にある。
【0014】
上記課題を解決する手段の第3は、基材フィルム面に、着色絵柄層を設け、当該着色絵柄層面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド、にある。
【0015】
上記課題を解決する手段の第4は、基材フィルム面に、オーバープリント層を設け、当該オーバープリント層面に着色絵柄層を設け、当該着色絵柄層面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド、にある。
【0016】
上記ホログラムスレッドにおいて、ウレタン変性アクリル系樹脂が、下記構造式からなること、が好ましい。
【化2】

(式中5個のR1 は、それぞれ互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、R2 は、C1 〜C16の炭化水素基を表し、XおよびYは、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。lとmとnとoの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜50、nは10〜80、oは0〜20の整数である。)
【0017】
上記課題を解決する手段の第5は、請求項1ないし請求項5のホログラムスレッドを、紙に抄き込んだことを特徴とする偽造防止用紙、にある。
【発明の効果】
【0018】
(1)本発明のホログラムスレッドは、ホログラム形成層である光硬化性樹脂組成物に、特定のウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤を使用しているので、優れた強度、耐熱性、基材に対する密着性を有する被膜が形成可能であって、かつ、屈曲性や伸縮に対する追随性をも有する回折格子やレリーフホログラム等を形成できる。
従って、本発明のホログラムスレッドを光輝性スレッドとして偽造防止要旨に使用する場合、スレッドを基紙の一方の面に抄き込む際に必須な水分を、光硬化性樹脂組成物が吸収することにより、製紙工程の際にかかる応力に対応して、光輝性スレッドが伸びることにより、基紙に密着し、屈曲性や伸縮に対する追随性が優れたものが得られる。
(2)本発明のホログラムスレッドは、偽造防止用紙への抄き込み時に加わる加熱と引っ張りに対してホログラム層の輝度低下を生じることがない。すなわち、当該輝度低下は、ホログラム形成層や金属薄膜層、オーバープリント層に生じる微小のクラックの発生に起因するが、上記のように柔軟性を有し、伸びに強い材料からなるので、クラックの発生が生じない。
【0019】
(3)通常のホログラムスレッドは透明ホログラムに金属薄膜を形成するので、色調が銀灰色等に限定されるが、本発明のホログラムスレッド(請求項1、請求項2)は、ホログラム形成層の光硬化性樹脂組成物が着色しているので、カラフルな色彩を呈することができる。また、着色絵柄層を設けたホログラムスレッド(請求項3、請求項4)は、光硬化性樹脂組成物自体は着色していなくてもよいが、印刷した着色絵柄層により同様にカラフルな色彩を呈することができる。
(4)本発明のホログラムスレッドは、着色したホログラム形成層を直接に基材フィルムに塗工することが可能であり(請求項1)、その場合は工程の簡略化と歩留りの向上を図ることができる。
(5)本発明の偽造防止用紙は、上記のホログラムスレッドが抄き込まれているので、優れた光輝性を発揮し、偽造防止効果を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明にいうスレッドとは、偽造防止用に紙に抄き込みして使用するためのスレッドであって、通常は、極めて薄層の基材フィルムに光輝性の材料を塗工し、細幅の(0.5mm〜2、3mm程度)のテープ状にしたスレッドをいう。ホログラムスレッドでは、特にこの光輝性材料としてホログラムを使用したものである。なお、本発明で「ホログラム」とは各種回折格子も含む意味で使用している。
【0021】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のホログラムスレッドの第1実施形態の層構成を示す図、図2は、同第2実施形態の層構成を示す図、図3は、同第3実施形態の層構成を示す図、図4は、同第4実施形態の層構成を示す図、図5は、本発明の偽造防止用紙を示す図、図6と図7は、従来のホログラムスレッドの層構成を示す図、である。
【0022】
本発明のスレッドホログラム1の第1実施形態では、図1のように、媒体である基材フィルム11上に、着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層(以下および図面において、「着色ホログラム形成層」ともいう。)12cを設け、当該着色ホログラム形成層12c面に、金属薄膜層13を形成している。金属薄膜層13はホログラムの効果を高めるための層であって、アルミニウムや酸化チタン等の薄層の金属の層を、蒸着やスパッタリング等により形成している。着色ホログラム形成層12cの厚みは、0.1μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μmである。第1実施形態では、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有し、当該光硬化性樹脂組成物が着色されている特徴がある。
【0023】
本発明のスレッドホログラム1の第2実施形態では、図2のように、媒体である基材フィルム11上に、まずオーバープリント層14を設け、当該オーバープリント層14面上に着色した光硬化性樹脂組成物からなる着色ホログラム形成層12cを設け、当該着色ホログラム形成層12面に、金属薄膜層13を形成している。第1実施形態とは、オーバープリント層14が追加されているだけの相違である。オーバープリント層14は、着色ホログラム形成層12cと基材フィルム11の密着を一層高めるために追加されているものである。オーバープリント層14の塗工液には、着色ホログラム形成層12cと同様にウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーを使用するが、密着性を高くするために離型剤は含ませない。着色する必要がないから着色剤も含ませない。
【0024】
従来、第1実施形態、第2実施形態のホログラムスレッドでは、図6の層構成とするのが通常であった。すなわち、図6のように、媒体である基材フィルム11上に、まず、プライマー層15を設け、当該プライマー層15面上に、着色オーバープリント層14cを設け、当該着色オーバープリント層14c面上に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12を設け、最表面に金属薄膜層13を形成するものである。
このようにするのは、従来の樹脂組成物ではホログラム形成層12を着色した場合は、基材フィルム11、特にPETフィルムへの塗工性が著しく低下する問題があり、プライマー層15を介して塗工する必要があったからである。塗工性が低下する原因は、明確ではないが、着色染料のブリードがあって、PETフィルムの界面と樹脂層界面間に層を形成するため、PETフィルム−樹脂層間の接着を阻害するものと考えられる。本発明の樹脂組成物では、そのような現象が低減する。
【0025】
本発明のスレッドホログラム1の第3実施形態では、図3のように、媒体である基材フィルム11上に、着色絵柄層16を設け、当該着色絵柄層16の面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12を設け、当該ホログラム形成層12面に、金属薄膜層13を形成している。金属薄膜層13は、同様にホログラムの効果を高めるための層であって、アルミニウムや酸化チタン等の薄層の金属薄膜層を、蒸着やスパッタリング等により形成している。第3実施形態では第1、第2実施形態と異なり着色絵柄層16があるためホログラム形成層12を着色しない特徴がある。もちろん着色しても構わないが、絵柄と双方を着色する必要はあまりない。着色絵柄層16とは、グラビア印刷インキにより、1〜3色の絵柄を印刷した層である。着色した絵柄層は基材フィルム11の全面に形成されるものとは限らないので、部分的には基材フィルム11に直接ホログラム形成層12が塗工されることになる。
【0026】
本発明のスレッドホログラム1の第4実施形態では、図4のように、媒体である基材フィルム11上に、まずオーバープリント層14を設け、当該オーバープリント層14面上に、着色絵柄層16を設け、当該着色絵柄層16の面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12を設け、当該ホログラム形成層12面に、金属薄膜層13を形成している。第3実施形態とは、オーバープリント層14が追加されているだけの相違である。
オーバープリント層14は、着色絵柄層16ないしホログラム形成層12と基材フィルム11との密着を高めるために追加されるものである。着色絵柄層16を形成しても全面が絵柄で覆われるものとは限らず、ホログラム形成層12とオーバープリント層14とが接触する部分も残ることになる。
【0027】
本発明のホログラムスレッドが着色絵柄層16を有するものである場合には、予め着色グラビア印刷をした基材フィルム11の表面に、親水性モノマーと離型剤を含む光硬化性樹脂組成物とからなるホログラム形成層12を塗布し、乾燥後、光硬化性樹脂をエンボス加工した後に光硬化させてレリーフを形成させ、その後、金属薄膜層13を形成することにより、ホログラムスレッド1として製造することができる。
着色絵柄層16を印刷するグラビア印刷インキには、ホログラム形成層と同様に、ウレタン変性アクリル系樹脂と親水性モノマーと着色剤とからなるものを使用するが、離型剤を含ませないようにするのが好ましい。密着性を高めるためである。グラビア印刷は、1〜3色の印刷とする。
【0028】
従来、第3実施形態、第4実施形態のホログラムスレッドでは、図7の層構成とするのが通常であった。すなわち、図7のように、媒体である基材フィルム11上に、まず、プライマー層15を設け、当該プライマー層15面上に、着色絵柄層16を設け、当該着色絵柄層16面上にオーバープリント層14を設け、当該オーバープリント層14上に、光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12を設け、当該ホログラム形成層12面に金属薄膜層13を形成するものである。このようにするのは、着色絵柄層16を基材フィルム11に直接印刷した場合は、第1実施形態と同様に、着色絵柄層16部分において、基材フィルム11の密着性が著しく低下する問題があり、プライマー層15を介して塗工する必要があったからである。
【0029】
本発明においては、上述のようにホログラム形成層12に使用する光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと離型剤、を含有することが好ましい。親水性モノマーは硬化後に得られる樹脂層の吸水性を調整するためのものであり、離型剤は、ホログラム等をエンボス加工で作製する場合に、ホログラムのプレススタンパーと光硬化した樹脂層の剥離性を良好にし、プレススタンパーの汚染を防止し、プレススタンパーを長期間連続して使用することができるようにするためのものである。
ホログラム形成層12、着色ホログラム形成層12c以外のオーパープリント層14や着色絵柄層16用のグラビア印刷インキにも同等の樹脂組成を使用できるが、離型剤を添加しないことが好ましい。
【0030】
本発明のホログラムスレッドの製造は、光硬化性樹脂組成物(塗料)を、例えば、PETフィルム等の基材上に塗工して着色ホログラム形成層12cを形成し、この着色ホログラム形成層12cに各種凹凸パターンをエンボスにより付与した後、紫外線や電子線を露光し、該形成層を硬化させ、その後、形成された凹凸パターン面に金属蒸着やスパッタリングにより屈折率の異なる金属薄膜層13を積層し、回折格子やレリーフホログラム等とすることができる。光硬化性樹脂組成物(塗料)は、グラビアコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ダイコート法等のコーティング法により、厚み0.1μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜20μmに塗布形成する。
【0031】
従って、組成物のフィルムヘのコーティング(塗工および乾燥)工程と、ホログラム等の複製工程を別工程で実施する場合には、コーティングして形成された塗膜表面にタックがあると、この塗膜を有するフィルムをロール状に直接巻き取る場合にブロッキングを生じて不都合である。塗布および乾燥時に塗布層の表面側に局在するような溶剤系を用いて塗布および乾燥することが上記のブロッキング防止には有効であり、また、複製時の反復エンボス性を高めるためにも有効である。また、塗膜の表面にタックがある場合は、離型性フィルムを塗膜表面にラミネートしてからフィルムを巻き取る方法を選択することができる。連続工程で組成物のフィルムヘのコーティング(塗工および乾燥)工程と、ホログラム等の複製工程とを行う場合は、上記の制約条件が緩和される。
【0032】
[金属薄膜層について]
不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜層13としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属およびその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜である。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、望ましくは20〜200nmの範囲である。
【0033】
透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜層13は、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材質のものも使用できる。例えば、ホログラム形成層12の樹脂と屈折率の異なる透明材料がある。この場合の屈折率はホログラム形成層12の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜がある。好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸価チタン(TiO2 )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu−Al複合金属酸化物等が挙げられる。
【0034】
[接着剤層について]
図1〜図4、図6、図7の各図には図示されていないが、偽造防止用紙に抄き込みするテープ状のスレッドには、その表裏面、または何れか一方の面に接着剤を塗布するのが通常である。用紙中における繊維とスレッドの強固な密着力を得る目的である。このような接着剤は、従来から水溶性接着剤や熱可塑性樹脂が提案されているが、水溶性接着剤では水に溶解して接着力が十分に得られないことが指摘されている。熱可塑性樹脂の場合もドライヤーパートに転移する問題や巻取りした紙層間でブロッキングする問題が指摘されている。一般には、適性のよいアクリル樹脂やウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂を適量に塗工する方法が行われている。
【0035】
次に、本発明の偽造防止用紙について説明する。
図5は、本発明の偽造防止用紙の一実施形態を示す図である。図5(A)はその平面図、図5(B)は、図5(A)のA−A線における断面を示している。
本発明の偽造防止用紙2の一実施形態では、基紙21にスレッド1を、1本抄き込んだ構成であって、基紙21には、ホログラムスレッド1を間欠的に露出する複数の表出部22と、各表出部22間でホログラムスレッド1を間欠的に露出する被覆部23とを備えている。表出部22は、ホログラムスレッド1と同幅でもよいが、それよりも広幅としてホログラムスレッド1の両サイドを透かし部24となるようにすることで、抄造時に発生する公差(ブレ)を透かし部により吸収することができる。
【0036】
基紙21は、ホログラムスレッド1の両端部分が被覆部23として構成されていることが好ましい。ホログラムスレッド1の端部が露出していると、スレッドの剥離が生じるからである。使用するスレッドの幅は用紙の使用目的にもより特に制限されないが、0.2mm〜5mm程度のものが通常使用される。
【0037】
この構成の偽造防止用紙は、多筒式抄紙機の一つの抄き網部上に、スレッドと同じ幅かそれより広幅の小さな凸部を設け、この凸部の上にスレッドを載せた状態で紙料液を供給することによって製造できる。つまり、このようにすれば、凸部のない位置ではスレッドが紙料液で挟まれるので被覆部が形成され、凸部の位置ではスレッドが紙料液の下面側から露出するので表出部が形成される。上記の構成のようなウィンドウ付きスレッド用紙においては、ホログラムスレッドが表出部において間欠的に露出しているので、コピーした場合でも金属色が再現されないことから偽造を高度に防止できる。また、偽造品かどうかを見るために用紙の端面を確認する必要がなく、しかも、ホログラムスレッドが基紙から剥がれてしまうのを防止できる。
【0038】
偽造防止用紙の実施形態は、上記のものに限られず、用紙に2本以上のスレッドを抄き込むものであってもよく、2本のスレッドの表出部が並列して表れる形態や千鳥状に表れる形態や各種の実施形態を採用することができる。
着色スレッドホログラムを用紙に抄き込む方法は、上記に記載した方法以外に、特公平5−85680号公報、特開平6−272200号公報、特開平7−56377号公報、特開平11−222797号公報、特開2000−336596号公報に記載されているように各種の製造方法があり、それらの方法を採用することもできる。
【0039】
また、ホログラムスレッドの基材フィルム11としては、耐熱性と寸法安定性を有するものであればよく、例えば、2軸延伸されたPETフィルムが寸法安定性、耐熱性、強靱性等の点から最も好ましい。これ以外に、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ボリカーボネートフィルム、セロファン、ポリビニルアルコールフィルム、アセテートフィルム、ナイロンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、エチレン/ビニルアルコール共重合体フィルム、フッ素含有フィルム、各種共押出しフィルム等が使用できる。厚みとしては5μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmが良い。
【0040】
次に、本発明に使用する他の材料について更に詳しく説明する。
[ウレタン変性アクリル系樹脂について]
本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂は、例えば、好ましい1例として、メタクリル酸メチル20〜90モルとメタクリル酸0〜50モルと2−ヒドロキシエチルメタクリレート10〜80モルとを共重合して得られるアクリル共重合体であって、該共重合体中に存在している水酸基にメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(2−イソシアネートエチルメタクリレート)を反応させて得られる樹脂である。
【0041】
従って、上記メタクリロイルオキシエチルイソシアネートが共重合体中に存在している全ての水酸基に反応している必要はなく、共重合体中の2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位の水酸基の少なくとも10モル%以上、好ましくは50モル%以上がメタクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応していればよい。上記の2−ヒドロキシエチルメタクリレートに代えてまたは併用して、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等の水酸基を有するモノマーも使用することができる。
【0042】
以上の如く、水酸基含有アクリル系樹脂中に存在している水酸基を利用して、分子中に多数のメタクリロイル基を導入したウレタン変性アクリル系樹脂を主成分とする樹脂組成物によって、例えば、ホログラムや回折格子等を形成する場合には、硬化手段として紫外線や電子線等の電離放射線が使用でき、しかも高架橋密度でありながら柔軟性および耐熱性等に優れたホログラムや回折格子等を形成することができる。
【0043】
上記のウレタン変性アクリル系樹脂は、前記共重合体を溶解可能な溶剤、例えば、トルエン、ケトン、セロソルブアセテート、ジメチルスルフォキサイド等の溶媒に溶解させ、この溶液を攪拌しながら、メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを滴下および反応させることにより、イソシアネート基がアクリル系樹脂の水酸基と反応してウレタン結合を生じ、該ウレタン結合を介して樹脂中にメタクリロイル基を導入することができる。
【0044】
この際使用するメタクリロイルオキシエチルイソシアネートの使用量は、アクリル系樹脂の水酸基とイソシアネート基との比率で水酸基1モル当たりイソシアネート基0.1〜5モル、好ましくは0.5〜3モルの範囲になる量である。
なお、上記樹脂中の水酸基よりも当量以上のメタクリロイルオキシエチルイソシアネートを使用する場合には、該メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは樹脂中のカルボキシル基とも反応して−CONH−CH2 CH2 −の連結を生じることもあり得る。
【0045】
以上の例は、前記構造式において、全てのR1 およびR2 がメチル基であり、XおよびYがエチレン基である場合であるが、本発明は、これらに限定されず、5個のR1 は夫々独立して水素原子またはメチル基であってもよく、更にR2 の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−またはiso−プロピル基、n−、iso−またはtert−ブチル基、置換または未置換のフェニル基、置換または未置換のベンジル基等が挙げられ、XおよびYの具体例としては、エチレン基、プロピレン基、ジエチレン基、ジプロピレン基等が挙げられる。このようにして得られる本発明で使用するウレタン変性アクリル系樹脂は全体の分子量としては、ポリスチレン換算分子量で1万〜20万、更に2〜4万であることがより好ましい。
【0046】
[光硬化性樹脂組成物、ホログラム形成層について]
光硬化性樹脂組成物は、上記のウレタン変性アクリル系樹脂を被膜形成成分の主成分として、親水性モノマーとともに適当な有機溶剤に溶解してなることを特徴とする。使用する有機溶剤としては、上記したようなウレタン変性アクリル系樹脂を溶解する有機溶剤であれば何れでもよいが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好ましく使用される。
上記組成物における前記ウレタン変性アクリル系樹脂の固形分濃度は特に限定されないが、一般的には重量基準で約1〜50重量%の範囲が好ましい。
【0047】
光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層12は、上記ウレタン変性アクリル系樹脂に加えて、離型剤を含有する。本発明で用いられる離型剤としては従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、(1)変性シリコーンオイル側鎖型、(2)変性シリコーンオイル両末端型、(3)変性シリコーンオイル片末端型、(4)変性シリコーンオイル側鎖両末端型、(5)トリメチルシロキシケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと呼ぶ)、(6)シリコーングラフトアクリル樹脂、および(7)メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
【0048】
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル基変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエ一テル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0049】
上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、樹脂層の硬化とともに樹脂に反応して結合するので、後に凹凸パターンが形成された樹脂層の表面にブリードアウトすることがなく、特徴的な性能を付与することができる。特に、蒸着工程での蒸着層との密着性向上には有効である。
【0050】
本発明で使用するホログラム形成層12は、上記の如き離型剤(特にシリコーン)を樹脂組成物に含有させることによって、例えば、回折格子等をエンボス加工で作製する場合に、回折格子のプレススタンパーと光硬化した樹脂層の剥離性を良好にし、プレススタンパーの汚染を防止し、プレススタンパーを長期間連続して使用することができるようになる(これを一般に反復エンボス性という。)。上記離型剤の使用量は、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部当たり約0.1〜50重量部の範囲、好ましくは約0.5〜10重量部の範囲で使用する。離型剤の使用量が上記範囲未満では、プレススタンパーと光硬化性樹脂層との剥離が不十分であり、プレススタンパーの汚染を防止することが困難である。一方、離型剤の使用量が上記範囲を超えると組成物の塗工時のはじきによる塗膜面の面荒れの問題が生じたり、製品において基材自身および近接する層、例えば、蒸着層の密着性を阻害したり、転写時に皮膜破壊等(膜強度が弱くなりすぎる)を引き起こす等の点で好ましくない。
【0051】
本発明で使用するホログラム形成層12は、以上のように良好な反復エンボス性を確保する為に、離型剤の添加が必要であるが、同時にこの離型剤の存在によって、本発明の樹脂組成物を基材に塗布して皮膜形成する際の密着性、形成された皮膜他の層、例えば、金属薄膜、金属化合物の薄膜、有機または無機化合物の薄膜、その他の層を積層する際に両者の密着性が低下することがある。密着性改良方法としては、コロナ処理等に代表される密着性向上のための表面処理或いはプライマー層等の密着改善層を基材等の表面に設けることも可能である。
【0052】
更に硬化後に得られる樹脂層の吸水性を調整するために、本発明の光硬化性樹脂組成物に、親水性モノマーを添加する。前記親水性モノマーとしては、分子内に−OH、−COOH、−NH2 、(ポリ)オキシエチレン等の親水性基を有するビニル化合物、アリル化合物、(メタ)アクリロイル化合物で代表され、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、アクリル酸、コハク酸モノヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸2量体等の単官能親水性モノマー、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の多官能親水性モノマー等が好適に用いられる。
【0053】
上記モノマー或いはオリゴマーの使用量は、前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部当たり約5〜40重量部の範囲、好まし〈は約10〜30重量部の範囲で使用する。 モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲未満では、得られる硬化性樹脂層の強度、耐熱性、耐擦傷性、耐水性、耐薬品性、基材に対する密着性が十分とはいえず、一方、モノマー或いはオリゴマーの使用量が上記範囲を超えると表面のタックが高くなり、ブロッキングを引き起こしたり、ホログラム等の複製時に版(プレススタンパー)に材料が一部残る(版取られ)ことにより反復エンボス性が低下する等の点で好ましくない。
【0054】
光硬化性樹脂組成物を紫外線によって硬化させる場合には、該組成物に光増感剤を添加することが必要であり、一方、電子線によって硬化を行なう場合には光増感剤は不要である。光増感剤としては、従来の紫外線硬化型塗料の光増感剤として用いられている各種の光増感剤、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン等のベンゾイン系化合物;アントラキノン、メチルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;ベンジル:ジアセチル;アセトフェノン、ベンゾフェノン等のフェニルケトン化合物;ジフェニルジスルフィド、テトラメチルチウラムスルフィド等のスルフィド化合物;α−クロルメチルナフタリン;アントラセンおよびヘキサクロロブタジエン、ペンタクロロブタジエン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。このような光増感剤は前記ウレタン変性アクリル系樹脂100重量部当たり約0.5〜10重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0055】
光硬化性樹脂組成物は、上記の各成分に加えて、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール類;ベンゾキノン、ジフェニルベンゾキノン等のキノン類等の重合防止剤を配合すると貯蔵安定性が向上する。更に、必要に応じて、促進剤、粘度調節剤、界面活性剤、消泡剤、シランカップリング剤等の各種助剤を配合してもよい。また、スチレン・ブタジエンラバー等の高分子体を配合することも可能である。
【0056】
[着色ホログラム形成層について]
光硬化性樹脂組成物を着色する場合は、適宜な着色剤である色料を添加する。着色ホログラム形成層12cや着色オーバープリント層14cに添加する色料は、ホログラムの精細な凹凸形状を再現する必要から顔料よりは染料が好ましくなる。ただし、顔料であっても粒子径を光の波長の1/2程度にしたものであれば使用することができる。
添加する染料に要求される性能としては、着色ホログラム形成層12cに加えられる加工に対して耐久性を有するものが必要とされる。紫外線による硬化の場合は紫外線の透過を阻害しないものが好ましい。また、偽造防止用紙に使用される場合の耐光性や耐薬品性も備えることも当然に要求される。以上のような、種々の実際的な条件を考慮すると、染料としては油溶性金属錯塩の形のものが好ましく、例えば、1−2型アゾ系金属錯塩染料、1−1型アゾ系金属錯塩染料、金属フタロシアニン染料、およびこれら染料の有機塩基塩を挙げることができる。
【0057】
より具体的には、バリファーストイエロー♯3104および♯3105(オリエント化学工業社製)、バリファーストオレンジ♯3206(オリエント化学工業社製)、ザボンファーストイエローGR(BASF社製)、アイゼンメタロンイエローHNRS(保土谷化学社製)、アイゼンスピロンオレンジGRHおよび2RH(保土谷化学社製)、バリファーストレッド♯3304および♯3305(オリエント化学工業社製)、オラゾールレッドBL、ザボンファーストブルーHFL、ザボンファーストブラウンBE(いずれもBASF社製)等、を使用することができる。
【0058】
[着色絵柄層について]
着色絵柄層16の印刷に使用するグラビア印刷インキには、同様の性能の色料が必要とされる。顔料の粒子径はホログラム形成層程の微粒化の必要はないが、着色絵柄層16側からの紫外線露光の場合もあるので、1μm以下の粒径の顔料の使用が好ましい。耐光性や耐薬品性を備える染料、顔料を広範に使用することができる。
【0059】
次に、上記の光硬化性樹脂組成物の使用法について説明する。前記光硬化性組成物を、PETフィルム等の基材に塗布し、次いで組成物中に含まれている有機溶剤が飛散する温度、例えば、100〜165°Cに設定した加熱炉内に0.1〜1分間程度導いて乾燥させて光硬化性樹脂層を基材上に形成する。そして、この光硬化性樹脂層に、例えば、プレススタンパーを用いて所望のホログラムレリーフのパターニング(エンボス加工)行ない、次いで紫外線あるいは電子線を照射して樹脂層を光硬化させる。得られるホログラムは一般的には透過型であるため、反射層を設ける必要がある。反射層としては、光を反射する金属薄膜を用いると不透明タイプのホログラムとなり、透明な物質でホログラム層と屈折率差がある場合は透明タイプとなるがいずれも本発明に使用できる。反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法で形成可能である。
【0060】
更に具体的には、ホログラムパターンのエンボス加工は、例えば、プレススタンパーを周面に装着した金属ロールとぺーパーロールよりなる1対のエンボスロールを使用して通常の方法で、例えば、50〜150°C、10〜50kg/cm2 の圧力で行う。
エンボス加工は片面エンボスで十分であるが、両面エンボスでもよい。エンボスに当たっては、エンボスロールの温度設定が重要であり、エンボス形状を再現する観点からは比較的高温で、比較的高い圧力でエンボスする方が良く、エンボス版への付着を防止するためには全く逆の関係となる。また、有効に作用する熱容量から考えた場合は、複製するフィルムの搬送速度も重要である。樹脂組成物のエンボスロールへの付着を低減するためには、上述した離型剤の選定も重要である。
【0061】
光硬化性樹脂組成物の硬化に用いる光としては、高エネルギー電離性放射線および紫外線が挙げられる。高エネルギー電離性放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によつて加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線も使用できる。紫外線源としては、例えば、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯、太陽灯等が挙げられる。
【0062】
[ウレタン変性アクリル系樹脂の製造]
次に本発明のウレタン変性アクリル系樹脂の製造例を示す。
製造例1(AP−163)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びメチルエチルケトン(MEK)40gをアゾ系開始剤とともに仕込み、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)22.4g、メチルメタクリレート(MMA)62.3g、ビニルカプロラクタム(VCL)13.9g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110°Cの温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0063】
製造例2(AP−168)
冷却器、滴下ロート及び温度計付きの2リットルの四つ口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40g及びMEK40gをアゾ系開始剤とともに仕込み、HEMA22.4g、MMA62.3g、アクリロイルモルフォリン(ACMO)14.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を滴下ロートを経て、約2時間かけて滴下させながら100〜110°Cの温度下で8時間反応させた後、室温まで冷却した。これに、2−イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、カレンズMOI)27.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート30g及びMEK30gの混合液を加えて付加反応させた。反応生成物のIR分析により2200cm-1の吸収ピークの消失を確認し反応を終了した。
【0064】
上記製造例1、製造例2によるウレタン変性アクリル系樹脂の組成と物性値を表1に示す。なお、表1中の「C=C量」はポリマー1分子中の二重結合の平均個数である。分子量は、ポリスチレン換算分子量である。分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)でテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として行った。
【0065】
【表1】

【0066】
本発明に使用する光硬化性樹脂組成物は、上記ウレタン変性アクリル系樹脂を被膜形成成分として、適当な有機溶剤に溶解してなることを特徴とする。使用する有機溶剤としては、上記したようなウレタン変性アクリル系樹脂を溶解する有機溶剤であれば何れでもよいが、塗工性や乾燥性を考慮すると、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、アセトン、MEK、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系有機溶剤等が挙げられ、特にこれらの溶剤からなる混合系溶剤が好ましく使用される。
【0067】
[光硬化性樹脂組成物の調製]
前記製造例1、製造例2で得た樹脂溶液を用いて下記4種の光硬化性樹脂組成物からなる着色ホログラム形成層(組成物A,B)とホログラム形成層(組成物C,D)を調製した。なお、例中の部または%は特に断りのない限り重量基準である。
【0068】
組成物A:
製造例1(AP−163)の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:トリメチルシロキシケイ酸含有メチルポリシロキサン 1部
(商品名KF−7312、信越化学工業(株)製)
多官能モノマー(商品名SR−399、サートマー社製) 10部
モノマー(商品名SR−454、サートマー社製) 10部
光増感剤 5部
(商品名イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)
金赤系染料着色剤 1部
メチルエチルケトン(MEK)で希釈して、組成物の固形分を50%に調整した。
【0069】
組成物B:
製造例2(AP−168)の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:アミノ変性反応性シリコーンオイル(両末端型) 1部
(商品名KF−8012、信越越化学工業(株)製)
多官能モノマー(商品名SR−399、サートマー社製) 10部
吸水性モノマー(TPA−320、日本化薬(株)社製) 15部
光増感剤 5部
(商品名イルガキュア651、チバスペシャルティケミカルズ社製) 金赤系染料着色剤 1部
メチルエチルケトン(MEK)で希釈して、組成物の固形分を50%に調整した。
【0070】
組成物C:
製造例1(AP−163)の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:トリメチルシロキシケイ酸含有メチルポリシロキサン 1部
(商品名KF−7312、信越化学工業(株)製)
多官能モノマー(商品名SR−399、サートマー社製) 10部
モノマー(商品名SR−454、サートマー社製) 10部
光増感剤 5部
(商品名イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)
メチルエチルケトン(MEK)で希釈して、組成物の固形分を50%に調整した。
【0071】
組成物D:
製造例2(AP−168)の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:アミノ変性反応性シリコーンオイル(片末端型) 1部
(商品名KF−8012、信越化学工業(株)製)
多官能モノマー(商品名SR−399、サートマー社製) 5部
吸水性モノマー(商品名SR−492、サートマー社製) 20部
光増感剤 5部
(商品名イルガキュア907、チバスペシャルティケミカルズ社製)
メチルエチルケトン(MEK)で希釈して、組成物の固形分を50%に調整した。
【0072】
次に実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0073】
(請求項1の実施形態のホログラムスレッド)
厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に、前記組成物Aの着色光硬化性組成物を、ロールコーターで塗工し、100°Cで乾燥して溶剤を揮散させて、乾燥膜厚で2g/m2 の着色ホログラム形成層12cとした。
【0074】
複製装置のエンボスローラーには、レーザー光を用いて作ったマスターホログラムから引続き作成したプレススタンパーが設置されている。なお、樹脂製版にマスターホログラムから複製ホログラムを作製し、これをシリンダー上に貼り付けたものも使用できる。
複製装置の概要は、特公平6−85104号公報の第3図等に記載されているものと同等のものである。以下も同様である。
【0075】
上記で作製した着色ホログラム形成層12c形成済みの基材フィルム11を給紙側に仕掛け、150°Cで加熱プレスして微細なホログラムパターンを形成させた。引き続き、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成した着色ホログラム形成層12cの面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【実施例2】
【0076】
(請求項2の実施形態のホログラムスレッド)
厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に、前記組成物Cからシリコーンを除去してなる樹脂組成物を希釈して基材フィルム11の全面にグラビア印刷し、オーバープリント層14とした(膜厚約1μm)。
その後、前記組成物Bの着色光硬化性組成物を、オーバープリント層14面上にロールコーターで塗工し、100°Cで乾燥して溶剤を揮散させて、乾燥膜厚で2g/m2 の着色ホログラム形成層12cとした。
次いで、実施例1と同一の条件で、着色ホログラム形成層12cに微細なホログラムパターンを転写し、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成した着色ホログラム形成層12cの面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【実施例3】
【0077】
(請求項3の実施形態のホログラムスレッド)
厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に、前記組成物Cからシリコーンを除去してなる樹脂組成物をバインダーとし、顔料を添加したグラビア印刷インキにより、2色の絵柄印刷(ブルーとレッド)をグラビア印刷した。
続いて、前記組成物Cの光硬化性組成物を、ロールコーターで塗工し、100°Cで乾燥して溶剤を揮散させて、乾燥膜厚で2g/m2 のホログラム形成層12とした。
次いで、実施例1と同一の条件で、ホログラム形成層12に微細なホログラムパターンを転写し、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成したホログラム形成層12の面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【実施例4】
【0078】
(請求項4の実施形態のホログラムスレッド)
厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に、前記組成物Cからシリコーンを除去してなる樹脂組成物を希釈して基材フィルム11の全面にグラビア印刷し、オーバープリント層14とした(膜厚約1μm)。
次いで、当該オーバープリント層14面上に、前記組成物Cからシリコーンを除去してなる樹脂組成物をバインダーとし、顔料を添加したグラビア印刷インキにより、2色の絵柄印刷(ブルーとレッド)をグラビア印刷した。
【0079】
さらに、前記組成物Dの光硬化性組成物を、ロールコーターで塗工し、100°Cで乾燥して溶剤を揮散させて、乾燥膜厚で2g/m2 のホログラム形成層12とした。
次いで、実施例1と同一の条件で、ホログラム形成層12に微細なホログラムパターンを転写し、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成したホログラム形成層12の面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【0080】
[比較例1]
実施例1における組成物Aの樹脂に代えて同量の樹脂(メタクリル酸−アクリル酸共重合樹脂「BR−77」、三菱レーヨン社製)を用い、金赤系染料着色剤を等量添加して実施例1と同一の条件で、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に直接塗工した。
実施例1と同一の条件で、着色ホログラム形成層12cに微細なホログラムパターンを転写し、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成した着色ホログラム形成層12cの面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【0081】
[比較例2]
実施例1における組成物Aの樹脂に代えて同量の樹脂(光硬化性樹脂「ユピマーUV」三菱化学社製)を用い、金赤系染料着色剤を等量添加して実施例1と同一の条件で、厚み12μmのPETフィルム(東レ株式会社製「ルミラー」)の面上に直接塗工した。
その後、実施例1と同一の条件で、着色ホログラム形成層12cに微細なホログラムパターンを転写し、超高圧水銀灯より発生した紫外線を照射して光硬化させた。
ホログラム層を形成した着色ホログラム形成層12cの面に、真空蒸着法によりアルミニウム層(厚み60〜80nm)を蒸着して金属薄膜層13を形成した。
【0082】
実施例1〜実施例4、および比較例1、比較例2のホログラム形成層12、着色ホログラム形成層12cのいずれも、常温ではべとつかず、巻き取り状態で保管できるものであった。実施例1〜実施例4、および比較例1、比較例2のホログラムスレッド1について以下の試験を行った。
(1)ホログラムスレッド1の金属薄膜層13面に、幅18mmのセロハンテープを密着してから急激に剥離して、ホログラム形成層12または着色ホログラム形成層12cの基材フィルム(PETフィルム)11に対する密着性試験を行った。
(2)ホログラムスレッド1を1時間水浸漬した後、120°Cに加熱した状態で、5%の引っ張り試験を行い、ホログラムスレッドの輝度低下の有無を確認した。
【0083】
その結果、(1)の密着性試験では、比較例1、比較例2では、着色ホログラム形成層12cが基材フィルム11面から部分的に剥離するのが認められたが、実施例1〜実施例4では剥離を認められなかった。
(2)の加熱引張試験では、比較例1、比較例2ではホログラム形成層の僅かな輝度低下が認められたが、実施例1〜実施例4では輝度低下を認められなかった。
【0084】
<偽造防止用紙の抄造>
実施例1〜実施例4、および比較例1、比較例2のホログラムスレッド原反の表裏面に接着剤(アクリル樹脂系)を適量塗布した後、幅1.2mmにスリットして、ホログラムスレッド1とした。上記で製造した着色スレッドホログラム1の1本が、図5のように偽造防止用紙2に表れるように、表出部22がピッチ10mm×幅10mm、被覆部23が10mmで繰り返される抄き網パターンの抄紙機で、90kg/四六判の上質紙に抄造した。なお、被覆部23の上部の紙料が35g/m2 、被覆部23の下部の紙料が69g/m2 となるように抄き網部の凸部の高さを調整した。
このようにして得られた偽造防止用紙2は、着色スレッドホログラム1が、視角により異なる色彩を呈するため、スレッドの無い用紙や他のスレッドの用紙とは明瞭に識別することができた。比較例1、比較例2のスレッドは抄き込みによる僅かな白濁が認められたが、各実施例1〜実施例4の偽造防止用紙2は白濁もなく、外観的に優れた光輝性スレッド効果を呈し、複写による再現はできず偽造防止効果も十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明のホログラムスレッドの第1実施形態の層構成を示す図である。
【図2】同第2実施形態の層構成を示す図である。
【図3】同第3実施形態の層構成を示す図である。
【図4】同第4実施形態の層構成を示す図である。
【図5】本発明の偽造防止用紙を示す図である。
【図6】従来のホログラムスレッドの層構成を示す図である。
【図7】従来のホログラムスレッドの層構成を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 ホログラムスレッド
2 偽造防止用紙
11 基材フィルム
12 ホログラム形成層
12c 着色ホログラム形成層
13 金属薄膜層
14 オーバープリント層
14c 着色オーバープリント層
15 プライマー層
16 着色絵柄層
21 基紙
22 表出部
23 被覆部
24 透かし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルム面に、着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド。
【請求項2】
基材フィルム面に、オーバープリント層を設け、当該オーバープリント層面に着色した光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤と、着色剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド。
【請求項3】
基材フィルム面に、着色絵柄層を設け、当該着色絵柄層面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド。
【請求項4】
基材フィルム面に、オーバープリント層を設け、当該オーバープリント層面に着色絵柄層を設け、当該着色絵柄層面に光硬化性樹脂組成物からなるホログラム形成層を設け、当該ホログラム形成層面に、金属薄膜層を形成したホログラムスレッドにおいて、当該光硬化性樹脂組成物が、ウレタン変性アクリル系樹脂と、親水性モノマーと、離型剤を含有することを特徴とするホログラムスレッド。
【請求項5】
ウレタン変性アクリル系樹脂が、下記構造式で表される樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項記載のホログラムスレッド。
【化1】

(式中5個のR1 は、それぞれ互いに独立して水素原子またはメチル基を表し、R2 は、C1 〜C16の炭化水素基を表し、XおよびYは、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。lとmとnとoの合計を100とした場合に、lは20〜90、mは0〜50、nは10〜80、oは0〜20の整数である。)
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1の請求項記載のホログラムスレッドを、紙に抄き込んだことを特徴とする偽造防止用紙。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−277762(P2007−277762A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−105854(P2006−105854)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】