ホログラム記録再生装置
【課題】専用光源を設けることなく、記録したデータの消去を防いで、長期間安定に保存し得るホログラム記録再生装置を提供することを目的とする。
【解決手段】情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、情報光の情報をホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、多重度を所定の多重度に達するようにすることを特徴とする。
【解決手段】情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、情報光の情報をホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、多重度を所定の多重度に達するようにすることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムディスクに情報をホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の超高密度データストレージとして、ホログラムディスクが実用化領域での注目を集めている。
【0003】
特に、画像情報等を2次元デジタルパターン情報に展開し、これを、ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録し、また、その記録媒体から情報を再生するデジタルホログラムディスクが注目されている。
【0004】
ホログラムディスクは、情報光と参照光をホログラム材料層内部で干渉させたときの干渉縞をホログラム材料層に定着させて情報の記録を行なうものである。記録の際、情報光は、記録情報に応じて空間光変調される。
【0005】
かかる情報光を参照光とともに記録媒体に照射すると、ホログラム材料層中に、記録情報に応じた干渉縞が生じる。かかる干渉縞のうち“明”の領域に、ホログラム材料層中の光重合性の高いモノマー(高屈折率)が引き寄せられる。
【0006】
その後、定着用の光をホログラム材料層に照射することにより、“明”の領域に引き寄せられた光重合性の高いモノマーがポリマー化し、ホログラム材料層中に干渉縞に応じた屈折率分布が定着する。これにより、記録媒体に対する情報の記録が行われる。
【0007】
かかる記録媒体においては、ホログラム材料層に対する情報光及び参照光の入射角度を一定のままで情報光及び参照光とホログラムディスクとの少なくとも一方を相対移動させて、記録領域に複数ページの情報を重ねて記録する(シフト多重)。すなわち、情報光及び参照光とホログラムディスクとの少なくとも一方を相対移動させ、異なる情報にて情報光を空間光変調することにより、それぞれの記録情報に応じた干渉縞をページとして、ホログラムディスクに多重記録する。
【0008】
記録されたページに対して、さらにページをシフト多重することで、記録した領域にも情報光及び参照光が照射されて露光される。
【0009】
情報光及び参照光が記録媒体に照射されて充分に露光すると、その領域内の光重合性の高いモノマーがポリマー化する。ポリマー化した領域にはそれ以上記録できず、記録済み領域が安定化する。
【特許文献1】特開平11−133843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方で、記録の終了時に記録されたページは、さらにページをシフト多重記録されないため、露光が不十分で経時劣化によるデータの消去により、長期間安定に保存することが難しい。
【0011】
実際の記録では、記録終了後の記録終了トラック及び記録終了トラック中の記録終了ページの多重度が低くなる。
【0012】
例えば、特許文献1には、情報光と参照光を照射するための光源の他に、定着用の光を照射するための専用光源を別途設けた光記録装置が開示されている。
【0013】
定着用の専用光源を別途設けて、光を照射することで未反応のモノマーをポリマー化し記録を定着させる。定着用の専用光源を別途設ける場合には、この光源の他に、この光源からの光を記録媒体に導くための光学系が別途必要となる。その結果、光学系の構成が複雑化し、装置全体の形状が大型化する。
【0014】
そこで、本発明は、専用光源を設けることなく、記録したデータの消去を防いで、長期間安定に保存し得るホログラム記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、前記情報光の情報を前記ホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、前記多重度を前記所定の多重度に達するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ページの記録終了地点が属するトラック内の未記録領域や隣のトラックにダミー情報を記録することにより多重化をし、安定化させる。これにより、経時劣化による記録済みデータの消去を防いで、長期間安定に保存し得るホログラム記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としてのホログラム記録再生装置の光学系を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態のホログラム記録再生装置は、一つの光源から出射される光が、情報光と参照光とに分離されるコリニア方式の光情報記録再生装置であるホログラフィ用光ピックアップ装置である。
【0020】
まず、光記録媒体であるホログラムディスク216に記録を行なう場合について説明する。
【0021】
まず、図1に示すように、第1のレーザ光源である緑レーザ201から出射された光束は、コリメータ202で平行光束とされ、ミラー203を経由し、空間光変調素子(SLM:Spatial Light Modulator)204を照明する。
【0022】
SLM204上で「1」の情報を表す画素で反射された光は、ホログラムディスク216の方向へ反射され、「0」の情報を表す画素で反射された光は、ホログラムディスク216の方向へ反射されない。
【0023】
コリニア方式のSLM204上には、情報光206を変調する部分とそれを環状に取り巻く参照光205を変調する部分が設けられている。
【0024】
SLM204で「1」の情報を表す画素にて反射された参照光205と情報光206は、偏光ビームスプリッタ(PBS)207を透過する。そして、第1リレーレンズ208、ミラー209、第2リレーレンズ210、ダイクロイックビームスプリッタ(ダイクロBS)211を経由してホログラムディスク(ホログラム記録媒体)216側に差し向けられる。そして、1/4波長板(QWP)212を透過し、円偏光に変換された参照光205と情報光206は、ミラー213で反射されて対物レンズ214に入射する。
【0025】
ホログラムディスク216は、ディスク状であり、スピンドルモータ215上に回転可能に保持されている。対物レンズ214によって、参照光205と情報光206は、ホログラムディスク216に設けられた記録層(図示しない)に集光され、干渉して干渉縞を形成する。記録層中の高分子材料には、この記録時の干渉縞パターンが屈折率分布として記録され、デジタル体積ホログラムが形成される。また、ホログラムディスク216を構成する記録媒体中には、反射膜(図示しない)が設けられている。
【0026】
上記の光学系には、ホログラムの記録再生を行なう緑レーザ201以外に、記録媒体に感光性のない波長の光を出射する第2のレーザ光源として赤レーザ220が設けられている。赤レーザ220から出射される光により、上記の反射膜を基準面として、ホログラムディスク216の変位を高精度に検出することが可能である。これより、ホログラムディスク216に面ブレや偏芯が発生しても、光サーボ技術を用いてダイナミックに記録スポットを記録媒体面に追従させることが可能となり、高精度に干渉縞パターンを記録することができる。以下に簡単に説明する。
【0027】
まず、赤レーザ220から出射された直線偏光光束は、ビームスプリッタ(BS)221を透過し、レンズ222で平行光束とされ、ミラー223とダイクロBS211で反射されて、ホログラムディスク216に差し向けられる。1/4波長板(QWP)212を透過し、円偏光に変換された光束は、ミラー213で反射されて対物レンズ214に入射してホログラムディスク216上の反射面に微小な光スポットとして集光される。反射された光束は逆回りの円偏光となり、対物レンズ214に再入射して平行光束とされ、ミラー213で反射されて1/4波長板(QWP)212を透過して、往路とは垂直な直線偏光光束に変換される。ダイクロBS211で反射された光束は、往路と同様にミラー223、レンズ222を経由し、ビームスプリッタ(BS)221で反射されて、光検出器224に導かれる。光検出器224は、複数の受光面(図示しない)を有し、各受光面にて検出される信号に基づいて公知の方法で反射面の位置情報を検知し、それに基づいて対物レンズ214のフォーカスとトラッキングを行なうことができる。
【0028】
次に、上記光学系を用いて、記録媒体であるホログラムディスク216から記録情報の再生を行なう場合について説明する。
【0029】
光源の緑レーザ201から出射された光束は、記録時と同様に、空間光変調素子(SLM)204を照明する。
【0030】
再生時は、SLM204上の参照光205を変調する部分のみが「1」の情報を表示し、情報光206を変調する部分はすべて「0」の情報を表示する。したがって、参照光の部分の画素で反射された光だけが、ホログラムディスク216の方向へ反射され、情報光はホログラムディスク216の方向へ反射されない。
【0031】
記録時と同様に参照光205は、円偏光となってホログラムディスク216内の記録層(図示せず)に集光され、記録された干渉縞から情報光を再生する。ホログラムディスク216を構成する記録媒体中の反射膜で反射された情報光は、逆回りの円偏光となり、対物レンズ214に再入射して平行光束とされる。そして、ミラー213で反射されて1/4波長板(QWP)212を透過して、往路とは垂直な直線偏光光束に変換される。この時、対物レンズ214からFの距離に再生されたSLM204の表示パターンの中間像が形成される。
【0032】
ダイクロBS211を透過した光束は、第2リレーレンズ210、ミラー209、第1リレーレンズ208を経由して偏光ビームスプリッタ(PBS)207に差し向けられる。PBS207で反射された光束は、第2リレーレンズ210と第1リレーレンズ208により、空間光変調素子(SLM)204と共役の位置にSLM204の表示パターンの中間像として再結像される。この位置には、開口217が予め置かれ、これにより情報光の周辺部にある不要な参照光が遮蔽される。そして、レンズ218により、再結像された中間像はCMOSセンサ219上に情報光の部分のみのSLM204の表示パターンを形成する。これにより、不要な参照光がCMOSセンサ219に入射しないので、S/Nの良い再生信号が得られる。
【0033】
図2は、モノマーが光重合する過程を示す図である。
【0034】
図2に示すフォトポリマー材料について説明する。フォトポリマー材料は、モノマーの光重合による屈折率変化、又は物質移動による屈折率変化を利用する。露光前の初期状態は、屈折率の異なる光重合性のモノマーと別のモノマーがランダムに混じりあった状態である。
【0035】
記録の際、情報光を参照光とともに記録媒体に照射すると、ホログラム材料層中に、記録情報に応じた干渉縞が生じる。干渉縞のうち、“明”の領域に、ホログラム材料層中の光重合性の高いモノマーが引き寄せられる。引き寄せられた光重合性モノマーは、ポリマー化される。
【0036】
そして、もう一種類のモノマーがポリマーに押し出され、暗部へ拡散する。これにより明部と暗部で成分の偏りができ、屈折率の分布ができる。
【0037】
これにより、記録媒体に対する情報の記録が行われる。光重合性モノマーがすべてポリマー化されれば、それ以上追記はできず、また消去されることもない。よって、フォトポリマー材料を用いた記録媒体は、光を照射して露光することで、光重合性モノマーがポリマー化されて安定な状態になる。
【0038】
図3は、フォトポリマー媒体における多重度と安定度の関係を説明するための図である。
【0039】
図3(a)は、積算露光時間と回折効率の関係を示すグラフである。横軸が積算露光時間tで、縦軸が回折効率ηである。
【0040】
多重記録の際には、ページを再生した時の回折効率が一定になるように、露光時間を多重度に合わせて、スケジューリングして記録している。
【0041】
点線は、1ページ記録する際の多重度に合わせた露光時間を示す。十分露光すると、回折効率ηが飽和して一定の値に近づき記録できない。このとき、光重合性モノマーが全てポリマー化されて安定な状態となる。よって、多重度が少ない記録済み領域は、露光が不十分であるため、不安定な状態である。
【0042】
図3(b)は、ページの記録が終了した状態であり、記録終了位置のページ(図3(b))は多重化されていないので、積算露光時間が少なく安定度は低い。
【0043】
記録終了位置のページに続いて、ダミー情報が記録されたページを多重記録する(図3(c))ことで、記録終了位置のページも露光される。
【0044】
記録終了位置のページが露光されることで、積算露光時間が増えるので、記録終了位置のページが安定する。
【0045】
このようにすることで、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、多重度が所定の多重度に達するようになる。
【0046】
さらに、隣のトラックにもダミー情報を多重記録する(図3(d))ことで、露光の影響によって、記録終了位置のページの積算露光時間が増加するので、さらに安定になる。
【0047】
次に、ページを記録する一例として「ECMA−377規格」に基づいた記録方法について説明する。図4は、この記録方法を示す図である。
【0048】
1トラック当り120セクタで構成され、各セクタにはピーポッドと呼ばれる領域が七つある。
【0049】
ページを記録する時には、各ピーポッドに1ページずつ飛び飛びで記録していく。1周にわたって840ページ分記録を終了したら、1番目のページデータを記録したピーポットに移動して、1番目のページに多重して841番目のページを記録する。
【0050】
このようにして、各ピーポッドに対して1ページずつ多重記録していき、ピーポッド内の未記録領域全てにページを記録したら、次のトラックに移動してページを記録する。
【0051】
1ピーポッド内のページ数はゾーンによって異なる。内周領域では45ページで構成され、外周領域では90ページで構成される。ホログラムの露光領域は、100μmであり、トラッキング方向へは、5.8μm間隔で多重化され、半径方向へは6.4μm間隔で多重化される。記録済みページは、トラッキング方向及び半径方向からの多重記録時の情報光及び参照光が照射されるため、記録済みページが露光される。
【0052】
図5は、本実施の形態のホログラム記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
ホログラムディスク216へのページ記録時は、コントローラ部705から、記録再生部704及びサーボ部703を記録モードにする。記録再生部704では、記録するユーザデータを符号化して、情報光パターンを生成する。
【0054】
生成した情報光パターンを光ピックアップ702の空間光変調素子(SLM)204に表示する。ダミー情報記録時には、任意のパターン(例えば“0”)を符号化して、情報光パターンを生成する。
【0055】
サーボ部703では、ホログラムディスク216上の記録位置に光ピックアップ702を移動させて、ページを記録する。
【0056】
再生時には、光ピックアップ702をホログラムディスク216上の再生位置に移動させて、ページを再生する。再生されたページは、光ピックアップ702のCMOSセンサ219により検出され、記録再生部704にて復号化される。
【0057】
図6は、本実施の形態における記録方法を説明するための図である。
【0058】
図6(a)は、ページの記録終了時の状態である。(N−1)トラックについては、1トラック全てにページが記録され、Nトラックの途中までページが記録された状態である。このとき、Nトラックのピーポッド内の最後に記録したページは、多重化がされていないので、露光が不十分であり、経時劣化によるデータの消去により、長期間安定に保存できない。
【0059】
図6(b)は、Nトラックの未記録領域にダミー情報を記録して、Nトラックのピーポッド内の最後に記録したページを安定化させている。
【0060】
Nトラックは、(N+1)トラックが未記録領域のため(図6(c))、Nトラックの外周側(N+1)トラックを記録時に生じる露光の影響がないので、Nトラックは内周のトラックと比較して露光が不十分である。そのため、(N+1)トラックにダミー情報を記録する(図6(d))ことで、Nトラック内の記録済みページをより安定化させている。
【0061】
図7は、本実施形態における記録時の動作を示すフローチャートである。
【0062】
記録動作が開始されると、図5に示すコントローラ705が記録再生部704及びサーボ部703を記録モードにする。サーボ部703は、ピックアップ702を記録領域に移動する(S301)。そして、記録再生部704は、ユーザデータに応じて情報光パターンを生成して、空間光変調器204(SLM)に画像表示を行った後(S302)、情報光と参照光をホログラム記録媒体に照射する(S303)。
【0063】
情報光と参照光の照射によって1ページ分のデータが記録されると、次に、今回の記録動作において記録すべき全てのページの記録動作が終了したかが判別される(S304)。
【0064】
ここで、記録動作が終了していなければ、S301に戻り、次のページに対する記録が行われる。すなわち、サーボ部703がピックアップ702を次のピーポッドの記録位置に移動させて、記録再生部で生成されたページをディスク記録媒体216に記録する。
【0065】
S301からS303の動作は、記録すべき全てのページの記録動作が終了するまで行われる。そして、全ページに対する記録動作が終了すると(S304:YES)、最後に記録したページが属するトラック内に未記録領域があるかを判断する(S305)。
【0066】
S305で未記録領域がある場合には、最後に記録したページは多重化されていないため、ダミー情報を記録する必要がある。よって、サーボ部703が光ピックアップ702を未記録領域に移動させ、記録再生部704で生成したダミー情報を記録する(S306)。
【0067】
このとき、未記録領域へのダミー情報の記録順序は、通常のページ記録とは異なっていてもよい。すなわち、ページごとに次のピーポッドに移るのではなく、ピーポッド内の未記録領域に連続でダミー情報を記録した後、隣のピーポッドに移動してダミー情報を連続で記録してもよい。
【0068】
これにより、最後にページを記録した記録済み領域にも光が照射され、記録済み領域がより安定な状態になる。
【0069】
S306で未記録領域に対するダミー情報の記録が終わると、ダミー情報を記録したトラックが最外周のデータトラックか否かを判定する(S307)。
【0070】
ダミー情報を記録したトラックが最外周のトラックの場合(S307:Yes)には、記録動作を終了する。
【0071】
ダミー情報を記録したトラックが最外周のトラックでない場合(S307:No)には、隣のトラックにサーボ部703が光ピックアップ702を移動させ、ダミー情報を記録する(S308)。
【0072】
このとき、未記録領域(図6における、(N+1)トラック)へのダミー情報の記録は、通常のページ記録とは異なっていてもよい。すなわち、ピーポッド内の未記録領域に連続でダミー情報を記録した後、隣のピーポッドに移動してダミー情報を連続で記録してもよい。
【0073】
これにより、最後に記録したページが属するトラックの記録済み領域にも光が照射され、記録済み領域がより安定な状態になる。
【0074】
本実施形態では、コリニア方式での説明をしたが、これ以外の方式でも適用できる。例えば、情報光と参照光との成す角度を変化させながら同時にディスクに照射することにより記録角度を変化させて、情報光の情報を複数ページのホログラムとして記録する角度多重記録方式にも適用できる。
【0075】
また、本実施形態では、ページ記録直後にダミー情報を記録しているが、ページ記録終了毎にダミー情報を記録すると、ディスクの記録可能な残容量の消費が大きい。そのため、ディスクの取り出し時やアンマウント処理時にダミー情報を記録してもよい。
【0076】
アンマウント処理とは、ディスクの種類を認識し、ディスクに対するページの記録及び再生等の操作が可能な状態(マウント状態)から、ディスクに対するページの記録及び再生等の操作を不可能な状態にする処理である。アンマウント処理を実行後に、ダミー情報を記録してディスクをイジェクトする。
【0077】
以上のように、ページの記録終了地点が属するトラック内の未記録領域や隣のトラックにダミー情報を記録することで、ページが記録された領域についても露光され、記録済みページをより安定化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、ホログラム記録媒体に情報をホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態としてのホログラム記録再生装置の光学系を示すブロック図である。
【図2】モノマーが光重合する過程を示す図である。
【図3】フォトポリマー媒体における多重度と安定度の関係を説明するための図である。
【図4】ページを記録する方法を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態のホログラム記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態における記録方法を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態における記録時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
201 緑レーザ(第1のレーザ光源)
202 コリメータ
203 ミラー
204 空間光変調素子
205 参照光
206 情報光
207 偏光ビームスプリッタ(PBS)
208 第1リレーレンズ
209 ミラー
210 第2リレーレンズ
211 赤レーザ用ダイクロイックビームスプリッタダイクロBS
212 1/4波長板(QWP)
213 ミラー
214 対物レンズ
215 スピンドルモータ
216 ホログラムディスク
217 開口
218 レンズ
219 CMOSセンサ
220 赤レーザ(第2のレーザ光源)
221 ビームスプリッタ(BS)
222 レンズ
223 ミラー
224 サーボ用光検出器
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムディスクに情報をホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の超高密度データストレージとして、ホログラムディスクが実用化領域での注目を集めている。
【0003】
特に、画像情報等を2次元デジタルパターン情報に展開し、これを、ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録し、また、その記録媒体から情報を再生するデジタルホログラムディスクが注目されている。
【0004】
ホログラムディスクは、情報光と参照光をホログラム材料層内部で干渉させたときの干渉縞をホログラム材料層に定着させて情報の記録を行なうものである。記録の際、情報光は、記録情報に応じて空間光変調される。
【0005】
かかる情報光を参照光とともに記録媒体に照射すると、ホログラム材料層中に、記録情報に応じた干渉縞が生じる。かかる干渉縞のうち“明”の領域に、ホログラム材料層中の光重合性の高いモノマー(高屈折率)が引き寄せられる。
【0006】
その後、定着用の光をホログラム材料層に照射することにより、“明”の領域に引き寄せられた光重合性の高いモノマーがポリマー化し、ホログラム材料層中に干渉縞に応じた屈折率分布が定着する。これにより、記録媒体に対する情報の記録が行われる。
【0007】
かかる記録媒体においては、ホログラム材料層に対する情報光及び参照光の入射角度を一定のままで情報光及び参照光とホログラムディスクとの少なくとも一方を相対移動させて、記録領域に複数ページの情報を重ねて記録する(シフト多重)。すなわち、情報光及び参照光とホログラムディスクとの少なくとも一方を相対移動させ、異なる情報にて情報光を空間光変調することにより、それぞれの記録情報に応じた干渉縞をページとして、ホログラムディスクに多重記録する。
【0008】
記録されたページに対して、さらにページをシフト多重することで、記録した領域にも情報光及び参照光が照射されて露光される。
【0009】
情報光及び参照光が記録媒体に照射されて充分に露光すると、その領域内の光重合性の高いモノマーがポリマー化する。ポリマー化した領域にはそれ以上記録できず、記録済み領域が安定化する。
【特許文献1】特開平11−133843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方で、記録の終了時に記録されたページは、さらにページをシフト多重記録されないため、露光が不十分で経時劣化によるデータの消去により、長期間安定に保存することが難しい。
【0011】
実際の記録では、記録終了後の記録終了トラック及び記録終了トラック中の記録終了ページの多重度が低くなる。
【0012】
例えば、特許文献1には、情報光と参照光を照射するための光源の他に、定着用の光を照射するための専用光源を別途設けた光記録装置が開示されている。
【0013】
定着用の専用光源を別途設けて、光を照射することで未反応のモノマーをポリマー化し記録を定着させる。定着用の専用光源を別途設ける場合には、この光源の他に、この光源からの光を記録媒体に導くための光学系が別途必要となる。その結果、光学系の構成が複雑化し、装置全体の形状が大型化する。
【0014】
そこで、本発明は、専用光源を設けることなく、記録したデータの消去を防いで、長期間安定に保存し得るホログラム記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、前記情報光の情報を前記ホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、前記多重度を前記所定の多重度に達するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ページの記録終了地点が属するトラック内の未記録領域や隣のトラックにダミー情報を記録することにより多重化をし、安定化させる。これにより、経時劣化による記録済みデータの消去を防いで、長期間安定に保存し得るホログラム記録再生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としてのホログラム記録再生装置の光学系を示すブロック図である。
【0019】
本実施形態のホログラム記録再生装置は、一つの光源から出射される光が、情報光と参照光とに分離されるコリニア方式の光情報記録再生装置であるホログラフィ用光ピックアップ装置である。
【0020】
まず、光記録媒体であるホログラムディスク216に記録を行なう場合について説明する。
【0021】
まず、図1に示すように、第1のレーザ光源である緑レーザ201から出射された光束は、コリメータ202で平行光束とされ、ミラー203を経由し、空間光変調素子(SLM:Spatial Light Modulator)204を照明する。
【0022】
SLM204上で「1」の情報を表す画素で反射された光は、ホログラムディスク216の方向へ反射され、「0」の情報を表す画素で反射された光は、ホログラムディスク216の方向へ反射されない。
【0023】
コリニア方式のSLM204上には、情報光206を変調する部分とそれを環状に取り巻く参照光205を変調する部分が設けられている。
【0024】
SLM204で「1」の情報を表す画素にて反射された参照光205と情報光206は、偏光ビームスプリッタ(PBS)207を透過する。そして、第1リレーレンズ208、ミラー209、第2リレーレンズ210、ダイクロイックビームスプリッタ(ダイクロBS)211を経由してホログラムディスク(ホログラム記録媒体)216側に差し向けられる。そして、1/4波長板(QWP)212を透過し、円偏光に変換された参照光205と情報光206は、ミラー213で反射されて対物レンズ214に入射する。
【0025】
ホログラムディスク216は、ディスク状であり、スピンドルモータ215上に回転可能に保持されている。対物レンズ214によって、参照光205と情報光206は、ホログラムディスク216に設けられた記録層(図示しない)に集光され、干渉して干渉縞を形成する。記録層中の高分子材料には、この記録時の干渉縞パターンが屈折率分布として記録され、デジタル体積ホログラムが形成される。また、ホログラムディスク216を構成する記録媒体中には、反射膜(図示しない)が設けられている。
【0026】
上記の光学系には、ホログラムの記録再生を行なう緑レーザ201以外に、記録媒体に感光性のない波長の光を出射する第2のレーザ光源として赤レーザ220が設けられている。赤レーザ220から出射される光により、上記の反射膜を基準面として、ホログラムディスク216の変位を高精度に検出することが可能である。これより、ホログラムディスク216に面ブレや偏芯が発生しても、光サーボ技術を用いてダイナミックに記録スポットを記録媒体面に追従させることが可能となり、高精度に干渉縞パターンを記録することができる。以下に簡単に説明する。
【0027】
まず、赤レーザ220から出射された直線偏光光束は、ビームスプリッタ(BS)221を透過し、レンズ222で平行光束とされ、ミラー223とダイクロBS211で反射されて、ホログラムディスク216に差し向けられる。1/4波長板(QWP)212を透過し、円偏光に変換された光束は、ミラー213で反射されて対物レンズ214に入射してホログラムディスク216上の反射面に微小な光スポットとして集光される。反射された光束は逆回りの円偏光となり、対物レンズ214に再入射して平行光束とされ、ミラー213で反射されて1/4波長板(QWP)212を透過して、往路とは垂直な直線偏光光束に変換される。ダイクロBS211で反射された光束は、往路と同様にミラー223、レンズ222を経由し、ビームスプリッタ(BS)221で反射されて、光検出器224に導かれる。光検出器224は、複数の受光面(図示しない)を有し、各受光面にて検出される信号に基づいて公知の方法で反射面の位置情報を検知し、それに基づいて対物レンズ214のフォーカスとトラッキングを行なうことができる。
【0028】
次に、上記光学系を用いて、記録媒体であるホログラムディスク216から記録情報の再生を行なう場合について説明する。
【0029】
光源の緑レーザ201から出射された光束は、記録時と同様に、空間光変調素子(SLM)204を照明する。
【0030】
再生時は、SLM204上の参照光205を変調する部分のみが「1」の情報を表示し、情報光206を変調する部分はすべて「0」の情報を表示する。したがって、参照光の部分の画素で反射された光だけが、ホログラムディスク216の方向へ反射され、情報光はホログラムディスク216の方向へ反射されない。
【0031】
記録時と同様に参照光205は、円偏光となってホログラムディスク216内の記録層(図示せず)に集光され、記録された干渉縞から情報光を再生する。ホログラムディスク216を構成する記録媒体中の反射膜で反射された情報光は、逆回りの円偏光となり、対物レンズ214に再入射して平行光束とされる。そして、ミラー213で反射されて1/4波長板(QWP)212を透過して、往路とは垂直な直線偏光光束に変換される。この時、対物レンズ214からFの距離に再生されたSLM204の表示パターンの中間像が形成される。
【0032】
ダイクロBS211を透過した光束は、第2リレーレンズ210、ミラー209、第1リレーレンズ208を経由して偏光ビームスプリッタ(PBS)207に差し向けられる。PBS207で反射された光束は、第2リレーレンズ210と第1リレーレンズ208により、空間光変調素子(SLM)204と共役の位置にSLM204の表示パターンの中間像として再結像される。この位置には、開口217が予め置かれ、これにより情報光の周辺部にある不要な参照光が遮蔽される。そして、レンズ218により、再結像された中間像はCMOSセンサ219上に情報光の部分のみのSLM204の表示パターンを形成する。これにより、不要な参照光がCMOSセンサ219に入射しないので、S/Nの良い再生信号が得られる。
【0033】
図2は、モノマーが光重合する過程を示す図である。
【0034】
図2に示すフォトポリマー材料について説明する。フォトポリマー材料は、モノマーの光重合による屈折率変化、又は物質移動による屈折率変化を利用する。露光前の初期状態は、屈折率の異なる光重合性のモノマーと別のモノマーがランダムに混じりあった状態である。
【0035】
記録の際、情報光を参照光とともに記録媒体に照射すると、ホログラム材料層中に、記録情報に応じた干渉縞が生じる。干渉縞のうち、“明”の領域に、ホログラム材料層中の光重合性の高いモノマーが引き寄せられる。引き寄せられた光重合性モノマーは、ポリマー化される。
【0036】
そして、もう一種類のモノマーがポリマーに押し出され、暗部へ拡散する。これにより明部と暗部で成分の偏りができ、屈折率の分布ができる。
【0037】
これにより、記録媒体に対する情報の記録が行われる。光重合性モノマーがすべてポリマー化されれば、それ以上追記はできず、また消去されることもない。よって、フォトポリマー材料を用いた記録媒体は、光を照射して露光することで、光重合性モノマーがポリマー化されて安定な状態になる。
【0038】
図3は、フォトポリマー媒体における多重度と安定度の関係を説明するための図である。
【0039】
図3(a)は、積算露光時間と回折効率の関係を示すグラフである。横軸が積算露光時間tで、縦軸が回折効率ηである。
【0040】
多重記録の際には、ページを再生した時の回折効率が一定になるように、露光時間を多重度に合わせて、スケジューリングして記録している。
【0041】
点線は、1ページ記録する際の多重度に合わせた露光時間を示す。十分露光すると、回折効率ηが飽和して一定の値に近づき記録できない。このとき、光重合性モノマーが全てポリマー化されて安定な状態となる。よって、多重度が少ない記録済み領域は、露光が不十分であるため、不安定な状態である。
【0042】
図3(b)は、ページの記録が終了した状態であり、記録終了位置のページ(図3(b))は多重化されていないので、積算露光時間が少なく安定度は低い。
【0043】
記録終了位置のページに続いて、ダミー情報が記録されたページを多重記録する(図3(c))ことで、記録終了位置のページも露光される。
【0044】
記録終了位置のページが露光されることで、積算露光時間が増えるので、記録終了位置のページが安定する。
【0045】
このようにすることで、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、多重度が所定の多重度に達するようになる。
【0046】
さらに、隣のトラックにもダミー情報を多重記録する(図3(d))ことで、露光の影響によって、記録終了位置のページの積算露光時間が増加するので、さらに安定になる。
【0047】
次に、ページを記録する一例として「ECMA−377規格」に基づいた記録方法について説明する。図4は、この記録方法を示す図である。
【0048】
1トラック当り120セクタで構成され、各セクタにはピーポッドと呼ばれる領域が七つある。
【0049】
ページを記録する時には、各ピーポッドに1ページずつ飛び飛びで記録していく。1周にわたって840ページ分記録を終了したら、1番目のページデータを記録したピーポットに移動して、1番目のページに多重して841番目のページを記録する。
【0050】
このようにして、各ピーポッドに対して1ページずつ多重記録していき、ピーポッド内の未記録領域全てにページを記録したら、次のトラックに移動してページを記録する。
【0051】
1ピーポッド内のページ数はゾーンによって異なる。内周領域では45ページで構成され、外周領域では90ページで構成される。ホログラムの露光領域は、100μmであり、トラッキング方向へは、5.8μm間隔で多重化され、半径方向へは6.4μm間隔で多重化される。記録済みページは、トラッキング方向及び半径方向からの多重記録時の情報光及び参照光が照射されるため、記録済みページが露光される。
【0052】
図5は、本実施の形態のホログラム記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【0053】
ホログラムディスク216へのページ記録時は、コントローラ部705から、記録再生部704及びサーボ部703を記録モードにする。記録再生部704では、記録するユーザデータを符号化して、情報光パターンを生成する。
【0054】
生成した情報光パターンを光ピックアップ702の空間光変調素子(SLM)204に表示する。ダミー情報記録時には、任意のパターン(例えば“0”)を符号化して、情報光パターンを生成する。
【0055】
サーボ部703では、ホログラムディスク216上の記録位置に光ピックアップ702を移動させて、ページを記録する。
【0056】
再生時には、光ピックアップ702をホログラムディスク216上の再生位置に移動させて、ページを再生する。再生されたページは、光ピックアップ702のCMOSセンサ219により検出され、記録再生部704にて復号化される。
【0057】
図6は、本実施の形態における記録方法を説明するための図である。
【0058】
図6(a)は、ページの記録終了時の状態である。(N−1)トラックについては、1トラック全てにページが記録され、Nトラックの途中までページが記録された状態である。このとき、Nトラックのピーポッド内の最後に記録したページは、多重化がされていないので、露光が不十分であり、経時劣化によるデータの消去により、長期間安定に保存できない。
【0059】
図6(b)は、Nトラックの未記録領域にダミー情報を記録して、Nトラックのピーポッド内の最後に記録したページを安定化させている。
【0060】
Nトラックは、(N+1)トラックが未記録領域のため(図6(c))、Nトラックの外周側(N+1)トラックを記録時に生じる露光の影響がないので、Nトラックは内周のトラックと比較して露光が不十分である。そのため、(N+1)トラックにダミー情報を記録する(図6(d))ことで、Nトラック内の記録済みページをより安定化させている。
【0061】
図7は、本実施形態における記録時の動作を示すフローチャートである。
【0062】
記録動作が開始されると、図5に示すコントローラ705が記録再生部704及びサーボ部703を記録モードにする。サーボ部703は、ピックアップ702を記録領域に移動する(S301)。そして、記録再生部704は、ユーザデータに応じて情報光パターンを生成して、空間光変調器204(SLM)に画像表示を行った後(S302)、情報光と参照光をホログラム記録媒体に照射する(S303)。
【0063】
情報光と参照光の照射によって1ページ分のデータが記録されると、次に、今回の記録動作において記録すべき全てのページの記録動作が終了したかが判別される(S304)。
【0064】
ここで、記録動作が終了していなければ、S301に戻り、次のページに対する記録が行われる。すなわち、サーボ部703がピックアップ702を次のピーポッドの記録位置に移動させて、記録再生部で生成されたページをディスク記録媒体216に記録する。
【0065】
S301からS303の動作は、記録すべき全てのページの記録動作が終了するまで行われる。そして、全ページに対する記録動作が終了すると(S304:YES)、最後に記録したページが属するトラック内に未記録領域があるかを判断する(S305)。
【0066】
S305で未記録領域がある場合には、最後に記録したページは多重化されていないため、ダミー情報を記録する必要がある。よって、サーボ部703が光ピックアップ702を未記録領域に移動させ、記録再生部704で生成したダミー情報を記録する(S306)。
【0067】
このとき、未記録領域へのダミー情報の記録順序は、通常のページ記録とは異なっていてもよい。すなわち、ページごとに次のピーポッドに移るのではなく、ピーポッド内の未記録領域に連続でダミー情報を記録した後、隣のピーポッドに移動してダミー情報を連続で記録してもよい。
【0068】
これにより、最後にページを記録した記録済み領域にも光が照射され、記録済み領域がより安定な状態になる。
【0069】
S306で未記録領域に対するダミー情報の記録が終わると、ダミー情報を記録したトラックが最外周のデータトラックか否かを判定する(S307)。
【0070】
ダミー情報を記録したトラックが最外周のトラックの場合(S307:Yes)には、記録動作を終了する。
【0071】
ダミー情報を記録したトラックが最外周のトラックでない場合(S307:No)には、隣のトラックにサーボ部703が光ピックアップ702を移動させ、ダミー情報を記録する(S308)。
【0072】
このとき、未記録領域(図6における、(N+1)トラック)へのダミー情報の記録は、通常のページ記録とは異なっていてもよい。すなわち、ピーポッド内の未記録領域に連続でダミー情報を記録した後、隣のピーポッドに移動してダミー情報を連続で記録してもよい。
【0073】
これにより、最後に記録したページが属するトラックの記録済み領域にも光が照射され、記録済み領域がより安定な状態になる。
【0074】
本実施形態では、コリニア方式での説明をしたが、これ以外の方式でも適用できる。例えば、情報光と参照光との成す角度を変化させながら同時にディスクに照射することにより記録角度を変化させて、情報光の情報を複数ページのホログラムとして記録する角度多重記録方式にも適用できる。
【0075】
また、本実施形態では、ページ記録直後にダミー情報を記録しているが、ページ記録終了毎にダミー情報を記録すると、ディスクの記録可能な残容量の消費が大きい。そのため、ディスクの取り出し時やアンマウント処理時にダミー情報を記録してもよい。
【0076】
アンマウント処理とは、ディスクの種類を認識し、ディスクに対するページの記録及び再生等の操作が可能な状態(マウント状態)から、ディスクに対するページの記録及び再生等の操作を不可能な状態にする処理である。アンマウント処理を実行後に、ダミー情報を記録してディスクをイジェクトする。
【0077】
以上のように、ページの記録終了地点が属するトラック内の未記録領域や隣のトラックにダミー情報を記録することで、ページが記録された領域についても露光され、記録済みページをより安定化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、ホログラム記録媒体に情報をホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態としてのホログラム記録再生装置の光学系を示すブロック図である。
【図2】モノマーが光重合する過程を示す図である。
【図3】フォトポリマー媒体における多重度と安定度の関係を説明するための図である。
【図4】ページを記録する方法を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態のホログラム記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施の形態における記録方法を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態における記録時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0080】
201 緑レーザ(第1のレーザ光源)
202 コリメータ
203 ミラー
204 空間光変調素子
205 参照光
206 情報光
207 偏光ビームスプリッタ(PBS)
208 第1リレーレンズ
209 ミラー
210 第2リレーレンズ
211 赤レーザ用ダイクロイックビームスプリッタダイクロBS
212 1/4波長板(QWP)
213 ミラー
214 対物レンズ
215 スピンドルモータ
216 ホログラムディスク
217 開口
218 レンズ
219 CMOSセンサ
220 赤レーザ(第2のレーザ光源)
221 ビームスプリッタ(BS)
222 レンズ
223 ミラー
224 サーボ用光検出器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、前記情報光の情報を前記ホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、
記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、前記多重度を前記所定の多重度に達するようにすることを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項2】
一つの光源から出射される光が、前記情報光と前記参照光とに分離され、
該情報光と該参照光とが同じレンズを通して、前記ホログラムを記録再生することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録再生装置。
【請求項3】
前記記録が終了した位置が属するトラック内の未記録領域に前記ダミーの情報を多重記録することを特徴とする請求項2記載のホログラム記録再生装置。
【請求項4】
前記記録が終了した位置が属するトラックの一つ外周側のトラックに前記ダミーの情報を記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【請求項5】
前記トラックは複数のセクタからなり、
前記ダミーの情報を記録する際には、一つの前記各セクタの未記録領域すべてに連続して記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【請求項6】
前記ホログラムディスクの取り出し時、又は前記ホログラムディスクのアンマウント処理時に、前記ダミー情報を記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【請求項1】
情報光と参照光とを、ホログラムディスクのホログラム材料層内部で干渉させることにより、前記情報光の情報を前記ホログラム材料層に複数ページのホログラムとして多重記録するホログラム記録再生装置であって、
記録終了後に、記録済みの領域において所定の多重度に達していない領域に、ダミーの情報を多重記録することで、前記多重度を前記所定の多重度に達するようにすることを特徴とするホログラム記録再生装置。
【請求項2】
一つの光源から出射される光が、前記情報光と前記参照光とに分離され、
該情報光と該参照光とが同じレンズを通して、前記ホログラムを記録再生することを特徴とする請求項1記載のホログラム記録再生装置。
【請求項3】
前記記録が終了した位置が属するトラック内の未記録領域に前記ダミーの情報を多重記録することを特徴とする請求項2記載のホログラム記録再生装置。
【請求項4】
前記記録が終了した位置が属するトラックの一つ外周側のトラックに前記ダミーの情報を記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【請求項5】
前記トラックは複数のセクタからなり、
前記ダミーの情報を記録する際には、一つの前記各セクタの未記録領域すべてに連続して記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【請求項6】
前記ホログラムディスクの取り出し時、又は前記ホログラムディスクのアンマウント処理時に、前記ダミー情報を記録することを特徴とする請求項3記載のホログラム記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2009−277272(P2009−277272A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−125926(P2008−125926)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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