説明

ホワイトバランス調整システム、表示装置、及び、ホワイトバランス調整方法

【課題】ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置に対するホワイトバランス調整工程を減らすことを課題とする。
【解決手段】入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、基準輝度を表す基準値をXy、ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、入力値Xiが基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、入力値Xiが基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし不揮発性メモリ140に記憶されているドライブ修正値(A2)に応じたドライブ調整を行い、出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対してガンマ変換を行って映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示するテレビジョン等の表示装置、並びに、この表示装置のホワイトバランスを調整するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビジョン等の表示装置は、多くの場合、ホワイトバランス調整部やガンマ変換部等を有する画像処理LSI(大規模集積回路)がプリント基板に実装されている。
ホワイトバランス調整部は、例えば、R(赤)映像信号のドライブ調整を行うためのRドライブ調整値、B(青)映像信号のドライブ調整を行うためのBドライブ調整値、R映像信号のカットオフ調整を行うためのRカットオフ調整値、B映像信号のカットオフ調整を行うためのBカットオフ調整値、等の調整値を記憶する不揮発性半導体メモリを有している。このホワイトバランス調整部は、R映像信号とG(緑)映像信号とB映像信号を入力し、不揮発性半導体メモリの調整値に基づいてドライブ調整及びカットオフ調整を行う。これらの調整がホワイトバランス調整である。
【0003】
ガンマ変換部は、R,G,Bのそれぞれにγ−LUT(ルックアップテーブル)を有し、上記ホワイトバランス調整の後にR映像信号とG映像信号とB映像信号とに対してそれぞれγ−LUTを通してガンマ変換を行う。γ−LUTは、液晶パネル等の表示部のγカーブを補正するための変換テーブルであるが、コントラストを強調(調整)する情報等も含まれる。この場合、γ−LUTには、輝度に対応した入力階調値を出力階調値に変換するためのS字カーブ状の対応関係が規定される。
【0004】
特許文献1に記載のホワイトバランス調整システムは、同文献の段落0045に記載されるように、低輝度側(輝度23%)と高輝度側(輝度70%)でそれぞれホワイトバランス調整を行い、これら2点間の直線近似により間の輝度におけるホワイトバランス調整を補完する二点トラッキング法でホワイトバランスを調整する。テレビジョンの製造工場では、高輝度側でR映像信号及びB映像信号に対してゲインを操作してドライブ調整を行い、低輝度側でR映像信号及びB映像信号に対してオフセットを操作してカットオフ調整を行い、このカットオフ調整によってずれる高輝度側で再びR映像信号及びB映像信号に対してドライブ調整を行っている。
【0005】
特許文献2に記載のホワイトバランス調整システムは、各輝度値が階段状に増加した複数の帯状画像により構成されるホワイトバランス調整用画像を拡大して表示し、該拡大した帯状画像の輝度を測定し、該測定した輝度値に基づいて表示装置のホワイトバランスを調整する。
【0006】
特許文献3に記載のホワイトバランス調整システムは、2以上のホワイトバランス調整用画像を時分割的に表示して順次カラーアナライザで色彩値を取得し、調整パラメータを決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−172343号公報
【特許文献2】特開2009−260731号公報
【特許文献3】特開2008−141587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画像処理LSIにS字カーブ状のγ−LUTがあると、上記二点トラッキング法だとホワイトバランス調整時に低階調側の色度ずれが大きくなり、色度仕様の中心から離れた液晶パネル等を使用した際には低階調側の色度を調整することができなくなる可能性がある。低階調側の色度を調整することができなければ、低階調側で色付きが発生することになる。
また、上記二点トラッキング法だと、高輝度側のドライブ調整、低輝度側のカットオフ調整、高輝度側のドライブ調整、と調整工程を繰り返す必要があり、生産上の時間の損失となる。
【0009】
以上を鑑み、本発明は、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置に対するホワイトバランス調整工程を減らすことが可能なホワイトバランス調整システム、表示装置、及び、ホワイトバランス調整方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有しホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置と、前記ドライブ調整値を生成するための処理を行う調整手段と、を備えるホワイトバランス調整システムにおいて、
前記調整手段は、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第一の基準映像の色度を検出し、該検出した色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とする前記ドライブ調整値を決定し、
前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第二の基準映像の色度を検出し、前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とするドライブ修正値を前記検出した第二の基準映像の色度に基づいて決定し、
決定した前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を前記表示装置に対して出力し、
前記表示装置は、
前記調整手段から前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を入力して前記不揮発性メモリに記憶し、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有し、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置において、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて表示した第一の基準映像の色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内に決定された前記ドライブ調整値、及び、前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて表示した第二の基準映像の色度に基づいて前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内に決定されたドライブ修正値を前記不揮発性メモリに記憶し、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有する表示装置でホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示するため、前記ドライブ調整値を生成するホワイトバランス調整方法において、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第一の基準映像の色度を検出し、該検出した色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とする前記ドライブ調整値を決定し、
前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第二の基準映像の色度を検出し、前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とするドライブ修正値を前記検出した第二の基準映像の色度に基づいて決定し、
決定した前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を前記不揮発性メモリに記憶させ、
前記表示装置では、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置に対するホワイトバランス調整工程を減らすことが可能なホワイトバランス調整システム、表示装置、及び、ホワイトバランス調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ホワイトバランス調整システムを例示するブロック図である。
【図2】テレビジョンの構成を例示するブロック図である。
【図3】(a)はドライブ調整の例を模式的に説明するための図、(b)は低階調側のドライブ修正の例を模式的に説明する図、である。
【図4】不揮発性メモリに記憶される調整値を例示する図である。
【図5】γ−LUTの対応関係を例示する図である。
【図6】カラーアナライザの概略構成を例示するブロック図である。
【図7】ホワイトバランス調整用コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【図8】ホワイトバランス調整処理を例示するフローチャートである。
【図9】表示装置で行われるドライブ調整処理を例示するフローチャートである。
【図10】(a)は低輝度側のドライブ調整の対応関係を折れ線状とした変形例を模式的に説明するための図、(b)は低輝度側のドライブ調整の対応関係を曲線状とした変形例を模式的に説明するための図、である。
【図11】表示装置で行われるドライブ修正値変更処理を例示するフローチャートである。
【図12】(a)はドライブ調整の例を模式的に説明するための図、(b)はカットオフ調整の例を模式的に説明する図、である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)ホワイトバランス調整システムの概略:
図1に例示するホワイトバランス(以下、WBとも記載)調整システム1は、表示装置であるテレビジョン(TV)100と、調整手段2と、を備え、TV100の製造工場等に設けられる。図1に例示する調整手段2は、パターンジェネレータ20、カラーアナライザ30、ホワイトバランス調整用コンピュータ40、を備えている。TV100は、所定の信号ケーブル28でパターンジェネレータ20に接続され、所定の信号ケーブル49でコンピュータ40に接続されている。図1,2に例示するTV100は、テレビジョン本体101とリモコン(リモートコントロール装置)180とを備える薄型表示装置とされている。むろん、本発明を適用可能なTVは、液晶テレビジョンの他、プラズマテレビジョンといった薄型表示装置、受像管表示装置、記録再生装置が一体化されたテレビジョン、等のディスプレイでもよい。前記記録再生装置には、ハードディスク記録再生装置、BD(Blue-ray Disc)記録再生装置、DVD(Digital Versatile Disk)記録再生装置、ビデオデッキ、等が含まれる。
リモコン180は、リモコン側送受信装置188、複数の操作ボタン(操作入力手段)181、等を備え、テレビジョン本体101の外部において持ち運び可能とされている。
【0016】
上記TV100に例示される表示装置は、入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値(A1)を記憶した不揮発性メモリ140を有し、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する。ここで、ガンマ変換は、液晶パネル等の表示部そのものの厳密なγカーブを補正する処理のみならず、コントラストを強調(調整)する等の処理が含まれてもよい。調整手段2は、ドライブ調整値(A1)を生成するための処理を行う。
【0017】
調整手段2は、所定の基準輝度(Xy)よりも高い第一の輝度X1の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号SS1に基づいて表示装置(100)に第一の基準映像V1が表示されているとき、この第一の基準映像V1の色度(xy)を検出する。検出する色度には、国際照明委員会(CIE)で規定されたxy色度そのもの、xy色度に補正係数を乗じた値などxy色度に対応した値、等が含まれ、間接的に色度を検出することが含まれる。調整手段2は、検出した色度(xy)に基づいて第一の基準映像V1のWBを許容範囲内とするドライブ調整値(A1)を決定する。
また、調整手段2は、基準輝度(Xy)よりも低い第二の輝度X2の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号SS2に基づいて表示装置(100)に第二の基準映像V2が表示されているとき、この第二の基準映像V2の色度(xy)を検出する。調整手段2は、検出した第二の基準映像V2の色度(xy)に基づいてドライブ修正値(A2)を決定する。このドライブ修正値(A2)は、基準輝度(Xy)よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のWBを調整するための値であり、第二の基準映像V2のWBを許容範囲内とする値である。ドライブ修正値は、複数設けられてもよい。
【0018】
さらに、調整手段2は、決定したドライブ調整値(A1)、及び、ドライブ修正値(A2)を表示装置(100)に対して出力する。
【0019】
表示装置(100)は、調整手段2からドライブ調整値(A1)、及び、ドライブ修正値(A2)を入力して不揮発性メモリ140に記憶する。
ここで、入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とする。入力値Xiが基準値Xyよりも大きい場合、表示装置(100)は、Xo=A1・Xiとなるドライブ調整を行う。入力値Xiが基準値Xy以下の場合、表示装置(100)は、Xi=XyのときにXo=A1・Xyとし不揮発性メモリ140に記憶されているドライブ修正値(A2)に応じたドライブ調整を行う。
なお、上述のドライブ調整は、Xi≧Xyの場合にXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、Xi<Xyの場合に不揮発性メモリ140に記憶されているドライブ修正値(A2)に応じたドライブ調整を行うことと同じである。このようなドライブ調整も、請求項に係る発明に含まれる。
【0020】
さらに、表示装置(100)は、出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示する。
本WB調整システム1は、高輝度側の基準映像V1に基づいてドライブ調整値(A1)が決定され、低輝度側の基準映像V2に基づいてドライブ修正値(A2)が決定され、これらの値(A1,A2)がWB調整に用いられる。これらの値(A1,A2)を決定する際に、ドライブ調整値(A1)を繰り返し求めたりドライブ修正値(A2)を繰り返し求めたりする必要が無い。従って、本WB調整システム1は、WB調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置(100)に対するWB調整工程を減らすことが可能となる。
【0021】
上記表示装置(100)は、
所定の基準輝度(Xy)よりも高い第一の輝度X1の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号SS1に基づいて表示した第一の基準映像V1の色度(xy)に基づいて前記第一の基準映像V1のWBを許容範囲内に決定された前記ドライブ調整値(A1)、及び、前記基準輝度(Xy)よりも低い第二の輝度X2の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号SS2に基づいて表示した第二の基準映像V2の色度(xy)に基づいて前記基準輝度(Xy)よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のWBを調整するためのドライブ修正値(A2)であって前記第二の基準映像V2のWBを許容範囲内に決定されたドライブ修正値(A2)を前記不揮発性メモリ140に記憶し、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリ140に記憶されている前記ドライブ修正値(A2)に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする。
【0022】
また、入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のWBを調整するためのドライブ調整値(A1)を記憶した不揮発性メモリ140を有する表示装置(100)でWB調整後にガンマ変換を行って映像を表示するため、前記ドライブ調整値(A1)を生成するWB調整方法においては、
所定の基準輝度(Xy)よりも高い第一の輝度X1の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号SS1に基づいて前記表示装置(100)に表示される第一の基準映像V1の色度(xy)を検出し、該検出した色度(xy)に基づいて前記第一の基準映像V1のWBを許容範囲内とする前記ドライブ調整値(A1)を決定し、
前記基準輝度(Xy)よりも低い第二の輝度X2の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号SS2に基づいて前記表示装置(100)に表示される第二の基準映像V2の色度(xy)を検出し、前記基準輝度(Xy)よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のWBを調整するためのドライブ修正値(A2)であって前記第二の基準映像V2のWBを許容範囲内とするドライブ修正値(A2)を前記検出した第二の基準映像V2の色度(xy)に基づいて決定し、
決定した前記ドライブ調整値(A1)及び前記ドライブ修正値(A2)を前記不揮発性メモリ140に記憶させ、
前記表示装置(100)では、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリ140に記憶されている前記ドライブ修正値(A2)に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする。
【0023】
前記表示装置(100)は、前記ドライブ修正値(A2)で表される第二の補正係数をA2とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXo=A2・(Xi−Xy)+A1・Xyとなるドライブ調整を行ってもよい。すると、簡易な構成でWB調整工程を減らすことができる。
【0024】
前記表示装置(100)は、前記ドライブ修正値(A2)を変更するための入力を受け付け、該受け付けにより変更されたドライブ修正値(A2)を前記不揮発性メモリ140に記憶させてもよい。すると、容易にドライブ修正値(A2)を変更することができるので、容易にWB調整を行うことができる。
【0025】
上述したWB調整システム1、表示装置(100)、又は、WB調整方法において、
前記映像信号には、R(赤)映像信号とG(緑)映像信号とB(青)映像信号とが含まれ、
前記ドライブ調整値(A1)には、Rドライブ調整値(Ar1)とBドライブ調整値(Ab1)が含まれ、
前記ドライブ修正値(A2)には、Rドライブ修正値(Ar2)とBドライブ修正値(Ab2)が含まれ、
前記表示装置(100)は、
入力したR映像信号の輝度に対応した入力値をXri、該R映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXro、入力したB映像信号の輝度に対応した入力値をXbi、該B映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXbo、前記Rドライブ調整値で表される補正係数をAr1、前記Bドライブ調整値で表される補正係数をAb1とするとき、前記入力値Xriが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXro=Ar1・Xriとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xriが前記基準値Xy以下の場合にはXri=XyのときにXro=Ar1・Xyとし前記不揮発性メモリ140に記憶されている前記Rドライブ修正値(Ar2)に応じたドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXbo=Ab1・Xbiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xy以下の場合にはXbi=XyのときにXbo=Ab1・Xyとし前記不揮発性メモリ140に記憶されている前記Bドライブ修正値(Ab2)に応じたドライブ調整を行い、
前記R映像信号及び前記B映像信号にドライブ調整を行った後に前記R映像信号と前記G映像信号と前記B映像信号とに対してそれぞれ前記ガンマ変換を行って映像を表示してもよい。すると、良好なWB調整を行うことができる。
【0026】
(2)ホワイトバランス調整システムの構成:
図2に例示するテレビジョン本体101は、マイクロコンピュータ(マイコン)110、本体側送受信装置119、表示手段120、音声出力回路149、等を備え、テレビジョン放送信号受信用のアンテナ122から受信した信号に基づいて映像及び音声を出力する。
まず、表示手段120の各部を説明する。
【0027】
チューナ回路121は、例えば、マイコン110の制御により、PLL(Phase Lock Loop)シンセサイザ方式の選局方式で選局し、アンテナ122から受信したテレビジョン放送信号を高周波増幅し、増幅後の信号をヘテロダイン検波によって中間周波信号に変換する。中間周波増幅回路123は、チューナ回路121から前記中間周波信号を入力し、該中間周波信号を増幅して映像検波回路124へ出力する。映像検波回路124は、中間周波増幅回路123から入力される中間周波信号から復号映像信号及び音声信号を取り出す。復号映像信号には、輝度信号や搬送色信号や同期信号が含まれる。AGC(Automatic Gain Control)回路125は、映像検波回路124から同期信号を入力し、該同期信号の大きさ強さに応じたRF−AGC(Radio Frequency Automatic Gain Control)電圧およびIF−AGC(Intermediate Frequency Automatic Gain Control)電圧を生成する。
【0028】
画像処理部126は、色変換部131、ホワイトバランス調整部132、ガンマ変換部133、等を備え、主にLSI(画像処理IC)で構成される。画像処理部126は、入力される映像信号に対して所定の画像処理を行い、処理後の信号をドライバ127へ出力する。画像処理部126は、入力を映像検波回路124からの映像信号とするか映像入力端子151からの映像信号とするかを切り替えるための図示しない切替回路を備えている。映像入力端子151は、HDMI(high-definition multimedia interface)端子、コンポーネント映像端子、D端子、S映像端子、コンポジット映像端子、等の端子を採用することができる。
色変換部131は、映像検波回路124からの映像信号に基づいた輝度信号Y及び色差信号Cb,Crを有するYCbCr映像信号を入力し、このYCbCr映像信号を公知の対応関係に従ってR,G,Bの色成分毎にデジタルの階調値で表されるRGB映像信号に色変換する。このRGB映像信号は、赤の色成分の映像信号を意味するR映像信号、緑の色成分の映像信号を意味するG映像信号、及び、青の色成分の映像信号を意味するR映像信号を含んでいる。
【0029】
ホワイトバランス調整部132は、図4に例示するドライブ調整値及びドライブ修正値を記憶した不揮発性メモリ140を有し、色変換部131からのRGB映像信号を入力してR,G,Bの色毎に映像のWBを修正する。不揮発性メモリ140は、上記画像処理IC内に設けられるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)といった電気的にデータを書き換え可能な不揮発性半導体メモリ等で構成することができる。本ホワイトバランス調整部132は、不揮発性メモリ140に記憶されているRドライブ調整値及びRドライブ修正値で表される階調特性に従ってR映像信号の階調値を変換し、不揮発性メモリ140に記憶されているGドライブ調整値及びGドライブ修正値で表される階調特性に従ってG映像信号の階調値を変換し、不揮発性メモリ140に記憶されているBドライブ調整値及びBドライブ修正値で表される階調特性に従ってB映像信号の階調値を変換する。ここで、RGB映像信号の階調特性とは、色成分R,G,Bから選ばれる該当色成分の最低輝度に相当する階調値0から最大輝度に相当する最大階調値(例えば、階調値255や階調値1023)までの変換前後の対応関係の性質を意味する。
【0030】
なお、WBは、ある色成分の映像信号の強度(階調値の大きさ)に対する他の色成分の映像信号の強度の比を変えることにより調整することができるので、R,G,Bのいずれかの映像信号に対する階調値変換を行わないようにすることもできる。例えば、G映像信号の強度に対するR,B映像信号の強度の比を変える場合、不揮発性メモリ140にGドライブ調整値及びGドライブ修正値を記憶させず、G映像信号の階調値変換を行わずに映像のWBを調整することができる。むろん、Rドライブ調整値及びRドライブ修正値を記憶させずR映像信号の階調値変換を行わないWB調整や、Bドライブ調整値及びBドライブ修正値を記憶させずB映像信号の階調値変換を行わないWB調整も、可能である。
【0031】
ガンマ変換部133は、ホワイトバランス調整部132からのデジタルのRGB映像信号を入力してR,G,Bの色毎に図5に例示するγ−LUT(ルックアップテーブル)に従ったガンマ変換を行う。ガンマ変換部133は、R用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のR映像信号の階調値を変換し、G用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のG映像信号の階調値を変換し、B用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のB映像信号の階調値を変換する。ここでの階調特性も、色成分R,G,Bから選ばれる該当色成分の最低輝度に相当する階調値0から最大輝度に相当する最大階調値(例えば、階調値255や階調値1023)までの変換前後の対応関係の性質を意味する。γ−LUTは、液晶パネル128aのγカーブを補正するための変換テーブルであるが、コントラストを強調(調整)する情報等も含まれる。図5に例示するように、γ−LUTには、輝度に対応した入力階調値を出力階調値に変換するためのS字カーブ状の対応関係が規定される。
【0032】
ドライバ127は、ガンマ変換部133からのデジタルのRGB映像信号を入力し、液晶モジュール128を駆動するための駆動信号をRGB映像信号に従って生成し、この駆動信号を液晶モジュール128へ出力する。
【0033】
液晶モジュール128は、画面となる液晶パネル128a、液晶パネル128aを背面から照射するバックライト128b、入力される電源電圧から所定の高電圧を生成してバックライト128bに供給するインバータ128c、を備えている。液晶モジュール128は、ドライバ127からの駆動信号を入力し、この駆動信号に従ってバックライト128bを点灯させながら画面(液晶パネル128a)に映像を表示させる。
以上より、画像処理部126に入力される映像信号に対応した映像がTV100の画面(液晶パネル128a)に表示される。
【0034】
音声出力回路149は、映像検波回路124から音声信号を入力し、この音声信号に対応した音声をスピーカから出力する。
【0035】
マイコン110は、内部のバスに接続されたCPU(Central Processing Unit)111、半導体メモリ112,113、時計回路114、OSD(On-Screen Display)回路115、I/O(入出力)回路、等を備えている。CPU111は、RAM(Random Access Memory)113をワークエリアとして利用しながらROM(Read Only Memory)112に書き込まれたテレビジョン用の制御プログラムを実行し、TV100全体の動作を制御する。ROM112には、コンピュータをTV100として機能させる複数のプログラムが書き込まれている。時計回路114は、現在時刻を計時し、一定時間毎に割込信号を生成してCPU111へ出力可能である。OSD回路115は、OSD画面の被重畳信号を生成して画像処理部126へ出力する。
マイコン110には、リモコン側送受信装置188と赤外線信号(無線信号)SI1を送受信可能な本体側送受信装置119、WB調整用コンピュータ40とデータを送受信可能なインターフェイス(I/F)152、等が接続されている。
【0036】
図1に例示するパターンジェネレータ20は、基準映像信号SS1,SS2を生成する信号生成部21、生成された前記基準映像信号SS1,SS2を出力する信号出力端子22、等を備え、信号ケーブル28を介してTV100の映像入力端子151に接続されている。第一の基準映像信号SS1は、基準輝度(Xy)よりも高い第一の輝度X1の基準映像V1を液晶パネル128aに表示させるための映像信号である。第二の基準映像信号SS2は、基準輝度(Xy)よりも低い第二の輝度X2の基準映像V2を表示させるための映像信号である。好ましい基準輝度(Xy)の範囲は、液晶パネル128aで表示される最大輝度の40〜60%の輝度であり、より好ましくは前記最大輝度の45〜55%の輝度であるが、前記最大輝度の35〜65%の輝度等としてもよい。基準映像信号SS1,SS2は、同時に両基準映像V1,V2を液晶パネル128aに表示するための信号でもよい。信号出力端子22は、映像入力端子151に合わせて、HDMI端子、コンポーネント映像端子、D端子、S映像端子、コンポジット映像端子、等の端子を採用することができる。
なお、TVにパターンジェネレータの機能があれば、パターンジェネレータを外付けしなくてもよく、内蔵のパターンジェネレータを利用することができる。
【0037】
図6に例示されるカラーアナライザ30は、マイコン31にA/D(アナログ/デジタル)変換回路32、シリアルI/F(USBI/F、RS−232CI/F、等)33、操作パネル34、等が接続され、A/D変換回路32にプローブ35が接続されている。I/F33は、所定の信号ケーブル(USBケーブル、RS−232Cケーブル、等)39でコンピュータ40のI/F42bに接続されている。
【0038】
プローブ35は、例えばシリコンフォトセルからなる受光素子を備えており、液晶パネル128aの表示画面に同受光素子の受光面を向け、表示された映像の色成分量を電圧信号に変換することにより検出する。色成分量には、例えば、CIE規格のxy色度に対応する量と、輝度Yに対応する量とが含まれる。A/D変換回路32は、プローブ35で検出された色成分量をアナログ量からデジタルの色成分値に変換する。従って、マイコン31は、xy色度に対応する値と、輝度Yに対応する値とを取得することができる。マイコン31は、操作パネル34への操作入力を受け付けるとともに、I/F33を介してコンピュータ40からの入力も受け付け可能であり、入力内容に応じてカラーアナライザ30全体の制御を行う。マイコン31は、A/D変換回路32から色度xyを含む色成分値を入手すると、ケーブル39を介してコンピュータ40へ色成分値を出力する。
なお、複数の基準映像を液晶パネル128aに表示する場合、同時に表示される数のプローブ35及びA/D変換回路32をカラーアナライザ30に設け、各基準映像の色度を検出してもよい。
【0039】
図7に例示されるWB調整用コンピュータ40は、バス41hに、CPU41a、ROM41b、RAM41c、ディスプレイ41d1が接続されたI/F41d、ハードディスクドライブ41e、キーボードやポインティングデバイスといった入力装置41f、I/Oポート41g、TV100用のI/F42a、カラーアナライザ30用のI/F42b、等が接続されたパーソナルコンピュータ(PC)とされている。ROM41bには所定の制御プログラムが書き込まれており、CPU41aは、RAM41cをワークエリアとして使用しながら同制御プログラムを実行する。ハードディスクドライブ41eにはWB調整処理を行うためのアプリケーションプログラムが格納されており、適宜RAMに読み出されて実行される。そして、PC40は、各種の値をTV100に対して出力することにより、表示される映像のWB調整を行う。
なお、コンピュータ40には、デスクトップ型、ノート型、といったPCの他、PC以外のコンピュータも採用可能である。
【0040】
(3)ホワイトバランス調整の説明:
まず、図12(a),(b)を参照してWB調整における「ドライブ調整」と「カットオフ調整」を説明する。
図12(a)は、RGB映像信号に対する「ドライブ調整」の入出力の対応関係を例示している。ここで、横軸は入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値Xi、縦軸は該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値Xo、である。図12(a)に示す値Xi,Xoは入力映像信号の最大輝度に対応した値を100%とする相対値とされているが、実際の変換処理では値Xi,Xoに0〜255の階調値や0〜1023の階調値等を用いるとよい。図12(a)の直線状の対応関係C91は、入力値Xiが補正されない補正係数A1=1の階調特性を示している。この場合、入力映像信号の最大輝度の70%(高輝度側)に相当する基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点は、P91となる。
【0041】
例えば、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に低い場合、R映像信号の階調値を大きくする必要がある。Xi=70%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP92である場合、R映像信号のゲイン(補正係数Ar1)を1よりも大きくし、R映像信号の入出力の対応関係をC92の直線状対応関係のようにする。一方、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に高い場合、R映像信号の階調値を小さくする必要がある。Xi=70%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP93である場合、R映像信号のゲイン(補正係数Ar1)を1よりも小さくし、R映像信号の入出力の対応関係をC93の直線状対応関係のようにする。B映像信号の場合も、同様である。G映像信号のドライブを調整する場合のG映像信号のドライブ調整も、同様である。
上述したゲイン操作が「ドライブ調整」である。
【0042】
図12(b)は、RGB映像信号に対する「カットオフ調整」の入出力の対応関係を例示している。ここで、横軸は入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値Xi、縦軸は該映像信号のカットオフ調整後の輝度に対応した出力値Xo、である。ドライブ調整と同様、実際の変換処理では値Xi,Xoに0〜255の階調値や0〜1023の階調値等を用いるとよい。図12(b)の直線状の対応関係C94は、入力値Xiが補正されないオフセット値B1=0の階調特性を示している。この場合、入力映像信号の最大輝度の40%(低輝度側)に相当する基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点は、P94となる。
【0043】
例えば、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に低い場合、R映像信号の階調値を大きくする必要がある。Xi=40%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP95である場合、R映像信号のオフセット(オフセット値Br1)を0よりも大きくし、R映像信号の入出力の対応関係をC95の直線状対応関係のようにする。一方、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に高い場合、R映像信号の階調値を小さくする必要がある。Xi=40%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP96である場合、R映像信号のオフセット(オフセット値Br1)を0よりも小さくし、R映像信号の入出力の対応関係をC96の直線状対応関係のようにする。B映像信号の場合も、同様である。G映像信号のドライブを調整する場合のG映像信号のドライブ調整も、同様である。
上述したオフセット操作が「カットオフ調整」である。
【0044】
従来の二点トラッキング法に従ってWBのための調整値を決定する場合、Xi=70%でRGB映像信号のゲインを操作してドライブ調整を行い、Xi=40%でRGB映像信号のオフセットを操作してカットオフ調整を行い、このカットオフ調整によってずれるXi=70%のWBを再びドライブ調整によって合わせることになる。再度のドライブ調整によってXi=40%のWBが許容範囲以上にずれると、Xi=40%のWBを再びカットオフ調整によって合わせることになる。高輝度側のドライブ調整、及び、低輝度側のカットオフ調整を繰り返すのは、生産上の時間の損失となる。また、画像処理LSIにS字カーブ状のγ−LUTがあるので、二点トラッキング法だとWB調整時に低階調側の色度ずれが大きくなり、色度仕様の中心から離れた液晶パネルを使用した際には低階調側の色度を調整することができなくなる可能性がある。低階調側の色度を調整することができなければ、低階調側で色付きが発生することになる。
本WB調整システム1は、上述の問題を解決することができる。
【0045】
次に、図3(a),(b)を参照してWB調整を説明する。
図3(a)は、RGB映像信号の「全階調のドライブ調整」の入出力の対応関係を例示している。ここで、横軸は入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値Xi、縦軸は該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値Xo、である。図12(a)の説明と同様、実際の変換処理では値Xi,Xoに0〜255の階調値や0〜1023の階調値等を用いるとよい。図3(a)の直線状の対応関係C1は、入力値Xiが補正されない補正係数A1=1の階調特性を示している。この場合、入力映像信号の高輝度側Xi=X1>Xy(例えば入力映像信号の最大輝度の75%)に相当する基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点は、P1となる。図3(a)の例は、基準輝度Xyが50%であり、第一の輝度X1がXyと100%の中間の75%である。
【0046】
例えば、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に低く、Xi=75%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP2である場合、R映像信号のゲイン(補正係数Ar1)を1よりも大きくし、R映像信号の入出力の対応関係をC2の直線状対応関係のようにする。一方、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に高く、Xi=75%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP3である場合、R映像信号のゲイン(補正係数Ar1)を1よりも小さくし、R映像信号の入出力の対応関係をC3の直線状対応関係のようにする。B映像信号の場合も、同様である。G映像信号のドライブを調整する場合のG映像信号のドライブ調整も、同様である。
上述したゲイン操作が、「全階調のドライブ調整」である。
【0047】
入力したR映像信号の輝度に対応した入力値をXri、該R映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXro、Rドライブ調整値で表される補正係数をAr1(Ar1>0。例えば0.6<Ar1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xri>Xyの場合に
Xro=Ar1・Xri …(1)
となるドライブ調整をR映像信号に対して行う。入力したB映像信号の輝度に対応した入力値をXbi、該B映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXbo、Bドライブ調整値で表される補正係数をAb1(Ab1>0。例えば0.6<Ab1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xbi>Xyの場合に
Xbo=Ab1・Xbi …(2)
となるドライブ調整をB映像信号に対して行う。G映像信号に対してドライブ調整を行う場合、入力したG映像信号の輝度に対応した入力値をXgi、該G映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXgo、Gドライブ調整値で表される補正係数をAg1(Ag1>0。例えば0.6<Ag1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xgi>Xyの場合に
Xgo=Ag1・Xgi …(3)
となるドライブ調整をG映像信号に対して行う。
【0048】
図3(b)は、「全階調のドライブ調整」後のRGB映像信号に対する「低輝度側のドライブ調整」の入出力の対応関係を例示している。ここで、横軸は「全階調のドライブ調整」後の色毎の映像信号の輝度に対応した入力値Xi、縦軸は該映像信号の低輝度側ドライブ調整後の輝度に対応した出力値Xo、である。「全階調のドライブ調整」と同様、実際の変換処理では値Xi,Xoに0〜255の階調値や0〜1023の階調値等を用いるとよい。図3(b)の基準の対応関係の例は、図3(a)の直線状の対応関係C3としている。図3(b)の例は、基準輝度Xyが50%であり、第二の輝度X2が0%とXyの中間の25%である。
【0049】
例えば、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に低く、Xi=25%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP5である場合、対応関係C3上の点P4を通る直線の傾きを表す補正係数Ar2を上記補正係数Ar1よりも小さくし、基準輝度(Xy)から低輝度側(0%〜Xy)におけるR映像信号の入出力の対応関係をC5の直線状対応関係のようにする。一方、G映像信号の強度に対してWBのとれるR映像信号の強度が相対的に高く、Xi=25%の基準映像のWBのとれるXi−Xo平面上の点がP6である場合、対応関係C3上の点P4を通る直線の傾きを表す補正係数Ar2を上記補正係数Ar1よりも大きくし、R映像信号の入出力の対応関係をC6の直線状対応関係のようにする。B映像信号の場合も、同様である。G映像信号のドライブを調整する場合のG映像信号のドライブ調整も、同様である。
上述したゲイン操作が、「低輝度側のドライブ調整」である。
【0050】
入力したR映像信号の輝度に対応した入力値をXri、該R映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXro、Rドライブ修正値で表される補正係数をAr2(Ar2>0。例えば0.6<Ar2/Ar1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xri≦Xyの場合に
Xro=Ar2・(Xri−Xy)+Ar1・Xy …(4)
となるドライブ調整をR映像信号に対して行う。入力したB映像信号の輝度に対応した入力値をXbi、該B映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXbo、Bドライブ修正値で表される補正係数をAb2(Ab2>0。例えば0.6<Ab2/Ab1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xbi≦Xyの場合に
Xbo=Ab2・(Xbi−Xy)+Ab1・Xy …(5)
となるドライブ調整をB映像信号に対して行う。G映像信号に対してドライブ調整を行う場合、入力したG映像信号の輝度に対応した入力値をXgi、該G映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXgo、Gドライブ修正値で表される補正係数をAg2(Ag2>0。例えば0.6<Ag2/Ag1<1.5)、とするとき、ホワイトバランス調整部132は、Xgi≦Xyの場合に
Xgo=Ag2・(Xgi−Xy)+Ag1・Xy …(6)
となるドライブ調整をG映像信号に対して行う。
【0051】
むろん、ドライブ補正値で表される補正係数A1に対する相対的な補正係数A3=A2/A1(A3>0。例えば0.6<A3<1.5)を用いても、低輝度側のドライブ調整を行うことができる。
【0052】
本WB調整は、カットオフ調整を行う必要が無く、ドライブ調整値(Ar1,Ag1,Ab1)とドライブ修正値(Ar2,Ag2,Ab2)を決定する際にドライブ調整値を繰り返し求めたりドライブ修正値を繰り返し求めたりする必要が無いので、表示装置(100)に対するWB調整工程を減らすことができる。
【0053】
(4)ホワイトバランス調整処理:
図8は、コンピュータ40で行われるWB調整処理をTV100で行われる記憶処理とともにフローチャートにより例示している。WB調整処理は、R,G,Bの色成分毎に行われる。WB調整処理を行う前提として、TV100の不揮発性メモリ140にデフォルトのドライブ調整値及びドライブ修正値を記憶させ、図1に例示するWB調整システム1を構成しておくものとする。
WB調整処理を開始すると、RGB映像信号のゲインを同じ割合で小さくするようにドライブ調整値及びドライブ修正値を変え、ドライブを下げる(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。S102があるのはその後のドライブ調整によって出力値Xoが最大値を超えないようにするためであるので、そのおそれが無ければS102は不要である。
【0054】
ここで、パターンジェネレータ20からTV100へ第一の基準映像信号SS1が出力されている状態として、TVの液晶パネル128aに表示される比較的高輝度の第一の基準画像V1の色度(xy)をカラーアナライザ30で検出する。コンピュータ40は、検出された色度(xy)のデジタル値を取得する(S104)。
S106では、取得した色度値x,yが目標の色度値に対して許容範囲内であるか否かを判断する。例えば、目標の色度値をxta,yta、目標の色度値に対する閾値をthx,thy(thx>0、thy>0)として、
ta−thx≦x≦xta+thx
かつ
ta−thy≦y≦yta+thy
を満足するか否かを判断すればよい。
【0055】
S106で条件不成立の場合、目標の色度xta,ytaに合わせて可能な限り目標の色度xta,ytaとなるようにドライブ調整値を決定する(S108)。このドライブ調整値は、上述した補正係数Ar1,Ag1,Ab1に対応した値であり、0〜255の階調値や0〜1023の階調値等とされる。このドライブ調整値により、図3(a)で示したように高輝度側(Xy〜100%)のWBが調整される。
【0056】
ここで、パターンジェネレータ20からTV100へ第二の基準映像信号SS2が出力されている状態として、TVの液晶パネル128aに表示される比較的低輝度の第二の基準画像V2の色度(xy)をカラーアナライザ30で検出する。コンピュータ40は、検出された色度(xy)のデジタル値を取得する(S110)。
S112では、取得した色度値x,yが目標の色度値に対して許容範囲内であるか否かを判断する。ここでも、例えば、目標の色度値をxta,yta、目標の色度値に対する閾値をthx,thy(thx>0、thy>0)として、
ta−thx≦x≦xta+thx
かつ
ta−thy≦y≦yta+thy
を満足するか否かを判断すればよい。
【0057】
S112で条件不成立の場合、目標の色度xta,ytaに合わせて可能な限り目標の色度xta,ytaとなるように低輝度側(0%〜Xy)のドライブ修正値を決定する(S114)。このドライブ修正値は、上述したように「全階調のドライブ調整」後の直線状対応関係上の基準輝度Xyにおける点を通る直線の傾きを表す補正係数Ar2,Ag2,Ab2に対応した値であり、0〜255の階調値や0〜1023の階調値等とされる。このドライブ修正値により、図3(b)で示したように低輝度側(0%〜Xy)のWBが調整される。
むろん、ドライブ修正値は、補正係数Ar3=Ar2/Ar1,Ag3=Ag2/Ag1,Ab3=Ab2/Ab1に対応した値とされてもよい。
【0058】
S116では、液晶パネル128aの最大輝度に合わせて上記WB調整後のRGB映像信号のゲインを同じ割合で大きくするようにドライブ調整値及びドライブ修正値を変え、ドライブを上げる。S116があるのは液晶パネル128aの輝度範囲をなるべく広く使用するためであるので、S116の処理は無くてもよい。
S118では、決定したドライブ調整値(Ar1,Ag1,Ab1)及びドライブ修正値(Ar2,Ag2,Ab2)をTV100へ出力する。その後、コンピュータ40は、WB調整処理を終了させる。
ドライブ調整値及びドライブ修正値を入力したTV100は、図4で示したようにこれらのドライブ調整値及びドライブ修正値を不揮発性メモリ140に記憶させ(S152)、記憶処理を終了させる。
【0059】
(5)ドライブ調整処理:
図9は、TV100で行われるドライブ調整処理をフローチャートにより例示している。この処理は、R,G,Bの色成分毎、かつ、画素毎に行われる。このドライブ調整処理を実現するためには、ホワイトバランス調整部132に、S204の高輝度側ドライブ調整の演算を行う高輝度用回路、S206の低輝度側ドライブ調整の演算を行う低輝度用回路、及び、入力値Xiが基準輝度Xyよりも大きいときに高輝度用回路に切り替えXi≦Xyのときに低輝度用回路に切り替えるS202に対応した切替回路、を設ければよい。
ドライブ調整処理を開始すると、入力値Xiが基準輝度Xyよりも大きいか否かを判断する(S202)。
【0060】
Xi>Xyの場合、高輝度側ドライブ調整を行い(S204)、ドライブ調整処理を終了させる。すなわち、ホワイトバランス調整部132は、
Xri>Xyの場合、Xro=Ar1・Xri …(1)
Xbi>Xyの場合、Xbo=Ab1・Xbi …(2)
Xgi>Xyの場合、Xgo=Ag1・Xgi …(3)
となるドライブ調整をRGB映像信号に対して行う。
【0061】
Xi≦Xyの場合、低輝度側ドライブ調整を行い(S206)、ドライブ調整処理を終了させる。すなわち、ホワイトバランス調整部132は、
Xri≦Xyの場合、Xro=Ar2・(Xri−Xy)+Ar1・Xy…(4)
Xbi≦Xyの場合、Xbo=Ab2・(Xbi−Xy)+Ab1・Xy…(5)
Xgi≦Xyの場合、Xgo=Ag2・(Xgi−Xy)+Ag1・Xy…(6)
となるドライブ調整をRGB映像信号に対して行う。むろん、演算は、相対的な補正係数Ar3,Ag3,Ab3を用いて、
Xro=Ar3・Ar1・(Xri−Xy)+Ar1・Xy …(4’)
Xbo=Ab3・Ab1・(Xbi−Xy)+Ab1・Xy …(5’)
Xgo=Ag3・Ag1・(Xgi−Xy)+Ag1・Xy …(6’)
としてもよい。
【0062】
ドライブ調整処理が行われると、ガンマ変換部133がドライブ調整処理後のRGB映像信号に対してガンマ変換を行う。具体的には、R用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のR映像信号の階調値が変換され、G用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のG映像信号の階調値が変換され、B用のγ−LUTで表される階調特性に従ってWB調整後のB映像信号の階調値が変換される。γ変換後のRGB映像信号はドライバ127で駆動信号に変換され、この駆動信号に従って液晶パネル128aに映像が表示される。
【0063】
以上説明したように、カットオフ調整を行う必要が無く、高輝度側の基準映像V1に基づいてドライブ調整値(A1)が一回の調整工程で決定され、低輝度側の基準映像V2に基づいてドライブ修正値(A2)が一回の調整工程で決定される。ドライブ調整値(A1)を繰り返し求めたりドライブ修正値(A2)を繰り返し求めたりする必要が無いので、本技術によると、WB調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置(100)に対するWB調整工程を減らすことが可能となる。また、色度仕様の中心から離れた液晶パネルを使用しても、低階調側の色度を調整することができるので、低階調側での色付きを抑制することができる。
【0064】
(6)変形例:
図10(a)は、低輝度側のドライブ調整の対応関係を折れ線状とした変形例を模式的に示している。すなわち、入力値XiがX2以上100%以下の場合は図3(b)で示した対応関係と同様であるが、0%≦Xi≦X2の範囲で点P5,P6を支点として折れ曲がり原点Oを通る直線状の対応関係C15,C16とされている。これにより、0%≦Xi≦Xyと非常に暗い映像の色つきを簡易な構成で抑制することができる。
【0065】
図10(b)は、低輝度側のドライブ調整の対応関係を曲線状とした変形例を模式的に示している。すなわち、入力値XiがXy以上100%以下の場合は図3(b)で示した対応関係と同様であるが、0%≦Xi≦Xyの範囲で点O〜P5〜P4を通る曲線状の対応関係C25や点O〜P6〜P4を通る曲線状の対応関係C26とされている。曲線状の対応関係を求めるためには、公知の補間技術を用いればよい。これにより、0%≦Xi≦Xyと非常に暗い映像の色つきをさらに抑制することができる。
【0066】
また、リモコン180等を利用してドライブ修正値を変えることができると、容易にWB調整を行うことができるので、好適である。
図11は、TV100で行われるドライブ修正値変更処理をフローチャートにより例示している。本処理は、繰り返し行われ、マルチタスクにより他の処理と並列して行われる。
【0067】
処理を開始すると、TV100は、ドライブ修正値(A2)を変更するための入力を受け付けたか否かを判断する(S302)。例えば、一般のユーザに開示していない隠しコマンドの所定の操作がリモコンの操作ボタン181に対して行われたか否かを判断すればよい。条件不成立時、TV100は、ドライブ修正値変更処理を終了させる。むろん、繰り返しドライブ修正値変更処理が行われ、所定の操作が行われるとS302で条件成立となる。
S302で条件成立時、ドライブ修正値(A2)の変更操作の入力を受け付ける(S304)。例えば、リモコン操作ボタン181で変更するドライブ修正値の色をR,G,Bの中から選択する操作を受け付け、受け付けた色について、上カーソルボタンが操作されるとドライブ修正値の階調値を1加算し、下カーソルボタンが操作されるとドライブ修正値の階調値を1減算すればよい。
【0068】
S306では、ドライブ修正値(A2)の変更操作を終了するか否かを判断する。例えば、リモコン操作ボタン181で確定ボタンが操作されると条件成立とすればよい。S306で条件不成立時には、S304〜S306の処理を繰り返す。
S306で条件成立時、TV100は、上述した受け付けにより変更されたドライブ修正値(A2)を不揮発性メモリ140に記憶し(S308)、ドライブ修正値変更処理を終了させる。
【0069】
以上説明したようにして容易にドライブ修正値を変えることができるので、工場の作業者はもとより営業の従事者も容易にWB調整を行うことができる。従って、本変形例によると、TVの利便性を向上させることができる。
【0070】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置に対するホワイトバランス調整工程を減らすことが可能なホワイトバランス調整システム、表示装置、及び、ホワイトバランス調整方法を提供することができる。
【0071】
なお、従属請求項に係る構成要件を有しておらず独立請求項(実施形態に記載した側面を含む)に係る構成要件のみからなる装置、システム、方法及びプログラムでも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
【0072】
また、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材及び構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材及び構成等と相互に置換可能な部材及び構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材及び構成等の代用として想定し得る部材及び構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【符号の説明】
【0073】
1…ホワイトバランス調整システム、2…調整手段、
20…パターンジェネレータ、30…カラーアナライザ、40…コンピュータ、
100…テレビジョン(表示装置)、
110…マイクロコンピュータ、
126…画像処理部、
132…ホワイトバランス調整部、133…ガンマ変換部、
140…不揮発性メモリ、
180…リモートコントロール装置、
C1,C2,C3,C5,C6…ドライブ調整の対応関係、
SS1…第一の基準映像信号、SS2…第二の基準映像信号、
V1…第一の基準映像、V2…第二の基準映像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有しホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置と、前記ドライブ調整値を生成するための処理を行う調整手段と、を備えるホワイトバランス調整システムにおいて、
前記調整手段は、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第一の基準映像の色度を検出し、該検出した色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とする前記ドライブ調整値を決定し、
前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第二の基準映像の色度を検出し、前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とするドライブ修正値を前記検出した第二の基準映像の色度に基づいて決定し、
決定した前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を前記表示装置に対して出力し、
前記表示装置は、
前記調整手段から前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を入力して前記不揮発性メモリに記憶し、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とするホワイトバランス調整システム。
【請求項2】
前記表示装置は、前記ドライブ修正値で表される第二の補正係数をA2とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXo=A2・(Xi−Xy)+A1・Xyとなるドライブ調整を行うことを特徴とする請求項1に記載のホワイトバランス調整システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記ドライブ修正値を変更するための入力を受け付け、該受け付けにより変更されたドライブ修正値を前記不揮発性メモリに記憶することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホワイトバランス調整システム。
【請求項4】
入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有し、ホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示する表示装置において、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて表示した第一の基準映像の色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内に決定された前記ドライブ調整値、及び、前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて表示した第二の基準映像の色度に基づいて前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内に決定されたドライブ修正値を前記不揮発性メモリに記憶し、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
入力した映像信号の色毎のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有する表示装置でホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示するため、前記ドライブ調整値を生成するホワイトバランス調整方法において、
所定の基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第一の基準映像の色度を検出し、該検出した色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とする前記ドライブ調整値を決定し、
前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて前記表示装置に表示される第二の基準映像の色度を検出し、前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とするドライブ修正値を前記検出した第二の基準映像の色度に基づいて決定し、
決定した前記ドライブ調整値及び前記ドライブ修正値を前記不揮発性メモリに記憶させ、
前記表示装置では、
入力した色毎の映像信号の輝度に対応した入力値をXi、該映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記ドライブ調整値で表される補正係数をA1とするとき、前記入力値Xiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXo=A1・Xiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xiが前記基準値Xy以下の場合にはXi=XyのときにXo=A1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記ドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記出力値Xoに対応した色毎の映像信号に対して前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とするホワイトバランス調整方法。
【請求項6】
前記映像信号には、R(赤)映像信号とG(緑)映像信号とB(青)映像信号とが含まれ、
前記ドライブ調整値には、Rドライブ調整値とBドライブ調整値が含まれ、
前記ドライブ修正値には、Rドライブ修正値とBドライブ修正値が含まれ、
前記表示装置は、
入力したR映像信号の輝度に対応した入力値をXri、該R映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXro、入力したB映像信号の輝度に対応した入力値をXbi、該B映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXbo、前記Rドライブ調整値で表される補正係数をAr1、前記Bドライブ調整値で表される補正係数をAb1とするとき、前記入力値Xriが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXro=Ar1・Xriとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xriが前記基準値Xy以下の場合にはXri=XyのときにXro=Ar1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記Rドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXbo=Ab1・Xbiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xy以下の場合にはXbi=XyのときにXbo=Ab1・Xyとし前記不揮発性メモリに記憶されている前記Bドライブ修正値に応じたドライブ調整を行い、
前記R映像信号及び前記B映像信号にドライブ調整を行った後に前記R映像信号と前記G映像信号と前記B映像信号とに対してそれぞれ前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のホワイトバランス調整システム、請求項4に記載の表示装置、又は、請求項5に記載のホワイトバランス調整方法。
【請求項7】
R(赤)映像信号及びB(青)映像信号のドライブ調整により映像のホワイトバランスを調整するためのRドライブ調整値及びBドライブ調整値を記憶した不揮発性メモリを有し前記R映像信号とG(緑)映像信号と前記B映像信号とを入力してホワイトバランス調整後にガンマ変換を行って映像を表示するテレビジョンと、該テレビジョンに表示される映像の色度を検出するためのカラーアナライザを有し前記Rドライブ調整値及び前記Bドライブ調整値を生成するための処理を行う調整手段と、を備えるホワイトバランス調整システムにおいて、
前記調整手段は、
前記テレビジョンで表示される最大輝度の40〜60%となる基準輝度よりも高い第一の輝度の基準映像を表示させるための第一の基準映像信号に基づいて前記テレビジョンに表示される第一の基準映像の色度を前記カラーアナライザで検出し、該検出した色度に基づいて前記第一の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とする前記Rドライブ調整値及び前記Bドライブ調整値を決定し、
前記基準輝度よりも低い第二の輝度の基準映像を表示させるための第二の基準映像信号に基づいて前記テレビジョンに表示される第二の基準映像の色度を前記カラーアナライザで検出し、前記基準輝度よりも低い輝度を表す映像信号に基づく映像のホワイトバランスを調整するためのRドライブ修正値及びBドライブ修正値であって前記第二の基準映像のホワイトバランスを許容範囲内とするRドライブ修正値及びBドライブ修正値を前記検出した第二の基準映像の色度に基づいて決定し、
決定した前記Rドライブ調整値と前記Bドライブ調整値と前記Rドライブ修正値と前記Bドライブ修正値とを前記テレビジョンに対して出力し、
前記テレビジョンは、
前記調整手段から前記Rドライブ調整値と前記Bドライブ調整値と前記Rドライブ修正値と前記Bドライブ修正値を入力して前記不揮発性メモリに記憶し、
入力したR映像信号の輝度に対応した入力値をXri、該R映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXro、入力したB映像信号の輝度に対応した入力値をXbi、該B映像信号のドライブ調整後の輝度に対応した出力値をXbo、前記基準輝度を表す基準値をXy、前記Rドライブ調整値で表される補正係数をAr1、前記Bドライブ調整値で表される補正係数をAb1、前記Rドライブ修正値で表される補正係数をAr2、前記Bドライブ修正値で表される補正係数をAb2とするとき、前記入力値Xriが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXro=Ar1・Xriとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xriが前記基準値Xy以下の場合にはXro=Ar2・(Xri−Xy)+Ar1・Xyとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xyよりも大きい場合にはXbo=Ab1・Xbiとなるドライブ調整を行い、前記入力値Xbiが前記基準値Xy以下の場合にはXbo=Ab2・(Xbi−Xy)+Ab1・Xyとなるドライブ調整を行い、
前記R映像信号及び前記B映像信号にドライブ調整を行った後に前記R映像信号と前記G映像信号と前記B映像信号とに対してそれぞれ前記ガンマ変換を行って映像を表示することを特徴とするホワイトバランス調整システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−44312(P2012−44312A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181775(P2010−181775)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】