説明

ホースの収納構造

【課題】 収納作業の円滑化を図ることが可能なホースの収納構造を提供する。
【解決手段】 吐水具(シャワーヘッド)を保持する保持部(ホルダー)が設けられた設置部と 吐水具が保持部に保持される場合に収納空間部2に収納され、保持部から取り外された場合に使用空間部に引き出される、引き出し使用部53を備えるホース50と、を備える吐水設備において、ホース50を収納するための収納構造Sである。ホース50の引き出し使用部53よりも一次側の部位に軸心を湾曲させた湾曲部57a、58aを備える弾性蓄積部56を設ける。そして、その一次側の端部56a等を固定的に支持するための固定部材(固定具29)を収納空間部2内に配設し、二次側の端部56b等を、移動を許容しつつ支持するためのガイド部材(ガイドリング60)を収納空間部2内に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースの収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
吐水具(例えば、シャワーヘッド等)の端末部に接続したホース(例えば、シャワーホース等)の中には、所定の収納空間部に引き出し可能な状態で収納されるものがある(特許文献1を参照)。つまり、設置部(カウンター、デッキ部等の台部や、壁部等)の表側に設置される吐水具と、設置部の裏側に設置される「湯水の供給源の端末部」と、両者を接続するためのホース(シャワーホース等の吐水ホース)とを備える吐水設備が知られている。
【0003】
この種の吐水設備(この種の吐水設備を備える水栓)の設置空間(洗面所、浴室、台所等)においては、設置部に、通常、吐水具を着脱可能に保持するための保持部(ホルダーやフック)が設けられる。また、この設置部には、通常、挿通部が孔状等に設けられ、ホースの引き出し使用部(例えば、ホースの中間部等で構成)が、この挿通部に抜き差し自在に挿通される。
【0004】
そして、吐水具が保持部に保持される場合、この引き出し使用部は、設置部の裏側(台部の下側、壁部の後側等)に形成される収納空間部に収納される。一方、吐水具が保持部から取り外され、設置部の表側の使用空間部内(洗面所内、浴室内、台所内等)で使用される場合、引き出し使用部が、この使用空間内に引き出される。そして、吐水具の使用後、吐水具を保持部によって保持することになるが、この際、引き出し使用部が、再び、収納空間部に収納される。
【特許文献1】特開平11−336149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のこの種の吐水設備(水栓)には以下のような問題がある。つまり、従来の吐水設備(水栓)では、引き出し使用部を収納空間部に収納する作業が、引き出し使用部の自重を利用した自然落下力や、人的な押し込み力を頼りに行われる。このため、引き出し使用部の収納作業をスムースに行うことができず、吐水設備(水栓)の使用者に無用のストレスを与えることがあった。例えば、使用者が、引き出し使用部の収納作業を行う際に、「引き出し使用部がどこかに引っ掛かっているような感触(抵抗感)」を得ることとなり、この収納作業によって無用のストレスを受けることがあった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、引き出し使用部を収納空間部に収納する収納作業を、円滑に行うことを可能とするホースの収納構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明のホースの収納構造は、
所定の吐水具を着脱可能に保持するための保持部が設けられた設置部と
一次側の端部を、湯水を流入させる流入部とし、二次側の端部を前記吐水具に湯水を流出させる流出部とすると共に、前記吐水具が前記保持部に保持される場合に前記設置部の裏側の収納空間部に収納され、前記吐水具が前記保持部から取り外された場合に、前記設置部の挿通部を通じて、前記設置部の表側の使用空間部に引き出される、引き出し使用部を備えるホースと、
を備える吐水設備において、前記ホースを前記収納空間部に収納するためのホースの収納構造であって、
前記ホースの前記引き出し使用部よりも一次側の部位において、軸心を湾曲させた湾曲部を備える弾性蓄積部が設けられ、
前記ホースにおいて前記湾曲部よりも一次側に位置する第1の部位を固定的に支持するための固定部材が前記収納空間部内に配設されると共に、
該ホースにおいて前記第1の部位よりも二次側に位置する第2の部位を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持するためのガイド部材が前記収納空間部内に配設されることを特徴とする。
【0008】
請求項1の発明によると、引き出し使用部を使用空間部に引き出した場合、湾曲部にその曲率を増加させるような弾性変形を与えることができる。この弾性変形は、吐水設備の使用者が、吐水具を使用している間は維持される。例えば、吐水具の使用者が、吐水具を把持するか、所定の固定手段(フック等)に固定して、吐水具を拘束するため、引き出し使用部の収納空間部への収納が禁止され、湾曲部の弾性変形が維持される。そして、この弾性変形に伴う弾性エネルギーは、弾性蓄積部(湾曲部)に蓄積される。一方、この使用者が、吐水具の使用を取り止め、吐水具の拘束を解除すると、湾曲部はその弾性変形を解除する。そして、この湾曲部はその弾性変形を解除する際に放出される弾性エネルギーを用いて、、引き出し使用部は収納空間部内に引き込まれる。
【0009】
つまり、請求項1の発明では、弾性変形中の弾性蓄積部(特に、湾曲部)が「変形前の状態」を復元する際の反力を用いて、引き出し使用部を収納空間部内に引き込むことができる。よって、請求項1の発明によると、引き出し使用部を収納空間部に収納する際の抵抗感が軽減され、この引き出し使用部の収納作業を、円滑に行うことができる。しかも、請求項1の発明では、弾性蓄積部の形態が、固定部材及びガイド部材の作用によって維持されるため、この「引き出し使用部の収納作業の円滑化」という効果を確実に維持することができる。
【0010】
また、請求項1の発明では、「ホースに弾性蓄積部を設ける」という、簡単な改良を加えるだけで、「引き出し使用部の収納作業の円滑化」という効果を得ることができる。つまり、当該「効果」を得るために、吐水設備(水栓)の使用者、製造業者、施工業者等に大きな「費用上の負担」を与えることはない。
【0011】
本出願では、ホースにおける位置や、位置関係等を示すため、「一次側」及び「二次側」なる語句を用いているが、これらは、以下の意味を有している。つまり、「一次側」は「上流側(即ち、湯水の通過方向に沿った上流側)」を意味し、「二次側」は「下流側(即ち、湯水の通過方向に沿った下流側)」を意味する。また、各請求項の発明の「吐水具」は、シャワー吐水を行うためのシャワーヘッドに限定されるものでなく、種々の態様の吐水(通常吐水、泡沫吐水等)を行うための吐水ヘッド等が含まれる。また、各請求項の発明の「設置部」としては、例えば、「カウンター部やデッキ部等の台部」、若しくは、壁部等を例示できる。また、各請求項の発明において、「設置部の裏側(収納空間部)」としては、台部の下方側や壁部の背後等を例示でき、「設置部の表側(使用空間部)」としては、設置部が設置される空間部(つまり、吐水具の使用空間部であって、洗面所内、浴室内、台所内等の空間部を例示できる。)である。
【0012】
各請求項の発明の「保持部」としては、「吐水具」を着脱可能に保持するための「ホルダー」、「吐水具」を着脱可能に保持するための「フック」等の他に、設置部に設けられる「保持孔」等を例示できる。また、各請求項の発明の「湯水」は、「湯」若しくは「水」の意味で用いられ、その温度は特に問わない。つまり、この「湯水」は、(1)水道配管から供給されたままの状態の「水(以下、「原水」という。)」と、(2)「原水」を暖め若しくは沸かして構成される「湯(以下、「原湯」という。)」と、(3)「原水」と「原湯」とを混合した「混合水」とのうちの何れをも指す意味で用いる。
【0013】
各請求項の発明において、「ホース」の一次側の端部(流入部)には、「湯水の供給源の端末部」が直接的に、若しくは、接続具(ジョイント等)等の部材を介して間接的に、「湯水の供給源の端末部」が接続されるが、この「湯水の供給源の端末部」の態様は特に問わない。例えば、この「湯水の供給源の端末部」を、(a)水栓本体の湯水の流出口、(b)水栓本体の湯水の流出口に接続された供給管の端末部、(c)給湯器の湯水の流出口に接続された供給管の端末部、若しくは、(d)水栓の設置部位に原水を供給するための元配管の端末部、等によって構成することができる。尚、各請求項の発明において、「ホース」の二次側の端部(流出部)を、直接的に吐水具の基端部に接続してもよいし、接続具(ジョイント等)等の部材を介して間接的に吐水具の基端部に接続してもよい。
【0014】
各請求項の発明において、弾性蓄積部を構成する湾曲部の数や中心角は種々選択できる。例えば、(A)両端側に開口部が対向する状態で湾曲部を配置すると共に、湾曲部の端部に直線状の部分を一体化した形状を備える弾性蓄積部(つまり、略長円形の弾性蓄積部)、(B)1つの湾曲部のみで構成される弾性蓄積部(略円弧状の弾性蓄積部)、(C)湾曲部を連続状に設けて構成される弾性蓄積部(略円形状の弾性蓄積部や、略渦巻き状の弾性蓄積部等)を例示できる。また、「ホース」において、弾性蓄積部が形成される部位は種々選択でき、例えば、「ホースにおける1次側の端部側の部分(つまり、ホースにおける1次側の端部を含む部分であって、弾性蓄積部を形成できる幅を持った部分)」や、「ホースの中間部(つまり、ホースにおける1次側の端部を含まない部分であって、弾性蓄積部を形成できる幅を持った部分)」等を例示できる。
【0015】
また、各請求項の発明において、使用する固定部材やガイド部材の数は一個であっても、複数であってもよい。尚、弾性蓄積部が複数の湾曲部を備える場合、個々の湾曲部の一次側に第1の部位を設け、各第1の部位を別個の固定部材で支持してもよい。但し、弾性蓄積部が複数の湾曲部を備える場合においては、最も一次側に位置する湾曲部の一次側のみに第1の部位を設け、当該第1の部位のみを固定部材で支持すると、「引き出し使用部の引き出し作業時」に、当該「複数の湾曲部」の全てを弾性変形させることができる。この場合、「引き出し使用部の収納作業時」に、弾性蓄積部がより大きな牽引力を発揮するため、当該「引き出し使用部の収納作業」を更に円滑に行うことができる。
【0016】
ホースは適度な弾性を備えることが必要である。例えば、ゴムホース、樹脂ホースの他に、金属製の螺旋管及び樹脂製チューブとを備える多層ホースを例示できる。この多層ホースは、所謂「メタルホース」と称されるホースであり、略蛇腹状で、金属製の螺旋管を用いて構成されるアウター管と、樹脂製チューブによって構成されると共にアウター管に挿通させるインナー管と、を備える。尚、各請求項の発明において、弾性蓄積部の湾曲方向(巻回方向)としては、略水平な方向に沿った中心軸回りを湾曲する方向(縦巻き方向)であっても、略上下方向に沿った中心軸回りを湾曲する方向(横巻き方向)であってもい。
【0017】
請求項2の発明のホースの収納構造は、請求項1に記載のホースの収納構造において、
前記第1の部位は、前記弾性蓄積部の一次側の端部であることを特徴とする。
【0018】
請求項2の発明は、「引き出し使用部の収納作業」を更に一層、円滑に行うことを意図している。つまり、第1の部位を弾性蓄積部の一次側の端部とすることで、「引き出し使用部の引き出し作業時」に弾性変形を生ずる部位を、弾性蓄積部の広範な部位(例えば、全体)とすることができる。このため、「引き出し使用部の収納作業時」に、弾性蓄積部がより一層、大きな牽引力を発揮するため、当該「引き出し使用部の収納作業」を更に一層、円滑に行うことができる。尚、請求項1の発明においては、第1の部位を弾性蓄積部の中間部(軸心方向に沿った中間部)から選択することもできる。
【0019】
ここで、請求項2の発明において、固定部材の装着箇所は、弾性蓄積部の一次側の端部自体であってもよいし、当該「一次側の端部」よりも1次側の部位(以下、「前者」という。)や、当該「一次側の端部」よりも2次側の部位であってもよい。ここで、前者の具体例として、「湯水の供給源の端末部」、「湯水の供給源の端末部及びホースの1次側の端部との接続部分」、「湯水の供給源の端末部及びホースの1次側の端部との間に介在される接続具(但し、接続具を使用する場合)」等を例示できる。
【0020】
請求項3の発明のホースの収納構造は、請求項1又は請求項2に記載のホースの収納構造において、
前記第2の部位は、前記弾性蓄積部の二次側の端部、及び、前記弾性蓄積部の軸心方向に沿った中間部のうちの少なくとも一方から選択されることを特徴とする。
【0021】
請求項3の発明では、第2の部位の具体例を構成している。ここで、請求項2の発明においては、第2の部位をホースの軸心方向に沿った複数の箇所に設けてもよい。例えば、第2の部位を、弾性蓄積部の二次側の端部と、弾性蓄積部の軸心方向に沿った中間部とに設けてもよい(中間部は1カ所でも、複数箇所でもよい。)。
【0022】
このように、第2の部位を弾性蓄積部の複数箇所に設けると、弾性蓄積部の形態保持をより、確実に行うことができる。例えば、弾性蓄積部を略長円状に構成し、弾性蓄積部の1次側の端部を、固定部材で支持し、弾性蓄積部の2次側の端部と中間部とをガイド部材で支持する。この場合、ホースの引き出し使用部を使用空間部内に引き出し、弾性蓄積部を変形させ、当該弾性蓄積部の略長円状を潰した状態としても(つまり、対向する一対の湾曲部が曲率を増し、対向する一対の直線部が間隔を狭めるように、弾性蓄積部が変形しても)、当該弾性蓄積部が略長円状を維持することが容易である。このため、この変形後の弾性蓄積部が十分な弾性エネルギーを蓄積するため、ホースの引き出し使用部を収納空間部に収納する際に、より円滑な収納作業を行うことができる。
【0023】
尚、第2の部位は、湾曲部の軸心方向に沿った中間部に設けてもよい。この場合、この第2の部位を支持するためのガイド部材は、後述する請求項4の発明の「湾曲中間部用のガイド部材」としての機能を発揮してもよい。また、弾性蓄積部が、複数の湾曲部を備える場合、個々の湾曲部毎を1個若しくは複数個のガイド部材で支持してもよいし、複数の湾曲部から選択される所定の1個若しくは2個以上の湾曲部を、1個若しくは複数個のガイド部材で支持してもよい。
【0024】
請求項4の発明のホースの収納構造は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のホースの収納構造において、
前記湾曲部の軸心方向に沿った中間部を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持する湾曲中間部用のガイド部材が前記収納空間部内に配設されることを特徴とする。
【0025】
請求項4の発明の「湾曲中間部用のガイド部材」は、請求項1〜請求項3の発明の「ガイド部材」としての機能の他に、湾曲部を保護するための保護部材(ストッパー)としても機能する。つまり、ホースの使用空間部への引き出し量が過量となると、湾曲部の中間部が過度に変形する(例えば、座屈状に屈曲する)ことがある。そして、この過度の変形が繰り返されると、湾曲部に過度の負担が掛かり、湾曲部(弾性蓄積部)の弾性が徐々に低下し、請求項1〜請求項3の発明の効果(収納作業を円滑化する効果)を発揮できなくなる可能性がある。一方、請求項4の発明では、湾曲中間部ガイド部材の働きで、湾曲部が過度に変形することを防止し、湾曲部を保護する。このため、請求項1〜請求項3の発明の効果(収納作業を円滑化する効果)を長期間に渡って発揮できる。尚、請求項4の発明において、弾性蓄積部が複数の湾曲部を備える場合、全ての湾曲部を湾曲中間部用のガイド部材で支持してもよいし、全ての湾曲部から選択される1個若しくは2個以上の湾曲部を湾曲中間部用のガイド部材で支持してもよい。また、湾曲中間部用のガイド部材による支持箇所としては、例えば、湾曲中間部の軸線の中点等の最も「凸」となる箇所を例示できる。
【0026】
請求項5の発明のホースの収納構造は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載のホースの収納構造において、
前記ホースにおいて、前記引き出し使用部と、前記弾性蓄積部との中間に位置する所定の部位を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持する外部ガイド部材が前記収納空間部内に配設される。
【0027】
請求項5の発明においては、「ホースの収納作業時等に生じ得る摩擦抵抗」を軽減し、請求項1〜請求項4の発明の効果(収納作業を円滑化する効果)をより確実に発揮することを意図している。つまり、請求項5の発明によると、ホースにおいて、支持部材で支持される範囲を拡大することができる。つまり、ホースを固定部材と、ガイド部材(湾曲中間部用のガイド部材を用いる場合は、当該ガイド部材も含まれる。)との他に、外部ガイド部材によっても支持する。このため、ホースと、収納空間部の底面部との接触面積を少なくする(「ゼロ」にすることも含む。)ことができるため、ホースの収納作業を行う際の摩擦抵抗を軽減できる。このため、請求項1〜請求項4の発明の効果(収納作業を円滑化する効果)をより確実に発揮できる。尚、請求項5の発明において、外部ガイド部材の数は1つであっても、複数であってもよい。
【0028】
請求項6の発明のホースの収納構造は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のホースの収納構造において、
前記弾性蓄積部の軸心は、略長円形、略U字形、略円形、略楕円形、若しくは、中間角が270〜720度以下の渦巻き形となる部分を含むことを特徴とする。
【0029】
請求項6の発明は、弾性蓄積部の具体的な形状を例示するものである。この請求項6の発明に示すように、弾性蓄積部は湾曲部のみで構成されても、湾曲部と他の部分(直線部)とで構成されてもよい。
【0030】
請求項7の発明のホースの収納構造は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載のホースの収納構造において、
前記固定部材は、前記ガイド部材よりも下方に配設されることを特徴とする。
【0031】
請求項7の発明によると、ホースの引き出し使用部の収納作業を、更により円滑に行うことができる。蓋し、弾性蓄積部が蓄積した弾性エネルギーばかりか、弾性蓄積部に働く重力をも利用しつつ、引き出し使用部の収納を行うことができるからである。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、各請求項の発明によると、引き出し使用部を収納空間部に収納する収納作業を、円滑に行うことを可能とする、ホースの収納構造が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
次に、本各発明に係わる「ホースの収納構造(以下、「収納構造」という。)S」の最良の形態(以下、「実施例」という。)を図面に従って詳細に説明する。
【0034】
この収納構造Sは、図1等に示すように、所謂「洗面化粧台(シャワー付きの洗面台)」Dに対して適用されるものである。この洗面化粧台Dは、洗面所Eの壁部Hに沿って配置されるものである。つまり、背面部を洗面所Eの壁部Hに当接させ、底面部を洗面所Eの床部Yの上方に離間させつつ、洗面所E内に配置されるものである(図3〜図5を参照)。この洗面化粧台Dは、台本体10と、台本体10に装着された水栓本体20と、水栓本体20に装着された操作部31、32と、シャワーヘッド40と、シャワーホース50と、を備えている。尚、シャワーヘッド40と、シャワーホース50と、を用いて「吐水設備」の具体例が構成される。
【0035】
台本体10は、剛性の高い樹脂(例えば、FRP)を主体に構成される略箱状体であり、図3〜図5に示すように、背面部に開口部(点検口)11を備える。また、「台本体10の略板状とされた上面部」によって、設置部12の具体例を構成している。そして、洗面所Eの内部空間のうちで、設置部12の表側に位置する空間部によって使用空間部1が構成される、また、設置部12の裏側に位置する空間部、つまり、台本体10の内部に位置する空間部によって収納空間部2が構成される。
【0036】
図1に示すように、設置部12の幅方向(洗面化粧台Dの正面の使用者Mから見て横方向)に沿った中間部には、洗面ボール部13が凹設状に設けられている。また、設置部12において、洗面ボール部13よりも一方の側方側の部位(使用者Mから見て左側方側の部位)には、図3及び図4に示すように、2つの取付孔14、15が設けられている。これらの取付孔14、15は、何れも、設置部12を肉厚方向(上下方向)に貫通する状態に設けられている。尚、これらの取付孔14、15の一方(14)には、水栓本体20の一部を構成する流路切換部21が装着され(図3を参照)、他方(15)には、水栓本体20の他部を構成する温度調節部22が装着されている(図4を参照)。このように、水栓本体20は、流路切換部21と、温度調節部22とを別体で備えている。但し、この水栓本体20は、(a)流路切換部及び温度調節部を一体的に備える水栓本体、(b)流路切換部のみで構成される水栓本体、(c)流路切換機能を備えない吐止水部及び温度調節部を一体若しくは別体で備える水栓本体、(d)流路切換機能を備えない吐止水部のみで構成される水栓本体、等であってもよい。
【0037】
流路切換部21は、図3に示すように、内部に流路切換用の弁装置(図示を省略)を内蔵すると共に、軸心方向に沿った一端面から、この流路切換用の弁装置を操作するための操作軸(スピンドル)21aの一端側を突出させている。そして、流路切換部21は、この操作軸(スピンドル)21a一端側を、設置部12の上方に突出させつつ、取付孔14(設置部12)に装着されている。更に、この操作軸(スピンドル)21aの一端側には、操作部31(流路切換用のハンドル)が一体可動可能に装着されている。
【0038】
温度調節部22は、図4に示すように、内部に温度調節用の弁装置(図示を省略)を内蔵すると共に、軸心方向に沿った一端面から、この温度調節用の弁装置を操作するための操作軸(スピンドル)22aの一端側を突出させている。そして、温度調節弁部は、操作軸(スピンドル)22aの一端側を、設置部12の上方に突出させつつ、取付孔15(設置部12)に装着されている。更に、この操作軸(スピンドル)22aの一端側には、操作部32(温度調節用のハンドル)が一体可動可能に装着されている。
【0039】
尚、この設置部12の下方(収納空間部2)には、図2に示すように、給湯配管5の端末部と、給水配管6の端末部とが到達している。そして、給湯配管5の端末部は、温度調節部22の湯流入口22cに接続され、給水配管6の端末部は、温度調節部22の水流入口22dに接続されている。また、使用者Mが、操作部32を何れかの回転方向に操作すると、この操作方向と操作量に基づいて温度調節用の弁装置が稼働する。
【0040】
これにより、湯流入口22cを通じて温度調節部22に流入した湯(原湯)と、水流入口22dを通じて温度調節部22に流入した水(原水)とが、「温度調節用の弁装置」によって所定の混合割合で混合され、所定の温度の「混合水」となる。そして、この「混合水」は、温度調節部22の流出口22eから流出する。但し、使用者Mが操作部32に与える操作の態様によっては、給湯配管5から温度調節部22に供給された湯(原湯)が、流出口22eからそのまま流出したり、給水配管6から温度調節部22に供給された水(原水)が、流出口22eからそのまま流出することがある。
【0041】
設置部12の下方(収納空間2)には、流路切換部21と、温度調節部22とを連絡するための連絡管(図示を省略)が配置されている。この連絡管の一次側の端部は、温度調節部22の流出口22eに接続され、この連絡管の二次側の端部は、流路切換部21の流入口21bに接続されている。このため、温度調節部22の流出口22eから流出する湯水(混合水、湯、若しくは、水)が、流入口21bを通じて流路切換部21に流入する。
【0042】
流路切換部21は、図3に示すように、第1の流出口21cと、第2の流出口(図示を省略)とを備えている。尚、この第2の流出口は、「他の吐水設備(他の水栓)」に湯水を流出させるためのものである。この「他の吐水設備(他の水栓)」の態様は特に問わず、例えば、「カラン等の他の吐水具を用いて構成される吐水設備」や、洗面所Eに配設された「洗濯機用の水栓」、洗面所Eに隣接する使用空間に配置される水栓(例えば、浴室用水栓)を例示できる。
【0043】
使用者Mが、操作部31を一方の回転方向に操作すると、「流路切換用の弁装置内に設けられた流入路(流入口21bに一次側の端部を接続させた流路)」と、「流路切換用の弁装置内に設けられた第1の流出路(第1の流出口21cに、二次側の端部を接続させた流路)」とが連通し、流入口21bと第1の流出口21cとが連通する。これにより、流入口21bから流路切換部21に到達した湯水(混合水、湯、若しくは、水)を、第1の流出口21cを通じて流出させることが可能となる。
【0044】
一方、使用者Mが、操作部31を他方の回転方向に操作すると、「流路切換用の弁装置内に設けられた流入路(流入口21bに、一次側の端部を接続させた流路)」と、「流路切換用の弁装置内に設けられた第2の流出路(第2の流出口に、二次側の端部を接続させた流路)」とが連通し、流入口21bと第2の流出口(図示を省略)とが連通する。これにより、流入口21bから流路切換部21に到達した湯水(混合水、湯、若しくは、水)を、第2の流出口を通じて流出させることが可能となる。
【0045】
また、操作部31を何れの回転方向に操作する場合も、その操作量に基づいて、流路切換用の弁装置の開弁量が調節される。これにより、流路切換部21から流出する湯水(混合水、湯、若しくは、水)の量が調節される。
【0046】
図3に示すように、この流路切換部21の第1の流出口21cには、供給管27の一次側の端部が接続されている。この供給管27は、流路切換部21から流出する湯水(混合水、湯、若しくは、水)を、シャワーホース50に供給するためのものである。尚、この供給管27の二次側の端部27aは、接続具28を用いてシャワーホース50に接続されている(図6を参照)。
【0047】
この供給管27の二次側の端部27aは、固定具29を用いて収納空間部2内に固定されている。つまり、略アーチ状の把持部29aで、供給管27の二次側の端部27aを把持した状態で、この固定具29の取付代29bが、壁部H(台本体10の内部に位置する部位)にビス止め固定されている。尚、この固定具29は、「固定部材」の具体例を構成する。
【0048】
図1及び図5を用いて示されるように、設置部12において、洗面ボール部13よりも他方の側方側の部位(使用者Mから見て右側方側の部位)には、「挿通部」の具体例を構成する「挿通孔16」が設けられている。この挿通孔16は、図5に示すように、設置部12を肉厚方向(上下方向)に貫通する状態に設けられている。また、設置部12の上面であって、挿通孔16を周回する位置には、「保持部」の具体例を構成するホルダー17が配設されている。このホルダー17は、両端を開口させた略円筒形状に構成され、軸心方向に形成される中空部17aを挿通孔16に位置合わせしつつ、設置部12の上面から立ち上げられている。尚、このホルダー17によって実現されるシャワーヘッド40の着脱方向は、収納空間部2の床面に対して、シャワーホース50を略垂直に挿入したり、抜き出したりできる方向とすることが望ましい。
【0049】
シャワーホース50は、「ホース」の具体例を構成するものである。そして、金属製の螺旋管及び樹脂製チューブとを備える多層ホースを備える二重管を主体に構成されている(この二重構造の詳細な図示を省略)。つまり、このシャワーホース50は、所謂「メタルホース」と称されるホースであり、略蛇腹状で、金属製の螺旋管を用いて構成されるアウター管と、樹脂製チューブによって構成されると共にアウター管に挿通させるインナー管と、を備える。このシャワーホース50は、適度な弾性を備えている。
【0050】
図6及び図7に示すように、このシャワーホース50の一次側の端部51は、接続具28を用いて供給管27の二次側の端部27aに接続され、シャワーホース50の二次側の端部52は、シャワーヘッド40の基端部40aに接続されている。この供給管27の二次側の端部27aは、前述の固定具29を用いて壁部Hに固定的に支持されている。尚、シャワーホース50の一次側の端部51は、「第1の部位」の具体例を構成する。また、シャワーホース50の一次側の端部51は、請求項1の発明の「流入部」として機能する。更に、後述するシャワーホース50の二次側の端部52は、請求項1の発明の「流出部」として機能する。
【0051】
このシャワーホース50は、引き出し使用部53と、常時収納部55と、弾性蓄積部56とを備えている。尚、このシャワーホース50自体は、全体を通じて一体的なホースである。
【0052】
引き出し使用部53は、「二次側の端部52を含む、シャワーホース50の終端側の部分」である。この引き出し使用部53は、挿通孔16に挿通され、使用者Mの引き出し作業や収納作業に基づいて、所望の長さだけ、引き出したり、収納することが可能とされている。つまり、シャワーヘッド40の基端部40aをホルダー17に差し込むと、引き出し使用部53の略全体が、設置部12の裏側の収納空間部2に収納される。一方、使用者Mが、シャワーヘッド40をホルダー17から取り外し、自己の体(頭部等)の方向に引き寄せると、引き出し使用部53は、「シャワーホース50の二次側の端部52」を先頭に、使用空間部1(特に、洗面ボール部13上)に引き出される。
【0053】
常時収納部55は、引き出し使用部53と、弾性蓄積部56との間を構成する部分であり、引き出し使用部53が使用空間部1に引き出されているか否かを問わず、常時、収納空間部2に収納される。
【0054】
弾性蓄積部56は、「一次側の端部51を含む、シャワーホース50の始端側の部分」である。この弾性蓄積部56は、シャワーホース50の一次側の端部51側の部分を、中心角が略360度の「略渦巻き形(縦巻きの渦巻き形)」として構成されるもである。つまり、弾性蓄積部56は、大小2つのU字形部分57、58を対向状に組み合わせた形状を備えている。尚、弾性蓄積部56自体も、シャワーホース50全体と同様に、一体的である。
【0055】
弾性蓄積部56の一次側の部位を構成する「小型のU字形部分57」は、その一端部57bによって、シャワーホース50の一次側の端部51を構成すると共に軸線方向に沿った中間部に湾曲部57aを形成している。また、弾性蓄積部56の二次側の部位を構成する「大型のU字形部分58」は、一端部58bを、小型のU字形部分57の他端部57cと一体化させ、他端部58cを、常時収納部55の一次側の端部55aと一体化されている。また、大型のU字形部分58も、軸線方向に沿った中間部に湾曲部58aを形成している。そして、この湾曲部58aと、前述の「小型のU字形部分57」の湾曲部57aとは、相互に対向する状態となっている。
【0056】
この弾性蓄積部56においては、その一次側の端部56a(シャワーホース50の一次側の端部51)が、挿通孔16の方向とは逆方向に向けられつつ、接続具28を用いて供給管27の二次側の端部27aに接続されている。そして、軸心を、2つの湾曲部57a、58aによって、2度湾曲させた後、弾性蓄積部56の二次側の端部を56bが常時収納部55の一次側の端部55aと一体化されている。
【0057】
このシャワーホース50においては、弾性蓄積部56の二次側の端部56bが、ガイドリング60によって支持されている。尚、この二次側の端部56bは、「第2の部位」の一つの具体例を構成する。このガイドリング60は、ガイド部材の具体例を構成するものであり、シャワーホース50の軸心方向に沿った移動を許容し、シャワーホース50の径方向への移動を当該ガイドリング60内に抑制しつつ、弾性蓄積部56の二次側の端部56bを支持する。このガイドリング60は、壁部Hのうちで収納空間部2内に位置する部位に回転可能な状態で支持されている。つまり、このガイドリング60は、図8(a)及び(b)に示すように、外周部60aと内周部60bとをガイドリング60の半径方向に貫通する貫通孔60cが形成されている。そして、この貫通孔60cに対して、ガイドリング60の中心方向から半径外側方向に向かって、ビス61の軸部が遊入される。その際、このビス61の軸部は壁部Hに埋設されるため、このガイドリング60は壁部Hに装着されている。
【0058】
このガイドリング60は、1つの直径方向を壁部Hに直交させつつ、ビス61の軸心周りに回転可能な状態で壁部Hに装着されている。このガイドリング60の内径は、シャワーホース50(弾性蓄積部56)の外径よりも大きくされている。このため、シャワーホース50(引き出し使用部53)の引き出し作業や、収納作業を行う際に、仮に、シャワーホース50に予定外の上下動(壁部Hの上下方向に沿った動き)や、予定外の前後動(壁部Hの前後方向に沿った動き)を生じても、ガイドリング60をビス61の軸心回りに回転させたり、シャワーホース50(引き出し使用部53)をガイドリング60の半径方向に揺動させ、この予定外の上下動や予定外の前後動を吸収することができる。
【0059】
図6及び図7に示すように、弾性蓄積部56の軸心方向に沿った中間部(具体的には、2次側に位置する湾曲部58aの中間部であって、「第2の部位」の他の具体例も構成する。)は、前述のガイドリング60とは異なる態様のガイド部材(以下、「第2のガイド部材」という。)70によって支持されている。この第2のガイド部材70は、「湾曲中間部用のガイド部材」の具体例を構成し、略アーチ状の本体部70aと、その両端から突出する取付代70bとを備えている。そして、本体部70aによって、シャワーホース50の外周部を包囲した状態で、取付代70bを、壁部Hにビス止め固定し、この壁部Hに固定されている。この本体部70aは、その内面部と壁部Hとの間にシャワーホース50を遊入可能な通過空間を形成する。このため、この第2のガイド部材70は、シャワーホース50の軸心方向に沿った移動を許容し、シャワーホース50の径方向(上下方向)に沿った移動を略禁止しつつ、弾性蓄積部56の中間部を支持している。尚、本実施例では、各ガイドリング60、60Aを、シャワーホース50の径方向への移動を当該ガイドリング60、60A内で許容する構造としたが、これらのガイドリング60、60Aにおいても、シャワーホース50の径方向への移動を略禁止してもよい。
【0060】
常時収納部55の中間部も、前述のガイドリング60と同様なガイドリング60Aで支持されている。このガイドリング60Aは「外部ガイド部材」の具体例を構成する。また、このガイドリング60Aも、1つの直径方向を壁部Hに直交させつつ、ビス61Aの軸心周りに回転可能な状態で壁部Hに装着されている。このガイドリング60Aの内径も、シャワーホース50の外径よりも大きくされている。このため、シャワーホース50の引き出し作業や、収納作業を行う際に、仮に、シャワーホース50に予定外の上下動(壁部Hの上下方向に沿った動き)や、予定外の前後動(壁部Hの前後方向に沿った動き)を生じても、ガイドリング60Aをビス61Aの軸心回りに回転させたり、シャワーホース50(引き出し使用部53)をガイドリング60Aの半径方向に揺動させ、この予定外の上下動や予定外の前後動を吸収することができる。
【0061】
尚、本実施例では、シャワーホース50の軸心に沿って、二次側に配設されるガイドリング60Aは、一次側に配設されるガイドリング60よりも、壁部Hのより下方側に装着されている。このため、常時収納部55が、その軸心をシャワーホース50の二次側に向かって下り傾斜状としている。また、固定具29は、ガイドリング60よりも下方に配設されると共に、固定具29よりも、ガイドリング60の方が、シャワーヘッド40に近接する位置に配置されている。
【0062】
以上の洗面化粧台Dにおいて、使用者Mがシャワーヘッド40をホルダー17から取り外すと、引き出し使用部53は、「シャワーホース50の二次側の端部52」を先頭に、使用空間部1(特に、洗面ボール部13上)に引き出される。そして、このシャワーホース50が、引き出される量が所定量を超えると、常時収納部55が、収納空間部2内で挿通孔16により近接する部位に移動する。これに伴い、弾性蓄積部56において、2次側の端部56b側の部分が、収納空間部2内で挿通孔16により近接する部位に移動する。このため、図9に示すように、弾性蓄積部56は、両湾曲部57a、58aの曲率を大きくするような弾性変形を行って(一点鎖線を参照)、弾性蓄積部56に弾性エネルギーが蓄積させる。
【0063】
一方、使用者Mがシャワーヘッド40をホルダー17に装着すると(ホルダー17に、シャワーヘッド40を保持させると)、引き出し使用部53は、挿通孔16を通じて収納空間部2内に挿入される。このとき、弾性蓄積部56から弾性エネルギーが放出され、両湾曲部57a、58aの弾性変形が解除される。つまり、弾性蓄積部56が弾性変形前の状態を復元することで、引き出し使用部53及び常時収納部55が、収納空間部2の奥側(挿通孔16からより離間する側)に引き込まれる。このため、引き出し使用部53を収納空間部2に収納する作業は円滑に行われる。
【0064】
本実施例によると、引き出し使用部53を、シャワーヘッド40と一体にて使用空間部1に引き出した場合、湾曲部57a、58aにその曲率を増加させるような弾性変形を与えることができる。この弾性変形は、使用者Mが、シャワーヘッド40を使用している間は維持される。一方、シャワーヘッド40の使用を取り止めると、湾曲部57a、58aはその弾性変形を解除する。そして、この湾曲部57a、58aはその弾性変形を解除する際に放出される弾性エネルギーを用いて(その弾性変形を解除する際に放出される反力を用いて)、引き出し使用部53は収納空間部2内に引き込まれる。よって、本実施例によると、引き出し使用部53を収納空間部2に収納する収納作業を円滑に行うことができる。
【0065】
しかも、本実施例では、弾性蓄積部56の形態が、固定具29と、ガイドリング60、60Aと、第2のガイド部材70との作用によって維持されるため、「引き出し使用部53の収納作業の円滑化」という効果を確実に維持することができる。
【0066】
また、本実施例では、壁部Hに装着される「固定具29、ガイドリング60、及び、第2のガイド部材70」によって、弾性蓄積部56を持ち上げるばかりか、ガイドリング60A(外部ガイドリング)を用いて常時収納部55を持ち上げている。このため、シャワーホース50の収納作業や引き出し作業を行う際に、シャワーホース50と、収納空間部2の底部間に生ずる摩擦抵抗を軽減できる。よって、本実施例によると、この点からも、「引き出し使用部53の収納作業の円滑化」という効果を得ることができる。
【0067】
また、本実施例では、ガイドリング60よりも下方に固定具29を配置し、弾性蓄積部56に働く重力をも利用しつつ、引き出し使用部56の収納を行うことができる。このため、「引き出し使用部53の収納作業の円滑化」という効果をより一層、確実に維持することができる。
【0068】
更に、本実施例では、第2のガイド部材70によって、大型の湾曲部58を保護するため、「収納作業を円滑化する効果」を長期間に渡って発揮できる。また、本実施例では、「弾性蓄積部56を設ける」という、簡単な改良をシャワーホース50に加えることで、「引き出し使用部53の収納作業の円滑化」という効果を得ることができる。つまり、この「円滑化」という効果を得るために、シャワーヘッド40の使用者、製造業者、施工業者等に大きな「費用上の負担」を与えることはない。
【0069】
尚、本各発明の範囲は前記各実施例に示す具体的な態様に限定されず、本各発明の範囲内で種々の変形例を例示できる。つまり、シャワーヘッド40と、固定具29と、ガイドリング60、60Aと、第2のガイド部材70の位置関係や寸法関係は、収納空間部2の広さや、設置部(カウンター)12の形状等に応じて種々変更可能である。但し、その場合も、シャワーヘッド40と、固定具29と、ガイドリング60、60Aと、第2のガイド部材70の高さの位置関係を、実施例と共通とすると、好適である。つまり、ガイドリング60Aをガイドリング60よりも、壁部Hのより下方側に装着し、常時収納部55をシャワーホース50の二次側に向かって下り傾斜状とする。しかも、固定具29をガイドリング60よりも下方に配設し、固定具29よりも、ガイドリング60の方が、シャワーヘッド40に近接する位置に配置されることが望ましい。
【0070】
また、本実施例では、弾性蓄積部56を、中心角が略360度の「渦巻き形状」に構成したが、弾性蓄積部56の形状(軸心の描く形状)はこれに限定されにない。例えば、図10(a)の変形例1に示すように、弾性蓄積部56を、中心角が略90度等の「円弧形状」に構成してもよいし、図10(b)の変形例2に示すように、弾性蓄積部56を、「略U形状」に構成してもよい。
【0071】
本実施例では、ガイドリング60よりも下方に固定具29を配置したが、図11(a)の変形例3に示すように、ガイドリング60よりも上方に固定具29を配置してもよい。また、本実施例では、弾性蓄積部56を、シャワーホース50の一次側の端部51を含む状態に設けたが(弾性蓄積部56を、シャワーホース50の一次側の端部51側の部位によって構成したが)、図11(b)の変形例4に示すように、弾性蓄積部56を、シャワーホース50の中間部に(一次側の端部51を含まない状態に)設けてもよい。尚、この変形例4では、シャワーホース50の中間部に、第1の部位を設け、当該第1の部位を固定具29で固定している。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、例えば、水栓の製造、販売、施工、加工等を行う分野で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施例の洗面化粧台の要部を示す平面図である。
【図2】実施例の洗面化粧台の要部を示す背面図である。
【図3】図1の1−1断面図(図2の1a−1a断面図)である(但し、要部のみを示す。)。
【図4】図1の2−2断面図(図2の2a−2a断面図)である(但し、要部のみを示す。)。
【図5】図1の3−3断面図(図2の3a−3a断面図)である(但し、要部のみを示す。)。
【図6】弾性蓄積部を説明するための斜視図である。
【図7】弾性蓄積部を説明するための正面図である。
【図8】(a)及び(b)はガイドリングを説明するための説明図である。
【図9】弾性蓄積部の作用を説明するための説明図である。
【図10】(a)は変形例1を説明するための正面図、(b)は変形例2を説明するための正面図である。
【図11】(a)は変形例3を説明するための正面図、(b)は変形例4を説明するための正面図である。
【符号の説明】
【0074】
S;収納構造、
1;使用空間部、
2;収納空間部、
12;設置部、
29;固定具(固定部材)、
40;シャワーヘッド、
50;シャワーホース(ホース)、
51;1次側の端部、
52;2次側の端部、
53;引き出し使用部、
56;弾性蓄積部、
56a;1次側の端部、
56b;2次側の端部、
60;ガイドリング(ガイド部材)、
60A;ガイドリング(外部ガイド部材)、
70;第2のガイド部材(湾曲中間部用のガイド部材)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の吐水具を着脱可能に保持するための保持部が設けられた設置部と
一次側の端部を、湯水を流入させる流入部とし、二次側の端部を前記吐水具に湯水を流出させる流出部とすると共に、前記吐水具が前記保持部に保持される場合に前記設置部の裏側の収納空間部に収納され、前記吐水具が前記保持部から取り外された場合に、前記設置部の挿通部を通じて、前記設置部の表側の使用空間部に引き出される、引き出し使用部を備えるホースと、
を備える吐水設備において、前記ホースを前記収納空間部に収納するためのホースの収納構造であって、
前記ホースの前記引き出し使用部よりも一次側の部位において、軸心を湾曲させた湾曲部を備える弾性蓄積部が設けられ、
前記ホースにおいて前記湾曲部よりも一次側に位置する第1の部位を固定的に支持するための固定部材が前記収納空間部内に配設されると共に、
該ホースにおいて前記第1の部位よりも二次側に位置する第2の部位を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持するためのガイド部材が前記収納空間部内に配設されることを特徴とするホースの収納構造。
【請求項2】
前記第1の部位は、前記弾性蓄積部の一次側の端部であることを特徴とする請求項1に記載のホースの収納構造。
【請求項3】
前記第2の部位は、前記弾性蓄積部の二次側の端部、及び、前記弾性蓄積部の軸心方向に沿った中間部のうちの少なくとも一方から選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のホースの収納構造。
【請求項4】
前記湾曲部の軸心方向に沿った中間部を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持する湾曲中間部用のガイド部材が前記収納空間部内に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のホースの収納構造。
【請求項5】
前記ホースにおいて、前記引き出し使用部と、前記弾性蓄積部との中間に位置する所定の部位を、前記ホースの軸心方向に沿った移動を許容しつつ支持する外部ガイド部材が前記収納空間部内に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のホースの収納構造。
【請求項6】
前記弾性蓄積部の軸心は、略長円形、略U字形、略円形、略楕円形、若しくは、中間角が270〜720度以下の渦巻き形となる部分を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載のホースの収納構造。
【請求項7】
前記固定部材は、前記ガイド部材よりも下方に配設されることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載のホースの収納構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−2546(P2007−2546A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184325(P2005−184325)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】