説明

ホームドア装置及びその設置方法

【課題】ホームドア装置のガイド体の設置位置の調整を容易にできるようにする。
【解決手段】プラットホームの所定の載置面に載置されてプラットホームに固定される基板部27と、基板部27に形成される基板側ボルト孔と、ドア部の移動方向と直交する方向に長い断面形状の第1長孔21aと、第1支持板部21に形成される第1ボルト孔と、第1長孔21aとは直交する方向に長い断面形状の第2長孔22aと、第1長孔21a及び基板側ボルト孔に挿通されて、基板部27と第1支持板部21とを締結する第1ボルト52と、第2長孔22a及び第1ボルト孔に挿通されて、第1支持板部21と第2支持板部22とを締結する第2ボルト54と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置およびその設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されているように、プラットホームの縁部に設置されて乗降口を開閉するホームドア装置が知られている。この特許文献1に開示されたホームドア装置は、ガイド体(戸袋)の線路側と反線路側にそれぞれ独立して設けられる固定金具を備えており、これらの固定金具がプラットホームに穿設された取付け孔にそれぞれ挿通されて固定されることにより、ホームドア装置がプラットホームに固定されている。固定金具は、ボルト状の金具であり、取付け孔は、この固定金具が挿通可能な取付け孔として構成されている。このホームドア装置を設置する際には、取付け孔の分だけはつり作業を行えばよいので、はつり作業を大幅に軽減できて、設置のための作業時間を短縮することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−306229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のホームドア装置では、固定金具が挿通可能な取付け孔をプラットホームに形成すればいいので、はつり作業を大幅に軽減できるという利点がある。その反面、取付け孔の位置によってガイド体の位置が決まってしまうため、ガイド体を正確に位置決めするには、取付け孔を正確に穿設しなければならない。一方、プラットホームの上面はモルタルやタイル等で構成されているため、プラットホーム上面が正確に水平面になっていないこともあり、取付け孔を正確に形成したとしても、いざガイド体を設置してみると、隣り合うガイド体同士の位置が正確に合わないという事態も生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ホームドア装置のガイド体の設置位置の調整を容易にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明は、乗降口を開閉可能なドア部と、このドア部を進退移動可能に支持するガイド体と、を備えているホームドア装置であって、プラットホームの所定の載置面に固定される基板部と、前記基板部に対して前記ガイド体の位置を調整可能な調整手段と、を備えているホームドア装置である。
【0007】
本発明では、調整手段により、プラットホームの所定の載置面に固定される基板部に対してガイド体の位置を調整することができるので、基板部がプラットホームに正確に位置決めされない場合であっても、ガイド体を正確な位置に設定することが可能となる。また、基板部がプラットホームに固定された状態で、基板部に対してガイド体の位置調整を行うことができるので、プラットホームの載置面が正確な水平面に形成されていない場合でも、ガイド体の位置を微調整しながらガイド体の設置を行うことができる。したがって、ガイド体の設置位置の調整を容易なものとすることができる。
【0008】
ここで、前記ガイド体は、前記基板部の上面に重合される第1支持板部と、この第1支持板部の上面に載置される第2支持板部と、この第2支持板部に支持されるガイド体本体と、を有し、前記調整手段は、前記基板部に形成される基板側ボルト孔と、前記第1支持板部に形成され、前記ドア部の移動方向又はこれと直交する方向に長い断面形状の第1長孔と、前記第1支持板部に形成される第1ボルト孔と、前記第2支持板部に形成され、前記第1長孔とは直交する方向に長い断面形状の第2長孔と、前記第1長孔及び前記基板側ボルト孔に挿通されて、前記基板部と前記第1支持板部とを締結する第1ボルトと、前記第2長孔及び前記第1ボルト孔に挿通されて、前記第1支持板部と前記第2支持板部とを締結する第2ボルトと、を有するのが好ましい。
【0009】
この態様では、第1長孔内において第1ボルトの位置をドア部の移動方向又はこれと直交する方向に変えることにより、基板部に対する第1支持板部の位置を変えることができる。また、第2長孔内において第2ボルトの位置を第1長孔の断面長手方向と直交する方向に変えることにより、第1支持板部に対する第2支持板部(ガイド体本体)の位置を変えることができる。したがって、水平面内においてガイド体本体の位置調整を行うことができる。
【0010】
この態様において、前記調整手段は、前記第1支持板部に対する前記第2支持板部の高さを調整するための高さ調整用ボルトを有していてもよい。
【0011】
この態様では、高さ調整用ボルトによって第2支持板部(ガイド体本体)の高さを連続的に変えることができる。したがって、上下方向においてガイド体本体の位置を任意の高さに調整することができる。
【0012】
また、前記調整手段は、前記第1支持板部と第2支持板部との間に介装される所定厚みのシムを有していてもよい。
【0013】
この態様では、第1支持板部と第2支持板部との間に挟み込まれるシムの厚みを変えることにより、第2支持板部(ガイド体本体)の高さを変えることができる。したがって、上下方向においてガイド体本体の位置調整を行うことができる。
【0014】
本発明は、前記ホームドア装置の設置方法であって、基板部をプラットホームの所定の載置面に載置して固定し、前記基板部に対してガイド体の位置を調整して、前記ガイド体を前記基板部に対して固定するホームドア装置の設置方法である。
【0015】
本発明は、前記ホームドア装置の設置方法であって、基板部をプラットホームの所定の載置面に載置して固定し、第1ボルトが第1長孔及び基板側ボルト孔に挿通された状態で前記基板部に対する第1支持板部の位置を調整し、第2ボルトが第2長孔及び第1ボルト孔に挿通された状態で前記第1支持板部に対する第2支持板部の位置を調整し、前記第1ボルトで前記基板部と前記第1支持板部とを互いに締結し、前記第2ボルトで前記第1支持板部に前記第2支持板部を締結するホームドア装置の設置方法である。
【0016】
前記ホームドア装置の設置方法において、高さ調整用ボルトで前記第1支持板部に対する前記第2支持板部の高さを調整するようにしてもよい。
【0017】
また、前記ホームドア装置の設置方法において、ガイド体本体の高さ位置が所定位置となるように所定の厚みを有するシムを選び、前記第1支持板部と前記第2支持板部との間に介装するようにしてもよい。
【0018】
また、前記ホームドア装置の設置方法において、ガイド体が設置されるプラットホームの所定の載置面の高さ位置を予め計測しておいて、前記ガイド体が所定の高さとなるように前記第1支持板部及び前記第2支持板部の少なくとも一方の厚みを調整し、前記基板部の上面に前記第1支持板部を重合するとともにこの第1支持板部の上面に第2支持板部を重合し、前記基板部に前記第1支持板部及び前記第2支持板部を固定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、ホームドア装置のガイド体の設置位置の調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係るホームドア装置の正面図である。
【図2】プラットホームに設置された状態の図1の右側のガイドボックス、ドア部及び支持ボックスを示す図である。
【図3】プラットホームに設置された状態の図1の右側のガイドボックス及びドア部を戸尻側からみた断面図である。
【図4】図2の下部を部分的に拡大して示す図である。
【図5】図3の下部を部分的に拡大して示す図である。
【図6】図1のホームドア装置の調整手段を説明するための図である。
【図7】本発明のその他の実施形態に係るホームドア装置の調整手段を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係るホームドア装置10をホーム側から軌道側に向かって見た正面図である。同図に示すように、ホームドア装置10は、プラットホームPの軌道側縁部に沿って所定の間隔を置いて配置される一対のガイドボックス12,12と、各ガイドボックス12,12に移動可能な状態で支持される引戸式の一対のドア部14,14と、を備えている。ガイドボックス12は、本発明におけるガイド体の概念に含まれるものである。
【0023】
このホームドア装置10が、固定仕切り壁等を介装した状態でプラットホームPの縁部に沿って多数並べられると、プラットホームP上が軌道側とその内側(ホーム内側)とに仕切られることになる。そして、図1のように両ドア部14が閉じ位置にあるときは、ガイドボックス12間の乗降口20が閉鎖される一方、ドア部14が開き位置まで後退することにより乗降口20が開放される。
【0024】
各ガイドボックス12は、プラットホームP上に設置可能に構成されるものであり、軌道に沿う方向(図1における左右方向)にドア部14が貫通可能となっている。なお、本実施形態のホームドア装置10はいわゆる両引き式の可動柵として構成されているが、これに限られるものではなく、例えば、1つのガイドボックス12と、このガイドボックス12に支持される1つのドア部14とを有する片引き式の可動柵として構成されていてもよい。
【0025】
ここで、ガイドボックス12およびドア部14の具体的な構成について、図2から図5を参照しながら説明する。図1の左側のガイドボックス12及びドア部14は、右側のガイドボックス12及びドア部14と対称的な構成となっているので、ここでは図1における右側のガイドボックス12及びドア部14の構成についてのみ説明する。
【0026】
ガイドボックス12は、第1支持板部21と、この第1支持板部21の上面に載置される第2支持板部22と、この第2支持板部22に支持されるガイド体本体23と、を有する。
【0027】
第1支持板部21は、矩形平板状に形成されており、ガイドボックス12を設置するためのプラットホームPの所定の載置面25に載置される基板部27の上面に重合される。基板部27は、プラットホームPに設けられたPC板(プレストレストコンクリート板)29の下面に重合されるように配置された下側板31とともにPC板29に固定されている。具体的には、基板部27及び下側板31にはボルト挿通孔が形成され、またPC板29には上下に貫通する貫通孔が形成されている。そして、基板部27のボルト挿通孔、PC板29の貫通孔及び下側板31の貫通孔に挿通されたボルト33にナット34が螺合されることにより、基板部27及び下側板31でPC板29を挟むようにして、基板部27がプラットホームPに固定されている。基板部27及び下側板31はワッシャとしても機能している。なお、PC板29は、図3に示すように、プラットホームPの本体部P1から軌道側に張り出すように水平に配設され、このPC板29が軌道に沿って並べられることでプラットホームPの軌道側縁部が形成されている。そして、PC板29の下側は空間となっている。
【0028】
第2支持板部22は、第1支持板部21よりも少し小さな矩形平板状に形成されており、第1支持板部21に重ね合わされている。ガイド体本体23は、第2支持板部22の上に配設される基台部37と、この基台部37の上に絶縁板38を介装した状態で配設されるボックス部39と、を有する。
【0029】
絶縁板38は、絶縁性を有する材質の板材であり、軌道方向に互いに間隔をおいて配設されている。絶縁板38間に間隙が形成されることで、水抜きとしても機能する。
【0030】
基台部37は、例えば矩形平板状に形成されていてもよく、あるいは板材又は棒材を枠状に組み付けた構成としてもよい。本実施形態では、基台部37は板材を枠状に組み付けた構成とされている。基台部37は、第2支持板部22の上面に溶接により固定されている。ガイドボックス12の設置後は、基台部37の中間高さまでモルタルMが敷設され、その上面がプラットホームPの上面P2となる。したがって、基板部27、第1支持板部21、第2支持板部22はモルタルM中に埋設されることになる。
【0031】
ボックス部39は、ケーシング42と、ケーシング42内に配設された駆動機構(図示省略)とを有する。駆動機構は、ドア部14を開閉駆動するためのものであり、周知のものが採用される。本実施形態では例えばベルト駆動機構が採用されているが、駆動機構としては、ラックアンドピニオンを用いてドア部14を駆動する方式のものでもよい。
【0032】
ケーシング42は、底板部42aを有しており、この底板部42aは絶縁板38上に載置されて、絶縁板38及び基台部37と締結されている。ケーシング42は、底板部42a以外にも、幅方向(ドア開閉方向)に間隔をおいて配置される一対の端部壁42b,42bと、厚み方向(ドア開閉方向と直交する方向)に間隔をおいて配置される一対の側部壁42c,42cと、端部壁42b,42b及び側部壁42c,42cの上端部同士を繋ぐ天部42dと、を有し、平面視で矩形状の中空状に形成されている。なお、軌道側の側部壁42c,42cには、乗降口20の通行人を検知するための補助センサ44が上下の2個所に配設されている。
【0033】
端部壁42b,42bには、ドア部14を挿通させる開口部がそれぞれ形成されていて、ドア部14は、ガイドボックス12を貫通している。ドア部14は、図2に示すように、複数のフレーム材によって構成される枠体部14aを有し、その内側に透明パネル14b及び金属パネル14cが嵌め込まれた構成である。
【0034】
ガイドボックス12内には、前述したように駆動機構が配設されている。駆動機構は、ガイドボックス12の外部から送られる制御信号によって制御される。このため、ガイドボックス12内には信号線や電源線(図示省略)が引き込まれているが、これら信号線等は、PC板29の下側に配索されている。下側板31には、これら信号線等を収納可能な収納部46が設けられている。そして、信号線等は、下側板31、PC板29、基板部27、第1支持板部21、第2支持板部22、基台部37、底板部42aをそれぞれ貫通してガイドボックス12内に引き込まれている。
【0035】
ここで、ガイドボックス12の位置調整について説明する。
【0036】
本ホームドア装置10は、基板部27に対してガイドボックス12の位置を調整可能な調整手段50を備えている。図4〜図6に示すように、調整手段50は、基板側ボルト孔27a、第1長孔21a、第1ボルト孔21b、第2長孔22a、第1ボルト52、第2ボルト54及び高さ調整用ボルト56を有する。
【0037】
基板側ボルト孔27a、第1長孔21a及び第1ボルト52により、ドア部14の移動方向(軌道に沿う方向)とは直交する方向における水平方向のガイドボックス12の位置調整が可能となっている。具体的には、基板側ボルト孔27aは、基板部27に形成された貫通孔であり、第1ボルト52のネジ部の径に対応した大きさを有する。第1長孔21aは、第1支持板部21に形成された貫通孔であり、ドア部14の移動方向とは直交する方向に長い断面形状を有している。そして、第1ボルト52は、ワッシャ58を介装して基板側ボルト孔27a及び第1長孔21aに挿通されている。このため、第1長孔21a内においてドア部14の移動方向とは直交する方向に第1ボルト52の位置を変えることが可能となっている。そして、ガイドボックス12がドア部14の移動方向とは直交する方向において所望の位置となった状態でナット59を第1ボルト52に螺合することにより、基板部27に対して第1支持板部21を締結することができる。図5に示すように、PC板29の上面には、第1ボルト52の頭部が干渉しないようにボルト溝29aが形成されている。このボルト溝29aは、第1ボルト52の位置が移動したとしても頭部が干渉しない大きさを有している。
【0038】
第1ボルト孔21b、第2長孔22a及び第2ボルト54により、ドア部14の移動方向における水平方向のガイドボックス12の位置調整が可能となっている。具体的には、第1ボルト孔21bは、第1支持板部21に形成されたボルト締結孔であり、第2ボルト54のネジ部に対応した雌ネジが形成されている。一方、第2長孔22aは、第2支持板部22に形成された貫通孔であり、ドア部14の移動方向に長い断面形状を有している。そして、第2ボルト54は、ワッシャ61を介装して第2長孔22aに上から挿通されて第1ボルト孔21bに螺合されている。このため、第1ボルト孔21bに螺合された第2ボルト54の位置を第2長孔22a内においてドア部14の移動方向に変えることができる。そして、ガイドボックス12がドア部14の移動方向における所望の位置となった状態で第1支持板部21と第2支持板部22とが互いに締結されている。
【0039】
なお、基板側ボルト孔27aをボルト締結孔により構成し、第1ボルト52を第1支持板部21に上から挿入して基板側ボルト孔27aに螺合させる構成としてもよい。また、第1ボルト孔21bを雌ネジの形成されていない貫通孔により構成し、第2ボルト54にナットを螺合させる構成としてもよい。この場合、PC板29の上面に、ナット又はボルトの頭部の干渉を防止するためのボルト溝を形成する必要がある。
【0040】
高さ調整用ボルト56は、第2支持板部22に貫通形成されたボルト締結孔に螺合される。高さ調整用ボルト56を上からねじ込んでいくと、ボルト56の下端部が第1支持板部21を押圧し、それに応じて第2支持板部22は第1支持板部21から浮き上がって離れる。これにより、ガイドボックス12の高さを微調整することができる。
【0041】
次に、ホームドア装置10の設置方法について説明する。まず、ガイドボックス12が載置される載置面25として形成されたPC板29の上面に基板部27を載置するとともに、PC板29の下面に下側板31を配設し、PC板29を挟み込んだ状態で基板部27及び下側板31をボルト33で締結する。これにより、基板部27がプラットホームの載置面25に固定される。
【0042】
続いて、基板部27上に第1支持板部21を載置するとともに、その上にガイド体本体23が固定された第2支持板部22を載置する。そして、基板部27の基板側ボルト孔27aと第1支持板部21の第1長孔21aとに亘って第1ボルト52を挿通し、ナット59を螺合する。このときはまだ仮止めのため、第1支持板部21はドア部14の移動方向に直交する方向に移動可能となっている。また、第2支持板部22の第2長孔22aに第2ボルト54を挿通するとともに、この第2ボルト54を第1支持板部21の第1ボルト孔21bに螺合する。このときはまだ仮止めのため、第2支持板部22は、第1支持板部21に対してドア部14の移動方向に移動可能となっている。
【0043】
この状態で、第1支持板部21をドア部14の移動方向に直交する方向にずらすとともに第2支持板部22をドア部14の移動方向にずらすことにより、ガイド体本体23が所望の水平位置になるように、基板部27に対する第2支持板部22(ガイド体本体23)の位置を調整する。このとき、両長孔21a,22aの範囲内で水平方向の任意の位置にガイド体本体23をずらすことができる。そして、基板部27に対して第1支持板部21がずれないように第1ボルト52にナット59を強く螺合して、第1支持板部21を固定する。
【0044】
続いて、高さ調整用ボルト56をボルト締結孔にねじ込んでいき、ガイド体本体23の高さが所望の高さになるように、第1支持板部21に対する第2支持板部22の高さを調整し、最後に第2ボルト54をねじ込んで第1支持板部21と第2支持板部22とを互いに締結する。これにより、ガイド体本体23が水平方向及び上下方向に調整された状態でガイドボックス12が基板部27(プラットホームP)に固定される。
【0045】
以上説明したように、本実施形態では、調整手段50により、プラットホームPの所定の載置面25に固定される基板部27に対してガイドボックス12の位置を調整することができるので、基板部27がプラットホームPに正確に位置決めされない場合であっても、ガイドボックス12を正確な位置に設定することが可能となっている。また、基板部27がプラットホームPに固定された状態で、基板部27に対してガイドボックス12の位置調整を行うことができるので、プラットホームPの載置面25が正確な水平面に形成されていない場合でも、ガイドボックス12の位置を微調整しながらガイドボックスの設置を行うことができる。したがって、ガイドボックス12の設置位置の調整を容易なものとすることができる。
【0046】
また本実施形態では、第1長孔21a内において第1ボルト52の位置をドア部14の移動方向に変えることにより、基板部27に対する第1支持板部21の位置を変えることができる。また、第2長孔22a内において第2ボルト54の位置をドア部の移動方向と直交する方向に変えることにより、第1支持板部21に対する第2支持板部22(ガイド体本体23)の位置を変えることができる。したがって、水平面内においてガイド体本体23の位置調整を行うことができる。
【0047】
さらに本実施形態では、高さ調整用ボルト56によって第2支持板部22(ガイド体本体23)の高さを連続的に変えることができる。したがって、上下方向においてガイド体本体23の高さ位置を任意の高さに調整することができる。
【0048】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態では、第1長孔21aがドア部14の移動方向とは直交する方向に長い断面形状を有し、第2長孔22aがドア部14の移動方向に長い断面形状を有する構成としたがこれに限られるものではなく、第1長孔21aがドア部14の移動方向に長い断面形状を有し、第2長孔22aがドア部14の移動方向に直交する方向に長い断面形状を有する構成としてもよい。
【0049】
前記実施形態では、高さ調整用ボルト56で第2支持板部22の高さを変更可能な構成としたが、これに代え、図7に示すように、調整手段50が第1支持板部21と第2支持板部22との間に介装されるシム65を有する構成としてもよい。シム65は、ガイド体本体23が所望の高さ位置になるように、厚み及び枚数を適宜選択して挿入される。また、高さ調整用ボルト56及びシム65の双方により第2支持板部22の高さを変更可能な構成としてもよい。
【0050】
前記実施形態では、ガイドボックス12の設置時にガイド体本体23の高さ位置の調整を行うようにしたが、これに代え、ガイドボックス12が設置される載置面25の高さを予め測定しておいて、この測定結果に応じて第1支持板部21及び第2支持板部22の少なくとも一方の厚みが調整されたガイドボックス12を設置するようにしてもよい。またこれに代え、又はこれとともに、基台部37の高さを調整したガイドボックス12を設置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
12 ガイドボックス
14 ドア部
20 乗降口
21 第1支持板部
21a 第1長孔
21b 第1ボルト孔
22 第2支持板部
22a 第2長孔
23 ガイド体本体
25 載置面
27 基板部
27a 基板側ボルト孔
50 調整手段
52 第1ボルト
54 第2ボルト
56 高さ調整用ボルト
65 シム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口を開閉可能なドア部と、このドア部を進退移動可能に支持するガイド体と、を備えているホームドア装置であって、
プラットホームの所定の載置面に固定される基板部と、
前記基板部に対して前記ガイド体の位置を調整可能な調整手段と、を備えているホームドア装置。
【請求項2】
前記ガイド体は、前記基板部の上面に重合される第1支持板部と、この第1支持板部の上面に載置される第2支持板部と、この第2支持板部に支持されるガイド体本体と、を有し、
前記調整手段は、
前記基板部に形成される基板側ボルト孔と、
前記第1支持板部に形成され、前記ドア部の移動方向又はこれと直交する方向に長い断面形状の第1長孔と、
前記第1支持板部に形成される第1ボルト孔と、
前記第2支持板部に形成され、前記第1長孔とは直交する方向に長い断面形状の第2長孔と、
前記第1長孔及び前記基板側ボルト孔に挿通されて、前記基板部と前記第1支持板部とを締結する第1ボルトと、
前記第2長孔及び前記第1ボルト孔に挿通されて、前記第1支持板部と前記第2支持板部とを締結する第2ボルトと、を有する請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記第1支持板部に対する前記第2支持板部の高さを調整するための高さ調整用ボルトを有する請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記第1支持板部と第2支持板部との間に介装される所定厚みのシムを有する請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項5】
請求項1に記載のホームドア装置の設置方法であって、
基板部をプラットホームの所定の載置面に載置して固定し、
前記基板部に対してガイド体の位置を調整して、前記ガイド体を前記基板部に対して固定するホームドア装置の設置方法。
【請求項6】
請求項2に記載のホームドア装置の設置方法であって、
基板部をプラットホームの所定の載置面に載置して固定し、
第1ボルトが第1長孔及び基板側ボルト孔に挿通された状態で前記基板部に対する第1支持板部の位置を調整し、
第2ボルトが第2長孔及び第1ボルト孔に挿通された状態で前記第1支持板部に対する第2支持板部の位置を調整し、
前記第1ボルトで前記基板部と前記第1支持板部とを互いに締結し、
前記第2ボルトで前記第1支持板部に前記第2支持板部を締結するホームドア装置の設置方法。
【請求項7】
請求項6に記載のホームドア装置の設置方法であって、
高さ調整用ボルトで前記第1支持板部に対する前記第2支持板部の高さを調整するホームドア装置の設置方法。
【請求項8】
請求項6に記載のホームドア装置の設置方法であって、
ガイド体本体の高さ位置が所定位置となるように所定の厚みを有するシムを選び、前記第1支持板部と前記第2支持板部との間に介装するホームドア装置の設置方法。
【請求項9】
請求項6に記載のホームドア装置の設置方法であって、
ガイド体が設置されるプラットホームの所定の載置面の高さ位置を予め計測しておいて、
前記ガイド体が所定の高さとなるように前記第1支持板部及び前記第2支持板部の少なくとも一方の厚みを調整し、前記基板部の上面に前記第1支持板部を重合するとともにこの第1支持板部の上面に第2支持板部を重合し、前記基板部に前記第1支持板部及び前記第2支持板部を固定するホームドア装置の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−925(P2011−925A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144084(P2009−144084)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【出願人】(391024951)東日本トランスポ−テック株式会社 (24)
【出願人】(592145268)ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 (53)
【出願人】(503405689)ナブテスコ株式会社 (737)