説明

ボイラ装置

【課題】起動操作から蒸気供給までの時間を短縮でき、負荷応答性を向上できるボイラ装置を提供すること。
【解決手段】缶体内の燃焼室に配設される水管と、水管を加熱するメインバーナと、メインバーナに着火するパイロットバーナと、パイロットバーナに着火するパイロット着火手段と、燃焼室のパージを行うパージ手段と、水管内の水位を検知する水位検知部と、制御部と、を備えたボイラ装置であって、制御部は、起動操作S01がされたときに、パージ手段による燃焼室のパージS03と、パイロット着火手段によるパイロットバーナの着火と、パイロットバーナによるメインバーナの着火S10と、をこの順で行うように構成され、起動操作S01が行われた後、水位検知部で検知した水管内の水位が所定水位に上昇した場合には、メインバーナの着火S10を行うように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動操作からの負荷応答性を向上させたボイラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のボイラ装置として、缶体内の燃焼室に配設される水管と、前記水管を加熱するメインバーナと、前記メインバーナに着火するパイロットバーナと、前記パイロットバーナに着火するパイロット着火手段と、前記燃焼室のパージ(プレパージ)を行うパージ手段と、前記水管内の水位を検知する水位検知部と、制御部とを備えたものが知られている(例えば、下記特許文献1〜3を参照)。
【0003】
この種のボイラ装置では、起動操作がされたときに給水し、水位検知部で検知した水管内の水位が所定水位に上昇するまでは、パージ手段により燃焼室のパージを行う。そして、水位が所定水位に達したときに、パージからパイロットバーナの着火(イグニッション、着火トライ、燃焼)に移行し、次いでメインバーナに着火する。このように水管内の水位の上昇を待って着火動作に移行するのは、水管の過熱を防止するためである。特に、起動初期においては、水管内の水が沸騰した際に泡が発生しにくく、通常運転時における見かけ上の水位に比べてその水位が低くなるため、起動操作後の初期段階における水位を高く設定することが行われている(下記特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−221318号公報
【特許文献2】特開平5−296408号公報
【特許文献3】特開平5−231640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のボイラ装置においては、起動操作から蒸気供給までの時間が長くかかり、負荷応答性(負荷追従性)に改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、起動操作から蒸気供給までの時間を短縮でき、負荷応答性を向上できるボイラ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち本発明は、缶体内の燃焼室に配設される水管と、前記水管を加熱するメインバーナと、前記メインバーナに着火するパイロットバーナと、前記パイロットバーナに着火するパイロット着火手段と、前記燃焼室のパージを行うパージ手段と、前記水管内の水位を検知する水位検知部と、制御部と、を備えたボイラ装置であって、前記制御部は、起動操作がされたときに、前記パージ手段による前記燃焼室のパージと、前記パイロット着火手段による前記パイロットバーナの着火と、前記パイロットバーナによる前記メインバーナの着火と、をこの順で行うように構成され、前記起動操作が行われた後、前記水位検知部で検知した前記水管内の水位が所定水位に上昇した場合には、前記メインバーナの着火を行うように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のボイラ装置では、起動操作がされた後、水位検知部で検知した水管内の水位が所定水位に上昇するまでの間に、燃焼室のパージ及びパイロットバーナの着火を行うようにしている。すなわち、水管内の水位上昇を待つ間に、予めメインバーナの着火の直前の工程までを進めておくことで、水管内の水位が所定水位に達したときに、すぐにメインバーナに着火できるので、起動から蒸気供給までの時間を短縮でき、負荷応答性が向上する。
【0009】
また、本発明のボイラ装置において、前記制御部は、前記パイロットバーナが燃焼状態になり所定時間が経過した後、前記水管内の水位が所定水位に上昇していない場合には、このパイロットバーナへのエア供給量を減少させた状態で、前記パイロットバーナを燃焼させるように構成されていることとしてもよい。
【0010】
このボイラ装置では、パイロットバーナが燃焼状態になり所定時間経過した場合に、水管内の水位が未だ所定水位に上昇していなければ、パイロットバーナへのエア供給量を減少させた状態で該パイロットバーナを燃焼させるので、パイロットバーナの燃焼によって燃焼室に供給された熱がエア供給により無駄に排出されるようなことが抑制されて、熱損失が低減する。従って、このパイロットバーナの燃焼に続くメインバーナの着火から蒸気供給までの負荷応答性がより向上する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のボイラ装置によれば、起動操作から蒸気供給までの時間を短縮でき、負荷応答性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るボイラ装置の概略構成を説明する図である。
【図2】図1の水位検知部を拡大して示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るボイラ装置の起動操作後の動作を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るボイラ装置の起動操作後の動作のうち、主に燃焼に関する動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るボイラ装置1について、図面を参照して説明する。
図1に示されるように、本実施形態のボイラ装置1は、水が貯留される缶体2と、缶体2内の燃焼室3に配設される水管4と、燃焼室3の上方に配設されて該燃焼室3に臨むバーナ部5と、燃焼室3のパージ(掃気)を行うパージ手段(不図示)と、水管4内の水の水位を検知する水位検知部6と、各電気部品(センサ、弁、ポンプ、イグニッション部材等)に電気的に接続された制御部7とを備えている。
【0014】
缶体2は、上部ヘッダ8及び下部ヘッダ9を有しており、これらヘッダ8、9同士は、上下方向に延在し燃焼室3を囲むように配列された複数の水管4により接続されている。そして、この燃焼室3でバーナ部5からの燃焼ガス(炎及び排気ガス)と水管4とが熱交換させられることにより、該水管4内の水が加熱されるようになっている。
【0015】
下部ヘッダ9は、缶体2の下部に配設されており、該下部ヘッダ9には、給水ライン10が接続されている。給水ライン10には、給水ポンプ11と、該給水ポンプ11と下部ヘッダ9の間(つまり給水ポンプ11の下流側)に位置する逆止弁12とが配設されている。
【0016】
特に図示していないが、給水ライン10における給水ポンプ11の上流側には、軟水器及び水質測定部が設けられている。水質測定部は、軟水器によって軟水処理された処理水の水質を測定するものであり、特にスケールの発生に影響を与える硬度やシリカ濃度等を測定し、水質の異常の有無を判定するのに用いられる。
また、給水ライン10には、給水ポンプ11から下部ヘッダ9に送出される給水量を測定する流量計が配設されていてもよい。また、給水ポンプ11には、周波数を変化させることにより該給水ポンプ11から下部ヘッダ9への給水量を調整可能なインバータが電気的に接続されていてもよい。
【0017】
上部ヘッダ8は、缶体2の上部に配設されており、該上部ヘッダ8には、気水ライン13を介して気水分離部14が接続されている。上部ヘッダ8には、水管4内で発生した蒸気が貯留され、該蒸気は気水ライン13を通して気水分離部14へ向けて送出される。尚、特に図示しないが、上部ヘッダ8には缶体2内の圧力を検出可能な圧力検出器が接続されている。
【0018】
気水分離部14は、上部ヘッダ8から送出された蒸気から水分を分離する。また、気水分離部14には、気水ライン13以外に、乾き蒸気を送り出す蒸気送出ライン15と、該気水分離部14で分離・回収された水分を下部ヘッダ9へ戻す降水ライン16と、が接続されている。
【0019】
蒸気送出ライン15は、気水分離部14と外部機器(蒸気使用機器)等とを接続するものである。蒸気送出ライン15には、流量調整弁(不図示)が配設されており、気水分離部14からの乾き蒸気の送出量が調整可能な構成とされている。
【0020】
また、特に図示しないが、降水ライン16には排水ラインが接続されており、該排水ラインには、排水弁が配設されている。そして、下部ヘッダ9から降水ライン16、排水ライン及び排水弁を通って、缶水が排水されるようになっている。尚、排水弁は、例えば弁の開度を調整可能としたり複数の弁を用いることにより、排水量を調整可能に構成されていてもよい。
【0021】
また、水位検知部6は、水位センサ17と、互いに長さの異なる3つの電極棒18と、これら水位センサ17及び電極棒18が配設される容器状の検知部本体19と、を備えている。検知部本体19は、上部連結管20を介して上部ヘッダ8に接続され、下部連結管21を介して下部ヘッダ9に接続されている。これにより、検知部本体19と水管4とは互いに連通させられているとともに、検知部本体19内の水位が水管4内の水位に略一致するようになっている。
【0022】
図2に示されるように、水位センサ17及び電極棒18は、検知部本体19の天壁から下方に向けて挿入されている。水位センサ17の長さは、電極棒18の長さより長くなっている。水位センサ17は、検知部本体19内の水の水位を無段階で検出可能に構成されており、水管4内のボイラ水の水位を制御するために用いられる。
【0023】
また、3つの電極棒18は、それぞれの先端(下端)が上下方向に互いに間隔をあけて配置されており、検知部本体19内の水の水位を段階的に検出可能に構成されている。これら電極棒18は、水位センサ17の検出結果との間に所定範囲を超える差異が生じた場合に当該水位センサ17の検出特性を補正するための補正手段、及び/又は、水位センサ17の検出結果との間に所定範囲を超える差異が生じた場合に制御部7を通して音、表示等で警告するための監視手段として用いられる。
【0024】
本実施形態では、これら電極棒18のうち、最も長さが長いL棒18Aの先端(下端)は、検知部本体19内の下側部分に配置されているとともに、水位センサ17の先端より僅かに上方に位置している。L棒18Aの先端が位置する設定水位WAは、プレパージ開始水位となっている。
【0025】
また、これら電極棒18のうち、最も長さが短いS棒18Bの先端は、検知部本体19内の上側部分に配置されている。S棒18Bの先端が位置する設定水位WBは、起動初期水位(所定水位)及び低燃焼水位となっている。
【0026】
また、これら電極棒18のうち、L棒18Aより短くS棒18Bより長いM棒18Cの先端は、L棒18Aの先端とS棒18Bの先端の中間に配置されている。M棒18Cの先端が位置する設定水位WCは、高燃焼水位となっている。
【0027】
また、具体的には図示していないが、図1において、バーナ部5は、水管4を加熱するメインバーナと、メインバーナに着火するパイロットバーナと、パイロットバーナに着火するパイロット着火手段と、燃焼用エアを供給する送風部材とを備えている。尚、特に図示しないが、バーナ部5には、炎検知センサが設けられていてもよい。
【0028】
メインバーナには、メインバーナ燃料供給ライン22が接続されており、メインバーナ燃料供給ライン22には、メインバーナ燃料弁23が配設されている。また、パイロットバーナには、パイロットバーナ燃料供給ライン24が接続されており、パイロットバーナ燃料供給ライン24には、パイロットバーナ燃料弁25が配設されている。
本実施形態では、メインバーナ燃料供給ライン22とパイロットバーナ燃料供給ライン24とが、燃料弁23、25の上流側で互いに接続されている。尚、これらメインバーナ燃料供給ライン22及びパイロットバーナ燃料供給ライン24は、互いに接続されていなくても構わない。
【0029】
前記パイロット着火手段は、パイロットバーナへ向けて火花を飛ばすイグニッション部材(不図示)と、パイロットバーナ燃料弁25とを備えている。そして、パイロットバーナの着火は、パイロットバーナの炎口部へ向けてイグニッション部材から火花を飛ばしつつ、パイロットバーナ燃料弁25を開いて該パイロットバーナへ燃料ガス又は燃料油を供給することにより行われるようになっている。
【0030】
また、メインバーナ燃料弁23は、弁の開度を変化させることによりメインバーナの燃焼量(単位時間あたりの燃焼量)を調整可能に構成されている。そして、メインバーナの燃焼量が制御されることによって、ボイラ装置1の単位時間あたりの蒸気発生量が制御される。具体的に、メインバーナ燃料弁23は、複数の弁開度位置を有しており、弁の開度を段階的に変化させることによって、メインバーナの燃焼量を段階的に変化可能に構成されている。
【0031】
詳しくは、ボイラ装置1は、互いに燃焼量の異なる複数の燃焼位置と、燃焼停止位置とを有している。前記燃焼位置には、多くの燃料及びエアをメインバーナに供給することにより燃焼量が高く設定される高燃焼位置と、少ない燃料及びエアをメインバーナに供給することにより燃焼量が低く設定される低燃焼位置とが含まれる。尚、前記燃焼停止位置における燃焼量はゼロである。このような構成により、メインバーナは、高燃焼位置、低燃焼位置及び燃焼停止位置と対応する段階的な複数の燃焼量で燃焼可能である(ここで言う燃焼には燃焼停止も含まれる)。
【0032】
前記送風部材は、モータとファンとを備えており、例えばブロワファン等からなる。送風部材は、メインバーナ及びパイロットバーナに燃焼用のエアを供給可能に構成されている。また、送風部材は、モータの回転数を変化させることによりエア供給量を調整可能に構成されている。尚、送風部材は、メインバーナ用のものと、パイロットバーナ用のものとがそれぞれ設けられていても構わない。また、本実施形態では、前記パージ手段として、この送風部材が用いられている。
【0033】
そして、制御部7は、起動操作がされたときに、前記パージ手段による燃焼室3のパージと、前記パイロット着火手段による前記パイロットバーナの着火と、前記パイロットバーナによる前記メインバーナの着火と、をこの順で行うように構成され、前記起動操作が行われた後、水位検知部6で検知した水管4内の水位が所定水位WBに上昇した場合には、前記メインバーナの着火を行うように構成されている。
【0034】
ここで、図3を参照して、ボイラ装置1の起動操作後の動作について説明する。尚、以下の説明では、缶体2内の水の水位が、図2に示される設定水位WAよりも低い状態においてボイラ装置1が起動操作されたものと仮定する。
【0035】
ボイラ装置1が起動操作される(S01)と、給水ポンプ11により缶体2内へ給水が開始される(S02)。
給水により、水位センサ17の検知(検出)水位がL棒18A先端の設定水位WAまで上昇したら、前記パージ手段は、燃焼室3内を所定時間パージ(プレパージ)する(S03)。
【0036】
次いで、前記パイロット着火手段のイグニッション部材が、パイロットバーナへ向けて所定時間火花を飛ばし、イグニッションする(S04)。
イグニッションの間に、前記パイロット着火手段のパイロットバーナ燃料弁25が所定時間開状態となり、パイロットバーナ着火トライが行われる(S05)。これにより、パイロットバーナが着火して燃焼状態となる(S06)。
【0037】
パイロットバーナが燃焼状態となり、所定時間が経過した(S07)後、水位センサ17の検知水位がS棒18B先端の設定水位(所定水位)WBに上昇していた場合には、メインバーナ燃料弁23を開いて、メインバーナに着火する(S10)。
尚、このボイラ装置1は、通常の運転時においては、低燃焼位置の場合に設定水位WBに水位を維持し、高燃焼位置の場合に設定水位WCに水位を維持するように構成されているが、起動初期においては、燃焼位置に係わらず設定水位WBに水位が達したら燃焼を開始し(通常は高燃焼位置で燃焼を開始する)、その後の燃焼位置が高燃焼位置であれば設定水位WCに水位を維持し、低燃焼位置であれば設定水位WBに水位を維持するようになっている。
【0038】
尚、前述したパージ、イグニッション、パイロットバーナ着火トライ及びパイロットバーナ燃焼の間に、水位センサ17の検知水位が設定水位WBまで上昇した場合には、給水ポンプ11は給水を停止する。この場合、パイロットバーナが燃焼状態となり所定時間が経過した後は、速やかにメインバーナ着火へと移行する。
【0039】
パイロットバーナが燃焼状態となり、所定時間が経過した(S07)後、水位センサ17の検知水位が設定水位WBに上昇していない場合には、S09へ進む。
【0040】
制御部7は、前記パイロットバーナが燃焼状態になり所定時間が経過した後、水管4内の水位が設定水位WBに上昇していない場合には、このパイロットバーナへのエア供給量を減少させた状態で、前記パイロットバーナを燃焼させる連続パイロットモードを備えている。すなわち、パイロットバーナ着火後、設定水位WBへの水管4内の水位の上昇を待つ間に、パイロットバーナの燃焼状態が所定時間経過した場合には、前記送風部材は、パイロットバーナへのエア供給量を減少させ、これにより、ボイラ装置1は連続パイロットモードとなる(S09)。
【0041】
連続パイロットモードは、水位センサ17の検知水位が設定水位WBに上昇するまで行われる。連続パイロットモードの間に、水位センサ17の検知水位が設定水位WBまで上昇した場合には、給水ポンプ11は給水を停止する。
水位センサ17の検知水位が設定水位WBまで達したら、メインバーナ燃料弁23が開かれ、メインバーナが着火する(S10)。
【0042】
ここで、図4を用いて、前述したボイラ装置1の動作を簡略的に説明する。
図4に示される右方向の矢印は、起動後の動作順序を経過時間と対比して表している。本実施形態のボイラ装置1では、起動操作がされると、パージ、イグニッション、パイロットバーナ着火トライ及びパイロットバーナ燃焼までの動作が、水管4内の水位に係わらず、連続的に行われるようになっている。そして、パイロットバーナの燃焼状態が所定時間経過した後に、水管4内の水位が設定水位WBに達していない場合は、設定水位WBまで水位の上昇を待って、メインバーナに着火する。また、パイロットバーナ着火前又はパイロットバーナ燃焼中に水管4内の水位が設定水位WBに達した場合は、パイロットバーナ着火後、パイロットバーナの燃焼状態が所定時間経過したら、速やかにメインバーナに着火する。
【0043】
以上説明した本実施形態のボイラ装置1によれば、下記の効果を奏する。
すなわち、従来のボイラ装置においては、起動操作がされると、水管4内の水位が設定水位WBに上昇するまでの間は、パージを維持するか、或いはパージを終了した状態で待機していた。つまり、水管4内の水位が設定水位WBに達するまでの間に、図4に示される時系列のうち符号B部までの動作(パージのみ)が行われていた。そして、水管4内の水位が設定水位WBに上昇した後、イグニッション、パイロットバーナ着火トライ、パイロットバーナ燃焼及びメインバーナ着火に移行していた。
【0044】
一方、本実施形態のボイラ装置1では、起動操作がされた後、水位検知部6で検知した水管4内の水位が所定水位WBに上昇するまでの間に、燃焼室3のパージ及びパイロットバーナの着火を行うようにしている。すなわち、パイロットバーナの燃焼による発熱量は、水管4を過熱する程度には至らないことから、水管4内の水位上昇を待つ間に、予めメインバーナの着火の直前の工程までを進めておくようにしている。これにより、水管4内の水位が所定水位WBに達したときに、すぐにメインバーナに着火できるので、蒸気供給までの時間を短縮でき、負荷応答性が向上する。
【0045】
また、このボイラ装置1では、起動操作の後、パイロットバーナが燃焼状態になり所定時間経過した場合に、水管4内の水位が未だ所定水位WBに上昇していなければ、パイロットバーナへのエア供給量を減少させた状態で該パイロットバーナを燃焼させる連続パイロットモードを備えているので、パイロットバーナの燃焼によって燃焼室3に供給された熱がエア供給により無駄に排出されるようなことが抑制されて、熱損失が低減する。従って、このパイロットバーナの燃焼に続くメインバーナの着火から蒸気供給までの負荷応答性がより向上する。
【0046】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0047】
例えば、前述の実施形態では、水位検知部6が、水位センサ17及び3つの電極棒18を備え、水位センサ17で水位を検出し、3つの電極棒18で水位センサ17の検出特性の補正や検出結果の監視を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、水位検知部6は、2つ以下又は4つ以上の電極棒18を備えていてもよい。また、水位検知部6は、水位センサ17及び電極棒18のうちいずれか一方のみを備えていても構わない。水位検知部6が電極棒18のみを備える場合は、複数の電極棒18により段階的に水位を検出するように構成される。
【0048】
また、水位検知部6は、複数の水位センサを備え、これら水位センサは、検知部本体19内の水位を無段階でそれぞれ検出可能に構成されていてもよい。この場合、これら水位センサのうち一の水位センサ17が、水管4内のボイラ水の水位を制御するために用いられ、他の水位センサが、前記一の水位センサ17の検出結果との間に所定範囲を超える差異が生じた場合に当該一の水位センサ17の検出特性を補正するための補正手段、及び/又は、前記一の水位センサ17の検出結果との間に所定範囲を超える差異が生じた場合に制御部7を通して音、表示等で警告するための監視手段として用いられる。
【0049】
また、前述の実施形態では、制御部7が連続パイロットモードを備えている場合について説明したが、制御部7は連続パイロットモードを備えていなくてもよい。
【0050】
また、前述の実施形態では、ボイラ装置1は、メインバーナ燃料弁23の弁開度を変化させることにより燃焼位置を段階的に変化させる構成であるとしたが、この代わりに、例えば、メインバーナ燃料供給ライン22に複数の電磁弁を並列に配設してメインバーナ燃料弁を構成するとともに、これら電磁弁を開く数を制御することにより、燃焼位置を段階的に変化させることとしてもよい。またこの場合、各電磁弁に対応するようにメインバーナが複数設けられていても構わない。
【0051】
また、メインバーナ着火後におけるパイロットバーナの燃焼については、ボイラ装置1の起動中においては常に燃焼状態を維持する常火パイロット制御としてもよく、或いは、メインバーナの燃焼状態(燃焼位置又は燃焼停止位置)に対応して燃焼状態と燃焼停止状態とを切り替えるオン・オフ制御としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ボイラ装置
2 缶体
3 燃焼室
4 水管
6 水位検知部
7 制御部
WB 設定水位(所定水位)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体内の燃焼室に配設される水管と、
前記水管を加熱するメインバーナと、
前記メインバーナに着火するパイロットバーナと、
前記パイロットバーナに着火するパイロット着火手段と、
前記燃焼室のパージを行うパージ手段と、
前記水管内の水位を検知する水位検知部と、
制御部と、を備えたボイラ装置であって、
前記制御部は、起動操作がされたときに、
前記パージ手段による前記燃焼室のパージと、
前記パイロット着火手段による前記パイロットバーナの着火と、
前記パイロットバーナによる前記メインバーナの着火と、をこの順で行うように構成され、
前記起動操作が行われた後、前記水位検知部で検知した前記水管内の水位が所定水位に上昇した場合には、前記メインバーナの着火を行うように構成されていることを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボイラ装置であって、
前記制御部は、前記パイロットバーナが燃焼状態になり所定時間が経過した後、前記水管内の水位が所定水位に上昇していない場合には、このパイロットバーナへのエア供給量を減少させた状態で、前記パイロットバーナを燃焼させるように構成されていることを特徴とするボイラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−76492(P2013−76492A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215981(P2011−215981)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】