説明

ボタンスイッチの照明構造および該照明構造を用いた電子機器

【課題】スイッチ本体の作動状態に合せて、同一の光源から出射された光の発光領域を切り替えるボタンスイッチの照明構造を提供する。
【解決手段】ボタンの押圧操作に伴う第1のライトガイド5の往復動により、反射面8が光源2の光路上に位置する場合には、光源2から照射された光を反射面8で反射させ、第1のライトガイド5内を導光させて出射面5aから出射させた光により第1の照明開口部9aを発光させ、反射面8が光源2の光路外に位置する場合には、光源2から照射された光を反射領域6bで反射させ、第2のライトガイド6内を導光させて出射面6cから出射させた光により第2の照明開口部9bを発光させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボタンスイッチの照明構造に関し、特にボタンの押下により複数の領域の発光を切り替える照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチ本体の作動状態を認識し易くするため、あるいはボタンの視認性を向上させるために、ボタン内の所定領域を発光させるボタンスイッチの照明構造が用いられている。また近年、部品点数の低減および回路構成の簡単化に寄与するボタンスイッチの照明構造も用いられている。例えば、特許文献1には、2つの作動照明用LEDと1つの機能照明用ランプとを備え、エアコンスイッチおよび内外気切り替えスイッチのオン動作により2つの作動照明用LEDを発光させて2つのノブの表示部を照明し、車両のライトスイッチのオン動作により1つの機能照明用ランプを発光させて2つのノブの表示部を照明する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−162869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のボタンスイッチの照明構造は以上のように構成されているので、スイッチ本体の作動状態に合せて、同一の光源から出射された光の発光領域を切り替えることができないという課題があった。また、発光領域を切り替えるためには、LEDを複数設ける、またはスイッチ本体の信号処理プログラムを設ける必要があり、部品点数の増大、またはコストアップを招くという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、スイッチ本体の作動状態に合せて、同一の光源から出射された光の発光領域を切り替えるボタンスイッチの照明構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るボタンスイッチの照明構造は、スイッチと、光を照射する光源と、光源から照射された光を反射する第1の反射面を備え、一端面を光の出射面とし、他端面をスイッチのスイッチ部に対向させて往復動可能に支持された第1の導光体と、光源から照射された光を反射する第2の反射面を備え、一端面を光の出射面とした第2の導光体と、第1の導光体の出射面に装着され、押圧操作を受け付けるボタンと、第1の導光体の出射面から出射された光により発光する第1の照明開口部と、第2の導光体の出射面から出射された光により発光する第2の照明開口部とを備え、ボタンの押圧操作に伴う第1の導光体の往復動により、第1の反射面が光源の光路上に位置する場合には、光源から照射された光を第1の反射面で反射させ、第1の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により第1の照明開口部を発光させ、第1の反射面が光源の光路外に位置する場合には、光源から照射された光を第2の反射面で反射させ、第2の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により第2の照明開口部を発光させるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、少ない部品点数で、スイッチ本体の作動状態の認識性およびボタンの視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1によるボタンスイッチの照明構造を示す図である。
【図2】実施の形態1によるボタンスイッチの照明構造の構成部品の詳細を示す図であり、(a)は第2のライトガイド、(b)は光源である。
【図3】実施の形態1によるボタンスイッチの照明構造のボタンを正面から見た図である。
【図4】実施の形態2によるボタンスイッチの照明構造を示す図である。
【図5】実施の形態2によるボタンスイッチの照明構造のボタンを正面から見た図である。
【図6】実施の形態2によるボタンスイッチの照明構造のボタン近傍を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるボタンスイッチ照明構造を示す図であり、図1(a)はスイッチ本体がオフの状態を示し、図1(b)はスイッチ本体がオンの状態を示している。
図1(a)および図1(b)に示すように、ボタンスイッチの照明構造は、ボタン1、光源2、スイッチ本体3、基板4、第1のライトガイド5、第2のライトガイド6、パネル7、反射面(第1の反射面)8および第1および第2の照明の開口部9a,9bで構成されている。
【0010】
ボタン1は、ユーザの押し込み動作または押し込み解除動作に伴って、矢印A方向または反矢印A方向に摺動する。図1に示した例では、ボタン1がオンの場合にはパネル7aの格納凹部7aに矢印A方向に押し込まれ、ボタン1がオフの場合にはパネル7の格納凹部7aから反矢印A方向に押し出される。ボタン1を格納する格納凹部7aには、押し込んだボタン1をその押し込み状態に保持する機構と、その押し込み状態のボタン1を押すと保持を解除して押し出す機構が設けられているが、これらは周知の構成であるため図示を省略する。
【0011】
また、ボタン1には第1の照明の開口部9aが形成され、後述する第1のライトガイド5を導光された光により当該第1の照明の開口部9aが発光する。光源2およびスイッチ本体3は基板4上に設けられている。光源2は、LEDやランプなどで構成される。スイッチ本体3は、矢印A方向に押し込み可能に凸設されたスイッチ部3aを備え、スイッチ部3aの押し込みにより基板4にスイッチオン信号を出力し、スイッチ部3aの押し込み解除により基板4にスイッチオフ信号を出力する。
【0012】
第1のライトガイド5は、光源2の光の照射方向に対して直交方向に延びる導光体であり、図1では基板4と平行して水平に配置され、光が出射する一端の出射面5a近傍ボタン1に填め込まれている。第1のライトガイド5は、ボタン1の矢印A方向への押し込み動作または反矢印A方向への押し込み解除動作に同調して、矢印A方向または反矢印A方向に水平移動し、端部5bがスイッチ本体3のスイッチ部3aを押し込むまたは押し込みを解除する。
【0013】
第2のライトガイド6は、略L字形状を成し、一端の入射面6aは第1のライトガイド5を挟んで光源2と対向配置され、光源2から出射された光を約90°屈折させて導光する導光体である。光源2から出射され、第1のライトガイド5を透過した光は、入射面6aに入射し、略L字形湾曲部の反射領域(第2の反射面)6bにおいて約90°屈折されて他端の出射面6cから出射する。
【0014】
パネル7は、ボタン1を格納可能な格納凹部7aを備える。格納凹部7a内に設けた開口部7bは、第1のライトガイド5を摺動可能に支持する。また、パネル7の格納凹部7aの上方には、第2の照明の開口部9bが形成され、当該第2の照明の開口部9bは第2のライトガイド6の出射面6cから出射された光により発光する。
【0015】
反射面8は、第1のライトガイド5の上面を光源2から照射された光の進路に対して出射面5a側に約45°傾斜させた面である。反射面8の傾斜角度を約45°とすることにより、光源2から照射された光を全反射し、約90°屈折して出射面5aから出射することができる。
スイッチ本体3がオフの場合(図1(a)参照)、反射面8は光源2から照射される光の進路上に位置し、光源2から照射された光を反射して第1のライトガイド5内に導光し、出射面5aから出射する。一方、スイッチ本体3がオンの場合(図1(b)参照)、反射面8は光源2から照射される光の進路よりもスイッチ本体3側に位置するため光の反射は行わない。このように、反射面8は、第1のライトガイド5の水平方向への摺動に伴い、光源2から照射された光の進路を切り替える。
【0016】
次に、スイッチ本体3のオン/オフ動作に応じた第1の照明の開口部9aと第2の照明の開口部9bの発光切り替えについて説明する。
まず、図1(a)を参照しながら、スイッチ本体3がオフの場合について説明する。
スイッチ本体3がオフの場合、第1の照明の開口部9aが発光し、第2の照明の開口部9bは発光停止している。この場合、ボタン1はパネル7の格納凹部7aから反矢印A方向に押し出されており、ボタン1と格納凹部7aとの間に隙間が生じている。さらに、第1のライトガイド5の端部面5bもパネル7側に位置し、スイッチ本体3のスイッチ部3aと離間し、スイッチ部3aの押し込みを解除している。
【0017】
ボタン1の反矢印A方向への押し込み解除に伴って第1のライトガイド5も反矢印A方向に摺動し、反射面8は光源2から照射された光の進路上に位置する。反射面8で反射された光は第1のライトガイド5内を通過して出射面5bから照射され、ボタン1の第1の照明の開口部9aが発光する。第1の照明の開口部9aの発光により、ユーザはボタン1がオフ状態であることを認識する。
【0018】
次に、図1(b)を参照しながら、スイッチ本体3がオンの場合について説明する。
スイッチ本体3がオンの場合、第1の照明の開口部9aが発光停止し、第2の照明の開口部9bが発光している。この場合、ボタン1はパネル7の格納凹部7aに矢印A方向に押し込まれており、ボタン1と当該ボタン1を格納する格納凹部7aとが当接している。さらに、第1のライトガイド5の端部面5bもスイッチ本体3側に位置し、スイッチ本体3のスイッチ部3aを押し込む方向(矢印A方向)に付勢している。
【0019】
ボタン1の矢印A方向への押し込みに伴って第1のライトガイド5も矢印A方向に摺動し、反射面8は光源2から照射された光の進路外、具体的には光の進路に対してスイッチ本体3側に位置している。光源2から照射された光は第1のライトガイド5を透過して入射面6aから第2のライトガイド6に入射し、反射領域6bにおいて約90°屈折されて出射面6cから出射され、第2の照明の開口部9bが発光する。第2の照明の開口部9bの発光により、ユーザはボタン1がオン状態であることを認識する。
【0020】
なお、光源2からの光を用いて第1の照明の開口部9aおよび第2の照明の開口部9bを効率よく発光させるためには、反射面8および反射領域6aが光源2から照射された光を全反射するように配置することが有効である。図1では、湾曲部である反射領域6aを示しているが、図2(a)に示すように、光の進路に対して出射面6c側に約45°の傾斜を設けた反射面6bとしてもよい。また、第1のライトガイド5または第2のライトガイド6に光を効率よく入射させるために、光源2から直進性の高い光を照射する、あるいは図2(b)に示すように光源2の周囲に照射領域を限定する立ち壁2aを設け、光を直線的に照射するように構成してもよい。
【0021】
図3は、この発明の実施の形態1のボタンスイッチの照明構造を備えたスイッチを正面から見た図である。
図3(a)はスイッチ本体3がオフであり、光源2から照射された光を第1のライトガイド5内に導光した場合を示し、ボタン1の第1の照明の開口部9aが発光し、例えば「Switch」などの文字が発光する。一方、パネル7に設けた第2の照明の開口部9bは発光停止している。一方、図3(b)はスイッチ本体3がオンであり、光源2から照射された光を第2のライトガイド6内に導光した場合を示し、ボタン1の第1の照明の開口部9aは発光停止し、パネル7に設けた第2の照明の開口部9bが発光する。なお、第1および第2の照明の開口部9a、9bは、文字に限定されることなく、記号や数字など種々の表示態様に応じて開口形成可能である。
【0022】
以上のように、この実施の形態1によれば、第1のライトガイド5に光源2から照射された光を反射する反射面8を設け、ボタン1の押し込みまたは押し込み解除動作に伴う第1のライトガイド5の移動に応じて反射面8を移動させ、光源2から照射された光の出射先を第1のライトガイド5の出射面5a、あるいは第2のライトガイド6の出射面6cのいずれかに切り替えるように構成したので、1つの光源から照射された光を用いて、ボタンの押し込みまたは押し込み解除動作に合せて、2つの照明の開口部の発光を切り替えることができる。これにより、1つの光源2から照射された光で複数領域を発光させることができ、少ない部品点数でスイッチ本体の作動状態の視認性およびボタンの視認性を向上させることができる。
【0023】
また、この実施の形態1によれば、第2のライトガイド6の入射面6aと光源2とを第1のライトガイド5を挟んで対向配置するように構成したので、第1のライトガイド5の押し込みまたは押し込み解除動作に伴って反射面8が光源2の光路外に移動した場合に、光源2の光を入射面6aに照射させることができる。
【0024】
なお、上述した実施の形態1では、第1の照明の開口部9aの上部に第2の照明の開口部9bを設ける構成を示したが、第2の照明の開口部9bを設ける位置は特に限定されるものではなく、第1の照明の開口部9aの近傍であれば適宜変更可能である。その場合、第2の照明の開口部9bの位置に応じて、光源2、基板4、第2のライトガイド6および反射面8の配置位置を変更する。
また、上述した実施の形態1では、ボタン1と第1のライトガイド5は別部品としているが、これらを一体で成形し1部品としてもよい。
【0025】
実施の形態2.
上述した実施の形態1では、ボタン1の第1の照明の開口部9aと、パネル7に設けた第2の照明の開口部9bとの発光とを切り替える構造を示したが、この実施の形態2ではボタン1内で発光する領域を切り替える構成を示す。
図4は、この発明の実施の形態2によるボタンスイッチの照明構造を示す図であり、図4(a)はスイッチ本体がオフの状態を示し、図4(b)はスイッチ本体がオンの状態を示している。図4に示すようにボタン1、光源2、スイッチ本体3、基板4およびパネル7の構造は実施の形態1と同様であることから、実施の形態1で使用した符号と同一の符号を付して説明を省略または簡略化する。
【0026】
ボタン1は、上部に後述するライトガイド11の第1のライトガイド領域13を導光された光により発光する第1の照明の開口部9a´を備え、下部に後述するライトガイド11の第2のライトガイド領域14を導光された光により発光する第2の照明の開口部9b´を備える。
【0027】
この実施の形態2では、実施の形態1で示した第1および第2のライトガイド5,6に替えてライトガイド11を設けている。ライトガイド11は、光源2の光の照射方向に対して垂直方向に延びる導光体であり、格納凹部7a内に設けた開口部7bが摺動可能に支持し、出射面11aとなる一端部にボタン1が填め込まれている。ライトガイド11は、ボタン1の矢印A方向への押し込み動作または反矢印A方向への押し込み解除動作に同調して、矢印A方向または反矢印A方向に水平移動し、他端部11bがスイッチ本体3のスイッチ部3aを押し込むまたは押し込みを解除する。
【0028】
さらにライトガイド11は、内部に配置された反射面(第3の反射面)12を境界として、上方に第1のライトガイド領域13、下方に第2のライトガイド領域14を備える。反射面12は、薄膜の反射シートをインサート成形するあるいは蒸着して一体として成形する。薄膜の反射シートとして、例えば光沢を有するアルミシートなどの光を反射するシートを配置することにより光の反射効率を向上させる。さらに光を反射するシートを配置することにより、第1のライトガイド領域13と第2のライトガイド領域14との間の遮蔽効果が向上し、一方のライトガイド領域へ光が漏れ出るのを防止することができる。
なお、反射面12を薄膜の反射シートを用いて構成する以外にも、第1のライトガイド領域13と第2のライトガイド領域14を屈折率の異なる樹脂で構成し、境界面である反射面12において光を反射することも可能である。
【0029】
第1のライトガイド領域13および第2のライトガイド領域14は、それぞれ反射面8´および反射面14aを備える。反射面8´は、第1のライトガイド領域13の上面を光源2から照射された光の進路に対して出射面11a側に約45°傾斜させた面である。反射面14aは、反射面12の一部を光源2から照射された光の進路に対して出射面11a側に約45°傾斜させた面である。反射面8´および反射面14aの傾斜角度を約45°とすることにより、光源2から照射された光を全反射し、約90°屈折して、出射面11aから出射することができる。
【0030】
スイッチ本体3がオフの場合(図4(a)参照)、反射面8´は光源2から照射される光の進路上に位置し、光源2から照射された光を反射して第1のライトガイド領域13内に導光し、出射面11bの上方である出射領域(出射面)13aから出射する。
一方、スイッチ本体3がオンの場合(図4(b)参照)、反射面8´は光源2から照射される光の進路よりもスイッチ本体3側に位置する。一方、反射面14aが光源2から照射される光の進路上に位置し、光源2から照射された光を反射して第2のライトガイド領域14内に導光し、出射面11bの下方である出射領域(出射面)14aから出射する。このように、ライトガイド11の水平方向への摺動に伴い、光源2から照射された光の反射面が切り替わり、光の進路が切り替えられる。
【0031】
次に、スイッチ本体3のオン/オフ動作に応じた第1の照明の開口部9a´と第2の照明の開口部9b´の発光切り替えについて説明する。
まず、図4(a)を参照しながら、スイッチ本体3がオフの場合について説明する。
スイッチ本体3がオフの場合、第1の照明の開口部9a´が発光し、第2の照明の開口部9b´は発光停止している。この場合、ボタン1はパネル7の格納凹部7aから反矢印A方向に押し出されており、格納凹部7aとの間に隙間が生じている。さらに、ライトガイド11の端部面11bもパネル7側に位置し、スイッチ本体3のスイッチ部3aと離間し、スイッチ部3aの押し込みを解除している。
【0032】
ボタン1の反矢印A方向の押し込み解除に伴ってライトガイド11も反矢印A方向に摺動し、第1のライトガイド領域13の反射面8´は光源2から照射された光の進路上に位置する。一方、第2のライトガイド領域14の反射面14aは、光源2から照射された光の進路外、具体的には直進方向の光の進路に対してパネル7側に位置している。光源2から照射された光は、第1のライトガイド領域13に入射して反射面8´において全反射され、さらに第1のライトガイド領域13を導光されて出射領域13aから出射する。該出射領域13aから出射された光によりボタン1の第1の照明の開口部9a´が発光し、ユーザはボタン1がオフ状態であることを認識する。
【0033】
次に、図4(b)を参照しながら、スイッチ本体3がオンの場合について説明する。
スイッチ本体3がオンの場合、第1の照明の開口部9a´が発光停止し、第2の照明の開口部9b´が発光している。この場合、ボタン1はパネル7の凹部7aに矢印A方向に押し込まれており、ボタン1と格納凹部7aとが当接している。さらに、ライトガイド11の端部面11bもスイッチ本体3側に位置し、端部面11bはスイッチ本体3のスイッチ部3aを押し込む方向(矢印A方向)に付勢している。
【0034】
ボタン1の矢印A方向への押し込みに伴ってライトガイド11も矢印A方向に摺動し、第1のライトガイド領域13の反射面8´は光源2から照射された光の進路外、具体的には光の進路に対してスイッチ本体3側に位置している。一方、第2のライトガイド領域14の反射面14aは、光源2から照射された光の進路上に位置する。光源2から照射された光は、第2のライトガイド領域14に入射されて反射面14aにおいて全反射され、さらに第2のライトガイド領域14を導光されて出射領域14bから出射する。該出射領域14bから出射された光により、ボタン1の第2の照明の開口部9b´が発光し、ユーザはボタン1がオン状態であること認識する。
【0035】
実施の形態1と同様に、光源2からの光を用いて第1の照明の開口部9a´および第2の照明の開口部9b´が効率よく発光するためには、反射面8´および反射面14aが光源2から照射された光を全反射するように配置することが有効である。
また、実施の形態1と同様に、ボタン1とライトガイド11は別部品としているが、これらを一体で成形し1部品としてもよい。
【0036】
図5は、実施の形態2のボタンスイッチの照明構造のボタンを正面から見た図である。
図5(a)はスイッチ本体3がオフであり、光源2から照射された光を第1のライトガイド領域13内に導光した場合を示し、ボタン1の上部に設けた第1の照明の開口部9a´が発光し、例えば「OFF」などの文字が発光する。一方、ボタン1の下部に設けた第2の照明の開口部9b´は発光停止している。
【0037】
一方、図5(b)はスイッチ本体3がオンであり、光源2から照射された光を第2のライトガイド領域14内に導光した場合を示し、ボタン1の下部に設けた第2の照明の開口部9b´が発光し、例えば「ON」などの文字が発光する。一方、ボタン1の上部に設けた第1の照明の開口部9a´は発光停止している。
【0038】
次に、図5に示したボタン1の照明において、例えば図5(a)のように第1の照明の開口部9a´の「OFF」の文字を照明している光が、第2の照明の開口部9b´側に漏れ出るのを防止する構成を図6に示す。
図6は、この実施の形態2のボタンスイッチの照明構造のボタン近傍を示す断面図である。
図6(a)の例では、ボタン1の内側中央部にライトガイド11方向に凸設した遮蔽部1aを設けている。遮蔽部1aは、ライトガイド11の反射面12の延長上に位置し、出射領域13aから出射した光と、出射領域14bから出射した光とを隔てる遮蔽部材となる。
図6(b)の例では、ライトガイド11の反射面12を構成する反射シートをボタン1の内側中央部に当接するまで延設して遮蔽部12aを設けている。遮蔽部12aも出射面から出射した光と、出射領域14bから出射した光とを隔てる遮蔽部材となる。なお、図6(b)において、反射面12が屈折率の違いにより光を反射する面である場合には、光を遮蔽する部材をライトガイド11の出射面11aからボタン1の内側中央に当接するように凸設させてもよい。
【0039】
以上のように、この実施の形態2によれば、第1のライトガイド領域13に光源2から照射された光を反射する反射面8´を設け、第2のライトガイド領域14に光源2から照射された光を反射する反射面14aを設け、ボタン1の押し込みまたは押し込み解除動作に伴うライトガイド11の移動に応じて、光源2から照射された光の反射を反射面8´と反射面14aで切り替え、光の出射先を第1のライトガイド領域13の出射領域13aあるいは第2のライトガイド領域14の出射領域14bのいずれかに切り替えるように構成したので、1つの光源から照射された光を用いて、ボタンの押し込みまたは押し込み解除動作に合せて、2つの照明の開口部の発光を切り替えることができる。これにより、1つの光源2から照射された光で複数領域を発光させることができ、少ない部品点数でスイッチ本体の作動状態の認識性およびボタンの視認性を向上させることができる。
【0040】
また、この実施の形態2によれば、ライトガイド11内に反射面12を設けて2つのライトガイド領域13,14を形成し、光源2から照射された光の出射先を切り替えるように構成したので、部品点数を削減することができる。
【0041】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2の構成に加えて、第1のライトガイド5と第2のライトガイド6のどちらか一方を着色する、あるいは互いに異なる色に着色する、あるいは第1のライトガイド領域13と第2のライトガイド領域14のどちらか一方を着色する、あるいは互いに異なる色に着色することにより、第1の照明の開口部9a,9a´と第2の照明の開口部9b,9b´との照明色を変化させることができ、スイッチ本体3の作動状態の認識性およびボタン1の視認性がより向上する。
【0042】
なお、上述した実施の形態1および実施の形態2では、第1の照明の開口部9a,9a´の照明の発光がボタン1のオフを示し、第2の照明の開口部9b,9b´の照明の発光がボタン1のオンを示す場合を例に説明したが、逆であってもよい。
【0043】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ボタン、1a,12a 遮蔽部、2 光源、2a 立ち壁、3 スイッチ本体、3a 凸部、4 基板、5 第1のライトガイド、5a,11a 出射面、5b,11b 端部面、6 第2のライトガイド、6a 入射面、6b 反射領域(反射面)、6c 出射面、7 パネル、7a 格納凹部、7b 開口部、8,8´,12,14a 反射面、9a,9a´ 第1の照明の開口部、9b,9b´ 第2の照明の開口部、11 ライトガイド、13 第1のライトガイド領域、13a,14b 出射領域、14 第2のライトガイド領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチと、
光を照射する光源と、
前記光源から照射された光を反射する第1の反射面を備え、一端面を光の出射面とし、他端面を前記スイッチのスイッチ部に対向させて往復動可能に支持された第1の導光体と、
前記光源から照射された光を反射する第2の反射面を備え、一端面を光の出射面とした第2の導光体と、
前記第1の導光体の出射面に装着され、押圧操作を受け付けるボタンと、
前記第1の導光体の出射面から出射された光により発光する第1の照明開口部と、
前記第2の導光体の出射面から出射された光により発光する第2の照明開口部とを備え、
前記ボタンの押圧操作に伴う前記第1の導光体の往復動により、前記第1の反射面が前記光源の光路上に位置する場合には、前記光源から照射された光を前記第1の反射面で反射させ、前記第1の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により前記第1の照明開口部を発光させ、前記第1の反射面が前記光源の光路外に位置する場合には、前記光源から照射された光を前記第2の反射面で反射させ、前記第2の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により前記第2の照明開口部を発光させる構成としたことを特徴とするボタンスイッチの照明構造。
【請求項2】
前記第2の導光体は、他端面を光の入射面とし、該第2の導光体の入射面と前記光源とは、前記第1の導光体を挟んで対向配置したことを特徴とする請求項1記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項3】
前記ボタンは、前記第1の照明開口部を有することを特徴とする請求項1記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項4】
前記第2の導光体は、第3の反射面を介して前記第1の導光体に一体成形され、該第1の導光体と共に往復動可能に支持された導光体であり、
前記ボタンは、前記第1の導光体の出射面および前記第2の導光体の出射面に装着され、前記第1の照明開口部および前記第2の照明開口部を有し、
前記ボタンの押圧操作に伴う前記第1の導光体および前記第2の導光体の往復動により、前記第2の反射面が前記光源の光路外に位置し、且つ前記第1の反射面が前記光源の光路上に位置する場合には、前記光源から照射された光を前記第1の反射面で反射させ、前記第1の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により前記第1の照明開口部を発光させ、前記第2の反射面が前記光源の光路上に位置する場合には、前記光源から照射された光を前記第2の反射面で反射させ、前記第2の導光体内を導光させて出射面から出射させた光により前記第2の照明開口部を発光させる構成としたことを特徴とする請求項1記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項5】
前記第3の反射面は、反射シートであることを特徴とする請求項4記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項6】
前記第3の反射面は、それぞれ異なる屈折率を有する前記第1の導光体および前記第2の導光体の境界面であることを特徴とする請求項4記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項7】
前記第1の反射面および前記第2の反射面は、前記光源から出射された光を全反射することを特徴とする請求項1または請求項4記載のボタンスイッチの照明構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のボタンスイッチの照明構造を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77481(P2013−77481A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217288(P2011−217288)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】