説明

ボタンレスコンベアベルト

【課題】
間隔が隔てられた一連のボタンレスロッドでコンベアベルトを形成する。
【解決手段】
ボタンレスロッドは、複数のリンクによって互いに連結される。ロッドの端部がリンクの外面と実質的に同一平面内にあるように、ロッドのボタンレス端部を溶接又は他の方法でリンクに取り付ける。これにより、清浄化及び殺菌を容易に行うことができる比較的滑らかなリンク表面を形成する。更に、リンクを摩擦で掴む駆動グリップ表面に作用する磨耗を減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、相互係止リンクによって連結された長さ方向に間隔が隔てられた複数のロッドから形成されたコンベアベルトに関する。更に詳細には、本発明は、ボタンレスロッドを使用するコンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトは、製造中、船積み中、及び他のプロセス中、商品を連続的に移動するため、多くの様々な産業分野で一般的に使用されている。産業用コンベアベルトは、一般的には、一連の相互係止リンクを介して連結された間隔が隔てられた一連のロッドを含む。相互係止リンクは、ロッドに溶接されている。小型の物品を製造するため、ロッドは、布、プラスチック、又はメッシュ等の金属製のオーバーレイで覆われている。これは、小さな物品が、ロッド間から、製造が行われる建物の床に滑り落ちることがないようにするためである。代表的なコンベアベルト10を図1に示す。これは、米国特許第5,954,188号と対応する。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。コンベアベルト10は、リンク22によって連結されたロッド20を含み、メッシュ14によって覆われている。ロッド20の端部には、リンク22用のストップとして作用するボタンヘッド32が形成されている。更に、ロッド20とリンク22との間を強固に且つ更にしっかりと連結するため、代表的には、ボタンヘッド32とリンク22との間に溶接部が形成される。
【0003】
コンベアベルトのロッドの端部に設けられたボタンヘッド形体は、コンベアベルト及び関連した機器を維持する上で問題となる。例えば、コンベアベルトが湾曲した経路を辿る場合、コンベアベルトは、湾曲に亘り、コンベアベルトの縁部と駆動ベルトとの間の摩擦により駆動する。駆動ベルトは、コンベアベルトのリンクの側部を摩擦によって掴むグリップ面を含み、これによりコンベアベルトを強制的に湾曲の経路を辿らせる。このようなグリップ面は、代表的には、プラスチックやゴム等の材料で形成されている。ロッドのボタンヘッドがリンクの外面から大きく突出しているため、グリップ面は、リンクの脚部の平らな表面をきれいに掴むことができない。ボタンヘッドは、更に、ボタンヘッドがグリップ面に亘って移動するとき、グリップ面を磨耗する。駆動ベルトのグリップ面は、ボタンヘッドによって、駆動ベルトがリンクの脚部又はプロファイルが小さいロッド端部と接触する場合よりも迅速に、経時的磨耗及び損傷を被る。従って、ボタンヘッドを持たないコンベアベルトを提供すると、駆動面の磨耗が減少する。
【0004】
更に、食品製品の製造では、食品製品を汚染しないように製造プラントが衛生を保つように、機器を清浄化する性能がとりわけ重要である。コンベアベルトを効果的に清浄化できるようにするため、好ましくは、食品を捕捉する可能性があるベルトの多くの小さなクレビスや突出部を少なくする。図1及び図2に示すように、リンク22の外面から突出したボタンヘッド32は、デブリが溜まる場所を形成する。ボタンヘッド32とリンク22との間の空間を埋めるために溶接材料を使用してもよいが、溶接部は、代表的には、ブリッジ溶接部であり、ボタンヘッド32の一部にしか被せて形成されない。このように、ボタンヘッド形体は、適切な衛生状態の製造システムを維持する上での困難性を高める。従って、ボタンヘッドをコンベアベルト設計からなくすことは、コンベアベルトを長期に亘って適切に清浄化された状態に保持する上で有利である。
【0005】
更に、ボタンヘッドは、製造中、リンクを所定位置に溶接する前にリンク用の自然のストップとして作用することによって有用であるが、ロッドの端部にボタンヘッドを形成すると、実際には、製造に要する時間が長くなる。ロッドは、代表的には、リンクをロッドの端部に摺動により容易に装着できるように、端部の直径が均等な細長い鋼製部材である。ボタンヘッドを形成するためには、代表的には、電極をロッドの端部と接触させる。電極は、ロッドの端部を溶融して球状のボタンヘッドに変形するのに十分なエネルギを供給する。このようにロッド材料を溶融すると、鋼から炭素が出てきてボタンヘッドに溜まる。コンベアベルトの製造における次のプロセス工程は、ボタンヘッドをリンクの側部に溶接する工程である。しかしながら、炭素残滓がボタンヘッドとリンクとの間の良好な溶接を阻む。従って、一般的には、溶接前に炭素残滓をボタンヘッドから例えば酸浴によって除去する。ボタンヘッド形成工程及びボタンヘッド清浄化工程のプロセス工程をなくすことにより、製造時間及び複雑さを大幅に節約できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,954,188号
【特許文献2】欧州特許第1498367 A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、当該技術分野において、ボタンヘッドを持たないロッド−リンクコンベアベルトが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの特徴では、本発明は、間隔が隔てられた複数のボタンレスロッドと、ボタンレスロッドを連結する複数のリンクとを含むコンベアベルトを提供する。これらのリンクの各々は、リンクに形成された円形穴を通して第1ロッドの第1ロッド端部を受け入れるように形成されており、第1ロッド端部は、リンクの外面に取り付けられる。
【0009】
別の特徴では、各リンクは、リンクに形成された細長い穴を通して第2ロッドの第2ロッド端部を受け入れるように形成されている。
【0010】
別の特徴では、複数のリンクの各々は、全体にU字形状である。
【0011】
別の特徴では、第1ロッド端部は、リンクの外面に溶接によって取り付けられる。
【0012】
別の特徴では、第1ロッド端部をリンクに固定するため、第1ロッド端部及びリンクの外面に追加の溶接材料が適用される。
【0013】
別の特徴では、第1ロッド端部を溶融し、第1ロッド端部をリンクに固定する。
【0014】
別の特徴では、第1ロッド端部は、リンクの外面と実質的に同一平面内にある。
【0015】
別の特徴では、第1ロッド端部はリンクの外面と面一である。
【0016】
別の特徴では、第1ロッド端部はリンクの外面から突出している。
【0017】
別の特徴では、第1ロッド端部はリンクの円形穴内に引っ込んでいる。
【0018】
別の特徴では、追加の溶接材料が円形穴内で第1ロッドを取り囲んでいる。
【0019】
別の特徴では、本発明は、第2ボタンレスロッドから間隔が隔てられた第1ボタンレスロッドであって、各ボタンレスロッドは、右端及び左端を有する、第1ボタンレスロッドを含むコンベアベルトを提供する。右リンクが、第1ロッドの右端を第2ロッドの右端に連結する。第1ロッドの右端は、右リンクに形成された円形穴に挿入され、第2ロッドの右端は右リンクに形成された細長い穴に挿入される。左リンクが、第1ロッドの左端を第2ロッドの左端に連結する。第1ロッドの左端は、左リンクに形成された円形穴に挿入され、第2ロッドの左端は左リンクに形成された細長い穴に挿入される。第1ロッドは、右リンクの第1外面及び左リンクの第2外面に取り付けられる。少なくとも一つの第1ロッドの右端は、実質的に、第1外面と同一平面内にあるか、或いは、第1ロッドの左端は、実質的に、第2外面と同一平面内にある。
【0020】
別の特徴では、右リンク及び左リンクは、各々、全体にU字形状をなしている。
【0021】
別の特徴では、右リンク及び左リンクは、側部から側部まで対称である。
【0022】
別の特徴では、第1ボタンレスロッドは、少なくとも一つの溶接位置での溶接によって右リンク及び左リンクに取り付けられている。
【0023】
別の特徴では、少なくとも一つの溶接位置は、第1ロッドの右端又は第1ロッドの左端のうちの少なくとも一つを実質的に覆っている。
【0024】
別の特徴では、本発明は、コンベアベルトを形成するための方法において、(i)製造台表面上にロッドを載せる工程と、(ii)ロッドの第1端部を受け入れる形体の第1リンクを製造台表面の第1側に置く工程と、(iii)ロッドの第2端部を受け入れる形体の第2リンクを製造台表面の第2側に置く工程であって、第2リンクは第1リンクから、ほぼロッドの長さだけ間隔が隔てられている、工程と、(iv)第1リンク及び第2リンクを製造方向にオフセットする工程と、(v)ロッドの第1端部を第1リンクと整合する工程と、(vi)ロッドの第1端部を、第1リンクを通して、ロッドの第2端部と第2リンクとの間に隙間を提供するのに十分に大きく挿入する工程と、(vii)ロッドを製造方向に前進することによって、ロッドを第2リンクと整合する工程と、(viii)ロッドの第1端部が第1リンクの外面と実質的に面一であるように、細長い第1ロッドの第2端部を第2リンクを通して挿入する工程と、(ix)ロッドの第1端部を第1リンクの外面に取り付け、ロッドの第2端部を第2リンクの外面に取り付ける工程とを含む、方法を提供する。
【0025】
別の特徴では、工程(ix)は、ロッドの第1端部を第1リンクの外面に溶接する工程と、ロッドの第2端部を第2リンクの外面に溶接する工程とを含む。
【0026】
別の特徴では、工程(vi)は、ロッドを第1リンクに第1ピストンで打ち込む工程を含み、工程(vii)は、ロッドを第2リンクに第2ピストンで打ち込む工程を含む。
【0027】
別の特徴では、第1ピストン及び第2ピストンのうちの少なくとも一方は空気圧式ピストンである。
【0028】
別の特徴では、本発明は、(x)ロッドの第2端部が第2リンクの外面と実質的に同一平面内にあるようにロッドを位置決めする、追加の工程を含む。
【0029】
本発明のこの他のシステム、方法、及び特徴は、添付図面及び以下の詳細な説明を検討することにより、当業者に明らかになるであろう。このような追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、この説明及び概要に含まれ、本発明の範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護される。
【0030】
本発明は、添付図面及び以下の説明を読むことにより更によく理解されるであろう。図示の構成要素は必ずしも等縮尺ではなく、その代わり、本発明の原理を例示するために誇張されている。更に、添付図面では、様々な図に亘り同様の参照番号が対応する部分に付してある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、ボタンヘッドを備えたロッドを含む従来技術のコンベアベルトの概略図である。
【図2】図2は、ボタンヘッドロッドに設けられた従来技術のコンベアベルトリンクのリンクの概略図である。
【図3】図3は、本発明によるボタンレスロッドを組み込んだコンベアベルトの概略平面図である 。
【図4】図4は、ロッドのボタンレス端部を示す、コンベアベルトのリンクの概略側面図である。
【図5】図5は、ボタンヘッドを示す、従来技術のコンベアベルトロッドの端部の概略断面図である。
【図6】図6は、ロッドの端部がリンクの外壁と実質的に面一の本発明によるコンベアベルトロッドの端部の概略断面図である。
【図7】図7は、ロッドの端部がリンクの脚部内に引っ込められている、本発明によるボタンレスコンベアベルトロッドの別の実施例の端部の概略断面図である。
【図8】図8は、ロッドの端部がリンクの脚部から突出した、本発明によるボタンレスコンベアベルトロッドの別の実施例の端部の概略断面図である。
【図9】図9は、様々なロッド−リンク溶接位置を示す、ボタンレスコンベアベルトのリンクの変形例の概略平面図である。
【図10】図10は、ボタンレスコンベアベルトの製造の第1工程の概略図である。
【図11】図11は、ボタンレスコンベアベルトの製造の第2工程の概略図である。
【図12】図12は、ボタンレスコンベアベルトの製造の第3工程の概略図である。
【図13】図13は、ボタンレスコンベアベルトの製造の第1工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、リンク22によって互いに連結されたロッド20から形成された、米国特許第5,945,188号に開示の従来技術のコンベアベルト10を示す。ワイヤメッシュオーバーレイ14がリンク22間でロッド20を覆っており、コンベアベルト10に載せて搬送される商品に対して追加の支持を提供する。コンベアベルト10の一部の拡大図である図2に示すように、ロッド20にはボタンへッド32が形成されている。ボタンヘッド32は、リンク22を所定位置に保持するのを補助する。ロッド20は、溶接部25等でボタンヘッド32を介してリンク22に連結されている。
【0033】
図3は、複数の細長いボタンレスロッド120a乃至120dで形成された本発明のコンベアベルト110の平面図を示す。本願では、「ボタンレス」という用語は、各端に球状の突出部が形成されていないロッドに関する。しかしながら、「ボタンレス」は、小さな段状領域がリンク穴と重ねて設けられ、そのため小さな段状領域がリンク122の外面134と実質的に同一平面内にあることを除外しない。全てのロッド120は、形状及び寸法が実質的に同じであり、各ロッド120a乃至120dは細長い円筒体である。各ロッド120は、第1端121及び第2端123を含む。好ましくは、この実施例では、ロッド120は、円筒体の長さに沿って直径が均等であるか或いはほぼ均等であり、直径は、コンベアベルト110に載せて移動される商品の種類やコンベアベルトの幅等の多くの要因に基づいて選択される。他の実施例では、ロッド120は、米国特許第5,954,188号に開示されたロッドと同様に、テーパした又は段状の形体を備えていてもよい。ロッド120は、好ましくは、鋼やステンレス鋼等の金属材料から形成される。
【0034】
ロッド120は、連結リンク122で互いに連結されている。好ましくは、連結リンク122は全体にU字形状であり、各連結リンク122は、上バー127によって接合された鏡像対象の二つの脚部即ち内脚部130及び外脚部131によって形成されている。内脚部130及び外脚部131は、形体が同じであるため、逆の配向にでき、明瞭化を図るため、特に外脚部131の構造だけを論じる。外脚部131は、好ましくは、比較的直線状の上部分126を含み、この上部分は、外方にテーパした移行領域129によって比較的直線状の下部分128に連結される。この形体により、比較的広幅の下開口部133を形成し、これによりリンク122を相互連結できる。これは、一つのリンク122の上バー127を、隣接したリンクの下部分133内に滑り込ませてこれと入れ子にするのが容易であるためである。
【0035】
外脚部131は、更に、ロッド120を受け入れる二つの穴を含む。例えば、図4に示すように、外脚部にはほぼ円形の穴142が下部分128に設けられており、細長い穴140が上部分126に形成されている。コンベアベルト110の中心線108(図3参照)から始めて、ロッド120は第1リンクの内脚部130に設けられた円形穴142を通過し、第2リンクの細長い穴140の両方を通過し、次いで第1リンクの外脚部131の第2円形穴142を通過する。次いで、ロッド端部121を、円形穴142の近くで、隣接したリンクの外面134に直接溶接する。ロッド端部121を外面134に溶接する前にロッド端部121にボタンヘッドを形成しない。ロッド端部121は、好ましくは、結果的に形成された溶接部125によって覆われる。
【0036】
例えば、図3に示すように、ロッド120aは、中心線108から左方で、先ず最初にリンク122aを通過した後、リンク122bを通過する。次いで、ロッド端部121を溶接又は他の方法でリンク122aの外面134に取り付ける。このようにして、ロッド120aを移動するとリンク122aもまた移動するように、ロッド120aをリンク122aに固定的に取り付ける。しかしながら、ロッド120aはリンク122bには固定的に取り付けられておらず、単にリンク122bの細長い穴140に嵌まっているに過ぎない。従って、ロッド120aは細長い穴140内で並進できる。この並進により、コンベアベルト110の移動の自由度が高くなる。これは、ロッド120が細長い穴140内で移動するとき、コンベアベルト110が延びたり縮んだり、又はコンベアベルト110のいずれかの側又は両側が長くなったり短くなったりすることにより左右に振れたりするためである。このような移動により、例えば、コンベアベルト110を湾曲部の周囲に通すことができる。
【0037】
図5に示すように、従来技術では、ボタンヘッド32を持つロッド20がリンク22から突出している。ボタンヘッド32は、ロッド20の端部を電極で溶融すること等によって、ロッドの端部から形成されていてもよい。ボタンヘッド32の形成後、ボタンヘッド形成プロセスによって発生した炭素残滓をボタンヘッド32から除去する。これは、ボタンヘッド32を酸浴に浸漬すること等によって行われる。ボタンヘッド32の清浄後、ボタンヘッド32を溶接点25のところで、又は図9に示し且つ以下に論じるように多数の溶接点でリンクに溶接する。
【0038】
しかしながら、本発明では、ロッドにボタンヘッドが設けられていないため、ロッドの端部をリンクの脚部から突出させる必要がない。その代わり、ロッドの端部は、リンクの外脚部131の外面134と実質的に同一平面内にある。一実施例では、図4の6−6線に沿ったロッド120及びリンク122の断面図である図6に示すように、ロッド端部121は、ロッドを円形穴142に挿入した後、リンク122の外脚部131の外面134と面一であり、即ち同一平面内にある。図6、図7、及び図8では、説明する上での明瞭化を図るため、円形穴142でのリンク122とロッド120との間の隙間が誇張してある。製造に当たっては、この隙間は、好ましくは小さく、例えばロッド120とリンク122との間で、円形穴142内で、ロッド120の周囲の少なくとも一部と接触する。
【0039】
この実施例では、ロッド端部121の全面に亘って溶接部125が形成されるが、他の実施例では、溶接部125はロッド端部121の一部だけしか覆っていなくてもよい。溶接部125は、ロッド端部121を溶融することによって形成されてもよいし、追加の溶接材料をロッド端部121に適用することによって形成されてもよいし、又はこれらの技術の組み合わせによって形成されてもよい。ロッド端部121がリンク122の外面と同一平面内にあるため、リンク122の外脚部131の外面134は比較的滑らかである。
このように滑らかであるため、デブリがリンク122に溜まることがなく、リンク122を清浄化する上での困難性が減少し、リンク122の外脚部131の外面134と接触する構成要素の磨耗等が減少する。このような構成要素には、例えば、コンベアベルト110を駆動するため、リンク122の外面134を摩擦によって掴むドライバーのグリップ部材が含まれる。これにより、コンベアベルト110を、湾曲部の周囲で、及び外面134と接触する、ガイドとして使用されるドラムの部分等のコンベアシステムの定置の構成要素の周囲で移動する。
【0040】
図7に示す別の実施例では、ロッド220を、ロッド端部221がリンク222の外面234と実質的に同一平面内にあるように、リンク222の円形穴242に挿入する。この実施例では、ロッド端部221はリンク222内で僅かに凹所をなしており、溶接部225がロッド端部221の全体に亘って形成される。好ましくは、溶接部225は追加の溶接材料で形成され、そのため、溶接材料が円形穴242の一部を充填し、滑らかな外面234を提供する。
【0041】
図8に示す別の実施例では、ロッド端部321がリンク322の外面334と実質的に同一平面内にあるようにロッド320をリンク322の円形穴342に挿入する。この実施例では、ロッド端部321はリンク322から僅かに突出しているが、図4に示すようにボタンヘッドを形成するのに使用される従来技術のロッド端部程大きくは突出していない。ロッド端部321は、好ましくは、溶接部325によって全体が覆われている。この溶接部325は、好ましくは、ロッド端部321をリンク322に対して溶融することによって形成されるが、追加の溶接材料を使用することによって形成してもよい。この実施例では、溶接部325の形成は、ロッド端部321を溶融してロッド320とリンク322との間に連結部を形成する場合でも、ボタンヘッドを形成しない。その代わり、ロッド端部321の溶融によりロッド端部321を平らにし且つ滑らかにし、これによりリンク322の外面334をできるだけ滑らかにし、駆動表面に作用する磨耗を減少し、デブリがリンク322に溜まらないようにし、リンク322の清浄化する上での困難性を減少する。好ましくは、リンク322とロッド320との間の隙間は、溶融したロッド材料又は追加の溶接材料のいずれかの材料で少なくとも部分的に充填されている。一実施例では、隙間の約20%乃至約50%が充填される。別の実施例では、隙間は完全に又はほぼ完全に充填される。更に別の実施例では、隙間は全く充填されない。
【0042】
ボタンレスロッドを互いに接合する連結リンクの形体は、上文中で言及した図面に示されている形体に限定されない。連結リンクの形体は、上文中で言及した図面に示したリンク122よりも簡単である。例えば、リンクの各脚部が単一の直線状部分を含む形体であってもよい。別の態様では、連結リンクの形体は、特定の用途に従って定められてもよい。例えば、図9に示すように、連結リンク422が示してある。この連結リンク422は、上バー427によって連結された内脚部430及び外脚部431を含む。内脚部430及び外脚部431は互いに鏡像対象であり、対称なリンク422を提供するが、他の実施例では、リンク422は非対称であってもよい。連結リンク422は、更に、欧州特許出願第EP1498367A1号に記載されている。出典を明示することにより、この特許出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0043】
図9は、更に、リンク422をロッド420に溶接するための様々な位置を示す。図4に示す溶接部125等のロッド端部を完全に覆う溶接部の代わりに、リンク422は、幾つかの位置でロッド420に溶接されてもよい。例えば、第1溶接部425aが、ロッド420及び外脚部431の外面に、第1移行部分429aが中間部分434aと出会う点に又はその近くに位置決めされる。第2溶接部425bが、ロッド420及び外脚部431の外面に、第2移行部分435aが中間部分434aと出会う点に又はその近くに位置決めされる。第1溶接部425a及び第2溶接部425bとほぼ同じ位置に、しかし外脚部431の反対側に相補的溶接部を形成する。第3溶接部425cがロッド420及び外脚部431の内面に、第1移行部分429aが中間部分343aと出会う点に又はその近くに位置決めされる。第4溶接部425dがロッド420及び外脚部431の内面に、第2移行部分435aが中間部分434aと出会う点に又はその近くに位置決めされる。
【0044】
内脚部430には、外脚部431について説明したのと同様の位置に同様の溶接部が設けられており、第5溶接部425eが第3溶接部425cと対応し、第6溶接部425fが第4溶接部425dと対応し、第7溶接部425gが第1溶接部425aと対応し、第8溶接部425hが第2溶接部425bと対応する。これらの溶接部425a乃至425hは、いずれも、随意であるが、図3に示すコンベアベルト110等のコンベアベルトの任意のリンクに含まれていてもよい。ロッド端部121全体が単一の溶接部125によって覆われている図5に示す形体では、随意であるが、第3溶接部425c乃至第8溶接部425hの任意の組み合わせが含まれていてもよい。溶接部を追加すると、コンベアベルトの強度が向上する。これは、コンベアベルトの所期の使用に応じて望ましい。
【0045】
上文中に説明したコンベアベルト110のようにコンベアベルトをボタンヘッドなしで形成するためには、上文中に説明したリンクを、製造台表面550上で、ロッドのいずれかの側に設ける。これらのリンクは、好ましくは、リンクを所定位置に保持でき且つリンクの配向を確保できる、マガジンや配向選択ホッパーが供給するガイドレール等の機構で固定される。製造台表面550は、好ましくは、テーブル等の平らな又は比較的平らな一つの水平表面であるか或いは、機械のレール等の一連の分かれた平らな又は比較的平らな複数の水平表面である。しかしながら、他の実施例では、表面は、垂直であってもよいし、水平表面と垂直表面の組み合わせであってもよく、又は湾曲した表面であってもよい。
【0046】
製造中、追加のプロセス工程を実施するためにロッド520を移動する方向であると定義される製造方向にロッド520を前進する。例えば、製造方向は、製造台表面550に沿った水平方向であってもよい。ロッド520は、当該技術分野で周知の任意の機構によって、例えば被駆動ベルト又はチェーン(図示せず)に固定されたクリップを介して、又はロッド520に続いて製造台表面550上に供給される追加のロッドの力によって移動される。
【0047】
好ましくは、図10に示すように、ロッド520の一方の側のリンクは、製造方向で、ロッド520の他方の側のリンクからオフセットしており、そのため、ロッドは、ロッド520の他方の側のリンクよりも前に、ロッド520の一方の側のリンクと遭遇する。一実施例では、第1リンク522aはロッド520の左側で遭遇し、ロッド520の右側のリンクは製造方向でオフセットしている。しかしながら、他の実施例では、第1リンク522aがロッド520の右側に設けられる。このような実施例では、ロッド520の動きは以下に説明するロッド520の移動とは逆であり、これにより第1リンク522aが確実にロッド520の左側にあるようにする。
【0048】
製造の開始時に、第1リンク522aは、製造台表面550の左側でロッド520を受け入れるように位置決めされる。第2リンク522bは、第2リンク522bの細長い穴540が第1リンク522aの円形穴542と整合するように、第1リンク522aと隣接して位置決めされる。ロッド520は、好ましくは、製造台表面550の中央に配置され、リンクに向かって前進される。第1リンク522aがロッド520の左側に位置決めされているため、ロッド520は、別の態様では、製造台表面550の右側に向かって僅かにシフトしてもよい。
【0049】
製造の次の工程では、図11に示すように、空気圧式ピストン又は液圧式ピストン等のシフト機構554がロッド520の第2端部523を押す。ロッド520は製造台表面550の左側に向かって矢印が示すように移動し、第1リンク522aの円形穴542及び第2リンク522bの細長い穴540を通して供給され、第1及び第2のリンク522a、522bを連結する。ロッド520は、ロッド520の一部570が第1リンク522aの外脚部531の外面534通って突出するように、リンク522a、522bを通して押される。このように、ロッド520の右側と製造台表面550の右側に位置決めされたリンクとの間に十分な隙間があるように、ロッド520を製造台表面550の左側に向かってシフトする。
【0050】
図12に示すように、ロッド520及びリンク522a、522bを、製造方向で次のプロセスステーションまで前進する。第3リンク622aが、ロッド520を受け入れるように製造台表面550の右側に位置決めされている。製造台表面550の左側のリンクと同様に、第4リンク622bを、この第4リンク622bの細長い穴640が第3リンク622aの円形穴642と整合するように、第3リンク622aと隣接して位置決めする。
【0051】
図13に示すように、次いで、ロッド520を製造台表面550の右側に位置決めされたリンクに向かって前進し、第3リンク622aの円形穴642と整合する。製造台表面550の左側に位置決めされた第2被駆動ピストン等の第2シフト機構555がロッド520を製造台表面550の右側に向かって矢印が示すように移動する。次いで、第3リンク622aの円形穴642及び第4リンク622bの細長い穴640を通してロッド520を供給し、第3及び第4のリンク622a、622bを連結する。ロッド520は、第3及び第4のリンク622a、622bを連結するのに十分なだけしか、製造台表面550の右側に向かって押されないが、これは、ロッド520が第1及び第2のリンク522a及び522bから抜ける程大きくはない。好ましくは、次いで、ロッド520を製造台表面550の中央に置き、第1ロッド端部521を第1リンク522aの外脚部531の外面534と面一にし、第2ロッド端部523を第2リンク622aの外脚部631の外面634と面一にする。他の実施例では、ロッド端部521、531は、第1リンク522a及び第3リンク622aの外脚部531、631の夫々内で僅かに凹所をなしているか或いは、第1リンク522a及び第3リンク622aから僅かに突出している。
【0052】
最終工程では、図示していないけれども、ロッド520及びリンク522a、522b、622a、及び622bを製造台表面550の両側に配置された溶接ステーション556、558まで再び前進する。溶接ステーション556、558は、好ましくは、プラズマ溶接機又は任意の他の種類の溶接機の電極等の溶接電極を含む。これらの溶接電極は、溶接制御センタに連結されており、随意であるが、溶接材料用のフィーダーに連結されている。ロッド端部を溶接電極556、558と整合する。これらの溶接電極556、558は、ロッド端部を第1リンク522a及び第3リンク622aの外面534、634の夫々に溶融するのに十分なエネルギを供給する。これにより、ロッドを円形穴の近傍でリンクに固定する。他の実施例では、ロッド端部及びリンクの外面の界面に追加の溶接材料を供給し、溶接電極によって溶融し、ロッド端部をリンクの外面に固定する。溶接材料は、ロッド端部の一部しか覆っていなくてもよく、又はロッド端部の外面全体を覆っていてもよい。ロッド520の両端をリンクに同時に溶接してもよいし、溶接を順次行ってもよい。
【0053】
幾つかの実施例では、溶接電極は、製造台表面550に定置の態様で取り付けられており、そのため、溶接電極は、ロッドがリンクに、これらのリンクの外脚部の外面に溶接されるように、リンクに関して位置決めされる。しかしながら、これらの溶接電極は、リンクの内脚部上の位置を含む図9に示す位置等のリンクの多数の位置に溶接電極がエネルギを供給するように製造台表面550に移動自在に取り付けられる。
【0054】
本発明の様々な実施例を説明したが、以上の説明は例示であって限定しようとするものではない。この他の多くの実施例が本発明の範囲内で可能であるということは当業者には理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物のみによって限定されるべきである。更に、添付の特許請求の範囲の範疇で様々な変形及び変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0055】
108 中心線
110 コンベアベルト
120a−120d ボタンレスロッド
121 第1端
122 連結リンク
123 第2端
125 溶接部
126 上部分
127 上バー
128 下部分
129 移行領域
130 内脚部
131 外脚部
133 下開口部
134 外面
140 細長い穴
142 円形穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトにおいて、
間隔が隔てられた複数のボタンレスロッドと、前記ボタンレスロッドを連結する複数のリンクとを含み、これらのリンクの各々は、前記リンクに形成された円形穴を通して第1ロッドの第1ロッド端部を受け入れるように形成されており、前記第1ロッド端部は、前記リンクの外面に取り付けられる、コンベアベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、
各リンクは、前記リンクに形成された細長い穴を通して第2ロッドの第2ロッド端部を受け入れるように形成されている、コンベアベルト。
【請求項3】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、
前記複数のリンクは、全体にU字形状である、コンベアベルト。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部は、前記リンクの前記外面に溶接によって取り付けられる、コンベアベルト。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部を前記リンクに固定するため、前記第1ロッド端部及び前記リンクの前記外面に追加の溶接材料が適用される、コンベアベルト。
【請求項6】
請求項4に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部を溶融し、前記第1ロッド端部を前記リンクに固定する、コンベアベルト。
【請求項7】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部は、前記リンクの前記外面と実質的に同一平面内にある、コンベアベルト。
【請求項8】
請求項7に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部は前記リンクの前記外面と面一である、コンベアベルト。
【請求項9】
請求項7に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部は前記リンクの前記外面から突出している、コンベアベルト。
【請求項10】
請求項7に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ロッド端部は前記リンクの前記円形穴内に引っ込んでいる、コンベアベルト。
【請求項11】
請求項10に記載のコンベアベルトにおいて、
追加の溶接材料が前記円形穴内で前記第1ロッドを取り囲んでいる、コンベアベルト。
【請求項12】
コンベアベルトにおいて、
第2ボタンレスロッドから間隔が隔てられた第1ボタンレスロッドであって、各ボタンレスロッドは、右端及び左端を有する、第1ボタンレスロッドと、
第1ロッドの右端を第2ロッドの右端に連結する右リンクであって、前記第1ロッドの前記右端は、前記右リンクに形成された円形穴に挿入され、第2ロッドの右端は前記右リンクに形成された細長い穴に挿入される、右リンクと、
第1ロッドの左端を第2ロッドの左端に連結する左リンクであって、前記第1ロッドの前記左端は、前記左リンクに形成された円形穴に挿入され、第2ロッドの左端は前記左リンクに形成された細長い穴に挿入される、左リンクとを含み、
前記第1ロッドは、前記右リンクの第1外面及び前記左リンクの第2外面に取り付けられ、
前記少なくとも一つの前記第1ロッドの前記右端は、実質的に、前記第1外面と同一平面内にあるか或いは、第1ロッドの前記左端は、実質的に、前記第2外面と同一平面内にある、コンベアベルト。
【請求項13】
請求項12に記載のコンベアベルトにおいて、
前記右リンク及び前記左リンクは全体にU字形状をなしている、コンベアベルト。
【請求項14】
請求項13に記載のコンベアベルトにおいて、
前記右リンク及び前記左リンクは、側部から側部まで対称である、コンベアベルト。
【請求項15】
請求項12に記載のコンベアベルトにおいて、
前記第1ボタンレスロッドは、少なくとも一つの溶接位置での溶接によって前記右リンク及び前記左リンクに取り付けられている、コンベアベルト。
【請求項16】
請求項15に記載のコンベアベルトにおいて、
前記少なくとも一つの溶接位置は、前記第1ロッドの前記右端又は前記第1ロッドの前記左端のうちの少なくとも一つを実質的に覆っている、コンベアベルト。
【請求項17】
コンベアベルトを形成するための方法において、
(i)製造台表面上にロッドを載せる工程と、
(ii)前記ロッドの第1端部を受け入れる形体の第1リンクを前記製造台表面の第1側に置く工程と、
(iii)前記ロッドの第2端部を受け入れる形体の第2リンクを前記製造台表面の第2側に置く工程であって、前記第2リンクは前記第1リンクから、ほぼ前記ロッドの長さだけ間隔が隔てられている、工程と、
(iv)前記第1リンク及び前記第2リンクを製造方向にオフセットする工程と、
(v)前記ロッドの前記第1端部を前記第1リンクと整合する工程と、
(vi)前記ロッドの前記第1端部を、前記第1リンクを通して、前記ロッドの第2端部と前記第2リンクとの間に隙間を提供するのに十分に大きく挿入する工程と、
(vii)前記ロッドを前記製造方向に前進することによって、前記ロッドを前記第2リンクと整合する工程と、
(viii)前記ロッドの前記第1端部が前記第1リンクの外面と実質的に面一であるように、細長い第1ロッドの前記第2端部を前記第2リンクを通して挿入する工程と、
(ix)前記ロッドの前記第1端部を前記第1リンクの前記外面に取り付け、前記ロッドの前記第2端部を前記第2リンクの前記外面に取り付ける工程とを含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記工程(ix)は、前記ロッドの前記第1端部を前記第1リンクの前記外面に溶接する工程と、前記ロッドの前記第2端部を前記第2リンクの前記外面に溶接する工程とを含む、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法において、
前記工程(vi)は、前記ロッドを前記第1リンクに第1ピストンで打ち込む工程を含み、前記工程(vii)は、前記ロッドを前記第2リンクに第2ピストンで打ち込む工程を含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記第1ピストン及び前記第2ピストンのうちの少なくとも一方は空気圧式ピストンである、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法において、更に、
(x)前記ロッドの前記第2端部が前記第2リンクの外面と実質的に同一平面内にあるようにロッドを位置決めする工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−515639(P2010−515639A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545680(P2009−545680)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/050727
【国際公開番号】WO2008/089036
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509195607)アシュワース・ブラザーズ・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】