説明

ボトル容器の切断具

【課題】 手持ちで作業し易く、ボトル容器の位置合わせの必要がなく、容易に切断作業を行うことができるとともに、切断作業の安全性を向上させることができるボトル容器の切断具を提供することを目的としている。
【解決手段】 ボトル容器Xに対して周方向に回転可能に外装される外装部2と、外装部2に設けられ、ボトル容器Xの側壁X´を切開する刃15を有するカッター部3とが備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば塗料、接着剤、インキ、オイル等の液状物が収納されたボトル容器を切断するための切断具に関し、特に、切断具自体を回転させることでボトル容器を切断できる切断具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスクリーン印刷用インキ等の粘性の低いインキは、例えば1リットル用の塩化ビニル製のボトル容器に収納されている場合がある。このボトル容器は、有底円筒形状のボトル本体とボトル本体の上端部に被せられるキャップとから構成されており、ボトル本体の上端部が雄ネジ状に形成されて、その上端部にキャップが螺合される構成からなっている。また、上記インキは有機溶剤を殆ど含まず、遮光を必要とする場合が多いため、ボトル容器には不透明のものが使用される場合が多い。
上記した構成からなるボトル容器は、安価且つ軽量であるため一般に広く普及しているが、ボトル容器を廃棄する際は、その中に収納されたインキを取り出すだけではなく、ボトル本体の内側面に付着したインキもきれいに取り除く必要がある。したがって、ボトル容器を廃棄するとき、長ベラ等を用いてボトル容器の内側面に付着したインキをきれいに掻き取る作業を行うが、上記した構成からなるボトル容器は、雄ネジ状のボトル本体上端部が他の部分よりも縮径されているものが多く、そのようなボトル容器の場合、ボトル容器内のインキを掻き出し難いという問題がある。また、ボトル容器は縦長のものが多く、この場合、ボトル容器内の底に付着したインキを掻き出し難いという問題がある。
上記したようにボトル容器の内側面に付着するインキを掻き出し難いことに鑑み、従来、作業員が市販のカッター等の刃物を用いて、ボトル容器の軸方向と直交する方向(周方向)にボトル容器を切断してボトル容器を2つに分断させ、ボトル容器の内側面に付着するインキをきれいに掻き出す作業を行っている。
【0003】
一方、従来から、例えば18リットル缶等の缶体の中に入っている内容液を抜き取る装置が提案されている。この抜取り装置は、缶体を挿入・落下させる上部開口を有する縦長箱体が備えられ、その縦長箱体の中間部内面に缶体を受け止めるストッパーを装着させ、ストッパーの一角に、上方に向けて突設されて落下してくる缶体底面に突き刺して缶体底面を切開するカッターと、カッターによって切開された被開切片を缶体内に押し曲げる押し曲げ具とがそれぞれ設けられた構成からなる。このような構成からなる抜取り装置によれば、縦長箱体上部の開口から缶体を落下させることで、缶体の底部が缶体の自重によりカッター及び押し曲げ具によって開缶され、缶体内の内容液は縦長箱体の底部に流れ出て、これによって、缶体内の内容液を取り出すことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、従来から、缶体の天板を切断して開缶する開缶装置が提案されている。この開缶装置は、昇降自在の昇降台と、昇降台に下方に向かって突設されたカッターと、昇降台を昇降させる駆動機構とが備えられた構成からなる。このような構成からなる開缶装置によれば、昇降台を上限位置まで上昇させ、カッターの下方に缶体を配置し、駆動機構によって昇降台を下降させることで、カッターを缶体の天板に押し付けて、当該天板を切断して開缶することができる(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
また、従来から、ドラム缶の上側部を切断してドラム缶を開缶する開缶装置が提案されている。この開缶装置は、箱状に組まれたフレームの天井部の下側にローテーターが回転可能に取り付けられ、このローテーターに水平に配置されたカッターが水平方向に移動可能に設けられ、フレームの下部に載置板が設けられた構成からなる。このような構成からなる開缶装置によれば、載置板上にドラム缶を載置し、カッターを内方に移動させてドラム缶の上側部にその刃先を突入させ、ローテーターを回動させることによりカッターを回動させてドラム缶の上側部を切開することができる(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平8−113293号公報
【特許文献2】特開平8−187613号公報
【特許文献3】特開平10−139095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来のカッター等の刃物を用いてボトル容器を切断する方法では、作業員が刃物によって怪我しないように相当の注意する必要があるとともに、切断作業が煩雑であるという問題が存在する。
また、上記した特許文献1に記載した抜取り装置を用いてボトル容器を切断すると、軟らかい材質からなるボトル容器の場合、カッターによってボトル容器が押圧されて潰れ、きれいに切開することができない場合があるという問題がある。また、うまく切開されたとしても、ボトル容器の底部が切開されてボトル容器内に残留するインキは流れ出るが、ボトル容器の内側面に付着したインキまでは取り出すことはできず、また、被開切片が内側に折れ曲がって切開されるため、切開された箇所からボトル容器の内側面に付着したインキを取り除く作業は被開切片が邪魔になって難しくなる。したがって、上記した特許文献1に記載した抜取り装置では、ボトル容器の内側面に付着したインキまできれいに取り除くことは困難であるという問題がある。
【0007】
また、上記した特許文献2に記載した開缶装置では、カッターを下降させて対象物の天板を押し切るものであるため、開缶装置を用いて塩化ビニル製等の軟らかい材質からなるボトル容器を切断しようとすると、ボトル容器が、下降するカッターによって押し潰されてきれいに切開させることができないという問題が存在する。また、ボトル容器をカッターの下方に位置合わせしなければならず、切断作業には手間がかかるという問題がある。
また、上記した特許文献3に記載した開缶装置を用いてボトル容器を切断しようとする場合にも、ボトル容器をローテーターの直下位置に配置する必要があり、手間がかかるという問題が存在する。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、手持ちで作業し易く、ボトル容器の位置合わせ等の手間が不要で、容易に切断作業を行うことができるとともに、切断作業の安全性を向上させることができるボトル容器の切断具を提供することを目的としている。また、軟らかい材質からなるボトル容器であってもきれいに切断することができ、さらに、内部のインキ等を取り出し易い形状にボトル容器を切断できるボトル容器の切断具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するため、本発明に係るボトル容器の切断具は、ボトル容器に対して周方向に回転可能に外装される外装部と、該外装部に設けられ、前記ボトル容器の側壁を切開する刃を有するカッター部とが備えられていることを特徴としている。
【0010】
このような特徴により、ボトル容器に外装部を装着させ、切断具とボトル容器とを相対的に回転させることで、カッター部はボトル容器の周りを旋回し、カッター部の刃がボトル容器の壁面に沿って移動し、ボトル容器の側壁が切開され、ボトル容器は周方向に切断される。このとき、カッター部は外装部に設けられているため、外装部とカッター部とは一体的に動き、カッター部は、確実にボトル容器の周りを旋回し、ボトル容器の周方向に沿った旋回線上から外れることはない。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るボトル容器の切断具によれば、ボトル容器に外装部を装着させ、切断具とボトル容器とを相対的に回転させるだけで、ボトル容器は周方向に切断されるため、手持ちで作業し易く、また、ボトル容器の位置合わせ等の手間もないため、容易に切断作業を行うことができる。また、外装部とカッター部とは一体的に動き、カッター部がボトル容器の周方向に沿った旋回線上から外れることはないため、切断作業中に、作業員が誤ってカッター部の刃によって怪我することはなく、切断作業の安全性を向上させることができる。また、カッター部の刃をボトル容器の壁面に沿って移動させることでボトル容器の壁面を切開するため、軟らかい材質からなるボトル容器であってもきれいに切断することができ、また、ボトル容器の側壁を切開して、ボトル容器を周方向に切断することから、切断されたボトル容器は、ボトル容器の内側面に付着した付着物を掻き出し易い形状となり、ボトル容器の内側面に付着した付着物を簡単且つきれいに取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係るボトル容器の切断具は、ボトル容器に対して周方向に回転可能に外装される外装部と、この外装部に設けられ、ボトル容器の側壁を切開する刃を有するカッター部とが備えられている構成からなる。
【0013】
そして、本発明に係るボトル容器の切断具は、カッター部が、刃が側壁に当接する切開位置と、刃が側壁から離される非切開位置との間で、移動自在に取り付けられており、且つ、カッター部を切開位置で固定する固定手段が備えられていることが望ましい。
これによって、外装部をボトル容器に外装させるときは、カッター部を非切開位置に配置させておくことで、カッター部の刃がボトル容器に引っ掛かることが防止され、切断具をボトル容器に装着する作業をスムーズに行うことができる。そして、外装部をボトル容器に外装させた後、カッター部を、切開位置に移動させ、固定手段によって当該切開位置で固定することで、カッター部の刃がボトル容器の側壁に当接された状態を維持することができ、切断具とボトル容器とを相対的に回転させた際に、カッター部が移動してその刃がボトル容器の側壁から離れることを防止することができる。これによって、確実にボトル容器を切断することができるとともに、切断作業の安全性を向上させることができる。
【0014】
また、本発明に係るボトル容器の切断具は、ボトル容器とカッター部との相対的な位置関係を調整して切断位置を変更する切断位置変更手段が備えられていることが望ましい。
これによって、ボトル容器の切断位置を適宜選択することができ、最適な位置でボトル容器を切断することができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明に係るボトル容器の切断具の一実施例について、図面に基いて説明する。なお、すべての図面において、同一または相当する部材には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は本発明に係るボトル容器Xの切断具1の平面図であり、図2は本発明に係るボトル容器の切断具1の断面図であり、図3は本発明に係るボトル容器の切断具1の斜視図である。
【0016】
図1,図2,図3に示すように、切断具1は、ボトル容器Xに対して周方向に回転可能に外装される外装部2と、ボトル容器Xの側壁X´を切開するためのカッター部3と、外装部2とカッター部3との間に介装されてカッター部3を回転移動させる移動機構4と、カッター部3を所定位置で固定する固定手段5と、ボトル容器Xとカッター部3との相対的な位置関係を調整して切断位置を変更する切断位置変更手段6とから構成されている。
【0017】
外装部2は、ボトル容器Xの端面(上端面)に対向する板状の板部材10と、板部材10と間隔をあけて設けられ、ボトル容器Xの中間部に嵌められる環部材11と、板部材10及び環部材11を繋ぐ複数(本実施例では2本)の繋ぎ部材12,12とから構成されている。板部材10は、ボトル容器Xの端面の径よりも若干大きい径の円盤状の部材であり、その外周部には、垂直に突出した鍔10aが外周に沿って形成されている。環部材11は、短尺の円筒形状の部材であり、その内径は、ボトル容器Xの外周径よりも若干大きくなっている。繋ぎ部材12,12は長尺の板状部材であり、各繋ぎ部材12,12は間隔をあけて配設されている。また、繋ぎ部材12,12は、その一端部が上板部材10の鍔10aの外周面に接合され、その他端部が環部材11の外周面に接合されている。
【0018】
カッター部3は、ボトル容器Xの側壁X´を切開する刃15と、刃15を進退可能に収納するホルダー16とから構成されている。刃15としては市販のカッターの刃が使用され、この刃15は、ホルダー16から取り外し可能な構成からなり、必要に応じて刃15は取替可能となっている。また、刃15の刃先15aは、刃15を進退させることでホルダー16の内外に出し入れ可能となっている。
【0019】
移動機構4は、外装部2に固定された固定部材20と、固定部材20に回転自在に取り付けられた回転部材21とから構成されている。固定部材20は、一方の繋ぎ部材12aから外方に突設された長尺の板状部材であり、外装部2の軸方向と直交する方向に延在されている。回転部材21は、外装部2の軸方向と平行に延在する回転軸22を介して固定部材20の先端部に取り付けられ、回転軸22を中心にして図1に示す一点鎖線矢印方向(外装部2の軸方向を鉛直方向とした場合における水平方向)に回転自在に設けられている。また、回転部材21には、ホルダー16を挿装させてカッター部3を一体的に保持する筒状の保持部材23が付設されている。なお、回転軸22の一端部には、摘み部22aが形成されており、この摘み部22aを摘んで回転軸22を締め付けることで、回転部材21と固定部材20とは圧接され、その摩擦力によって回転部材21の回転は硬くなる。
【0020】
上記構成からなる移動機構4を介してカッター部3は外装部2に設けられており、回転部材21が回転することで回転部材21に一体に保持されたカッター部3は回転移動される。具体的には、移動機構4によって、カッター部3は、刃15の刃先15aが側壁X´に当接する切開位置Aと、刃15の刃先15aが側壁X´から離された非切開位置Bとの間で、移動自在となっている。切開位置Aは、カッター部3の刃先15aが外装部2側に向けられた位置であり、ホルダー16から突出した刃先15aが外装部2内に若干入り込んだ位置である。また、非切開位置Bは、カッター部3の刃先15aが外装部2以外の方向に向けられた位置であり、ホルダー16から突出した刃先15aが外装部2の外にある位置である。
【0021】
固定手段5は、回転部材21に形成された係止孔25と、先端部が係止孔25内に嵌挿される雄ネジ状の係止ピン26と、固定部材20に固定されているとともに係止ピン26が螺合されたナット部材27とから構成されている。係止ピン26の頭部には摘み部26aが形成されており、摘み部26aを摘んで係止ピン26を軸回転させることで、係止ピン26はその軸線方向(図2における一点鎖線矢印の方向)に移動される。また、係止孔25は、カッター部3が切開位置Aになるときの係止ピン26の下端部に対向する位置に形成されている。
【0022】
切断位置変更手段6は、板部材10に設けられた雌ネジ部30と、この雌ネジ部30に螺合されるとともに、当接部31aがボトル容器Xの端面に当接してボトル容器Xを押えるボルト状の押え部材31とから構成されている。雌ネジ部30は、板部材10の中央部に形成された雌ネジ孔であり、外装部2の軸方向に延在されている。押え部材31は、頭付きボルト等からなり、当接部31a(頭部)が板部材10の下方にくるように配置されている。押え部材31は、当該押え部材31を軸回転させることで、ボトル容器Xの軸方向(図2における二点鎖線矢印の方向)に移動され、当接部31aの位置は調整される。
【0023】
次に、上記した構成からなるボトル容器Xの切断具1の使用方法について説明する。
【0024】
まず、図3に示すように、切断具1をボトル容器Xに装着させる工程を行う。具体的には、カッター部3を図1に示す非切開位置Bに配置した状態で、外装部2をボトル容器Xの端部に被せて外装させる。このとき、押え部材31を軸回転させて、ボトル容器Xの端面に当接する当接部31aの位置を移動させ、ボトル容器Xとカッター部3との相対的な位置関係を調整する。
【0025】
次に、カッター部3を図1に示す切開位置Aまで移動させて固定する工程を行う。具体的には、係止ピン26が固定部材21に係止しない位置に配置された状態で、移動機構4によってカッター部3を図1に示す切開位置Aまで回転移動させる。そして、係止ピン26を軸回転させ、係止ピン26を図1に示す係止孔25内に嵌挿させ、回転部材21の回転を規制してカッター部3を切開位置Aで固定する。
【0026】
次に、切断具1とボトル容器Xとを相対的に回転させてボトル容器Xを切断する工程を行う。具体的には、カッター部3の刃先15aをボトル容器Xの側壁X´に押し付けた状態で、切断具1を図3に示す矢印方向に移動させて、カッター部3をボトル容器Xの外周に沿って旋回させ、刃15によって側壁X´を切開してボトル容器Xを切断する。なお、ボトル容器Xを回転させても切断可能であり、切断具1及びボトル容器Xをそれぞれ回転させても切断可能である。
【0027】
最後に、係止ピン26を軸回転させ、係止ピン26を図1に示す係止孔25内から引き抜いて固定手段5を解除して、カッター部3を図1に示す非切開位置Bに移動させ、切断されたボトル容器Xから外装部2を取り外す。なお、切断具1の使用後は、カッター部3の刃15の刃先15aをホルダー16内に収納するとよい。
【0028】
以上のようにして、ボトル容器Xは切断されるが、切断されたボトル容器Xは、その内側面に付着したインキ等を、長ベラ等を使ってきれいに取り除いた後、廃棄処分する。このとき、内側面に付着したインキ等をきれいに取り除いた後に、切断された複数のボトル容器Xを積み重ねてコンパクトにまとめるとよい。
【0029】
上記した構成からなるボトル容器Xの切断具1によれば、切断具1が、ボトル容器Xに対して周方向に回転可能に外装される外装部2と、外装部2に設けられ、ボトル容器Xの側壁X´を切開する刃15を有するカッター部3とが備えられた構成からなるため、ボトル容器Xに外装部2を装着させ、切断具1とボトル容器Xとを相対的に回転させるだけで、カッター部3はボトル容器Xの周りを旋回し、カッター部3の刃15がボトル容器Xの壁面X´に沿って移動し、ボトル容器Xの側壁X´が切開され、ボトル容器Xは周方向に切断される。これによって、手持ちで作業し易く、また、ボトル容器Xの位置合わせ等の手間もないため、容易に切断作業を行うことができる。
また、カッター部3は、ボトル容器Xに対して周方向に回転可能に外装された外装部2に設けられた構成からなるため、外装部2とカッター部3とは一体的に動き、カッター部3が、確実にボトル容器Xの周りを旋回し、ボトル容器Xの周方向に沿った旋回線上から外れることはない。これによって、切断作業中に、カッター部3の刃15によって誤って作業員が手等を切ることはなく、切断作業の安全性を向上させることができる。また、カッター部3の刃15をボトル容器Xの壁面X´に沿って移動させることでボトル容器Xの壁面X´を切開するため、軟らかい材質からなるボトル容器Xであってもきれいに切断することができる。さらに、ボトル容器Xの側壁X´を切開して、ボトル容器Xを周方向に切断することから、切断されたボトル容器Xは、ボトル容器Xの内側面に付着したインキ等を掻き出し易い形状になり、ボトル容器Xの内側面に付着したインキ等を簡単且つきれいに取り除くことができる。
【0030】
また、上記した切断具1は、カッター部3が切開位置Aと非切開位置Bとの間で移動自在に取り付けられ、且つ、カッター部3を切開位置Aで固定する固定手段5が備えられた構成からなるため、外装部2をボトル容器Xに外装させるときは、カッター部3を非切開位置Bに配置させておくことで、カッター部3の刃15がボトル容器Xに引っ掛かることを防止できる。これによって、切断具1をボトル容器Xに装着する作業をスムーズに行うことができる。そして、外装部2をボトル容器Xに外装させた後、カッター部3を切開位置Aに移動させて固定手段5によって固定することで、カッター部3の刃15がボトル容器Xの側壁X´に当接された状態を維持することができる。これによって、切断具1とボトル容器Xとを相対的に回転させた際に、カッター部3が移動してその刃15がボトル容器Xの側壁X´から離れることを防止することができ、確実にボトル容器Xを切断することができるとともに、作業の安全性を向上させることができる。
【0031】
また、上記した切断具1は、ボトル容器Xとカッター部3との相対的な位置関係を調整して切断位置を変更する切断位置変更手段6が備えられた構成からなるため、ボトル容器Xの切断位置を適宜選択することができ、最適な位置でボトル容器Xを切断することができる。
【0032】
また、上記した切断具1は、カッター部3が、刃15と、刃15を進退可能に収納するホルダー16とが備えられた構成からなっているため、切断具1の使用時には、刃先15aをホルダー16から突出させ、不使用時には、刃先15aをホルダー16内に収納することができる。これによって、切断具1の持ち運びの時や保管時に、刃15によって怪我等する虞はなく、安全性を一層向上させることができる。
また、上記した切断具1は、刃15が取替可能であるため、刃15の切れ味が悪くなった時点で、刃15のみを交換することができる。これによって、経済的に、常に切れ味の良い刃15で切断作業を行うことができる。なお、刃15に折れ溝を形成し、刃先15aの切れ味が悪くなったときに刃15の先端部を折り取って、刃先15aを新たに鋭利なものとしてもよい。
【0033】
以上、本発明に係るボトル容器の切断具の実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施例では、外装部2は、板部材10と環部材11と繋ぎ部材12,12とから構成されているが、本発明は、一端が開放されて他端が閉じた筒状の外装部であってもよく、また、ボトル容器の外周面を把持するC形状の外装部であってもよく、さらには、一部が開閉する外装部であってもよい。
【0034】
また、上記した実施例では、カッター部3を回転移動させる移動機構4によって、カッター部3を切開位置Aと非切開位置Bとの間で移動可能とした構成からなっているが、本発明は、カッター部を進退移動させることで、カッター部を切開位置と非切開位置との間で移動可能とする構成としてもよく、また、フレキシブルに変形可能なアームや屈曲可能に連結された複数の肢部材からなるアームにカッター部を取り付けることで、カッター部を移動可能としてもよい。
【0035】
また、上記した実施例では、固定部材20に形成された係止孔25に、回転部材21に設けられた係止ピン26を嵌挿させることで、回転部材21の回転を規制し、回転部材21に取り付けられたカッター部を固定する固定手段5が備えられているが、本発明は、例えばフック形状の掛止部を、例えばリング形状の被掛止部に掛止することで固定する固定手段であってもよく、カッター部を切開位置で固定する手段であれば、その他の如何なる構成からなる固定手段であってもよい。
【0036】
また、上記した実施例では、ボトル容器Xの端面に当接する押え部材31を調節することで、外装部2とボトル容器Xとの相対的な位置関係を調整し、これによって、ボトル容器Xとカッター部3との相対的な位置関係を調整し、切断位置を変更する切断位置変更手段6が備えられているが、本発明は、カッター部を移動させることで、ボトル容器とカッター部との相対的な位置関係を調整して切断位置を変更する切断位置変更手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るボトル容器の切断具の実施例を説明するための平面図である。
【図2】本発明に係るボトル容器の切断具の実施例を説明するための断面図である。
【図3】本発明に係るボトル容器の切断具の実施例を説明するための斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 切断具
2 外装部
3 カッター部
5 固定手段
6 切断位置変更手段
15 刃
A 切開位置
B 非切開位置
X ボトル容器
X´ 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトル容器に対して周方向に回転可能に外装される外装部と、
該外装部に設けられ、前記ボトル容器の側壁を切開する刃を有するカッター部と
が備えられていることを特徴とするボトル容器の切断具。
【請求項2】
前記カッター部は、前記刃が前記側壁に当接する切開位置と前記刃が前記側壁から離される非切開位置との間で移動自在に取り付けられ、
前記カッター部を前記切開位置で固定する固定手段が備えられている請求項1に記載のボトル容器の切断具。
【請求項3】
前記ボトル容器と前記カッター部との相対的な位置関係を調整して切断位置を変更する切断位置変更手段が備えられている請求項1または2記載のボトル容器の切断具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−255850(P2006−255850A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79115(P2005−79115)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000002886)大日本インキ化学工業株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】