説明

ボトル洗浄装置

【課題】 ボトルを倒立姿勢から起立姿勢に戻す場合に、ボトルの頸部や装置自体に過負荷が作用することを抑制できるボトル洗浄装置を提供すること。
【解決手段】 ホルダ駆動シリンダ36のロッド36aがシリンダ本体36b内へ没入されることで、レール支持体35が支持軸37を中心に揺動され、そのレール支持体35と一体となっている可動レール15も支持軸37を中心に揺動され、その可動レール15により支えられているホルダ部材4がホルダブラケット17を介して傾倒され、この傾倒に伴ってホルダ部材4により支保されているボトル50が斜倒される。そして、ホルダ傾倒装置31によってホルダ部材4が上向き姿勢位置から斜め下向き姿勢位置まで傾倒されると、ボトル50が自重によって自由落下し、それに伴って、ボトル50の頸部51がボトル保持孔5から抜脱され、ボトル50がホルダ部材4から脱着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部が頸部の頂部端面にあるボトルを搬送しながら洗浄するボトル洗浄装置に関し、特に、ボトルの口部が下向きとなるようにボトルを上下反転させて倒立姿勢の状態で搬送するボトル洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、胴部上端に小径状の頸部が形成されている小容量ボトルの洗浄装置は、ボトルの頸部を把持してボトルを上下反転させてボトルの口部を下向きにさせるボトル反転機構と、そのボトル反転機構により下向きとなったボトルの口部へ下方から洗浄液を噴射してボトル内を洗浄する洗浄ノズルとを備えており、例えば、下記する特許文献1又は2に記載されているペットボトルの洗浄システムや容器洗浄装置などが提案されている。
【0003】
ここで、特許文献1記載の洗浄システムは、チャッキング機構によってボトルの頸部を把持したまま回転機構によってボトルを上下反転させて倒立姿勢とし、その倒立姿勢でボトルの頸部を把持したままボトルを移動させて、そのボトルの口部へスプレイノズルから殺菌水又は洗浄水を噴射させてボトル内部を洗浄した後、チャッキング機構により頸部が把持されているボトルを回転機構によってその口部が上向きとなる起立姿勢に復帰させて、次工程である充填工程へ搬出するものである。
【0004】
また、特許文献2記載の容器洗浄装置は、第1の容器把持部でボトルの頸部を把持したままボトル容器反転機構によってボトルを上下反転させて倒立姿勢とし、更に、その反転倒立されたボトルの底部を第2の容器把持部で把持して、移動機構によってボトルを移動させ、その移動中にボトル内部に洗浄液噴射ノズルから洗浄液などを噴射させてボトル内部を洗浄した後、第3の容器把持部でボトルの頸部を掴み直してからボトル反転操出機構によってボトルを元の起立姿勢に反転して、次工程のコンベアへと繰り出すものである。
【特許文献1】特開2001−163311公報
【特許文献2】特開2003−10805公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1及び2記載の洗浄システム及び洗浄装置では、上下反転されて倒立姿勢にあるボトルの頸部を把持し、その把持力によってボトルを支えながら振り下ろすようにして、ボトルを起立姿勢に復帰させるものであるので、ボトルを倒立姿勢から起立姿勢に復帰させる場合に、ボトルの頸部に負荷が作用してしまう。特に、小容量ボトルに比べて重量が大きな大容量のボトルを取り扱う場合には、そのボトルを倒立姿勢から起立姿勢に復帰させるときに、ボトルの頸部に対して過度の負荷が作用し易く、かつ、特許文献1記載のチャッキング機構や特許文献2記載の第3の容器把持部に対しても過度の負荷が作用してしまい、これらが損傷や破損し易くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ボトルを上下反転させて倒立姿勢で搬送及び洗浄するものであって、特に、ボトルを倒立姿勢から起立姿勢に戻す場合に、ボトルの頸部や装置自体に過負荷が作用することを抑制できるボトル洗浄装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために請求項1記載のボトル洗浄装置は、頸部の頂部端面に口部が開口されるボトルを洗浄するものであり、ボトルを搬送するための洗浄搬送路と、その洗浄搬送路に沿って所定間隔おきに配置される複数の処理ポジションと、その複数の処理ポジションの配置間隔と略等しい間隔で前記洗浄搬送路に沿って複数設けられ、ボトルの頸部を遊嵌可能で鉛直方向に貫通されるボトル保持孔を有して、そのボトル保持孔の周縁部によりボトルを下方から倒立姿勢で支保する複数のホルダ部材と、その複数のホルダ部材の全てを一斉に前記洗浄搬送路に沿って同一方向へ前記処理ポジションの配置間隔ずつ間欠移動させることによって、各ホルダ部材を、各ホルダ部材が位置している処理ポジションから次の処理ポジションへ転移させる搬送手段と、前記複数の処理ポジションの1つにあたる洗浄ポジションに配設され、その洗浄ポジションに位置している前記ホルダ部材の前記保持孔内周へ下方から洗浄液を噴射する洗浄手段と、その洗浄手段の配設される前記洗浄ポジションよりも前記洗浄搬送路下流側にあって前記複数の処理ポジションの1つにあたる脱着ポジションに位置している前記ホルダ部材を、前記ボトル保持孔が上向きとなる姿勢位置(上向き姿勢位置)から斜め下向きとなる姿勢位置(斜め下向き姿勢位置)まで傾倒させるホルダ傾倒手段とを備えている。
【0008】
この請求項1記載のボトル洗浄装置によれば、ボトルは、その頸部がホルダ部材のボトル保持孔内に遊嵌されて、その口部がボトル保持孔の内周で下方に向けられ、ボトル保持孔の周縁部により倒立姿勢の状態で下方から支保される。ボトルを倒立姿勢で支保したホルダ部材は、搬送手段によって洗浄搬送路に沿って同一方向に間欠的に1ポジションずつ一斉に移動されることで、その各ホルダ部材により支保されている各ボトルが、洗浄搬送路に沿って上流側の処理ポジションから下流側の処理ポジションへと一斉に1ポジションずつ転移させられる。この結果、各ホルダ部材により下方から支保されている各ボトルは、各処理ポジションにおいて必要な処理が順番に施されることとなる。
【0009】
そして、ホルダ部材が所定の洗浄ポジションに到達すると、洗浄手段によって、洗浄液がホルダ部材のボトル保持孔内周へ下方からボトルの口部内へ噴射されて、そのボトル内部が洗浄される。このように洗浄ポジションで洗浄されたボトルは、その後、搬送手段によるホルダ部材の搬送に伴って、洗浄ポジションよりも搬送方向下流側にある脱着ポジションまで搬送される。そして、この脱着ポジションにおいて、ホルダ傾倒手段によりホルダ部材が上向き姿勢位置から斜め下向き姿勢位置まで傾倒されると、ホルダ部材からボトルが胴部の重みで自由落下し、ボトル保持孔からボトルの頸部が抜脱されて、ボトルがホルダ部材から脱着される。
【0010】
請求項2記載のボトル洗浄装置は、請求項1記載のボトル洗浄装置において、前記搬送手段は、前記洗浄搬送路に沿って配設されると共に前記複数のホルダ部材が前記処理ポジションの配置間隔と略等しい間隔で取着されている搬送チェーンと、その搬送チェーンを前記洗浄搬送路に沿って前記処理ポジションの配置間隔ずつ間欠移送する間欠移送手段と、その間欠移送手段によって移送される前記搬送チェーンに対して間隔を隔てて前記洗浄搬送路に沿って配設されるガイドレールとを備えており、前記複数のホルダ部材は、前記ガイドレールに係合された状態で前記洗浄搬送路に沿って搬送移動可能に形成されており、更に、そのガイドレール及び前記搬送チェーン間に架設されて略水平姿勢で保持されており、前記ガイドレールは、前記脱着ポジションを除く部分に配設される固定レールと、その固定レールから分離可能に形成され前記脱着ポジションに対応する部分に配設される可動レールとを備えており、前記ホルダ傾倒手段は、前記可動レールを支持すると共に、前記ホルダ部材が前記脱着ポジションに停止した場合に、前記固定レールから前記可動レールを離脱させ、その離脱動作に連動させて、前記可動レールに係合されている前記ホルダ部材を傾倒させるものである。
【0011】
この請求項2記載のボトル洗浄装置によれば、請求項1記載のボトル洗浄装置と同様に作用する上、間欠移送手段によって、搬送チェーンが処理ポジションの配置間隔に相当する長さ分だけ洗浄搬送路に沿って移送させられてホルダ部材が間欠移動させられる。このように搬送チェーンの間欠的移送によってホルダ部材を移動させる場合、搬送チェーンには停止及び移送による負荷が繰り返し加わることから、搬送チェーンの負荷を分散するため、ホルダ部材は、搬送チェーンとガイドレールとの間に略水平姿勢で架設保持されている。また、ホルダ部材は、そのホルダ保持孔内にボトルの頸部を遊嵌させてボトルを下方から支保するだけのものであるが、搬送チェーン及びガイドレール間に架設されて略水平姿勢に保持されるので、ホルダ部材上でのボトルの揺れ動きが抑制される。
【0012】
ところで、ホルダ部材はガイドレールに係合された状態で洗浄搬送路に沿って搬送移動されるものであり、脱着ポジションに位置するホルダ部材は、ガイドレールの一部である可動レールに係合されている。このように可動レールに係合されているホルダ部材からボトルを脱着するには、その可動レールを介してホルダ部材を傾倒させることでボトルを斜倒させる。具体的には、ホルダ傾倒手段によってガイドレールの一部である可動レールが同じくガイドレールの一部である固定レールから離脱され、その離脱に連動して可動レールに係合されているホルダ部材が傾倒軸を介して傾倒されることで、そのホルダ部材に支保されているボトルが斜倒される。
【0013】
請求項3記載のボトル洗浄装置は、請求項2記載のボトル洗浄装置において、前記ホルダ部材は、そのホルダ部材に回動可能に軸支され、前記固定レールを上下から挟持する一組のガイドローラを備えており、その一組のガイドローラを介して前記固定レールに対して移動可能に係合されており、前記可動レールは、前記ホルダ部材が前記脱着ポジションに位置している場合に、そのホルダ部材に備えられる前記一組のガイドローラ間に空転可能に係入されるものである。
【0014】
この請求項3記載のボトル洗浄装置によれば、請求項1又は2に記載のボトル洗浄装置と同様に作用する上、ホルダ部材は、一組のガイドローラによってガイドレールの固定レールに対して係合され、その一組のガイドローラが固定レールに接触して転動するように回転することでガイドレールに沿って案内される。このように、ホルダ部材は自ら回転する一組のガイドローラを介してガイドレールの固定レールに係合されるので、このような係合による負荷抵抗が搬送チェーンに及ぶことを抑制して、ホルダ部材をガイドレールの固定レールに沿わせて円滑に移動させることができる。
【0015】
また、ホルダ傾倒手段による可動レールの動きに連動させてホルダ部材を傾倒させるため、可動レールは一組のガイドローラ間に空転可能に係入されている。このため、可動レールがホルダ傾倒手段によって固定レールから離脱されると、この可動レールが一組のガイドローラ間に係入されたまま、ホルダ部材が傾倒軸を介して上向き姿勢位置から斜め下向き姿勢位置へと傾倒されるのである。
【0016】
請求項4記載のボトル洗浄装置は、請求項1から3のいずれかに記載のボトル洗浄装置において、前記洗浄搬送路に併設され前記脱着ポジションからボトルを次工程へ搬出するボトル搬出路と、そのボトル搬出路と前記脱着ポジションとの間に設けられ、その脱着ポジションに位置している前記ホルダ部材側から前記ボトル搬出路側へ向けて下降傾斜するように斜設され、前記ホルダ傾倒手段によって前記ホルダ部材から抜脱されるボトルを受け止めるボトル受け部材と、そのボトル受け部材を傾斜姿勢位置から縦立姿勢位置へと姿勢変更して、ボトルを斜倒姿勢から起立姿勢にする姿勢変更手段と、その姿勢変更手段によって縦立姿勢位置へ姿勢変更された前記ボトル受け部材と協働して起立姿勢になっているボトルを抱持して、そのボトルの位置決め及び転倒防止を行うボトル止部材とを備えている。
【0017】
この請求項4記載のボトル洗浄装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載のボトル洗浄装置と同様に作用する上、ホルダ傾倒手段によってホルダ部材が脱着ポジションで傾倒され、その傾倒に伴ってボトルが脱着ポジションで斜倒されると、そのボトルは、ボトル受け部材によって受け止められる。そして、姿勢変更手段によってボトル受け部材が傾斜姿勢位置から直立姿勢位置へと起立させられると、ボトルが口部を上向きにした状態でボトル搬出路上に起立させられる。しかも、このときボトルを起立させたボトル受け部材はボトル止部材と協働して、起立させたボトルをボトル止部材と共に抱持して、そのボトルの位置決めと転倒防止とを行うのである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のボトル洗浄装置によれば、脱着ポジションにおいてホルダ部材からボトルを脱着させる場合、ボトルを支保しているホルダ部材がホルダ傾倒手段により傾倒されることでボトルが斜倒されて、ボトル保持孔に遊嵌されているボトルの頸部が抜脱される。このため、大容量ボトルを倒立姿勢から起立姿勢に復帰させる場合でも、ボトルの頸部を強く把持して振り下ろす必要がないため、ボトルの頸部やホルダ部材に過負荷が加わることもなく、ボトルをホルダ部材から円滑に脱着させることができるという効果がある。しかも、ホルダ部材は、そのボトル保持孔内にボトルの頸部を遊嵌させて、そのボトル保持孔周縁部でボトルを下方から支保するだけなので、ボトルの頸部を把持するために強い把持力が当該頸部に加えられることもなく、ボトルの搬送中にボトルの頸部に不要な締付け力が加わることを防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。本発明の一実施例であるボトル洗浄装置は、内容量が略1ガロンから略5ガロン程度の大容量ボトル(以下単に「ボトル」という。)の内部及び外部を洗浄し、更に、そのボトルの内部に飲料水を充填装置(図示せず)により充填する装置であって、1時間当たり略200本から略300本程度を処理するのに適したものである。なお、本実施例で用いる「ガロン」とは、米国液量ガロン(1ガロン≒3.785リットル)をいう。
【0020】
図10は、本実施例の説明で用いるボトル50の断面図である。図10に示すように、ボトル50は、その頸部51の頂部端面に口部52が開口されている容器体であって、内容量が略3ガロン前後に相当するものである。また、このボトル50は、比較的重量のある樽状のものであり、ボトル保持孔5内に係入される頸部51の長さも充分に長く、上下反転されてボトル保持孔5に遊嵌されている状態でホルダ部材4からボトル50の重心位置までの距離が短く、ホルダ部材4による支保のみでも上下反転した倒立姿勢を安定的に維持できるものである(図2参照)。
【0021】
さらに具体的には、本実施例の説明で用いるボトル50は、頸部51の外径が胴部53の外径の略15%〜略25%、頸部51の長さが胴部53長さの略25%〜略35%、頸部51の長さが頸部51の付け根から胴部53の重心位置まで至る距離の略50%〜略60%、ボトル50の肩部54の傾斜角度が略水平線に対して略0°〜略30°、及び、重量が略0.5kg〜略1.5kgであって、ポリカーボネートなどの耐衝撃性のある合成樹脂材料で形成されている。
【0022】
図1は、本発明の一実施例であるボトル洗浄装置1の装置本体2の内部構造を示す平面図である。図1に示すように、ボトル洗浄装置1の装置本体2は、平面視略横長の長方形状の内部空間を囲繞するように形成されるフレーム体であり、その装置本体2の内部に周回搬送路3が設けられている。周回搬送路3は、洗浄処理を施すために複数のボトル50を上下反転(倒立)させたまま同時一斉に搬送して周回移動させる搬送用の経路であって、平面視略ロ字形の無端環状の閉経路に形成され、且つ、後述する搬送チェーン7及びガイドレール8の間に設けられている。
【0023】
この周回搬送路3には、その周回搬送路3に沿って合計12箇所の処理ポジションS1〜S12が略等間隔おきに配置されており(図2参照)、これらの処理ポジションS1〜S12は、倒立姿勢のまま搬送されるボトル50に対して、洗浄、排水、濯ぎおよび排水などの一連の処理を順番に施すために周回搬送路3上に予め配置されている処理位置(ポジション)である。
【0024】
また、処理ポジションS1〜S12には洗浄対象物たるボトル50を支保するためのホルダ部材4が1個ずつ配置されており、周回搬送路3全体では合計12個のホルダ部材4が処理ポジションS1〜S12の配置間隔(以下「処理ポジション間隔」という。)Lと略等しい間隔で周回搬送路3に沿って設けられている。また、各処理ポジションS1〜S12にそれぞれ配置されているホルダ部材4には、その中央部にボトル50の頸部51を遊嵌可能な内径を有するボトル保持孔5が設けられており、平面視略O字形に形成されている。
【0025】
ところで、上記した12箇所ある処理ポジションS1〜S12の具体的な名称は、周回搬送路3の周回搬送方向(図1及び図2の時計回り方向)へ順番に、装着ポジションS1、待機ポジションS2、3箇所の洗浄ポジションS3〜S5、第1排水ポジションS6、4箇所の濯ぎポジションS7〜S10、第2排水ポジションS11、及び、脱着ポジションS12である。
【0026】
まず、装着ポジションS1は、ボトル装着装置(図示せず)によって口部52が下向きとなるように上下反転された倒立姿勢のボトル50を、ホルダ部材4に装着するためのポジションである。待機ポジションS2は、装着ポジションS1でホルダ部材4に装着されたボトル50を倒立姿勢のまま放置して、ボトル50の内部に残存する飲料水をボトル50の口部52から滴下させるためのポジションである。
【0027】
洗浄ポジションS3〜S5は、ボトル50の内部(内面)及び外部(外面)の双方を洗浄するためのポジションである。これらの洗浄ポジションS3〜S5には、ボトル50の内部洗浄用の噴射ノズル(図4に示す噴射ノズル25を参照。以下同じ。)及び外部洗浄用の噴射ノズル(図示せず。以下同じ)の双方がそれぞれ配設されている。なお、洗浄水は本発明で用いる洗浄液の一種である。なお、図1では、噴射ノズルの図示を省略している。
【0028】
第1排水ポジションS6は、ボトル50を倒立姿勢のまま放置して、洗浄ポジションS5でボトル50の内部に噴射されて残留している使用済み洗浄水をボトル50の口部52から外部へと自由落下により排水するためのポジションである。また、第1番目の濯ぎポジションS7にはボトル50の内部を濯ぐための噴射ノズルが配設されており、その噴射ノズルから濯ぎ水がボトル50の口部52内へ噴射されることでボトル50の内部が濯ぎ洗いされる。なお、濯ぎ水は、本発明で用いる洗浄液の一種であり、具体的には通常の水道水を使用したものである(以下同じ。)。
【0029】
第2番目の濯ぎポジションS8には、ボトル50の内部を濯ぐための噴射ノズル、及び、ボトル50の外部を濯ぐための噴射ノズルがそれぞれ配設されている。この第2番目の濯ぎポジションS8では、各噴射ノズルから濯ぎ水が同時に噴射されることでボトル50の内部及び外部が同時に濯ぎ洗いされる。また、第3番目の濯ぎポジションS9には、ボトル50外部を濯ぐための噴射ノズルが配設されている。この第3番目の濯ぎポジションS9では、その噴射ノズルから濯ぎ水がボトル50の外部へ噴射されることでボトル50の外部が濯ぎ洗いされる。
【0030】
第4番目の濯ぎポジションS10には、ボトル50の内部を濯ぐための噴射ノズル、及び、ボトル50の外部を濯ぐための噴射ノズルがそれぞれ配設されている。この第4番目の濯ぎポジションS10では、ボトル50の外部に濯ぎ水が噴射されることでボトル50の外部が濯ぎ洗いされると同時に、ボトル50の口部52内へ製品用の飲料水がファイナルリンス水として噴射されることでボトル50の内部がファイナルリンス水により濯ぎ洗いされる。なお、ファイナルリンス水は本発明で用いる洗浄液の一種である。
【0031】
第2排水ポジションS11は、第4番目の濯ぎポジションS10でボトル50の内部に噴射されて残留している使用済みファイナルリンス水をボトル50の口部52から外部へと自由落下により排水するためにボトル50を放置するポジションである。また、脱着ポジションS12は、ホルダ部材4からボトル50を脱着するためのポジションである。また、この脱着ポジションS12でボトル50が脱着されたホルダ部材4は、再び、装着ポジションS1へ転移されて、新たなボトル50が装着される。
【0032】
また、上記した複数の処理ポジションS1〜S12に位置している複数のホルダ部材4は、搬送機構装置の一部を構成する搬送チェーン7に取着されている。この搬送機構装置は、主に、搬送チェーン7と、ガイドレール8と、4個のスプロケット9〜12と、間欠移送モータ13とから構成されており、全てのホルダ部材4を処理ポジション間隔Lに略等しい移送ピッチPずつ一斉に周回搬送路3の周回方向へ間欠移動させることによって、各ホルダ部材4を、各ホルダ部材4が現在位置しているポジションから次のポジションへ次々と転移させるものである。
【0033】
搬送チェーン7は、周回搬送路3に沿って平面視略ロ字形に周設されており、この搬送チェーン7の外周側には、搬送チェーン7から所定間隔を隔ててガイドレール8が平面視略ロ字形となるように周設されている。ガイドレール8は、主として、脱着ポジションS12を除く部分に配設される固定レール14と、その固定レール14から分離可能に形成され脱着ポジションS12に対応する部分に配設される可動レール15とを備えている。そして、このガイドレール8及び搬送チェーン7の間には、上記した複数のホルダ部材4が周回搬送路3に沿って移動可能に配設されている。
【0034】
また、搬送チェーン7の内周部には、その各コーナー部に1個ずつ合計4個のスプロケット9〜12が配設されており、これらの4個のスプロケット9〜12はいずれも搬送チェーン7に内接した状態で歯合されている。これら4個のスプロケット9〜12のうちの1個は搬送チェーン7を間欠移送するための駆動力を伝達するための原動スプロケット9であり、残る3個は搬送チェーン7を周回搬送路3に沿って案内するための従動スプロケット10〜12である。
【0035】
ボトル洗浄装置1の装置本体2には周回搬送路3と共にボトル搬出コンベア16が併設されている。ボトル搬出コンベア16は、周回搬送路3の短辺部分(図1右側)にその短辺部分と同一方向(図1上下方向)に延設されており、脱着ポジションS12に隣接するように周回搬送路3に並設されている。このボトル搬出コンベア16は、周回搬送路3の脱着ポジションS12でホルダ部材4から脱着されたボトル50を、次工程へ向けて順次搬出するローラコンベアで構成されており、このローラコンベアは、複数の搬送ローラ16a上に載置されるボトル50を、その複数の搬送ローラ16aが転動することで搬送するコンベア装置である。
【0036】
図2は、装着ポジションS1周辺の縦断面図であり、図3は、図2の矢印A方向からホルダ部材4を矢視した矢視図である。図2に示すように、ホルダ部材4は、搬送チェーン7及びガイドレール8間に架設されて略水平姿勢で保持されている。このホルダ部材4は、その形状が略中空筒状に形成されており、その中央部にボトル保持孔5が鉛直方向に貫通形成されている。このホルダ部材4は、口部52が下向きとなったボトル50の頸部51をボトル保持孔5内に遊嵌させた状態でボトル50を支保するものであり、ボトル保持孔5の上端側周縁部によってボトル50の肩部54を下方から支保するように形成されている。
【0037】
ホルダ部材4の一方の側面部(図2左側の側面部)にはホルダブラケット17を介して搬送チェーン7が取着されている。このホルダブラケット17は、搬送チェーン7における上側のリンクプレートに固定的に取着される略L字形のアングル17aと、そのアングル17aの直立部にプレート17eを介在させて締着される一方のヒンジ板部17bと、そのヒンジ板部17bにヒンジ軸部17cを介して揺動可能に連結されホルダ部材4の側面部に締着される他方のヒンジ板部17dとを備えており、これらの一対のヒンジ板部17b,17d及びヒンジ軸部17cで1つのヒンジを構成している。
【0038】
また、ホルダ部材4の他方の側面部(図2右側の側面部)には、図3に示すように、3個一組の略円柱状のガイドローラ18〜20が取着されている。なお、図2においては上下2個のガイドローラ19,20のみが図示されているが、実際には、上側部分のガイドローラ19の手前側にもう1個のガイドローラ18があり、図3に示すように、1つのホルダ部材4には、その上側部分に2個のガイドローラ18,19が、その下側部分に1個のガイドローラ20が、それぞれ回転可能に取着されている。
【0039】
図2に示すように、一組のガイドローラ18〜20は、略水平な軸中心回りで回転(回動)可能にホルダ部材4に軸支されており、ガイドレール8(固定レール14)を上下から挟持することでガイドレール8(固定レール14)に係合されている。また、この一組のガイドローラ18〜20は、ガイドレール8(固定レール14)の上下面に当接されながら転動することで、ホルダ部材4を略水平姿勢に保持しながらガイドレール8(固定レール14)に沿って案内移動させるものである。
【0040】
原動スプロケット9は、その中心部に原動シャフト21の上端部が軸通されている。この原動シャフト21は、原動スプロケット9から鉛直下方へ延出されており、装置本体2に配設される間欠移送モータ13の減速機の出力軸と一体的に連結されている。また、間欠移送モータ13は、周回搬送路3よりも下方に位置する装置本体2の架台2a上に搭載されており、その上部がモータカバー22によって覆われている。
【0041】
間欠移送モータ13は、原動スプロケット9に回転(回動)力を与えて、搬送チェーン7を移送ピッチPずつ間欠移送する、減速機付き電動モータである。具体的に、間欠移送モータ13は、原動スプロケット9を介して搬送チェーン7を一定の移送ピッチPだけ移送する動作状態と、略15秒間の停止状態とを、順番に繰り返すように駆動されるものである。そして、この間欠移送モータ13が略15秒間の停止されている状態の間に、各処理ポジションS1〜S12では、ボトル50に対する必要な処理が施されるのである。
【0042】
図4は、図1のIV−IV線における縦断面図である。図4に示すように、搬送チェーン7の内周には、上記した従動スプロケット11の歯部が歯合されている。この従動スプロケット11の中心部には従動シャフト23の上端部が軸通されており、この従動シャフト23の下端部は装置本体2に固定されている軸受24によって回転可能に軸支されている。なお、図4に示した従動スプロケット11は、合計3個ある従動スプロケット10〜12のうちの1個を図示したものであるが、残る2個の従動スプロケット10,12についても同様に従動シャフト23が軸受24を介して回転可能に軸支されている。
【0043】
ホルダ部材4のボトル保持孔5の鉛直下方には、ホルダ部材4の下端面から僅かに離れて噴射ノズル25が配設されている。この噴射ノズル25は、上記した第2番目の濯ぎポジションS8に配設されるものであり、その上端面に液体を鉛直上方へ向けて噴射するノズル孔25aが設けられている。この濯ぎ用の噴射ノズル25によれば、その噴射ノズル25へ供給される濯ぎ水がノズル孔25aから鉛直上方に噴射されることで、ボトル保持孔5の内周部に遊嵌されているボトル50の口部52内へ濯ぎ水が噴射されて、ボトル50の内部が濯がれる。
【0044】
なお、図4では、第2番目の濯ぎポジションS8に配設される噴射ノズル25のみを図示しているが、ボトル50の内部を洗浄するために洗浄ポジションS3〜S5や他の濯ぎポジションS7,S9,S10にも、図示は省略するが、濯ぎポジションS8に配設されているものと構造的に同一形態の噴射ノズルが配設されている。また、本実施例では、ボトル50の外部を洗浄する噴射ノズルの図示を省略している。
【0045】
図2及び図4に示すように搬送チェーン7の鉛直下方には、その搬送チェーン7を支持するチェーンフレーム26が配設されており、このチェーンフレーム26は、装置本体2の架台2a上に固定的に立設されている。また、このチェーンフレーム26の上部には係合ブロック27が固定されており、この係合ブロック27の上面には搬送チェーン7のローラ及び下側のリンクプレートが摺動可能に係合される無蓋有底の係合凹部27aが凹設されている。このチェーンフレーム26及び係合ブロック27は、図1に示した周回搬送路3の各コーナー部を除く各ストレートライン部に沿って配設されており、搬送チェーン7を周回搬送路3に沿って移送させるための規制体として機能するものである。
【0046】
次に、図5から図9を参照して、ボトル脱着装置30について説明する。図5及び図6は、いずれもボトル脱着装置30の全体構造を示す側面図であり、特に、図5は、ホルダ部材4が上向き姿勢位置にある状態を、図6は、ホルダ部材4が斜め下向き姿勢位置にある状態を、それぞれ図示したものである。なお、図5は、図1のV−V線における縦断面図でもある。
【0047】
ボトル脱着装置30は、脱着ポジションS12に位置しているホルダ部材4からボトル50を脱着して、そのボトル50の口部52が上向きとなる姿勢(起立姿勢)で、そのボトル50をボトル搬出コンベア16の上に載置するための装置である。このボトル脱着装置30は、主として、ホルダ部材4を上向き姿勢位置(図5参照)から斜め下向き姿勢位置(図6参照)まで傾倒させることでボトル50をホルダ部材4から脱着させるホルダ傾倒装置31と、そのホルダ傾倒装置31によりホルダ部材4から脱着されたボトル50の胴部53を下側から受け止めるボトル受け部材32と、そのボトル受け部材32を縦立姿勢位置(図5参照)又は傾斜姿勢位置(図6参照)の一方から他方へと姿勢位置を変更するための姿勢位置変更装置33とを備えている。
【0048】
ここで、ホルダ部材4の上向き姿勢位置とは、図5に示すようにボトル保持孔5の中心軸が鉛直方向に向かっているホルダ部材4の姿勢位置をいい、ホルダ部材4の斜め下向き姿勢位置とは、図5に示した上向き姿勢位置から時計方向へ略100°傾倒されてボトル保持孔5の中心軸が右斜め下方向に向かう状態となったホルダ部材4の姿勢位置をいう(図6参照)。
【0049】
また、ボトル受け部材32の縦立姿勢位置とは、図5に示すようにボトル受け部材32がボトル搬出コンベア16の上で縦立した姿勢位置をいい、ボトル受け部材32の傾斜姿勢位置とは、図5に示した縦立姿勢位置から反時計方向へ略45°傾倒されて右下がりに下降傾斜した状態となったボトル受け部材32の姿勢位置をいう(図6参照)。
【0050】
図7は、ホルダ傾倒装置31の拡大側面図であって、ホルダ部材4が上向き姿勢位置にある状態を図示している。図7に示すように、ホルダ傾倒装置31は、チェーンフレーム26の上部側面から周回搬送路3の外側(図7右側)へ向けて突設される保持ブラケット34と、その保持ブラケット34を介してチェーンフレーム26に保持されているレール支持体35と、そのレール支持体35を揺動させる動力を付与するホルダ駆動シリンダ36とを備えている。
【0051】
レール支持体35は、ホルダ部材4の下側に配設されるベース部35aを備えており、このベース部35aは、保持ブラケット34からホルダ部材4に備えられている一組のガイドローラ18〜20の外側まで延設されている。レール支持体35は、そのベース部35aの一端部(図7左側)が支持軸37を介して保持ブラケット34に揺動可能に連結されており、ベース部35aの他端部(図7右側)にアーム部35bが取着されている。レール支持体35のアーム部35bは、ベース部35aの他端部(図7右側)から鉛直上方へ垂設されて、その上端が上側2個のガイドローラ18,19と下側1個のガイドローラ20との間へ向けて略直角状に折り返され、その折り返された先端部に上記した可動レール15が固着されている。
【0052】
また、レール支持体35は上記したベース部35aに一体的に設けられるリンク部35cを備えており、このリンク部35cは、可動レール15のほぼ真下に位置している。このレール支持体35のリンク部35cは、ロッド連結軸38を介して、レール支持体35とホルダ駆動シリンダ36のロッド36aとを相対的に回動可能に連結するための部位である。
【0053】
ホルダ駆動シリンダ36は、そのロッド36aを空気圧により出没させるエアシリンダで構成されており、そのシリンダ本体36bが周回搬送路3の内周部(図7左側)に配設されている。このホルダ駆動シリンダ36のシリンダ本体36bの基端部(図7左側)は装置本体2上に立設されるシリンダブラケット39の上端部にシリンダ連結軸40を介して揺動可能に連結されており、また、ホルダ駆動シリンダ36の先端部(図7右側)にはシリンダ本体36bから出没されるロッド36aが設けられている。
【0054】
このホルダ駆動シリンダ36のロッド36aは、シリンダ本体36bが配設されている周回搬送路3の内周部から、搬送チェーン7が係合されている係合ブロック27の下方を通って、レール支持体35のリンク部35cへ向けて突出されており、ホルダ駆動シリンダ36は、ホルダ部材4が略水平姿勢に保持されている状態において、そのロッド36aを含めて全体的に略水平な姿勢となるように配置されている(図5参照)。
【0055】
また、図7に示す状態において、可動レール15は、上記したホルダ傾倒装置31によって、固定レール14から離脱されずにガイドレール8の一部として機能する状態に保たれている。このとき、脱着ポジションS12に位置しているホルダ部材4は上側2個のガイドローラ18,19が可動レール15上に転動可能に当接されることで略水平に保持されており、下側1個のガイドローラ20と可動レール15との間には僅かに隙間が設けられている。
【0056】
このため、可動レール15と上下一組のガイドローラ18(19),20との間には遊びができるので、上記したホルダ傾倒装置31によって可動レール15が動かされる場合に、その可動レール15を上側2個のガイドローラ18,19及び下側1個のガイドローラ20間に係入させたままの状態で相対的に空転させることができ、この可動レール15を介することでホルダ部材4とレール支持体35とをリンク機構として機能させることができる。つまり、可動レール15は、一組のガイドローラ18〜20間に係入されたまま空転することで、ホルダ部材4とレール支持体35とを連結するリンク用の軸として機能するのである。
【0057】
図8は、可動レール15の正面図である。図8に示すように、可動レール15の長手方向両側の端面15a,15aはいずれも斜面状に形成されており、可動レール15を正面視した輪郭は下底が上底より長く且つ左右対称な台形状となっている。一方、固定レール14の間断部の端面14a,14aは、可動レール15の長手方向両側端面15a,15aが下方からそれぞれ面接触するような斜面状に形成されている。
【0058】
このため、図6の位置から図5の位置へ向けて可動レール15がホルダ傾倒装置31により上昇移動させられて固定レール14の間断部に復帰するときに、固定レール14の間断部の端面14a,14aは、可動レール15の長手方向端面15a,15aとそれぞれ衝合されて、可動レール15の上昇動作を規制する。すなわち、固定レール14が可動レール15のためのストッパ手段として機能するのである。
【0059】
図9は、ボトル受け部材32及び姿勢位置変更装置33の平面図であって、ホルダ部材4が上向き姿勢位置にある状態を図示している。図9に示すように、ボトル受け部材32は、ホルダ傾倒装置31により斜倒されてボトル保持孔5から抜脱されるボトル50を受け止めるためのものであって、ボトル搬出コンベア16の上に縦立姿勢で配置されている。このボトル受け部材32は上記した姿勢位置変更装置33の揺動アーム42と連結される抱持プレート32aを備えており、その抱持プレート32aは、平面視略半円弧状に湾曲されている。
【0060】
抱持プレート32aは、その抱持プレート32aの円弧の周方向両端部を結んだ直線、即ち、円弧の弦がボトル搬出コンベア16の搬送方向に向かうように配置されており、周回搬送路3の脱着ポジションS12側(図9左側)に凸となるように湾曲されている。また、抱持プレート32aの内周面には、その周方向両端側及びその中間部に略90°の等角間隔ピッチで且つ互いに周方向に間隔をあけて3枚の当接プレート32bが取着されている。
【0061】
また、ボトル搬出コンベア16の幅方向一側(図9右側)には、ボトル受け部材32の抱持プレート32aの内周面に対向するようにボトル止部材41が配設されている。このボトル止部材41は、ボトル搬出コンベア16の上で起立させられるボトル50の胴部53を、ボトル受け部材32と共にボトル搬出コンベア16の幅方向両側から抱持するものである。このボトル止部材41は、平面視略四分の一円弧状に湾曲されている抱持プレート41aを備えている。
【0062】
この抱持プレート41aは、ボトル搬出コンベア16の搬送方向上流側(図9上側)にボトル受け部材32の抱持プレート32aに隣接して配設されることで、その抱持プレート32aと共に協働して平面視略四分の三円弧状に湾曲した囲いを作り出すものである。この一対の抱持プレート32a,41aによる囲いによれば、ボトル受け部材32からボトル搬出コンベア16の上に移されたばかりのボトル50の外周略四分の三を包囲して抱持することができ、その結果、ボトル50の転倒を防止すると共に位置決めを行うことがことができる。
【0063】
しかも、ボトル50が一対の抱持プレート32a,41aにより抱持されている場合に、そのボトル50の口部52の直上位置には飲料水を注入充填する充填装置(図示せず)が配設されている。このため、充填装置は、各プレート32a,41aによりボトル50が抱持されているときに飲料水の充填を行うことができるのである。
【0064】
図5及び図6に戻って説明する。図5に示すように、姿勢位置変更装置33は、主に、ボトル受け部材32が連結される揺動アーム42と、その揺動アーム42をボトル搬出コンベア16のフレーム16bに揺動可能に連結するアーム揺動軸43と、そのアーム揺動軸43を中心として揺動アーム42を揺動させる動力を付与するアーム駆動シリンダ44とを備えている。
【0065】
揺動アーム42は、ボトル受け部材32の抱持プレート32aの外周面から周回搬送路3の配設側(図5左側)へ向けて略水平にボトル搬出コンベア16の幅方向端部まで延出される上腕部42aと、その上腕部42a先端に連設されて鉛直下方へ向けて延出される下腕部42bとを備えている。この揺動アーム42は、ボトル受け部材32に連結される側面視略逆L字状のアームであり、その下腕部42bの下端部がアーム揺動軸43を介してボトル搬出コンベア16のフレーム16bに揺動可能に軸着されている。
【0066】
アーム駆動シリンダ44は、ロッド44aを空気圧により出没させるエアシリンダで構成されており、そのシリンダ本体44bがボトル搬出コンベア16の搬送ローラ16aよりも下方に配設されている。このアーム駆動シリンダ44のシリンダ本体44bの基端部(図5右側)は、ボトル搬出コンベア16のフレーム16bに配設されているシリンダブラケット45に、シリンダ連結軸46を介して揺動可能に連結されている。
【0067】
また、アーム駆動シリンダ44の先端部(図5左側)にはシリンダ本体44bから出没されるロッド44aが設けられている。このアーム駆動シリンダ44のロッド44aは、その先端部が揺動アーム42の下腕部42bにおけるアーム揺動軸43よりも上方位置に、ロッド連結軸47を介して連結されており、このロッド連結軸47によって揺動アーム42とアーム駆動シリンダ44のロッド44aとが相対的に回動可能に連結されている。
【0068】
そして、図6に示すように、ボトル搬出コンベア16の幅方向一側(図5及び図6の左側)には、傾斜姿勢位置にあるボトル受け部材32と共にボトル50の胴部53を受け止める受けブロック48が配設されている。この受けブロック48は、ボトル傾倒装置31の配設側(図5及び図6左側)に傾斜面が設けられる側面視直角三角形状に形成されており、この傾斜面によってボトル50の胴部53の下面を受け止められるように形成されている。
【0069】
次に、上記のように構成されたボトル洗浄装置1を用いたボトル50の洗浄方法について説明する。まず、装置本体2内では、間欠移送モータ13が略15秒間隔おきに間欠的に一定角度ずつ回転駆動されており、これを受けて、原動スプロケット9が原動シャフト21を中心に間欠的に一定角度ずつ回転され、その回転により搬送チェーン7が、図1の時計回り方向へ間欠的に処理ポジション間隔Lに相当する長さ分ずつ、周回搬送路3に沿って移送される。
【0070】
すると、搬送チェーン7に取着されている合計12個のホルダ部材4は、一斉に周回搬送路3に沿って図1の時計回り方向へ、その周回搬送方向上流側の処理ポジションから1ポジション下流側にある処理ポジションへ転移される。そして、この間欠的な搬送チェーン7の移送が12回繰り返されると、全てのホルダ部材4が周回搬送路3を一周回して、もとあった処理ポジションに戻される。この結果、全てのホルダ部材4によって支保されている複数(合計12本)のボトル50は、倒立姿勢のままで周回搬送路3を一周回させられるのである。
【0071】
このように複数のホルダ部材4が上記した間欠的転移を繰り返す中、ボトル装着装置(図示せず)によって倒立姿勢にされたボトル50が、装着ポジションS1に位置しているホルダ部材4の上方位置まで移送された後、そこから落下される。すると、ボトル50の頸部51が装着ポジションS1にあるホルダ部材4のボトル保持孔5内へ遊嵌されて、ボトル50が口部52を下方に向けた状態でホルダ部材4によって支保される。
【0072】
装着ポジションS1でボトル50が装着されたホルダ部材4は、上記した搬送チェーン7の間欠的な周回移送によって、装着ポジションS1から待機ポジションS2へ転移されて略15秒間放置された後、第1番目の洗浄ポジションS3へ転移されて、3箇所の洗浄ポジションS3〜S5を通過するまでの間にボトル50の内部及び外部について合計略45秒間洗浄される。その後、ホルダ部材4はボトル50を支保したまま、第1排水ポジションS6に転移され、そこで、使用済み洗浄水を内部から自由落下により排水させるために略15秒間だけ放置される。
【0073】
この第1排水ポジションS6での放置後、ボトル50を支保するホルダ部材4は、1ポジション下流側にある第1番目の濯ぎポジションS7へ転移される。そして、合計4箇所の濯ぎポジションS7〜S10を通過するまでの間に、ボトル50の内部については、濯ぎ水による略30秒間の濯ぎ洗いと、濯ぎ水の略15秒間の排水と、略15秒間のファイナルリンス処理とが順番に施されると共に、ボトル50の外部については、略15秒間の放置と、濯ぎ水による略45秒間の濯ぎ処理とが順番に施される。
【0074】
これらの4箇所の濯ぎポジションS7〜S10を通過すると、ボトル50を支保したホルダ部材4は、第2排水ポジションS11へ転移されて、そこで、略15秒間放置されて、ボトル50の口部52からファイナルリンス水が自由落下により排水される。この後、ホルダ部材4が更に1ポジション下流側へ転移されて脱着ポジションS12に到達すると、そのホルダ部材4が脱着ポジションS12で停止する略15秒の間に、ボトル脱着装置30によって、ホルダ部材4からボトル50が脱着されて、そのボトル50がボトル搬出コンベア16へ送り出される。
【0075】
具体的には、まず、ホルダ傾倒装置31によるボトル脱着動作を実行する前に、姿勢位置変更装置33によって、ボトル受け部材32がホルダ部材4側からボトル搬出コンベア16側へ向けて下降傾斜するように斜設させられ、脱着ポジションS12とボトル搬出コンベア16の間に掛け渡される。つまりは、図5に示す状態にあるアーム駆動シリンダ44のロッド44aを突出させることで、揺動アーム42を、アーム揺動軸43を中心に図5の反時計方向へ傾倒させて、ボトル受け部材32を縦立姿勢位置(図5参照)から傾斜姿勢位置(図6参照)へと姿勢変更させる。
【0076】
このようにボトル受け部材32が傾斜姿勢位置に姿勢変更され、なおかつ、ホルダ部材4が脱着ポジションS12に停止すると、ホルダ傾倒装置31によってホルダ部材4の傾倒動作が行われる。具体的には、図5に示す状態にあるホルダ駆動シリンダ36のロッド36aがシリンダ本体36b内へ没入されることで、レール支持体35が図5に示す状態から支持軸37を中心に図5の時計方向へ揺動され、そのレール支持体35と一体となっている可動レール15も支持軸37を中心に図5の時計方向へ揺動され、その可動レール15により支えられているホルダ部材4がホルダブラケット17を介して図5の時計方向へ傾倒され、この傾倒に伴ってホルダ部材4により支保されているボトル50が斜倒される。
【0077】
そして、ホルダ傾倒装置31によってホルダ部材4が上向き姿勢位置(図5参照)から斜め下向き姿勢位置(図6参照)まで傾倒されると、ボトル50が自重によって自由落下し、それに伴って、ボトル50の頸部51がボトル保持孔5から抜脱され、ボトル50がホルダ部材4から脱着される。そして、このように脱着されたボトル50は、ボトル受け部材32及び受けブロック48によって受け止められる。
【0078】
すると、ボトル受け部材32によってボトル50が受け止められたことがボトルセンサ(図示せず)により検出されると、姿勢位置変更装置33のアーム駆動シリンダ44のロッド44aが没入されて、ボトル受け部材32が、揺動アーム42及びアーム揺動軸43を介して、傾斜姿勢位置(図6参照)から縦立姿勢位置(図5参照)へと、姿勢変更される。
【0079】
この結果、ボトル受け部材32によって、ボトル50は、ボトル搬出コンベア16側へ押され、受けブロック48を乗り越えて、ボトル搬出コンベア16上へ送り出される。すると、このボトル50は、その口部52が上向きとなった起立姿勢となり、その胴部53が一対の抱持プレート32a,41a間に抱持された状態で、ボトル搬出コンベア16の上に載置される。
【0080】
そして、この載置後からホルダ傾倒装置31が次回の脱着動作を実行するまでの期間に、ボトル受け部材32が姿勢位置変更装置33によって縦立姿勢位置(図6参照)から傾斜姿勢位置(図6参照)へと再び姿勢変更される。すると、一対の抱持プレート32a,41aによるボトル50の抱持状態が解除され、ボトル50がボトル搬出コンベア16によって次工程へと搬出されるのである。
【0081】
一方、上記したホルダ傾倒装置31の動作によってボトル50が脱着されたホルダ部材4は、脱着ポジションS12に位置している間に、ホルダ傾倒装置31によって斜め下向き姿勢位置(図6参照)から上向き姿勢位置(図5参照)へと復帰させられて、元の略水平姿勢に戻される。この後、ホルダ部材4は、脱着ポジションS12から更に1ポジション下流側にある装着ポジションS1へ転移され、再び、空のボトル50がボトル装着装置によって装着されて、その後は上記した一連の間欠動作を繰り返すこととなる。
【0082】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、ボトルサイズ、ホルダ部材の個数、各処理ポジションでの停止時間、周回搬送路の平面形態、又は、各処理ポジションの処理内容などについて適宜改良変形しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施例であるボトル洗浄装置の装置本体の内部構造を示す平面図である。
【図2】装着ポジション周辺の縦断面図である。
【図3】図2の矢印A方向からホルダ部材を矢視した矢視図である。
【図4】図1のIV−IV線における縦断面図である。
【図5】ボトル脱着装置の全体構造を示す側面図であって、ホルダ部材が上向き姿勢位置にある状態を示した図である。
【図6】ボトル脱着装置の全体構造を示す側面図であって、ホルダ部材が斜め下向き姿勢位置にある状態を示した図である。
【図7】ホルダ傾倒装置の拡大側面図であって、ホルダ部材が上向き姿勢位置にある状態を示した図である。
【図8】可動レールの正面図である。
【図9】ボトル受け部材および姿勢位置変更装置の平面図であって、ホルダ部材が上向き姿勢位置にある状態を示した図である。
【図10】ボトルの断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ボトル洗浄装置
3 周回搬送路(洗浄搬送路)
4 ホルダ部材
5 ボトル保持孔
7 搬送チェーン(搬送手段の一部)
8 ガイドレール(搬送手段の一部)
9〜12 スプロケット(搬送手段の一部)
13 間欠移送モータ(間欠移送手段、搬送手段の一部)
14 固定レール
15 可動レール
16 ボトル搬出コンベア(ボトル搬出路)
18〜20 ガイドローラ
25 噴射ノズル(洗浄手段)
31 ホルダ傾倒装置(ホルダ傾倒手段)
32 ボトル受け部材
33 姿勢位置変更装置(姿勢変更手段)
41 ボトル止部材
50 ボトル
51 頸部
52 口部
S1〜S12 処理ポジション
S3〜S5 洗浄ポジション(洗浄ポジションの一部、処理ポジションの一部)
S7〜S10 濯ぎポジション(洗浄ポジションの一部、処理ポジションの一部)
S12 脱着ポジション(脱着ポジション、処理ポジションの一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸部の頂部端面に口部が開口されるボトルを洗浄するボトル洗浄装置において、
ボトルを搬送するための洗浄搬送路と、
その洗浄搬送路に沿って所定間隔おきに配置される複数の処理ポジションと、
その複数の処理ポジションの配置間隔と略等しい間隔で前記洗浄搬送路に沿って複数設けられ、ボトルの頸部を遊嵌可能で鉛直方向に貫通されるボトル保持孔を有して、そのボトル保持孔の周縁部によりボトルを下方から倒立姿勢で支保する複数のホルダ部材と、
その複数のホルダ部材の全てを一斉に前記洗浄搬送路に沿って同一方向へ前記処理ポジションの配置間隔ずつ間欠移動させることによって、各ホルダ部材を、各ホルダ部材が位置している処理ポジションから次の処理ポジションへ転移させる搬送手段と、
前記複数の処理ポジションの1つにあたる洗浄ポジションに配設され、その洗浄ポジションに位置している前記ホルダ部材の前記保持孔内周へ下方から洗浄液を噴射する洗浄手段と、
その洗浄手段の配設される前記洗浄ポジションよりも前記洗浄搬送路下流側にあって前記複数の処理ポジションの1つにあたる脱着ポジションに位置している前記ホルダ部材を、前記ボトル保持孔が上向きとなる姿勢位置から斜め下向きとなる姿勢位置まで傾倒させるホルダ傾倒手段とを備えていることを特徴とするボトル洗浄装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、前記洗浄搬送路に沿って配設されると共に前記複数のホルダ部材が前記処理ポジションの配置間隔と略等しい間隔で取着されている搬送チェーンと、その搬送チェーンを前記洗浄搬送路に沿って前記処理ポジションの配置間隔ずつ間欠移送する間欠移送手段と、その間欠移送手段によって移送される前記搬送チェーンに対して間隔を隔てて前記洗浄搬送路に沿って配設されるガイドレールとを備えており、
前記複数のホルダ部材は、前記ガイドレールに係合された状態で前記洗浄搬送路に沿って搬送移動可能に形成されており、更に、そのガイドレール及び前記搬送チェーン間に架設されて略水平姿勢で保持されており、
前記ガイドレールは、前記脱着ポジションを除く部分に配設される固定レールと、その固定レールから分離可能に形成され前記脱着ポジションに対応する部分に配設される可動レールとを備えており、
前記ホルダ傾倒手段は、前記可動レールを支持すると共に、前記ホルダ部材が前記脱着ポジションに停止した場合に、前記固定レールから前記可動レールを離脱させ、その離脱動作に連動させて、前記可動レールに係合されている前記ホルダ部材を傾倒させるものであることを特徴とする請求項1記載のボトル洗浄装置。
【請求項3】
前記ホルダ部材は、そのホルダ部材に回動可能に軸支され、前記固定レールを上下から挟持する一組のガイドローラを備えており、その一組のガイドローラを介して前記固定レールに対して移動可能に係合されており、
前記可動レールは、前記ホルダ部材が前記脱着ポジションに位置している場合に、そのホルダ部材に備えられる前記一組のガイドローラ間に空転可能に係入されるものであることを特徴とする請求項2記載のボトル洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄搬送路に併設され前記脱着ポジションからボトルを次工程へ搬出するボトル搬出路と、
そのボトル搬出路と前記脱着ポジションとの間に設けられ、その脱着ポジションに位置している前記ホルダ部材側から前記ボトル搬出路側へ向けて下降傾斜するように斜設され、前記ホルダ傾倒手段によって前記ホルダ部材から抜脱されるボトルを受け止めるボトル受け部材と、
そのボトル受け部材を傾斜姿勢位置から縦立姿勢位置へと姿勢変更して、ボトルを斜倒姿勢から起立姿勢にする姿勢変更手段と、
その姿勢変更手段によって縦立姿勢位置へ姿勢変更された前記ボトル受け部材と協働して起立姿勢になっているボトルを抱持して、そのボトルの位置決め及び転倒防止を行うボトル止部材とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のボトル洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−203176(P2007−203176A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24021(P2006−24021)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(505447696)日本ピュアウォーター株式会社 (9)
【Fターム(参考)】