説明

ボビン搬送装置

【課題】メインラインとバイパスラインとを繋ぐ接続ラインにおけるボビントレイの移動を円滑に行うことができるようにして、接続ライン上を移動するボビントレイの停滞を確実に防ぐボビン搬送装置を得る。
【解決手段】ボビン交換ユニット1と巻取ユニット2との間に配されて、ボビントレイ3の供給・回収動作を担う。ボビン交換ユニット1と巻取ユニット2との間に配されたメインライン15と、該メインライン15に並行に設けられて、該メインライン15と逆向きの搬送方向を有するバイパスライン16と、これらメインライン15とバイパスライン16とを繋ぐ接続ライン17とを有する。接続ライン17上を走るボビントレイ3の移動を補助するためのアシスト機構が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されて、ボビントレイの供給・回収動作を担うボビン搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動ワインダー等のボビン搬送装置においては、ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されたメインラインとは別にバイパスラインを設けて、これらメインラインとバイパスラインとの間でボビントレイを循環できるようにしたものがある。例えば特許文献1では、搬送方向の異なる二本の平ベルトコンベアを並行に配して、メインラインとバイパスラインとしたうえで、これらメインラインとバイパスラインの間に接続ラインを設けて、循環ラインを構成している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−188360号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような構成からなる自動ワインダー等のボビン搬送装置の問題としては、接続ライン上でボビントレイが停滞することが挙げられる。つまり、図8に示すように、接続ライン17上を移動するボビントレイ3が、メインラインを構成するコンベア(以下、メインコンベアと記す)とバイパスラインを構成するコンベア(以下、バイパスコンベアと記す)とに同時に接触し、その結果、ボビントレイ3が停滞することがあった。
【0005】
より詳しくは、ボビントレイ3が両コンベアに同時に接触すると、メインコンベアとバイパスコンベアの移送方向が逆であるため、ボビントレイ3に対してメインコンベアの進行方向へのモーメントと、バイパスコンベアの進行方向へのモーメントが発生する。このとき、ボビントレイ3に作用しているメインコンベア側へ移動する推進力(接続ラインに沿う方向)が大きいと問題なくメインコンベア上へ移動することができる。しかし、接続ライン移動時の接触摩擦などでメインコンベアへ移動する推進力が低下すると、ボビントレイ3に作用するメインコンベアで発生するモーメントと、バイパスコンベアで発生するモーメントが釣合う地点で、ボビントレイ3が垂直軸回りに回転しながら停滞する。このように、1本のボビントレイ3が停滞すると、バイパスラインを移動してきた後続のボビントレイ3が堰き止められて、ボビントレイ3が巡回せずに滞留してしまい、結果として円滑な自動ワインダー等の稼動に障害が生じる。
【0006】
以上のような問題を解決する手段としては、例えば、接続ラインのライン長さを長くしたり、接続ラインの曲率を大きくすることが考えられる。しかしこの場合には、接続ラインを配置するために必要なスペースが大きくなり、自動ワインダーなどが大型化するという新たな問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、メインラインとバイパスラインとを繋ぐ接続ラインにおけるボビントレイの移動を円滑に行うことができるようにして、接続ライン上を移動するボビントレイの停滞を確実に防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されて、ボビントレイの供給・回収動作を担うボビン搬送装置を対象とする。このボビン搬送装置は、前記ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されたメインラインと、該メインラインに並行に設けられて、該メインラインと逆向きの搬送方向を有するバイパスラインと、これらメインラインとバイパスラインとを繋ぐ接続ラインとを有する。そして、このボビン搬送装置は、接続ライン上を走るボビントレイの移動を補助するためのアシスト機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
前記アシスト機構は、前記接続ラインの近傍に配されたエアー噴射部と、ボビントレイの位置を検出するセンサとを有するものとすることができる。前記エアー噴射部によるエアーの噴射方向は、前記接続ラインの伸び方向と一致させてある。前記センサの検知信号に基づいてボビントレイが前記接続ライン上に至ったことが検知されると、前記エアー噴射部からボビントレイに向かってエアーを噴射して、該接続ライン上のボビントレイの移動を補助する。
ここで「エアーの噴射方向が、接続ラインの伸び方向と一致している」とは、両方向が完全に一致している場合のみならず、略一致している形態も含む概念である。
【0010】
前記センサによってボビントレイが検出されてから所定時間が経過したときに、エアー噴射部からエアーを噴射するように構成する。前記所定時間は、センサによるボビントレイの検出時点からボビントレイが接続ラインに至るまでの時間に合わせて設定する。
【0011】
エアー噴射部からエアーを吹き出したのち、所定の作動時間が経過したときに、エアーの噴射を停止する。
【0012】
ボビントレイは、円盤状の基部と、該基部の盤面中央から立設されて、ボビンが差し込み装着される装着部とを含むものとして、ボビントレイの基部に向かって、前記エアー噴射部からエアーを噴射する形態を採ることが好ましい。
【0013】
前記メインラインおよびバイパスラインは、平ベルトコンベアを移送要素とする。前記アシスト機構は、前記メインライン又はバイパスラインと前記接続ラインとの連結部分に係る平ベルトの下部に配されて、該平ベルト上を移送されるボビントレイを傾斜姿勢とするための嵩上板を備える。前記接続ラインの中間部に、中継板が配されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るボビン搬送装置においては、メインラインとバイパスラインとを繋ぐ接続ラインに、ボビントレイの移動を補助するためのアシスト機構を設けたので、ボビントレイの推進力を大きくして、ボビントレイの接続ライン上における停滞を防ぐことができ、したがって、ボビントレイを円滑に両ライン間で移動させることができる。また、接続ラインの曲率を大きくとる形態のように、自動ワインダーなどの装置全体の大型化も招来する不利もない。以上より本発明によれば、搬送運転時の信頼性と省スペース化とに優れたボビン搬送装置を実現することができる。
【0015】
アシスト機構を接続ラインの近傍に配されたエアー噴射部を有するものとしていると、電磁ソレノイドなどを用いる場合に比べて、アシスト機構をコンパクトな構成とすることができる。したがって、接続ライン周辺の制約されたスペース内においてもアシスト機構を組み付けることができる。センサの検知信号に基づいてボビンが接続ライン上に至ったことが検知されてから、エアー噴射部からエアーを噴射するようにしていると、常時エアーを噴射する形態に比べて、エアーを供給するコンプレッサの負担を小さくして、省エネルギー化に貢献できる。
【0016】
具体的には、センサによるボビンの検出時点からボビントレイが接続ラインに至るまでの「所定時間」が経過したのちに、エアー噴射部からエアーを噴射するようにしていると、ボビントレイが接続ラインに到達したタイミングでエアーを噴射して、ボビントレイにメインライン又はバイパスラインに向かう推進力を確実に与えることができる。
【0017】
エアー噴射部からエアーを吹き出したのち、所定の作動時間が経過したときに、エアーの噴射が停止されるようになっていると、エアーが無駄に噴射されることがなく、省エネルギー化に貢献できる。
【0018】
ボビントレイの基部に向かって、エアー噴射部からエアーを噴射するようにしていると、エアーの流動作用を効率的にボビントレイに与えることができるので、エアーの噴射力や噴射時間を抑えながら、ボビントレイに大きな推進力を与えて、ボビントレイを接続ラインに沿って確実に移動させることができる。つまり、装着部に向けてエアーを噴射する場合に比べて、より多量のエアーを効率的にボビントレイに当てることができるので、ボビントレイをメインライン又はバイパスラインに向けて確実に移動させることができる。
【0019】
メインライン又はバイパスラインと接続ラインとの連結部分に係る平ベルトの下部に配されて、該平ベルト上を移送されるボビントレイを傾斜姿勢とするための嵩上板を設けるとともに、接続ラインの中間部に中継板を設けていると、嵩上板によりボビントレイを接続ラインに沿って滑り落ちるように移動させて、中継板を介してボビントレイをメインライン又はバイパスラインに向けて移動させることができる。
【0020】
詳しくは、例えばボビントレイがバイパスラインと接続ラインとの連結部分に至ると、ボビントレイは接続ラインに沿って移動して、基部の一部が中継板の上部に載った傾斜姿勢となる。この傾斜姿勢から、さらにバイパスラインを構成するコンベアからの搬送力を受けると、ボビントレイは、中継板上の接地部分を中心にクルリと回転して、フラットなメインラインの平ベルト上に基部の大部分が載った移送姿勢に変位する。そして、この移送姿勢から、メインラインを構成するコンベアからの搬送力を受けると、ボビントレイの基部と中継板との係合が解かれて、ボビントレイはメインラインに沿って流れていく。
つまり、嵩上板と中継板とを備えるアシスト機構によれば、中継板を中心にしてボビントレイを回転させることで、ボビントレイを接続ラインに沿って移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
図1ないし図5に、本発明に係るボビン搬送装置を適用した自動ワインダーを示す。図2において、この自動ワインダーは、ボビン交換ユニット1と、多数個の巻取ユニット2と、これらユニット1・2の間に配されて、ボビントレイ3(以下、単に「トレイ」と記す:図1参照)の供給・回収動作を担うボビン搬送装置5とを備える。ボビン交換ユニット1は、空のボビン6(図1参照)をトレイ3から抜き取るとともに、精紡機で精紡された糸が巻回されたボビン6(実ボビン)をトレイ3に装着するものである。巻取ユニット2は、実ボビンから糸を巻き取って大径のパッケージ(不図示)を作成する。
なお、本実施形態においては、説明の便宜上、巻取ユニット2の配列方向を左右方向と規定し、これと直交する方向を前後方向と規定する。
【0022】
図1および図4に示すように、ボビン6はプラスチック製の円筒体であり、その外周面に糸が巻回される。トレイ3は、円盤状の基部3aと、該基部3aの上面中央から上向きに突出する円柱状の装着部3bとを備えており、装着部3bにボビン6が差し込まれた姿勢状態で、該ボビン6を搬送する(図4参照)。
【0023】
図2に示すように、ボビン交換ユニット1は、空のボビン6をトレイ3から抜き取るボビン抜取部7と、空のボビン6が抜き取られたトレイ3に実ボビンを装着する実ボビン供給部8と、実ボビンから糸端を引き出して位置決めする口出し部9とを備える。
【0024】
ボビン搬送装置5は、ボビン交換ユニット1から各巻取ユニット2に向けて、実ボビンが装着されたトレイ3を搬送する供給路10と、各巻取ユニット2から排出された、空のボビン6が装着されたトレイ3をボビン交換ユニット1に向けて搬送する回収路11と、各巻取ユニット2内に設けられた移送路12とを有する。供給路10は、巻取ユニット2の前方側に配置されており、回収路11は、巻取ユニット2の後方側に配置されている。
【0025】
これら供給路10および回収路11は、ボビン交換ユニット1と巻取ユニット2との間に配されて左右方向に走るメインライン15と、メインライン15から前後方向に所定間隔を置いて並行に設けられて、該メインライン15と逆向きの搬送方向を有するバイパスライン16と、これらメインライン15とバイパスライン16とを繋ぐように、前後方向に走る左右一対の接続ライン17・17とを備え、これら四つのライン15・16・17・17間でトレイ3をループ状に循環させることができる。バイパスライン16は、ボビン交換ユニット1又は巻取ユニット2の処理能力を超えるトレイ3がメインライン15上に置かれたときに、一時的にトレイ3を退避・貯留させることを目的とする。
【0026】
供給路10および回収路11は、トレイ3の移送方向を規定するための案内路18を有する上板19と、該上板19の下方に配されたコンベア20とを有する(図4参照)。より詳しくは、メインライン15およびバイパスライン16に設けた案内路18の下方には、無端ベルトである平ベルト21を有するコンベア20が配されており、平ベルト21上に載置されたトレイ3が搬送される。図4に示すように、コンベア20の平ベルト21上にトレイ3が載置されたとき、案内路18から装着部3bが突出するような姿勢状態となり、装着部3bの基端が案内路18の周縁にガイドされることで、案内路18に沿ってトレイ3は搬送される。なお、接続ライン17には、コンベア20は配されていない。図4において、符号22は、上板19やコンベア20を支持するベース板を示す。
【0027】
また、メインライン15と右側の接続ライン17との分岐点では、図1に示すように、メインライン15が、ボビン交換ユニット1の処理能力を超えるトレイ3で満杯になってトレイ3が滞留していると、停滞しているトレイ3によってメインライン15が塞がれるので、コンベア20により搬送されてきたトレイ3は、バイパスライン16に退避する。これにより、メインライン15上にトレイ3が大量に溜まって、巻取ユニット2からのトレイ3の排出動作が滞ることを防ぐことができる。
【0028】
バイパスライン16の最下流位置(図1における左端)には、メインライン15へ延びる左側の接続ライン17が設けられており、この接続ライン17に沿って、トレイ3はバイパスライン16からメインライン15に復帰する。
【0029】
そのうえで、本実施形態に係るボビン搬送装置5では、左側の接続ライン17上を走るトレイ3の移動を補助するためのアシスト機構が設けられている点が着目される。このアシスト機構は、左側の接続ライン17の近傍に配されたエアー噴射部30と、トレイ3の位置を検出するトレイ検出センサ(センサ)31とで構成される。
【0030】
図3および図4に示すように、エアー噴射部30は、ブラケット32を介して上板19の裏面に装着されており、トレイ3の基部3aに向けて、エアーを噴射する。エアーの噴射方向は前方向に規定されており、接続ライン17の伸び方向(前後方向)と略一致している。
図5に示すように、エアー噴射部30は、通気管33および電磁バルブ35を介してコンプレッサ36からエアーの供給を受ける。電磁バルブ35はセンサ31に接続された制御部37からの制御信号を受けて、通気管33を介してエアー噴射部30に至るエアーの供給を制御する。電磁バルブ35が開いたときに、コンプレッサ36から供給されたエアーがエアー噴射部30から噴射され、このエアーによってトレイ3をメインライン15側へ押すことができる。これにより、接続ライン17上でトレイ3が停滞することを防いで、バイパスライン16からメインライン15へのトレイ3の移動を確実に行うことができる。
【0031】
上板19に対するエアー噴射部30の取付位置は、左右方向にスライド調整可能に構成されている。詳しくは、上板19には左右方向に延びる左右一対の長孔39・39を形成するとともに、該長孔39・39に対応してブラケット32にねじ挿通孔を形成する(図3参照)。そして、上方から締付けねじ41を長孔39、ねじ挿通孔に通したうえで、該締付けねじ41の突出端にナット42をねじ込むことで、エアー噴射部30を上板19に固定している。したがって、締付けねじ41を緩めれば、エアー噴射部30を長孔39の長さ寸法分だけ左右方向にスライド移動させることができ、トレイ3の基部3aに対するエアーの噴射位置を最適位置に変更調整することができる。
【0032】
センサ31は、パッシブ型或いはアクティブ型の光センサであり、バイパスライン16の下流位置に至ったトレイ3を検出することを目的とする。センサ31による検知信号は制御部37に送られ、トレイ3が接続ライン17上に至ったことが検知されると、エアー噴射部30からエアーが噴射される。具体的には、制御部37のメモリには、センサ31によりトレイ3が検出されてから、接続ライン17に至るまでに要する時間(所定時間)が格納されており、センサ31からの検知信号を受けてから、当該所定時間が経過したときに制御部37は電磁バルブ35を開操作して、エアー噴射部30からエアーを噴射させる。
【0033】
また、制御部37は、センサ31によってトレイ3が検出されてから所定の作動時間が経過したときに、電磁バルブ35を閉じてエアー噴射部30からのエアーの噴射を停止させる。この作動時間は、センサ31によるトレイ3の検出時点から、トレイ3がメインライン15へ復帰するまでに要する時間に合わせて予め設定してある。
【0034】
このように、メインライン15とバイパスライン16とを繋ぐ左側の接続ライン17に、左側の接続ライン17上を走るトレイ3の移動を補助するためのアシスト機構を設けたので、トレイ3の接続ライン17上における停滞を防いで、トレイ3を円滑にメインライン15に向けて移動させることができる。また、接続ライン17の曲率を大きくとる形態のように、自動ワインダーの装置全体の大型化も招来する不利もない。以上より、搬送運転時の信頼性と省スペース化とに優れた自動ワインダーのボビン搬送装置5を実現することができる。
【0035】
アシスト機構を接続ライン17の近傍に配されたエアー噴射部30を有するものとしていると、電磁ソレノイドなどを用いる場合に比べて、アシスト機構をコンパクトな構成とすることができる。したがって、接続ライン17周辺の制約された狭隘なスペース内においてもアシスト機構を組み付けることができる。センサ31の検知信号に基づいてトレイ3が接続ライン17上に至ったことが検知されてから、エアー噴射部30からエアーを噴射するようにしていると、常時エアーを噴射する形態に比べて、エアーを供給するコンプレッサ36の負担を小さくして、自動ワインダーの省エネルギー化に貢献できる。
【0036】
センサ31によるトレイ3の検出時点からトレイ3が接続ライン17に至るまでの「所定時間」が経過したのちに、エアー噴射部30からエアーを噴射するようにしていると、トレイ3が接続ライン17に到達したタイミングでエアーを噴射して、トレイ3にメインライン15に向かう推進力を確実に与えることができる。
【0037】
エアー噴射部30からエアーを吹き出したのち、所定の作動時間が経過したときに、エアーの噴射が停止されるようになっていると、エアーが無駄に噴射されることがなく、自動ワインダーの省エネルギー化に貢献できる。
【0038】
トレイ3の基部3aに向かって、エアー噴射部30からエアーを噴射するようにしていると、エアーの流動作用を効率的にトレイ3に与えることができるので、エアーの噴射力や噴射時間を抑えながら、トレイ3を接続ライン17に沿って確実に移動させることができる。つまり、トレイ3の装着部3bに向けてエアーを噴射する場合に比べて、より多量のエアーを効率的にトレイ3に当てることができるので、トレイ3をメインライン15に向けて確実に移動させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図6および図7に、本発明に係るトレイ搬送装置の第2実施形態を示す。そこでのアシスト機構は、バイパスライン16と接続ライン17との連結部に係る平ベルト21の下部に配されて、該平ベルト21上を搬送されるトレイ3を傾斜姿勢とするための嵩上板45と、接続ライン17の中間部に配された中継板46とで構成される。嵩上板45および中継板46は、左右方向に長い金属製のプレート体であり、ベース板22上に固定される。図7に示すように、中継板46の厚み寸法は、コンベア20の平ベルト21の厚み寸法よりも僅かに小さく設定されており、メインライン15およびバイパスライン16を構成する両コンベア20・20のベルト21・21間の段落ち部分を埋めている。
【0040】
以上のような構成からなるアシスト機構によれば、トレイ3がバイパスライン16と接続ライン17との連結部分に至ると、図7および図6に実線で示すように、トレイ3は接続ライン17に沿って移動して、基部3aの一部が中継板46の上部に載った傾斜姿勢となる。この傾斜姿勢から、さらにバイパスライン16を構成するコンベア20からの搬送力を受けると、トレイ3は、中継板46上の接地部分を中心にクルリと回転して、図6の仮想線で示すごとく、フラットなメインライン15の平ベルト21上に基部3aの大部分が載った移送姿勢に変位する。そして、この移送姿勢から、メインライン15を構成するコンベア20からの搬送力を受けると、トレイ3の基部3aと中継板46との係合が解かれて、トレイ3はメインライン15に沿って流れていく。
【0041】
上記実施形態1においては、回収路11を構成するバイパスライン16の下流部とメインライン15の上流部とを繋ぐ接続ライン17にアシスト機構を設けたが、本発明はこれに限られず、メインライン15からバイパスライン16の上流部に至る右側の接続ライン17にアシスト機構を設けることもできる。また、供給路10のメインライン15とバイパスライン16とを繋ぐ接続ライン17にアシスト機構を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るボビン搬送装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】自動ワインダーの概略構成図である。
【図3】ボビン搬送装置の第1実施形態を示す拡大平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】図4のB−B線断面図である。
【図6】本発明に係るボビン搬送装置の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】図6のC−C線断面図である。
【図8】従来のボビン搬送装置の課題を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ボビン交換ユニット
2 巻取ユニット
3 ボビントレイ
3a 基部
3b 装着部
5 ボビン搬送装置
15 メインライン
16 バイパスライン
17 接続ライン
25 センサ
45 嵩上板
46 中継板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されて、ボビントレイの供給・回収動作を担うボビン搬送装置であって、
前記ボビン交換ユニットと巻取ユニットとの間に配されたメインラインと、該メインラインに並行に設けられて、該メインラインと逆向きの搬送方向を有するバイパスラインと、これらメインラインとバイパスラインとを繋ぐ接続ラインとを有し、
前記接続ライン上を走るボビントレイの移動を補助するためのアシスト機構が設けられていることを特徴とするボビン搬送装置。
【請求項2】
前記アシスト機構が、前記接続ラインの近傍に配されたエアー噴射部と、ボビントレイの位置を検出するセンサとを有し、
前記エアー噴射部によるエアーの噴射方向が、前記接続ラインの伸び方向と一致しており、
前記センサの検知信号に基づいてボビントレイが前記接続ライン上に至ったことが検知されると、前記エアー噴射部からボビントレイに向かってエアーを噴射して、該接続ライン上のボビントレイの移動を補助する請求項1記載のボビン搬送装置。
【請求項3】
前記センサによってボビントレイが検出されてから所定時間が経過したときに、エアー噴射部からエアーを噴射するように構成してあり、
前記所定時間が、センサによるボビントレイの検出時点からボビントレイが接続ラインに至るまでの時間に合わせて設定されている請求項2記載のボビン搬送装置。
【請求項4】
エアー噴射部からエアーを吹き出したのち所定の作動時間が経過したときに、エアーの噴射が停止されるようになっている請求項3記載のボビン搬送装置。
【請求項5】
ボビントレイは、円盤状の基部と、該基部の盤面中央から立設されて、ボビンが差し込み装着される装着部とを含み、
ボビントレイの基部に向かって、前記エアー噴射部からエアーが噴射されるようになっている請求項2ないし4のいずれかに記載のボビン搬送装置。
【請求項6】
前記メインラインおよびバイパスラインは、平ベルトコンベアを移送要素とするものであり、
前記アシスト機構が、前記メインライン又はバイパスラインと前記接続ラインとの連結部分に係る平ベルトの下部に配されて、該平ベルト上を搬送されるボビントレイを傾斜姿勢とするための嵩上板を備え、
前記接続ラインの中間部に、中継板が配されている請求項1記載のボビン搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−46269(P2009−46269A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215304(P2007−215304)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】