説明

ボールスプライン

【課題】 外筒外径を大きくすることができず、また、軸の外径を小さくすることもできないという条件下であっても、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量を確保することができるボールスプラインを提供する。
【解決手段】 ボール16が時計方向のトルクを受けるように形成された主通路20を有するボール循環路とボール16が反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路20を有するボール循環路とが対とされて、この対とされたボール循環路を主ボール循環路A,B,Cとして、主ボール循環路A,B,Cが所定間隔を置いて3つ配置されている。隣り合う主ボール循環路A,B,C間のそれぞれに、補助ボール循環路D,E,Fが設けられている。補助ボール循環路D,E,Fは、軸2および外筒4のいずれにもスプライン軌道が設けられていないことで、ボールが時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるように形成されたスプライン軌道無し主通路30を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボールスプラインに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールスプラインとして、軸方向にのびる複数の直線状スプライン軌道が外周面に形成された軸と、軸が通されて軸のスプライン軌道に対応するスプライン軌道が形成された外筒と、軸と外筒との間に配設された複数のボールとを備えているものが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
ボールスプラインは、トルク、曲げモーメントおよびラジアル荷重を支持しながら、スプライン外筒によって軸の直線移動を案内するもので、通常、軸のスプライン軌道および外筒のスプライン軌道によって形成された主通路と主通路の両端部に連通する戻し通路とによってボール循環路が形成され、ボールが時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とボールが反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とが対とされて、複数対のボール循環路が所定間隔で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−83565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ボールスプラインに作用するトルク、曲げモーメントおよびラジアル荷重が大きい場合、軸、外筒およびボールを大きくすることで対応すればよいが、外筒外径を大きくすることができず、また、軸の外径を小さくすることもできないという条件が課せられた場合、ボールスプラインの外筒が薄肉となり、使用するボール径が小さくなって、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量が不足する可能性がある。
【0006】
この発明の目的は、外筒外径を大きくすることができず、また、軸の外径を小さくすることもできないという条件下であっても、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量を確保することができるボールスプラインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明によるボールスプラインは、軸方向にのびる複数の直線状スプライン軌道が外周面に形成された軸と、軸が通されて軸のスプライン軌道に対応するスプライン軌道が形成された外筒と、軸と外筒との間に配設された複数のボールとを備えており、軸のスプライン軌道および外筒のスプライン軌道によって形成された主通路と主通路の両端部に連通する戻し通路とによってボール循環路が形成されているボールスプラインにおいて、ボールが時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とボールが反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とが対とされて、この対とされたボール循環路を主ボール循環路として、主ボール循環路が所定間隔を置いて3つ配置されるとともに、隣り合う主ボール循環路間のそれぞれに、補助ボール循環路が少なくとも1つ設けられており、補助ボール循環路は、軸および外筒のいずれにもスプライン軌道が設けられていないことで、ボールが時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるように形成されたスプライン軌道無し主通路を有していることを特徴とするものである。
【0008】
ボールが時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とボールが反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とが対とされて、複数対のボール循環路が所定間隔で配置される構成は、従来の一般的なボールスプラインで採用されているものであり、この構成によって、軸とスプライン外筒との間の回り止めが果たされる。
【0009】
通常のボールスプラインでは、隣り合う対のボール循環路間には、それほど大きな空間はないが、外筒外径を大きくすることができず、また、軸の外径を小さくすることもできないという条件が課せられた場合、ボールスプラインの外筒が薄肉となり、使用するボール径が小さくなって、隣り合う対のボール循環路間にある空間が大きくなる。使用するボール径が小さくなると、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量が不足する可能性が生じる。そこで、容量増加のために、ボール循環路の対を増やす(例えば3対配置されていたものを4対または5対とする)ことが考えられる。このようにすれば、トルクを受けることができる主通路が増加することで、トルクの容量が増加することになるが、実際には、寸法誤差があるため、主通路を4以上としても、そのすべての主通路にあるボールがトルクを受けるようにすることは困難であり、そのような精度を求めればコストが高いものとなる。
【0010】
この発明のボールスプラインによると、トルクを受けることができる主通路の数については、寸法誤差を考慮した場合の最適数である3つ(時計方向のトルクを受ける主通路が3つで、反時計方向のトルクを受ける主通路も3つ)とし、隣り合う対のボール循環路(スプライン軌道有りの主通路を有する主ボール循環路)間に、時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるボール循環路(スプライン軌道無しの主通路を有する補助ボール循環路)が少なくとも1つ設けられる。
【0011】
主ボール循環路におけるスプライン軌道有りの主通路は、従来と同様に、所定の接触角を形成するスプライン軌道が軸およびスプライン外筒の両方に設けられることで形成される。補助ボール循環路におけるスプライン軌道無しの主通路には、このようなスプライン軌道はなく、したがって、軸とスプライン外筒との間に介在されているボールは、回転方向のトルクに対しては、そのトルクを受けないものとなっている。一方、軸とスプライン外筒との間にボールが介在されているので、ラジアル方向の荷重は、このボールによって受けることができ、ラジアル方向の荷重容量は増加する。同様に、曲げモーメントの対する容量も増加する。トルクに対する容量については、ボール径が小さくなっている分不利となるが、ボール径が小さくなるのは、軸径を大きく保つ必要があることによるので、軸径大(ボールのP.C.Dが大)ということで、トルクに対しては比較的有利となっており、曲げモーメントおよびラジアル荷重の容量を増やすことで、比較的低コストでかつ所要の容量を有するボールスプラインを得ることができる。
【0012】
スプライン軌道有りの主通路を有する主ボール循環路において、スプライン軌道は、時計方向の回転を受けるものと反時計方向の回転を受けるものとが対とされて、これが3対設けられる。軸の外周には、例えば、基準円筒面から突出するように形成された3つのボール受け部が設けられ、このボール受け部の時計方向側および反時計方向側に、それぞれスプライン軌道が形成される。これに対応して、外筒本体の内周には、ボール受け部の時計方向側のスプライン軌道に時計方向側から対向するスプライン軌道と、ボール受け部の反時計方向側のスプライン軌道に反時計方向側から対向するスプライン軌道とがそれぞれ形成される。
【0013】
戻し通路は、主通路に平行な無負荷軌道部および主通路と無負荷軌道部とを連通する連結部からなり、主通路を転動するボールが軸と外筒の相対直線運動を案内し、主通路を転動したボールは、その一端側から戻し通路に入り、戻し通路を転動して他端側から再び主通路に戻るという循環を行う。
【0014】
スプライン軌道無しの主通路を有する補助ボール循環路は、主通路がスプライン軌道を有していない点で主ボール循環路と相違しているが、ボール循環路が主通路および戻し通路から形成される点では、主ボール循環路と同様であり、主通路を転動したボールは、その一端側から戻し通路に入り、戻し通路を転動して他端側から再び主通路に戻るという循環を行う。
【0015】
ボールスプラインは、好ましくは、ボールねじと組み合わされて、ボールねじ軌道および軸方向にのびるスプライン軌道が設けられたねじ軸と、ねじ軸のボールねじ軌道にボールを介してねじ合わされた回転自在のボールねじナットと、スプライン軌道にボールを介して嵌め合わされてねじ軸の軸方向直線運動を案内する外筒とからなるものとされる。
【0016】
このようなボールスプライン付きボールねじでは、ボールスプラインは、外筒がキーなどの回り止め部によってハウジングに対して回り止めされ、ねじ軸の回転を防止して、ボールねじナットで発生するトルクの反力を受ける。
【0017】
軸および外筒は、例えば、S45C,S55Cなどの炭素鋼製あるいはSAE4150鋼製とされ、また、ボールは、例えば、軸受鋼(SUJ2)製とされる。
【0018】
この発明によるボールスプラインは、ボールねじと組み合わされて、アクチュエータ(モータによってボールねじナットが回転させられ、これにより、ねじ軸が直線移動する形態)として使用されることがあり、緩衝器(ねじ軸が外部からの力によって直線移動させられ、これにより、ボールねじナットが回転し、モータが発生する電磁力が減衰力となる形態)として使用されることがある。
【0019】
アクチュエータや緩衝器で使用される場合には、例えば、ボールスプライン付きボールねじと、ボールねじナットに一体化された中空軸と、軸受を介して中空軸を回転可能に支持するとともに外筒を支持するハウジングと、中空軸に固定されたモータロータおよびハウジング内径に固定されたモータステータからなるモータとを備えているものとされる。
【0020】
ねじ軸は、往復直線移動し、通常、その所定量以上の移動を防止するためのストッパが設けられる。ストッパは、例えば、ねじ軸が所定量以上移動した際にハウジングに当接するフランジ部をねじ軸に設けることで形成することができ、また、ストッパは、ねじ軸と一体に直線移動する部材に形成してもよく、直線移動しない方の部材(ハウジングや中空軸)に設けることもできる。
【発明の効果】
【0021】
この発明のボールスプラインによると、ボールが時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とボールが反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とが対とされて、この対とされたボール循環路を主ボール循環路として、主ボール循環路が所定間隔を置いて3つ配置されるとともに、隣り合う主ボール循環路間のそれぞれに、補助ボール循環路が少なくとも1つ設けられており、補助ボール循環路は、軸および外筒のいずれにもスプライン軌道が設けられていないことで、ボールが時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるように形成されたスプライン軌道無し主通路を有しているので、外筒外径を大きくすることができず、また、軸の外径を小さくすることもできないという条件下であっても、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量を確保することができる。
【0022】
主ボール循環路は、従来からあるもので、これに付加される補助ボール循環路は、スプライン軌道を有していないので、加工の手間が増加することはなく、したがって、比較的低コストでかつ所要の容量を有するボールスプラインを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、この発明によるボールスプラインを使用したボールねじ装置を示す縦断面図である。
【図2】図2は、この発明によるボールスプラインの横断面図である。
【図3】図3は、この発明によるボールスプラインの縦断面図である。
【図4】図4は、この発明によるボールスプラインのボール循環路の平面図である。
【図5】図5は、この発明の比較例となるボールスプラインの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図1の上下をいうものとする。
【0025】
図1は、この発明によるボールスプラインを使用したボールねじ装置を示し、図2から図4までは、この発明によるボールスプラインを示している。
【0026】
図1に示すように、ボールねじ装置(1)は、ボールねじ軌道(2a)および上下方向にのびるスプライン軌道(2b)(2c)が設けられた上下にのびる中空の鋼製ねじ軸(2)と、ねじ軸(2)のボールねじ軌道(2a)にボールを介してねじ合わされた回転自在の鋼製ボールねじナット(3)と、ねじ軸(2)の下端部側においてスプライン軌道(2b)(2c)にボールを介して嵌め合わされてねじ軸(2)の上下方向(軸方向)直線運動を案内する外筒(4)と、ボールねじナット(3)に一体化されて上方にのびる中空軸(5)と、軸受(7)を介して中空軸(5)を回転可能に支持するとともに外筒(4)を支持するハウジング(6)と、中空軸(5)に固定された円筒状のモータロータ(9)およびハウジング(6)内径に固定された円筒状のモータステータ(10)からなるモータ(8)とを備えている。
【0027】
モータ(8)は、永久磁石型三相同期モータとされており、モータロータ(9)が永久磁石とされて、モータステータ(10)にU相、V相およびW相の三相のコイル(10a)が巻かれている。
【0028】
ねじ軸(2)と中空軸(5)とは、同心状に配置されており、ボールねじ装置(1)は、ボールねじナット(3)、中空軸(5)およびモータロータ(9)を回転させて、ねじ軸(2)を直線移動させる形態で使用される。
【0029】
中空軸(5)は、ねじ軸(2)を案内する小径部(11)と、内周面がボールねじナット(3)の外周面に固定されかつ外周面に軸受(7)を保持する大径部(12)とからなる。
【0030】
外筒(4)は、ねじ軸(2)の回転を防止してその上下移動を案内するために、回り止め部(例えばキー)(13)によってハウジング(6)に対して回り止めされる。
【0031】
外筒(4)は、図2および図3に示すように、略円筒状の金属製外筒本体(17)と、外筒本体(17)の内周に配置された略円筒状の保持器(18)とを備えている。保持器(18)は、外筒本体(17)内に嵌め入れられて止め輪(22)によって、その軸方向の相対移動が防止されている。
【0032】
通常のボールスプラインでは、図5に示すように、A、BおよびCで示す3つのボール循環路(A)(B)(C)が設けられている。ボール循環路(A)(B)(C)は、具体的には、次のような構成とされている。
【0033】
ねじ軸(2)の外周には、基準円筒面から突出するように形成された3つのボール受け部(15)が周方向に等間隔で設けられており、このボール受け部(15)の時計方向側肩部および反時計方向側肩部に、それぞれスプライン軌道(2b)(2c)が形成されている。そして、ねじ軸(2)のスプライン軌道(2b)(2c)に対応して、外筒本体(17)の内周には、ボール受け部(15)の時計方向側のスプライン軌道(2b)に時計方向側から対向するスプライン軌道(4a)と、ボール受け部(15)の反時計方向側のスプライン軌道(2c)に反時計方向側から対向するスプライン軌道(4b)とがそれぞれ形成されている。こうして、ねじ軸(2)が時計方向に回転しようとしたときにそのトルクを負荷するスプライン軌道(2b)(4a)と、ねじ軸(2)が反時計方向に回転しようとしたときにそのトルクを負荷するスプライン軌道(2c)(4b)とが対とされて、これが3対設けられている。対向する両スプライン軌道(2b)(2c)(4a)(4b)の間の空間が、ボール(16)が転動する主通路(20)となっている。
【0034】
保持器(18)には、外筒本体(17)との間に、主通路(20)の左右両端部と連通する戻し通路(21)が形成されている。各戻し通路(21)は、対となっている主通路(20)を周方向の両側から挟むように設けられている。保持器(18)に形成されている戻し通路(21)は、主通路(20)よりも径方向外方寄りにあって、径方向外方に開口している。
【0035】
ボール(16)は、主通路(20)および戻し通路(21)内に配設され、主通路(20)を転動するボール(16)がねじ軸(2)と外筒(4)の相対直線運動を案内するようになっている。主通路(20)および戻し通路(21)により、ボール循環路(A)(B)(C)が構成されている。
【0036】
ここで、外筒(4)の外径を大きくすることができず、また、ねじ軸(2)の外径を小さくすることもできないという条件が課せられた場合、外筒(4)が薄肉となり、使用するボール(16)の径が小さくなって、隣り合う対のボール循環路A、BおよびC間にある空間が大きくなる。図5には、このようなボールスプラインが示されている。使用するボール(16)の径が小さくなると、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量が不足する可能性がある。そこで、容量増加のため、この発明によるボールスプラインは、図2に示す形状とされている。
【0037】
すなわち、各対のボール循環路(A)(B)(C)を主ボール循環路として、隣り合う主ボール循環路(A)(B)(C)間のそれぞれに、D、EおよびFで示す補助ボール循環路(D)(E)(F)が1つずつ設けられている。
【0038】
補助ボール循環路(D)(E)(F)は、ボール(32)が配設される主通路(30)および戻し通路(31)を有しており、これを径方向外側から見た形状は、図4に示されており、この径方向外側から見た形状は、主ボール循環路(A)(B)(C)と同じ形状とされている。ただし、図2に示すように、ボール受け部(15)がなく、スプライン軌道(2b)(2c)(4a)(4b)が無い点で、主ボール循環路(A)(B)(C)と相違している。この主ボール循環路(A)(B)(C)との相違点により、補助ボール循環路(D)(E)(F)においては、主通路(30)内にあるボール(32)は、時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けないものとなっている。主通路(30)内にあるボール(32)は、ねじ軸(2)と外筒本体(17)との間に介在されているので、ラジアル方向荷重については受けることができる。
【0039】
この発明のボールスプラインによると、外筒(4)の外径を大きくすることができず、また、軸(2)の外径を小さくすることもできないという条件が課せられた場合、図5に示した形状となって、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量が不足する可能性が生じるところ、図2に示すように、ボール(32)が時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるように形成されたスプライン軌道無し主通路(30)を有している補助ボール循環路(D)(E)(F)が追加されることで、曲げモーメントやラジアル荷重に対する容量を確保することができる。ここで、主ボール循環路(A)(B)(C)は、従来からある構成であり、これに付加される補助ボール循環路(D)(E)(F)は、スプライン軌道(2b)(2c)(4a)(4b)を有していないので、付加することで加工の手間が増加するものではない。したがって、この発明によるボールスプラインの加工の手間は、従来のものと同程度であり、比較的低コストでかつ所要の容量を有するボールスプラインを得ることができる。
【符号の説明】
【0040】
(2) ねじ軸(軸)
(2b)(2c) スプライン軌道
(4) 外筒
(4a)(4b) スプライン軌道
(16) ボール
(20) スプライン軌道有り主通路
(21) 戻し通路
(30) スプライン軌道無し主通路
(31) 戻し通路
(32) ボール
(A)(B)(C) 主ボール循環路
(D)(E)(F) 補助ボール循環路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向にのびる複数の直線状スプライン軌道が外周面に形成された軸と、軸が通されて軸のスプライン軌道に対応するスプライン軌道が形成された外筒と、軸と外筒との間に配設された複数のボールとを備えており、軸のスプライン軌道および外筒のスプライン軌道によって形成された主通路と主通路の両端部に連通する戻し通路とによってボール循環路が形成されているボールスプラインにおいて、
ボールが時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とボールが反時計方向のトルクを受けるように形成された主通路を有するボール循環路とが対とされて、この対とされたボール循環路を主ボール循環路として、主ボール循環路が所定間隔を置いて3つ配置されるとともに、隣り合う主ボール循環路間のそれぞれに、補助ボール循環路が少なくとも1つ設けられており、補助ボール循環路は、軸および外筒のいずれにもスプライン軌道が設けられていないことで、ボールが時計方向のトルクおよび反時計方向のトルクは受けずにラジアル方向荷重のみを受けるように形成されたスプライン軌道無し主通路を有していることを特徴とするボールスプライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−169437(P2011−169437A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35516(P2010−35516)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】