説明

ボールペン用水性インキ組成物

【課題】ボールの回転によるボール受け座の摩耗を抑制することで、良好なインキ吐出性を長距離の筆記に亘って確保できるボールペン用水性インキ組成物を提供する。
【解決手段】水と、着色剤と、炭素数4〜30の炭化水素基、エステル結合及び/またはアミド結合を有する炭素数4〜30の炭化水素基をいずれか2つ有し、そのいずれかの有機基にリン酸基、水酸基、カルボキシル基又はスルホ基のいずれか1つを有する有機リン化合物及び/又はその塩を少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールの回転によるボール受け座の摩耗を抑制することにより、高い筆記性能を備えたボールペン用水性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水性インキを内蔵したボールペンにおいては、ボールの回転による受け座の摩耗が発生しやすい。その結果、ボールペンチップ内のインキ流通路が変形してしまい、ボールが後退しインキ流通路を塞ぐなどインキの吐出不良を生じることがあった。
【0003】
そこで、前記問題を解決するために、水性インキ組成物中にリン酸エステルを添加し、水性インキの潤滑性を向上させてボール受け座の摩耗を低減する試みが成されてきた(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−38226号公報
【特許文献2】特開2005−232339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステルは、高い潤滑性を有するものでは水溶性が低いため、添加量が制限され、結果的に満足できる潤滑性を付与できず、ボール受け座の摩耗を十分に抑制することができないと共に、長時間の経時後では更に溶媒が揮発するなどしてリン酸エステルが析出し、潤滑性を発揮できなくなるものであった。
特許文献2では、水性インキ組成物中に高い水溶性を有するリン酸エステルを添加することにより、長期間安定して優れた潤滑性能を付与し、ボールの回転によるボール抱持部の摩擦を抑制している。しかしながら、合計の筆記距離が500mを超えた長距離を筆記した場合には潤滑性が維持できず、ボール受け座の摩耗を十分に抑制できないことがあった。
【0006】
本発明の目的は、長距離の筆記に亘ってボールの回転によるボール受け座の摩耗を抑制し、良好なインキ吐出性を維持できるボールペン用水性インキ組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、水と、着色剤と、下記一般式(化1)で示される化合物及び/又はその塩を少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物を要旨とするものである。
【0008】
【化1】

【発明の効果】
【0009】
上記一般式(化1)で示される化合物及び/又はその塩は、R1とR2の二つの疎水鎖と、リン酸基とXの二つの親水基を有する二鎖二親水基型の潤滑剤であるため、一親水基型に比べてボールとボール受け座表面に緻密に配列することができ、緻密に配列することで隣り合う疎水基間において分子間力が働くことにより、ボールとボール受け座表面からの潤滑剤の剥離を抑えることができる。また、二鎖二親水基型により、ボールとボール受け座表面で複層を形成することができると考えられることから、ボールとボール受け座表面に存在する潤滑剤に厚みを持たせることができ、長距離筆記にも耐え得る潤滑性能を付与することができると推察される。
尚、上述の従来技術で使用されているリン酸エステルは、リン酸基を一つ有する一親水基型の潤滑剤であり、親水基同士の極性による反発が強いため、ボールとボール受け座表面への吸着が粗な状態となってしまうことから、ボールとボール受座が接触する可能性が大きくなる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に発明を詳細に説明する。
上記(化1)で示される化合物において、R1、R2の炭素数が4を下回ると、潤滑性が低くなり、ボール受け座摩耗の抑制効果が不十分となる。一方、炭素数が30を上回ると水性インキ組成物中への溶解性が下がることにより、潤滑性能を付与することができず、ボール受け座摩耗の抑制効果が発揮されない。炭化水素基は直鎖・分岐鎖、飽和・不飽和、環状・非環状、脂肪族・芳香族のいずれであってもよい。また、上記(化1)で示される化合物の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩等が用いられる。
具体的には、POH−n−ODEs(n=10)、POH−n−ODAm(n=6、8、10)(以上、ミヨシ油脂(株)製)等を挙げることができる。
そして、その含有量は、インキ全量に対し、0.01〜10重量%となるように配合することが好ましい。0.01%未満だとボール受座摩耗を抑制するほどの十分な効果が得られず、また10重量%以上添加しても、ボール受け座摩耗の抑制効果の更なる向上は認められない。
【0011】
本発明に用いる着色材は、従来水性インキに用いられている各種公知の染料、顔料が使用可能である。
染料の例を挙げると、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、同71、C.I.ダイレクトエロー4、同26、同44、同50、ダイレクトレッド1、同4、同23、同31、同37、同39、同75、同80、同81、同83、同225、同226、同227、C.I.ダイレクトブルー1、同15、同41、同71、同86、同87、同106、同108、同199)などの直接染料や、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同52、同107、同109、同110、同119、同154、C.I.アシッドエロー1、同7、同17、同19、同23、同25、同29、同38、同42、同49、同61、同72、同78、同110、同127、同135、同141、同142、C.I.アシッドレッド8、同9、同14、同18、同26、同27、同35、同37、同51、同52、同57、同82、同83、同87、同92、同94、同111、同129、同131、同138、同186、同249、同254、同265、同276、C.I.アシッドバイオレット15、同17、同49、C.I.アシッドブルー1、同7、同9、同15、同22、同23、同25、同40、同41、同43、同62、同78、同83、同90、同93、同100、同103、同104、同112、同113、同158、C.I.アシッドグリーン3、同9、同16、同25、同27、C.I.アシッドオレンジ56などの酸性染料、C.I.フードエロー3、C.I.フードレッド14、C.I.アシッドブルー74、C.I.アシッドグリーン5などの食用染料、C.I.42000、C.I.44045、C.I.42535、C.I.45160、C.I.45160などの塩基性染料がある。
【0012】
顔料の例を挙げると、ファーネストブラック、コンタクトブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、チタンイエロー、ターコイズ、モリブデートオレンジ、酸化チタン等の無機顔料、金粉、銀粉、銅粉、アルミニウム粉、真鍮粉、錫粉等の金属粉顔料、雲母系顔料、C.I.PIGMENT RED2、同3、同5、同17、同22、同38、同41、同48:2、同48:3、同49、同50:1、同53:1、同57:1、同58:2、同60、同63:1、同63:2、同64:1、同88、同112、同122、同123、同144、同146、同149、同166、同168、同170、同176、同177、同178、同179、同180、同185、同190、同194、同206、同207、同209、同216、同245、C.I.PIGMENT ORANGE 5、同10、同13、同16、同36、同40、同43、C.I.PIGMENT VIOLET 19、同23、同31、同33、同36、同38、同50、C.I.PIGMENT BLUE 2、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:5、同16、同17、同22、同25、同60、同66、C.I.PIGMENT BROWN 25、同26、C.I.PIGMENT YELLOW 1、同3、同12、同13、同24、同93、同94、同95、同97、同99、同108、同109、同110、同117、同120、同139、同153、同166、同167、同173、C.I.PIGMENT GREEN 7、同10、同36等がある。これらは、1種もしくは2種以上混合して用いることが出来る。また、顔料を水性媒体に分散した分散顔料の例を挙げると、チバスペシャリティケミカルズ(株)製のunisperseシリーズ、クラリアントジャパン(株)製のHostfineシリーズ、大日本インキ化学工業(株)製のDisperseシリーズ、Ryudyeシリーズ、富士色素(株)製のFuji.SPシリーズ、山陽色素(株)製のEmacolシリーズ、Sandyeシリーズ、オリエント化学工業(株)製のMicroPigmoシリーズ、MicroJetシリーズ、東洋インキ(株)製のRio Fastシリーズ、EM Colorシリーズ、住化カラー(株)製のPoluxシリーズ、(以上、無機、有機顔料の分散体)、日本蛍光化学(株)製のNKWシリーズ、東洋ソーダ(株)製のコスモカラーシリーズ、シンロイヒ(株)製のシンロイヒ・カラーベースシリーズ(以上、蛍光顔料の分散体)等がある。これらは1種もしくは2種以上混合して用いることが出来る。
尚、上記染料、顔料、分散顔料は混合して使用することもできる。
【0013】
水はインキの主溶剤である。
更に、低温時でのインキの凍結防止、染料の可溶化剤、顔料の分散媒等、インキの種々の品質を担うインキ溶媒として、従来公知の水溶性有機溶媒が使用併用できる。具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。
【0014】
着色剤を紙面に定着させるためなどで各種樹脂を併用することもできる。例えば、セラック、スチレン−マレイン酸共重合体及びその塩、スチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体及びその塩、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ケトン樹脂、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル酸−ウレタン共重合体、ポリウレタン樹脂、酸化ポリエチレン樹脂、酸化ポリプロピレン、ポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ウレタン変性エチレン樹脂、高結晶ポリエチレン樹脂、中結晶ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。これらはエマルジョンとしてインキに添加することもできる。
【0015】
水性組成物としての適切な流動特性を得るために水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アラビアガム、トラガカントガム、グァーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キサンテンガム、デキストラン、ウェランガム、ラムザンガム、アルカガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ヒドロキシプロピル化グァーガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンオキサイド、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンの共重合体、アクリル樹脂塩、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体又はそれらの塩がある。
【0016】
黴の発生を防止するために、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、安息香酸ナトリウム、モルホリン、モルホリン誘導体などの防腐防黴剤を適宜加えることもできる。
【0017】
インキのpHを調整するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオールなどの従来公知の塩基性物質や、硫酸などの酸性物質を添加してもよい。
【0018】
染料等の溶解促進や顔料等の分散安定性向上のために脂肪酸類、高級アルコール硫酸エステル類、液体脂肪酸硫酸エステル類、アルキルアリルスルホン酸類などのアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン系界面活性剤や、カチオン系界面活性剤や両性界面活性剤や尿素を、表面張力調整や消泡のためにシリコーン系界面活性剤等を、ペン先の乾燥抑制のためにソルビット、キシリット等の糖アルコール等を、ペン先の防錆のためにベンゾトリアゾール、エチレンジアミン四酢酸などを、さらに各種の香料などを必要に応じて1種又は2種以上混合して用いることもできる。
【0019】
インキの製造方法としては従来知られている種々の方法が採用できる。例えば、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、プロペラ撹拌機、ホモジナイザー、ニーダー等の装置を使用して作ることができる。濾過や遠心分離を行い粗大粒子や気泡を除くことができる。製造時に加熱や冷却や加圧や減圧や不活性ガス置換をすることができる。動力は電気でも加圧空気でも良い。これらはそれぞれ単独で使用しても良いし、組み合わせて使用しても良い。
【0020】
インキを収容するインキタンクは、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等のインキの残量を確認できる透明又は半透明な高分子化合物を使用しても良いが、不透明高分子化合物や金属を使用しても差し支えない。また、インキがインキタンクの内壁に付着することを抑制するためなど、必要に応じてインキタンク内面にシリコーン樹脂やフッ素樹脂などを塗布して撥インキ処理をすることもできる。後端開口するインキタンクの場合には、インキの洩れや乾燥を抑制するためにインキ後端の界面に接触させて逆流防止体を配置してもよい。逆流防止体としては不揮発性液体をゲル化したものやスポンジ状のものなど各種公知のものが使用でき、不揮発性液体をゲル化した逆流防止体にさらにプラスチック製のフロートを浸漬するなどしてもよい。
【0021】
ボールペンのペン先であるボールペンチップとして、筆記部材としてのボールは、基材としてタングステンカーバイド等からなるいわゆる超硬合金、ステンレス、セラミックス、ルビーなど、ボールホルダーより硬い材料が好適に選択される。また、このようなボールの表面に酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を担持させることもできる。
また、ボールを回転自在に抱持するボールホルダーの材質には金属や合成樹脂が使用できる。金属としては洋白、真鍮、ステンレス等が、また合成樹脂としてはポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ナイロン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアクリレート樹脂等が用いられる。
ボールの直径は0.1mmから2.0mm程度までがよく使用されているがこれに限定するものではない。またペン先の密閉性を高めるために、ボールホルダー内にコイルスプリング等の弾性体を配置しても良い。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。
(実施例1)
FISCO BLACK 883(黒色染料、オリヱント化学工業(株)製)
50.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH) 1.0重量部
エチレングリコール 10.0重量部
ジエチレングリコール 5.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.5重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.5重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.1重量部
HYTEC S−3121(定着剤、エチレン系樹脂エマルジョン、東邦化学工業(株)
製) 10.0重量部
トリエタノールアミン 1.0重量部
水 21.9重量部
上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して黒色の水性インキを得た。
【0023】
(実施例2)
FISCO BLACK 886(黒色染料、オリヱント化学工業(株)製)
50.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−CONH−C1021、R2;−C17、X;−OH) 1.0重量部
グリセリン 5.0重量部
エチレングリコール 5.0重量部
チオジグリコール 10.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.5重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.5重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.1重量部
水 27.9重量部
上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して黒色の水性インキを得た。
【0024】
(実施例3)
WATER BLACK 256L(黒色染料、オリヱント化学工業(株)製)
40.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C、R2;−C3061、X;−OH)
0.2重量部
ジエチレングリコール 15.0重量部
ケルザン(増粘剤、三晶(株)製) 0.4重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.5重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.5重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.1重量部
ジエタノールアミン 0.5重量部
水 42.8重量部
ケルザンを除く上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌する。その中にケルザンを添加し、ホモジナイザーで10分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して黒色の水性インキを得た。
【0025】
(実施例4)
FISCO BLACK 888(黒色染料、オリヱント化学工業(株)製)
50.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C2245、R2;−C、X;−OH) 0.01重量部
エチレングリコール 15.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.3重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.2重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.2重量部
HYTEC E−1000(定着剤、酸化ポリエチレンワックスエマルジョン、東邦化学工業(株)製) 10.0重量部
トリエタノールアミン 0.5重量部
水 23.8重量部
上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して黒色の水性インキを得た。
【0026】
(実施例5)
NKW−6200E(黒色着色樹脂球エマルション、日本蛍光化学(株)製)
40.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C1327、R2:−C1327、X:−OH)
10.0重量部
ジエチレングリコール 15.0重量部
2−ピロリドン 5.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 1.5重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.2重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.1重量部
水酸化ナトリウム 0.5重量部
水 27.7重量部
上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して黒色の水性インキを得た。
【0027】
(実施例6)
UNISPERSE RED 2030−S2(界面活性剤分散赤色顔料、チバスペシャ
リティケミカルズ(株)製) 30.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2:−C17、X;−COOH) 0.005重量部
エチレングリコール 5.0重量部
プロピレングリコール 5.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.3重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.2重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.2重量部
トリエタノールアミン 0.5重量部
水 58.8重量部
上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して赤色の水性インキを得た。
【0028】
(実施例7)
WATER BLUE 117L(青色染料、オリヱント化学工業(株)製)
50.0重量部
上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−CONH−C1021、R2:−C17、X;−PO) 15.0重量部
エチレングリコール 10.0重量部
チオジグリコール 5.0重量部
ベンゾトリアゾール(防錆剤) 0.5重量部
エチレンジアミン四酢酸 0.5重量部
1、2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(防腐剤、ICI社製、英国)
0.1重量部
ジョンクリル PDX−7145(定着剤、スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、BASFジャパン(株)製) 10.0重量部
ケルザン(増粘剤、三晶(株)製) 0.5重量部
ジエタノールアミン 1.0重量部
水 7.4重量部
ケルザンを除く上記成分を、マグネチックスターラーで30分撹拌する。その中にケルザンを添加し、ホモジナイザーで10分撹拌した後、1ミクロン糸巻きフィルターにより加圧濾過して青色の水性インキを得た。
【0029】
(比較例1)
実施例1において、上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を除き、その分水を添加した以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0030】
(比較例2)
実施例2における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−CONH−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテルのリン酸モノエステル及びジエステルのモノエタノールアミン塩の混合物(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM−208F)に置き換えた以外は実施例2と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0031】
(比較例3)
実施例3における上記(化1)で示される化合物(R1;−C−COO−C、R2;−C3061、X;−OH)を、ポリオキシエチレン(5)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドリン酸エステル(川研ファインケミカル(株)製、商品名:アミゼット52P)に置き換えた以外は実施例3と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0032】
(比較例4)
実施例1における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテルのリン酸モノエステル及びジエステルのモノエタノールアミン塩の混合物(第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフM−208F)0.5重量部、ラウリルアルコール0.5重量部に置き換えた以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0033】
(比較例5)
実施例1における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、ラウリルアルコールに置き換えた以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0034】
(比較例6)
実施例1における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C2856、R2;−C、X;−OH)に置き換えた以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0035】
(比較例7)
実施例1における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、(R1;−C14−COO−C2856、R2;−C1021、X;−OH)に置き換えた以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0036】
(比較例8)
実施例1における上記(化1)で示される化合物(R1;−C14−COO−C1021、R2;−C17、X;−OH)を、(R1;−C14−COO−C、R2;−C、X;−OH)に置き換えた以外は実施例1と同様になして、黒色の水性インキを得た。
【0037】
実施例1〜7及び比較例1〜8で得たインキ組成物を、ステンレス製のボールペンチップを備えたボールペン(ボール素材:超硬合金、ボール径:0.5mm、ぺんてる(株)製ハイブリッド、製品符号K105)のリフィルに0.8g程度充填し、インキ界面に上記K105に使用されている逆流防止体組成物を層状に配置した後、リフィルを遠心脱泡して、試験用ボールペンを作成した。
【0038】
ボール沈み量の測定:上記実施例、比較例のボールペンをn=5本ずつ螺旋筆記試験機(筆記角度70°、荷重100g、筆記速度7cm/sec)にて500mおよび1000m筆記後に、ボールペンチップのボールを抱持するボールホルダーの先端からボール先端までの断面に対する垂直方向の距離を測定し、未筆記の時との差をボール沈み量とした。数値はn=5の平均値を算出した。
【0039】
【表1】

【0040】
以上、詳細に説明したように、本発明のインキは、ボールの回転によるボール受け座の摩耗を抑制することにより、高い筆記性能を備えたボールペン用水性インキ組成物に関するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、着色剤と、下記一般式(化1)で示される化合物及び/又はその塩を少なくとも含有するボールペン用水性インキ組成物。
【化1】


【公開番号】特開2011−153267(P2011−153267A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−17241(P2010−17241)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】