説明

ポインティングスティックの取付構造

【課題】各部品の熱膨張率の違いによる影響を受け難く、強度を確保しつつ薄型化し、更には構成部品の共用化を図ったポインティングスティックの取付構造を提供する。
【解決手段】ポインティングスティック本体10と、ポインティングスティック本体に延設された脚部を取付可能な取付部材と、回路基板を収容可能な容積を有し取付ネジ90が貫通可能な貫通孔が設けられた台座部材40と、ネジ孔を有するベースプレートと台座部材とを締結する取付ネジとを備え、ポインティングスティック本体は、これに延設された脚部を取付部材の貫通孔に通し、その先端を熱溶着して取付部材に固定すると共に、取付部材の下側に配置される台座部材と、取付部材の上側に配置されるベースプレートとで挟み、台座部材底面側から取付ネジを挿通してベースプレートに締結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばノート型コンピュータ等のディスプレイ上のカーソル移動制御に利用するポインティングスティックの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばノート型コンピュータ(ノートパソコン)の普及に伴い、そのディスプレイ上のカーソル移動の制御においてポインティングスティックを備えたポインティングデバイスが用いられるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このポインティングスティックを有するノートパソコンは、ディスプレイ上のカーソルを移動する際にマウスを用いる必要がない。そのため、机の上での場所をとらず、作業スペース上の観点から省スペース化が図られ、自宅やオフィスでの使い勝手が良く、また、飛行機や電車等の公共移動手段で移動中に用いる際にも使い勝手が良いとされている。
【0004】
なお、このようなポインティングスティックは、ノートパソコンへの利用に限らず家庭用ゲーム機におけるディスプレイ上のカーソル等の移動制御にも用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−211982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1において開示された従来技術は、ポインティングスティックのベースプレートをホルダ部材と支え蓋体の支持部で固定する構造を有している。しかしながら、この従来技術によると、ポインティングスティックのベースプレートをホルダ部材と支え蓋体の支持部で固定する固定構造に問題があり、これらの固定した状態における各部品の結合時における構造上の歪みや各部品の熱膨張率の違いによる歪が生じ、ポインティングスティックの操作量を検出する際に、出力誤差として重畳してしまう場合がある。
【0007】
また、この従来技術によると、ポインティングスティック内にポインティングスティックの操作量を検出して演算する演算部や、それに関連する電子部品及びこれらを実装する回路基板を収容するスペースを設けていない。従って、このような回路基板及び電子部品をポインティングスティック内部に収容する場合は、この収容スペースを備えた特別な支え蓋体やホルダ部材を別個に設けなければならず、部品の共用化を図ることができずにコスト高を招く。
【0008】
本発明の目的は、ポインティングスティックの取付構造を構成する各部品の熱膨張率の違いや結合状態による影響を受け難く、かつ薄型化した状態であっても十分な強度を確保しつつ、更にはポインティングスティックの操作量を演算制御する制御回路基板を収容するスペースを有することで、異なる仕様に対して部品の共用化を図ることを可能としたポインティングスティックの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のポインティングスティックの取付構造は、
キーボード装置等のカーソル位置制御に用いられるポインティングスティックであって、
ポインティングスティック本体と、
ポインティングスティック本体に延設された脚部を取付可能な取付部材と、
回路基板を収容可能な容積を有し、かつ、ネジが貫通可能な貫通孔が設けられた台座部材と、
ネジ孔を有するベースプレートと台座部材とを締結する取付ネジと、を備え、ポインティングスティック本体は、
ポインティングスティック本体に延設された脚部を取付部材の貫通孔に通し、その先端を熱溶着して取付部材に固定すると共に、
取付部材の下側に配置される台座部材と、取付部材の上側に配置されるベースプレートとで挟み、
台座部材の底面側から取付ネジを挿通してベースプレートに締結されることを特徴としている。
【0010】
請求項1に係るポインティングスティックの取付構造によると、ポインティングスティックの取付け状態でポインティングスティック本体を固定した取付部材がベースプレートと台座部材とでサンドイッチ状に挟まれるようにしっかりと固定されている。これによって、ポインティングスティックの操作量に対応した出力値のみがひずみゲージで検出され、それ以外の各構成部品の接合時に生じる構造的な歪みや熱膨張率の違いによって生じる歪みがひずみゲージによって出力誤差として検出され難い。そのため、ポインティングスティックの操作量を常に正確に検出することができるようになる。
【0011】
また、ポインティングスティックの操作量を演算する演算回路や、これに関連する電子部品を実装する回路基板を収容するスペースを有することで、台座部材の共用化を図ることができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係るポインティングスティックの取付構造は、請求項1に記載のポインティングスティックの取付構造において、台座部材には取付ネジの頭部を収容可能な座が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項2に係るポインティングスティックの取付構造によると、取付ネジの収容可能な座を設けていることで、ネジの頭部が台座部材から突出することがなく、ポインティングスティックの取付構造の薄型化を達成することができる。
【0014】
また、本発明の請求項3に係るポインティングスティックの取付構造は、請求項1および請求項2に記載のポインティングスティックの取付構造において、
ベースプレートには凹状段部を設けて取付ネジに対応するネジ孔を有すると共に、
ネジ孔の部分はバーリング加工で先端部分が凸状部となり、
凸状部が取付部材の貫通孔に嵌合できるように形成されていることを特徴としている。
【0015】
キーボードの小型化や軽量化を図るためにポインティングスティックを薄型化する必要があり、そのためにベースプレートの板厚はその強度を保った上で極力薄くされている。係る厚さの薄いベースプレート自体に雌ネジを形成したのでは、ネジの十分な締結力が確保できない。
【0016】
しかしながら、請求項3に係るポインティングスティックの取付構造によると、ベースプレートに凹状段部を設けると共に、この凹状段部に更に凸状部を設けることで、取付ネジに対応するネジ締結孔を形成でき、取付ネジをネジ締結孔にセルフタッピングを介してネジ込むことでバーリング加工を利用して取付ネジをベースプレートにしっかりと締結することができる。
【0017】
また、本発明の請求項4に係るポインティングスティックの取付構造は、請求項1乃至請求項3の何れかに記載のポインティングスティックの取付構造において、台座部材の収容部には、取付部材と並列に制御回路基板が収容されていることを特徴としている。
【0018】
請求項4に係るポインティングスティックの取付構造によると、台座部材の収容部に制御回路基板を並列に収容配置することで、制御回路基板自体をポインティングスティック以外の場所に配置する必要が無くなり、省スペース化を図ることができる。
【0019】
また、厚みのあるガラスエポキシ樹脂からなる回路基板上にポインティングスティックを取り付けるような従来技術では、ポインティングスティック全体の高さを低くすることが困難であった。しかしながら、請求項4に係るポインティングスティックの取付構造によると制御回路基板をポインティングスティック本体の側方に並列配置することで、ポインティングスティック全体の高さを低くでき、薄型化を図ることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、ポインティングスティックの取付構造を構成する各部品の熱膨張率の違いや結合状態による影響を受け難く、かつ薄型化した状態であっても十分な強度を確保しつつ、更にはポインティングスティックの操作量を演算制御する制御回路基板を収容するスペースを有することで、異なる仕様に対して部品の共用化を図ることを可能としたポインティングスティックの取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造を、ベースプレートを除きその他の各部品を分解した状態で斜め上方から示す斜視図である。
【図2】図1とは異なる方向から見たポインティングスティックの取付構造の斜視図である。
【図3】ポインティングスティックの取付け側と反対側から見た図1に対応するポインティングスティックの取付構造の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の制御回路用FPCを除いた方向に沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の制御回路用FPCを含める方向に沿った断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の組み立て方を示す図4に対応する断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の組み立て方を示す図5に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造を、ベースプレート50を除きその他の各部品を分解した状態で斜め上方から示す斜視図である。また、図2は、図1とは異なる方向から見たポインティングスティックの取付構造の斜視図である。また、図3は、ポインティングスティックの取付け側と反対側から見た図1に対応するポインティングスティックの取付構造の斜視図である。また、図4は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の制御回路用FPCを除いた方向に沿った断面図である。また、図5は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の制御回路用FPCを含める方向に沿った断面図である。
【0023】
本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造は、キーボード装置等のカーソル位置制御に用いられるようになっており、ポインティングスティック本体10と、ポインティングスティック本体10を支持する取付部材20と、ポインティングスティック本体10の基部11と共に制御回路用フレキシブルプリント基板(以下、「制御回路用FPC」とする)30を収容可能な容積を有する台座部材40と、台座部材40をベースプレート50にポインティングスティック本体10を支持する取付部材20を挟んだ状態で固定する取付ネジ90と、を備えている。
【0024】
係るポインティングスティックの取付構造の具体的な構成について、図面に基づいてより詳細に説明する。ポインティングスティック本体10は、例えばABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂等の強度と成形性に優れた樹脂材でできている。そして、ベースプレート50(図3参照)を介してキーボード(ここでは図示せず)に取り付けられ、カーソル移動用の操作スティック15及びこのスティックの操作内容を検知する力センサ16(図4参照)を備えている。ポインティングスティック本体10は、基部11からベースプレート側に突設した3本の取付け脚12を有している。
【0025】
ポインティングスティック本体10は、この3本の取付け脚12を取付部材20の脚固定孔21aに通し、その先端を熱溶着して取付部材20に固定されるようになっている。基部11には、ここでは詳細には図示しないが、操作スティック15の操作に応じて変形するダイアフラムが備わり、ダイアフラム上にはひずみゲージが適所に配置されている。そして、ダイアフラムとひずみゲージとで力センサ16を構成している。これによって、操作スティック15の操作に応じたダイアフラム上のひずみゲージの抵抗値に関する出力変化を検出して、操作スティック15の操作内容を取付部材20に隣接して並列配置されプリント基板上に実装されたマイコン等の演算手段によって検出するようになっている。
【0026】
そして、ポインティングスティック本体10と取付部材20は、例えばキーボードに組み込んだ状態で見て、取付部材20の下側に配置される台座部材40と、取付部材20の上側に配置されるベースプレート50とで挟まれた状態で、台座部材40の底面側から取付ネジ90を挿通してベースプレート50にこの取付ネジ90を締結させしっかりと固定されるようになっている。
【0027】
取付部材20は、例えば厚さ0.3mmのステンレス鋼の板材でできており、平面視で長方形形状をなし、長手方向両端部に対して中央部が凹んだ平面状のスティック本体固定部21として形成され、この固定部にポインティングスティック本体10の基部11を固定するようになっている。なお、スティック本体固定部21の凹みの深さは、基部11の上面が後述する取付部材固定部22の上面から突出しない深さとなっている。
【0028】
スティック本体固定部21にはポインティングスティック本体10の基部11から延在した3つの取付け脚12を挿通する脚固定孔21aが形成されている。また、各端部はそれぞれ平面状の取付部材固定部22を形成している。そして、取付部材固定部22には、ポインティングスティック取付用の取付ネジ90を挿通する挿通孔22aがそれぞれ2つずつ形成されている。
【0029】
台座部材40は、ポインティングスティック本体10を取付部材20に取り付けた状態で収容すると共に制御回路用FPC30を収容することが可能な収容部41を有した平面視矩形の皿型形状をなしている。台座部材40は、外部からの信号ノイズがポインティングスティックの検出誤差として重畳しないような例えばブリキなどの厚さの薄い金属製の板材でできている。
【0030】
また、台座部材40に取付部材20を取付ける位置であって、取付部材20の挿通孔22aの対応する位置に座部42が4箇所設けられている。座部42は、台座部材40の底面から上方に突出して形成され(図1、図2、及び図4参照)、取付ネジ90を台座部材40の座部42に設けた取付ネジ挿通孔42aに挿通した時に台座部材40の底面から取付ネジ90の頭部91が突出しないようになっている。
【0031】
また、座部42の高さは、ポインティングスティック本体10の基部11を取付部材20に固定した際にこのスティック本体の取付け脚12の溶着部12aが台座部材40の底面にほぼ接する程度の高さとなっている。
【0032】
本実施形態の場合、台座部材40の座部42にはそれぞれ4箇所にネジ緩み防止用の溝状凹み42bが周方向等間隔で直径方向に設けられている。また、台座部材40の4つの側壁45の上縁には台座部材40をベースプレート50に接触固定させる当接部46が複数設けられている。なお、隣接する当接部間にはそれぞれ切欠き47が設けられ、複数の当接部46の少なくとも1箇所か2箇所で台座部材40をベースプレート50にしっかりと密着させるようになっている。また、各当接部46にはそれぞれ小さな半球状の膨出部46aがベースプレート50に向かって形成されている。
【0033】
台座部材40にこのような複数の当接部46が備わることで、ポインティングスティック本体10のスティック操作量を検出する際に外部ノイズを遮断してシールド性を高めるようになっている。
【0034】
また、台座部材40の収容部41には、取付部材20と並列に制御回路用FPC30が収容配置されている。制御回路用FPC30は、厚さが薄く可撓性を有するフレキシブルプリント基板31と、その表面に実装された検出出力演算用チップ32や、これに関連する抵抗33、コンデンサ34等の電子部品が実装されている。そして、制御回路用FPC30の一部は、上述したようにポインティングスティック本体10の力センサ16から延在した回路パターンにはんだによって電気的に接続されるようになっている制御回路用FPC30のフレキシブルプリント基板31は、ここでは詳細には示さないが他のフレキシブルケーブルに接続されるようになっている。
【0035】
ベースプレート50は、例えば厚さ0.5mmのアルミニウム合金の板材でできている。ベースプレート50には、キーボードへの取付け状態で見てその上面に皿状の凹み部51が4箇所設けられると共に、この凹み部51の底部に取付部材20の挿通孔22aに嵌合される高さの低い円筒状の3つの凸状段部52が形成されている(図3参照)。そして、凹み部51と凸状段部52を貫通するように取付ネジ締結孔53が形成されている。
【0036】
また、ベースプレート50は4つの凹み部51によって囲まれた位置にポインティングスティック本体10の操作スティック15をキーボードの操作面上に突出させるスティック操作用開口部55を有している。
【0037】
突状段部52は、ポインティングスティック側に向かって形成されており、この段部の高さは、取付部材20の厚さよりも薄くなっている。これによって、ポインティングスティック組み付け時にポインティングスティック本体10を固定した基部11がベースプレート50と台座部材40の間においてずれることなくベースプレート50と台座部材40でしっかりと挟み込まれるになっている。
【0038】
ベースプレート50の凹み部51と凸状段部52には取付ネジ締結孔53が形成されている。また、台座部材40の座部にも上述したように取付ネジ挿通孔42aが形成されている。これによってポインティングスティック本体10をベースプレート50と台座部材40の間に挟んだ状態で、取付ネジ90を取付部材20のネジ挿通孔22aと台座部材40の取付ネジ挿通孔42aに挿通させると共に、ベースプレート50の取付ネジ締結孔53にセルフタッピングさせる。
【0039】
本実施形態に係るポインティングスティックの取付構造がこのような構成を有することで、操作スティック15の軸線方向に作用する所定以上の押圧力を取付部材20及びこれを挟み込むベースプレート50と台座部材40とで吸収するようになっている。この所定値以上の押圧力をベースプレート50で受けることで、力センサ16に過大な応力が発生せず、力センサ16をその構造上保護するようになっている。
【0040】
続いて、上述したポインティングスティックの取付構造の具体的な組み立て手順について説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の組み立て方を示す図4に対応する断面図である。また、図7は、本発明の一実施形態に係るポインティングスティックの取付構造の組み立て方を示す図5に対応する断面図である。
【0041】
ポインティングスティック本体10の3本の取付け脚12を取付部材20の脚固定孔21aにそれぞれ挿通させ、この取付け脚12の突出部分を熱溶着させて、ポインティングスティック本体10を取付部材20に固定する。
【0042】
続いて、台座部材40の適当な位置に両面テープを貼り付け、ポインティングスティック本体10と取付部材20を台座部材40に仮止めする。また、台座部材40の収容部41に制御回路用FPC30を収容する。これによって、台座部材40の収容部41にポインティングスティック本体10及びこれを支持した取付部材20と制御回路用FPC30とが並列配置される。
【0043】
この際、台座部材40の制御回路用FPC30とポインティングスティック本体10の回路をはんだ付けしておくのが組立て作業上好ましい。
【0044】
続いて、台座部材40をベースプレート50のポインティングスティック取付位置に位置合せさせながらベースプレート50の下面に仮止めする。この際、台座部材40の適所に両面テープ等を用いて仮止めすると作業性が向上する。そして、取付ネジ90を介して台座部材40の座部42に形成されたネジ挿通孔に通し、ベースプレート50の台座部材取付孔にネジ締めする。
【0045】
続いて、上述したポインティングスティックの取付構造に関する作用について説明する。本実施形態に係るポインティングスティックの取付構造によると、ポインティングスティックの取付け状態でポインティングスティック本体10を支持した取付部材20が台座部材40とベースプレート50とでサンドイッチ状に挟まれるように固定されている。これによって、ポインティングスティック本体10の操作量に対応した出力値のみがひずみゲージで検出され、それ以外の各部品の結合時に生じる構造的な歪みや各部品の熱膨張率の違いにより生じる歪みが力センサ16によって出力誤差として検出され難くなる。そのため、ポインティングスティックの操作量を更に正確に検出することができるようになる。
【0046】
また、ポインティングスティック本体10の操作量を演算する演算回路や、これに関連する電子部品を実装する回路基板を収容する収容部41を台座部材40が有することで、台座部材40の共用化を図り、このような回路基板を収容する場合や回路基板を収容しない場合の様々な設計スペックに対応できる。
【0047】
また、台座部材40には取付ネジ90の頭部を収容可能な座部42を設けていることで、取付ネジ90の頭部91が台座部材40から突出することがなく、ポインティングスティックを薄型化することができる。
【0048】
また、ベースプレート50に凹み部51を設けると共に、この凹み部51に更に凸状段部52を設けることで、取付ネジ90に対応する取付ネジ締結孔53を形成でき、取付ネジ90を取付ネジ締結孔53にセルフタッピングを介してネジ込むことでバーリング加工を利用して取付ネジ90をベースプレート50にしっかりと締結することができる。
【0049】
ポインティングスティックを薄型化するために、ベースプレート50の板圧を極力薄くする必要があるが、厚さの薄いベースプレート自体に雌ネジを形成したのでは、ネジの十分な締結力が確保できない。しかしながら、本実施形態のような構成を有することで、セルフタッピングされた雌ネジの部分で十分な締結力を確保することができ、ポインティングスティック自体をしっかりと組み付けることができる。
【0050】
また、台座部材40にポインティングスティック本体10の基部11及びこれを支持する取付部材20と並列に制御回路用FPC30を収容することで、制御回路用FPC30自体をベースプレート下面のポインティングスティック取付部以外の位置に配置する必要が無くなり、省スペース化を図ることができる。
【0051】
また、制御回路用FPC30においてフレキシブルプリント基板31を利用しているので、通常のガラスエポキシ樹脂からなるプリント基板上に検出出力演算チップやこれに関連する抵抗、コンデンサを実装した場合に比べて高さ(厚み)を格段に低く(薄く)することができる。これによって、キーボード自体の薄型化に貢献することができる。
【0052】
なお、本実施形態とは異なり、必ずしも台座部材40の収容部41に制御回路用FPC30を収容する必要は無い。しかしながら、本発明のように台座部材40に制御回路用FPC30を収容する収容部41を設けることで、ポインティングスティックの設計仕様に応じて制御回路用FPC30を収容したり、制御回路用FPC30をポインティングスティックの取付部以外の位置に取り付けて台座部材40の収容部41に収容しなかったり任意に選択できる。これに伴って台座部材40の共用化を図ることが可能となり、在庫管理の便宜を図ると共にコスト低減を可能とする。
【0053】
なお、本発明に係るポインティングスティックの取付構造は、上述したノートパソコンへの利用に限らず家庭用ゲーム機におけるディスプレイ上のカーソル等の移動制御にも利用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0054】
10 ポインティングスティック本体
11 基部
20 取付部材
30 制御回路用フレキシブルプリント基板(制御回路用FPC)
40 台座部材
41 収容部
42 座部
45 側壁
46 当接部
50 ベースプレート
51 凹み部
52 凸状段部
53 取付ネジ締結孔
90 取付ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボード装置等のカーソル位置制御に用いられるポインティングスティックであって、
ポインティングスティック本体と、
前記ポインティングスティック本体に延設された脚部を取付可能な取付部材と、
回路基板を収容可能な容積を有し、かつ、ネジが貫通可能な貫通孔が設けられた台座部材と、
ネジ孔を有するベースプレートと、前記台座部材とを締結する取付ネジと、を備え、
前記ポインティングスティック本体は、
前記ポインティングスティック本体に延設された脚部を前記取付部材の貫通孔に通し、その先端を熱溶着して前記取付部材に固定すると共に、
前記取付部材の下側に配置される前記台座部材と、前記取付部材の上側に配置される前記ベースプレートとで挟み、
前記台座部材の底面側から前記取付ネジを挿通して前記ベースプレートに締結されることを特徴とするポインティングスティックの取付構造。
【請求項2】
前記台座部材には前記取付ネジの頭部を収容可能な座が設けられていることを特徴とする請求項1に記載するポインティングスティックの取付構造。
【請求項3】
前記ベースプレートには凹状段部を設けて前記取付ネジに対応するネジ孔を有すると共に、
前記ネジ孔の部分はバーリング加工で先端部分が凸状部となり、
凸状部が前記取付部材の前記貫通孔に嵌合できるように形成されていることを特徴とする請求項1および請求項2に記載するポインティングスティックの取付構造。
【請求項4】
前記台座部材の収容部には、前記取付部材と並列に制御回路基板が収容されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載するポインティングスティックの取付構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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