説明

ポインティングデバイス操作支援システムと方法およびプログラム

【課題】マウスの操作に不慣れな高齢者や初心者がWeb検索等の操作を支援する。
【解決手段】ポインティングデバイス操作支援システム04は、表示中のWebページ03のソース解析を行い、当該Webページ03と同じ内容の仮想Webページ06を生成してデータベース05およびメインメモリに格納する。表示中のWebページ03上で移動するマウスポインタが当該Webページ03のハイパーリンク上に来ると、このハイパーリンクに対するブラウザ02による検知情報に基づき、仮想Webページ06における同じハイパーリンクを特定する。マウスポインタ位置特定機能は、ハイパーリンク取得機能で特定したハイパーリンクを用いて、表示中のWebページ03上でのマウスポインタの移動位置と、仮想Webページ06上でのマウスポインタの移動位置の同期制御を行うことで、Webページ02でのマウスポインタ操作を支援する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ装置の表示画面におけるマウスやトラックボールあるいはタッチパッド(トラックパッドとも言う)等のポインティングデバイスを用いた操作技術に係り、特に、視覚障害者に対するWebブラウザの操作性を向上させるのに好適な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ装置において、例えば、インターネットやイントラネットでブラウザシステムを使用してWeb情報を照会する場合、一般には、画面に表示されているハイパーリンクを、例えばマウスやトラックボールあるいはタッチパッド等のポインティングデバイスを操作して辿ることにより、ページ繰り等の操作を行う。
【0003】
インターネット上には多くの検索サイトが存在するが、例えば、これらは晴眼者向けであり、視覚障害者、特に全盲者は、上述のようなポインティングデバイス操作が困難であり、検索サイトを利用することが困難である。
【0004】
このような問題を解決する従来技術として、例えば、スクリーンリーダーと呼ばれるユーティリティ・ソフトがある。しかし、このスクリーンリーダーでは、ページを要約してリンク情報を抽出し、単にそれを読上げる機能を提供するものである。
【0005】
また、最初から視覚障害者向けに作成されたホームページ(Webページ)またはそれを閲覧するブラウザも存在するが、特定の提供者が、特定の目的の情報を、特定の対象者へ提供するために作成されたものであり、膨大な情報量と極めて高機能な検索機能を持つ一般の検索サイトを閲覧、利用できるものではない。
【0006】
また、前述のスクリーンリーダーやその他のユーティリティ・ソフトでは、特に全盲者に対して、Webページ上のタブが移動可能な部分の読上げを行うものであり、リンク間に存在する様々な文字や画像情報を選択、指示できない限り、その部分を読み取ることはできないという問題もある。
【0007】
また、特許文献1に記載のように、サイドメニューをホームページ提供者が別途作成しておき、ブラウザの別ウィンドウに視覚障害者用の操作メニューを付加表示させ、これを読上げることにより閲覧を可能にする技術がある。
【0008】
しかし、この技術も、一般検索サイトをそのまま閲覧するわけではなく、あくまでも専用ページでのホームページの構造上の仕組みである。また、同じ技術を一般の検索サイトに適用することはできない。
【0009】
また、前述の要約や主要トピックを事前に取得して読上げる技術も、そのユーティリティが解読したものの要約であり、一般検索サイト上にある、その他の豊富なテキスト情報を全て網羅できるものではない。
【0010】
また、従来技術の多くは、操作に不慣れな高齢者や初心者や幼齢者、弱視者あるいは全盲者、肢体不自由者が、Webを検索したり、リンクを選択することに対する補助であり、全盲者であってもページ上を自由に移動して直接読上げ箇所を指示することにより、閲覧したり、リンクを選択できるようにするという観点からは不十分である。
【0011】
このように、従来の技術では、視覚障害者向けに作成されていない一般のインターネット上のホームページを、視覚障害者が閲覧することは下記の理由により不可能である。
【0012】
(1)ハイパーリンクやボタンをマウス等のポインティングデバイスでクリックするため、操作は視覚に頼らざるを得ない。
(2)文字情報が主体で、音声による読み上げ機能を持つホームページはほとんどない。
(3)現在ブラウザ上に何が表示され、検索サイトでは何処に検索文字を入力すべきか判断できない。
(4)読み上げを指示する場合も何処に文字があり、どの範囲を読み上げさせるかの範囲選択ができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、従来の技術では、例えば、マウス等のポインティングデバイスの操作に不慣れな高齢者や初心者や幼齢者、弱視者あるいは全盲者、肢体不自由者は、Web検索等の操作を、晴眼者と同ように、自由に行うことができない点である。
【0014】
本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、Web検索サイトに代表される、コンピュータ装置における表示画面上でのマウス等のポインティングデバイスの操作によって閲覧箇所の指示を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明では、画面表示されているWebページを読み込み、ソースを解析して、同じ内容の仮想Webページをメモリ上に生成し、表示されているWebページ上のハイパーリンク(主にURL:Uniform Resorce Locator)の位置を、仮想Webページ上で位置情報として捉え、この位置情報に基づき、常に、Weページ上のマウスポインタ(マウスカーソルともいう)の移動を追跡しながら、仮想Webページでの位置情報と比較し、当該仮想Webページにおける位置情報を参照することで、現在のマウスポインタのWebページ上の位置を特定し、音声等で通知する。これにより、晴眼者向けの一般検索サイトであっても、全盲者があたかも視線を動かすようにマウスポインタを移動して、閲覧箇所を指示することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、全盲者を含む視覚障害者でも、晴眼者同ように、マウス等のポインティングデバイスの操作を基に一般検索サイトの閲覧および利用が可能となり、コンピュータ装置における表示画面上でのマウス等のポインティングデバイスの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るポインティングデバイス操作支援システムを設けたコンピュータネットワークシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるマウスポインタ検出処理動作例を示す説明図である。
【図3】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるマウスポインタ移動検出処理動作例を示す説明図である。
【図4】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによる仮想Webページの構成例を示す説明図である。
【図5】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるマウスポインタ移動検出動作の具体例を示す説明図である。
【図6】図5におけるポインティングデバイス操作支援システムによるマウスポインタ移動検出動作の詳細例を示す説明図である。
【図7】本発明に係るポインティングデバイス操作支援システムの構成例を示すブロック図である。
【図8】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第1の処理動作例を示すフローチャートである。
【図9】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第2の処理動作例を示すフローチャートである。
【図10】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第3の処理動作例を示すフローチャートである。
【図11】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第4の処理動作例を示すフローチャートである。
【図12】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第5の処理動作例を示すフローチャートである。
【図13】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第6の処理動作例を示すフローチャートである。
【図14】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第7の処理動作例を示すフローチャートである。
【図15】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第8の処理動作例を示すフローチャートである。
【図16】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第9の処理動作例を示すフローチャートである。
【図17】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第10の処理動作例を示すフローチャートである。
【図18】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第11の処理動作例を示すフローチャートである。
【図19】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第12の処理動作例を示すフローチャートである。
【図20】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第13の処理動作例を示すフローチャートである。
【図21】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第14の処理動作例を示すフローチャートである。
【図22】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第15の処理動作例を示すフローチャートである。
【図23】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第16の処理動作例を示すフローチャートである。
【図24】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第17の処理動作例を示すフローチャートである。
【図25】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムの本発明に係る第18の処理動作例を示すフローチャートである。
【図26】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムが用いるブラウザナビゲータの構成例を示す説明図である。
【図27】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるマウスポインタの移動軌跡の検出処理動作例を示す説明図である。
【図28】ブラウザによるハイパーリンク(URL)の検知動作例を示す説明図である。
【図29】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるキーワード検索処理に係る第1の動作例を示す説明図である。
【図30】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるキーワード検索処理に係る第2の動作例を示す説明図である。
【図31】図1におけるポインティングデバイス操作支援システムによるキーワード検索処理に係る第3の動作例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を用いて本発明を実施するための形態例を説明する。図1において、01はインターネット、02はブラウザ、03はブラウザ02により表示装置の画面上に表示されたWebページ、04は本発明に係るポインティングデバイス操作支援システム、05はポインティングデバイス操作支援システム04がデータの入出力に用いる記憶装置としてのデータベース、06はポインティングデバイス操作支援システム04がメモリ上生成した仮想Webページである。
【0019】
ブラウザ02とポインティングデバイス操作支援システム04は同じコンピュータ装置内で構成され、コンピュータ装置を構成するCPU(Central Processing Unit)が、それぞれメインメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実装される。
【0020】
本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、表示装置の画面にブラウザ02が表示しているWebページ03に対するポインティングデバイスの操作を、プログラムされたコンピュータ処理により支援する機能を有し、プログラムされたコンピュータ処理を実行する機能として、図示していない仮想Webページ構築機能とハイパーリンク取得機能およびマウスポインタ位置特定機能を有し、仮想Webページ構築機能により、表示中のWebページ03のソース解析を行い、当該Webページ03を一部とする同じ内容(アクセス履歴、ブックマークを含む)の全体像の仮想Webページ06を生成してデータベース05およびメインメモリに格納し、ハイパーリンク取得機能により、表示中のWebページ03上で移動するマウスポインタ(図中、「→」で示す)が当該Webページ03のハイパーリンク(以下、単に「リンク」とも言う)上に来ると、このハイパーリンクに対するブラウザ02による検知情報に基づき、仮想Webページ06における同じハイパーリンクを特定し、マウスポインタ位置特定機能は、ハイパーリンク取得機能で特定したハイパーリンクを用いて、表示中のWebページ03上でのマウスポインタ(→)の移動位置と、仮想Webページ06上でのマウスポインタの移動位置(→)との同期制御を行うことで、Webページ02でのマウスポインタ操作を支援する。
【0021】
例えば、ブラウザ02は、図28で示すように、Webページ上のマウスポインタが位置する箇所のリンク(「おもしろ動画」)に対応したURL(「http://www.・・・」)を表示している。すなわち、ブラウザ02は、マウスポインタ下の各リンクのURLを検知して表示する機能を有しており、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、マウスポインタ下のハイパーリンクに対してブラウザ02が検知したURLと同じURLを、仮想Webページ06において検索して読み出すことで、表示中のWebページ03上でのマウスポインタ(→)の移動位置と、仮想Webページ06上でのマウスポインタの移動位置(→)の同定制御を行う。
【0022】
尚、ポインティングデバイス操作支援システム04のハイパーリンク取得機能では、ハイパーリンクに対するブラウザ02による検知情報に基づき特定する仮想Webページ06における同じハイパーリンクが複数ある場合、当該ハイパーリンクの前もしくは後の少なくともいずれか一方で特定したハイパーリンクとの位置関係が近いものを選択することで、Webページ02でのマウスポインタ位置の認識操作を支援する。
【0023】
また、マウスポインタ位置特定機能には、グラフィック座標を基にした軌跡情報生成機能が含まれ、この軌跡情報生成機能においては、マウスポインタ(→)が表示中のWebページ03上で複数のハイパーリンクを順次に経由して移動するのに伴い、ハイパーリンク取得機能が仮想Webページ06における当該複数のハイパーリンクを順次に特定する結果に基づき、当該仮想Webページ06におけるマウスポインタの移動跡を示す軌跡情報を生成することで、Webページ02でのマウスポインタ移動の認識操作を支援する。
【0024】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、第1の読み上げ機能を具備し、この第1の読み上げ機能により、ハイパーリンク取得機能で特定したハイパーリンクに関しての情報と、軌跡情報生成機能で生成した軌跡情報との、少なくともいずれかを音声出力することで、Webページ02でのマウスポインタ移動の認識操作を支援する。尚、ハイパーリンク取得機能で特定したハイパーリンクに関しての情報としては、ハイパーリンクのURLそのものも含まれ、また、軌跡情報生成機能で生成した軌跡情報としては、ブラウザの表示域外にマウスポインタが出てしまった場合の情報も含まれる。
【0025】
また、この第1の読み上げ機能は、ハイパーリンク取得機能で特定したハイパーリンクに予め定められた範囲内で仮想Webページに存在する情報を読み出して音声出力することで、Webページ02でのマウスポインタ操作を支援する。
【0026】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、アドオン機能を有し、このアドオン機能により、ブラウザ02に、Webページ03上および仮想Webページ06上の予め定められた位置にナビゲータメニューを表示させる。そして、このナビゲータメニュー上にマウスポインタが置かれると、ポインティングデバイス操作支援システム04を起動することで、Webページ02でのマウスポインタ操作を支援する。
【0027】
ナビゲータメニューは、例えば、図26に示すように、ブラウザ02を起動するための起動メニューと、当該ブラウザに対する上スクロールメニューと下スクロールメニュー、戻るメニュー、お気に入りメニュー、検索キーワードメニューを少なくとも含み、表示装置の画面上の予め定められた位置、例えば画面左上に表示され、アドオン機能により、マウスポインタ(→)下にある当該メニューの機能を音声出力することで、Webページ02での操作を支援する。
【0028】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、操作履歴管理機能と第2の読み上げ機能および仮想Webページ操作機能を有し、操作履歴管理機能により、Webページ02でのリンク選択操作とページ更新操作を含むマウスポインタ操作に伴う仮想Webページ06でのマウスポインタ操作の履歴をデータベース05に蓄積し、第2の読み上げ機能は、操作履歴管理機能でデータベース05に蓄積したマウスポインタ操作履歴情報を読み出して音声出力し、仮想Webページ操作機能は、第2の読み上げ機能の音声出力に応じて入力装置を介して入力される、リンク選択操作とページ更新操作を含むマウスポインタ操作指示情報に対応して、仮想Webページ06およびWebページ02でのマウスポインタ操作を実行することで、Webページ02でのマウスポインタ操作を支援する。これにより、例えば、Webページ02でのマウスポインタ操作に伴う仮想Webページ06での情報の音声出力(読み上げ)と読み上げ時のマウスポインタの位置の履歴を、正順または逆順に再生することができる。
【0029】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、表示機能を有し、この表示機能により、例えばLCD表示装置等の画面上に、仮想Webページ06の全体を俯瞰表示もしくはサムネイル表示することで、Webページ02の認識動作に係る操作を支援する。
【0030】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、コンテキスト情報蓄積機能を有し、このコンテキスト情報蓄積機能により、Webページ02における画像データを含む、読上げできないオブジェクトに対するコンテキスト情報をソース解析して読み込み、当該オブジェクトに対応付けてデータベース05に蓄積し、マウスポインタ位置特定機能の同期制御により、マウスポインタの移動位置にあるオブジェクトを特定し、特定したオブジェクトに対するコンテキスト情報を読み出して音声出力することで、コンテキスト情報の認識操作を支援する。
【0031】
また、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、キーワード制御機能を具備し、このキーワード制御機能は、Webページ02のソース解析により、当該Webページ02に対応する仮想Webページ06における検索キーワードの入力ボックスを特定し、キーボードや音声認識装置等の入力装置から入力されたキーワードを、特定した仮想Webページ06における入力ボックス、および、対応するWebページ02における入力ボックスに入力することで、キーワードの入力操作を支援する。
【0032】
図2および図3においては、ポインティングデバイス操作支援システム04の、ハイパーリンク取得機能とマウスポインタ位置特定機能および軌跡情報生成機能による本発明に係る処理動作例を示している。
【0033】
例えば、図2において、マウスポインタが点線矢印の経路で移動した時、Webページの「サイト内リンクA」→「画像リンク1」→「他サイトリンク」上を通過するので、メモリ上に構築された仮想Webページ上のオブジェクトの位置情報と比較することにより、現在、マウスポインタが「フレーム2」のテキストの領域にあることを推測することできる。
【0034】
例えば、図3において示すように、従来技術により、Webページ02上のリンク選択をTABキーのみで順または逆順移動する場合、図3の二点差線矢印で示した様な順移動となる。しかも、フレーム内の順移動で、フレーム最終から次のフレーム先頭に移動するため、点線矢印で示す様な、いきなり「フレーム1」の「サイト内リンクA」から「フレーム2」の「他サイトリンク」に移動させることはできず、また、リンクや入力ボックス、ボタン等ではないため、TABキー移動されないテキスト表示部分(網掛けの領域)を選択することはできない。更に、このリンクが大量に存在するYahoo(登録商標)などの一般検索サイトでは、この順移動が一巡するには、不要なリンク、入力ボックス、ボタン上も経由して移動する必要があり、また、そのため膨大なTABキー移動操作が必要になる。
【0035】
図4においては、ブラウザ02が表示装置の画面上に表示しているWebページ02と、本例のポインティングデバイス操作支援システム04が生成した仮想Webページ06との関連を示しており、仮想Webページ06として、Webページ02の全体が生成されている。
【0036】
そして、図中の丸付き数字の1〜12で示される各フレームが相互に対応付けられており、Webページ02は、その一部分が表示装置の画面上に表示され、上スクロール操作により上部部分が画面上に表示され、下スクロール操作により下部部分が画面上に表示される。
【0037】
図5および図6においては、本例のポインティングデバイス操作支援システム04による、マウスポインタの移動軌跡を特定する同期制御動作の例を示しており、図5におけるブラウザが画面表示しているWebページ上での丸付き数字の1〜4(以下、丸付き1〜4と記載)に示されるマウスポインタの移動に対応して、ポインティングデバイス操作支援システム04が生成した仮想Webページ上で、マウスポインタの移動位置が順次に特定されている。
【0038】
すなわち、マウスポインタが、図5における丸付き1〜4の順にWebページ上で移動すると、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、仮想Webページ上で、四角で囲まれたA〜I(以下、四角A〜Iと記載)での、図6において示されている内容で、マウスポインタの位置の特定を行う。
【0039】
四角Aにおいては、マウスポインタ位置の特定動作を開始するが、仮想Webページでの前回のリンクの特定はされておらず、また、マウスポインタはWebページおよび仮想WebページのURL上に無く、URL情報も取得されず、現在のマウスポインタ位置も特定されていない。
【0040】
四角Bにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き1〜2となり、URL(・・・//www.b.j/・・・)上に来ており、このURL(・・・//www.b.j/・・・)と同じURLを仮想Webページから抽出し、このURLが存在する領域(四角B)の位置を取得して、当該マウスポインタの仮想Webページの現在位置(左上グラフィック座標:X1,Y1、 サイズ:W1×H1、 テキスト情報:リンクB、 URL:・・・//www.b.j/・・・)として特定する。
【0041】
四角Cにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き1〜2の途中で、URLの無い箇所に来ているが、前回のリンク位置としてリンクB領域上を記憶しており、仮想Webページ上でのマウスポインタ現在位置として、リンクBとテキストX領域の間として特定している。
【0042】
四角Dにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動で丸付き2の位置となり、URLの無い箇所に来ているが、前回のリンク位置としてリンクB領域上を記憶しており、仮想Webページ上でのマウスポインタ現在位置として、テキストX領域上(左上グラフィック座標:X2,Y2、 サイズ:W2×H2、 テキスト情報:テキストX、 URL:なし)として特定している。
【0043】
四角Eにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き2〜3の途中となり、URL(・・・//www.a.com/・・・)上であり、このURL(・・・//www.a.com/・・・)と同じURLを仮想Webページから抽出し、このURLが存在する領域(四角E)の位置を取得して、当該マウスポインタの仮想Webページの現在位置(左上グラフィック座標:X3,Y3、 サイズ:W3×H3、 テキスト情報:リンクA、 URL:・・・//www.a.com/・・・)として特定する。
【0044】
四角Fにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き3での折り返しであり、URLの無い箇所で、前回のリンク位置としてリンクA領域上を記憶し、仮想Webページ上でのマウスポインタ現在位置として、読み上げ可能領域外として特定している。
【0045】
四角Gにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き3〜4の途中となり、URLの無い箇所にあり、前回のリンク位置としてリンクA領域上を記憶しており、仮想Webページ上でのマウスポインタ現在位置として、テキストX領域上(左上グラフィック座標:X2,Y2、 サイズ:W2×H2、 テキスト情報:テキストX、 URL:なし)として特定している。
【0046】
四角Hにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き3〜4の途中となり、URL(・・・//www.c.net/img/c.gif・・・)上であり、このURL(・・・//www.c.net/img/c.gif・・・)と同じURLを仮想Webページから抽出し、このURLが存在する領域(四角H)の位置を取得して、当該マウスポインタの仮想Webページの現在位置(左上グラフィック座標:X4,Y4、 サイズ:W4×H4、 テキスト情報:コンテキスト、 URL:・・・//www.c.net/img/c.gif・・・)として特定する。
【0047】
四角Iにおいては、マウスポインタは、Webページ上での移動が丸付き4で停止し、URL(・・・//www.a.com/・・・)上であり、このURL(・・・//www.a.com/・・・)と同じURLを仮想Webページから抽出し、このURLが存在する領域(四角I)の位置を取得して、当該マウスポインタの仮想Webページの現在位置(左上グラフィック座標:X5,Y5、 サイズ:W5×H5、 テキスト情報:リンクA、 URL:・・・//www.a.com/・・・)として特定する。
【0048】
この四角Iにおいて特定されるマウスポインタの位置におけるURL(・・・//www.a.com/・・・)は、四角Eにおいて特定されたURL(・・・//www.a.com/・・・)と同じであるが、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、仮想Webページにおける前回のリンク位置(イメージC領域上)等の情報に基づき、この四角Iの位置にあるリンクA領域を特定する。すなわち、リンクA領域はWebページ上の位置Eと位置Iの2ヶ所に設けられているが、位置Iの仮想ページ前回リンク位置はイメージC領域上であり、そこからのグラフィック相対座標および移動方向、距離を追跡することにより、位置I側のリンクA領域上にあると判断する。
【0049】
このように、本例のポインティングデバイス操作支援システム04は、表示装置の画面上に表示されたWebページでのグラフィック座標と、仮想Webページの前回リンクURLの位置から仮想ページ上の相対位置を算出する。
【0050】
従って、仮想Webページは、それぞれのオブジェクトの相対位置関係とサイズの比率が正確に一致していれば、実際のWebページと完全な相似関係にある必要はない。図5においては、それを表すために、敢えて縦尺を縮小して図示している。また、図5に示す仮想Webページは、メモリ上の物理的な配置を意味するものではなく、論理的な配置である。
【0051】
図7においては、図1における本例のポインティングデバイス操作支援システム04の機能構成を示しており、機能1〜17を有し、機能1においては、仮想Webページの構築とデータベースに対するデータの保存と参照を行い、この機能1には、機能1a〜1dが含まれ、機能1aは、Webページのソース(html:HyperText Markup Language)の読み込みと解析を行い、機能1bは、機能aの解析結果に基づきメモリ上に仮想Webページを展開し、機能1cは、機能1bが生成した仮想Webページの情報をデータベースに保存すると共に履歴更新を行い、機能1dは、データベースから仮想Webページの情報および履歴、アクセス履歴等の情報を読み出す。
【0052】
機能2は、各機能を利用して利用者に対するナビゲート(案内)と操作指示を行い、機能3は、機能3a〜3cを含み、この機能3a〜3cにより、Webページと仮想Webページでのマウスポインタの位置の同期制御を行い追跡する。
【0053】
例えば、機能3aでは、マウスポインタの仮想Webページ上での相対位置を算出し、機能3bでは、マウスポインタがWebページのリンク上にある場合のURLを取得し、機能3cでは、マウスポインタが画像リンク上にある場合のURLを取得する。
【0054】
機能4〜7は、機能2からの指示に応じて各処理を実行するものであり、機能4はリンク先への移動、機能5はリンクの選択、機能6はブラウザの起動、機能7はブラウザの終了処理を行う。
【0055】
機能8と機能9は、機能2からの指示に応じて、Webページに対する検索キーワードの取得と設定、検索タグの実行を行い、機能10は、Webページの表示と仮想Webページの生成完了の音声案内を行う。
【0056】
機能11では、機能11a〜11dから入力される利用者からの操作指示情報を取得する。機能11aは音声認識、機能11bは打鍵検知、機能11cはクリック検知、機能11dはマウスポインタの追跡処理を実行する。
【0057】
機能12〜17は、機能2からの指示に応じて、種々の情報を出力する。機能12はマウスポインタ近傍のテキスト読み上げを実行し、機能13はリンク情報読み上げ、機能14は画像のコンテキスト情報読み上げ、機能15はリンク一覧の読み上げ、機能16はブックマーク一覧の読み上げ、機能17はアクセス一覧の読み上げ、の各処理を実行する。
【0058】
図8においては、ブラウザナビゲータの起動からWebページの表示完了までの処理手順を示しており、ブラウザナビゲータ起動(ステップ201)、Webブラウザ(全画面)起動(ステップS202)、ホームページURL取得(ステップ203)、Webページのロード(ステップ204)、Webページ(HTML)の解析(ステップ205)、Webページ上オブジェクト情報保存(ステップ206)、仮想ページ作成(ステップ207)、Webページの表示(ステップ208)、Webページの表示完了音声通知(ステップ209)の各ステップでの処理手順を含む。
【0059】
図9においては、ブラウザナビゲータの終了処理手順を示しており、ブラウザナビゲータの終了指示がキーボードや音声認識装置等の入力装置から入力されると(ステップ301)、Webブラウザの終了(ステップ302)とブラウザナビゲータ終了(ステップ303)の各ステップでの処理手順を含む。
【0060】
図10においては、図8のT1に対応するデータベースに関しての処理手順を示しており、データベース401aに対するデータベース情報更新(ステップ401)と、データベース401bからのデータベース情報読み出し(ステップ402)の各ステップでの処理手順を含む。
【0061】
図11においては、図8のU1に対応するオブジェクトに対する処理手順を示しており、オブジェクトをメモリ上の仮想Webページ501a上に展開する処理(ステップ501)、仮想Webページ501aからオブジェクト配置情報取得処理(ステップ502)の各ステップでの処理手順を含む。
【0062】
図12においては、図8のV1に対応するテキスト読み上げ処理手順を示しており、例えば、図8のステップ209でのWebページの表示完了を表す音声通知に対応するテキスト情報を、音声出力装置601aを介して読み上げる処理(ステップ601)手順を含む。
【0063】
図13においては、図12の処理とは逆の処理として、音声入力装置701aから入力された音声情報を聞き取る処理(ステップ701)手順を含む。
【0064】
図14においては、マウスポインタ追跡に関しての処理手順を示しており、Webページ上でのマウスポインタの移動に伴う(ステップ801)、画面上でのマウスポインタのグラフィック座標取得処理(ステップ802)、マウスポインタのハイパーリンク上での存在の判定処理(ステップ803)、存在した際の、Webページ上のマウスポインタ下リンクURL取得処理(ステップ804)、仮想Webページでの前回のリンク位置の照会処理(ステップ805)、リンク一覧より同リンクURLを読込む処理(ステップ806)、マウスポインタの相対位置の整合判定処理(ステップ807)、仮想Webページでの今回のマウスポインタの位置算出処理(ステップ808)、仮想Webページでの今回のマウスポインタの位置保存処理(ステップ809)と、ステップ803で存在しないと判定した際の、仮想Webページでの前回のリンクのURL位置照会処理(ステップ810)、Webページ前回リンクURLグラフィック座標照会処理(ステップ811)、仮想Webページでの今回のマウスポインタの位置算出処理(ステップ812)、仮想Webページでの今回のマウスポインタの位置保存処理(ステップ813)の各ステップでの処理手順を含む。
【0065】
図15においては、情報の読み上げ処理に関しての処理手順を示しており、読み上げ指示に伴う(ステップ901)、現在の仮想ページ上でのマウスポインタ位置照会処理(ステップ902)、現在の仮想Webページ上でのマウスポインタ位置判定処理(ステップ903)、マウスポインタがハイパーリンク領域にあると判定した際の、仮想ページのリンクに付随するテキスト取得処理(ステップ904)、仮想Webページのリンクに付随するテキストの音声読上げ処理(ステップ905)、ステップ903においてマウスポインタが読み上げ可能なテキストや画像領域にあると判定した際の、仮想Webページのテキスト・画像に付随するテキスト取得処理(ステップ906)、仮想Webページのテキスト・画像に付随するテキストの音声読上げ処理(ステップ907)、ステップ903においてマウスポインタが読み上げ可能領域外にあると判定した際の、読上げ可能領域外であることを通知する音声通知処理(ステップ908)の各ステップでの処理手順を含む。
【0066】
図16においては、操作指示のイベントが発生した際の処理に関しての処理手順を示しており、操作指示の入力に伴い(ステップ1001)、指示されたイベント内容の判定を行う処理(ステップ1002)手順を含む。指示イベントの内容に応じて、リンク順読上げ(B1)、ページ戻り(C1)、ページ進む(D1)、ページ更新(E1)、ホーム戻り(F1)、検索(G1)、ブックマーク読み上げ(H1)、ブックマーク登録(I1)、アクセス履歴読み上げ(J1)、指示中止(A4)の各ステップでの処理手順を実行する。
【0067】
図17においては、リンク読み上げに関しての処理手順を示しており、リンク一覧情報取得処理(ステップ1101)、リンク一覧よりのリンクURL順読込み処理(ステップ1102)、リンクに付随するテキストの取得処理(ステップ1103)、リンクに付随するテキストの読上げ処理(ステップ1104)、リンク一覧終了判定処理(ステップ1105)、操作指示割り込み有無判定処理(ステップ1106)、リンク一覧参照ポインタ保持処理(ステップ1107)、リンク一覧順読み出しへの切り替え処理(ステップ1108)、リンク一覧逆読み出しへの切り替え処理(ステップ1109)、URLへのリンク処理(ステップ1110)、リンク情報の一括読上げ終了音声通知処理(ステップ1111)の各ステップでの処理手順を含む。
【0068】
図18においては、「ページ戻る」に関しての処理手順を示しており、前ページの履歴情報の取得処理(ステップ1201)、前ページの履歴情報の有無の判定処理(ステップ1202)、戻る操作の不可音声通知処理(ステップ1203)、前ページの履歴情報より仮想ページを作成する処理(ステップ1204)、ページ戻る処理(ステップ1205)の各ステップでの処理手順を含む。
【0069】
図19においては、「ページ進む」に関しての処理手順を示しており、次ページの履歴情報の取得処理(ステップ1301)、次ページの履歴情報の有無判定処理(ステップ1302)、進む操作の不可音声通知処理(ステップ1303)、次ページの履歴情報を用いた仮想ページ作成処理(ステップ1304)、ページ進む処理(ステップ1305)の各ステップでの処理手順を含む。
【0070】
図20においては、「ページ更新」に関しての処理手順を示しており、図10での処理で読み出される情報としての「現ページURL情報」を取得する処理(ステップ1401)からなる。
【0071】
図21においては、「ホームページに戻る」に関しての処理手順を示しており、例えば図16での処理で判定した指示イベントが「ホーム戻る」であった際に、図8でのWebブラウザ起動処理(ステップ202)からホームページURL取得処理(ステップ203)に移る際の処理に呼び出される。
【0072】
図22においては、「検索」操作に関しての処理手順を示しており、例えば図16での処理で判定した指示イベントが「検索」であった際、例えば音声で入力された検索キーワードを取得する処理(ステップ1601)、検索ボックスの値としてキーワードを設定する処理(ステップ1602)、検索エンジン1603aに対して検索HTMLを実行する処理(ステップ1603)の各ステップでの処理手順を含む。
【0073】
図23においては、「ブックマーク読み上げ」に関しての処理手順を示しており、例えば図16での処理で判定した指示イベントが「ブックマーク読み上げ」であった際の処理であり、ブックマーク一覧情報取得処理(ステップ1701)、ブックマーク一覧よりのブックマーク順読込み処理(ステップ1702)、ブックマークに付随するテキストの取得処理(ステップ1703)、ブックマークに付随するテキストの読上げ処理(ステップ1704)、ブックマーク一覧終了判定処理(ステップ1705)、ブックマーク情報の一括読上げ終了の音声通知処理(ステップ1706)、操作指示の割り込み有無の判定処理(ステップ1707)、判定処理結果に伴う、ブックマーク一覧参照ポインタ保持処理(ステップ1708)、ブックマーク一覧順読み出しへの切り替え処理(ステップ1709)、ブックマーク一覧逆読み出しへの切り替え処理(ステップ1710)、ブックマークURLへのリンク処理(ステップ1711)の各ステップでの処理手順を含む。
【0074】
図24においては、「ブックマーク登録」に関しての処理手順を示しており、例えば図16での処理で判定した指示イベントが「ブックマーク登録」であった際の処理であり、ブックマーク登録指示の入力処理(ステップ1801)に伴う、現在WebページURLのブックマーク参照処理(ステップ1802)、ブックマークの既登録判定処理(ステップ1803)、ブックマーク情報の保存処理(ステップ1804)、ブックマーク情報の保存完了の音声通知処理(ステップ1805)、ブックマーク情報の登録済み音声通知処理(ステップ1806)の各ステップでの処理手順を含む。
【0075】
図25においては、「アクセス履歴読み上げ」に関しての処理手順を示しており、例えば図16での処理で判定した指示イベントが「アクセス履歴読み上げ」であった際の処理であり、アクセス履歴の一覧情報の取得処理(ステップ1901)、アクセス履歴一覧からの履歴順読込み処理(ステップ1902)、アクセス履歴に付随するテキストの取得処理(ステップ1903)、アクセス履歴に付随するテキストの読上げ処理(ステップ1904)、アクセス履歴の一覧終了判定処理(ステップ1905)、アクセス履歴情報の一括読上げ終了の音声通知処理(ステップ1906)、操作指示割り込み有無判定処理(ステップ1907)、アクセス履歴一覧の参照ポインタ保持処理(ステップ1908)、アクセス履歴一覧の順読み出しへの切り替え処理(ステップ1909)、アクセス履歴一覧の逆読み出しへの切り替え処理(ステップ1910)、アクセス履歴URLへのリンク処理(ステップ1911)の各ステップでの処理手順を含む。
【0076】
図26においては、ナビゲータメニューの構成例を示しており、ブラウザの起動メニューと、当該ブラウザに対する上スクロールメニューと下スクロールメニュー、戻るメニュー、お気に入りメニュー、検索キーワードメニューを少なくとも含み、画面の定位置、例えば画面左上に表示される。
【0077】
図27においては、仮想Webページの生成動作に係る手順に関して示しており、Webページ2101のロードとHTMLの解析を行い、その解析結果をデータベース2102に保存すると共に、解析結果であるリンクをマッピングすることで仮想Webページ(リンク仮想マップ)2103を生成する。
【0078】
例えば、Webページ2101における、文章とその範囲、ボタン、ハイパーリンク、画像名などの情報と、画面に表示される位置などを解析して、データベース2102として保存する。
【0079】
また、一般検索サイト上のマウスポインタ(マウスマウスポインタ)のトラッキングでは、例えばマウスマウスポインタが、Webページ2101における(A)から(B)に移動したとき、リンク丸付き3,7,10の上を通過するので、マウスマウスポインタが重なったURLを、それぞれ、「Yahooサービス,[左フレーム1],[r/lst]」(リンク丸付き3)、「国民年金の・・・,[f/topics/top/・・・]」(リンク丸付き7)、「初めての映画館,[picup.gif]」(リンク丸付き10)として取得することができる。
【0080】
このように、マウスマウスポインタの位置とリンクマップを関連付けてトラッキングすることにより、現在マウスのマウスポインタが検索画面上のどこにあるかを推測することが可能である。
【0081】
図28においては、一般的なブラウザによる、Webページ上のマウスポインタが位置する箇所のリンク(「おもしろ動画」)に対応したURL(「http://www.・・・」)を検知して表示する動作例を示しており、このように、一般的なブラウザは、マウスポインタ下の各リンクのURLを検知して表示する機能を有しており、本例のポインティングデバイス操作支援システムは、マウスポインタ下のハイパーリンクに対してブラウザが検知したURLと同じURLを、仮想Webページにおいて検索して読み出すことで、表示中のWebページ上でのマウスポインタの移動位置と、仮想Webページ上でのマウスポインタの移動位置の同定制御を行うことができる。
【0082】
図29においては、本例のポインティングデバイス操作支援システムによる検索キーワードの入力と、検索結果の表示処理を実行するためのコンピュータ処理システムの構成例を示しており、検索キーワードの入力ボックスに対して、キーボードやソフトウェアキーボード、音声入力処理装置などから、「季節 梅雨明け 予想」とのキーワードが入力され、「検索」ボタンが押下されると、キーワードDB検索の処理を実行して、キーワードデータベースから当該検索結果を抽出して、例えばスピーカー等を介して出力する。
【0083】
図30においては、図29に示すシステムによる処理で用いられるWebページの検索動作に係る箇所のソースを示しており、「検索キーワード設定」箇所において、検索キーワードの値「value」として「季節 梅雨明け 予想」が記述されている。
【0084】
図31においては、図29に示すシステムによるキーワード検索処理結果を示しており、Webページにおける検索キーワードの入力ボックスには「季節 梅雨明け 予想」が設定されており、この検索キーワードに対応した検索結果が、ウェブ検索結果として表示されている。
【0085】
以上、図1〜図31を用いて説明したように、本例では、例えば、アドオン・ソフトとして開発されたブラウザナビゲータを、インターネット・ブラウザにアドオンしておき、このブラウザナビゲータソフトにより、ブラウザ起動、ブラウザ操作ボタンを含むナビゲータメニューを画面の左上角など、常に一定の位置に配置する。
【0086】
このナビゲータメニューは、そのメニュー項目上をマウスマウスポインタが通過すると、それぞれ機能を読み上げる機能を持ち、マウスや音声によりナビゲータメニューからブラウザを起動すると、ロードされたWebページにおけるHTML文書を読み取り、HTMLに従ってタグや、文章とその範囲、ボタン、ハイパーリンク、画像名などの情報と、画面に表示される位置などを解析して、データベースとして保存する。
【0087】
また、Webページのロードが終わり、HTML情報の取得や解析が完了すると、ナビゲータメニューは、ロード完了とページのタイトルを音声案内する。
【0088】
そして、本例のポインティングデバイス操作支援システムは、ホームページ(Webページ)上をマウスマウスポインタが移動し、ハイパーリンクやボタン等の上を通過した時に得られるURLを参照して、マウスポインタが、ホームページの何処を移動しているかをモニターする。設定または操作次第で随時読み上げさせることもできる。
【0089】
さらに、マウスマウスポインタが停止した地点付近の文章を含む範囲を、特定のキー操作で読み上げる機能を持ち、また、ブラウザの操作や入力に影響を及ぼさないその他のキー押下で、前後左右の範囲の文章の読み上げも行う。
【0090】
代表的な検索サイトでは、検索キーワードの入力ボックスはHTMLから予め分かるので、本例のポインティングデバイス操作支援システムは、別途起動された入力パネルに入力されたキーワードを読み上げて、検索ボックスの機能を代行する。この入力パネルへの入力は、キーボードやソフトウェアキーボード、音声などが可能である。
【0091】
また、お気に入り登録やインターネットオプションのホームページの設定、セキュリティレベルなどの操作も可能であり、さらに、コンテンツ提供者がHTMLに、規定に則ったコメントやタグを挿入することにより、ナビゲータの精度を更に向上させることもできる。
【0092】
これにより、下記理由による従来の「視覚障害者向けに作成されていない一般のインターネット・ホームページを視覚障害者が閲覧することは不可能である」との問題点を解消することができる。
(1)ハイパーリンクやボタンをマウスでクリックするため、操作は視覚に頼らざるを得ない。
(2)文字情報が主体で、音声による読み上げ機能を持つホームページはほとんどない。
(3)現在、ブラウザ上に何が表示され、検索サイトでは何処に検索文字を入力すべきか判断できない。
(4)読み上げを指示する場合も、何処に文字があり、どの範囲を読み上げさせるかの範囲選択ができない。
【0093】
尚、本発明は、図1〜図31を用いて説明した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、本例では、主に、視覚障害者向けの操作支援を目的に説明しているが、仮想Webページ全体を、表示装置の画面上に、俯瞰表示もしくはサムネイル表示することにより、Webページの全体像の把握が容易となり、高齢者や幼齢者など操作に不慣れな人のみならず一般者の利用者も、一般検索サイトを容易に閲覧できるように操作を誘導(ナビゲート)することができる。
【0094】
このように、本例では、Webページ内のリンクの位置を基準として仮想Webページの位置情報と比較することにより、マウスポインタのページ上の位置を特定するので、Webページ上のマウスポインタの位置から導いた仮想Webページ上の位置で、その近傍にある文章の領域も特定可能となり、一般の検索サイトなどのように、豊富なリンクやテキスト情報を含むWebページでも適用できる。むしろ、大量のリンクが存在するほど動作の精度が上がる。
【0095】
また、ページ更新、リンク選択の都度、データベースに保存、履歴管理をすることにより、「戻る」、「進む」の操作で発生するキャッシュの表示に対する問題を解決する機能を実現することや、アクセス履歴の参照や、ブックマーク選択、登録などの操作も容易になる。
【0096】
また、マウスポインタの追跡、位置特定機能により、Webページ上の対象位置の指示を、キー操作ではなく、マウス操作のみで可能となる。
【0097】
また、Webページのソースを解析し、仮想ページとして事前に全体像をメモリ中に構築するので、そのイメージをサムネイル化して別表示して、実際の表示項目と連携させることも可能である。
【0098】
また、仮想Webページを構築する際に、画像データなどの読上げ不可能なオブジェクトに対しても、HTMLソース中にコンテキスト情報が記入されていれば、合わせて仮想Web情報として取り出し関連付けて記憶することができる。
【0099】
これにより、高齢者や幼齢者など操作に不慣れな人、肢体不自由者、全盲者を含む視覚障害者も一般検索サイトを一般利用者と同ように閲覧できるように操作を誘導(ナビゲート)することができる。
【0100】
また、マウスポインタの位置より、関連する案内や操作ガイダンスを音声通知したり表示したり、ページ全体の俯瞰イメージをサムネイルなどで別表示しておき、これをクリックしてスクロール操作なしに目的の箇所に直接移動するなど、一般者が利用する上での付加機能も提供できる。
【0101】
また、イントラネットの社内ポータルやEラーニング、幼児の読み書きの学習にも応用可能である。
【0102】
また、本例では、表示するHTMLを動的に解析してWebページに対する操作をナビゲートするので、従来のWebページに、そのまま適用可能であり、また、HTMLソース中のリンク情報を事前に取得して一覧を一括参照可能とすることにより、要約ページを別途用意する必要はない。
【0103】
これにより、ページ提供側は、視覚障害者向けのページや要約ページなどを別途作成する必要はない。
【0104】
また、本例では、Webページ上のマウスポインタの追跡と位置特定機能を、他の既存ソフトと組み合わせて利用することが容易にでき、かつ、HTMLを解析して仮想Webページを構築したり、マウスポインタと重なったリンクのURLを取得したり、「戻る」、「進む」、「更新」等の操作などと密接に連携して動き、ブラウザの一部機能としての実装に適している。
【0105】
例えば、マウスポインタの位置特定と近傍テキスト情報の取得機能を、既存のスクリーンリーダーや、その他の読上げユーティリティと組み合わせることにより、更に簡便で自由度の高い操作環境を提供できる。
【0106】
また、例えば、マイクロソフト社のInternet Explorer(登録商標)やGoogle社のCrome(登録商標)、Apple社のSafari(登録商標)などのブラウザの機能の一部またはアドオン機能として組み込むことにより、全盲者も含むバリアフリーで高機能なブラウザを提供することができる。
【0107】
尚、本例のコンピュータ構成例に関しては、キーボードや光ディスクの駆動装置の無いコンピュータ構成としても良く、また、プログラムを記憶する記録媒体としては、光ディスクやFD(Flexible Disk)等を用いることができ、また、プログラムのインストールに関しても、通信装置を介してネットワーク経由でプログラムをダウンロードしてインストールすることでも良い。
【0108】
また、本例では、ポインティングデバイスとして、マウスを例に説明しているが、トラックボールあるいはタッチパッド(トラックパッド)等をポインティングデバイスとして用いることでも良い。
【符号の説明】
【0109】
01:インターネット、02:ブラウザ、03:Webページ、04:ポインティングデバイス操作支援システム、05:データベース、06:仮想Webページ、1〜17,1a〜1d,3a〜3c,11a〜11d:機能(プログラムされたコンピュータ処理機能)、2101:Webページ、2102:データベース、2103:リンク仮想マップ(仮想Webページ)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2002−288071号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の画面にブラウザが表示しているWebページに対するポインティングデバイスの操作を、プログラムされたコンピュータ処理により支援するポインティングデバイス操作支援システムであって、
プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、
表示中のWebページのソース解析を行い、当該Webページと同じ内容の仮想Webページを生成して記憶装置に格納する仮想Webページ構築手段と、
前記表示中のWebページ上で移動するマウスポインタが当該Webページのハイパーリンク上に来ると、該ハイパーリンクに対する前記ブラウザによる検知情報に基づき、前記仮想Webページにおける同じハイパーリンクを特定するハイパーリンク取得手段と、
該ハイパーリンク取得手段が特定したハイパーリンクを用いて、前記表示中のWebページ上での前記マウスポインタの移動位置および方向と、前記仮想Webページ上での前記マウスポインタの移動位置および方向の同期制御を行うマウスポインタ位置特定手段と
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記ハイパーリンク取得手段は、
前記ハイパーリンクに対する前記ブラウザによる検知情報に基づき、対応する前記仮想Webページにおける同じハイパーリンクが複数ある場合、
当該ハイパーリンクの前もしくは後の少なくともいずれか一方で特定したハイパーリンクとの位置関係が近いものを選択する
ことを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項3】
請求項1もしくは請求項2のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記マウスポインタ位置特定手段は、
前記マウスポインタが前記表示中のWebページ上で複数のハイパーリンクを順次に経由して移動するのに伴い、前記ハイパーリンク取得手段が前記仮想Webページにおける当該複数のハイパーリンクを順次に特定する結果に基づき、
当該仮想Webページにおける前記マウスポインタの移動跡を示す軌跡情報を生成する軌跡情報生成手段
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記ハイパーリンク取得手段が特定するハイパーリンクに関しての情報と、
前記軌跡情報生成手段が生成する軌跡情報との、少なくともいずれかを音声出力する第1の読み上げ手段
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記第1の読み上げ手段は、
前記ハイパーリンク取得手段が特定するハイパーリンクに、予め定められた範囲内で前記仮想Webページに存在するハイパーリンクに関する文字情報を読み出して音声出力する
ことを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記ブラウザにアドオンして、前記Webページ上および前記仮想Webページ上の予め定められた位置に、該ポインティングデバイス操作支援システムを起動させるナビゲータメニューを表示させるアドオン手段
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記ナビゲータメニューは、
前記ポインティングデバイス操作支援システムの起動メニューと、前記Webページに対する上スクロールメニューと下スクロールメニュー、戻るメニュー、お気に入りメニュー、検索キーワードメニューを少なくとも含み、
前記アドオン手段は、マウスポインタ下にある当該メニューの機能を音声出力する
ことを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記Webページでのリンク選択操作とページ更新操作を含むマウスポインタ操作に伴う前記仮想Webページでのマウスポインタ操作の履歴を記憶装置に蓄積する操作履歴管理手段と、
該操作履歴管理手段が記憶装置に蓄積したマウスポインタ操作履歴情報を読み出し、音声出力する第2の読み上げ手段と、
該第2の読み上げ手段の音声出力に応じて入力装置を介して入力される、リンク選択操作とページ更新操作を含むマウスポインタ操作指示情報に対応して、前記仮想Webページおよび前記Webページでのマウスポインタ操作を実行する仮想Webページ操作手段と
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記仮想Webページ全体を、表示装置の画面上に、俯瞰表示もしくはサムネイル表示する表示手段
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記Webページにおける画像データを含む、
前記ハイパーリンク取得手段が読上げる事ができないオブジェクトに対するコンテキスト情報をソース解析して読み込み、前記仮想Webページにおける当該オブジェクトに対応付けて記憶装置に蓄積するコンテキスト情報蓄積手段
を有し、
前記マウスポインタ位置特定手段の同期制御により、前記マウスポインタの移動位置にあるオブジェクトを特定し、
該特定したオブジェクトに対するコンテキスト情報を読み出して音声出力する
ことを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムであって、
前記Webページのソース解析により、当該Webページに対応する前記仮想Webページにおける検索キーワードの入力ボックスを特定し、
入力装置から入力されたキーワードを特定した前記仮想Webページにおける入力ボックスおよび対応する前記Webページにおける入力ボックスに入力するキーワード制御手段
を有することを特徴とするポインティングデバイス操作支援システム。
【請求項12】
コンピュータを、請求項1から請求項11のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムにおける各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
プログラムされたコンピュータ処理を実行する手段として、請求項1から請求項11のいずれかに記載のポインティングデバイス操作支援システムにおける各手段を有し、
各手段によるコンピュータ処理により、表示装置の画面にブラウザが表示しているWebページに対するポインティングデバイスの操作を支援する
ことを特徴とするポインティングデバイス操作支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−212339(P2012−212339A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77970(P2011−77970)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(396017453)リコーITソリューションズ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】