説明

ポイント管理システム及びポイント管理方法

【課題】ICカード等によって、ユーザーに付与されたポイントを管理する際に、特定のポイント用カードを作成することなく、自由度の高いポイントサービスを提供可能とする。
【解決手段】ユーザーに対して付与されたポイントを管理するシステム及び方法であって、ICチップを有しユーザーが任意に選択したICカード11や携帯電話機12と、ICチップの製造時に付与されるICカード製造番号を取得するカードリーダ21と、ICカード11に対してポイントを発行するポイント発行手段としての店舗端末装置22と、ICカード製造番号とユーザーを特定するユーザー識別子とを関連づけて蓄積する管理データベース71と、管理データベース71において、ICカード製造番号により特定されたユーザーに対し、店舗端末装置22により発行されたポイントを追加するポイント管理サーバ群7,8とを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードやICタグ内蔵携帯電話等のような、ICチップを有する媒体手段を通じて、ユーザーに対し付与されたポイントを管理するポイント管理システム及びポイント管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストアや、ショッピングモールなどで、磁気カードやICカードをポイントカードとして用いたポイントサービスが実施されている。このポイントサービスは、消費者がコンビニエンスストアなどでショッピングをしたりサービスを受けたときにその金額に応じて発行されるポイントを各自の所持するポイントカードに基づいてデータを蓄積し、一定のポイントが貯まると景品と引き替えたり、あるいはいわゆるキャッシュバックと呼ばれるポイントを換金して代金の一部に充当するなどのサービスを実施し、これにより集客力及びリピート率を向上させることができる。
【0003】
このような従来のポイントサービスシステムでは、ポイントカード自体が店舗毎やに配布したり、コンビニエンスストア等のチェーン店のように、共通ポイントカードとして共通のポイントサービスに加盟している全ての店舗のポイントを区別せずに取り扱ったりしている。
【0004】
ところで、かかる従来のポイントサービスシステムでは、チェーン店や店舗毎に個別にポイントカードを発行する方法では、ユーザー側からみれば、ポイントカードの枚数が増加してその管理や携帯が不便となるという問題があった。
【0005】
この問題を解決する技術の一例として、特許文献1に開示されたポイントサービスシステムがある。この特許文献1に開示されたシステムでは、1枚のポイントカードで各店舗独自のポイントサービスを提供したり、店舗間のポイント精算相殺処理の手間を省いたり、取得したポイントを取得時点から一定期限有効にすることができたり、駐車場などの共有施設の利用や福引き抽選の権利の取得やその利用をポイントカードのサービスシステムのみで提供することが可能となる。
【0006】
上述した特許文献1に開示された技術によれば、1枚のポイント記憶媒体を用いたポイントカードのサービスシステムで、店舗別の特徴をもったポイントサービスや、リーズナブルな利用期限をもったポイントの発行や、ポイントによる商品購入とは別に共同施設の利用やキャンペーンサービスを行うことが可能であり、サービスを提供する店舗側とサービスを受ける消費者側の双方にとって満足のいく充実したサービスが可能となる。
【特許文献1】特開2002−41933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の手続きでは、ポイントサービスを受けるために、ユーザーは、会員登録などによって特定のポイントカードを作成する手続きを予め行わなければならず、その負担が大きく、さらには、カードを作成する前に行ったショッピングに対してはポイントを取得することができないなどの問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は以上の点に鑑みてなされたもので、ICカードやICタグ内蔵携帯電話等のような媒体手段を通じてユーザーに付与されたポイントを管理するにあたり、特定のポイント用カードを作成することなく、自由度の高いポイントサービスを提供可能とするポイント管理システム及びポイント管理方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザーに対して付与されたポイントを、通信ネットワークを通じて管理するシステム及び方法であって、ICチップを有しユーザーが任意に選択して使用する媒体手段と、ICチップの製造時に付与され当該ICチップを特定するICチップ識別子を、媒体手段を介して取得するリーダ手段と、媒体手段に対してポイントを発行するポイント発行手段と、通信ネットワーク上に設置され、ICチップ識別子と、該ICチップ識別子により特定される媒体手段に対して発行されたポイントとを関連づけて蓄積する管理データベースと、管理データベースにおいて、媒体手段に対して発行されたポイントと、当該媒体手段を使用するユーザーのユーザー識別子とを、当該媒体手段のICチップ識別子を介して関連づけるデータベース更新手段とを用いる。
【0010】
そして、このような本発明では、前記ICチップ識別子を、媒体手段を介して取得し、媒体手段に対してポイントを発行し、管理データベースにおいて、発行されたポイントと、当該媒体手段を使用するユーザーのユーザー識別子とを、当該媒体手段のICチップ識別子を介して関連づけて管理する。
【0011】
このような本発明によれば、ICチップの製造時に、各ICチップに固有、且つ物理的に固定されたICチップ識別子を、ユーザーの特定に用いるため、カードの種別や各サービス単位に発行されるカード番号、ユーザーIDに拘束されることなく、自由にポイントの発行及び管理を行うことができる。
【0012】
例えば、ICチップを有する媒体手段(カード、携帯電話機等)であれば、会員登録手続きの有無を問わず、その媒体手段に対してポイントを発行することができる。そして、事後的にユーザーが、ICチップ識別子を介し、既に発行済みのポイントと当該ユーザーとを関連づける手続きを行うことにより、異なる媒体手段に対して発行されたポイントを、事後的に統合して管理することができる。
【0013】
このとき、関連づけを行う媒体手段は、ICチップを内蔵するものであればよいことから、例えば、カードキーや定期券など、本来、決済手続きに関与しない種別であっても、ポイント蓄積に利用することができることとなる。さらに、ICチップ識別子は、通常、製造時に発行され、ICチップ本体に暗号化されることなく記録されることから、復号手段等の特別な機能を要することなく、その読み取りを行うことができ、従来の設備に大幅な改良を加えることなく、本発明を実施することができる。
【0014】
上記発明において、媒体手段には、ICチップ識別子とは別途に、当該媒体手段によって提供される他のサービス内でのみ有効な他サービス内識別子が記憶されており、他サービス内識別子を管理する他サービス管理手段に対して、ポイントを発行する旨を通知し、当該通知に応じたポイント発行を中止する要求がない場合に、ポイントの発行を実行することが好ましい。
【0015】
上記発明において、管理データベースでは、一つのユーザー識別子に対して複数の媒体手段が関連づけられており、これら複数の媒体手段のそれぞれに対応する他サービスに対して、通知を同報発信により行うことが好ましい。この通知は、各サービスに付与されたサービス識別子を通信ネットワーク上の所在アドレスとして送受信が可能としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、ICカードやICタグ内蔵携帯電話等のような、ICチップを有する媒体手段を通じてユーザーに付与されたポイントを管理する際に、ユーザーが所有する任意のICカードにポイントを関連づけることによって、特定のポイント用カードを作成することなく、自由度の高いポイントサービスを提供可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(ポイント管理システムの全体構成)
本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るポイント管理システムの概略構成を示す説明図である。本実施形態では、利用者1が加盟店2において買い物等を行い、その代金の決済に応じたポイントを発行する場合を例に説明する。
【0018】
本実施形態に係るシステムでは、利用者(ユーザー)1に対して付与されたポイントをICカード11等を通じて管理するものであり、加盟店2に設置された店舗端末装置22と、ネットワーク4上に設置され、ユーザーや店舗、カードを管理する各種管理データベース51,71,81と、これらの管理データベースに蓄積されるデータを追加・削除・変更等の更新を行うサーバ5,7及び8を備えている。
【0019】
管理データベース71は、会員となっているユーザーに関する情報(個人情報、ポイント数、利用履歴等)を蓄積する記憶装置であり、会員の個人情報やポイント情報を格納するための記憶領域として会員フォルダを有している。この会員フォルダでは、ICチップ識別子であるICカード製造番号を口座IDとするポイント口座が仮想的に構築されており、各口座は、特定のユーザーに関連づけられている。ポイントは、利用されたカードに対して発行され、ICカード製造番号を通じて、ユーザーに帰属することとなる。
【0020】
具体的に、会員フォルダでは、下表に示すように、ICカード製造番号と、ユーザーを特定するユーザーIDと、各ユーザー毎のポイントとが相互に関連づけられて蓄積されている。なお、本実施形態では、表1に示すように、一人のユーザーに対して複数のカードを関連づけることができる。また、会員フォルダでは、ユーザーが会員登録をすることなくカードを利用してポイントの発行を受けた場合には、ユーザー未登録の口座としてICカード製造番号とポイントの紐付けだけがなされている。そして、後日、ユーザーがICカード製造番号を提示して、会員登録の手続きを行って初めて、当該利用者に未登録のポイントが帰属することとなる。
【表1】

【0021】
ポイント管理サーバ群7は、管理データベース71に対してデータの読込、書込などを管理するサーバ群であり、専用回線やインターネット等の通信網を介して、店舗端末装置22と接続されている。そして、ポイント管理サーバ群7は、ポイントが発行されたり、消費されたりしたときに、ICカード製造番号により特定されたユーザーに関するポイント情報を更新する。
【0022】
管理データベース81は、加盟店となっている店舗に関する情報を蓄積する記憶装置であり、加盟店の情報や、ポイント代金などの情報を格納するための記憶領域として加盟店フォルダを有している。この加盟店フォルダでは、下表に示すように、加盟店を特定するための店舗契約番号と、発行または消費されたポイントと、決済されたポイント代金とが関連づけて蓄積されている。ポイント管理サーバ群8は、管理データベース81において、店舗契約番号により特定された加盟店に対して、発行または消費されたポイントを追加する。
【表2】

【0023】
利用者1は、ICカード11や、ICタグ内蔵の携帯電話機12等の媒体手段を有している。このICカード11としては、銀行キャッシュカードや、クレジットカードの他、ICタグによりデータの送受信及び記憶ができる機能を備えたカードキーや定期券、身分証明書が挙げられる。携帯電話機12としては、電子マネー決済機能や定期券機能を備えたものが考えられる。そして、利用者1は、これら複数のカード等の中から1枚または複数枚を自由に選択し、選択したカード等に共通のポイントを関連づけて蓄積することができる。
【0024】
具体的に、ICカード11や携帯電話機12は、図2に示すように、RFIDタグ等の無線ICタグを備えており、この無線ICタグは、演算処理を実行するカードCPU1aと、メモリ等のカード記憶部1bと、無線により非接触で通信を行う非接触通信部1cとから構成されている。そして、ICカード11は、カード記憶部1bによる電子マネーを蓄積する機能と、非接触通信部1cによる電子マネーの入出金を行う機能を備えている。このような無線ICタグとしては、電池等の電源を内蔵してRFタグから能動的に情報信号を発信する方式と、受信部側のアンテナから電磁波を出力し、この電磁波の出力に応じて誘導された電流により情報信号を発信する電磁波誘導方式とがある。
【0025】
また、ICカード11や携帯電話機12には、当該ICチップを特定するICカード製造番号(ICチップ識別子)が、ICチップの製造時に付与されており、カード記憶部1bに暗合されることなく物理的に固定され、且つ非接触通信部1cを介して読み取り可能に記録されている。また、ICカード11が、クレジットカードやキャッシュカードである場合、これらのICカード11等には、暗号化されたクレジット番号など、ICカード製造番号とは別途に、当該ICカードを通じて提供される他のサービス(クレジットサービス、ATMサービス、キャッシングサービスなど)内でのみ有効な他サービス内識別子が記憶されている。
【0026】
加盟店2には、店主等の管理者により管理される店舗端末装置22が設置されている。店舗端末装置22は、例えばレジスター装置であり、利用者1の利用代金を計算したり、金銭の管理をする機能に加えて、本発明に係るポイント発行機能を備えている。
【0027】
店舗端末装置22には、ICカード11等からICカード製造番号を読み取るカードリーダ21が接続されており、ICカード11等に対してポイントを発行するポイント発行手段としての機能を果たす。また、店舗端末装置22には、パルス端末装置3やゲートウェイ装置6が接続され、これらを介して、ネットワーク4や、各管理サーバ群(データベース更新手段)5,7及び8に接続されている。
【0028】
そして、店舗端末装置22のポイント発行機能は、他のクレジットカード番号を管理する他カード会社の管理サーバ5やポイント管理サーバ群7,8に対して、パルス端末装置3、ネットワーク4及びゲートウェイ装置6を通じ、ポイントを発行する旨を通知するクレジット電文M1を、同報発信やブロードキャスト方式により一斉送信される。このクレジット電文M1には、送信先としてサービスIDが設定されている。すなわち、サービスIDは、他のカード会社の管理サーバ5等のネットワーク4上における所在アドレス(IPアドレス、MACアドレス等)となっており、これによってデータが送信可能となる。そして、このクレジット電文M1を受信可能(認識可能)なサーバは、このクレジット電文M1を解析し、不正が検出されればポイント発行中止要求を送信し、なければ送信しない。その結果、ポイント発行中止要求がない場合に、ポイントが発行され、各ポイント管理サーバ5,7及び8によるポイントの蓄積管理処理が実行される。
【0029】
なお、ポイント管理サーバ群7及び8は、各々不正IDを検出する不正ID管理サーバ9に接続されており、この不正ID管理サーバ9を通じて、ポイント発行に係る媒体手段が不正なものでないか否かを判断することができる。ここで不正と判断されたIDは、不正通知データD4により不正ID管理サーバ9に登録され、登録されたIDは、拒絶IDファイルデータD5として店舗端末装置22に、拒絶IDファイルデータD5として送信される。
【0030】
また、管理サーバ群8は、例えば、図3に示すような構成とすることができる。具体的には、同図に示すように、受付サーバ8aと、取引履歴監視サーバ8bと、有効確認サーバ8cと、店舗契約データベース8dと、未決済データバンク8eと、取引通知サーバ8fとから構成する。受付サーバ8aは、加盟店2からのクレジット電文M1を受信するサーバであり、このクレジット電文M1によって特定される店舗の取引履歴を取引履歴監視サーバ8bにおいて更新する。有効確認サーバ8cは、取引履歴と店舗契約データベース8dに蓄積されている店舗契約条件とを比較し、店舗の認証を行い、新たに発行されたポイントを未決済データバンクに蓄積するとともに、新たに発行されたポイントを取引通知サーバ8fを通じて、加盟店2と利用者1に取引通知メールM2により通知する。
【0031】
(ポイント管理方法)
(1)ポイント蓄積時の動作
以上の構成を有するポイント管理システムを動作させることによって、本発明のポイント管理方法を実施することができる。図4は、本実施形態に係るポイント管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【0032】
先ず、利用者1が加盟店2においてショッピングを行い、代金を支払う際、店舗端末装置22において、利用金額を入力するとともに、ICカード11等をカードリーダ21にかざし、非接触通信によりカードとリーダ間で、データの送受を行う(S101)。このICカード11の読み取りは、ICカード11がクレジットカードや電子マネーカードであれば代金の決算処理と同時に、ICカード11が単なるポイントカードであるときには、代金入力をレジ側で行った後に、実行する。このICカード11等の読み取りにより、ICカード製造番号データD1が店舗端末装置22で取得される(S102)。
【0033】
次いで、店舗端末装置22において、自機に接続されているカードリーダ21の製造番号データD2が取得されるとともに、店舗端末装置22に記憶されている加盟店2の店舗契約番号データD3が読み出される(S103)。そして、これらのデータD1〜D3によって、クレジット電文M1が生成され(S104)、同報送信により各管理サーバ5,7及び8等に送信される(S105)。このクレジット電文M1の送信後、店舗端末装置22は、所定の時間内にいずれかの管理サーバから応答があるか否か、待機状態となり(S106)、所定時間内に応答がなければ、ポイントを発行する(S107)。
【0034】
このクレジット電文M1を受信した他のカード会社の管理サーバ5では(S301)、受信したICカード製造番号に基づいて、当該カードが、当該他のカード会社が提供しているサービスに関係するカードであるか否かを判断する(S302)。当該カード会社に関係しないカードであるときには(ステップS302における”N”)、受信したクレジット電文M1を破棄する(S307)。
【0035】
ステップS302で、当該カード会社に関係しているカードであると判断したときには、当該カードが不正なIDではないかのチェックをする(S304 )。不正IDでない場合には、そのままデータを記録し(S305)、不正IDである場合には、店舗端末装置22に対して発行中止要求データD6を送信する(S306)。この発行中止要求を受けて、店舗端末装置22は、ポイントの発行を中止し、所定の警告処理等を実行する(S108 )。
【0036】
他方、ステップS105において送信されたクレジット電文M1を受信したポイント管理サーバ群7,8では(S201)、受信したICカード製造番号に基づいて、当該カード(ID)が不正なIDではないかのチェックをする(S202 )。不正IDでない場合には、そのままデータを、該当する会員の口座に登録し(S206)、不正IDである場合には、不正管理サーバ9に対して、当該IDを不正IDとして登録する(S204)。不正管理サーバ9は、不正IDが記述された拒絶IDファイルデータ(ポイント発行中止要求)D5を生成し、これを店舗端末装置22に送信する(S205)。この拒絶IDファイルデータD5を受けて、店舗端末装置22は、ポイントの発行を中止し、所定の警告処理等を実行する(S108 )。
【0037】
(2)ポイント口座への登録時の動作
上述したステップS206では、図5に示すように、ポイントを会員フォルダ及び加盟店フォルダの口座に登録する。
【0038】
先ず、会員フォルダについては、ICカード製造番号に基づいて、当該カードに関係づけられた口座が既に開設されているか否かを検索する(S401)。既に当該カードの口座を開設してある場合には(ステップS402における”Y”)、その口座にポイントを登録する(S403)。一方、ステップS402において、既に口座が存在しないと判断した場合には(ステップS402における”N”)、ICカードの製造番号を口座IDとして口座を開設し、そこにポイントを登録する(S404)。
【0039】
また、ポイントについての発行または消費は、加盟店フォルダ内の口座に登録される。具体的には、店舗契約番号に基づいて加盟店フォルダ内の口座を検索し(S405)、店舗契約番号をIDとする口座にポイントを登録する(S406)。
【0040】
(3)カード登録処理時の動作
上記ステップS404において、口座を新規に開設するにあたり、新規口座をユーザーに関連づけるか否かは、ユーザーが任意に選択できるようになっている。これにより、会員登録などの手続きをしなくても、ICカード製造番号に紐づけてポイントを管理することができ、後日、ユーザーのカード登録処理(例えば、会員登録手続きなど)によって、当該ユーザーと当該カードとを紐づけることによって、過去に蓄積したポイントを事後的に自己の口座に組み入れることができる。以下にカード登録処理の手順について説明する。ここでは、加盟店2の店舗端末装置22になどを利用して、カードの登録を行う場合を例に説明する。
【0041】
先ず、図6に示すように、店舗端末装置22において、ユーザーの認証情報を入力し、この認証情報と関連づけてICカード製造番号を登録すべく、カードの読み取りを行う(S501)。このICカード11等の読み取りにより、ICカード製造番号データD1が店舗端末装置22で取得される(S502)。
【0042】
次いで、店舗端末装置22において、自機に接続されているカードリーダ21の製造番号データD2が取得されるとともに、店舗端末装置22に記憶されている加盟店2の店舗契約番号データD3が読み出される(S503)。そして、これらのデータD1〜D3を登録要求として、ポイント管理サーバ群7,8に送信する(S504)。
【0043】
この登録要求を受信したサーバ群7,8では(S505)、会員フォルダについて、ICカード製造番号に基づき、当該カードに関係づけられた口座が既に開設されているか否かを検索する(S506)。
【0044】
例えば、ユーザーが既に当該カードを用いてポイントを蓄積したが、ユーザーとの関連づけ、すなわち会員登録等の手続きを行っていないような場合には、ICカード製造番号を口座IDとする口座が開設されているが、その口座がいずれのユーザーのものなのかは登録されていない。したがって、このようなときには、ステップS506において口座が検出されることとなる。
【0045】
このように既に当該カードの口座を開設してある場合には(ステップS507における”Y”)、当該口座と当該ユーザーとの関連づけを行う(S509)。一方、ステップS507において、口座が存在しないと判断した場合には(ステップS507における”N”)、ICカードの製造番号を口座IDとして口座を開設し、この新設された口座と当該ユーザーとの関連づけを行う(S509)。
【0046】
以上の口座の開設、またはユーザーとの関連づけが終了すると、管理サーバ群7,8は、店舗端末装置22に通知し、店舗端末装置22は、ユーザーに対して登録処理が完了した旨の通知を行う(S510)。
【0047】
(本実施形態による作用・効果)
以上説明した本実施形態に係るポイント管理システム及び方法によれば、ICチップの製造時に、各ICチップに固有、且つ物理的に固定されたICカード製造番号を、ユーザーの特定に用いるため、カードの種別や、各サービス単位に発行されるカード番号、ユーザーIDに拘束されることなく、自由にポイントの発行及び管理を行うことができる。
【0048】
すなわち、ICチップを有するカードや携帯電話機等であれば、会員登録手続きの有無を問わず、そのカードのICカード製造番号に紐づけてポイントを発行することができることから、事後的にユーザーが、当該カード(ICカード製造番号)と当該ユーザーとを関連づける会員登録手続きを行うことにより、過去に蓄積したポイントを、自分の口座に組み入れることができる。
【0049】
このとき、関連づけを行う媒体手段は、ICチップを内蔵するものであればよいことから、例えば、カードキーや定期券など、本来、決済手続きに関与しない種別のカードであっても、ポイント蓄積に利用することができることとなる。さらに、ICカード製造番号は、通常、製造時に発行され、ICチップ本体に暗号化されることなく記録されることから、復号手段等の特別な機能を要することなく、一般的なカードリーダ21によって読み取りを行うことができ、従来の設備に大幅な改良を加えることなく、本発明を実施することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、利用者は、ICチップを内蔵したカードさえ有していれば、このポイント管理サーバ群によるサービスの加盟店2を利用でき、その一方で、当該サービスを受けるに際して個人情報を開示する必要がない。すなわち、本システムでは、ICカード識別子とポイントとの関連づけを主としているため、サービス提供側はICカード識別子のみを管理すればよく、利用者は当該サービスを受けるために、改めて個人情報を開示しての登録手続きを必要としない。また、ポイント管理サーバ群は、ICカード識別子に対して独自にポイントを発行するため、そのICカードが本来利用されるべき他のカード会社との契約を締結する必要がない。
【0051】
さらに、本システムによるサービスを提供するに際し、媒体となるICカードはICカード識別子によってのみ管理されるため、媒体となるカードそのものを識別させるためのマーク等を要しないことから、カードサービスのブランド力に頼ることなく、サービスを展開することができる。
【0052】
(変更例)
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更を加えることができる。例えば、蓄積されたポイントは、そのカードが本来利用されるべき他のカード会社のサービスでのみ利用できるような制限を加えてもよい。このとき、ポイントを利用するに際しても、該当する他のカード会社に対してクレジット電文M1のような通知を送信し、この通知が認識され、且つ、他のカード会社からポイント代金の請求があった場合にのみ、ポイントの利用を許可するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態に係るポイント管理システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】実施形態に係るICカードの内部構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るサーバ群の構成例を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るポイント管理システムの動作を示すフローチャート図である。
【図5】実施形態に係るポイント管理システムにおけるポイント口座への登録時の動作を示すフローチャート図である。
【図6】実施形態に係るポイント管理システムにおけるカード登録処理時の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0054】
D1…ICカード製造番号データ
D2…製造番号データ
D3…店舗契約番号データ
D4…不正通知データ
D5…拒絶IDファイルデータ
D6…発行中止要求データ
M1…クレジット電文
M2…取引通知メール
1…利用者
1a…CPU
1b…カード記憶部
1c…非接触通信部
2…加盟店
3…パルス端末装置
4…ネットワーク
5…他カード会社の管理サーバ
6…ゲートウェイ装置
7,8…ポイント管理サーバ群
8a…受付サーバ
8b…取引履歴監視サーバ
8c…有効確認サーバ
8d…店舗契約データベース
8e…未決済データバンク
8f…取引通知サーバ
9…不正管理サーバ
11…ICカード
12…携帯電話機
21…カードリーダ
22…店舗端末装置
51,71,81…管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーに対して付与されたポイントを、通信ネットワークを通じて管理するシステムであって、
ICチップを有し、前記ユーザーが使用する媒体手段と、
前記ICチップの製造時に付与され、当該ICチップを特定するICチップ識別子を、前記媒体手段を介して取得するリーダ手段と、
前記媒体手段に対してポイントを発行するポイント発行手段と、
前記通信ネットワーク上に設置され、前記ICチップ識別子と、該ICチップ識別子により特定される媒体手段に対して発行されたポイントとを関連づけて蓄積する管理データベースと、
前記管理データベースにおいて、前記媒体手段に対して発行されたポイントと、当該媒体手段を使用するユーザーのユーザー識別子とを、当該媒体手段のICチップ識別子を介して関連づけるデータベース更新手段と
を有することを特徴とするポイント管理システム。
【請求項2】
前記媒体手段には、前記ICチップ識別子とは別途に、当該媒体手段によって提供される他のサービス内でのみ有効な他サービス内識別子が記憶されており、
前記ポイント発行手段は、前記他サービス内識別子を管理する他サービス管理手段に対して、前記ポイントを発行する旨を通知し、当該通知に応じたポイント発行を中止する要求がない場合に、ポイントの発行を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のポイント管理システム。
【請求項3】
前記管理データベースでは、一つのユーザー識別子に対して複数の媒体手段が関連づけ可能となっており、
前記ポイント発行手段は、前記複数の媒体手段のそれぞれに対応する他サービスに対して、前記通知を同報発信により行う
ことを特徴とする請求項2に記載のポイント管理システム。
【請求項4】
前記他サービスにはそれぞれサービス識別子が付与されており、
前記通知は、前記サービス識別子を前記通信ネットワーク上の所在アドレスとして送受信が可能となっている
ことを特徴とする請求項3に記載のポイント管理システム。
【請求項5】
ICチップを有し、ユーザーが使用する媒体手段を介して、ユーザーに対して付与されたポイントを、通信ネットワークを通じて管理する方法であって、
前記ICチップの製造時に付与され、当該ICチップを特定するICチップ識別子を、前記媒体手段を介して取得するステップ(1)と、
前記媒体手段に対してポイントを発行するステップ(2)と、
前記通信ネットワーク上に設置され、前記ICチップ識別子と、該ICチップ識別子により特定される媒体手段に対して発行されたポイントとを関連づけて蓄積するステップ(3)と、
管理データベースにおいて、前記ステップ(2)で前記媒体手段に対して発行されたポイントと、当該媒体手段を使用するユーザーのユーザー識別子とを、当該媒体手段のICチップ識別子を介して関連づけるステップ(4)と
を有することを特徴とするポイント管理方法。
【請求項6】
前記媒体手段には、前記ICチップ識別子とは別途に、当該媒体手段によって提供される他のサービス内でのみ有効な他サービス内識別子が記憶されており、
前記ステップ(2)では、前記他サービス内識別子を管理する他サービス管理手段に対して、前記ポイントを発行する旨を通知し、当該通知に応じたポイント発行を中止する要求がない場合に、前記ポイントの発行を実行する
ことを特徴とする請求項5に記載のポイント管理方法。
【請求項7】
前記管理データベースでは、一つのユーザー識別子に対して複数の媒体手段が関連づけ可能となっており、
前記ステップ(2)では、前記複数の媒体手段のそれぞれに対応する他サービスに対して、前記通知を同報発信により行う
ことを特徴とする請求項5に記載のポイント管理方法。
【請求項8】
前記他サービスにはそれぞれサービス識別子が付与されており、
前記ステップ(2)における通知は、前記サービス識別子を前記通信ネットワーク上の所在アドレスとして送受信が可能となっている
ことを特徴とする請求項7に記載のポイント管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−156740(P2007−156740A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−349719(P2005−349719)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(504190869)ソフトバンク・ヒューマンキャピタル株式会社 (2)
【Fターム(参考)】