説明

ポケットコイルバネ構造体組立装置

【課題】ポケットコイルバネ列の補充や交換が手間をかけることなく、簡単で短時間のうちに行えるようにすることにより、ポケットコイルバネ構造体組立装置の停止時間を可及的に少なくして生産性の高いポケットコイルバネ構造体組立装置を提供する。
【解決手段】ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2とポケットコイルバネ列送り出し機構3とを直列状に連結してポケットコイルバネ列供給ユニットI,II,IIIを形成し、複数のポケットコイルバネ列供給ユニットI,II,IIIをシール・カット機構4の上手側に配置し、制御機構でシール・カット機構4に対面するポケットコイルバネ列供給ユニットI,II,IIIから択一的に選択し、選択されたポケットコイルバネ列供給ユニットI,II,IIIをシール・カット機構4に対面するように移動可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子やソファー等の家具やベットマットレス等の寝具に内装されて使用されるポケットコイルバネ列を、マット状に効率よく接合して組み立てるポケットコイルバネ構造体組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のポケットコイルバネ構造体組立装置としては、特許文献1にも開示されているように、ポケットコイルバネ構造体組立装置の上手側にストックしたポケットコイルバネ列を供給する補助送りストック機構と、供給されたポケットコイルバネ列を後続のシール・カット機構に送り込む送り出し機構及びシール・カット機構とが一連の状態で一体に設けられていた。
【0003】
したがって、こうしたものでは、補助送りストック機構部分のポケットコイルバネ列がなくなると、ポケットコイルバネ構造体組立装置の稼動を一旦停止して、ポケットコイルバネ列を補充してから再びポケットコイルバネ構造体組立装置を稼動させるようになっている。
したがって、こうしたものではポケットコイルバネ構造体組立装置の停止時間が多くなりその分、生産性が低下してしまうという問題があった。
【0004】
また、近年、例えばベッド等では、体形に合わせてその表面の弾発力を部分的に変更させることにより快適性を向上させるようにしたものがある。
このように表面の弾発力を部分的に変更するには、ポケットコイルバネ列のバネの線径やコイルの巻き数等を変更することが一般的であるが、こうした場合にも、ポケットコイルバネ列を交換するためにポケットコイルバネ構造体組立装置の停止時間が多くなり、その分、生産性が低下してしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−85373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み提案されたもので、ポケットコイルバネ列の補充や交換に手間をかけることなく、簡単で短時間のうちに行えるようにすることにより、ポケットコイルバネ構造体組立装置の停止時間を可及的に少なくして生産性の高いポケットコイルバネ構造体組立装置を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置は、不織布等の通気性を有するシート地によりポケット状に形成した連続円筒形袋の1袋に1個のコイルバネを収納して列状に形成された連続ポケットコイルバネ列を、複数列接着して、マット状のポケットコイルバネ構造体に組み立てるポケットコイルバネ構造体組立装置であって、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構と、ポケットコイルバネ列を予め設定した個数送り出すために設けられたポケットコイルバネ列送り出し機構と、ポケットコイルバネ列送り出し機構からの所定長さのポケットコイルバネ列をシールして切り離すシール・カット機構と、カットされたポケットコイルバネ列を所定の位置まで搬送するポケットコイルバネ列搬送機構と、ポケットコイルバネ列に接着剤を塗布するためのメルト塗布機構と、接着剤が塗布されたポケットコイルバネ列の上に、ポケットコイルバネ列搬送機構で搬送された次のポケットコイルバネ列を押し付ける圧着機構と、接着剤を塗布機構に供給するアプリケーター機構と、上記の各機構を制御するための制御機構を備えるとともに、前記ポケットコイルバネ列補助送りストック機構とポケットコイルバネ列送り出し機構とを直列状に連結してポケットコイルバネ列供給ユニットを形成し、複数のポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構の上手側に配置し、前記制御機構でシール・カット機構に対面するポケットコイルバネ列供給ユニットを複数のポケットコイルバネ供給ユニットから択一的に選択し、選択されたポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構に対面するように移動させるように構成したことを最も主要な特徴とするものである。
【0008】
本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置では、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構におけるストックスペースが、少なくとも圧着機構で処理される長さ以上のポケットコイルバネ列の長さを蓄えられるように構成されていることや、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構の補助送りローラーのポケットコイルバネ列接触面に針布を配設したこと、さらには、ポケットコイルバネ列送り出し機構の送り出しカムのU溝の形状がポケットコイルバネの胴径とほぼ同じ径の半割り形状にしてあることも特徴とするものである。
【0009】
また、本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置では、シール・カット手段の超音波溶着用のホーンとアンビルのそれぞれが、コイルバネ胴径の約1/2以上、上下するように構成されていることや、シール・カット手段の超音波溶着用のアンビルが、2つに分割されその分割された中心をカッターナイフが移動できる状態に敷設されていること、ポケットコイルバネ列送り出し機構を、ポケットコイルバネ列を一対の搬送ベルトの間にポケットコイルバネの中心軸を水平にした状態で挟み、所定の位置まで搬送するように構成したことも特徴とするものである。
【0010】
さらに、本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置は、ホットメルト塗布機構が、ホットメルトを塗布するコーティングヘッドが待機位置から保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上面に移動・下降して、移動しながら保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上面にホットメルトを塗布するように構成したことや、搬送機構の搬送ベルトで送り込まれたポケットコイルバネ列を既に保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上に押し当てるように圧着機構を構成したことも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポケットコイルバネ構造体組立装置によれば、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構とポケットコイルバネ列送り出し機構とを直列状に連結して形成された複数のポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構の上手側に配置し、前記制御機構でシール・カット機構に対面するポケットコイルバネ列供給ユニット択一的に選択し、選択されたポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構に対面するように移動させるように構成してある。
【0012】
これにより、補助送りストック機構部分のポケットコイルバネ列が少なくなって補充したり、ベッド等の表面の弾発力を部分的に変更させて快適性を向上させるために表面の弾発力を部分的に変更したりする場合、複数設けられたポケットコイルバネ列供給ユニットの内から選択されたポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構に対面するように移動させるだけで済み、短時間で簡単に対応することができ、ポケットコイルバネ構造体組立装置の停台時間を可及的に少なくでき、その生産性を大幅に向上させることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置全体の概略を示す正面図である。
【図2】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置全体の概略を示す上面図である。
【図3】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるポケットコイルバネ列ストック機構とポケットコイルバネ列送り出し機構の概略を示す上面図である。
【図4】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるポケットコイルバネ列ストック機構とポケットコイルバネ列送り出し機構の概略を示す前面図である。
【図5】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるシール・カット機構の側面図である。
【図6】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるシール・カット機構の正面図である。
【図7】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるポケットコイルバネ列搬送機構とメルト塗布機構と圧着機構の概略を示す前面図である。
【図8】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるポケットコイルバネ列搬送機構とメルト塗布機構と圧着機構と保持機構の概略を示す側面図で原点位置状態を示している。
【図9】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるメルト塗布機構の運転状態を示す側面図である。
【図10】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置におけるポケットコイルバネ列搬送機構がポケットコイルバネ列を搬送している状態を示す側面図である。
【図11】は本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置における圧着機構がポケットコイルバネ列を圧着している状態を示す側面図である
【図12】は本発明にかかるポケットコイルバネ列搬送機構とメルト塗布機構と圧着機構と保持機構の概略を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置の最も好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、ポケットコイルバネ構造体組立装置の概略を示す正面図であって、図中符号1はこのポケットコイルバネ構造体組立装置を全体的に示し、図中符号2はポケットコイルバネ列補助送りストック機構を示し、図中符号3はポケットコイルバネ列送り出し機構を示し、図中符号4はシール・カット機構を示し、図中符号5はポケットコイルバネ列搬送機構を示し、図中符号6はメルト塗布機構を示し、図中符号7は圧着機構を示し、図中符号8はアプリケーターを示し、図中符号9は制御機構をそれぞれ示している。
【0016】
上記ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2、ポケットコイルバネ列送り出し機構3及びシール・カット機構4は、形鋼で枠状に形成された第1ベースフレームB1に設けられ、ポケットコイルバネ列搬送機構5、メルト塗布機構6、圧着機構7及び制御機構9は、形鋼で枠状に形成された第2ベースフレームB2に設けられており、第1ベースフレームB1と第2ベースフレームB2は直列に連結された状態で配設されている。
そして、アプリケーター8は、第2ベースフレームB2の側方に設置されている。
【0017】
ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2と、ポケットコイルバネ列送り出し機構3は、図2・図3・図4で示すように、上記両機構2・3の各1基が直列状に一連に設けられ構成されポケットコイル列供給ユニットI・II・IIIが移動架台10上に取り付けられている。
移動架台10は、第1ベースフレームB1の前後にわたって設けられた一対のスライドレール11にスライダー12が受けられており、移動架台10の下面に取り付けられている二段シリンダー13でポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIのいずれか1つがシール・カット機構4に対面する位置に択一的に素早く移動することができるようになっている。
【0018】
ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2とポケットコイルバネ列送り出し機構3からなるポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIのそれぞれは、同一構造であることから、1つのポケットコイルバネ列供給ユニットIで説明する。
ポケットコイルバネ列供給ユニットIのポケットコイルバネ列補助送りストック機構2は、移動架台10から立設された支持台14に支持された送りローラー15と、この送りローラー15を駆動する駆動装置16と、送りローラー15の上手側に配設されたダンシングローラー17とを備えてなる。
【0019】
上記送りローラー15はその軸心となるシャフト18の両端が支持台14に取り付けられたピローブロック19に支持され、このシャフト18に取り付けられたスプロケット20がチェーン(図示せず)を介して下方に配置されたモーター21のスプロケット(図示せず)により回転駆動されるようになっている。
そして、スプロケット20、モーター21のスプロケットにわたって掛け渡されたチェーンと上記を送りローラー15を回転駆動させる駆動装置16が形成されている(図4参照)。
送りローラー15の表面のロール面には、不織布製の各ポケットにコイルバネを入れて列状に形成されたポケットコイルバネ列22の不織布部分を保持して送るための針布(図示せず)が植設されている。
【0020】
上記ダンシングローラー17は、送りローラー15で送られるポケットコイルバネ列22が不足になるのを検出するもので、ダンシングローラー17の両端から突出する軸部分23が、支持台14の側面に設けられたガイド24に昇降可能に設けられ、ダンシングローラー17がガイド24の上端近傍に上昇したとき、つまりポケットコイルバネ列22が供給不足になる可能性があるときに、これを検出するセンサー25が移動架台10から立設された取り付けバー26に、その高さ位置を変更可能に取り付けてある。
つまり、ポケットコイルバネ列22の供給が間に合わなくなると、ダンシングローラー16がポケットコイルバネ列22で上方に引き上げられ、センサー25がOFFになると、モーター21が回転を停止し、ポケットコイルバネ列22が補給されると、ダンシングローラー17が下降するので、センサー25はONになり、モーター21の回転が可能となる。
【0021】
モーター21が回転すると、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2とポケットコイルバネ列送り出し機構3との間のストックスペース27にポケットコイルバネ列22が送り込まれる。
ストックスペース27にポケットコイルバネ列22が一定量たまると、供給経路中に設けられたセンサー28がこれを検出すると、モーター21が停止し、ポケットコイルバネ列22のストックスペース27への供給が停止するようになっている。
したがって、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2とポケットコイルバネ列送り出し機構3との間のストックスペース27には、後述するシール・カット機構4の送り出しカム30で送られる量のポケットコイルバネ列22をストックするようにしてある。
このストックスペース27は、後述する圧着機構7で処理される1回分の長さ以上のポケットコイルバネ列22の長さを蓄えられるようになっている。
【0022】
ポケットコイルバネ列送り出し機構3は、図1及び図4に示すように、サーボモーター29で調時駆動され、ポケットコイルバネ列22の中心軸を水平にした状態で両側を挟んで保持する一対の搬送ベルト67と、この搬送ベルト67に調時回転する送り出しカム30を備えてなる。
この送り出しカム30は、移動架台10に設けられた送り込み台31の上部に両端がピローブロック32で回転可能に支持されたシャフト33の周囲に、側面視においてポケットコイルバネの略半径形状をしたU溝で形成されている。
【0023】
上記シャフト33に取り付けられたタイミングプーリー34は、サーボモーター29の回転を減速機35で減速されて回転する駆動プーリー36の回転がタイミングベルト37で伝えられて回転されるようになっている。
これにより、制御機構9で予め設定された長さ(計測はポケットコイルバネの個数でおこなわれる)のポケットコイルバネ列22が、後続のカット・シール機構4から、第2ベースフレームB2に設けられているポケットコイルバネ列搬送機構5、メルト塗布機構6、圧着機構7に送り出されるようになっている。
【0024】
上記シール・カット機構4については、本出願人が先に提案した特願2005−254106と略同様に構成されている。
すなわち、図1・図2及び図4に示すように、このシール・カット機構4は、ポケットコイルバネ列22をはさむ二本の搬送ベルト51からなるポケットコイルバネ列搬送機構5の当該搬送ベルト51の中心位置で、ポケットコイルバネ列送り出し機構3の送り出しカム30の直後に設けられる。
【0025】
また、シール・カット機構4は、図5・図6に示すように、シール部分38と、その下方に配設されるカット部分39とからなり、シール部分38は、図上左右に開閉用シリンダー47で移動可能なシャッター40と、シャッター40に載置されたポケットコイルバネ列22の上方で、移動架台10の側方支柱41部分に取り付けられたシリンダー42と、シリンダー42で昇降される超音波発生器43と、その下端部に取り付けられたホーン44とで構成されている。
【0026】
カット部分39は、第1ベースフレームB1の右側支柱41部分に取り付けたシリンダー45と、このシリンダー45で昇降操作される2つ割りに形成されたアンビル46の中心をポケットコイルバネ列22の供給方向に直行する方向に走り、切断して分離するカッター49とで形成されている。
因みに、図5及び図6は、ホーン44が上昇している状態を示し、アンビル46は下降している状態であって、シャッター40は閉まった状態で、ポケットコイルバネ列22を搬送可能な状態を示しており、上記超音波溶着用のホーン44はシリンダー42で、アンビルの46はシリンダー45でそれぞれがコイルバネ胴径の約1/2以上、上下するように構成されている
【0027】
そして、シール・カット機構4は、制御機構9に予め設定されている長さのポケットコイルバネ列22をポケットコイルバネ列送り出し機構3及びポケットコイルバネ列搬送機構5で送り出して停止した後、開閉用シリンダー47が作動してシャッター40が開く。
シャッター40が開くと、ホーン44がシリンダー42により下降し、アンビル46がシリンダー45により上昇してポケットコイルバネ列22をシール部分38のホーン44と、アンビル46との間に挟み超音波を発振させてポケットコイルバネ列22の不織布を溶着する。
【0028】
ポケットコイルバネ列22の不織布を溶着した後、カッター摺動用シリンダー48に取り付けられているカッター49が前述したように、ポケットコイルバネ列22の供給方向に直行する方向に走って溶着した不織布の中間を切断して切り離すようになっている。
その後ホーン44は上昇し、アンビル46は下降し、シャッター40が閉じてポケットコイルバネ列22が搬送可能な状態になる。
ポケットコイルバネ列搬送機構5は、図2および図7に示すように、第2ベースフレームB2の中間高さ位置に搬送ベルト51が前後一対設けられている。
この搬送ベルト51は、その一端が搬送用駆動モーター52により駆動され、ポケットコイルバネ列送り出し機構3から供給されたポケットコイルバネ列22を搬送するようになっている。
【0029】
因みに、ポケットコイルバネ列送り出し機構3の送り出しカム30で送りだされるコイルバネの個数を計測することにより、しながらポケットコイルバネ列22が所定の長さになるまで送り出される。
斯くして送り出されたポケットコイルバネ列22は、ポケットコイルバネ列搬送機構5の搬送ベルト51に挟まれた状態で搬送され、所定の個数になると、搬送ベルト51及びポケットコイルバネ列送り出し機構3が一旦停止する。
然る後、シール・カット機構4が作動して、当該部分のポケットコイルバネ列22をシールし、そのシールされた部分の中間をカッター49でカットした後、ポケットコイルバネ列搬送機構5の搬送ベルト51が駆動され、分離されたポケットコイルバネ列22を所定の位置まで搬送し、圧着機構7の働きを待つ。
【0030】
上記メルト塗布機構6と圧着機構7は、図7乃至図12に示すようになっている。
すなわち、第2ベースフレームB2の中間高さ位置に設けられた搬送ベルト51の上方に切替駆動シリンダー53(図8参照)によって前後に摺動可能な台枠54を設けてあり、この台枠54の左右(図8乃至図12では図上前後方向)にわたってメルト塗布機構支持用ビーム55と圧着機構支持用ビーム56とを設けてある。
そして、メルト塗布機構支持用ビーム55にはメルト塗布機構6が設けられるとともに、圧着機構支持用ビーム56には圧着機構7が設けられている。
上記メルト塗布機構6は、メルト塗布機構支持用ビーム55の上面に摺動レール57を設け、この摺動レール57で左右(図上紙面に垂直な前後方向)に摺動する昇降用シリンダー58の下端(ピストンロッドの下端)にソレノイド59(図7参照)で開閉される複数のコーティングヘッド60を取り付けてなる。
尚、前記昇降用シリンダー58は、搬送ベルト51で搬送されたポケットコイルバネ列22の上面にコーティングヘッド60を接離させるように昇降させるものである。
【0031】
つまり、第2のベースフレームB2の左右にわたって設けられた塗布駆動ベルト61が塗布駆動モーター62の駆動されるときに、昇降用シリンダー58が伸長して、下端のコーティングヘッド60が、搬送ベルト51で搬送されたポケットコイルバネ列22の上面に近接するように下降し、糊剤を連続若しくは間歇的に噴射しながら図上前後方向に移動するようになっている。
圧着機構支持用ビーム56に設けられた圧着機構7は、圧着シリンダー63の下端(ピストンロッドの下端)に、搬送ベルト51で搬送されたポケットコイルバネ列22をその略全長を下方に押し込む圧着板64が取り付けられて構成されている。
このメルト塗布機構6と圧着機構7のいずれか一方が、前記切替駆動シリンダー53によって台枠54が移動し、搬送ベルト51で搬送されたポケットコイルバネ列22の上方に位置するようになっている(図7及び図8参照)。
【0032】
上記制御機構9は、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構2、ポケットコイルバネ列送り出し機構3、シール・カット機構4、ポケットコイルバネ列搬送機構5、メルト塗布機構6、圧着機構7、アプリケーター8を総合的に制御してポケットコイルバネ構造体組立装置1を駆動するもので、その制御には以下に述べる工程が含まれている。
つまり、ポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIの内の使用しているポケットコイルバネ列供給ユニット、例えばポケットコイルバネ列供給ユニットIを変更する場合、他のポケットコイルバネ列供給ユニットII・IIIの内から、ストックスペース27にポケットコイルバネ列22が一定量貯えられている事を示すセンサー28がONになっているポケットコイルバネ列供給ユニットII・IIIを検出する検出工程と、検出されたポケットコイルバネ列供給ユニットII・IIIの内、シール・カット機構4に最も近いポケットコイルバネ列供給ユニットIIまたはIIIを特定する工程と、特定されたポケットコイルバネ列供給ユニットIIまたはIIIをシール・カット機構4部分に移動させる信号を切替駆動シリンダー53に出する工程。
【0033】
本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置1は、上記のように構成されているので、ポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIの内、今、ポケットコイルバネ列供給ユニットIを使用してポケットコイルバネ構造体組立装置1が稼動しているとき、
そのポケットコイルバネ列22の供給量が後続の処理速度に間に合わず、供給不足を生じるか可能性が出てくるのをストックスペース27のセンサー28で制御機構9が検出すると、他のポケットコイルバネ列供給ユニットII・IIIのダンシングローラー17の位置ならびに、ストックスペース27部分のポケットコイルバネ列22のストック量が検出される。
【0034】
このとき、制御機構9で、ポケットコイルバネ列供給ユニットII・IIIともストックスペース27のストック量が充分にあることが検出されたときには、近くにあるポケットコイルバネ列供給ユニットIIが移動するポケットコイルバネ列供給ユニットとして特定され、このポケットコイルバネ列供給ユニットIIのストックスペース27部分のポケットコイルバネ列22のストック量が充分でない場合には、ポケットコイルバネ列供給ユニットIIIが移動されるポケットコイルバネ列供給ユニットとして特定される。
【0035】
ポケットコイルバネ列供給ユニットIIまたはIIIが特定されると、制御機構9からの信号により、切替駆動シリンダー53が作動し、移動架台10を移動させて、特定されたポケットコイルバネ列供給ユニットIIまたはIIIがシール・カット機構4に対面する位置に移動される。
これにより、ポケットコイルバネ構造体組立装置1が引き続いて稼動されるので、ポケットコイルバネ構造体組立装置1の停止がほとんどなくすことができる。
斯くして、ポケットコイルバネ列22が連続的に搬送ベルト51により所定の位置まで移動されて停止すると、昇降用シリンダー58が伸長し、コーティングヘッド60をポケットコイルバネ列22に近接するように図9に示すように下降させ後、ソレノイド59でバルブが開きアプリケーターから供給される糊剤の噴射が開始され、この状態で、コーティングヘッド60がポケットコイルバネ列22の長手方向に移動してポケットコイルバネ列22に糊剤が塗布される。
【0036】
糊剤が塗布されると、昇降用シリンダー58が収縮し、コーティングヘッド60が上昇してポケットコイルバネ列22から離れた後、図10に示すように、切替駆動シリンダー53が台枠54を移動させてポケットコイルバネ列22の上方に圧着機構7を位置させる。
ポケットコイルバネ列22の上方に圧着機構7が位置すると、図10から図11に示すように、圧着シリンダー63伸長して圧着板64が下降し、一対の搬送ベルト51間に保持されているポケットコイルバネ列22が押し下げられて、その下方にあるすでに糊剤が塗布された先のポケットコイルバネ列22に圧着され連結される。
これを所定回数繰り返すことにより、図12及び図2に示すポケットコイルバネ構造体65が形成される。
【0037】
なお、上記実施の形態では、ポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIを3個にしてあるが、こうしたものに限られず、2個で交互に切り替えるようにしてもよいし、4個以上設けることもできる。
また、本発明のようにポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIを複数設ける場合、上記実施の形態のように、同一のバネ定数のものに限られず、ポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIごとに、バネの線径、有効巻き数、平均コイル径、 等を変更したものにすると、これらのポケットコイルバネ列供給ユニットI・II・IIIを適宜、繰り返し若しくは変更して搬送機構に供給することにより、部分的に硬さの異なるポケットコイルバネ組立構造体65を作ることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるポケットコイルバネ構造体組立装置1は、ベッドに使用されるポケットコイルバネ構造体に限られず、椅子やソファーなどのポケットコイルバネ構造体を組立てる場合にも使用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1・・・ポケットコイルバネ構造体組立装置
2・・・ポケットコイルバネ列補助送りストック機構
3・・・ポケットコイルバネ列送り出し機構
4・・・シール・カット機構
5・・・搬送機構
6・・・メルト塗布機構
7・・・圧着機構
8・・・アプリケーター
9・・・制御機構
15・・・送りローラー
22・・・ポケットコイルバネ列
30・・・送り出しカム
44・・・ホーン
46・・・アンビル
51・・・搬送ベルト
60・・・コーティングヘッド
64・・・圧着板
65・・・ポケットコイルバネ構造体
66・・・保持板
67・・・搬送ベルト
I・II・III・・・ポケットコイルバネ列供給ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布等の通気性を有するシート地によりポケット状に形成した連続円筒形袋の1袋に1個のコイルバネを収納して列状に形成された連続ポケットコイルバネ列を、複数列接着して、マット状のポケットコイルバネ構造体に組み立てるポケットコイルバネ構造体組立装置であって、ポケットコイルバネ列補助送りストック機構と、ポケットコイルバネ列を予め設定した個数送り出すために設けられたポケットコイルバネ列送り出し機構と、ポケットコイルバネ列送り出し機構からの所定長さのポケットコイルバネ列をシールして切り離すシール・カット機構と、カットされたポケットコイルバネ列を所定の位置まで搬送するポケットコイルバネ列搬送機構と、ポケットコイルバネ列に接着剤を塗布するためのメルト塗布機構と、接着剤が塗布されたポケットコイルバネ列の上に、ポケットコイルバネ列搬送機構で搬送された次のポケットコイルバネ列を押し付ける圧着機構と、接着剤を塗布機構に供給するアプリケーター機構と、上記の各機構を制御するための制御機構を備えるとともに、前記ポケットコイルバネ列補助送りストック機構とポケットコイルバネ列送り出し機構とを直列状に連結してポケットコイルバネ列供給ユニットを形成し、複数のポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構の上手側に配置し、前記制御機構でシール・カット機構に対面するポケットコイルバネ列供給ユニットを複数のポケットコイルバネ供給ユニットから択一的に選択し、選択されたポケットコイルバネ列供給ユニットをシール・カット機構に対面するように移動させるように構成したことを特徴とするポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項2】
ポケットコイルバネ列補助送りストック機構におけるストックスペースが、少なくとも圧着機構で処理される長さ以上のポケットコイルバネ列の長さを蓄えられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項3】
ポケットコイルバネ列補助送りストック機構の補助送りローラのポケットコイルバネ列接触面に針布を配設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項4】
ポケットコイルバネ列送り出し機構の送り出しカムのU溝の形状がポケットコイルバネの胴径とほぼ同じ径の半割り形状にしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項5】
シール・カット手段の超音波溶着用のホーンとアンビルのそれぞれが、コイルバネ胴径の約1/2以上、上下するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項6】
シール・カット手段の超音波溶着用のアンビルが、2つに分割されその分割された中心をカッターナイフが移動できる状態に敷設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項7】
ポケットコイルバネ列送り出し機構を、ポケットコイルバネ列を一対の搬送ベルトの間にポケットコイルバネの中心軸を水平にした状態で挟み、所定の位置まで搬送するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項8】
ホットメルト塗布機構が、ホットメルトを塗布するコーティングヘッドが待機位置から保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上面に移動・下降して、移動しながら保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上面にホットメルトを塗布するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。
【請求項9】
搬送機構の搬送ベルトで送り込まれたポケットコイルバネ列を既に保持板で保持されているポケットコイルバネ列の上に押し当てるように圧着機構を構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のポケットコイルバネ構造体組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−56535(P2011−56535A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208142(P2009−208142)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000187714)松下工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】